JP4461692B2 - 重合性液晶組成物及び光学異方体 - Google Patents

重合性液晶組成物及び光学異方体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は重合性液晶組成物、及び、該重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合して得られる光学異方体に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合性液晶化合物、又は、液晶化合物と混合して、ネマチック相、スメクチック相、コレステリック相等の液晶相を示す重合性化合物を含有する重合性液晶組成物を、液晶相を保持した状態で重合させると、液晶分子の配向状態を固定化した重合体を作製することができる。この重合体は、屈折率、誘電率、磁化率、弾性率、熱膨張率等の物理的性質の異方性を有していることから、特に光学異方体として応用が検討されている。
【0003】
液晶分子の配向状態を固定化させるための重合方法の1つとして光重合がある。光重合においては、液晶分子の配向に対して外乱要因となる熱を加えることなしに重合反応が進行するので、液晶分子の配向状態を乱すことなく固定化することができる。しかしながら、液晶相を示す温度が高い場合、液晶相を保持させるために該重合性液晶組成物を加熱する必要があるが、この加熱によって、光重合を開始する前に部分的な熱重合がおこり、配向乱れの原因となることがある。従って、重合性液晶組成物は、できるだけ低い温度で、例えば25℃〜40℃の温度範囲で液晶相を示すようにその組成を調整する。
【0004】
25℃〜40℃の温度範囲で液晶相を示す重合性液晶組成物として、1分子中に(メタ)アクリル基を1個有する液晶性化合物を含有する重合性液晶組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、該組成物は、重合後の透明性や重合物の機械的強度が不十分であった。そこで、該組成物に、25℃〜80℃の温度範囲で液晶相を示す1分子中に(メタ)アクリル基等の重合性官能基を2個有する液晶性化合物を添加し、重合後の透明性や機械的強度を改善している(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−3111号公報
【特許文献2】
特開2002−220421号公報
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、前記組成物は、いったん均一に混合したように見えても、短時間内に相分離を起こし、長時間保存できないといった問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、配合後、長時間室温で保存が可能な重合性液晶組成物を提供することにあり、且つ、該重合性液晶組成物が液晶相を示す温度範囲内で、該重合性液晶組成物を重合させて得られる、透明性に優れた光学異方体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、低温域で液晶相を示し、且つ他の重合性液晶組成物との相溶性に優れる特定の重合性化合物を含有する重合性液晶組成物を見出した。また、該重合性化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させて得られる光学異方体は、特に透明性に優れることも見出した。
【0009】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、一般式(1)で表される重合性化合物を含有する重合性液晶組成物を提供する。
【0010】
【化6】
Figure 0004461692
(1)
【0011】
(式中、P〜Pは、各々独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表わす。S〜Sは、各々独立して、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−OCO−、−(CH−CO−O−、−OCO−(CH−、−CO−O−(CH−からなる群から選ばれる連結基を表わし、kは1〜20の整数を表す。A及びAは、各々独立してベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、Tは−CO−O−(CH−O−、−O−(CH−O−CO−O−(CH−O−、及び−OCO−(CH−CO−O−からなる群から選ばれる連結鎖を表わし、lは2〜15の整数を、mは3〜15の整数を表わし、nは1〜15の整数を表わす。B及びBは、各々独立して、
【0012】
【化7】
Figure 0004461692
【0013】
からなる群から選ばれる環構造を表わす。Y及びYは、各々独立して、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CH−CHCH−、−CHCH−CH=CH−、−CH=CH−CO−O−及び−OCO−CH=CH−からなる群から選ばれる連結基を表わす。rは0〜3の整数を表わし、qは0又は1を表わす。)
【0014】
また、本発明は、前記記載の重合性液晶組成物中を配向させた状態で重合させて得られる光学異方体を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
前記一般式(1)において、P〜Pは前記記載の重合性官能基を表わす。中でも、活性エネルギー線に対する感度が高いことから、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基又はビニルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
【0016】
前記一般式(1)において、S〜Sは、各々独立して前記記載の連結基を表わし、kは、1〜20の整数を表す。中でもkが3〜10の範囲のものが特に好ましい。
【0017】
前記一般式(1)において、A及びAは各々独立してベンゼン環又はシクロヘキサン環を表すが、合成のしやすさからベンゼン環であることが好ましい。6員環A及びAは、置換基として、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メチル基等の低級アルキル基、メトキシ基等の低級アルコキシル基などを有していてもよい。
【0018】
前記一般式(1)において、Tは、前記記載の連結鎖を表すが、合成のし易さから、−CO−O−(CH−O−又は−O−(CH−OCO−が好ましい。また、lは2〜12の範囲のものが好ましく、3〜10の範囲のものが特に好ましい。
【0019】
