JP4414854B2 - 吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物および繊維製品 - Google Patents

吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物および繊維製品 Download PDF

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Description

本発明は、発汗によるムレ感を低減することができる撥水性織編物に関する。さらに詳しくは、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む撥水性織編物であって、吸湿時における織編物の通気性が乾燥時よりも可逆的に性能よく向上する撥水性織編物および繊維製品に関するものである。
従来、スキーウエアー、ウインドブレーカー、アウトドアウエアー等のスポーツ用衣料や、レインコート、紳士・婦人用コート等のアウター用衣料などの用途に、撥水性織編物が使用されている。
かかる撥水性織編物としては、ポリエステル繊維やナイロン繊維などからなる高密度織編物に撥水加工、フィルムコーテイング、フィルムラミネートなどを施した撥水性織編物が知られている。
しかしながら、フィルムコーテイングやフィルムラミネートを施した撥水性織編物では、耐水性に優れる反面、通気性がほとんどないため、衣服内のムレた空気が排出されないため発汗時に不快感を感じるという問題があった。また、高密度織物に撥水加工を施した撥水性織編物では、衣服内のムレた空気が排出され易くなっているものの、衣服内のムレを解消するまでには至らず、運動により発汗した際、衣服内がムレて不快感が生じるという問題があった。
このような発汗によって生じるムレを解消する方法として、発汗時に織編物の通気性が向上することにより衣服内に滞留する水分を効果的に放出させ、一方、発汗が停止すると織編物の通気性が低下することにより水分の過剰な放散による寒気を抑制し、常に着心地を快適に保つことのできる通気性自己調節織編物が提案されている。
例えば、特許文献1では、ポリエステルとポリアミドの異質ポリマーを貼りあわせたサイドバイサイド型複合繊維を用いた通気性自己調節織編物が提案されている。しかしながら、かかる織編物において、確かに吸湿時の通気性が乾燥時よりも可逆的に向上するものの、その通気性の変化量は小さく、さらに性能のよい通気性自己調節織編物の提案がのぞまれている。
また、通気性自己調節織編物としては、吸湿性ポリマーからなり、加撚された合成繊維マルチフィラメント糸条を用いたもの(例えば、特許文献2参照)や、アセテート繊維を用いたもの(例えば、特許文献3参照)なども提案されている。
なお本発明者らは、特願2004−256628号において、ポリエステル成分とポリアミド成分とが接合された複合繊維であって、性能のよい通気性自己調節織編物を得ることが可能な複合繊維を提案している。
特開2003−41462号公報 特開平10−77544号公報 特開2002−180323号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む撥水性織編物であって、吸湿時における織編物の通気性が、乾燥時よりも可逆的に性能よく向上する撥水性織編物および繊維製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリエステルとポリアミドの異質ポリマーを貼りあわせたサイドバイサイド型複合繊維を用いて撥水性織編物を織編成する際、該織編物から抜出した前記複合繊維が、潜在捲縮性能が発現してなる捲縮構造を有し、かつ吸湿時と乾燥時において特定の捲縮率を有していると、所望の撥水性織編物および繊維製品が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「固有粘度が0.30〜0.39のポリエステル成分と固有粘度が1.0〜1.4のポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を、織編物の全重量に対して10重量%以上含む織編物であって、該織編物に撥水加工が施されており、かつ乾燥時の通気性が50cc/cm/s以下であり、該織編物から抜出した前記複合繊維が、潜在捲縮性能が発現してなる捲縮構造を有しており、該複合繊維の乾燥時の捲縮率をDC(%)、吸湿時の捲縮率をHC(%)とするとき、DC−HC≧10(%)であることを特徴とする吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。」が提供される。
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態である。
ここで、ポリエステル成分が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0〜4.5モル%共重合された変性ポリエステルであることが好ましい。かかる複合繊維は、無撚糸、または300T/m以下の撚りが施された甘撚り糸であることが好ましい。
本発明の織編物は、前記複合繊維と、前記複合繊維以外の繊維(すなわち、非捲縮もしくは吸湿時に捲縮率が実質的に変化しない捲縮繊維であり、以下単に「他の繊維」ということもある。)とで構成されていてもよい。その際、該織編物の経方向および/または緯方向の伸縮率が10%以上であることが好ましい。
