以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)という用語をELと略称する。
[第1の実施の形態]
〔ディスプレイパネルの平面レイアウト〕
図1には、アクティブマトリクス駆動方式で動作するカラー表示のディスプレイパネル1の絶縁基板2上に設けられた4ピクセルの画素3の概略平面図が示されている。このディスプレイパネル1においては、複数の赤サブピクセルPrが水平方向(行方向)に沿った一行に配列され、複数の緑サブピクセルPgが水平方向に沿った一行に配列され、複数の青サブピクセルPbが水平方向に沿った一行に配列されている。垂直方向の配列順に着目すると、赤サブピクセルPr、緑サブピクセルPg、青サブピクセルPbの順に繰り返し配列されている。そして、1ドットの赤サブピクセルPr、1ドットの緑サブピクセルPg、1ドットの青サブピクセルPbの組み合わせが1つの画素3となり、このような画素3がマトリクス状に配列されている。なお、以下の説明において、サブピクセルPはこれら赤サブピクセルPr、緑サブピクセルPg、青サブピクセルPbの中の任意のサブピクセルを表し、サブピクセルPについての説明は赤サブピクセルPr、緑サブピクセルPg、青サブピクセルPbの何れについても適用される。
また、垂直方向に沿って延在した3本の信号線Yr,Yg,Ybが1組となっており、3本の信号線Yr,Yg,Ybの組み合わせを信号線群4という。1群の信号線群4に着目すると3本の信号線Yr,Yg,Ybが互いに近接しているが、隣り合う信号線群4の間隔は同一信号線群4内の隣り合う信号線Yr,Yg,Ybの間隔よりも広い。そして、垂直方向(列方向)の画素3の列1列につき、1群の信号線群4が設けられている。すなわち、垂直方向に配列された1列のうちのサブピクセルPr,Pg,Pbは、1群の信号線群4の信号線Yr,Yg,Ybにそれぞれ接続されている。
ここで、信号線Yrは垂直方向の画素3の列のうち全ての赤サブピクセルPrに対して信号を供給するものであり、信号線Ygは垂直方向の画素3の列のうち全ての緑サブピクセルPgに対して信号を供給するものであり、信号線Ybは垂直方向の画素3の列のうち全ての青サブピクセルPbに対して信号を供給するものである。
また、垂直方向の画素3の列1列につき、1本の共通配線91が設けられている。すなわち、垂直方向のサブピクセルPr,Pg,Pbの列1列につき、1本の共通配線91が設けられている。共通配線91は、垂直方向に沿って延在しており、垂直方向に沿って配列されたサブピクセルPr、Pg,Pbの隣り合う列の間に配置されている。
また、水平方向の画素3の行1行につき、3本の供給線Zr,Zg,Zbと1本の走査線Xが設けられている。走査線Xは、水平方向に延在しており、水平方向に配列された青サブピクセルPbの列とその隣りの赤サブピクセルPrの列との間に配置されている。ここで、走査線Xは水平方向に沿った一行に配列された画素3の全サブピクセルPr,Pg,Pbに信号を供給するものである。
供給線Zrは、水平方向に延在しており、水平方向に配列された青サブピクセルPbの行とその隣りの赤サブピクセルPrの行との間に配置されている。供給線Zgは、水平方向に延在しており、水平方向に配列された赤サブピクセルPrの行とその隣の緑サブピクセルPgの行との間に配置されている。供給線Zbは、水平方向に延在しており、水平方向に配列された緑サブピクセルPgの行とその隣の青サブピクセルPbの行との間に配置されている。
ここで、供給線Zrは水平方向に沿った一行に配列された全ての赤サブピクセルPrに信号を供給するものであり、供給線Zgは水平方向に沿った一行に配列された全ての緑サブピクセルPgに信号を供給するものであり、供給線Zbは水平方向に沿った一行に配列された全ての青サブピクセルPbに信号を供給するものである。なお、水平方向の画素3の行における3本の供給線Zr,Zg,Zbが1組となっており、3本の供給線Zr,Zg,Zbがディスプレイパネル1の周辺部において互いに導通している。
また、平面視して、供給線Zrには給電配線90rが延在方向に重なることによって電気的に導通されており、供給線Zgには給電配線90gが延在方向に重なることによって電気的に導通されており供給線Zbには給電配線90bが延在方向に重なることによって電気的に導通されている。
サブピクセルPr,Pg,Pbの色は、後述する有機EL素子20(図2等に図示)の発光色によって定まる。図1において垂直方向に長尺な矩形状で示されたサブピクセルPr,Pg,Pbの位置は、有機EL素子20のアノードであるサブピクセル電極20a(図2等に図示)の位置を表したものである。すなわち、ディスプレイパネル1全体に着目して平面視した場合、複数のサブピクセル電極20aがマトリクス状に配列されており、1つのサブピクセル電極20aによって1ドットのサブピクセルPが定まる。従って、給電配線90rと隣の給電配線90gとの間において複数のサブピクセル電極20aが水平方向に沿った一行に配列され、給電配線90gと隣の給電配線90bとの間において複数のサブピクセル電極20aが水平方向に沿った一行に配列され、給電配線90bと隣りの給電配線90rとの間において複数のサブピクセル電極20aが水平方向に沿った一行に配列されている。また、信号線群4上には、当該信号線群4上方に位置する電極又は配線との間で寄生容量とならない程度に十分な厚さの絶縁膜を介在させていれば、信号線群4は、当該信号線群4に接続されたサブピクセル電極20aと平面視して重なってもよく、また、当該信号線群4に接続されたサブピクセルに隣接する一方のサブピクセルのサブピクセル電極20aと平面視して重なってもよい。ディスプレイパネル1がボトムエミッション構造であれば、信号線群4は、サブピクセル電極20aと平面視して重ならないことが好ましい。
m、nをそれぞれ2以上の整数とし、画素3が垂直方向に沿ってmピクセルだけ、水平方向に沿ってnピクセルだけ配列されていると、サブピクセル電極20aは垂直方向に沿ってサブピクセルの一列分の数と同数の(3×m)個だけ、水平方向に沿ってサブピクセルの一行分の数と同数のn個だけ配列されている。この場合、信号線群4がn群になり、共通配線91がn本又は(n+1)本だけ配列され、走査線X、供給線Zr、供給線Zg、供給線Zb、給電配線90r、給電配線90g及び給電配線90bがそれぞれm本だけ配列されている。後述する有機EL素子20の有機EL層20bとなる有機化合物含有液を一行分のサブピクセル内に堰き止める撥液絶縁膜53の総和は(3×m+1)本になり、そのうち(3×m)本は、それぞれ供給線Zr、供給線Zg及び供給線Zbを介して駆動トランジスタ23に接続され、残りの1本は、駆動トランジスタ23と接続されていない。
〔サブピクセルの回路構成〕
次に、サブピクセルPr,Pg,Pbの回路構成について図2の等価回路図を用いて説明する。何れのサブピクセルPr,Pg,Pbも同様に構成されており、1ドットのサブピクセルPにつき、有機EL素子20、Nチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(以下単にトランジスタと記述する。)21,22,23及びキャパシタ24が設けられている。以下では、トランジスタ21をスイッチトランジスタ21と称し、トランジスタ22を保持トランジスタ22と称し、トランジスタ23を駆動トランジスタ23と称する。なお、図2及び以下の説明において、赤サブピクセルPrの場合では信号線Y、供給線Z、給電配線90がそれぞれ図1の信号線Yr、供給線Zr、給電配線90rを表し、緑サブピクセルPgの場合では信号線Y、供給線Z、給電配線90がそれぞれ図1の信号線Yg、供給線Zg、給電配線90gを表し、青サブピクセルPbの場合では信号線Y、供給線Z、給電配線90がそれぞれ図1の信号線Yb、供給線Zb、給電配線90bを表す。
スイッチトランジスタ21においては、ソース21sが信号線Yに導通し、ドレイン21dが有機EL素子20のサブピクセル電極20a、駆動トランジスタ23のソース23s及びキャパシタ24の上層電極24Bに導通し、ゲート21gが保持トランジスタ22のゲート22g及び走査線Xに導通している。
保持トランジスタ22においては、ソース22sが駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24Aに導通し、ドレイン22dが駆動トランジスタ23のドレイン23d及び供給線Zに導通し、ゲート22gがスイッチトランジスタ21のゲート21g及び走査線Xに導通している。
駆動トランジスタ23においては、ソース23sが有機EL素子20のサブピクセル電極20a、スイッチトランジスタ21のドレイン21d及びキャパシタ24の上層電極24Bに導通し、ドレイン23dが保持トランジスタ22のドレイン22d及び供給線Zに導通し、ゲート23gが保持トランジスタ22のソース22s及びキャパシタ24の下層電極24Aに導通している。
