JP4477740B2 - シート搬送装置及び画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子写真複写機のように原稿シートに画像を形成する画像形成装置の情報読取り位置に連続的に原稿シートを搬送するシート搬送装置に関し、特に、両面処理を能率良く行えるシート搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような電子写真複写機等の画像形成装置には、複数枚の原稿シートを1枚づつ繰り出し、これを原稿の内容を読み取る位置に自動的に供給するよう、所謂ADF(オートマチック・ドキュメント・フィーダ)と称されるシート搬送装置が用いられる。最近では、このような原稿搬送装置は、片面のみならず両面に情報が記載された原稿を処理できるように構成されている。
【0003】
このような片面処理及び両面処理が可能な原稿搬送装置として、例えば特開平10−81449号には、片面処理および両面処理を能率良く行える構成が開示されている。
【0004】
この公知の技術によれば、片面処理モードにおいては、情報面を上側にして給紙スタッカに順次積層された原稿は、上側から1枚づつ繰り出されて給紙経路で反転され、情報読取り位置でスキャンされた後、そのままの状態で排紙される。このとき、排紙スタッカに排紙される原稿は、情報面が下側を向いた状態で順次上側に積層されて行くため、最終的に排紙された原稿を整え直す必要がなく、能率良い作業が行える。
【0005】
また、両面処理モードにおいては、奇数頁を上側にして給紙スタッカに順次積層された原稿は、上側から1枚づつ繰り出されて給紙経路で反転され、情報読取り位置で表面がスキャンされた後、その下流側に設けられたスイッチバック経路に案内される。スイッチバック経路には、スイッチバックローラ対が配設されており、このローラ対によってスイッチバックされた原稿は、再び給紙経路に案内され、ここで反転されて、情報読取り位置で裏面がスキャンされた後、そのままスイッチバック経路に案内される。そして、スイッチバック経路でスイッチバックされ、反転した状態で排紙される。
【0006】
このとき、排紙スタッカに排紙される原稿は、奇数頁が下側を向いた状態で順次上側に積層されて行くため、最終的に排紙された原稿を整え直す必要がなく、能率良い作業が行える。また、情報読取り位置の原稿の通過を必要最小限としているため、原稿に与えるダメージを軽減すると共に、1枚の原稿処理時間が短くなり、原稿の連続処理が効率良く行える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した構成の原稿搬送装置によれば、両面処理モードにおいて裏面の処理を行う場合、スイッチバック経路から繰り出された原稿は、裏面処理後、再びスイッチバック経路に搬入される。この際、原稿の先端と後端がスイッチバックローラ対の位置で重なることから、スイッチバックローラ対をフィードローラから離間させ、原稿の搬送に支障のないように構成している。
【0008】
しかし、このようにスイッチバックローラ対をフィードローラから単に離間させるだけでは、長尺寸法の原稿シートの処理を考慮した場合その分スイッチバック経路を長くせざるを得なくなる。また、スイッチバックローラ対をフィードローラから離間させることなく、スイッチバックローラ対の位置で原稿の先端と後端が重ならないようにするには、原稿読取位置に配設されているフィードローラの径を大きくすれば良いが、それに伴って必然的に装置全体が大型化してしまう。
【0009】
さらに、従来装置においては、所定サイズ以上の長尺寸法の原稿シートは、スイッチバック路内でジャム状態となってしまうことから取り扱うことが不可能であった。
【0010】
本発明は、上記に従来技術の種々の課題に鑑みてなされたものであり、スイッチバック経路を有し両面処理が行える原稿シート搬送装置において、フィードローラの径を大きくすることなく、また、スイッチバック路を必要以上に長くすることなく、さらに、スイッチバックを行う際の制御を簡略化すると共に長尺サイズの原稿シートを取り扱うことを可能とすることによって、装置全体のサイズを小さく維持しつつ、より長いサイズの原稿シートを処理することが可能なシート搬送装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本願は、給紙スタッカから繰り出された原稿シートをフィードローラに対向する画像読取