本発明の織編物において、織編物が2層以上の多層構造織編物であって、該織編物の少なくとも一層に、該層を構成する総繊維重量のうち30重量%以上となるように前記複合繊維が含まれていてもよい。また、前記の複合繊維と他の繊維とが、丸編組織の複合ループを形成していてもよい。また、前記の複合繊維と他の繊維とが、引き揃えられて織組織の経糸および/または緯糸に配されていてもよい。また、前記の複合繊維と他の繊維とが、各々織編物の構成糸条として、1本交互または複数本交互に配されていてもよい。さらに、前記の複合繊維と他の繊維とが、前記の複合繊維が芯部に位置し、他の繊維が鞘部に位置する芯鞘型複合糸として織編物に含まれていてもよい。なお、他の繊維がポリエステル繊維であることが好ましい。
本発明の織編物には染色加工が施されていることが好ましい。また、吸湿時における織編物の通気性が、乾燥時よりも30%以上高くなることが好ましい。
本発明の織編物は、アウター用衣料、スポーツ用衣料、インナー用衣料などの繊維製品に好適に使用することができる。
本発明によれば、乾燥時に比べて吸湿時に通気性が可逆的に性能よく向上する撥水性織編物が得られる。かかる撥水性織編物をアウター用衣料、スポーツ用衣料、インナー用衣料などとして使用すると、発汗時に織編物の通気性が向上することにより衣服内に滞留する水分が効果的に放出され、一方、発汗が停止すると織編物の通気性が低下することにより水分の過剰な放散による寒気が抑制され、常に快適な着心地を保つことができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、複合繊維はポリエステル成分とポリアミド成分とからなり、両成分はサイドバイサイド型に接合されている。
ここで、ポリエステル成分としては、他方のポリアミド成分との接着性の点で、スルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属、ホスホニウム塩を有し、かつエステル形成能を有する官能基を1個以上もつ化合物が共重合された、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンタレフタレート等の変性ポリエステルが好ましく例示される。なかでも、汎用性およびポリマーコストの点で、前記化合物が共重合された、変性ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。その際、共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびそのエステル誘導体、5−ホスホニウムイソフタル酸およびそのエステル誘導体、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどがあげられる。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好ましい。共重合量としては、2.0〜4.5モル%の範囲が好ましい。該共重合量が2.0モル%よりも小さいと、優れた捲縮性能が得られるものの、ポリアミド成分とポリエステル成分との接合界面にて剥離が生じるおそれがある。逆に、該共重合量が4.5モル%よりも大きいと、延伸熱処理の際、ポリエステル成分の結晶化が進みにくくなるため、延伸熱処理温度を上げる必要があり、その結果、糸切れが多発するおそれがある。
一方のポリアミド成分としては、主鎖中にアミド結合を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−46、ナイロン−12などがあげられる。なかでも、汎用性、ポリマーコスト、製糸安定性の点で、ナイロン−6およびナイロン−66が好適である。
なお、前記ポリエステル成分およびポリアミド成分には、公知の添加剤、例えば、顔料、顔料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤等が含まれていてもよい。
前記のサイドバイサイド型に接合された複合繊維は、任意の断面形状および複合形態をとることができる。図1は、本発明で使用されるサイドバイサイド型に接合された複合繊維の拡大横断面図を例示したものである。通常は(イ)、(ロ)のような横断面を有する複合繊維が用いられるが、(ハ)のような偏心芯鞘型であってもよい。さらには、三角形や四角形、その断面内に中空部を有するものであってもよい。なかでも、図1の(イ)のように、丸型であると、吸湿時に通気性が性能よく向上し好ましい。両成分の複合比は任意に選定することができるが、通常、ポリエステル成分とポリアミド成分の重量比で30:70〜70:30(より好ましくは40:60〜60:40)の範囲内であることが好ましい。