有機EL素子20のカソードとなる対向電極20cは低抵抗の複数の共通配線91,91,…に導通し面内で等電位となっている。
垂直方向に沿った一列に配列された何れの赤サブピクセルPrのスイッチトランジスタ21のソース21sも共通の信号線Yrに導通し、垂直方向に沿った一列に配列された何れの緑サブピクセルPgのスイッチトランジスタ21のソース21sも共通の信号線Ygに導通し、垂直方向に沿った一列に配列された何れの青サブピクセルPbのスイッチトランジスタ21のソース21sも共通の信号線Ybに導通している。
一方、水平方向に沿った一行に配列された画素3の何れのサブピクセルPr,Pg,Pbのスイッチトランジスタ21のゲート21gも共通の走査線Xに導通し、水平方向に沿った一行に配列された画素3の何れのサブピクセルPr,Pg,Pbの保持トランジスタ22のゲート22gも共通の走査線Xに導通している。水平方向に沿った一行に配列された何れの赤サブピクセルPrの保持トランジスタ22のドレイン22dも共通の供給線Zrに導通し、水平方向に沿った一行に配列された何れの緑サブピクセルPgの保持トランジスタ22のドレイン22dも共通の供給線Zgに導通し、水平方向に沿った一行に配列された何れの青サブピクセルPbの保持トランジスタ22のドレイン22dも共通の供給線Zbに導通している。
〔画素の平面レイアウト〕
画素3の平面レイアウトについて図3〜図5を用いて説明する。図3は、赤サブピクセルPrの電極を主に示した平面図であり、図4は、緑サブピクセルPgの電極を主に示した平面図であり、図5は、青サブピクセルPbの電極を主に示した平面図である。なお、図3〜図5においては、図面を見やすくするために、有機EL素子20のサブピクセル電極20a及び対向電極20cの図示を省略する。
図3に示すように、赤サブピクセルPrにおいては、平面視して、駆動トランジスタ23が供給線Zrに沿うように配置され、スイッチトランジスタ21が供給線Zgに沿うように配置され、保持トランジスタ22が供給線Zrの近くの赤サブピクセルPrの角部に配置されている。
図4に示すように、緑サブピクセルPgにおいては、平面視して、駆動トランジスタ23が供給線Zgに沿うように配置され、スイッチトランジスタ21が供給線Zbに沿うように配置され、保持トランジスタ22が供給線Zgの近くの緑サブピクセルPgの角部に配置されている。
図5に示すように、青サブピクセルPbにおいては、平面視して、駆動トランジスタ23が供給線Zbに沿うように配置され、スイッチトランジスタ21が走査線Xに沿うように配置され、保持トランジスタ22が供給線Zbの近くの青サブピクセルPbの角部に配置されている。
図3〜図5に示すように、何れのサブピクセルPr,Pg,Pbでも、キャパシタ24が隣の列の信号線群4に沿って配置されている。
ディスプレイパネル1全体を平面視して、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbのスイッチトランジスタ21だけに着目すると、複数のスイッチトランジスタ21がマトリクス状に配列され、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbの保持トランジスタ22だけに着目すると、複数の保持トランジスタ22がマトリクス状に配列され、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbの駆動トランジスタ23だけに着目すると、複数の駆動トランジスタ23がマトリクス状に配列されている。
〔ディスプレイパネルの層構造〕
ディスプレイパネル1の層構造について図6、図7を用いて説明する。ここで、図6は、図3〜図5に示された破断線VI−VIに沿って絶縁基板2の厚さ方向に切断した矢視断面図であり、図7は、図5に示された破断線VII−VIIに沿って絶縁基板2の厚さ方向に切断した矢視断面図である。
ディスプレイパネル1は、光透過性を有する絶縁基板2に対して種々の層を積層したものである。絶縁基板2は可撓性のシート状に設けられているか、又は剛性の板状に設けられている。
まず、トランジスタ21〜23の層構造について説明する。図6に示すように、スイッチトランジスタ21は、絶縁基板2上に形成されたゲート21gと、ゲート21g上に形成されたゲート絶縁膜31と、ゲート絶縁膜31を挟んでゲート21gに対向した半導体膜21cと、半導体膜21cの中央部上に形成されたチャネル保護膜21pと、半導体膜21cの両端部上において互いに離間するよう形成され、チャネル保護膜21pに一部重なった不純物半導体膜21a,21bと、不純物半導体膜21a上に形成されたドレイン21dと、不純物半導体膜21b上に形成されたソース21sと、から構成されている。なお、ドレイン21d及びソース21sは一層構造であっても良いし、二層以上の積層構造であっても良い。
駆動トランジスタ23は、絶縁基板2上に形成されたゲート23gと、ゲート23g上に形成されたゲート絶縁膜31と、ゲート絶縁膜31を挟んでゲート23gに対向した半導体膜23cと、半導体膜23cの中央部上に形成されたチャネル保護膜23pと、半導体膜23cの両端部上において互いに離間するよう形成され、チャネル保護膜23pに一部重なった不純物半導体膜23a,23bと、不純物半導体膜23a上に形成されたドレイン23dと、不純物半導体膜23b上に形成されたソース23sと、から構成されている。図3〜図5に示すように平面視した場合、駆動トランジスタ23が櫛歯状に設けられていることで、駆動トランジスタ23のチャネル幅が広くなっている。ドレイン23d及びソース23sは一層構造であっても良いし、二層以上の積層構造であっても良い。
なお、保持トランジスタ22は、駆動トランジスタ23と同様の層構造となっているため、保持トランジスタ22の断面図については省略する。また、何れのサブピクセルPr,Pg,Pbでも、スイッチトランジスタ21、保持トランジスタ22及び駆動トランジスタ23が同様の層構造になっている。
次に、キャパシタ24の層構造について説明する。図3〜図5に示すように、キャパシタ24は、絶縁基板2上に形成された下層電極24Aと、下層電極24A上に形成されたゲート絶縁膜31と、ゲート絶縁膜31を挟んで下層電極24Aに対向した上層電極24Bと、から構成されている。何れのサブピクセルPr,Pg,Pbでもキャパシタ24は同様の層構造になっている。
次に、図3〜図7を用いて、トランジスタ21〜23及びキャパシタ24の各層と信号線Yr,Yg,Yb、走査線X及び供給線Zr,Zg,Zbとの関係について説明する。
全てのサブピクセルPr,Pg,Pbのスイッチトランジスタ21のゲート21g、保持トランジスタ22のゲート22g、駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24A並びに全ての信号線Yr,Yg,Ybは、絶縁基板2上にべた一面に成膜された導電性膜をフォトリソグラフィー法・エッチング法によってパターニングすることで形成されたものである。以下では、スイッチトランジスタ21のゲート21g、保持トランジスタ22のゲート22g、駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24A並びに信号線Yr,Yg,Ybの元となる導電性膜をゲートレイヤーという。
ゲート絶縁膜31は、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbのスイッチトランジスタ21、保持トランジスタ22、駆動トランジスタ23及びキャパシタ24に共通した絶縁膜であり、面内にべた一面に成膜されている。従って、ゲート絶縁膜31は、スイッチトランジスタ21のゲート21g、保持トランジスタ22のゲート22g、駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24A並びに信号線Yr,Yg,Ybを被覆している。
全てのサブピクセルPr,Pg,Pbのスイッチトランジスタ21のドレイン21d・ソース21s、保持トランジスタ22のドレイン22d・ソース22s、駆動トランジスタ23のドレイン23d・ソース23s及びキャパシタ24の上層電極24B並びに全ての走査線X及び供給線Zr,Zg,Zbは、ゲート絶縁膜31上にべた一面に成膜された導電性膜をフォトリソグラフィー法・エッチング法によってパターニングすることで形成されたものである。以下では、スイッチトランジスタ21のドレイン21d・ソース21s、保持トランジスタ22のドレイン22d・ソース22s、駆動トランジスタ23のドレイン23d・ソース23s及びキャパシタ24の上層電極24B並びに走査線X及び供給線Zr,Zg,Zbの元となる導電性膜をドレインレイヤーという。