前記一般式(1)において、B及びBは、各々独立して前記記載の環構造を表す。中でも、1,4−フェニレン基や1,4−シクロへキシレン基が好ましい。これらの環は、シアノ基、ハロゲン、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基を有していても良く、置換基としては、フッ素原子、メチル基、又はメチレン基が好ましい。
【0020】
本発明の一般式(1)で表わされる重合性液晶化合物において、一般式(4)
【0021】
【化8】
Figure 0004461692
(4)
【0022】
で表される部分構造は、液晶性骨格すなわちメソゲン基を表している。具体的には、例えば、ビフェニル骨格、フェニルベンゾエート骨格、フェニルシクロヘキサン環、フェニルピリミジン骨格、ジフェニルアセチレン骨格、ジフェニルベンゾエート骨格、ビシクロヘキサン環、シクロヘキシルベンゼン環、ターフェニル骨格があげられる。なお、これらのメソゲン基は、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。
【0023】
一般式(1)で表わされる化合物の中でも、一般式(5)〜(8)で表わされるような、液晶性(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。
【0024】
【化9】
Figure 0004461692
(5)
(式中、Xは、水素又はメチル基を表し、d及びgは、1〜20の整数を表し、fは、2〜15の整数を表す。)
【0025】
【化10】
Figure 0004461692
(6)
(式中、Xは、水素又はメチル基を表し、d及びgは、1〜20の整数を表し、fは、2〜15の整数を表す。)
【0026】
【化11】
Figure 0004461692
(式中、Xは、水素又はメチル基を表し、d及びgは、1〜20の整数を表し、fは、2〜15の整数を表す。)
【0027】
【化12】
Figure 0004461692
(8)
(式中、Xは、水素又はメチル基を表し、d及びgは、1〜20の整数を表し、fは、2〜15の整数を表す。)
【0028】
重合性官能基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基の他に、エポキシ基又はビニルオキシ基も好ましい。そのような化合物としては、例えば、以下の一般式(9)又は(10)で表わされる化合物等を挙げることができる。
【0029】
【化13】
Figure 0004461692
(9)
(式中、d及びgは、1〜20の整数を表し、fは、2〜15の整数を表す。)
【0030】
【化14】
Figure 0004461692
(式中、d及びgは、1〜20の整数を表し、fは、2〜15の整数を表す。)
【0031】
一般式(5)で表わされる化合物は、例えば、以下の方法により、合成することができる。
【0032】
【化15】
Figure 0004461692
【0033】
(式中、X、d、f及びgは、一般式(5)の場合と同じ内容を表わす。また、DMFは、ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と略す)を表す。)
一般式(11)で表わされるハロゲン誘導体と、これに対し1.05当量の一般式(12)で表わされるフェノール誘導体を炭酸カリウムの存在下DMF溶剤中で、置換反応させることにより、目的とする一般式(5)で表わされる化合物を合成することができる。
【0034】
一般式(5)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(11)で表わされるハロゲン誘導体は、例えば、以下の方法により合成することができる。
【0035】
【化16】
Figure 0004461692
【0036】
(式中、X、d及びfは、一般式(5)と同じ内容を表わす。また、DCCは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、DCCと略す)を表わす。)
即ち、式(11−1)で表わされる3,4−ジヒドロキシ安息香酸と一般式(11−2)で表わされるブロム基を有するアルコール誘導体とを反応させて、一般式(11−3)で表わされる化合物を得る。この化合物を酸触媒の存在下に、水を留去しながら(メタ)アクリル酸と反応させることにより、一般式(11−4)で表わされるカルボン酸誘導体を得る。引き続き、この化合物を一般式(11−5)で表わされるブロム基を有するアルコール誘導体とDCC等の縮合剤を用いてエステル化反応させることにより、目的とする一般式(11)で表わされるハロゲン誘導体を合成することができる。
【0037】
一般式(5)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(12)で表わされるフェノール誘導体は、例えば、以下の方法により合成することができる。
【0038】
【化17】
Figure 0004461692
【0039】
(式中、X及びgは、一般式(5)と同じ内容を表わす。)
即ち、式(12−1)で表わされる4−ヒドロキシ安息香酸と一般式(12−2)で表わされるブロム基を有するアルコール誘導体とを反応させて、一般式(12−3)で表わされる化合物を得る。この化合物を酸触媒の存在下に、水を留去しながら(メタ)アクリル酸と反応させることにより、一般式(12−4)で表わされるカルボン酸誘導体を得る。引き続き、この化合物に大過剰のジヒドロキノンとDCC等の縮合剤を用いてエステル化反応させることにより、目的とする一般式(12)で表わされるフェノール誘導体を合成することができる。
【0040】
次に一般式(6)で表わされる化合物について説明する。一般式(6)で表わされる化合物は、例えば、一般式(12)で表わされるフェノール誘導体の代わりに、一般式(13)で表わされる2官能(メタ)アクリレートのフェノール誘導体を用いて、前記に示した一般式(5)で表わされる化合物の合成方法と同様にして合成することができる。
【0041】
【化18】
Figure 0004461692
(式中、X、d、f及びgは、一般式(6)の場合と同じ内容を表わす。)
【0042】
一般式(6)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(13)で表わされるフェノール誘導体は、例えば、以下の方法により合成することができる。
【0043】
【化19】
Figure 0004461692
【0044】
(式中、X及びgは、一般式(6)と同じ内容を表わす。)