前記複合繊維の単糸繊度、単糸数(フィラメント数)としては特に限定されないが、単糸繊度1〜10dtex(より好ましくは2〜5dtex)、単糸数10〜200本(より好ましくは20〜100本)の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の織編物に含まれる複合繊維は、潜在捲縮性能が発現してなる捲縮構造を有している必要がある。異種ポリマーがサイドバイサイド型に接合された複合繊維は、通常、潜在捲縮性能を有しており、後記のように、染色加工等で熱処理を受けると潜在捲縮性能が発現する。捲縮構造としては、ポリアミド成分が捲縮の内側に位置し、ポリエステル成分が捲縮の外側に位置していることが好ましい。かかる捲縮構造を有する複合繊維は、後記の製造方法により容易に得ることができる。複合繊維がこのような捲縮構造を有していると、吸湿時に、内側のポリアミド成分が膨潤、伸張し、外側のポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が低下する(複合繊維の見かけの長さが長くなる。)。一方、乾燥時には、内側のポリアミド成分が収縮し、外側のポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が増大する(複合繊維の見かけの長さが短くなる。)。このように、吸湿時に、複合繊維の捲縮率が可逆的に低下するため、織編物内の空隙率が高まり、通気性が向上する。
かかる通気性は、JIS L 1096−1998、6.27.1、A(フラジール型通気性試験機法)により測定された値(cc/cm/s)で、吸湿時の通気性が、乾燥時の通気性よりも高いことが肝要である。その際、吸湿時の通気性が、乾燥時の通気性よりも30%以上(好ましくは80〜500%)高いことが好ましい。通気性の変化率が30%よりも小さいと、発汗時にムレ感の問題が発生しやすくなるおそれがある。
ただし、通気性の変化率を下記式により算出する。
通気性の変化率(%)=((吸湿時の通気性)−(乾燥時の通気性))/(乾燥時の通気性)×100
前記の複合繊維は、吸湿時に、容易に捲縮が低下し通気性が性能よく向上する上で、無撚糸、または300T/m以下の撚りが施された甘撚り糸であることが好ましい。特に、無撚糸であることが好ましい。強撚糸のように、強い撚りが付与されていると、吸湿時に捲縮が低下しにくく好ましくない。なお、交絡数が20〜60ケ/m程度となるようにインターレース空気加工および/または通常の仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
本発明の織編物には、前記の複合繊維が含まれている。その際、織編物中に含まれる複合繊維の含有量は、重量基準で織編物全重量に対して、10重量%以上(より好ましくは40重量%以上)であることが肝要である。複合繊維の含有量が10重量%よりも小さいと、吸湿時に通気性が性能よく向上しないおそれがある。
また織編物が、前記複合繊維と前記複合繊維以外の他の繊維とで構成される場合、かかる他の繊維としては特に限定されず、ポリエチレンタレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル、パラ型もしくはメタ型アラミド、およびそれらの変性合成繊維、さらには、天然繊維、再生繊維、半合成繊維など衣料に適した繊維であれば自由に選択できる。なかでも、湿潤時の寸法安定性や、前記複合繊維との相性(混繊性、交編・交織性、染色性)の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンタレフタレートや、これらに前記共重合成分が共重合された変性ポリエステルからなるポリエステル繊維が好適である。また、かかる他の繊維の単糸繊度、単糸数(フィラメント数)としては特に限定されないが、織編物の吸湿性を高め、吸湿時に通気性を性能よく向上させる上で、単糸繊度0.1〜5dtex(より好ましくは0.5〜2dtex)、単糸数20〜200本(より好ましくは30〜100本)の範囲内であることが好ましい。なお、交絡数が20〜60ケ/m程度となるようにインターレース空気加工および/または通常の仮撚捲縮加工が他の繊維に施されていてもさしつかえない。
本発明の織編物に、前記の複合繊維と他の繊維が含まれる場合、両者は各々単独糸条で織編物を構成してもよいし、空気混繊糸、合撚糸、複合仮撚捲縮加工糸、引揃え糸などの複合糸として織編物を構成してもよい。
織編物の構造としては、その織編組織、層数は特に限定されるものではない。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織や、天竺、スムース、フライス、鹿の子、そえ糸編、デンビー、ハーフなどの編組織が好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。
本発明の織編物において、織編物中の複合繊維の可動性(捲縮変化)を確保するため、経方向および/または緯方向の伸縮率が10%以上(より好ましくは20%以上、特に好ましくは25〜150%)であることが好ましい。
次に、本発明の織編物において、該織編物から抜出した前記複合繊維が、潜在捲縮性能が発現してなる捲縮構造を有しており、前記複合繊維の乾燥時の捲縮率をDC(%)、吸湿時の捲縮率をHC(%)とするとき、DC−HC≧10(%)(好ましくは、50(%)≧DC−HC≧10(%))であることが肝要である。DC−HCが10%未満では、乾燥時に比べて吸湿時に通気性が性能よく向上しないおそれがあり、好ましくない。