部に給送する給送経路と、前記画像読取部で処理が終了した原稿シートをスイッチバックさせるスイッチバック経路と、前記スイッチバック経路で原稿シートをスイッチバックするように配設され、正逆転可能なスイッチバックローラ対と、前記スイッチバック経路にある原稿シートを排紙スタッカに排紙させる排紙経路とを備えたシート搬送装置において、上面が前記排紙スタッカを形成すると共に、その内部に前記スイッチバック経路が配設されるケーシングと、前記スイッチバック経路に案内された原稿シートの先端が前記ケーシングの外に露出するように前記ケーシングに形成される開口部と、前記ケーシングの外に露出する原稿シートの先端を下方に導くガイド部材と、を設けたことを特徴とするシート搬送装置を提供するものである。
【0012】
さらに、本願は、給紙スタッカから繰り出された原稿シートをフィードローラに対向する画像読取部に給送する給送経路と、前記画像読取部で処理が終了した原稿シートをスイッチバックさせるスイッチバック経路と、前記スイッチバック経路で原稿シートをスイッチバックするように配設され、正逆転可能なスイッチバックローラ対と、前記スイッチバック経路にある原稿シートを排紙スタッカに排紙させる排紙経路と、を備えたシート搬送装置において、前記スイッチバック経路は、その上面が前記排紙スタッカを形成するケーシング内に配設され、該スイッチバック経路内に搬送された原稿シートの先端が下方を指向するように前記スイッチバック経路の原稿シート進入方向下流側を下方に向けて湾曲形成したことを特徴とするシート搬送装置を提供するものである。
【0013】
ここで、前記ケーシングには、前記スイッチバック経路にて案内される原稿シートの先端をケーシングの外に露出させるための開口部を形成し、前記湾曲部により原稿シートの先端を下方に向かって前記開口部から露出させるようにする。
【0014】
このとき前記開口部は、前記ケーシングの原稿排紙方向と突き当たる側面に形成するのが好適である。あるいは、前記ケーシングの底面に形成しても良い。
【0015】
また、前記課題を解決するために、本願は、給紙スタッカから繰り出された原稿シートをフィードローラに対向する画像読取部に給送する給送経路と、前記画像読取部で処理が終了した原稿シートをスイッチバックさせるスイッチバック経路と、前記スイッチバック経路で原稿シートをスイッチバックするように配設され、正逆転可能なスイッチバックローラ対と、前記スイッチバック経路にある原稿シートを排紙スタッカに排紙させる排紙経路と、を備えたシート搬送装置において、前記スイッチバック経路は、その上面が前記排紙スタッカを形成するケーシング内に配設され、該スイッチバック経路内に搬送された原稿シートの先端が上方を指向するように前記スイッチバック経路の原稿シート進入方向下流側を上方に向けて湾曲形成したことを特徴とするシート搬送装置を提供するものである。
【0016】
ここで、前記排紙スタッカの原稿排紙方向の端部側を上方に突出して形成し、該突出した部分に向けて前記スイッチバック経路の原稿シート進入方向下流側を湾曲形成しても良い。
【0017】
また、前記スイッチバックローラ対は、原稿シートをスイッチバック経路に案内する時の回転速度が、原稿シートをスイッチバック経路から排出する時の回転速度よりも遅くなるように回転制御される。
さらに、前記スイッチバックローラ対は、原稿シートがスイッチバックされて再び前記フィードローラに供給される際に、取り扱う最大サイズの原稿シートの先端と後端が前記フィードローラを介して重ならないスイッチバック経路内の位置に配設される。
【0018】
なお、前記スイッチバック経路の原稿シート進入方向上流側を直線状に形成するのが好適である。
さらに、前記排紙スタッカの原稿排紙方向における一端から他端までの長さよりも、前記排紙スタッカの一端から他端までの範囲における前記スイッチバック経路の長さを長くする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシート搬送装置の詳細を図の記載に基づいて説明する。尚、以下の実施の形態では、シート搬送装置として、画像形成装置である電子写真複写機に装着され、原稿の読取り位置(画像読取部)に原稿を自動的に連続供給するADF(オート・ドキュメント・フィーダ)を例示して説明する。
【0020】