1つの画素3につき1つのコンタクトホール92がゲート絶縁膜31の走査線Xに重なる箇所に形成され、サブピクセルPr,Pg,Pbのスイッチトランジスタ21のゲート21g及び保持トランジスタ22のゲート22gがコンタクトホール92を介して走査線Xに導通している。1ドットのサブピクセルPにつき1つのコンタクトホール94がゲート絶縁膜31の信号線Yに重なる箇所に形成され、何れのサブピクセルPr,Pg,Pbにおいても、スイッチトランジスタ21のソース21sがコンタクトホール94を介して信号線Yに導通している。1ドットのサブピクセルPにつき1つのコンタクトホール93がゲート絶縁膜31の下層電極24Aに重なる箇所に形成され、何れのサブピクセルPr,Pg,Pbにおいても保持トランジスタ22のソース22sが駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24Aに導通している。
何れのサブピクセルPr,Pg,Pbにおいても、保持トランジスタ22のドレイン22d及び駆動トランジスタ23のドレイン23dが供給線Zと一体に設けられている。
全てのサブピクセルPr,Pg,Pbのスイッチトランジスタ21、保持トランジスタ22及び駆動トランジスタ23並びに全ての走査線X及び供給線Zは、べた一面に成膜された窒化シリコン又は酸化シリコン等の保護絶縁膜32によって被覆されている。なお、詳細については後述するが、保護絶縁膜32は、供給線Zr,Zg,Zbに重なる箇所で矩形状に分断されている。
保護絶縁膜32には平坦化膜33が積層されており、スイッチトランジスタ21、保持トランジスタ22及び駆動トランジスタ23並びに走査線X及び供給線Zr,Zg,Zbによる凹凸が平坦化膜33によって解消されている。つまり、平坦化膜33の表面が平坦となっている。平坦化膜33は、ポリイミド等の感光性絶縁樹脂を硬化させたものである。なお、詳細については後述するが、平坦化膜33は、供給線Zr,Zg,Zbに重なる箇所で矩形状に分断されている。
このディスプレイパネル1をボトムエミッション型として用いる場合、すなわち、絶縁基板2を表示面として用いる場合には、ゲート絶縁膜31、保護絶縁膜32及び平坦化膜33には透明な材料を用いる。絶縁基板2から平坦化膜33までの積層構造をトランジスタアレイ基板50という。
何れの供給線Zr,Zg,Zbにおいても、保護絶縁膜32及び平坦化膜33の供給線Zに重なる箇所には、水平方向に沿って長尺な溝34が凹設され、これら溝34によって保護絶縁膜32及び平坦化膜33が矩形状に分断されている。溝34には給電配線90r,90g,90bがそれぞれ埋設されており、溝34内において給電配線90r,90g,90bが供給線Zr,Zg,Zbにそれぞれ積層されている。以上により、給電配線90r,90g,90bが供給線Zr,Zg,Zbにそれぞれ導通している。このため、給電配線90r,90g,90bはサブピクセル電極20cより下方に位置している。
何れの給電配線90r,90g,90bも、それぞれ供給線Zr,Zg,Zbを下地として電解メッキ法により形成されたものであるので、供給線Zr,Zg,Zbよりも十分に厚い。更には、給電配線90r,90g,90bの厚さが保護絶縁膜32と平坦化膜33の厚さの総計よりも薄く、給電配線90r,90g,90bが平坦化膜33の表面よりも低い位置にある。給電配線90r,90g,90bは、銅、アルミ、金若しくはニッケルのうちの少なくともいずれかを含むことが好ましい。給電配線90r,90g,90bの表面には、撥水性・撥油性を有した撥液絶縁膜53がそれぞれ成膜され、撥液絶縁膜53が溝34から平坦化膜33の表面よりも隆起している。これにより、撥液絶縁膜53が平坦化膜33の表面において露出している。撥液絶縁膜53は給電配線90r,90g,90bに電着されたフッ素樹脂電着塗料からなり、電着塗装によって成膜されたものである。
平坦化膜33の表面、即ちトランジスタアレイ基板50の表面上には、複数のサブピクセル電極20aがマトリクス状に配列されている。これらサブピクセル電極20aは、平坦化膜33上にべた一面に成膜された透明導電性膜をフォトリソグラフィー法・エッチング法によってパターニングしたものである。
サブピクセル電極20aは、有機EL素子20のアノードとして機能する電極である。即ち、サブピクセル電極20aの仕事関数が比較的高く、後述する有機EL層20bへ正孔を効率よく注入するものが好ましい。また、サブピクセル電極20aは、ボトムエミッションの場合、可視光に対して透過性を有している。サブピクセル電極20aとしては、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)又はカドミウム−錫酸化物(CTO)を主成分としたものがある。
なお、このディスプレイパネル1をトップエミッション型として用いる場合、すなわち、絶縁基板2の反対側を表示面として用いる場合には、サブピクセル電極20aと平坦化膜33との間に、導電性且つ可視光反射性の高い反射膜を成膜するか、サブピクセル電極20a自体を反射性電極とすれば良い。
1ドットのサブピクセルPにつき1つのコンタクトホール88が平坦化膜33及び保護絶縁膜32のサブピクセル電極20aに重なる箇所に形成され、そのコンタクトホール88に導電性パッドが埋設されている。何れのサブピクセルPr,Pg,Pbにおいても、サブピクセル電極20aが、キャパシタ24の上層電極24B、スイッチトランジスタ21のドレイン21d及び駆動トランジスタ23のソース23sに導通している。
サブピクセル電極20a上には、有機EL素子20の有機EL層20bが成膜されている。有機EL層20bは広義の発光層であり、有機EL層20bには、有機化合物である発光材料(蛍光体)が含有されている。有機EL層20bは、サブピクセル電極20aから順に正孔輸送層、狭義の発光層の順に積層した二層構造である。正孔輸送層は、導電性高分子であるPEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなり、狭義の発光層は、ポリフルオレン系発光材料からなる。
赤サブピクセルPrの場合には、有機EL層20bが赤色に発光し、緑サブピクセルPgの場合には、有機EL層20bが緑色に発光し、青サブピクセルPbの場合には、有機EL層20bが青色に発光する。
有機EL層20bはサブピクセル電極20aごとに独立して設けられ、平面視した場合、複数の有機EL層20bがマトリクス状に配列されている。なお、給電配線90rと給電配線90gとの間において水平方向に沿った一行に配列された赤サブピクセルPrが全て赤色なので、給電配線90rと給電配線90gとの間において水平方向に沿った一行に配列された複数のサブピクセル電極20aが、垂直方向に沿って帯状に長尺な共通の赤色発光の有機EL層20bによって被覆されていても良い。同様に、給電配線90gと給電配線90bとの間において水平方向に沿った一行に配列された複数のサブピクセル電極20aが、垂直方向に沿って帯状に長尺な共通の緑色発光の有機EL層20bによって被覆されていても良いし、給電配線90bと給電配線90rとの間において水平方向に沿った一行に配列された複数のサブピクセル電極20aが、水平方向に沿って帯状に長尺な共通の青色発光の有機EL層20bによって被覆されていても良い。
有機EL層20bは、撥液絶縁膜53の形成後に湿式塗布法(例えば、インクジェット法)によって成膜される。この場合、サブピクセル電極20aに有機化合物含有液を塗布するが、垂直方向に隣り合うサブピクセル電極20a間において撥液絶縁膜53がトランジスタアレイ基板50の表面に設けられているから、サブピクセル電極20aに塗布された有機化合物含有液が隣のサブピクセル電極20aに漏れることがない。従って、有機EL層20bを湿式塗布法によって色ごとに塗り分けることができる。
更に、撥液絶縁膜53の撥水性・撥油性によって、サブピクセル電極20aに塗布された有機化合物含有液がサブピクセル電極20aの周囲で厚くならないので、有機EL層20bを均一な膜厚で成膜することができる。
なお、有機EL層20bは、二層構造の他に、サブピクセル電極20aから順に正孔輸送層、狭義の発光層、電子輸送層となる三層構造であっても良いし、狭義の発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子或いは正孔の注入層が介在した積層構造であっても良いし、その他の積層構造であっても良い。