即ち、式(13−1)で表わされる3,4−ジヒドロキシ安息香酸と一般式(12−2)で表わされるブロム基を有するアルコール誘導体とを反応させて、一般式(13−2)で表わされる化合物を得る。この化合物を酸触媒の存在下に、水を留去しながら(メタ)アクリル酸と反応させることにより、一般式(13−3)で表わされるカルボン酸誘導体を得る。引き続き、この化合物に大過剰のジヒドロキノンとDCC等の縮合剤を用いてエステル化反応させることにより、目的とする一般式(13)で表わされるフェノール誘導体を合成することができる。
【0045】
次に、一般式(7)で表わされる化合物について説明する。一般式(7)で表わされる化合物は、例えば、以下の方法によって合成することができる。
【0046】
【化20】
Figure 0004461692
(式中、X、d、f及びgは、一般式(7)の場合と同じ内容を表わす。)
【0047】
上記一般式(11)で表わされるハロゲン誘導体と、これに対し1.05当量の一般式(14)で表わされるトラン骨格のフェノール誘導体を炭酸カリウムの存在下DMF溶剤中で、置換反応させることにより、目的とする一般式(7)で表わされる化合物を合成することができる。
【0048】
一般式(7)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(14)で表わされるトラン骨格のフェノール誘導体は、例えば、以下の方法により合成することができる。
【0049】
【化21】
Figure 0004461692
【0050】
(式中、X、gは、一般式(7)の場合と同じ内容を表わす。Phは、フェニル基を表す。)
即ち、式(14−1)で表わされる2−フルオロ−4−ブロモ−フェノールの水酸基を、テトラピラニルエーテルを用いて保護して、式(14−2)で表わされる化合物を得た後、パラジウム触媒の存在下に、トリメチルシリルアセチレンと反応させ、式(14−3)で表わされる化合物を得る。引き続き、トリメチルシリル基を脱離させて、一般式(14−4)で表わされるアセチレン誘導体を得る。一般式(14−4)で表わされるアセチレン誘導体と4−ヨードフェノールとを、パラジウム触媒の存在下に、カップリング反応させて、一般式(14−5)で表わされる化合物を得る。一般式(14−5)で表わされる化合物と上記の一般式(12−4)で表わされるカルボン酸誘導体とをDCC等の縮合剤を用いてエステル化反応させることにより、一般式(14−6)で表わされる化合物を得た後、引き続き、酸触媒下、脱保護させることにより、目的とする一般式(14)で表わされるトラン骨格のアルコール誘導体を得ることができる。
【0051】
次に、一般式(8)で表わされる化合物について説明する。一般式(8)で表わされる化合物は、例えば、一般式(14)で表わされるトラン骨格のフェノール誘導体の代わりに、一般式(15)で表わされる2官能(メタ)アクリレートのトラン骨格のフェノール誘導体を用いて、前記に示した一般式(7)で表わされる化合物の合成方法と同様にして合成することができる。
【0052】
【化22】
Figure 0004461692
【0053】
(式中、X、d、f及びgは、一般式(7)の場合と同じ内容を表わす。)
一般式(8)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(15)で表わされるフェノール誘導体は、一般式(12−4)で表わされるカルボン酸誘導体の代わりに、一般式(15−1)で表わされる2官能(メタ)アクリレートのカルボン酸誘導体を用いることの他には、前記に示した一般式(14)で表わされる化合物の合成方法と同様にして合成することができる。
【0054】
【化23】
Figure 0004461692
【0055】
(式中、X及びgは、一般式(8)の場合と同じ内容を表わす。)
一般式(8)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(15−1)で表わされる2官能(メタ)アクリレートのカルボン酸誘導体は、前記で示したように、一般式(11−4)で表わされる2官能(メタ)アクリレートのカルボン酸誘導体の合成方法と同様にして合成することができる。
【0056】
次に、一般式(9)で表わされるエポキシ化合物及び一般式(10)で表わされるビニルエーテル化合物について説明する。一般式(9)で表わされる化合物は、例えば、以下の方法によって合成することができる。
【0057】
【化24】
Figure 0004461692
【0058】
(式中、d、f及びgは、一般式(9)の場合と同じ内容を表わす。)
上記一般式(16)で表わされるハロゲン誘導体と、これに対し1.05当量の一般式(17)で表わされるフェノール誘導体を炭酸カリウムの存在下DMF溶剤中で、置換反応させることにより、目的とする一般式(9)で表わされる化合物を合成することができる。
【0059】
又、一般式(10)で表わされる化合物は、例えば、以下の方法によって合成することができる。
【0060】
【化25】
Figure 0004461692
【0061】
(式中、d、f及びgは、一般式(10)の場合と同じ内容を表わす。)
上記一般式(18)で表わされるハロゲン誘導体と、これに対し1.05当量の一般式(19)で表わされるフェノール誘導体を炭酸カリウムの存在下DMF溶剤中で、置換反応させることにより、目的とする一般式(10)で表わされる化合物を合成することができる。
【0062】
一般式(9)で表わされる液晶性エポキシ化合物及び一般式(10)で表わされる液晶性ビニルエーテル化合物の合成に用いる種々の合成原料は、上記に示した一般式(5)から一般式(8)の液晶性(メタ)アクリレート化合物の合成に用いた合成方法と同様にして合成することができる。
【0063】
前記一般式(1)で表される化合物は、低温域で液晶相を示す化合物である。例えば、Xが水素であり、d、g及びfが6の整数である、前記一般式(2)で表される化合物の、昇温時における相転移温度は、結晶相−スメクチック相が−31℃、スメクチック相−等方性液体相が25℃、そして、降温時における相転移温度は、等方性液体相−スメクチック相が15℃、スメクチック相−結晶相が−40℃以下である。従って、できるだけ低い温度範囲に液晶相を示すよう重合性液晶組成物を調整したい場合に有用である。これらの効果を得るために、本発明の重合性液晶組成物は、一般式(1)で表わされる化合物を10%以上含有することが好ましい。一般式(1)で表わされる化合物が5%に満たないと、液晶相を示す下限温度が25度よりも下がりにくい傾向にある。中でも、一般式(1)で表わされる化合物を10〜25%含有することが好ましい。
【0064】
本発明の重合性液晶組成物は、公知慣用の重合性液晶組成物を添加することもできる。特に、下記一般式(1)で表される重合性化合物と、下記一般式(2)で表される重合性化合物を併用すると、透明性に優れる光学異方体を得ることができる。
