JP6324225B2 - 内装部品の真空成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基材の一部に、接着剤を塗布した表皮材を真空成形によって接着して形成する内装部品の真空成形装置に関する。
例えば、図7に示すように、基材101の一部に、意匠面を構成する表皮材102を接着して形成する内装部品100(例えば、車両のインストルメントパネル)が知られている。このような内装部品100は、図8に示すように、基材101を載置し真空吸引可能な下型201と、接着剤が塗布された表皮材102を基材101に押圧し真空吸引可能な上型202とを備えた真空成形装置200を用いて、真空成形によって形成されることがある。
この真空成形装置200を用いる真空成形方法は、図8(a)に示すように、予め所望の形状に形成された基材101を下型201に載置し、図8(b)に示すように、接着剤が塗布された表皮材102を所定の温度に加熱して軟化させた状態(以下、「加温状態」という。)で基材表面に被せ、図8(c)に示すように、下型201と上型202とを型締めして表皮材102を基材101に押圧した後、下型201及び上型202から真空吸引することによって基材101の一部に表皮材102を接着させる方法である(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、上記真空成形装置200には、表皮材の不要な基材表面にも、表皮材が付着してしまう問題があった。特に、意匠外の基材形状が複雑で、表皮材の貼り付け範囲が特異形状であると、表皮材の不要な基材表面への表皮材付着が避けられず、基材へ余分に付着した表皮材の除去、又は、基材への表皮材付着を防止するためのマスキング処理等のため、無駄な工数とコストが掛かっていた。
上記基材へ余分に付着した表皮材の除去や基材への表皮材付着を防止するためのマスキング処理等を不要とし得る内装品の真空成形機が、例えば、特許文献2に記載されている。特許文献2に記載された真空成形機は、分散形成される吸気路が実質上廃止された非着基材領域に対面する表皮材用凹状真空吸引型(上型に相当)の型面が、型締め時の加温状態での非着基材領域からの表皮材の厚み分に相当する離間位置から後退した形状に形成されることを特徴としている。この真空成形機によれば、非着基材領域に対面する表皮材用凹状真空吸引型(上型に相当)の型面を表皮材の厚み分以上に後退させることによって、型締め時に表皮材を非着基材領域へ押圧することを回避できる。
特開2009−78419号公報 特開2009−72947号公報
しかしながら、特許文献2に記載された表皮材の付着防止技術には、以下の問題があった。
すなわち、加温状態の表皮材は軟化されて垂れ下がる傾向があるので、垂れ下がった表皮材が非着基材領域に当接することがあった。表皮材が非着基材領域に当接した状態で冷却されると、表皮材が表皮材用凹状真空吸引型(上型に相当)によって押圧されなくても、表皮材は接着剤の冷却固化に伴い非着基材領域に付着される問題があった。
特に、基材の内、表皮材を接着させる基材部(以下、「接着基材部」という。)が、基材用凸状真空吸引型(下型に相当)の上部に位置する場合、型締め時にその上部に位置する接着基材部が表皮材と最初に当接して、接着基材部周辺の表皮材を引き寄せるので、当該接着基材部の境界部から表皮材の垂れ下がりが多く発生する。そのため、基材に、接着基材部の境界部に隣接して形成された表皮材不要な基材部(以下、「非着基材部」という。)が存在すると、垂れ下がった表皮材は、その下面が非着基材部に当接して、表皮材用凹状真空吸引型(上型に相当)によって押圧されなくても、接着剤の冷却固化に伴い非着基材部に付着される問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、基材の内、表皮材を接着させる接着基材部に隣接して形成された表皮材不要な非着基材部への表皮材付着を簡単に回避できる内装部品の真空成形装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る内装部品の真空成形装置は、次のような構成を有している。
(1)接着基材部と非着基材部とが隣接して形成された基材を載置し真空吸引可能な下型と、接着剤が塗布され加温状態の表皮材を前記接着基材部に押圧し真空吸引可能な上型とを備え、真空成形によって前記表皮材を前記接着基材部に接着させて形成する内装部品の真空成形装置であって、
前記下型には、前記非着基材部に対する前記接着基材部の境界部に沿って延設され前記表皮材の下面に当接する表皮材受部を有し、前記非着基材部から前記表皮材を離間させる邪魔ブロックを形成したことを特徴とする。
本発明においては、下型には、非着基材部に対する接着基材部の境界部に沿って延設され表皮材の下面に当接する表皮材受部を有し、非着基材部から表皮材を離間させる邪魔ブロックを形成したので、加温状態の表皮材が非着基材部に対する接着基材部の境界部から非着基材部側へ垂れ下がっても、垂れ下がる表皮材を邪魔ブロックの表皮材受部が受け止めることによって、表皮材と非着基材部との間に隙間を形成させ、非着基材部に表皮材が付着することを防止することができる。