ここで、織編物中における複合繊維の捲縮率は、下記の方法により測定する。まず、織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から織編物と同じ方向の30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。次いで、各々の小片から、複合繊維を取り出し、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて糸長L0fを測定し、除重1分後0.0176mN/dtex(2mg/de)の荷重をかけて糸長L1fを測定する。さらにこの糸を温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて糸長L0f’を測定し、除重1分後0.0176mN/dtex(2mg/de)の荷重をかけて糸長L1f’を測定する。以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率DC(%)、吸湿時の捲縮率HC(%)、乾燥時と吸湿時の捲縮率差(DC−HC)(%)を算出する。なお、n数は5でその平均値を求める。
乾燥時の捲縮率DC(%)=((L0f−L1f)/L0f)×100
吸湿時の捲縮率HC(%)=(L0f’−L1f’)/L0f’)×100
また、本発明の撥水性織編物には撥水加工が施されている必要がある。かかる撥水処理は、通常のものでよい。例えば、特許第3133227号公報や特公平4−5786号公報に記載された方法が好適である。すなわち、撥水剤として市販のふっ素系撥水剤(例えば、旭硝子(株)製、アサヒガードLS−317)を使用し、必要に応じてメラミン樹脂、触媒を混合して撥水剤の濃度が3〜15重量%程度の加工剤とし、ピックアップ率50〜90%程度で、該加工剤を用いて織編物の表面を処理する方法である。加工剤で織編物の表面を処理する方法としては、パッド法、スプレー法などが例示され、なかでも、加工剤を織編物内部まで浸透させる上でパッド法が最も好ましい。
なお、前記ピックアップ率とは、加工剤の織編物(加工剤付与前)重量に対する重量割合(%)である。
撥水加工後の織編物の撥水性としては、JIS L 1092 6.2(スプレー試験)で4点以上が好ましく、より好ましくは5点(最高点)である。
次に、本発明の織編物において、乾燥時における通気性が、JIS L 1096−1998、6.27.1、A(フラジール型通気性試験機法)により測定された値(cc/cm/s)で、50cc/cm/s以下(好ましくは、5〜40cc/cm/s)である必要がある。通気性が50cc/cm/sよりも大きいと、防風性が不十分であるため、スポーツ衣料やアウター衣料用途として不適であるだけでなく、撥水加工を施しても耐水性が不十分となるおそれがある。
通気性を上記範囲内とするためには、織編物の密度を適正化すればよい。例えば、糸条の総繊度が84デシテックスの場合、織物であれば、経糸密度(本/2.54cm)×緯糸密度(本/2.54cm)で6000以上、編物であれば、コース密度(本/2.54cm)×ウエール密度(本/2.54cm)で3000以上とすればよい。
本発明において、織編物の態様としては、(1)織編物が2層以上の多層構造織編物であって、該織編物の少なくとも一層に、該層を構成する総繊維重量のうち30重量%以上となるように前記複合繊維が含まれる織編物、(2)前記の複合繊維と他の繊維とが丸編組織の複合ループを形成してなる織編物、(3)前記の複合繊維と他の繊維とが引き揃えられて織組織の経糸および/または緯糸に配されてなる織編物、(4)前記の複合繊維と他の繊維とが各々織編物の構成糸条として、1本交互または複数本交互に配されてなる織編物、(5)前記の複合繊維と他の繊維とが、複合繊維が芯部に位置し、他の繊維が鞘部に位置する芯鞘型複合糸として織編物に含まれる織編物、などが例示される。
また、織編物中に前記複合繊維と他の繊維とが含まれる場合、乾燥時において、複合繊維の糸長を(A)、他の繊維の糸長を(B)とするとき、A<Bとなっていると、吸湿時に通気性が向上しやすく好ましい。逆に、A>BかA=Bの場合、複合繊維が吸湿により捲縮率が低下して伸張される際、ゆとり量がなく、他の繊維が追従できないため、織編物の空隙率が低下してしまい、吸湿時に通気性が向上しないおそれがある。
ここで、糸長の測定は以下の方法で行うものとする。まず、織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。続いて、各小片から、複合繊維糸条および他の繊維糸条を1本ずつ取り出し、複合繊維糸条の糸長A(mm)、他の繊維糸条の糸長B(mm)を測定する。その際、非弾性糸の場合は1.76mN/dtex(200mg/de)、弾性糸の場合は0.0088mN/dtex(1mg/de)の荷重をかけて測定する。ここで、小片から取り出す複合繊維糸条および他の繊維糸条とは織編物中において同一方向のものである必要がある。例えば、複合繊維糸条を織物の経糸(緯糸)から取り出す場合、他方の他の繊維糸条も経糸(緯糸)から取り出す必要がある。また、複合繊維糸条および他の繊維糸条が、複合糸として織編物を構成する場合には、裁断された小片(30cm×30cm)から複合糸を取り出し(n数=5)、さらに複合糸から複合繊維糸条と他の繊維糸条とを取り出して前記と同様にして測定するものとする。
前記のように、複合繊維糸条と他の繊維糸条との糸長差をもうける方法としては、以下の方法が例示される。例えば、複合繊維糸条と他の繊維糸条とを用いて、前記の織編物を製編織する際、他の繊維糸条の沸水収縮率を15%以下(より好ましくは10%以下)とする方法や、複合繊維糸条と他の繊維糸条とを複合加工する際、他の繊維糸条をオーバーフィードさせる方法などが例示される。