【0065】
【化26】
Figure 0004461692
(2)
【0066】
前記一般式(2)において、P及びPは、各々独立して(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を表わす。
及びSは、各々独立して、−(CH−、−O−(CH−、−(CH−O−、−(CH−CO−O−、−(CH−OCO−、−CO−O−(CH−、及び−OCO−(CH−からなる群から選ばれる連結鎖を表わし、wは1〜20の整数を表わす。
【0067】
前記一般式(2)において、B〜Bは各々独立して、
【化27】
Figure 0004461692
からなる群から選ばれる環構造を表わす。これらの中でも、1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基が好ましい。これらの環は、シアノ基、ハロゲン、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基を有していても良く、置換基としては、フッ素原子、メチル基、又はメチレン基が好ましい。
【0068】
及びTは、各々独立して、−CO−O−(CH−O−又は−O(CH−O−CO−O−(CH−O、及び−OCO−(CH−CO−O−からなる群から選ばれる連結鎖を表わし、mは1〜15の整数を表わす。中でも、合成のし易さから、−CO−O−(CH−O−が好ましい。また、、mは2〜12の範囲のものが好ましく、3〜10の範囲のものが特に好ましい。
【0069】
及びYは、各々独立して、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH− 、−CO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CH−CHCH−、−CHCH−CH=CH−、−CH=CH−CO−O−及び−OCO−CH=CH−からなる群から選ばれる連結基を表わす。tは、0〜3の整数を表わし、uは0又は1を表わす。
【0070】
前記一般式(2)で表わされる重合性液晶化合物において、
【0071】
【化28】
Figure 0004461692
【0072】
で表される構造は、液晶性骨格すなわちメソゲン基を表している。具体的には、例えば、ビフェニル骨格、フェニルベンゾエート骨格、フェニルシクロヘキサン環、アゾキシベンゼン環、アゾメチン骨格、アゾベンゼン環、フェニルピリミジン骨格、ジフェニルアセチレン骨格、ジフェニルベンゾエート骨格、ビシクロヘキサン環、シクロヘキシルベンゼン環、ターフェニル骨格があげられる。なお、これらのメソゲン基は、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。
【0073】
前記一般式(2)で表される化合物は、具体的には、特開平2002−220421号公報に開示された化合物を挙げることができ、該公報に開示された方法で容易に得ることができる。中でも、下記構造の化合物を使用することが好ましい。
【0074】
【化29】
Figure 0004461692
【0075】
一般式(1)で表される重合性化合物と、一般式(2)で表される重合性化合物とは、33:67〜67:33の範囲で併用すると、得られる光学異方体は機械的強度や透明性に特に優れる。
【0076】
また、前記一般式(1)で表される化合物は、一般式(3)で表される重合性化合物と併用すると、25℃〜40℃位の低い温度範囲で液晶相を示し、且つ長時間相分離することのない重合性液晶組成物を得ることができる。更に、該組成物を重合して得られる光学異方体は透明性に優れる。このときの添加量は、一般式(1)で表される重合性化合物と一般式(3)で表される化合物とが10:90〜30:70の範囲となるようにするのがよい。勿論、該組成物に、一般式(2)で表される重合性化合物を併用してもよい。具体的には、一般式(1)で表される重合性化合物を10〜20質量%、一般式(2)で表される重合性化合物を10〜20質量%、一般式(3)で表される重合性化合物を70〜80質量%となるように併用すると、特に好ましい。
【0077】
【化30】
Figure 0004461692
(3)
【0078】
前記一般式(3)において、Lは水素原子又はメチル基を表す。J〜Mは六員環であり、各々独立してベンゼン環、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表す。Y及びYは、各々独立して結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH− 、−−CO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO− 、 −OCHCHCH−、−CH=CH−CHCH−、−CHCH−CH=CH−、−CH=CH−−CO−O−及び−OCO−CH=CH−からなる群から選ばれる連結基を表わす。Yは、単結合、−O−、−CO−O−又は−OCO−を表し、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基を表し、bは0又は1の整数を表す。
【0079】
前記一般式(3)で表される重合性液晶化合物としては、具体的には、式(3−1)〜(3−4)で表される化合物があげられる。中でも、式(3−1)で表される化合物と式(3−2)で表される化合物を併用することが好ましく、式(3−1)で表される化合物と式(3−2)で表される化合物との比が、75:25〜25:75であるとなお好ましい。中でも、式(3−1)で表される化合物と式(3−2)で表される化合物との比が、40:60〜60:40であることが好ましい。
【0080】
【化31】
Figure 0004461692
(3−1)
【0081】
【化32】
Figure 0004461692
(3−2)
【0082】
【化33】
Figure 0004461692
(3−3)
【0083】
【化34】
Figure 0004461692
(3−4)
【0084】
その他、本発明の重合性液晶組成物に配合することのできる、公知慣用の重合性化合物としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【0085】
【化35】
Figure 0004461692
【0086】
【化36】
Figure 0004461692
【0087】
(式中、Lは水素原子又はメチル基を、n及びmは各々独立して1〜20の整数を表す。)
【0088】
