JP4307236B2 - 積層パネルの成形装置及びその成形方法 - Google Patents

積層パネルの成形装置及びその成形方法 Download PDF

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本発明は、基材の一部に表皮材が接着される積層パネルの製造装置及びその成形方法に関するものである。
従来より、この種の積層パネルの成形方法において、積層パネルの通気性基材にアッパー側とロワー側とを区分する凹溝を設け、この凹溝で区分けされた一方の領域に表皮材を上記基材を介して真空引きして該基材に接着するものが知られている。この成形方法では、押し込みバーで凹溝に表皮材の端末を圧入固定するときに、該押し込みバーに装備したトリム刃で上記凹溝に沿って表皮材を切断している(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−183089号公報
しかしながら、上記従来の積層パネルの成形方法では、表皮材の裏面の大部分に接着剤が塗布されているので、不要な表皮材も同時に凹溝の周辺に接着することになる。
したがって、表皮材の切断後に不要となった表皮材を基材から取り除く際、不要な表皮材がその裏面に塗布された接着剤によって基材側に貼り付くため、その表皮材を容易に取り除くことができない。このため、基材から不要な表皮材を取り外す作業の自動化が困難であるという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、積層パネルを構成する基材における表皮材の接着が不要な非表皮積層部位を覆う部材を設けることで、基材の一部に表皮材を効率的に接着積層することにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、通気性基材の非表皮積層部位をマスキングし、通気性基材を介して表皮材を基材表面上に吸引するようにした。
具体的には、請求項1の成形装置の発明では、表面に接着剤が塗布され、表面に表皮材が接着される表皮積層部位と、該表皮材が接着されない非表皮積層部位との境界の表皮材切断予定ラインに沿って表皮材を切断するための受け面を設けた通気性基材が載置されると共に、該基材を通して上記表皮材を基材の表面に吸引する吸引孔を有する吸引型と、上記基材の受け面上に上記切断予定ラインに沿って端末部をラップさせて上記基材の非表皮積層部位をマスキングする遮蔽部材と、上記吸引型内の吸引孔より該型外のエアーを吸引する吸引手段と、上記基材の受け面に対して刃先を押し当てて上記基材の表皮積層部位及び遮蔽部材を覆う表皮材を上記切断予定ラインに沿って切断するトリム刃と、上記遮蔽部材を、上記基材の非表皮積層部位をマスキングするマスキング位置と該基材の上記吸引型への載置及び取外しを回避する回避位置とに切り換える切換手段とを備えている。
請求項2の成形方法の発明では、表面に表皮材が接着される表皮積層部位と、該表皮材が接着されない非表皮積層部位との境界の表皮材切断予定ラインに沿って表皮材を切断するトリム刃の受け面を設けた通気性基材を用意する工程と、上記基材における少なくとも表皮材表皮積層部位に接着剤を塗布する塗布工程と、上記接着剤が塗布された基材を該基材を通して上記表皮材を該基材の表面に吸引する吸引孔を有する吸引型上に載置する載置工程と、上記基材の受け面上に上記表皮材切断予定ラインに沿って遮蔽部材の端末部をラップさせて上記基材の非表皮積層部位をマスキングするマスキング工程と、上記基材の表皮積層部位及び遮蔽部材上に加熱軟化された表皮材を覆うカバー工程と、上記吸引型の吸引孔より上記表皮材と基材との間のエアーを脱気して該表皮材を該基材の表面と遮断部材上に吸引する吸引工程と、上記基材の受け面に対して上記トリム刃の刃先を押し当てて上記表皮材を上記切断予定ラインに沿って切断する切断工程と、上記遮蔽部材を基材から回避させる回避工程と
を備えている。
上記請求項1及び2の発明によると、接着剤が塗布された通気性基材を吸引孔を有する吸引型上に載置して、基材の表皮材切断予定ラインに沿う表皮材を切断するための受け面上に遮蔽部材の端末部をラップさせて基材の非表皮積層部位をマスキングし、基材の表皮積層部位及び遮蔽部材を覆う表皮材を基材の受け面にトリム刃の刃先を押し当てて切断予定ラインに沿って切断している。
このように、基材側にのみ接着剤を塗布すると共に、非表皮積層部位を遮蔽部材でマスキングしているので、不要な表皮材が基材に接着されず、切断後の表皮材の取外しを容易にかつ確実に行える。
したがって、表皮材の切断作業及び切断後の不要な表皮材の基材からの分離作業の自動化を行うことができるので、積層パネルの生産効率が向上される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
