JP4208058B2 - 液晶性(メタ)アクリレート化合物及び該化合物を含有する液晶組成物 - Google Patents

液晶性(メタ)アクリレート化合物及び該化合物を含有する液晶組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学、表示、記録材料、液晶ディスプレイの光学補償板や偏光プリズム材料として利用される新規な液晶性(メタ)アクリレート化合物、該化合物を含有する液晶組成物及び、これを用いた光学異方体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶物質は、TN(ツイステッド・ネマチック)型やSTN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)型に代表されるディスプレイ素子等の、液晶分子の可逆的運動を利用した表示媒体への応用以外にも、その配向性と屈折率、誘電率、磁化率等の物理的性質の異方性を利用して、位相差板、偏光板、偏光プリズム、各種光フィルター等の光学異方体への応用が検討されている。
このような液晶物質を構成材料とする光学異方体には、安定で均一な光学特性が必要とされ、そのためには、液晶状態における液晶分子の配向状態構造を半永久的に固定化することが必須である。
【0003】
液晶状態における液晶分子の配向状態構造を半永久的に固定化する手段としては、重合性官能基を有する液晶性化合物又はこのような化合物を含有する重合性液晶組成物を、液晶状態で配向させた後、その状態で紫外線等のエネルギー線を照射することによって高分子化させる方法が知られている。
このような技術に適用できる重合性官能基を有する液晶材料が、特開昭58−102205号公報、特開昭62−70406号公報、特公平8−3586号公報、特開平4−227611号公報、ドイツ公開特許DE4226994号等に開示されている。
しかしながら、これらの材料は、液晶相を呈する温度が高いため、配向工程において、望ましくない熱重合が誘起され、均一性に優れた光学異方体を作製できないという問題、もしくは作製した光学異方体の耐熱性が十分でないという問題があった。
【0004】
これらの問題が解決可能なものとして、2つまたは2つ以上の重合性官能基を有し、かつ室温で液晶相を呈するような液晶材料が、ドイツ公開特許DE4408171号、PCT国際公開WO97/14674、特開平8−245520号公報、特開平8−104870号公報等に開示されている。
しかしながら、これらの材料のほとんどは、液晶骨格中にベンゼン環やシクロヘキサン環等の6員環を3つ以上有しており、分子量が約500〜1000程度と大きいという問題を有していた。液晶ディスプレイの分野で使用されている非重合性の液晶材料の(平均)分子量は約250〜450程度であるのに対して、このように(平均)分子量が大きいと、粘度を増大させ、均一な配向状態を得るのに時間がかかるという問題を生じてしまう。特に、配向状態を領域毎に変える配向分割技術を用いる場合には、粘度が高いと配向が安定するまでに30分以上の時間が必要な場合があるため、光学異方体の製造プロセスの効率を著しく悪化させてしまうという問題があった。
【0005】
室温で液晶相を呈し、重合後の光学異方体の耐熱性にすぐれ、かつ(平均)分子量が約250〜450程度と小さい重合性の液晶材料が、特開平8−3111号公報に開示されている。
しかしながら、この重合性液晶材料を用いて膜厚が30ミクロン以上の光学異方体を作製した場合、光学異方体が白濁し、透明度が悪化してしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、重合後に透明性に優れた光学異方体を得ることができる液晶性(メタ)アクリレート化合物および該化合物を含有する液晶組成物、さらには、(平均)分子量が約250〜450程度と低く、均一な配向状態を素早く得ることができ、室温で液晶相を呈し、かつ重合後には均一性、耐熱性および透明性に優れた光学異方体を得ることができる液晶組成物、およびこれら液晶組成物から得られる光学異性体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、重合性液晶材料の化学構造と液晶温度範囲との相関、及び重合後に得られる光学異方体の透明性との相関について鋭意検討した結果、特定の化学構造を有する液晶性(メタ)アクリレート化合物の使用により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の液晶性(メタ)アクリレート化合物は、下記一般式(I)で表されることを特徴とする。
【0008】
【化3】
Figure 0004208058
【0009】
(式中、L1 、L2 はそれぞれ独立的に水素原子またはメチル基を表し、6員環A、Bはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、又はシクロヘキセン−1,4−ジイル基を表し、これらの6員環AとBは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、6員環Cは1,3−フェニレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,3−フェニレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,3−シクロヘキシレン基、又はシクロヘキセン−1,3−ジイル基を表し、6員環Cは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で置換されていても良く、Y1 、Y2 はそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−、−CH2O− 、−OCH2− 、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−OCO−COO−を表し、X1 、X2 はそれぞれ独立的に単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Sp1 、Sp2それぞれ独立的に炭素原子数1から20の水素原子がハロゲン原子に置換されていても良い、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、隣接しない炭素原子が酸素原子、カルボニル基、エステル基で置換された直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基を表す。)
【0010】
また、本発明の液晶性(メタ)アクリレート化合物は、上記一般式(I)において、L1 、L2 が水素原子であり、6員環A、Bが1,4−フェニレン基であり、6員環Cが1,3−フェニレン基であり、Sp1 、Sp2 が炭素原子数2から12を有するアルキレン基であり、Y1 が単結合であり、Y2 が−COO−、−OCO−であり、X1 、X2 が−O−であることが望ましい。
また、本発明の液晶組成物は、上記液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有し、液晶相を呈することを特徴とする。
また、本発明の液晶組成物は、さらに下記一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有することが望ましい。
【0011】
【化4】
Figure 0004208058
【0012】