有機EL層20b上には、有機EL素子20のカソードとして機能する対向電極20cが成膜されている。対向電極20cは、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbに共通して形成された共通電極であり、べた一面に成膜されている。給電配線90r,90g,90bに撥液絶縁膜53がコーティングされているから、対向電極20cが給電配線90r,90g,90bの何れに対しても絶縁されている。
対向電極20cは、サブピクセル電極20aよりも仕事関数の低い材料で形成されており、例えば、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、インジウム、希土類金属の少なくとも一種を含む単体又は合金で形成されているされていることが好ましい。また、対向電極20cは、上記各種材料の層が積層された積層構造となっていても良いし、以上の各種材料の層に加えてシート抵抗を低くするために酸化されにくい金属層が堆積した積層構造となっていても良く、具体的には、有機EL層20bと接する界面側に設けられた低仕事関数の高純度のバリウム層と、バリウム層を被覆するように設けられたアルミニウム層との積層構造や、下層にリチウム層、上層にアルミニウム層が設けられた積層構造が挙げられる。またトップエミッション構造の場合、対向電極20cを上述のような低仕事関数の薄膜とその上にITO等の透明導電膜を積層した透明電極としてもよい。
水平方向の画素3の隣り合う列の間であって対向電極20c上には、共通配線91が積層されている。そのため、図2の回路図に示すように、対向電極20cは共通配線91に対して導通している。共通配線91は、メッキ法により形成されたものであるので、対向電極20cやトランジスタ21〜23の各電極よりも十分に厚い。
また、対向電極20c上には、封止絶縁膜56が成膜されている。封止絶縁膜56は対向電極20c全体を被覆するとともに全ての共通配線91を被覆し、対向電極20c及び共通配線91の劣化を防止するために設けられている無機膜又は有機膜である。
なお、従来、トップエミッション型構造のELディスプレイパネルは、対向電極20cの少なくとも一部を金属酸化物のように抵抗値が高い透明電極を用いることになるが、このような材料は十分に厚くしなければシート抵抗が十分に低くならないので、厚くすることによって必然的に有機EL素子の透過率が下がってしまい、大画面になるほど面内で均一の電位になりにくく表示特性が低くなってしまっていた。
しかしながら、本実施形態では、水平方向に十分な厚さのために低抵抗な複数の共通配線91,91,…、を設けているので、対向電極20cと合わせて有機EL素子20,20,…のカソード電極全体のシート抵抗値を下げ、十分且つ面内で均一に大電流を流すことが可能となる。さらにこのような構造では、共通配線91,91,…がカソード電極としてのシート抵抗を下げているので、対向電極20cを薄膜にして透過率を向上したりすることが可能である。なおトップエミッション構造では、画素電極20aを反射性の材料としてもよい。
そして、薄膜トランジスタを形成する際の導電層以外の厚膜の導電層を用いて形成された給電配線90r,90g,90bをそれぞれ供給線Zr,Zg,Zbに電気的に接続するように設けているので、薄膜トランジスタの導電層のみで形成された供給線Zr,Zg,Zbでの電圧降下による複数の有機EL素子20に後述する書込電流や駆動電流が所定の電流値に達するまでの遅延を防止し、良好に駆動することが可能となる。
〔ディスプレイパネルの駆動方法〕
第一のディスプレイパネル1の構造では、図8に示すように、走査線X1〜Xmがそれぞれ接続された選択ドライバ111が絶縁基板2の第一の周縁部に配置され、互いに電気的に絶縁された給電配線90r,90g,90bが接続された給電ドライバ112が絶縁基板2の第一の周縁部と対向する周縁部である第二周縁部に配置されている。第一のディスプレイパネル1をアクティブマトリクス方式で駆動するには、次のようになる。すなわち、図9に示すように、走査線X1〜Xmに接続された選択ドライバ111によって、走査線X1から走査線Xmへの順(走査線Xmの次は走査線X1)にハイレベルのシフトパルスを順次出力することにより走査線X1〜Xmを順次選択する。また、選択期間に各給電配線90を介して供給線Z1〜Zmにそれぞれ接続された駆動トランジスタ23に書込電流を流すための書込給電電圧VLを印加し、発光期間に駆動トランジスタ23を介して有機EL素子20に駆動電流を流すための駆動給電電圧VHを印加する給電ドライバ112が各給電配線90に接続されている。ここで1本の供給線Ziは、給電配線90r,90g,90bの3本に相当している。この給電ドライバ112によって、選択ドライバ111と同期するよう、供給線Z1から供給線Zmへの順(供給線Zmの次は供給線Z1)にローレベル(有機EL素子20の対向電極の電圧より低レベル)の書込給電電圧VLを順次出力することにより供給線Z1〜Zmを順次選択する。また、選択ドライバ111が各走査線X1〜Xmを選択している時に、データドライバが書込電流である書込電流(電流信号)を所定の行の駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を介して全信号線Y1〜Ynに流す。このとき供給線Z1〜Zmに接続された給電配線90には、給電ドライバ112によって絶縁基板2の左右周縁に位置する給電配線90の両端部である配線端子の両方からローレベルの書込給電電圧VLが出力される。なお、対向電極20c及び共通配線91は配線端子によって外部と接続され、一定のコモン電位Vcom(例えば、接地=0ボルト)に保たれている。
信号線Y1〜Ynの延在した方向を垂直方向(列方向)といい、走査線X1〜Xmの延在した方向を水平方向(行方向)という。また、m,nは2以上の自然数であり、走査線Xに下付けした数字は図1において上からの配列順を表し、供給線Zに下付けした数字は図1において上からの配列順を表し、信号線Yに下付けした数字は図1において左からの配列順を表し、画素回路Pに下付けした数字の前側が上からの配列順を表し、後ろ側が左からの配列順を表す。すなわち、1〜mのうちの任意の自然数をiとし、1からnのうちの任意の自然数をjとした場合に、走査線Xiは上からi行目であり、供給線Ziは左からi行目であり、信号線Yjは左からj列目であり、画素回路Pi,jは上からi行目、左からj列目であり、画素回路Pi,jは走査線Xi、供給線Zi及び信号線Yjに接続されている。
画素回路Pi,jは、画素としての有機EL素子20と、有機EL素子20の周囲に配置された三つのNチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(以下単にトランジスタと記述する。)21,22,23と、キャパシタ24と、を備える。
各選択期間において、データドライバ側の電位は、給電配線90,90,…及び供給線Z1〜Zmに出力された書込給電電圧VL以下で且つこの書込給電電圧VLはコモン電位Vcom以下に設定されている。したがってこの時、有機EL素子20から信号線Y1〜Ynに流れることはないので図2に示すように、データドライバによって階調に応じた電流値の書込電流(書込電流)が矢印Aの通り、信号線Y1〜Ynに流れ、画素回路Pi,jにおいては給電配線90及び供給線Ziから駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間、スイッチトランジスタ21のソース−ドレイン間を介して信号線Yjに向かった書込電流(書込電流)が流れる。このように駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を流れる電流の電流値は、データドライバによって一義的に制御され、データドライバは、外部から入力された階調に応じて書込電流(書込電流)の電流値を設定する。書込電流(書込電流)が流れている間、i行目のPi,1〜Pi,nの各駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧は、それぞれ信号線Y1〜Ynに流れる書込電流(書込電流)の電流値、つまり駆動トランジスタ23のVg−Ids特性の経時変化にかかわらず駆動トランジスタ23のドレイン23d−ソース23s間を流れる書込電流(書込電流)の電流値に見合うように強制的に設定され、この電圧のレベルに従った大きさの電荷がキャパシタ24にチャージされて、書込電流(書込電流)の電流値が駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧のレベルに変換される。その後の発光期間では、走査線Xiがローレベルになり、スイッチトランジスタ21及び保持トランジスタ22がオフ状態となるが、オフ状態の保持トランジスタ22によってキャパシタ24の電極24A側の電荷が閉じ込められてフローティング状態になり、駆動トランジスタ23のソース23sの電圧が選択期間から発光期間に移行する際に変調しても、駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電位差がそのまま維持される。この発光期間では、供給線Zi及びそれに接続された給電配線90の電位が駆動給電電圧VHとなり、有機EL素子20の対向電極20cの電位Vcomより高くなることによって、供給線Zi及びそれに接続された給電配線90から駆動トランジスタ23を介して有機EL素子20に駆動電流が矢印Bの方向に流れ、有機EL素子20が発光する。駆動電流の電流値は駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧に依存するため、発光期間における駆動電流の電流値は、選択期間における書込電流(引抜電流)の電流値に等しくなる。