−成形装置−
図1に、本発明の実施形態1に係る積層パネルの成形装置1を示す。該成形装置1には、積層パネルとしての運転席側インストルメントパネルの通気性基材5が載置されている。該基材5は、多数の微少な吸引孔5a,5a,…(図3に誇張して大きく示す)を有する。
図2に本発明により成形された積層パネルとしての運転席側インストルメントパネル3を示す。上記インストルメントパネル3の下端部には、該インストルメントパネル3とその下側に配置されるロワー側パネル(図示せず)との接合部分である接合部5bが設けられている。また、インストルメントパネル3の中央部には、計器類を覆うメータフードを装備するために半円状に切り欠いて成形したメータフード取付部5cが設けられている。そして、車室に露出する部分全体に表皮材7が接着されている。
すなわち、上記基材5は、表面に接着剤が塗布され、表皮材7が接着される表皮積層部位(本実施形態では、車室に露出する部分全体)と表皮材7が接着されない非表皮積層部位(接合部5b及びメータフード取付部5c等)とからなる。
そして、上記基材5の表皮積層部位と非表皮積層部位との境界(以下、表皮材切断予定ライン10という)に沿って連続した平坦面からなる受け面9が表皮材を切断するために設けられている。本実施形態では、上記受け面9は、上記接合部5b及びメータフード取付部5cに設けられ、表面側から見てΩ形状に連続している。
図3に示すように、上記成形装置1は、型内と型外とを連通させる多数の微少な吸引孔11a,11a,…(図3に誇張して大きく示す)が形成された吸引型11を備えている。この吸引型11は、その中央部分の表面に上記インストルメントパネル3の裏面に沿う表面形状を有する嵌め込み部11bが突出して形成されている。この嵌め込み部11bに上記基材5が載置される。
上記成形装置1は、吸引手段としてのエアーポンプ(図示せず)を備え、このエアーポンプにより、吸引型11の下端部に設けた吸引口11cからエアーを吸引して型内を負圧に保ち、上記吸引孔11a,11a,…より該型外のエアーを型内に吸引するように構成されている。このことで、上記吸引孔11a,11a,…から上記嵌め込み部11bに載置された基材5を吸引すると共に、この基材5の吸引孔5a,5a,…を介して又は上記吸引孔11a,11a,…から直接上記表皮材7を吸引して表皮材7を基材5上に真空引きするようになっている。
上記成形装置1は、上記受け面9に対応した端末部13aを有する遮蔽部材としての遮蔽板13を備えている。この遮蔽板13は、下端部が支軸15によって上記吸引型11に回動可能に支持され、ロボット等よりなる切換手段(図示せず)によって基材5の非表皮積層部位をマスキングするマスキング位置と、該基材5の上記吸引型11への載置及び取外しを回避する回避位置とに切換可能に構成されている。すなわち、マスキング位置では、上記遮蔽板13の端末部13aを上記基材5の受け面9上に上記切断予定ライン10に沿ってラップさせて上記基材5の非表皮積層部位をマスキングするようになっている。
したがって、表皮材7は、上記遮蔽板13でマスキングされる上記基材5の非表皮接着部位には接着されない。
さらに、上記成形装置1には、インストルメントパネル3の外周面に対応した形状を有し、刃先が下端部に設けられたトリム刃17を備えている。このトリム刃17の刃先を上記基材5の受け面9に対して押し当てて、上記基材5の表皮積層部位及び遮蔽板13を覆う表皮材7が上記切断予定ライン10に沿って切断される。
なお、残りのインストルメントパネル3の外周に沿う表皮材7は、基材5の端末と共に削ぐようにしてトリム刃17によって不要な部分を切断されるようになっている。なお、接着剤は上記表皮材7及び吸引型11には塗布されていないので、この領域でも表皮材7は吸引型11には接着されない。
−成形方法−
次に、本実施形態1の成形装置1を用いて積層パネルとしてのインストルメントパネル3を成形する方法について説明する。
まず、多数の微少な吸引孔5a,5a,…を有するように射出成形したインストルメントパネル3の基材5を用意する。
次いで、塗布工程において、基材5の表皮積層部位以外の部分にビニール又は、治具等の接着剤用マスキング材で覆って表皮積層部位にのみ接着剤を吹き付けて塗布する。なお、このとき、必ずしも完全な接着剤のマスキングを行う必要はなく、接着剤用マスキング材を設けなくてもよい。つまり、仮に表皮積層部位以外に接着剤が塗布されていてもよい。
次いで、基材5に塗布された接着剤を乾燥させ、接着剤の余分な溶剤を蒸発させる。
次に、図3に示すように、載置工程において、ロボットアーム等によって接着剤が塗布された基材5を吸引型11の嵌め込み部11b上に載置する。このとき、遮蔽板13は、回避位置にある。