(式中、L3 は水素原子又はメチル基を表し、nは0又は1の整数を表し、6員環D、E、Fはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシル基、又はシクロヘキセン−1,4−ジイル基を表し、これらの6員環D、E、Fは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y3 、Y4 はそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−、−CH2O− 、−OCH2− 、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−を表し、Y5 は単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−CH=CH−COO−を表し、Z1 は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子1〜20の炭化水素基を表す。)
【0013】
また、本発明の液晶組成物は、摂氏25度において液晶相を呈することが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
一般式(I)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を、例えば特開平8−3111号公報に開示されているような分子量が約250〜450程度と小さい重合性液晶材料に少量添加した液晶組成物を用いて、光学異方体を作製すると、添加しなかった場合と比較して、(平均)分子量及び粘度を著しく増大させることなく、透明性を改善することができる。一般式(I)で表される液晶性(メタ)アクリレートの分子量は約500〜1000程度となるが、添加量は少量であるので、(平均)分子量の著しい上昇は避けることができる。
【0015】
一般式(I)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物の添加により、重合により得られる光学異方体の透明性が改善される理由は必ずしも明らかではない。しかし、−X2−Sp2−OCOC(L2)=CH2で表される側鎖基が、連結基Y2 に対してメタ位に位置しているという構造上の特徴が関係していると考えられる。本発明の化合物のように側鎖基の伸長方向が、液晶骨格の長軸方向に平行でない場合、分子の直線性が減ぜられる。この減ぜられた直線性により、光重合過程における液晶分子の配向状態に何らかの変化が誘起されたものと考えられる。また、分子の直線性が減ぜられると、結晶性が低下する。これにより、本発明の化合物を室温で液晶相を呈するような液晶組成物に添加しても、結晶相−液晶相転移温度を上昇させにくい。つまり、特開平8−3111号公報に開示されているような重合性液晶組成物に添加しても、室温での液晶相を損ねにくいという特徴がある。
【0016】
本発明の一般式(I)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明の化合物という)において、L1 、L2 はそれぞれ独立的に、水素原子、またはメチル基を表す。L1 、L2 として水素原子を選択した方が、メチル基を選択した場合よりも、反応性が高い。従って、光重合が迅速に進行する材料が必要な時には水素原子を選択するのが好ましく、反応性を低く調節する必要があるときには、L1 、L2 のどちらか一方、または両方にメチル基を選択するのが好ましい。
【0017】
6員環A、Bはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、又はシクロヘキセン−1,4−ジイル基を表す。これらの6員環AとBは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換されていても良い。
【0018】
複屈折率が大きな化合物が必要な場合には、共役系が分子の長軸方向に伸びている必要があるので、6員環A、Bとしては、無置換の1,4−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,4−フェニレン基、または、さらに1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基を選択するのが好ましい。逆に、複屈折率が小さな化合物が必要な場合には、6員環A、Bとしては、無置換の1,4−シクロヘキシレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,4−シクロヘキシレン基、または、さらに1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基;シクロヘキセン−1,4−ジイル基を選択するのが好ましい。
【0019】
6員環A又はBへの置換基の導入は、液晶温度の低減効果をもたらすが、同時にまた、分子量の増大も招く。従って、置換基としてのハロゲン原子は、原子量が比較的小さいフッ素原子が特に好ましい。また、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基を選択する場合、炭素原子数は5以下がさらに好ましく、3以下が特に好ましい。
【0020】
同様に、6員環Cも、複屈折率が大きな化合物が必要な場合には、無置換の1,3−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,3−フェニレン基、または、さらに1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,3−フェニレン基を選択するのが好ましい。複屈折率が小さな化合物が必要な場合には、6員環Cとしては、無置換の1,3−シクロヘキシレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換されてた1,3−シクロヘキシレン基、または、さらに1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,3−シクロヘキシレン基;シクロヘキセン−1,3−ジイル基を選択するのが好ましい。
【0021】
6員環Cへ置換基を導入することによって現れる効果は、その導入の位置によって異なる。連結基Y2 に対してパラ位に導入した場合には、分子の直線性を減ぜられないため、液晶温度の低減効果は無い。しかし、この位置にフッ素原子やシアノ基を導入すると、分子長軸方向の誘電率を大きくできるので、例えば、光学異方体を作製する際、液晶組成物の配向手段として電界を使用する場合には、好適に用いることができる。また、パラ位に炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基を導入すると、液晶温度範囲を広げることが可能になる。この目的からは、炭素原子数2以上が好ましく、炭素原子数3以上がさらに好ましい。パラ位以外の位置に置換基を導入した場合には、液晶温度の低減効果をもたらす。しかし、同時に分子量の増大も招く。従って、置換基としてのハロゲン原子は、原子量が比較的小さいフッ素原子が特に好ましい。また、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基を選択する場合、炭素原子数は5以下がさらに好ましく、3以下が特に好ましい。
【0022】