図1は、電子写真複写機に装着されるADFの外観斜視図、図2は、その内部構成を示した図である。電子写真複写機100の機体の上部には、ブック形式の原稿を処理できるように原稿台ガラス(第1プラテン)102aが配設されており、このプラテン102aの一側には、ADF1によって連続的に搬送される原稿が通過するカバーガラス(第2プラテン)102bが配設されている。
【0021】
前記プラテン102a,102bの下方には、原稿の読取りを行う走査手段(図示せず)が配設されており、走査手段は、ブック形式の原稿を読み取る場合、原稿に対して光を照射する走行体(図示せず)が第1プラテン102aの範囲内を移動すると共に、ADF1による連続処理の場合には、第2プラテン102bの下方位置Xに固定される(この位置で連続搬送される原稿の読取りが行われる)。なお、上記した走査手段は、電子写真複写機100に組み込んでも良いし、ADF1にユニットとして予め組み込んでおいても良い。
【0022】
前記ADF1は、原稿の読取が行われる位置X(画像読取部Xと称する)に対して連続的に原稿を搬送するように構成されている。また、ADF1は、ブック形式の原稿を処理できるように、前記プラテン102aの表面に原稿を密着状態に置く圧板を備えており、この圧板は、ADF1の本体1aに延設されたケーシング1bの底面に設けられている。
【0023】
ADF1は、前記ケーシング1b上に配設され、複数枚の原稿を積載する給紙スタッカ2と、この給紙スタッカ2から繰り出され、画像読取部Xでその内容の読取が終了した原稿を排紙する排紙スタッカ4とを備えている。この場合、排紙スタッカ4は、給紙スタッカ2と上下方向に並設されており、前記ケーシング1bの上面部がその役割を果たしている。なお、本実施の形態では、給紙スタッカ2上には、処理面を上側とし、下に向けて順に高頁側の原稿が積載され、上側から順に繰り出される構成となっている。
【0024】
前記本体1a内には、給紙スタッカ2から繰り出された原稿を案内する各案内経路が配設されている。具体的には、給紙スタッカ2から繰り出された原稿を装置内に導入する導入経路a、前記画像読取部Xに臨むように配設された大径のフィードローラ5の外周面によって規定される循環経路b、画像読取部Xの下流側で循環経路bから分岐するように配設され、両面処理モードの場合に片面処理された原稿をスイッチバックして前記循環経路bに再供給するスイッチバック経路c、そして、スイッチバック経路cの下流側で循環経路bから分岐するように湾曲して配設され、画像読取部Xにて片面処理、もしくは両面処理が終了した原稿を前記排紙スタッカ4に案内する排紙経路dが設けられている。
【0025】
前記導入経路aの入口には、前記給紙スタッカ2上に積載された原稿を繰り出すキックローラ11と、キックローラ11によって繰り出された原稿の1枚分離を果たすように、供給ローラ12及び分離ローラ13で構成される繰出し機構とが配設されており、この繰出し機構の働きにより、積載原稿は上から順に1枚づつ分離されて導入経路aに繰出される。また、導入経路aには、1枚に分離された原稿を前記循環経路bに案内するよう、駆動ローラ14a,従動ローラ14bからなる搬送ローラ対14が配設されている。なお、前記供給ローラ12及び駆動ローラ14aは、正逆転可能な給紙モータM1により、一方向の回転運動のみを伝えるワンウェイ・クラッチを介して一方向のみに回転駆動される。このように構成することにより、本発明においては搬送手段を一台のモータで構成することを可能にし、シート搬送装置のサイズを小型にし、且つコストの低減を可能にしているのである。
【0026】
前記循環経路bは、フィードローラ5の外周面5aによって規定されるものであり、その経路には、上流側から順に第1転接ローラ15および第2転接ローラ16が隣接してフィードローラ5に当接配設されている。また、画像読取部Xの下流側には、順に第3転接ローラ17および第4転接ローラ18が隣接してフィードローラ5に当接配設されている。前記スイッチバック経路cは、転接ローラ17,18間に配設され、排紙経路dは、転接ローラ18の下流側に配設されている。なお、フィードローラ5は、搬送モータM2によって、原稿を搬送する方向(図中反時計回り)に回転駆動される。
【0027】
前記第3転接ローラ17と第4転接ローラ18との間には、電磁ソレノイドによって回動駆動される第1切換部材20が配設されている。この第1切換部材20は、片面処理モードにおいて画像読取部Xから循環経路bに沿って搬送される原稿を排出経路dに案内するよう位置付けられており、両面処理モードにおいて画像読取部Xから循環経路bに沿って搬送される原稿をスイッチバック経路cに案内するように回動駆動される。この切換部材20は、図示しない付勢バネによって常時図2に示す位置に付勢された状態にあり、電磁ソレノイドが励磁されることによって時計周りに回動されて、原稿を循環経路bからスイッチバック経路cに案内する。