本発明の重合性液晶組成物には、重合性官能基を有していない低分子液晶化合物を必要に応じて添加してもよい。このとき、添加量が多すぎると、得られる重合体の耐熱性に劣る傾向があるので、添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物に対して30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0089】
一方、重合性官能基を有していない高分子液晶化合物は、目的に応じて添加量を変えればよい。例えば、得られる光学異方体に可とう性を付与したい場合は、重合性官能基を有していない高分子の液晶化合物を、本発明の重合性液晶組成物に対して30質量%以下、好ましくは20質量%以下添加すればよい。また、組成物の主成分が重合性官能基を有していない高分子液晶組成物の場合で、光学異方体の耐熱性を向上させたい時は、本発明の重合性液晶組成物を少量添加して重合させると効果的である。この場合、本発明の重合性液晶組成物を、組成物全量に対して5質量%以上となるように配合するとよい。
【0090】
本発明の重合性液晶組成物には、重合性官能基を有する液晶性骨格を持たない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができる。添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
【0091】
本発明の重合性液晶組成物には、光学活性を有する化合物、すなわちキラル化合物を添加してもよい。該キラル化合物は、それ自体が液晶相を示す必要は無く、また、重合性官能基を有していても、有していなくても良い。また、キラル化合物の螺旋の向きは、重合体の使用用途によって適宜選択することができる。
具体的には、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2−メチルブチル基を有するビーディーエイチ社製の「CB−15」、「C−15」、メルク社製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」、キラル基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」などを挙げることができる。
キラル化合物を添加する場合は、該重合性液晶組成物の用途によるが、得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜100の範囲となる量を添加することが好ましく、0.1〜20の範囲となる量がさらに好ましい。
【0092】
本発明の重合性液晶組成物には、熱重合開始剤、光重合開始剤等の重合開始剤を添加することもできる。熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類等が挙げられる。添加する場合は、該重合性液晶組成物に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下が特に好ましく、0.5〜1.5質量%の範囲が更に好ましい。
【0093】
本発明の重合性液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類等が挙げられる。添加する場合は、該重合性液晶組成物に対して1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
【0094】
本発明の重合性液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合には、その目的に応じて、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物、などを添加してもよい。
【0095】
本発明の重合性液晶組成物は、液晶相を示す温度範囲内で、該重合性液晶組成物を配向させた状態で重合させると、光学異方体を得ることができる。
本発明の重合性液晶組成物が液晶相を示す温度範囲内で、該重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させると、本発明の光学異方体が得られる。具体的には、本発明の重合性液晶組成物を、配向機能を付与した基板上に塗布するか、又は二枚の基板間に挟持させた後、該重合性液晶組成物中の液晶分子をネマチック相を保持した状態で均一に配向させ、重合させることによって、本発明の光学異方体が得られる。
【0096】
前記基板は、有機、無機を問わず、公知慣用の材質の基板を使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板、ポリイミド板、ポリアミド板、ポリメタクリル酸メチル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニル板、ポリテトラフルオロエチレン板、セルロース板、シリコン板、ガラス板、方解石板等が挙げられる。基板の形状としては、平板の他、曲面を有するものであっても良い。これらの基板は、必要に応じて、電極層を有していてもよい。
【0097】
前記基板に配向機能を付与する方法としては特に限定はなく、公知慣用の方法が挙げられる。具体的には、布等で基板表面をラビング処理する方法、ポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビング処理する方法、基板にSiOを斜方蒸着して配向膜を形成する方法、分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜や光で異性化する官能基を有する有機薄膜に、偏光を照射する方法等が挙げられる。特に、通常のツイステッド・ネマチック素子又はスーパー・ツイステッド・ネマチック素子で使用されているプレチルト角を与えるポリイミド薄膜を使用すると、液晶分子の配向状態の制御を容易にすることができ、特に好ましい。
【0098】
本発明の重合性液晶組成物を基板上に塗布する場合は、スピンコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング法等の公知慣用のコーティング法を利用すればよい。このとき、塗工性を高めるために、該重合性液晶組成物に公知慣用の有機溶媒を添加しても良い。この場合は、該重合性液晶組成物を基板上に塗布後、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等で有機溶媒を除去する。本発明の重合性液晶組成物を基板間に挟持させる場合は、毛細管現象あるいは真空注入法を利用した注入法等を利用すればよい。
【0099】