次いで、マスキング工程において、上記回避位置にあった遮蔽板13を切換手段によってマスキング位置に移動させ、基材5の受け面9上に切断予定ライン10に沿って遮蔽板13の端末部13aをラップさせ、基材5の非表皮積層部位をマスキングする。
次いで、図4に示すように、カバー工程において、加熱軟化されたシート状の表皮材7をロボットアーム30でつかみ、その表皮材7の下に吸引型11を移動させた後、該吸引型11を表皮材7に向かって上昇させる。このことで、表皮材7が基材5の表皮積層部位及び遮蔽板13を含む吸引型11全体を上側から覆うようにして載置される。
次いで、図5に示すように、吸引工程において、上記表皮材7の載置と同時にエアーポンプで吸引型11の吸引口11cから空気を吸い込んで吸引型11内を負圧に保ち、表皮材7を基材5の吸引孔5a,5a,…を介して又は吸引型11の吸引孔11a,11a,…から直接吸引する。このことで、表皮材7を真空引きして基材5の表皮積層部位、遮蔽板13及び基材5を囲む吸引型11の表面に吸着させる。このとき、接着剤の塗布された基材5の表皮積層部位に表皮材7が接着される。
次いで、図6に示すように、切断工程において、トリム刃17を上方から吸引型11に向けて下降させ、基材5の受け面9に対して垂直に刃先を押し当てて表皮材7を切断予定ライン10に沿って切断する。このとき、その他の基材5の外周面においても、トリム刃17によって表皮材7が切断される。
次に、図7に示すように、回避工程において、ロボットアーム30で不要な表皮材7を引っ張って基材5から取り外す。このとき、表皮材7と共に遮蔽板13も引っ張られ、基材5から回避され、回避位置に戻される。
最後に、図8に示すように、遮蔽板13が上記回避位置にある状態で、吸盤31aが先端に設けられた搬出手段31によって表皮材7が接着されたインストルメントパネル3が吸引型11から脱型される。
−実施形態1の効果−
したがって、本実施形態の積層パネルの成形装置1によると、基材5側にのみ接着剤を塗布すると共に、非表皮積層部位である接合部5b及びメータフード取付部5cを遮蔽板13でマスキングしているので、不要な表皮材7が上記接合部5b及びメータフード取付部5cに接着せず、切断後の表皮材7の取外しを容易にかつ確実に行える。
よって、表皮材7の切断作業及び切断後の不要な表皮材7の基材5からの分離作業の自動化を行うことができる。
(実施形態2)
図9及び図10は本発明の実施形態2を示し、主に遮蔽部材、切換手段及びトリム刃17の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、以下の各実施形態では、図1〜図8と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態の積層パネルの成形装置1は、上記実施形態1とは異なる形状のインストルメントパネルにおける基材に表皮材を接着するものとなっている。このインストルメントパネルにも表皮材切断予定ライン10に沿って受け面9が設けられている。本実施形態の成形装置1も、インストルメントパネルの形状に沿う嵌め込み部11bを有する吸引型11を備えている。
また、上記成形装置1には、水平方向に伸縮するシリンダロッド23aを有する切換手段としてのシリンダ23,23が設けられている。各シリンダロッド23aの先端に上記受け面9に対応する形状の端末部21aを有する遮蔽部材としてのカバー部材21が取り付けられている。つまり、各シリンダ23により、カバー部材21が水平方向に移動されて基材5の非表皮積層部位をマスキングするマスキング位置(図10に示す)と該基材5を回避する回避位置(図9に示す)とに切り換えられるようになっている。
すなわち、上記回避位置にある上記各カバー部材21を各シリンダ23のシリンダロッド23aを伸ばして基材5側に近付けて、その端末部21aを基材5の受け面9にラップさせることで、インストルメントパネルの非表皮積層部位がマスキングされる。
したがって、上記各シリンダ23により、各カバー部材21をマスキング位置と回避位置とに切り換えると共に、他の工程を上記実施形態1と同様に行うことで、上記実施形態1と同様にインストルメントパネルに表皮材7を接着することができる。
(実施形態3)
図11及び図12は本発明の実施形態3を示し、遮蔽部材及び切換手段の構成が異なる点で上記実施形態2と異なる。
すなわち、本実施形態の成形装置1は、上下方向に伸縮するシリンダロッド23a,23aを有する切換手段としてのシリンダ23,23を備えている。このシリンダロッド23a,23aにインストルメントパネルの表皮積層部位の外周形状に沿うように設けた受け面9に沿って内部が切り抜かれた窓部13bを有する遮蔽板13が取り付けられている。そして、各シリンダ23により、遮蔽板13が下方向に移動されて基材5の非表皮積層部位をマスキングするマスキング位置(図12に示す)と該基材5を回避する回避位置(図11に示す)とに切り換えられるようになっている。