【0028】
前記第4転接ローラ18の下流側には、前記電磁ソレノイドによって回動駆動される第2切換部材21が配設されている。この第2切換部材21は、片面処理モードにおいて画像読取部Xから循環経路bに沿って搬送される原稿を排出経路dに案内するよう位置付けられており、両面処理モードにおいてスイッチバック経路cから循環経路bに沿って搬送される原稿を、そのまま循環経路bに案内するように回動駆動される。この切換部材21は、図示しない付勢バネによって常時図2に示す位置に付勢された状態にあり、電磁ソレノイドが励磁されることによって反時計周りに回動されて、原稿をスイッチバック経路cから循環経路bに案内する。
【0029】
前記スイッチバック経路cには、正逆転可能なモータM3によって駆動されるスイッチバックローラ対25が配設されている。また、上記排紙経路dには、排紙ローラ対27が配設されており、前記駆動モータM2によって原稿シート排出方向のみに回転駆動される。
【0030】
上記給紙スタッカ2には、原稿シートの有無を検知するエンプティセンサ30が設けられており、さらに、上記導入経路aの搬送ローラ対14の手前、上記循環経路bの画像読取部Xの手前、上記スイッチバック経路cの入口、上記排紙経路dの排紙ローラ対27の手前には、それぞれレジストセンサ31、リードセンサ32、スイッチバックセンサ33、および排紙センサ34が配設されて、夫々原稿シートの通過を検知するようになっている。これらの各センサ30〜34は、装置全体の駆動を制御するCPUに接続されており、各センサからの検知信号に基づいて、上述した各モータM1〜M3が駆動されると共に、ソレイドの励磁がなされる。
【0031】
上記した構成のADF1において、両面処理を行なう場合、給紙スタッカ2から繰り出された原稿は、画像読取部Xで表面が読み取られた後、スイッチバック経路cに案内される。そして、スイッチバック経路cに案内された原稿は、所定のタイミングでスイッチバックローラ対25が反転駆動されることによって逆向きに搬送されて循環経路bに案内され、画像読取部Xで裏面が読み取られた後、再びスイッチバック経路cに案内される。そして、再度スイッチバック経路cに案内された原稿は、所定のタイミングでスイッチバックローラ対25が反転駆動されることによって逆向きに搬送され、切換部材21を介して排紙経路dに案内された後、排紙ローラ対27を介して排紙スタッカ4上に排紙される。この場合、排紙スタッカ4上に排紙される原稿は、給紙スタッカ2上の原稿載置状態と同じ状態になっているため、原稿を整え直す必要はない。
【0032】
上記スイッチバック経路cは、図に示すように、前記ケーシング1b内に配設されており、スイッチバックされる原稿は、その全体が外部に露出しないようになっている。
【0033】
ここで、上記したような両面処理モードでは、スイッチバック経路cにおいて、スイッチバックされる原稿の先端と後端が、フィードローラ5を介して(原稿がフィードローラ5に巻回された状態)重なる状況が生じる。
【0034】
本発明では、スイッチバックローラ対25が、スイッチバック経路cの下流側に配設されており、スイッチバックローラ対25の部分で原稿が重ならないようにしている。具体的には、スイッチバックローラ対25は、そのADF1で処理可能な最大サイズの原稿(例えばA3サイズ)が、フィードローラ5を介して先端と後端が重なる位置よりも下流側となるように配設されている。
【0035】
このように構成することで、スイッチバック動作時にスイッチバックローラ対25を離間させる必要性がなくなり、その制御が簡略化されてコストの低減が図れる。なお、スイッチバックされる原稿がスイッチバックローラ対25の部分で重ならないようにするためには、フィードローラ5の径を大きくしても良いが、大きくし過ぎると装置全体が大型化するため、そのローラ径は、本装置が取り扱う処理可能な原稿シートの最大サイズに応じて設定される。
【0036】