1 、Y2 は、それぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−、−CH2O− 、−OCH2− 、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O− 、−OCH2CH2CH2− 、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−−OCO−COO−を表す。複屈折率が大きな化合物が必要な場合には、共役系が分子の長軸方向に伸びている必要があるので、Y1 、Y2 は単結合、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−を選択するのが好ましい。逆に、複屈折率が小さな化合物が必要な場合には、−CH2CH2−、−CH2O− 、−OCH2− 、−(CH24−、−CH2CH2CH2O− 、−OCH2CH2CH2− を選択するのが好ましい。
【0023】
Sp1 、Sp2 はそれぞれ独立的に、炭素原子数1から20のスペーサー基を表す。スペーサー基としては、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、隣接しない炭素原子が、酸素原子、カルボニル基、エステル基で置換された直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基等を挙げることができる。また、これらスペーサー基中の水素原子は、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されていても良い。スペーサー基としては、粘度の低減という観点から、置換されていない直鎖アルキレン鎖、及び分岐アルキレン鎖を選択するのが好ましく、置換されていない直鎖アルキレン鎖が特に好ましい。炭素原子数は、2〜12が好ましく、2〜8がさらに好ましく、3〜6が特に好ましい。炭素原子数が多くなると、分子量が増大し、粘度が高くなってしまう傾向があり、炭素原子数が少なくなると、化合物の液晶温度が高くなってしまう傾向がある。
【0024】
1 、X2 はそれぞれ独立的に、単結合、−COO−、−OCO−、−O−を表す。化合物の加水分解による劣化を最低限に抑制するためには、−O−を選択するのが好ましい。
【0025】
置換基L1、L2、6員環A、B、C、連結基Y1 、Y2 、X1 、X2 、Sp1 、Sp2 の選択について、化合物の複屈折率を基準として述べたが、本発明の化合物の目的は、少量の添加により、(平均)分子量を著しく増大させることなく、透明性に優れた光学異方体を作製可能な液晶組成物を実現することにあるので、この目的を逸脱することの無いよう留意する必要がある。本発明の特に好ましい化学構造(式(1)〜(150))を以下に例示する。
(式中、L1、L2は水素原子またはメチル基を表し、s、tは1〜20の整数を表し、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表す。)
【0026】
【化5】
Figure 0004208058
【化6】
Figure 0004208058
【0027】
【化7】
Figure 0004208058
【化8】
Figure 0004208058
【0028】
【化9】
Figure 0004208058
【化10】
Figure 0004208058
【0029】
【化11】
Figure 0004208058
【化12】
Figure 0004208058
【0030】
【化13】
Figure 0004208058
【化14】
Figure 0004208058
【0031】
【化15】
Figure 0004208058
【化16】
Figure 0004208058
【0032】
【化17】
Figure 0004208058
【化18】
Figure 0004208058
【0033】
【化19】
Figure 0004208058
【化20】
Figure 0004208058
【0034】
【化21】
Figure 0004208058
【化22】
Figure 0004208058
【0035】
【化23】
Figure 0004208058
【化24】
Figure 0004208058
【0036】
【化25】
Figure 0004208058
【化26】
Figure 0004208058
【0037】
【化27】
Figure 0004208058
【化28】
Figure 0004208058
【0038】
【化29】
Figure 0004208058
【化30】
Figure 0004208058
【0039】
【化31】
Figure 0004208058
【化32】
Figure 0004208058
【0040】
【化33】
Figure 0004208058
【化34】
Figure 0004208058
【0041】
以上に例示した本発明の化合物は、上記一般式(I)において−X2−Sp2−OCOC(L2)=CH2で表される側鎖基が、連結基Y2 に対してメタ位に位置していることが特徴であることを除けば、化学構造自体は液晶材料の技術分野においては特別なものでは無い。従って、本発明の化合物の合成には、従来の液晶化合物または液晶性(メタ)アクリレートの技術分野で確立された合成方法を、ほぼそのまま適用することができる。例えば、特表平6−507987号公報や特公平8−3111号公報に開示されている方法を用いることができる。
【0042】
上記に例示したような化合物の中でも、一般式(I)において6員環A、Bが、無置換の1,4−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,4−フェニレン基であり、6員環Cが、無置換の1,3−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、又はシアノ基、ハロゲン原子で1つ以上置換された1,3−フェニレン基であり、Y1 が単結合であり、Y2 が−COO−又は−OCO−であるような液晶骨格を有するものは、化合物単体の液晶温度範囲を100℃以下に抑制することが容易であり、製造も容易であることから有用である。この中でも特に6員環A、Bが、無置換の1,4−フェニレン基、6員環Cが無置換の1,3−フェニレン基、Y1 が単結合、Y2 が−COO−又は−OCO−の化合物は、特に製造が容易であるので、工業的価値が高い。
このような化合物は、例えば、以下の方法によって合成することができる。
【0043】
【化35】
Figure 0004208058
【化36】
Figure 0004208058
【0044】
(式中、Xはハロゲン原子、6員環A’、B’は、無置換の1,4−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,4−フェニレン基、6員環C’は無置換の1,3−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,3−フェニレン基を表し、L1 、L2 は水素原子またはメチル基を表し、Sp1 、Sp2 は炭素原子数1から20のスペーサー基を表す。)
【0045】