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましく、中でも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線強度は、0.1mW/cm〜2W/cmの範囲が好ましい。紫外線強度が0.1mW/cm未満の場合、重合を完了させるのに多大な時間がかかり、一方、2W/cmを超える強度では、重合性液晶組成物中の液晶分子が光分解する傾向にある。照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物が液晶相を保持できる温度とし、重合性液晶組成物の熱重合の誘起を避けるため、可能な限り25℃以下とすることが好ましい。尚、液晶組成物は、通常、昇温過程において、C−N転移温度から、N(ネマチック相)−I(等方性液体相)転移温度(以下、N−I転移温度と略す。)範囲内で液晶相を示す。一方、降温過程においては、熱力学的に非平衡状態を取るため、C−N転移温度以下でも凝固せず液晶状態を保つ場合がある。この状態を過冷却状態という。本発明においては、過冷却状態にある液晶組成物も液晶相を保持している状態に含めるものとする。
また、本発明の重合性液晶組成物を二枚の基板間に挟持させた状態で重合させる場合は、光照射面側の基板として、透明性を有する基板を使用する。
【0100】
マスクを使用して特定の部分のみを紫外線照射で重合させた後、該未重合部分の配向状態を、電場、磁場又は温度等をかけて変化させ、その後該未重合部分を重合させると、異なる配向方向をもった複数の領域を有する光学異方体を得ることもできる。
【0101】
本発明の重合性液晶組成物を重合させて得られる重合体は、基板から剥離して単体で光学異方体として使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学異方体として使用することもできる。剥離した場合は、それらを積層することも、他の基板に貼り合わせて使用することもできる。
【0102】
本発明の光学異方体は、光学補償板、光学的ローパスフィルタ、又は偏光プリズム材料としては勿論のこと、位相差板、偏光板、光導波路、圧電素子、非線形光学素子、各種光フィルター、コレステリック液晶相等の選択反射を利用した顔料、光ファイバー等の被覆剤等への応用が可能である。
【0103】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって、本発明を具体的に説明する。
【0104】
[評価項目]
重合性液晶組成物のC−N転移温度、N−I転移温度、結晶相−スメクチックC相転移温度、及びスメクチックC相−等方相転移温度は、偏光顕微鏡観察及び示差走査熱量測定により決定した。
相溶性は、相溶後の安定性で評価し、重合性液晶組成物を封入したサンプル瓶を25℃に放置し、相分離や結晶の析出が見られるか否かを目視にて観察し、その時間を測定した。
透明度は、JIS K−7136に準拠し、ヘーズ値で表した。ヘーズ値の小さいものほど透明度に優れることを表す。
リタデーション値は、ヘリウム−ネオンレーザー(He−Ne LASER)とフォトエラスティックモジュレーター(Photo Elastic Modulator)を使用した偏光解析装置により測定した。値が高いものほどリタデーションに優れることを表す。
【0105】
〔液晶性のアクリレート化合物の合成(1)〕
3,4−ジヒドロキシ安息香酸10.0g、6−ブロモ−1−ヘキサノール26.0g、水酸化ナトリウム8.2g、ヨウ化カリウム1.0g、エタノール45ml及び水45mlからなる混合物を撹拌しながら、80℃で8時間加熱した。得られた反応液を室温まで冷却した後、反応液に飽和食塩水500mlを加え、反応液の水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。この反応溶液に酢酸エチル300mlを加えて反応生成物を抽出した。有機層を水洗した後抽出溶媒を減圧留去し、さらに風乾させて、式(s1)で表わされる化合物23.5gを得た。
【0106】
【化37】
Figure 0004461692
(s1)
【0107】
式(s1)で表わされる化合物23.5g、アクリル酸30.0g、p−トルエンスルホン酸5.0g、ヒドロキノン1.0g、トルエン100ml、n−ヘキサン60ml及びテトラヒドロフラン40mlからなる混合物を加熱撹拌し、生成してくる水を留去しながら6時間還流させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液に飽和食塩水500ml及び酢酸エチル300mlを加えて反応生成物を抽出した。有機層を水洗した後、有機溶媒を減圧留去して粗生成物40.1gを得た。次に、この粗生成物を、n−ヘキサン100mlとトルエン20mlの混合溶媒を用い、再結晶させる操作を2回行なうことにより、式(s2)で表わされる化合物8.0gを得た。
【0108】
【化38】
Figure 0004461692
(s2)
【0109】
6−ブロモ−1−ヘキサノール6.5g、式(s2)で表わされる化合物13.9g及び塩化メチレン250mlの溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩5.8g及び4−ジメチルアミニピリジン3.7gを加えて撹拌しながら、室温で約8時間反応を行った。薄層クロマトグラフィー(展開層;シリカゲル、展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=3:1)によって反応が終了したことを確認した後、飽和食塩水100mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下溶媒留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開層;シリカゲル、展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=3:1)で分離して式(s3)で表わされる化合物9.8gを得た。
【0110】
【化39】
Figure 0004461692
(s3)
【0111】
H−NMR(300MHz、CDCl);
ケミカルシフト=1.46〜1.89(m、24H)、3.38(t、2H)、4.05(t、4H)、4.15(t、2H)、4.27(t、2H)、5.82(dd、2H)、6.13(dd、2H)、6.40(dd、2H)、6.85(d、1H)、7.53(d、1H)、7.65(d、1H)
【0112】
4−ヒドロキシ安息香酸10.0g、6−ブロモ−1−ヘキサノール13.0g、水酸化ナトリウム8.2g、ヨウ化カリウム2.0g、エタノール45ml及び水45mlからなる混合物を撹拌しながら、80℃で8時間加熱した。得られた反応液を室温まで冷却した後、反応液に飽和食塩水500mlを加え、反応液の水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。この反応溶液に酢酸エチル300mlを加えて反応生成物を抽出した。有機層を水洗した後、抽出溶媒を減圧留去し、さらに風乾させて、式(s4)で表わされる化合物18.5gを得た。