また、上記した構成によれば、スイッチバックローラ対25がスイッチバック経路cの下流側に配設されることから、必然的にスイッチバック経路に案内される原稿も下流側シフトしてしまう。このため、本実施の形態のケーシング1bには、スイッチバック経路cと対応する位置に開口1pが形成されており、スイッチバック経路cに案内される原稿の先端をケーシング1bから突出させるように構成している。このような開口を形成しておくことで、ケーシング1bは、原稿搬送方向に大型化することが無くなり、装置全体の小型化が図れる。
【0037】
上記した構成において、スイッチバックローラ対25を駆動する上記モータM3は、原稿をスイッチバック経路cに案内する時のスイッチバックローラ対の回転速度が、原稿をスイッチバック経路cから排出する時のそれよりも遅くなるように制御されることが好ましい。通常、モータの回転速度が速すぎると、スイッチバックセンサ33が原稿の後端を検知してから、スイッチバックローラ対25の手前で原稿後端を停止させる際に、その停止位置にバラツキが生じ易くなる。しかし、上記のように、スイッチバックローラ対の回転速度を遅く制御することで、原稿の停止位置を厳密に制御して安定化させることが可能となる。この結果、原稿の停止位置が安定化することにより、ケーシング1bを原稿搬送方向に必要以上に大型化することがなくなって、装置全体の小型化に寄与する。また、原稿が開口1pから突出する量を最小限に抑えることができ、本装置の使用者に奇異な感じを生じさせることがない。
【0038】
次に、上記した構成のADF1によって両面処理を行う場合の原稿の搬送制御工程を、図2及び図3〜図8に示すフローチャートに従って具体的に説明する。
【0039】
エンプティセンサ30がON状態、すなわちスタッカ2上に原稿が積載されたことが検知されると給紙モータM1が正転駆動され、1枚目の原稿が給送される(S1,S2)。このとき、キックローラ11と供給ローラ12は、原稿送り方向に回転駆動されるが、搬送ローラ対14の駆動ローラ14aはワンウェイクラッチの作用によって回転しない。そして、レジストセンサ31が給送された原稿を検知すると、その検知から所定時間t1後に給紙モータM1は一旦停止される(S3〜S5)。給紙モータM1が停止したとき、原稿の先端側は搬送ローラ対14のニップ部に当て付けられてたわみが形成され、スキューが除去される。そして、この一旦停止後、給紙モータM1は逆転駆動されると共に、搬送モータM2が駆動される(S6)。このとき、キックローラ11と供給ローラ12は、ワンウェイクラッチの作用によって回転しないが、搬送ローラ対14の駆動モータ14aは原稿送り方向に回転駆動される。
【0040】
上記モータM1,M2の回転駆動により、原稿は導入経路aから循環経路bに搬送され、リードセンサ32が原稿の通過を検知したときに、給紙モータM1は停止され、搬送モータM2は一時的に停止される(S7,S8)。そして、搬送モータM2が再駆動されることにより、原稿の表面は前述した走査手段によって副走査され、読取られる(S9)。また、リードセンサ32が原稿先端の通過を検知したとき、反転モータM3は正転駆動されると共にソレノイドが励磁されて、画像読取部Xで読取処理がなされた原稿は、切換部材20を介してスイッチバック経路cに案内される。
【0041】
最初の原稿が送り出された後、レジストセンサ31がその原稿の後端の通過を検知すると、所定時間t2後に、さらにスタッカ2上に原稿がある場合、次の原稿の繰出し動作が始まる(S10〜S13)。次原稿の繰出しに際しては先の原稿の場合と同様の工程により、スキューの除去がなされる(S14〜S17)。そして、給紙モータM1が逆転駆動されてから、所定時間t3後に給紙モータM1の駆動は停止され、これにより、搬送ローラ対14による送り動作が停止する(S18,S19)。このとき、次原稿は、その先端位置が転接ローラ15の手前で停止しており、待機状態となっている。
【0042】
一方、スイッチバック経路cに案内された先の原稿は、スイッチバックローラ対25の正転駆動(S9)によって、その先端がケーシング1b内のスイッチバック経路cに向けて搬送されて行く。この搬送状態で、リードセンサ32が原稿の後端の通過を検知して所定時間t4後に反転モータM3の駆動は低速に切換えられる(S20〜S22)。そして、この搬送状態で、スイッチバックセンサ33が原稿の後端を検知すると、搬送モータM2及び反転モータM3の正転駆動が停止され、かつ反転モータM3は逆転駆動される(S23〜S25)。この原稿のスイッチバック経路cへの搬送に際しては、イッチバックローラ対の回転速度は遅く制御されているため、原稿の停止位置の安定化が図られ、また、原稿の停止状態では、原稿の送り側先端は、開口1pから突出している。