本発明の織編物において、織編物中の複合繊維の可動性(捲縮変化)を確保するため、目付けは300g/m以下(より好ましくは100〜250g/m)であることが好ましい。
本発明の織編物は下記の製造方法によって容易に得ることができる。
まず、固有粘度が0.30〜0.39(オルソクロロフェノールを溶媒として35℃で測定)の、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0〜4.5モル%共重合された変性ポリエステルと、固有粘度が1.0〜1.4(m−クレゾールを溶媒として30℃で測定)のポリアミドとを用いてサイドバイサイド型に溶融複合紡糸する。その際、ポリエステル成分の固有粘度が0.39以下であることが特に重要である。ポリエステル成分の固有粘度が0.39よりも大きいと、ポリエステル成分の粘度が増大するため、複合繊維の物性がポリエステル単独糸に近くなり、本発明が目的とする織編物が得られず好ましくない。逆に、ポリエステル成分の固有粘度が0.30よりも小さいと、溶融粘度が小さくなりすぎて製糸性が低下するとともに毛羽発生が多くなり、品質および生産性が低下するおそれがある。
溶融紡糸の際に用いる紡糸口金としては、特開2000−144518号公報の図1のような、高粘度側と低粘度側の吐出孔を分離し、かつ高粘度側吐出線速度を小さくした(吐出断面積を大きくした)紡糸口金が好適である。そして、高粘度側吐出孔に溶融ポリエステルを通過させ、低粘度側吐出孔に溶融ポリアミドを通過させ冷却固化させることが好ましい。その際、ポリエステル成分とポリアミド成分との重量比は、前述のとおり、30:70〜70:30(より好ましくは40:60〜60:40)の範囲内であることが好ましい。
また、溶融複合紡糸した後、一旦巻き取った後に延伸する別延方式を採用してもよいし、一旦巻き取らずに延伸熱処理を行う直延方式を採用してもよい。その際、紡糸・延伸条件としては、通常の条件でよい。例えば、直延方式の場合、1000〜3500m/分程度で紡糸した後、連続して100〜150℃の温度で延伸し巻き取る。延伸倍率は最終時に得られる複合繊維の切断伸度が10〜60%(好ましくは20〜45%)、切断強度が3.0〜4.7cN/dtex程度となるよう、適宜選定すればよい。
ここで、前記の複合繊維が、下記の要件(1)および(2)を同時に満足することが好ましい。
(1)乾燥時における複合繊維の捲縮率DCが1.5〜13%(好ましくは2〜6%)の範囲内である。
(2)捲縮率DCと、湿潤時における複合繊維の捲縮率HCとの差(DC−HC)が0.5%以上(好ましくは1〜5%)である。
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、湿潤時とは、試料を温度20℃の水中に2時間浸漬した直後の状態であり、乾燥時における捲縮率DCおよび湿潤時における捲縮率HCは、下記の方法で測定した値を用いることとする。
まず、枠周:1.125mの巻き返し枠を用いて、荷重:49/50mN×9×トータルテックス(0.1gf×トータルデニール)をかけて一定の速度で巻き返し、巻き数:10回の小綛をつくり、該小綛をねじり2重の輪状にしたものに49/2500mN×20×9×トータルテックス(2mg×20×トータルデニール)の初荷重をかけたまま沸水中に入れて30分間処理し、該沸水処理の後100℃の乾燥機にて30分間乾燥し、その後さらに初荷重をかけたまま160℃の乾熱中に入れ5分間処理する。該乾熱処理の後に初荷重を除き、温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間以上放置した後、前記の初荷重および98/50mN×20×9×トータルテックス(0.2gf×20×トータルデニール)の重荷重を負荷し、綛長:L0を測定し、直ちに重荷重のみを取り除き、除重1分後の綛長:L1を測定する。さらにこの綛を初荷重をかけたまま温度20℃の水中に2時間浸漬した後取り出し、ろ紙にて0.69mN/cm(70mgf/cm)の圧力で軽く水を拭き取った後、初荷重および重荷重を負荷し綛長:L0’を測定し、直ちに重荷重のみを取り除き、除重1分後の綛長:L1’を測定する。以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率(DC)、湿潤時の捲縮率(HC)、乾燥時と湿潤時の捲縮率差(DC−HC)を算出する。
乾燥時の捲縮率DC(%)=((L0−L1)/L0)×100
湿潤時の捲縮率HC(%)=(L0’−L1’)/L0’)×100
前記の湿潤時における複合繊維の捲縮率HCとしては、0.5〜10.0%(好ましくは1〜3%)の範囲内であることが好ましい。
ここで、乾燥時における複合繊維の捲縮率DCが1.5%よりも小さいと、吸湿時の捲縮変化量が小さくなるため、織編物の通気性変化量も小さくなるおそれがある。逆に、乾燥時における複合繊維の捲縮率DCが13%よりも大きい場合は、捲縮が強すぎて吸湿時に捲縮が変化しにくく、やはり織編物の通気性変化量も小さくなるおそれがある。また、乾燥時における複合繊維の捲縮率HCとの差(DC−HC)が0.5%より小さい場合も、織編物の通気性変化量も小さくなるおそれがある。
次いで、前記複合繊維を単独で用いるか、他の繊維も同時に用いて、乾燥時の通気性が50cc/cm/s以下となるように織編物密度を適宜選定して織編物を織編成した後、染色加工などの熱処理により前記複合繊維の捲縮を発現させる。