そして、第二のディスプレイパネル1の構造は、図10に示すように、走査線X1〜Xmがそれぞれ接続された選択ドライバ111が絶縁基板2の第一の周縁部に配置され、給電配線90r,90g,90bが互いに電気的に接続された引き回し配線90cが絶縁基板2の第一の周縁部と対向する周縁部である第二周縁部に配置されている。引き回し配線90cは、第一周縁部及び第二周縁部と直交する第三の周縁部及び第四の周縁部のそれぞれに位置する端子部90d及び端子部90eの両方からクロック信号が入力されている。第二のディスプレイパネル1のアクティブマトリクス駆動方法は次のようになる。すなわち、図11に示すように、発振回路によって引き回し配線90c給電配線90,90,…及び供給線Z1〜Zmに対してクロック信号を出力する。また、選択ドライバ111によって走査線X1から走査線Xmへの順(走査線Xmの次は走査線X1)にハイレベルのシフトパルスを順次出力することにより走査線X1〜Xmを順次選択するが、選択ドライバ111が走査線X1〜Xmの何れか1つにシフトパルスを出力している時には発振回路のクロック信号がローレベルになる。また、選択ドライバ111が各走査線X1〜Xmを選択している時に、データドライバが書込電流である引抜電流(電流信号)を駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を介して全信号線Y1〜Ynに流す。なお、対向電極20c及び給電配線90の一定のコモン電位Vcom(例えば、接地=0ボルト)に保たれている。
走査線Xiの選択期間においては、i行目の走査線Xiにシフトパルスが出力されているから、スイッチトランジスタ21及び保持トランジスタ22がオン状態となる。各選択期間において、データドライバ側の電位は、給電配線90,90,…及び供給線Z1〜Zmに出力されたクロック信号のローレベル以下で且つこのクロック信号のローレベルはコモン電位Vcom以下に設定されている。したがってこの時、有機EL素子20から信号線Y1〜Ynに流れることはないので図2に示すように、データドライバによって階調に応じた電流値の書込電流(引抜電流)が矢印Aの通り、信号線Y1〜Ynに流れ、画素回路Pi,jにおいては給電配線90及び供給線Ziから駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間、スイッチトランジスタ21のソース−ドレイン間を介して信号線Yjに向かった書込電流(引抜電流)が流れる。このように駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を流れる電流の電流値は、データドライバによって一義的に制御され、データドライバは、外部から入力された階調に応じて書込電流(引抜電流)の電流値を設定する。書込電流(引抜電流)が流れている間、i行目のPi,1〜Pi,nの各駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧は、それぞれ信号線Y1〜Ynに流れる書込電流(引抜電流)の電流値、つまり駆動トランジスタ23のVg−Ids特性の経時変化にかかわらず駆動トランジスタ23のドレイン23d−ソース23s間を流れる書込電流(引抜電流)の電流値に見合うように強制的に設定され、この電圧のレベルに従った大きさの電荷がキャパシタ24にチャージされて、書込電流(引抜電流)の電流値が駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧のレベルに変換される。その後の発光期間では、走査線Xiがローレベルになり、スイッチトランジスタ21及び保持トランジスタ22がオフ状態となるが、オフ状態の保持トランジスタ22によってキャパシタ24の電極24A側の電荷が閉じ込められてフローティング状態になり、駆動トランジスタ23のソース23sの電圧が選択期間から発光期間に移行する際に変調しても、駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電位差がそのまま維持される。この発光期間のうち、いずれの行の選択期間でもない間、つまり、クロック信号が給電配線90及び供給線Ziの電位が有機EL素子20の対向電極20c及び給電配線90の電位Vcomより高いハイレベルの間、より高電位の給電配線90及び供給線Ziから駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を介して有機EL素子20に駆動電流が矢印Bの方向に流れ、有機EL素子20が発光する。駆動電流の電流値は駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧に依存するため、発光期間における駆動電流の電流値は、選択期間における書込電流(引抜電流)の電流値に等しくなる。また発光期間において、いずれかの行の選択期間の間、つまりクロック信号がローレベルである時は、給電配線90及び供給線Ziの電位が対向電極20c及び給電配線90の電位Vcom以下であるので、有機EL素子20に駆動電流は流れず発光しない。
何れの駆動方法においても、スイッチトランジスタ21は、駆動トランジスタ23のソース23sと信号線Yとの間の電流のオン(選択期間)・オフ(発光期間)を行うものとして機能する。また、保持トランジスタ22は、選択期間に駆動トランジスタ23のソース23s−ドレイン23d間に電流が流れることができる状態にし、発光期間に駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間に印加した電圧を保持するものとして機能する。そして、駆動トランジスタ23は、発光期間中に供給線Zr,Zg,Zb及び給電配線90r,90g,90bがハイレベルになった時に、階調に応じた大きさの電流を有機EL素子20に流して有機EL素子20を駆動するものとして機能する。
以上のように、給電配線90r、90g、90bをそれぞれ流れる電流の大きさは一列の供給線Zi(Zr,Zg,Zbのいずれか1本)に接続されたn個の有機EL素子20に流れる駆動電流の大きさの和になるので、VGA以上の画素数で動画駆動するための選択期間に設定した場合、給電配線90r、90g、90bのそれぞれの寄生容量が増大してしまい、薄膜トランジスタのゲート電極又はソース、ドレイン電極のような薄膜からなる配線ではn個の有機EL素子20に書込電流(つまり駆動電流)を流すには抵抗が高すぎるが、本実施形態では、画素回路P1,1〜Pm,nの薄膜トランジスタのゲート電極やソース、ドレイン電極とは異なる導電層によって給電配線90r、90g、90bをそれぞれ構成しているので各給電配線90r、90g、90bによる電圧降下は小さくなり、短い選択期間であっても遅延なく十分に書込電流(引抜電流)を流すことができる。そして、給電配線90r、90g、90bを厚くすることで給電配線90r、90g、90bを低抵抗化したので、給電配線90r、90g、90bの幅を狭くすることができる。そのため、ボトムエミッションの場合、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
同様に、発光期間に共通配線91に流れる駆動電流の大きさは、選択期間に給電配線90に流れる書込電流(引抜電流)の大きさと同じであるが、共通配線91は、画素回路P1,1〜Pm,nの薄膜トランジスタのゲート電極やソース、ドレイン電極とは異なる導電層を用いているので十分な厚さにすることができるため、共通配線91を低抵抗化することができ、さらに対向電極20c自体が薄膜化してより高抵抗になっても対向電極20cの電圧を面内で一様にすることができる。従って、仮に全ての画素電極20aに同じ電位を印加した場合でも、どの有機EL層20bの発光強度もほぼ等しくなり、面内の発光強度を一様することができる。また、ELディスプレイパネル1をトップエミッション型として用いた場合、対向電極20cをより薄膜化ことが可能なので、有機EL層20bを発した光が対向電極20cを透過中に減衰し難くなる。更に、平面視して水平方向に隣り合う画素電極20aの間に共通配線91が設けられているため、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