【0043】
反転モータM3の逆転駆動によって、スイッチバックローラ対25は逆転駆動し、原稿はスイッチバックされる。この場合、反転モータM3は、スイッチバックされた原稿の先端が、フィードローラ5と第4転接ローラ18のニップ部でたわみが形成されて、スキューを除去するように、所定時間t5経過後に停止される(S26,S27)。
【0044】
また、この所定時間t5が経過したとき、搬送モータM2は回転駆動され(S28)、これにより、先の原稿は、循環経路に沿って搬送される(切換部材21は、ソレノイドの励磁状態により、循環経路bを開いている)。
【0045】
そして、循環経路bに沿ってスイッチバックする原稿の先端がリードセンサ32によって検知されると、搬送モータM2は所定時間t3だけ停止され、その後、搬送モータM2が再駆動されることにより、原稿の裏面は前述した走査手段によって副走査され、読取られる(S29〜S32)。
【0046】
また、リードセンサ32が、裏面の読取処理が行われている先の原稿の後端を検知して、所定時間t4後に反転モータM3の駆動は低速に切換えられる(S33,S35,S36)。そして、この搬送状態で、スイッチバックセンサ33が原稿の後端を検知すると、反転モータM3の正転駆動が停止された後、反転モータM3は逆転駆動されると共に、ソレノイドはOFFとなって排紙経路d側を開く(S37〜S39)。なお、スイッチバックパスcへの原稿の搬入時では、上記同様、スイッチバックローラ対25の回転速度は遅く制御されているため、原稿の停止位置の安定化が図られ、また、原稿の停止状態では、原稿の送り側先端は、開口1pから突出している。
【0047】
反転モータM3の逆転駆動によって、スイッチバックローラ対25は逆転駆動し、原稿はスイッチバックされる。この場合、原稿は、切換部材21を介して排紙経路dに案内されて排出されると共に、スイッチバックセンサ33がスイッチバック(排紙)される原稿の後端を検知することで(S40)、給紙モータM1が逆転駆動されて(S41)、上記待機状態にある次原稿の搬送を開始する。
【0048】
そして、次原稿の先端がリードセンサ32によって検知されると、搬送モータM2は所定時間t3だけ停止され、その後、搬送モータM2が再駆動されることにより、次原稿の表面は前述した走査手段によって副走査され、読取られる(S42〜S45)。そして、次原稿は、上述したS20〜S39の手順にしたがって両面読取りがなされ排紙スタッカ4上に排紙され、それに引き続く、以後の原稿についても同様の手順に従って、順次、両面の読取りがなされた後、排紙スタッカ4上に排紙される。
【0049】
ところで、連続して原稿を処理している場合において、ある原稿の裏面が読み取られている際に(S32)、レジストセンサ31によって原稿が無くなったことが検知されると(S34)、処理中の原稿は最終原稿となる。
【0050】
この場合、裏面処理中の原稿は、スイッチバック経路cに案内され、スイッチバックローラ対25によって、その先端がケーシング1b内のスイッチバック経路cに向けて搬送されて行く。この搬送状態で、リードセンサ32が原稿の後端の通過を検知して所定時間t4後に反転モータM3の駆動は低速に切換えられる(S33,S34,S46,S47)。そして、この搬送状態で、スイッチバックセンサ33が原稿の後端を検知すると、反転モータM3の正転駆動が停止されると共に、ソレノイドがOFFとなって排出経路dを開き、反転モータM3は逆転駆動される(S48〜S51)。この原稿のスイッチバック経路への搬入に際しても、スイッチバックローラ対の回転速度は遅く制御されているため、原稿の停止位置の安定化が図られ、また、原稿の停止状態では、原稿の送り側先端が開口1pから突出している。
【0051】
反転モータM3の逆転駆動によって、スイッチバックローラ対25は逆転駆動し、原稿はスイッチバックされ、排出経路dに案内される。そして、排出センサ34が原稿の後端を検知してから所定時間t8経過後に搬送モータM2及び反転モータM3の駆動が停止され(S52〜S54)、給紙スタッカ2上に積載された全ての原稿の処理が終了する。
【0052】