ここに示したように、一般式(III)のビフェニル誘導体に、水酸化ナトリウムや炭酸カリウム等の塩基を用いて、水酸基が付与されたスペーサー基を結合させて一般式(IV)の化合物を得て、これをp−トルエンスルホン酸等の酸触媒を用いて(メタ)アクリル酸とエステル化することにより、一般式(V)の化合物を得る。ついで、ヒドロキシ安息香酸誘導体(VI)に水酸化ナトリウムや炭酸カリウム等の塩基を用いて、水酸基が付与されたスペーサー基を結合させて一般式(VII)の化合物を得て、これをp−トルエンスルホン酸等の酸触媒を用いて(メタ)アクリル酸とエステル化することにより、一般式(VIII)の化合物を得る。得られた一般式(V)及び一般式(VIII)の化合物を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の如き縮合剤とジメチルアミノピリジン(DMAP)の如き塩基触媒を用いてエステル縮合させることにより、または、一般式(VIII)のカルボキシル基を、ハロゲン化チオニル等でハロゲン化アシル基に変換し、ピリジンの如き塩基触媒を用いて一般式(V)の化合物とエステル縮合させることにより、一般式(IX)で表される本発明の化合物を合成できる。
また、本発明の化合物は、以下の方法によっても合成することができる。
【0046】
【化37】
Figure 0004208058
【化38】
Figure 0004208058
【0047】
(式中、Xはハロゲン原子、6員環A’、B’は、無置換の1,4−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、又はシアノ基、ハロゲン原子で1つ以上置換された1,4−フェニレン基、6員環C’は無置換の1,3−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,3−フェニレン基を表し、L1 、L2 は水素原子またはメチル基を表し、Sp1 、Sp2 は炭素原子数1から20のスペーサー基を表す。)
【0048】
ここに示したように、一般式(X)のビフェニル誘導体に、水酸化ナトリウムや炭酸カリウム等の塩基を用いて、水酸基が付与されたスペーサー基を結合させて一般式(XI)の化合物を得て、これをp−トルエンスルホン酸等の酸触媒を用いて(メタ)アクリル酸とエステル化することにより、一般式(XII)の化合物を得る。ついで、ヒドロキノン誘導体(XIII)に水酸化ナトリウムや炭酸カリウム等の塩基を用いて、水酸基が付与されたスペーサー基を結合させて一般式(XIV)の化合物を得て、これをp−トルエンスルホン酸等の酸触媒を用いて(メタ)アクリル酸とエステル化することにより、一般式(XV)の化合物を得る。得られた一般式(XII)及び一般式(XV)の化合物を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の如き縮合剤とジメチルアミノピリジン(DMAP)の如き塩基触媒を用いてエステル縮合させることにより、または、一般式(XII)のカルボキシル基を、ハロゲン化チオニル等でハロゲン化アシル基に変換し、ピリジンの如き塩基触媒を用いて一般式(XV)の化合物とエステル縮合させることにより、一般式(XVI)で表される本発明の化合物を合成できる。
また、本発明の化合物は、以下の方法によっても合成することができる。
【0049】
【化39】
Figure 0004208058
【0050】
(式中、Lは水素原子またはメチル基を表し、6員環A’、B’は、無置換の1,4−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,4−フェニレン基、6員環C’は無置換の1,3−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,3−フェニレン基を表し、L1 、L2 は水素原子またはメチル基を表し、Sp1 、Sp2 は炭素原子数1から20のスペーサー基を表す。)
【0051】
ここに示したように、一般式(XVII)のビフェニル誘導体と一般式(XVIII)の安息香酸誘導体をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の如き縮合剤とジメチルアミノピリジン(DMAP)の如き塩基触媒を用いてエステル縮合させることにより、または、一般式(XVIII)のカルボキシル基を、ハロゲン化チオニル等でハロゲン化アシル基に変換し、ピリジンの如き塩基触媒を用いて一般式(XVII)の化合物とエステル縮合させることにより、一般式(XIX)の化合物を得る。その後、ベンジルアミンの如き塩基を用いて、アセチル基を脱保護することにより一般式(XX)の化合物を得る。これに一般式(XXI)のカルボン酸誘導体をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の如き縮合剤とジメチルアミノピリジン(DMAP)の如き塩基触媒を用いてエステル縮合させることにより、または、一般式(XXI)のカルボキシル基を、ハロゲン化チオニル等でハロゲン化アシル基に変換し、ピリジンの如き塩基触媒を用いて一般式(XX)の化合物とエステル縮合させることにより、一般式(XXII)で表される本発明の化合物を合成することができる。
また、本発明の化合物は、以下の方法によっても合成することができる。
【0052】
【化40】
Figure 0004208058
【0053】
(式中、Lは水素原子またはメチル基を表し、6員環A’、B’は無置換の1,4−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,4−フェニレン基、6員環C’は無置換の1,3−フェニレン基もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された1,3−フェニレン基を表し、Sp1 、Sp2 は炭素原子数1から20のスペーサー基を表す。)
【0054】
ここに示したように、一般式(XXIII)のビフェニル誘導体と一般式(XXIV)の安息香酸誘導体を、p−トルエンスルホン酸の如き酸触媒の存在下、230℃以上に加熱することによって一般式(XXV)の化合物を得る。これに一般式(XXVI)のアルコール誘導体をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の如き縮合剤とジメチルアミノピリジン(DMAP)の如き塩基触媒を用いてエステル縮合させることにより、または、一般式(XXV)のカルボキシル基を、ハロゲン化チオニル等でハロゲン化アシル基に変換し、ピリジンの如き塩基触媒を用いて一般式(XXVI)の化合物とエステル縮合させることにより、一般式(XXVII)で表される本発明の化合物を合成することができる。
【0055】
本発明の液晶組成物は、通常この技術分野で液晶相と認識される相を示す組成物であればよい。そのような液晶組成物の中でも、液晶相として、ネマチック相、スメクチックA相、(カイラル)スメクチックC相、コレステリック相を発現するものが好ましい。この中でも、ネマチック相は粘度が低くなる傾向があり、光学異方体の製造時の配向工程において、安定した配向状態を迅速に得られる傾向があるため、特に好ましい。また、(カイラル)スメクチックC相を示す場合には、該(カイラル)スメクチックC相の温度領域より上の温度領域でスメクチックA相を、スメクチックA相を示す場合には、該スメクチックA相の温度領域より上の温度領域でネマチック相を、それぞれ発現する液晶組成物は、良好な一軸の配向特性が得られるので好ましい。
【0056】
本発明の液晶組成物は、液晶相の温度領域で紫外線を照射して、組成物中の(メタ)アクリレート化合物を重合させて光学異方体を製造することを目的としている。従って、紫外線照射工程における、望ましくない熱重合の誘起を避け、均一性に優れた光学異方体を製造するために、本発明の液晶組成物は、室温または室温付近、即ち、典型的には25℃で液晶相を呈するが好ましい。例えば、(カイラル)スメクチックC相で本発明の液晶組成物に紫外線を照射して、組成物中の(メタ)アクリレート化合物を重合させる場合、室温または室温付近、即ち、典型的には25℃で(カイラル)スメクチックC相を発現するものが好ましい。