〔給電配線及び共通配線の幅、断面積及び抵抗率〕
上述した二通りの駆動方法のうち第二のディスプレイパネル1の駆動方法においては、給電配線90r,90g,90b,…は、絶縁基板2の端子部90d第二の周縁部に配置された第一の引き回し配線90cによって互いに導通しているため、外部からのクロック信号により等電位となっている。さらに、第一の引き回し配線cは、絶縁基板2の両端部においてそれぞれ配線端子部90d、90eと接続している。外部駆動回路から配線端子に印加される電圧はともに等電位のため、すみやかに給電配線90,90,…全体に電流を供給することができる。
共通配線91,91,…は、絶縁基板2の第四の周縁部に配置された第二の引き回し配線によって互いに接続され、共通電圧Vssが印加されている。第二の引き回し配線は、平面視して交差する配線と絶縁されている。
以下、第一及び第二のディスプレイパネル1の給電配線及び共通配線の幅、断面積及び抵抗率を定義する。ここで、ディスプレイパネル1の画素数をWXGA(768×1366)としたときに、給電配線90及び共通配線91の望ましい幅、断面積を定義する。図18は、各サブピクセルの駆動トランジスタ23及び有機EL素子20の電流−電圧特性を示すグラフである。
図18において、縦軸は1つの駆動トランジスタ23のソース23s−ドレイン23d間を流れる書込電流の電流値又は1つの有機EL素子20のアノード−カソード間を流れる駆動電流の電流値であり、横軸は1つの駆動トランジスタ23のソース23s−ドレイン23d間の電圧(同時に1つの駆動トランジスタ23のゲート23g−ドレイン23d間の電圧)である。図中、実線Ids maxは、最高輝度階調(最も明るい表示)のときの書込電流及び駆動電流であり、一点鎖線Ids midは、最高輝度階調と最低輝度階調との間の中間輝度階調のときの書込電流及び駆動電流であり、二点鎖線Vpoは駆動トランジスタ23の不飽和領域(線形領域)と飽和領域との閾値つまりピンチオフ電圧であり、三点鎖線Vdsは駆動トランジスタ23のソース23s−ドレイン23d間を流れる書込電流であり、破線Ielは有機EL素子20のアノード−カソード間を流れる駆動電流である。
ここで電圧VP1は、最高輝度階調時の駆動トランジスタ23のピンチオフ電圧であり、電圧VP2は、駆動トランジスタ23が最高輝度階調の書込電流が流れるときのソース−ドレイン間電圧であり、電圧VELmax(電圧VP4−電圧VP3)は有機EL素子20が最高輝度階調の書込電流と電流値が等しい最高輝度階調の駆動電流で発光するときのアノード−カソード間の電圧である。電圧VP2’は、駆動トランジスタ23が中間輝度階調の書込電流が流れるときのソース−ドレイン間電圧であり、電圧(電圧VP4’−電圧VP3’)は有機EL素子20が中間輝度階調の書込電流と電流値が等しい中間輝度階調の駆動電流で発光するときのアノード−カソード間電圧である。
駆動トランジスタ23及び有機EL素子20はいずれも飽和領域で駆動させるために、(給電配線90の発光期間時の電圧VH)から(共通配線91の発光期間時の電圧Vcom)を減じた値VXは下記の式(1)を満たす。
VX=Vpo+Vth+Vm+VEL ……(1)
Vth(最高輝度時の場合VP2−VP1に等しい)は駆動トランジスタ23の閾値電圧であり、VEL(最高輝度時の場合VELmaxに等しい)は有機EL素子20のアノード−カソード間電圧であり、Vmは、階調に応じて変位する許容電圧である。
図から明らかなように、電圧VXのうち、輝度階調が高くなる程、トランジスタ23のソース−ドレイン間に要する電圧(Vpo+Vth)が高くなるとともに有機EL素子20のアノード−カソード間に要する電圧VELが高くなる。したがって、許容電圧Vmは、輝度階調が高くなるほど低くなり、最小許容電圧VmminはVP3−VP2となる。
有機EL素子20は低分子EL材料及び高分子EL材料にかかわらず一般的に経時劣化し、高抵抗化する。10000時間後のアノード−カソード間電圧は初期時の1.4倍程度になることが確認されている。つまり、電圧VELは、同じ輝度階調時でも時間が経つ程高くなる。このため、駆動初期時の許容電圧Vmが高い程長期間にわたって動作が安定するので、電圧VELが8V以上、より望ましくは13V以上となるように電圧VXを設定している。
この許容電圧Vmには、有機EL素子20の高抵抗化ばかりでなく、さらに、給電配線90による電圧降下の分も含まれる。
給電配線90の配線抵抗のために電圧降下が大きいとディスプレイパネル1の消費電力が著しく増大してしまうため、給電配線90の電圧降下は1V以下に設定することが特に好ましい。
行方向の一つの画素の長さである画素幅Wpと、行方向の画素数(1366)と、画素領域以外における第一の引き回し配線から一方の配線端子までの延長部分と、画素領域以外における第一の引き回し配線から他方の配線端子までの延長部分と、を考慮した結果、ディスプレイパネル1のパネルサイズが32インチ、40インチの場合、第一の引き回し配線の全長はそれぞれ706.7mm、895.2mmとなる。ここで、給電配線90の線幅WL及び共通配線91の線幅WLが広くなると、構造上有機EL層20bの面積が小さくなり、さらに他の配線との重なり寄生容量を発生してさらなる電圧降下をもたらすため、給電配線90の幅WL及び共通配線91の線幅WLはそれぞれ画素幅Wpの5分の1以下に抑えることが望ましい。このようなことを考慮すると、ディスプレイパネル1のパネルサイズが32インチ、40インチの場合、幅WLはそれぞれ34μm以内、44μm以内となる。また給電配線90及び共通配線91の最大膜厚Hmaxはアスペクト比を考慮すると、トランジスタ21〜23の最小加工寸法4μmの1.5倍、つまり6μmとなる。したがって給電配線90及び共通配線91の最大断面積Smaxは32インチ、40インチで、それぞれ204μm2、264μm2となる。
このような32インチのディスプレイパネル1について、最大電流が流れるように全点灯したときの給電配線90及び共通配線91のそれぞれの最大電圧降下を1V以下にするためには図19に示すように、給電配線90及び共通配線91のそれぞれの配線抵抗率ρ/断面積Sは4.7Ω/cm以下に設定される必要がある。図20に32インチのディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積と電流密度の相関関係を表す。なお、上述した給電配線90及び共通配線91の最大断面積Smax時に許容される抵抗率は、32インチで9.6μΩcm、40インチで6.4μΩcmとなる。
そして、40インチのディスプレイパネル1について、最大電流が流れるように全点灯したときの給電配線90及び共通配線91のそれぞれの最大電圧降下を1V以下にするためには図21に示すように、給電配線90及び共通配線91のそれぞれの配線抵抗率ρ/断面積Sは2.4Ω/cm以下に設定される必要がある。図22に40インチのディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積と電流密度の相関関係を表す。
給電配線90及び共通配線91の故障により動作しなくなる故障寿命MTFは、下記の式(2)を満たす。
MTF=A exp(Ea/KbT)/ρJ2 ……(2)
Eaは活性化エネルギー、KbT=8.617×10―5eV、ρは給電配線90及び共通配線91の抵抗率、Jは電流密度である。
給電配線90及び共通配線91の故障寿命MTFは抵抗率の増大やエレクトロマイグレーションに律速する。給電配線90及び共通配線91をAl系(Al単体或いはAlTiやAlNd等の合金)に設定し、MTFが10000時間、85℃の動作温度で試算すると、電流密度Jは2.1×104A/cm2以下にする必要がある。同様に給電配線90及び共通配線91をCuに設定すると、2.8×106A/cm2以下にする必要がある。なおAl合金内のAl以外の材料はAlよりも低い抵抗率であることを前提としている。
これらのことを考慮して、32インチのディスプレイパネル1では、全点灯状態で10000時間に給電配線90及び共通配線91が故障しないようなAl系の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積Sは、図20から、57μm2以上必要になり、同様にCuの給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積Sは、図20から、0.43μm2以上必要になる。