以上のように、本実施の形態のADFによれば、スイッチバックローラ対25は、スイッチバック時の原稿の先端と後端が重なる位置よりも下流側に配設されているため、スイッチバック動作時にスイッチバックローラ対25を離間させる必要性がなくなり、制御が簡略化される。また、このような構成に加えて、ケーシング1bに開口1pを形成し、スイッチバック経路に案内される原稿の先端を突出させるため、原稿搬送方向におけるケーシングの小型化を図ることができ、装置全体を小型化することができる。さらに、スイッチバック経路への原稿の搬送時において、スイッチバックローラ対25を低速駆動することでスイッチバックローラ対25の直前での停止位置の安定化が図れるため、停止位置のバラツキに伴う原稿搬送方向におけるケーシングの大型化が防止される。
【0053】
上述した実施の形態では、ケーシングの小型化を図るため、スイッチバック経路に案内される原稿の先端を外部に突出させるように構成したが、実際の動作時において原稿が外部に露出すると、誤って手を触れて、紙詰まり等を引き起こすことが考えられる。
【0054】
そこで、以下のように構成して、原稿の露出を防ぐと共に、ケーシングの小型化を図ることが可能である。
【0055】
図9に示す変形例は、上記した実施の形態におけるケーシング1bにマイラ等のガイド50を取着し、開口1pから露出する原稿を下方に案内するように構成したものである。この構成によれば、露出する原稿に誤って手を触れることが防止される。
【0056】
図10〜図12に示す変形例は、スイッチバック経路cの先端側、あるいは中間部から先端側にかけて、原稿を湾曲するように案内する湾局部c1,c2,c3を形成したものである。このような構成によれば、スイッチバックされる原稿を湾曲させることができ、その湾曲した分、効率的にケーシング1bを小型化することができる。この場合、形成される湾曲部の形状に応じて、ケーシング1bに厚肉部分1b´や1b´´を形成しても良い。また、上述した構成と同様に、原稿の先端を突出させる開口を形成したり、あるいはこれに加えてマイラ等のガイドを取着しても良い。
【0057】
以上、本発明の原稿シート搬送装置について、複写機に装着されるADFを例にして説明したが、上述したような原稿シート搬送装置は、原稿シートに印字を施すプリンタ等に装着される構成であっても良い。
【0058】
このように、本発明は、原稿をスイッチバックするスイッチバック部の構成に特徴があり、それ以外の構成、例えば、各センサの配設位置、原稿シートの搬送経路、ソレノイドやモータの個数、駆動タイミング等については、適宜変更することが可能である。
【0059】
本発明によれば、スイッチバック経路を有し両面処理が行える原稿シート搬送装置において、フィードローラの径を大きくすることなく、また、スイッチバック路を必要以上に長くすることなく、さらに、スイッチバックを行う際の制御を簡略化すると共に長尺サイズの原稿シートを取り扱うことを可能としたのである。さらに、これによって、装置全体のサイズを小さく維持しつつ、より長いサイズの原稿シートを処理することを実現したのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る原稿シート搬送装置(ADF)の一構成例における斜視図を示す。
【図2】 図1に示す原稿シート搬送装置の内部構成を示す。
【図3】 上記した原稿シート搬送装置において、両面処理を行う場合の原稿の搬送制御工程を説明するためのフローチャートを示す。
【図4】 図3のフローチャートに続くフローチャートを示す。
【図5】 図4のフローチャートに続くフローチャートを示す。
【図6】 図5のフローチャートに続くフローチャートを示す。
【図7】 図6のフローチャートに続くフローチャートを示す。
【図8】 図7のフローチャートに続くフローチャートを示す。
【図9】 本発明に係る原稿シート搬送装置の第1の変形例を示す。
【図10】 本発明に係る原稿シート搬送装置の第2の変形例を示す。
【図11】 本発明に係る原稿シート搬送装置の第3の変形例を示す。
【図12】 本発明に係る原稿シート搬送装置の第4の変形例を示す。
【符号の説明】
1 シート搬送装置(ADF)
2 給紙スタッカ
4 排紙スタッカ
5 フィードローラ
15〜18 転接ローラ
20,21 切換部材
25 スイッチバックローラ対
27 排紙ローラ対
100 電子写真複写機
X 原稿読取り位置(画像読取部)
1p 開口部
a 導入経路
b 循環経路
c スイッチバック経路
d 排紙経路
Claims (11)