【0057】
本発明の液晶組成物中の一般式(I)で表される化合物の濃度は、5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がさらに好ましく、15〜25重量%が特に好ましい。濃度が5重量%未満では、本発明の液晶組成物を用いて作製する光学異方体の透明性の改善効果が得にくく、濃度が40重量%を超えると、液晶組成物中の平均分子量が高くなってしまう傾向がある。
【0058】
粘度の増大を抑制し、光学異方体の製造時の配向工程において安定した配向状態を迅速に得る目的で、本発明の液晶組成物の(平均)分子量は約250〜450に抑制するのが好ましい。また、安定した配向状態を迅速に得るために、透明点(液晶相から等方性液体相へ転移する温度)を調節するのも重要である。透明点を低くすれば、必然的に流動性が高い状態で配向処理を行うことになり、迅速に配向が安定する効果が得られる。透明点としては80℃以下が好ましく、70℃以下がさらに好ましく、60℃以下が特に好ましい。
【0059】
本発明の光学異方体製造時における液晶組成物の基板へのコーティング工程または液晶セルへの注入工程において、均一な配向状態を迅速に得る目的で、一時的に液晶組成物を等方性液体相状態にすることは有効な手段である。透明点が60〜80℃以上に高くなると等方性液体相状態にした時、望ましくない熱重合が誘起されてしまい、均一性の良い光学異方体を作製できなくなる危険がある。この点からも、透明点を上記のように調節するのは有効である。
【0060】
本発明の液晶組成物には、さらに上記一般式(II)(式中、L3 は水素原子又はメチル基を表し、nは0又は1の整数を表し、6員環D、E、Fはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシル基、又はシクロヘキセン−1,4−ジイル基を表し、これらの6員環D、E、Fは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y3 、Y4 はそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−、−CH2O− 、−OCH2− 、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2− 、−CH=CH−CH2CH2− 、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−を表し、Y5 は単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−CH=CH−COO−を表し、Z1 は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子1〜20の炭化水素基を表す)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有させることが好ましい。
【0061】
一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物は、粘度を抑制する観点から、式中、nは0が特に好ましく、Y3 、Y4 はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O− 、−OCH2− 、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−が特に好ましく、Y5 は単結合、−O−、−OCO−、−COO−が特に好ましく、Z1 はハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜5の炭化水素基が特に好ましい。
【0062】
本発明の液晶組成物中における一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物の濃度は、60〜95重量%が好ましく、70〜90重量%がさらに好ましく、75〜85重量%が特に好ましい。濃度が60重量%未満では、粘度が増大してしまう傾向があり、濃度が95重量%を超えると、液晶組成物を用いて作製する光学異方体の透明性が悪化してしまう傾向がある。
一般式(II)の化合物の具体的な例として、式(151)〜(175)の化合物の構造と相転移温度を以下に示す。しかしながら、本発明の液晶組成物において使用することができる重合性の液晶化合物はこれらに限定されるものではない。
(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、数字は相転移温度を表し、相転移温度におけるCは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相をそれぞれ表す。)
【0063】
【化41】
Figure 0004208058
【化42】
Figure 0004208058
【0064】
【化43】
Figure 0004208058
【化44】
Figure 0004208058
【0065】
【化45】
Figure 0004208058
【化46】
Figure 0004208058
【0066】
【化47】
Figure 0004208058
【0067】
また、本発明の液晶組成物には、重合性官能基を有していない液晶化合物を用途に応じて添加することもできる。しかしながら、液晶組成物を用いて作製する光学異方体の耐熱性を確保する観点から、その添加量は10重量%以下にするのが好ましい。
また、本発明の液晶組成物には、重合性官能基を有する化合物であって、液晶性を示さない化合物も添加することができる。このような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、ビニルエーテル化合物が特に好ましい。
【0068】
以上のように、本発明の液晶組成物には、一般式(I)で表される液晶性(メタ)アクリレート以外に、重合性官能基を有する液晶化合物、重合性官能基を有さない液晶化合物、液晶性を示さない重合性化合物を適宜組み合わせて添加してもよいが、少なくとも得られる液晶組成物の液晶性が失われないよう、また粘度が著しく増大しないように各成分の添加量を調整する必要がある。
【0069】
更に本発明の液晶組成物には、その重合反応性を向上させることを目的として、熱重合開始剤、光重合開始剤等の重合開始剤を添加することもできる。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ビスアゾブチロニトリル等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類等が挙げられる。熱重合開始剤あるいは光重合開始剤を添加する場合の添加量は、液晶組成物に対して10重量%以下が好ましく、5重量%以下が特に好ましく、0.5〜1.5重量%の範囲が更に好ましい。
【0070】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下が特に好ましい。
【0071】