【0113】
【化40】
Figure 0004461692
(s4)
【0114】
式(s4)で表わされる化合物11.0g、アクリル酸13.3g、p−トルエンスルホン酸2.7g、ヒドロキノン0.6g、トルエン42ml、n−ヘキサン18ml及びテトラヒドロフラン26mlからなる混合物を加熱撹拌し、生成してくる水を留去しながら6時間還流させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液に飽和食塩水100ml及び酢酸エチル80mlを加えて反応生成物を抽出した。有機層を水洗した後、有機溶媒を減圧留去して粗生成物23.1gを得た。次に、この粗生成物を、n−ヘキサン40mlとトルエン10mlの混合溶媒を用い、再結晶させる操作を2回行なうことにより、式(s5)で表わされる化合物11.5gを得た。
【0115】
【化41】
Figure 0004461692
(s5)
【0116】
ジヒドロキノン77.0g、式(s5)で表わされる化合物20.4g及び無水THF(テトラヒドロフラン)500mlの溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩13.4g及び4−ジメチルアミニピリジン8.5gを加えて撹拌しながら、室温で約3時間反応を行った。薄層クロマトグラフィー(展開層;シリカゲル、展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=4:1)によって反応が終了したことを確認した後、酢酸エチル500mlを用いて反応液を希釈して飽和食塩水500mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下溶媒留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開層;シリカゲル、展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=4:1)により分離して式(s6)で表わされる化合物15.1gを得た。
【0117】
【化42】
Figure 0004461692
(s6)
【0118】
H−NMR(300MHz、CDCl);
ケミカルシフト=1.42〜1.88(m、8H)、4.00(t、2H)、4.18(t、2H)、5.82(dd、2H)、6.14(dd、2H)、6.39(dd、2H)、6.77〜7.04(m、6H)、8.13(d、2H)
【0119】
上記の合成で得られた式(s3)で表される化合物7.2g、式(s6)で表される化合物4.5g及びジメチルホルムアミド70mlの溶液に炭酸カリウム1.61gを加えて撹拌しながら、85℃で約8時間加熱した。薄層クロマトグラフィー(展開層;シリカゲル、展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=4:1)によって反応が終了したことを確認した後、酢酸エチル200mlを用いて反応液を希釈し、飽和食塩水150mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下溶媒留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー((展開層;シリカゲル、展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=10:1)により分離、精製して式(s7)で表わされる重合性化合物4.7gを得た。
【0120】
【化43】
Figure 0004461692
(s7)
【0121】
得られた式(s7)で表わされる重合性化合物の昇温時における相転移温度は、結晶相−スメクチック相が−31℃、スメクチック相−等方性液体相が25℃、そして、降温時における相転移温度は、等方性液体相−スメクチック相が15℃、スメクチック相−結晶相が−40℃以下で、低い融点を示す優れた液晶化合物であった。又、室温付近の温度範囲で過冷却状態ではあるが、等方性液体相にすると約二日間はその液体状態になる。そして、25℃で測定した粘度は3000ミリパスカルであった。
【0122】
H−NMR(300MHz、CDCl);
ケミカルシフト=1.46〜1.87(m、32H)、3.95〜4.33(m、16H)、5.82(m、3H)、6.07〜6.17(m、3H)、6.36〜6.44(m、3H)、6.84〜7.27(m、7H)、7.54〜7.66(m、2H)、8.12(d、2H)
【0123】
〔式(s7)で表わされる重合性化合物と他の重合性液晶化合物との組成物調製(1)〕
下記式(s10)で表わされる重合性液晶化合物50質量部及び式(s11)で表わされる重合性液晶化合物50質量部からなる重合性液晶組成物(A)を調製した。重合性液晶組成物(A)は、室温(25℃)でネマチック液晶相を呈す低粘度の組成物である。
【0124】
【化44】
Figure 0004461692
(s10)
【0125】
【化45】
Figure 0004461692
(s11)
【0126】
<実施例1>
上述した方法で得られた式(s7)で表わされる重合性化合物と重合性液晶組成物(A)からなる重合性液晶組成物の保存安定性の測定を行った。式(s7)で表わされる重合性化合物と重合性液晶組成物(A)との質量比が、10:90、20:80、30:70、40:60、及び50:50の場合において良好な保存安定性を示し、約6ヶ月間室温での結晶析出などは見られなかった。
【0127】
<実施例2>
式(s7)で表わされる重合性化合物、重合性液晶組成物(A)、及び式(t1)で表される重合性化合物からなる重合性液晶組成物(B)を調製した。式(s7)で表わされる化合物、重合性液晶組成物(A)及び式(t1)で表される重合性化合物との質量比は、10:70:20である。重合性液晶組成物(B)は約6ヶ月間室温において結晶析出などが見られず、安定的に液晶相を呈した。
【0128】
【化46】
Figure 0004461692
(t1)
【0129】
<実施例3>
実施例2で得られた重合性液晶組成物(B)99質量部、チバガイギー社製の光重合開始剤「イルガキュアー907」1質量部からなる重合性液晶組成物(D)を調製した。液晶分子を一軸配向するよう配向処理を施した、セルギャップ50μmのガラスセル「アンチパラレル配向液晶ガラスセル」に、重合性液晶組成物(D)を25℃で注入した。注入後、1分以内に配向が安定し、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、目白プレシジョン製の超高圧水銀灯750Wを使用し、波長366nm、140W/mの紫外線を200秒間照射して、重合性液晶組成物(D)を重合させ、光学異方体を得た。ガラスセルに入れたままの光学異方体の平行光透過率は88.6%で、ヘーズ値は2.6%、リタデーション値は2.6μmであった。