ここで、織編物を織編成する際、前述のように、重量基準で織編物全重量に対して、10重量%以上(好ましくは40重量%以上)であることが肝要である。また、織編組織は特に限定されず、前述のものを適宜選定することができる。
前記染色加工の温度としては100〜140℃(より好ましくは110〜135℃)、時間としてはトップ温度のキープ時間が5〜40分の範囲内であることが好ましい。かかる条件で、織編物に染色加工を施すことにより、前記複合繊維は、ポリエステル成分とポリアミド成分との熱収縮差により捲縮を発現する。その際、ポリエステル成分とポリアミド成分として、前述のポリマーを選定することにより、ポリアミド成分が捲縮の内側に位置する捲縮構造となる。
染色加工が施された織編物には、通常、乾熱ファイナルセットが施される。その際、乾熱ファイナルセットの温度としては120〜200℃(より好ましくは140〜180℃)、時間としては1〜3分の範囲内であることが好ましい。かかる、乾熱ファイナルセットの温度が120℃よりも低いと、染色加工時に発生したシワが残り易く、また、仕上がり製品の寸法安定性が悪くなるおそれがある。逆に、該乾熱ファイナルセットの温度が200℃よりも高いと、染色加工の際に発現した複合繊維の捲縮が低下したり、繊維が硬化し生地の風合いが硬くなるおそれがある。
また、かかる織編物に撥水加工を施す必要がある。かかる撥水加工は、前述のような通常の撥水加工でよい。
かくして得られた撥水性織編物において、織編物に含まれる複合繊維の捲縮率が、吸湿時に性能良く低下するため、複合繊維の糸長が長くなり、その結果、織編物中の空隙が大きくなり通気性が向上する。一方、乾燥時には複合繊維の捲縮率が大きくなるため、複合繊維の糸長が短くなり、その結果、織編物中の空隙が小さくなり通気性が低下する。
なお、本発明の織編物には、前記の加工以外に、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤、吸水剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
<ポリエステルの固有粘度>オルソクロロフェノールを溶媒として使用し温度35℃で測定した。
<ポリアミドの固有粘度>m−クレゾールを溶媒として使用し温度30℃で測定した。
<破断強度、破断伸度>繊維試料を、雰囲気温度25℃、湿度60%RHの恒温恒湿に保たれた部屋に一昼夜放置した後、サンプル長さ100mmで(株)島津製作所製引張試験機テンシロンにセットし、200mm/minの速度で伸張し、破断時の強度(cN/dtex)、伸度(%)を測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
<沸水収縮率>JIS L 1013−1998、7.15で規定される方法により、沸水収縮率(熱水収縮率)(%)を測定した。なお、n数3でその平均値を求めた。
<複合繊維の捲縮率>枠周:1.125mの巻き返し枠を用いて、荷重:49/50mN×9×トータルテックス(0.1gf×トータルデニール)をかけて一定の速度で巻き返し、巻き数:10回の小綛をつくり、該小綛をねじり2重の輪状にしたものに49/2500mN×20×9×トータルテックス(2mg×20×トータルデニール)の初荷重をかけたまま沸水中に入れて30分間処理し、該沸水処理の後100℃の乾燥機にて30分間乾燥し、その後さらに初荷重をかけたまま160℃の乾熱中に入れ5分間処理した。該乾熱処理の後に初荷重を除き、温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間以上放置した後、前記の初荷重および98/50mN×20×9×トータルテックス(0.2gf×20×トータルデニール)の重荷重を負荷し、綛長:L0を測定し、直ちに重荷重のみを取り除き、除重1分後の綛長:L1を測定した。さらにこの綛を初荷重をかけたまま温度20℃の水中に2時間浸漬した後取り出し、ろ紙(大きさ30cm×30cm)にて0.69mN/cm(70mgf/cm)の圧力を5秒間かけて軽く水を拭き取った後、初荷重および重荷重を負荷し綛長:L0’を測定し、直ちに重荷重のみを取り除き、除重1分後の綛長:L1’を測定する。以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率DC(%)、湿潤時の捲縮率HC(%)、乾燥時と湿潤時の捲縮率差(DC−HC)(%)を算出した。なお、n数は5で平均値を求めた。
乾燥時の捲縮率DC(%)=((L0−L1)/L0)×100
湿潤時の捲縮率HC(%)=(L0’−L1’)/L0’)×100
<織編物中における複合繊維の捲縮率>織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から織編物と同じ方向の30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。次いで、各々の小片から、複合繊維を取り出し、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて糸長L2を測定し、除重1分後0.0176mN/dtex(2mg/de)の荷重をかけて糸長L3を測定する。さらにこの糸を温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後、1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて糸長L2’を測定し、除重1分後0.0176mN/dtex(2mg/de)の荷重をかけて糸長L3’を測定する。以上の測定数値から下記の計算式にて、乾燥時の捲縮率DC(%)、吸湿時の捲縮率HC(%)、乾燥時と吸湿時の捲縮率差(DC−HC)(%)を算出した。なお、n数は5で平均値を求めた。