また、本発明の液晶組成物には、液晶骨格の螺旋構造を内部に有する重合体を得ることを目的として、カイラル(光学活性)化合物を添加することもできる。そのような目的で使用するカイラル化合物は、それ自体が液晶性を示す必要は無く、また重合性官能基を有していても、有していなくても良い。また、その螺旋の向きは、重合体の使用用途によって適宜選択することができる。そのようなカイラル化合物としては、例えば、光学活性基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール;光学活性基として2−メチルブチル基を有するビーディーエイチ社(BDH社、イギリス国)製の「CB−15」、「C−15」、メルク社(ドイツ国)製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」;光学活性基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」等を挙げることができる。カイラル化合物を添加する場合の好ましい添加量は、液晶組成物の用途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜20の範囲となる量が好ましい。
【0072】
また、本発明の液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料等として利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、界面活性剤、ゲル化剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタンの金属酸化物等を添加することもできる。
【0073】
本発明の光学異方体は、本発明の液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造することができる。例えば、表面を布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO2 を斜方蒸着した配向膜を有する基板上にコーティング等の手段により担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させる方法が挙げられる。その他の配向処理方法としては、液晶組成物の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。その中でも基板表面を布等でラビング処理した基板を用いる方法が、その簡便性から特に好ましい。
【0074】
基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0075】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また、通常のツイステッド・ネマチック(TN)素子又はスーパー・ツイステッド・ネマチック(STN)素子で使用されているプレチルト角を与えるポリイミド薄膜は、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密に制御することができることから、特に好ましい。
【0076】
また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用する。この場合、電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。この方法は、ポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜、光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜を形成するものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成できるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
【0077】
本発明の液晶組成物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の光エネルギーを照射することによって光重合させる方法が好ましい。光重合させる際の光源としては、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で光重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は適当な透明性が与えられていなければならない。また、照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温または室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。
【0078】
重合によって得られた本発明の光学異方体には、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として、熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。
このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して用いても、剥離せずに用いても良い。
【0079】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例の限定されるものではない。
【0080】
(実施例1)液晶性アクリレート化合物の合成(その1)
4,4’−ビフェノール120.0g、6−クロロ−1−ヘキサノール88.0g、水酸化ナトリウム25.7g、ヨウ化カリウム25.0g、エタノール480ml及び水440mlから成る混合物を攪拌しながら、80℃で4時間加熱した。得られた反応液を室温まで冷却後、反応液の水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。析出した結晶をガラスフィルターを用いて、ろ取した後、結晶を水2000mlで洗うことにより、粗生成物900gを得た。この粗生成物をメタノール900mlからの再結晶を1回、メタノール300mlからの再結晶を2回行うことにより精製を行い、下記式(a)で表される化合物を50.0g得た。
【0081】
【化48】
Figure 0004208058
【0082】
式(a)の化合物48.0g、アクリル酸48.3g、p−トルエンスルホン酸15.0g、ヒドロキノン2.5g、トルエン220ml、テトラヒドロフラン90ml、n−ヘキサン130mlからなる混合物を加熱攪拌し、生成してくる水を留去しながら4時間還流させた。反応液を室温まで冷却後、反応液に飽和食塩水1000ml、酢酸エチル700mlを加えて抽出を行った。有機層を水洗した後、酢酸エチルを減圧留去して粗生成物60.9g得た。得られた粗生成物をトルエン60mlとヘキサン120mlの混合溶媒から再結晶を行い、不純物であるアクリル酸の大部分を除いた粗生成物41.8gを得た。このうちの31.8gを酢酸エチル及びトルエンからなる混合溶媒(容量比で酢酸エチル:トルエン=1:4、Rf=0.52)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、下記式(b)で表される化合物を19.0g得た。
【0083】
【化49】
Figure 0004208058
【0084】
3−ヒドロキシ安息香酸15.0g、6−クロロ−1−ヘキサノール14.8g、水酸化ナトリウム9.1g、ヨウ化カリウム0.5g、エタノール45ml、水45mlから成る混合物を攪拌しながら、80℃で16時間加熱した。得られた反応液を室温まで冷却後、反応液に飽和食塩水500mlを加え、反応液の水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。この反応溶液に酢酸エチル300mlを加えて抽出を行った。有機層を水洗した後、酢酸エチルを減圧留去して下記式(c)の粗生成物25.4gを得た。