【0130】
<比較例1>
重合性液晶組成物(A)及び及び式(t1)で表される重合性化合物からなる重合性液晶組成物(E)を調製した。重合性液晶組成物(A)と式(t1)で表される重合性化合物との質量比は70:30である。該液晶組成物のネマチック相−等方相転移温度は58℃であった。該液晶組成物は、約2週間室温に放置した後に相分離が確認された。
【0131】
<比較例2>
重合性液晶組成物(E)99質量部、「イルガキュアー907」1質量部からなる重合性液晶組成物(F)を調製した。液晶分子を一軸配向するよう配向処理を施した、セルギャップ50μmのガラスセル「アンチパラレル配向液晶ガラスセル」に、重合性液晶組成物(F)を25℃で注入した。注入後、30分以内に配向が安定し、一軸配向が得られているのが確認できたが、配向欠陥が存在した。次に、目白プレシジョン製の超高圧水銀灯750Wを使用し、波長366nm、140W/mの紫外線を200秒間照射して、重合性液晶組成物(F)を重合させ、光学異方体を得た。ガラスセルに入れたままの光学異方体の平行光透過率は83.4%で、ヘーズ値は5.0%、リタデーション値は2.5μmであった。
【0132】
【発明の効果】
本発明の重合性液晶組成物は、等方性液体相を示す温度が低く、他の液晶化合物との相溶性にも優れ、該組成物を重合して得られる光学異方体は透明性に優れる。特に、一般式(1)で表される重合性化合物と、一般式(2)で表される重合性化合物とを併用して、透明性に優れる光学異方体を得ることができる。
【0133】
本発明の重合性液晶組成物は、できるだけ低い温度範囲に液晶相を示すよう重合性液晶組成物を調整したい場合に有用であり、特に一般式(1)で表される重合性化合物と、一般式(3)で表される重合性化合物とを配合すると、液晶相を示す温度はそのままであり、且つ長時間相分離することのない重合性液晶組成物を得ることができる。勿論、該組成物に一般式(2)で表される重合性化合物を併用してもよく、特に透明性に優れる光学異方体を得ることができる。

Claims (4)

  1. 一般式(1)で表される重合性化合物を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
    Figure 0004461692
    (1)
    (式中、P〜Pは、各々独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表わす。S〜Sは、各々独立して、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−(CH−OCO−、−(CH−CO−O−、−OCO−(CH−、−CO−O−(CH−からなる群から選ばれる連結基を表わし、kは1〜20の整数を表す。A1及びA2は、各々独立してベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、Tは−CO−O−(CH−O−、−O−(CH−O−CO−O−(CH−O−、及び−OCO−(CH−CO−O−からなる群から選ばれる連結鎖を表わし、lは2〜15の整数を、mは3〜15の整数を、nは1〜15の整数を表わす。
    及びBは、各々独立して、
    Figure 0004461692
    からなる群から選ばれる環構造を表わす。
    及びYは、各々独立して、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CH−CHCH−、−CHCH−CH=CH−、−CH=CH−CO−O−及び−OCO−CH=CH−からなる群から選ばれる連結基を表わす。rは0又は1の整数を表わし、qは0又は1を表わす。)
  2. 一般式(2)で表される重合性化合物を含有する請求項1記載の重合性液晶組成物。
    Figure 0004461692
    (2)
    (式中、P及びPは、各々独立して(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を表わす。
    及びSは、各々独立して、−(CH−、−O−(CH−、−(CH−O−、−(CH−CO−O−、−(CH−OCO−、−CO−O−(CH−、及び−OCO−(CH−からなる群から選ばれる連結鎖を表わし、wは1〜20の整数を表わす。
    〜Bは各々独立して、
    Figure 0004461692
    からなる群から選ばれる環構造を表わす。
    及びTは、各々独立して、−CO−O−(CH−O−又は−O(CH−O−CO−O−(CH−O、及び−OCO−(CH−CO−O−からなる群から選ばれる連結鎖を表わし、nは1〜15の整数を表わす。
    及びYは、各々独立して、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH− 、−CO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CH−CHCH−、−CHCH−CH=CH−、−CH=CH−CO−O−及び−OCO−CH=CH−からなる群から選ばれる連結基を表わす。tは、0〜3の整数を表わし、uは0又は1を表わす。)
  3. 一般式(3)で表わされる化合物を含有する請求項1に記載の重合性液晶組成物。
    Figure 0004461692
    (3)
    (式中、Lは水素原子又はメチル基を表す。A〜Aは6員環であり、各々独立してベンゼン環、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表す。Y及びYは、各々独立して結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CH−CHCH−、−CHCH−CH=CH−、−CH=CH−−CO−O−及び−OCO−CH=CH−からなる群から選ばれる連結基を表わす。Yは、単結合、−O−、−CO−O−又は−OCO−を表し、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基を表し、bは0又は1の整数を表す。)
  4. 請求項1に記載の重合性液晶組成物を配向させた状態で重合させて得られることを特徴とする光学異方体。
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