乾燥時の捲縮率DC(%)=((L0f−L1f)/L1f)×100
吸湿時の捲縮率HC(%)=(L0f’−L1f’)/L1f’)×100
<通気性>JIS L 1096−1998、6.27.1、A(フラジール型通気性試験機法)により乾燥時の通気性(cc/cm/s)と湿潤時の通気性(cc/cm/s)を測定した。ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、吸湿時とは、温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、それぞれ通気性(n数=5)を測定し、その平均を求めた。そして、通気性の変化率を下記式により算出した。
通気性の変化率(%)=((吸湿時の通気性)−(乾燥時の通気性))/(乾燥時の通気性)×100
<織編物の伸張率>荷重を1/10(1.47N=0.15kgf)に変更すること以外は、JIS L 1096 8.14。1、B法(定荷重法)と同じ方法で、織編物の経および緯方向の伸張率(%)を求めた。なお、n数は5で平均値を求めた。
<糸長の測定>まず、織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。続いて、各小片から、複合繊維糸条および他の繊維糸条を1本ずつ取り出し、複合繊維糸条の糸長A(mm)、他の繊維糸条の糸長B(mm)を測定した。その際、非弾性糸の場合は1.76mN/dtex(200mg/de)、弾性糸の場合は0.0088mN/dtex(1mg/de)の荷重をかけて測定した。なお、n数は5で平均値を求めた。
<撥水性>JIS L 1092 6.2(スプレー試験)により撥水性を測定した。
[実施例1]
固有粘度[η]が1.3のナイロン6と、固有粘度[η]が0.39で2.6モル%の5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートとをそれぞれ270℃、290℃にて溶融し、特開2000−144518号公報の図1と同様の複合紡糸口金を用い、それぞれ12.7g/分の吐出量にて押し出し、図1(イ)の単糸横断面形状を有するサイドバイサイド型複合繊維を形成させ、冷却固化、油剤を付与した後、糸条を速度1000m/分、温度60℃の予熱ローラーにて予熱し、ついで、該予熱ローラーと、速度3050m/分、温度150℃に加熱された加熱ローラー間で延伸熱処理を行い、巻取り、84dtex/24filの複合繊維を得た。該複合繊維において、破断強度3.4cN/dtex、破断伸度40%であった。また、該複合繊維に沸水処理を施して捲縮率を測定したところ、乾燥時の捲縮率DCが3.3%、湿潤時の捲縮率HCが1.6%、乾燥時の捲縮率DCと湿潤時の捲縮率HCとの差(DC−HC)が1.7%であった。
次いで、通常の28ゲージトリコット編機を使用して、前記複合繊維をフルセットでバック筬に通し、捲縮率20%の通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸条(33dtex/36fil)をフルセットでフロント筬に通し、ハーフ組織(バック10−12、フロント23−10)の編物、80コース/2.54cmの機上密度にてハーフ組織の編物を編成した。
そして、該編物を、温度130℃、キープ時間15分で染色加工し、複合繊維の潜在捲縮性能を顕在化させた後、フッ素樹脂系撥水加工液を用いてパデング処理し、次いで100℃の温度で乾燥させ、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
得られた編物において、目付け220g/m、経方向の伸張率13%、緯方向の伸張率30%、撥水性5点、乾燥時の通気性45cc/cm/s、吸湿時の通気性64cc/cm/s、通気性の変化率42%と吸湿時に通気性が大きく向上し満足なものであった。また、該編物から抜き取った複合繊維において、乾燥時の捲縮率DCが64%、吸湿時の捲縮率HCが32%、乾燥時と吸湿時の捲縮率差(DC−HC)が32%であった。
[比較例1]
固有粘度[η]が1.3のナイロン6と、固有粘度[η]が0.48で2.6モル%の5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートとをそれぞれ270℃、290℃にて溶融し、特開2000−144518号公報の図1と同様の複合紡糸口金を用い、それぞれ12.7g/分の吐出量にて押し出し、図1(イ)の単糸横断面形状を有するサイドバイサイド型複合繊維を形成させ、冷却固化、油剤を付与した後、糸条を速度1000m/分、温度60℃の予熱ローラーにて予熱し、ついで、該予熱ローラーと、速度2700m/分、温度150℃に加熱された加熱ローラー間で延伸熱処理を行い、巻取り、84dtex/24filの複合繊維を得た。該複合繊維において、破断強度2.3cN/dtex、破断伸度41%であった。また、該複合繊維に沸水処理を施して捲縮率を測定したところ、乾燥時の捲縮率DCが1.2%、湿潤時の捲縮率HCが3.9%、乾燥時の捲縮率DCと湿潤時の捲縮率HCとの差(DC−HC)が−2.7%であった。