そして40インチのディスプレイパネル1では、全点灯状態で10000時間に給電配線90及び共通配線91が故障しないようなAl系の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積Sは、図22から、92μm2以上必要になり、同様にCuの給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積Sは、図22から、0.69μm2以上必要になる。
Al系の給電配線90及び共通配線91では、Al系の抵抗率が4.00μΩcmとすると、32インチのディスプレイパネル1では上述のように配線抵抗率ρ/断面積Sが4.7Ω/cm以下なので、最小断面積Sminは85.1μm2となる。このとき上述のように給電配線90及び共通配線91の配線幅WLは34μm以内なので給電配線90及び共通配線91の最小膜厚Hminは2.50μmとなる。
またAl系の給電配線90及び共通配線91の40インチのディスプレイパネル1では上述のように配線抵抗率ρ/断面積Sが2.4Ω/cm以下なので、最小断面積Sminは167μm2となる。このとき上述のように給電配線90及び共通配線91の配線幅WLは44μm以内なので給電配線90及び共通配線91の最小膜厚Hminは3.80μmとなる。
Cuの給電配線90及び共通配線91では、Cuの抵抗率が2.10μΩcmとすると、32インチのディスプレイパネル1では上述のように配線抵抗率ρ/断面積Sが4.7Ω/cm以下なので、最小断面積Sminは44.7μm2となる。このとき上述のように給電配線90及び共通配線91の配線幅WLは34μm以内なので給電配線90及び共通配線91の最小膜厚Hminは1.31μmとなる。
またCuの給電配線90及び共通配線91の40インチのディスプレイパネル1では上述のように配線抵抗率ρ/断面積Sが2.4Ω/cm以下なので、最小断面積Sminは87.5μm2となる。このとき上述のように給電配線90及び共通配線91の配線幅WLは44μm以内なので給電配線90及び共通配線91の最小膜厚Hminは1.99μmとなる。
以上のことから、ディスプレイパネル1を正常且つ消費電力を低く動作させるには、給電配線90及び共通配線91での電圧降下を1V以下にした方が好ましく、このような条件にするには、給電配線90及び共通配線91がAl系の32インチのパネルでは、膜厚Hが2.50μm〜6μm、幅WLが14.1μm〜34.0μm、抵抗率が4.0μΩcm〜9.6μΩcmとなり、給電配線90及び共通配線91がAl系の40インチのパネルでは、給電配線90及び共通配線91がAl系の場合、膜厚Hが3.80μm〜6μm、幅WLが27.8μm〜44.0μm、抵抗率が4.0μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
総じてAl系の給電配線90及び共通配線91の場合、膜厚Hが2.50μm〜6μm、幅WLが14.1μm〜44μm、抵抗率が4.0μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
同様に、給電配線90及び共通配線91がCuの32インチのパネルでは、膜厚Hが1.31μm〜6μm、幅WLが7.45μm〜34μm、抵抗率が2.1μΩcm〜9.6μΩcmとなり、給電配線90及び共通配線91がCuの40インチのパネルでは、給電配線90及び共通配線91がCu系の場合、膜厚Hが1.99μm〜6μm、幅WLが14.6μm〜44.0μm、抵抗率が2.1μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
総じてCuの給電配線90及び共通配線91の場合、膜厚Hが1.31μm〜6μm、幅WLが7.45μm〜44μm、抵抗率が2.1μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
したがって、給電配線90及び共通配線91としてAl系材料又はCuを適用した場合、ディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91は、膜厚Hが1.31μm〜6μm、幅WLが7.45μm〜44μm、抵抗率が2.1μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
以上のように、対向電極20cの表面に設けられた共通配線91がトランジスタ21〜23の電極とは別層で形成されているから、共通配線91を厚膜にすることができ、共通配線91を低抵抗化することができる。そして、低抵抗な共通配線91が対向電極20cに導通しているから、対向電極20c自体が薄膜化してより高抵抗になっても対向電極20cの電圧を面内で一様にすることができる。従って、仮に全てのサブピクセル電極20aに同じ電位を印加した場合でも、どの有機EL層20bの発光強度もほぼ等しくなり、面内の発光強度を一様することができる。
また、ディスプレイパネル1をトップエミッション型として用いた場合、対向電極20cをより薄膜化することが可能なので、有機EL層20bを発した光が対向電極20cを透過中に減衰し難くなる。更に、平面視して水平方向に隣り合うサブピクセル電極20aの間に共通配線91が設けられているため、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
また、水平方向のサブピクセルPの行と行との間において平坦化膜33及び保護絶縁膜32の溝34に埋設された給電配線90r,90g,90bがトランジスタ21〜23の電極とは別層で形成されているから、給電配線90r,90g,90bを厚膜にすることができ、給電配線90r,90g,90bを低抵抗化することができる。低抵抗な給電配線90r,90g,90bが薄膜の供給線Zr,Zg,Zbにそれぞれ積層されているから、供給線Zr,Zg,Zbの電圧降下を抑えることができ、更には供給線Zr,Zg,Zb及び給電配線90r,90g,90bの信号遅延を抑えることができる。例えば、仮に給電配線90r,90g,90bがない場合にディスプレイパネル1を大画面化したときには、供給線Zr,Zg,Zbの電圧降下によって面内の発光強度のムラが発生したり、発光しない有機EL素子20が存在したりするおそれがある。しかしながら、本実施形態では、低抵抗な給電配線90r,90g,90bが供給線Zr,Zg,Zbにそれぞれ導通しているから、面内の発光強度のムラを抑えることができ、更に発光しない有機EL素子20をなくすことができる。
更に、給電配線90r,90g,90bを厚くすることで給電配線90r,90g,90bを低抵抗化したので、給電配線90r,90g,90bの幅を狭くすることができる。更に、平面視して垂直方向に隣り合うサブピクセル電極20aの間に幅の狭い給電配線90r,90g,90bが設けられているから、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
また、給電配線90r,90g,90bの表面に撥液絶縁膜53が成膜され、その撥液絶縁膜53が平坦化膜33の表面に露出しているから、有機EL層20bを湿式塗布法によって色ごとに塗り分けることができる。そのため、サブピクセルPの間を仕切るバンクを別途設ける必要がなくなり、ディスプレイパネル1を簡単に製造することができる。
また、撥液絶縁膜53が電気絶縁性を有するため、給電配線90r,90g,90bと対向電極20cのショートを回避することができる。
[第2の実施の形態]
図12〜図16を用いて、第2実施形態におけるディスプレイパネル101について説明する。なお、図12〜図16に示すようにディスプレイパネル101については、第1実施形態におけるディスプレイパネル1のいずれかの部分と同一の部分に対しては同一の符号を付し、同一の部分についての説明を省略する。
図12は、ディスプレイパネル101の4ピクセルの画素3の概略平面図である。図12に示すように、ディスプレイパネル101の画素3、サブピクセルPr,Pg,Pb及び信号線Yr、Yg,Ybの配列は、ディスプレイパネル1の画素3、サブピクセルPr,Pg,Pb及び信号線Yr、Yg,Ybの配列と同じである。
第1実施形態のディスプレイパネル1においては、水平方向の画素3の行1行につき、3本の供給線Zr,Zg,Zbと1本の走査線Xが設けられ、垂直方向の画素3の列1列につき、1本の共通配線91が設けられている。それに対して、第2実施形態のディスプレイパネル101においては、水平方向の画素3の行1行につき、2本の供給線ZA,ZBと、2本の給電配線90A,90Bと、1本の走査線XAと、1本の選択配線89Aと、3本の共通配線91Aとが設けられている。