【0085】
【化50】
Figure 0004208058
【0086】
式(c)の粗生成物20.0g、アクリル酸24.3g、p−トルエンスルホン酸4.0g、ヒドロキノン0.5g、トルエン100ml、n−ヘキサン100mlから成る混合物を加熱攪拌し、生成してくる水を留去しながら4時間還流させた。反応液を室温まで冷却後、反応液に飽和食塩水500ml、酢酸エチル300mlを加えて抽出を行った。有機層を水洗した後、有機溶媒を減圧留去して粗生成物25.2g得た。得られた粗生成物をヘキサン100mlと酢酸エチル20mlの混合物からの再結晶、ヘキサン50mlと酢酸エチル20mlの混合物からの再結晶、ヘキサン100mlと酢酸エチル20mlの混合物からの再結晶の計3回の再結晶により精製し、式(d)で表される化合物9.5gを得た。
【0087】
【化51】
Figure 0004208058
【0088】
式(b)の化合物1.00g、式(d)の化合物0.86g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.12g、テトラヒドロフラン20mlから成る混合物を攪拌しながら、これに10mlのテトラヒドロフランに溶解させたジシクロヘキシルカルボジイミド0.64gを10分かけて滴下した。滴下終了後5時間室温で攪拌した。これにトルエン100mlを加え、析出したジシクロヘキシル尿素をろ別した。得られた有機層を水洗後、トルエンを減圧留去して粗生成物2.7gを得た。これを酢酸エチル及びトルエンからなる混合溶媒(容量比で酢酸エチル:トルエン=1:10、Rf=0.69)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィー、及びメタノール12mlからの再結晶により精製して、式(e)で表される液晶性アクリレート化合物(以下、液晶性アクリレート化合物(e)と記す)0.9gを得た。
【0089】
【化52】
Figure 0004208058
【0090】
液晶性アクリレート化合物(e)の相転移温度は、C相(結晶相)−Sx相(帰属不明のスメクチック相)転移温度が54℃、Sx相−I相(等方性液体相)転移温度が61℃であった。また、 1H−NMR(300MHz、CDCl3 )のデータは、δ1.23〜1.93(m、16H)、4.02(t、2H)、4.04(t、2H)、4.17(t、4H)、5.80(d、2H)、6.12(dd、2H)、6.40(d、2H)、6.95〜7.82(m、12H)であった。
【0091】
(実施例2)液晶性アクリレート化合物の合成(その2)
イソバニリン酸18.4g、6−クロロ−1−ヘキサノール14.8g、水酸化ナトリウム9.1g、ヨウ化カリウム0.2g、エタノール45ml、水45mlから成る混合物を攪拌しながら、80℃で16時間加熱した。得られた反応液を室温まで冷却後、反応液に飽和食塩水500mlを加え、反応液の水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。この反応溶液に酢酸エチル300mlを加えて抽出を行った。有機層を水洗した後、酢酸エチルを減圧留去して下記式(f)の粗生成物27.0gを得た。
【0092】
【化53】
Figure 0004208058
【0093】
式(f)の粗生成物25.0g、アクリル酸26.9g、p−トルエンスルホン酸4.0g、ヒドロキノン0.5g、トルエン100ml、n−ヘキサン100mlから成る混合物を加熱攪拌し、生成してくる水を留去しながら3時間還流させた。反応液を室温まで冷却後、反応液に飽和食塩水500ml、酢酸エチル300mlを加えて抽出を行った。有機層を水洗した後、有機溶媒を減圧留去して粗生成物31.8g得た。得られた粗生成物をヘキサン80mlと酢酸エチル20mlの混合物からの再結晶により精製し、式(g)で表される化合物15.8gを得た。
【0094】
【化54】
Figure 0004208058
【0095】
式(g)の化合物0.95g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.12g、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.62g、テトラヒドロフラン20mlから成る混合物を攪拌しながら、これに10mlのテトラヒドロフランに溶解させた上記式(b)の化合物1.00gを10分かけて滴下した。滴下終了後9時間室温で攪拌した。反応液に飽和食塩水200ml、酢酸エチル100mlを加えて抽出を行った。有機層を水洗後、有機溶媒を減圧留去して粗生成物1.80gを得た。これを酢酸エチル及びトルエンからなる混合溶媒(容量比で酢酸エチル:トルエン=1:7、Rf=0.52)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィー、及びメタノール15mlからの再結晶を2回行うことにより精製して、下記式(h)で表される液晶性アクリレート化合物(以下、液晶性アクリレート化合物(h)と記す)0.88gを得た。
【0096】
【化55】
Figure 0004208058
【0097】
液晶性アクリレート化合物(h)の相転移温度は、C相(結晶相)−I相(等性液体相)転移温度が102℃であった。
【0098】
(実施例3)液晶組成物の調製(その1)
下記式(i)の液晶性アクリレート化合物50重量部、及び下記式(j)の液晶性アクリレート50重量部から成る液晶組成物(A)を調製した。
【0099】
【化56】
Figure 0004208058
【化57】
Figure 0004208058
【0100】
液晶組成物(A)は、室温(25℃)でネマチック液晶相を呈した。N(ネマチック相)−I(等方性液体相)転移温度は46℃であった。また、589nmで測定したne(異常光の屈折率)は1.662で、no(常光の屈折率)は1.510、複屈折率は0.152であった。平均分子量は、293.6であった。
【0101】
実施例1で合成した液晶性アクリレート化合物(e)10重量部、液晶組成物(A)90重量部から成る液晶組成物(B)を調製した。液晶組成物(B)は、室温(25℃)でネマチック液晶相を呈した。N(ネマチック相)−I(等方性液体相)転移温度は40℃であった。また、589nmで測定したne (異常光の屈折率)は1.6541で、no (常光の屈折率)は1.5153、複屈折率は0.1388であった。平均分子量は、309.8であった。
【0102】
(実施例4)液晶組成物の調製(その2)
実施例1で合成した液晶性アクリレート化合物(e)20重量部、液晶組成物(A)80重量部から成る液晶組成物(C)を調製した。液晶組成物(C)は、室温(25℃)でネマチック液晶相を呈した。N(ネマチック相)−I(等方性液体相)転移温度は36℃であった。また、589nmで測定したne (異常光の屈折率)は1.6460で、no (常光の屈折率)は1.5207、複屈折率は0.1253であった。平均分子量は、327.9であった。
【0103】
(実施例5)光学異方体の作製
実施例4で調製した液晶組成物(C)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる液晶組成物(D)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、液晶組成物(D)を室温にて注入した。注入後、1分以内に配向が安定し、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、室温にてUVP社のUVGL−25を用いて1mW/cm2の紫外線を10分間照射して、液晶組成物(D)を重合させ、光学異方体を得た。ガラスセルにいれたままの光学異方体の平行光透過率は85.4%で、ヘイズは3.9%であった。