- 給紙スタッカから繰り出された原稿シートをフィードローラに対向する画像読取部に給送する給送経路と、前記画像読取部で処理が終了した原稿シートをスイッチバックさせるスイッチバック経路と、前記スイッチバック経路で原稿シートをスイッチバックするように配設され、正逆転可能なスイッチバックローラ対と、前記スイッチバック経路にある原稿シートを排紙スタッカに排紙させる排紙経路とを備えたシート搬送装置において、
上面が前記排紙スタッカを形成すると共に、その内部に前記スイッチバック経路が配設されるケーシングと、前記スイッチバック経路に案内された原稿シートの先端が前記ケーシングの外に露出するように前記ケーシングに形成される開口部と、前記ケーシングの外に露出する原稿シートの先端を下方に導くガイド部材と、を設けたことを特徴とするシート搬送装置。 - 給紙スタッカから繰り出された原稿シートをフィードローラに対向する画像読取部に給送する給送経路と、前記画像読取部で処理が終了した原稿シートをスイッチバックさせるスイッチバック経路と、前記スイッチバック経路で原稿シートをスイッチバックするように配設され、正逆転可能なスイッチバックローラ対と、前記スイッチバック経路にある原稿シートを排紙スタッカに排紙させる排紙経路と、を備えたシート搬送装置において、
前記スイッチバック経路は、その上面が前記排紙スタッカを形成するケーシング内に配設され、該スイッチバック経路内に搬送された原稿シートの先端が下方を指向するように前記スイッチバック経路の原稿シート進入方向下流側を下方に向けて湾曲形成したことを特徴とするシート搬送装置。 - 前記ケーシングに、前記スイッチバック経路にて案内される原稿シートの先端をケーシングの外に露出させるための開口部を形成し、前記湾曲部により原稿シートの先端を下方に向かって前記開口部から露出させることを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
- 前記開口部を、前記ケーシングの原稿排紙方向と突き当たる側面に形成したことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
- 前記開口部を前記ケーシングの底面に形成したことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
- 給紙スタッカから繰り出された原稿シートをフィードローラに対向する画像読取部に給送する給送経路と、前記画像読取部で処理が終了した原稿シートをスイッチバックさせるスイッチバック経路と、前記スイッチバック経路で原稿シートをスイッチバックするように配設され、正逆転可能なスイッチバックローラ対と、前記スイッチバック経路にある原稿シートを排紙スタッカに排紙させる排紙経路と、を備えたシート搬送装置において、
前記スイッチバック経路は、その上面が前記排紙スタッカを形成するケーシング内に配設され、該スイッチバック経路内に搬送された原稿シートの先端が上方を指向するように前記スイッチバック経路の原稿シート進入方向下流側を上方に向けて湾曲形成したことを特徴とするシート搬送装置。 - 前記排紙スタッカの原稿排紙方向の端部側を上方に突出して形成し、該突出した部分に向けて前記スイッチバック経路の原稿シート進入方向下流側を湾曲形成したことを特徴とする請求項6に記載のシート搬送装置。
- 前記スイッチバックローラ対は、原稿シートをスイッチバック経路に案内する時の回転速度が、原稿シートをスイッチバック経路から排出する時の回転速度よりも遅くなるように回転制御されることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6の何れかの項に記載のシート搬送装置。
- 前記スイッチバックローラ対は、原稿シートがスイッチバックされて再び前記フィードローラに供給される際に、取り扱う最大サイズの原稿シートの先端と後端が前記フィードローラを介して重ならないスイッチバック経路内の位置に配設されることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6の何れかの項に記載のシート搬送装置。
- 前記スイッチバック経路の原稿シート進入方向上流側を直線状に形成したことを特徴とする請求項2又は請求項6に記載のシート搬送装置。
- 前記排紙スタッカの原稿排紙方向における一端から他端までの長さよりも、前記排紙スタッカの一端から他端までの範囲における前記スイッチバック経路の長さを長くしたことを特徴とした請求項2又は請求項6に記載のシート搬送装置。
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