供給線ZA,ZB、給電配線90A,90B、走査線XA、選択配線89A及び共通配線91Aは、何れも水平方向に延在している。
供給線ZA及び給電配線90Aは、水平方向に配列された青サブピクセルPbの行とその隣りの赤サブピクセルPrの行との間に配置されている。給電配線90A及び共通配線91Aが供給線ZAに重なり、給電配線90Aが供給線ZAに導通しているが、共通配線91Aは供給線ZA及び給電配線90Aのどちらにも導通していない。
供給線ZB及び給電配線90Bは、水平方向に配列された赤サブピクセルPrの行とその隣りの緑サブピクセルPgの行との間に配置されている。給電配線90B及び共通配線91Bが供給線ZBに重なり、給電配線90Bが供給線ZBに導通しているが、共通配線91Aは供給線ZB及び給電配線90Bのどちらにも導通していない。
走査線XA及び選択配線89Aは、水平方向に配列された緑サブピクセルPgの行とその隣りの青サブピクセルPbの行との間に配置されている。選択配線89A及び共通配線91Aが走査線XAに重なり、選択配線89Aが走査線XAに導通しているが、共通配線91Aは走査線XA及び選択配線89Aのどちらにも導通していない。
2本の供給線ZA,ZBがディスプレイパネル101の周辺部において互いに導通している。
図13は、赤サブピクセルPrの電極を主に示した平面図であり、図14は、緑サブピクセルPgの電極を主に示した平面図であり、図15は、青サブピクセルPbの電極を主に示した平面図である。図13〜図15に示すように、赤サブピクセルPrにおいては、保持トランジスタ22のドレイン22d及び駆動トランジスタ23のドレイン23dが供給線ZAと一体に設けられ、緑サブピクセルPgにおいては、保持トランジスタ22のドレイン22d及び駆動トランジスタ23のドレイン23dが供給線ZBと一体に設けられている。それに対して、青サブピクセルPbにおいては、保持トランジスタ22のドレイン22d及び駆動トランジスタ23のドレイン23dの何れも、供給線ZA,ZBに対して別体に設けられている。そこで、青サブピクセルPbの保持トランジスタ22のドレイン22d及び駆動トランジスタ23のドレイン23dは、以下のようにして供給線ZA,ZBに導通している。
すなわち、1ピクセルの画素3につき1本の接続線96が画素3を垂直方向に縦断するよう設けられている。この接続線96は、ゲートレイヤーをパターニングすることで形成されたものであり、ゲート絶縁膜31によって被覆されている。ゲート絶縁膜31の供給線ZBと接続線96が重なる箇所には、コンタクトホール97が形成され、そのコンタクトホール97を介して接続線96が供給線ZBに導通している。また、青サブピクセルPbにおいては、コンタクトホール98がゲート絶縁膜31の接続線96と駆動トランジスタ23のドレイン23dとが重なる箇所に形成され、そのコンタクトホール98を介して接続線96と駆動トランジスタ23のドレイン23dが導通している。以上により、青サブピクセルPbの保持トランジスタ22のドレイン22d及び駆動トランジスタ23のドレイン23dが接続線96を介して供給線ZBに導通している。
図16は、図13〜図15に示された破断線XVI−XVIに沿って絶縁基板2の厚さ方向に切断した矢視断面図であり、図17は、図15に示された破断線XVII−XVIIに沿って絶縁基板2の厚さ方向に切断した矢視断面図である。図16、図17に示すように、保護絶縁膜32及び平坦化膜33の供給線ZAに重なる箇所には、水平方向に沿って長尺な溝34Aが凹設され、保護絶縁膜32及び平坦化膜33の供給線ZBに重なる箇所には、水平方向に沿って長尺な溝34Bが凹設され、保護絶縁膜32及び平坦化膜33の走査線XAに重なる箇所には、水平方向に沿って長尺な溝34Cが凹設されている。溝34A、溝34B、溝34Cには給電配線90A、給電配線90B、選択配線89Aがそれぞれ埋設されており、溝34A、溝34B、溝34C内において給電配線90A、90B、選択配線89Aが供給線ZA、供給線ZB、走査線ZAにそれぞれ積層されている。以上により、給電配線90A、給電配線90B、選択配線89Aが供給線ZA、供給線ZB、走査線XAにそれぞれ導通している。このため、給電配線90A、90B、選択配線89Aはサブピクセル電極20cより下方に位置している。
給電配線90A、給電配線90B、選択配線89Aの表面には、撥水性・撥油性を有した撥液絶縁膜53Aがそれぞれ成膜され、撥液絶縁膜53Aが平坦化膜33の表面よりも隆起している。これにり、撥液絶縁膜53Aが平坦化膜33の表面において露出している。撥液絶縁膜53Aはフッ素樹脂電着塗料からなり、このフッ素樹脂電着塗料の溶液中に絶縁基板2を浸漬して露出された給電配線90A、給電配線90B、選択配線89Aに電圧を印加した電着塗装によってこれら表面に成膜されたものである。撥液絶縁膜53Aの撥水性・撥油性を利用して、有機EL素子20の有機EL層20bが湿式塗布法(例えば、インクジェット法)によって色ごとに塗り分けられる。電着塗料としては、エレコートナイスロン、エレコートナイスロンCTR、エレコートAMF(株式会社シミズ製)などが挙げられる。
対向電極20c上に、共通配線91Aが撥液絶縁膜53Aに沿うように成膜されており、平面視して共通配線91Aが給電配線90A、給電配線90B、選択配線89Aに重なっている。そののため、共通配線91Aが対向電極20cに導通している。
以上のように説明してきたことを除いて、ディスプレイパネル101は、第1実施形態のディスプレイパネル1と同様に構成されている。
なお、このディスプレイパネル101の駆動方法は、第1実施形態のディスプレイパネル1の駆動方法と同じである。
本実施形態においても、給電配線及び共通配線の幅、断面積及び抵抗率についても第1実施形態と同じであり、共通配線91Aがメッキ法により厚く成膜されているから、対向電極20c自体が薄膜化してより高抵抗になっても対向電極20cの電圧を面内で一様にすることができる。また、給電配線90A,90Bがメッキ法により厚く成膜されているから、供給線ZA,ZBの電圧降下を抑えることができ、面内の発光強度のムラを抑えることができる。
更に、走査線XAに積層された選択配線89Aがメッキ法により厚く成膜されているから、更には走査線XA及び選択配線89Aの信号遅延を抑えることができる。即ち、水平方向のサブピクセルPの行に着目した場合、シフトパルスがどのサブピクセルPでも遅延せずに同時にハイレベルになる。
また、撥液絶縁膜53Aが電気絶縁性を有するため、給電配線90A、90B、選択配線89Aと対向電極20cのショートを回避することができる。
[変形例1]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記各実施形態では、トランジスタ21〜23がNチャネル型の電界効果トランジスタとして説明を行った。トランジスタ21〜23がPチャネル型の電界効果トランジスタであっても良い。その場合、図2の回路構成では、トランジスタ21〜23のソース21s,22s,23sとトランジスタ21〜23のドレイン21d,22d,23dの関係が逆になる。例えば、駆動トランジスタ23がPチャネル型の電界効果トランジスタの場合には、駆動トランジスタ23のドレイン23dが有機EL素子20のサブピクセル電極20aに導通し、ソース23sが供給線Zに導通する。
[変形例2]
また、上記各実施形態では、1ドットのサブピクセルPにつき3つのトランジスタ21〜23が設けられているが、1ドットのサブピクセルPにつき1又は複数のトランジスタが設けられ、これらトランジスタを用いてアクティブ駆動することができるディスプレイパネルであれば、本発明を適用することができる。
[変形例3]
また、上記各実施形態では、信号線Yがゲートレイヤーからパターニングされたものであるが、信号線Yがドレインレイヤーからパターニングされたものでも良い。この場合、走査線X及び供給線Zがゲートレイヤーからパターニングされたものとなり、信号線Yが走査線X及び供給線Zよりも上層になる。
[変形例4]
また、上記各実施形態では、ディスプレイパネル1、101の各供給線Z1〜Zmが各走査線X1〜Xmに対して相対的に第三の周縁部(図1、図12における上側の周縁部)よりに位置したが第四の周縁部(図1、図12における下側の周縁部)に位置してもよい。
[変形例5]
また、上記実施形態では、行毎に、赤サブピクセルPrの有機EL層20b、緑サブピクセルPgの有機EL層20b、青サブピクセルPbの有機EL層20bの順に繰り返し配列したが、必ずしもこの順に配列しなくてもよい。
また上記変形例を複数組み合わせてもよい。