【0104】
(比較例)
実施例3で調製した、本発明の液晶性アクリレート化合物を含有しない液晶組成物(A)99重量部、重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる液晶組成物(E)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、液晶組成物(E)を室温にて注入した。注入後、1分以内に配向が安定し、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、室温にてUVP社のUVGL−25を用いて1mW/cm2 の紫外線を10分間照射して、液晶組成物(E)を重合させ、光学異方体を得た。ガラスセルにいれたままの光学異方体の平行光透過率は75.9%で、ヘイズは11.0%であった。
【0105】
実施例4と比較例1の結果から、本発明の液晶性アクリレート化合物を含有する液晶組成物を用いると、均一な配向状態が素早く得られ、かつ重合後により作製される光学異方体の透明性が改善されることがわかる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶性(メタ)アクリレート化合物は、上記一般式(I)で表される構造上の特徴を有しているので、該化合物を含有する液晶組成物を重合して得られる光学異性体の透明性を改善することができる。
また、上記一般式(I)において、L1 、L2 が水素原子であり、6員環A、Bが1,4−フェニレン基であり、6員環Cが1,3−フェニレン基であり、Sp1 、Sp2 が炭素原子数2から12を有するアルキレン基であり、Y1 が単結合であり、Y2 が−COO−、−OCO−であり、X1 、X2 が−O−である場合、該化合物単体の液晶温度範囲を100℃以下に抑制することが容易となり、また製造も容易となる。
【0107】
また、本発明の液晶組成物は、上記液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有しているので、該液晶組成物を重合して得られる光学異性体の透明性を改善することができる。
また、本発明の液晶化合物が、さらに上記一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有している場合、(平均)分子量が約250〜450程度と低くなり、均一な配向状態を素早く得ることができ、また室温で液晶相を呈しているので重合後には耐熱性に優れた光学異方体を得ることができ、かつ均一性および透明性に優れた光学異方体を得ることができる。
【0108】
そして、本発明の光学異方体は、上記液晶組成物の重合体から構成されているので、均一性、耐熱性および透明性に優れたものとなる。
このように、本発明の液晶性(メタ)アクリレート化合物を用いた光学異方体は、透明性が改善されており、位相差板、偏光板、偏光プリズム、各種光フィルター等の光機能フィルムの材料として、非常に有用である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表されることを特徴とする液晶性(メタ)アクリレート化合物。
    Figure 0004208058
    (式中、L1 、L2 はそれぞれ独立的に水素原子またはメチル基を表し、6員環A、Bはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、又はシクロヘキセン−1,4−ジイル基を表し、これらの6員環AとBは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、6員環Cは1,3−フェニレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,3−フェニレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,3−シクロヘキシレン基、又はシクロヘキセン−1,3−ジイル基を表し、6員環Cは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で置換されていても良く、Y1 、Y2 はそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−、−CH2O− 、−OCH2− 、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−OCO−COO−を表し、X1 、X2 はそれぞれ独立的に単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Sp1 、Sp2 はそれぞれ独立的に炭素原子数1から20の水素原子がハロゲン原子に置換されていても良い、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、隣接しない炭素原子が酸素原子、カルボニル基、エステル基で置換された直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基を表す。)
  2. 上記一般式(I)において、L1 、L2 が水素原子であり、6員環A、Bが1,4−フェニレン基であり、6員環Cが1,3−フェニレン基であり、Sp1 、Sp2 が炭素原子数2から12を有するアルキレン基であり、Y1 が単結合であり、Y2 が−COO−、−OCO−であり、X1 、X2 が−O−であることを特徴とする請求項1記載の液晶性(メタ)アクリレート化合物。
  3. 請求項1または請求項2記載の液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有し、液晶相を呈することを特徴とする液晶組成物。
  4. 下記一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする請求項3記載の液晶組成物。
    Figure 0004208058
    (式中、L3 は水素原子又はメチル基を表し、nは0又は1の整数を表し、6員環D、E、Fはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2 基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシル基、又はシクロヘキセン−1,4−ジイル基を表し、これらの6員環D、E、Fは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y3 、Y4 はそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2− 、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−を表し、Y5 は単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−CH=CH−COO−を表し、Z1 は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子1〜20の炭化水素基を表す。)
  5. 摂氏25度において液晶相を呈することを特徴とする請求項4記載の液晶組成物。
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