すなわち、上記回避位置から上記遮蔽板13がシリンダ23によって下方に降ろされて、遮蔽板13の端末部(内端部)13aを基材5の受け面9にラップさせることで、インストルメントパネルの非表皮積層部位がマスキングされる。
なお、遮蔽板13には、位置決め孔13c,13c,…が開口されており、この位置決め孔13c,13c,…を吸引型11から突出させた位置決めピン11d,11d,…に係合させることで遮蔽板13が所定の位置に配置される。
そして、上記実施形態1と同様の工程を行うことにより、本実施形態においてもインストルメントパネルに表皮材7が容易に接着される。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態1〜3について、以下のような構成としてもよい。すなわち、上記各実施形態では、インストルメントパネルの運転席側に露出する部分全体に表皮材7を設けているが、その一部のみに設けてもよい。
また、積層パネルの形状は、上記各実施形態にとらわれない。要は、基材の一部に表皮材を接着するものであればよい。
以上説明したように、本発明は、基材の一部に表皮材を接着する積層パネルを成形する成形装置及び積層パネルの成形方法について有用である。
本発明の実施形態に係る積層パネルの成形装置を示した斜視図である。 積層パネルを示す斜視図である。 載置工程及びマスキング工程を図1のIII-III線で切断して示す断面図である。 カバー工程を示す図3相当図である。 吸引工程を示す図3相当図である。 切断工程を示す図3相当図である。 回避工程を示す図3相当図である。 積層パネルを脱型する工程を示す図3相当図である。 実施形態2に係る成形装置を示す断面図である。 実施形態2に係る図4相当図である。 実施形態3に係る成形装置を示す断面図である。 実施形態3に係る図4相当図である。
符号の説明
1 成形装置
3 インストルメントパネル(積層パネル)
5 基材
7 表皮材
9 受け面
11 吸引型
11a 吸引孔
13 遮蔽板(遮蔽部材)
13a 端末部
17 トリム刃
21 カバー部材(遮蔽部材)
21a 端末部
23 シリンダ(切換手段)

Claims (2)

  1. 表面に接着剤が塗布され、表面に表皮材が接着される表皮積層部位と、該表皮材が接着されない非表皮積層部位との境界の表皮材切断予定ラインに沿って表皮材を切断するための連続する平坦な受け面を設けた通気性基材が載置されると共に、該基材を通して上記表皮材を基材の表面に吸引する吸引孔を有する吸引型と、
    上記基材の受け面上にのみ上記切断予定ラインに沿って端末部を当接させて上記基材の非表皮積層部位をマスキングする遮蔽部材と、
    上記吸引型内の吸引孔より該型外のエアーを吸引する吸引手段と、
    上記基材の受け面に対して刃先を押し当てて上記基材の表皮積層部位及び遮蔽部材を覆う表皮材を上記切断予定ラインに沿って切断するトリム刃と、
    上記遮蔽部材を、上記基材の非表皮積層部位をマスキングするマスキング位置と該基材の上記吸引型への載置及び取外しを回避する回避位置とに切り換える切換手段と
    を備えていることを特徴とする積層パネルの成形装置。
  2. 表面に表皮材が接着される表皮積層部位と、該表皮材が接着されない非表皮積層部位との境界の表皮材切断予定ラインに沿って表皮材を切断するトリム刃の連続する平坦な受け面を設けた通気性基材を用意する工程と、
    上記基材における少なくとも表皮材表皮積層部位に接着剤を塗布する塗布工程と、
    上記接着剤が塗布された基材を該基材を通して上記表皮材を該基材の表面に吸引する吸引孔を有する吸引型上に載置する載置工程と、
    上記基材の受け面上にのみ上記表皮材切断予定ラインに沿って遮蔽部材の端末部を当接させて上記基材の非表皮積層部位をマスキングするマスキング工程と、
    上記基材の表皮積層部位及び遮蔽部材上に加熱軟化された表皮材を覆うカバー工程と、
    上記吸引型の吸引孔より上記表皮材と基材との間のエアーを脱気して該表皮材を該基材の表面と遮断部材上に吸引する吸引工程と、
    上記基材の受け面に対して上記トリム刃の刃先を押し当てて上記表皮材を上記切断予定ラインに沿って切断する切断工程と、
    上記遮蔽部材を基材から回避させる回避工程と
    を備えていることを特徴とする積層パネルの成形方法。
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