次いで、前記の複合繊維を用いて、実施例1と同様に編物を製編した後、染色加工、撥水加工、および乾熱ファイナルセットを施した。
得られた編物において、目付け210g/m、経方向の伸張率12%、緯方向の伸張率22%、、撥水性5点、乾燥時の通気性54cc/cm/s、吸湿時の通気性41cc/cm/s、通気性の変化率−24%と吸湿時に通気性が低下してしまい不満足なものであった。また、該編物から抜き取った複合繊維において、乾燥時の捲縮率DCが56%、吸湿時の捲縮率HCが62%、乾燥時と吸湿時の捲縮率差(DC−HC)が−6%であった。
本発明によれば、織編物の通気性が、吸湿時に、乾燥時よりも可逆的に性能よく向上する撥水性織編物および繊維製品が得られ、その工業的価値は極めて大である。
本発明で用いられる複合繊維の単糸横断面形状を例示した模式図である。
符号の説明
P:ポリエステル成分
N:ポリアミド成分

Claims (14)

  1. 固有粘度が0.30〜0.39のポリエステル成分と固有粘度が1.0〜1.4のポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を、織編物の全重量に対して10重量%以上含む織編物であって、該織編物に撥水加工が施されており、かつ乾燥時の通気性が50cc/cm/s以下であり、該織編物から抜出した前記複合繊維が、潜在捲縮性能が発現してなる捲縮構造を有しており、該複合繊維の乾燥時の捲縮率をDC(%)、吸湿時の捲縮率をHC(%)とするとき、DC−HC≧10(%)であることを特徴とする吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
    ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、吸湿時とは、試料を温度30℃、湿度90%RH環境下に24時間放置した後の状態である。
  2. ポリエステル成分が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0〜4.5モル%共重合された変性ポリエステルからなる、請求項1に記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  3. 前記の複合繊維が、無撚糸、または300T/m以下の撚りが施された甘撚り糸である、請求項1または請求項2に記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  4. 織編物が、前記複合繊維と他の繊維とで構成される、請求項1〜3のいずれかに記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  5. 織編物の経方向および/または緯方向の伸縮率が10%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  6. 織編物が2層以上の多層構造織編物であって、該織編物の少なくとも一層に、該層を構成する総繊維重量のうち30重量%以上となるように前記複合繊維が含まれる、請求項5に記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  7. 前記の複合繊維と他の繊維とが、丸編組織の複合ループを形成してなる、請求項5に記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  8. 前記の複合繊維と他の繊維とが、引き揃えられて織組織の経糸および/または緯糸に配されてなる、請求項5に記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  9. 前記の複合繊維と他の繊維とが、各々織編物の構成糸条として、1本交互または複数本交互に配されてなる、請求項5に記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  10. 前記の複合繊維と他の繊維とが、前記の複合繊維が芯部に位置し、他の繊維が鞘部に位置する芯鞘型複合糸として織編物に含まれる、請求項5に記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  11. 他の繊維がポリエステル繊維である、請求項4〜10のいずれかに記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  12. 染色加工が施されてなる、請求項1〜11のいずれかに記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  13. 吸湿時における織編物の通気性が、乾燥時よりも30%以上高くなる、請求項1〜12のいずれかに記載の吸湿時に通気性が向上する撥水性織編物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の撥水性織編物を用いてなる、アウター用衣料、スポーツ用衣料、およびインナー用衣料からなる群より選択される繊維製品。
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