よって、本発明によれば、基材の内、表皮材を接着させる接着基材部に隣接して形成された表皮材不要な非着基材部への表皮材付着を簡単に回避できる内装部品の真空成形装置を提供することができる。
(2)(1)に記載された内装部品の真空成形装置において、
前記邪魔ブロックの表皮材受部には、前記表皮材と略均一に当接する線状又は帯状の当接面が形成されたことを特徴とする。
本発明においては、邪魔ブロックの表皮材受部には、表皮材と略均一に当接する線状又は帯状の当接面が形成されたので、表皮材受部周辺における表皮材の局部的な垂れ下がりを低減しつつ、表皮材受部での表皮材当接面積を必要最小限とすることができる。そのため、表皮材と非着基材部との間に最低限必要な隙間を確保させることが容易であり、かつ、製品取出し時に表皮材を表皮材受部から簡単に剥離することができる。その結果、非着基材部に表皮材が付着することを、より一層簡単に防止することができる。
(3)(1)又は(2)に記載された内装部品の真空成形装置において、
前記境界部には、前記接着基材部が型開き方向に対して交差する方向へ凹む切欠き部が形成されたこと、
前記邪魔ブロックの表皮材受部は、前記切欠き部に囲まれた非着基材部に隣接して形成されたことを特徴とする。
本発明においては、境界部には、接着基材部が型開き方向に対して交差する方向へ凹む切欠き部が形成されたので、切欠き部に囲まれた非着基材部に対して、表皮材の垂れ下がりがより一層生じやすくなる。ところが、邪魔ブロックの表皮材受部は、切欠き部に囲まれた非着基材部に隣接して形成されたので、切欠き部に囲まれた非着基材部に対して垂れ下がる表皮材を、邪魔ブロックの表皮材受部によって効果的に受け止めることができる。そのため、表皮材の垂れ下がりが生じやすい切欠き部の周辺において、表皮材と非着基材部との間に隙間を形成させることによって、非着基材部への表皮材の付着を、より一層効果的に防止することができる。
なお、切欠き部に囲まれた非着基材部には、装備品(例えば、計器盤、センターコンソール、空調機器など)を取り付ける通孔及び装着孔が形成されている場合、邪魔ブロックの表皮材受部は、その通孔又は装着孔を貫通するように形成することもできる。
(4)(3)に記載された内装部品の真空成形装置において、
前記切欠き部に囲まれた非着基材部には、前記切欠き部における前記接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出する先端部を有すること、
前記邪魔ブロックには、前記先端部より上型開き方向で上方に位置する他の表皮材受部が形成されたことを特徴とする。
本発明においては、切欠き部に囲まれた非着基材部には、切欠き部における接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出する先端部を有するので、型締め時に、非着基材部の先端部に表皮材が最初に当接し、当該先端部に表皮材が付着する恐れがある。
ところが、邪魔ブロックには、先端部より上型開き方向で上方に位置する他の表皮材受部が形成されたので、非着基材部の先端部に付着する表皮材を他の表皮材受部が受け止めることができる。
そのため、切欠き部に囲まれた非着基材部に対して垂れ下がる表皮材を、邪魔ブロックの一の表皮材受部によって受け止めるとともに、切欠き部における接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出して形成された非着基材部の先端部に付着する表皮材を、他の表皮材受部によって、一の表皮材受部とは異なる方向から受け止めることができる。
したがって、切欠き部に囲まれた非着基材部が、切欠き部における接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出する先端部を有する場合でも、異なる方向から突出する2種類の表皮材受部によって、表皮材を立体的(例えば略V字状)に折り曲げて、非着基材部と表皮材との隙間を形成させることができ、その結果、非着基材部に表皮材が付着することを、確実に防止することができる。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された内装部品の真空成形装置において、
前記下型には、前記邪魔ブロックの表皮材受部によって形成した前記表皮材と前記非着基材部との隙間にガスを吹き付けるガス吹き出しユニットを配設したことを特徴とする。
本発明においては、下型には、邪魔ブロックの表皮材受部によって形成した表皮材と非着基材部との隙間にガスを吹き付けるガス吹き出しユニットを配設したので、邪魔ブロックの表皮材受部によって受け止められた表皮材の裏面側及び非着基材部の表面側を速やかに冷却することができる。加温状態の表皮材及び非着基材部を速やかに冷却することによって、表皮材に塗布された接着剤の接着性能を低下させ、非着基材部に表皮材が付着することを、より一層迅速かつ確実に防止することができる。
また、ガス吹き出しユニットからのガスは、邪魔ブロックの表皮材受部を冷却することもできる。そのため、邪魔ブロックの表皮材受部における放熱を促進して、邪魔ブロックの表皮材受部への表皮材の付着を軽減することもできる。
なお、邪魔ブロックの側壁には、ガスを通過させる貫通孔を形成することが好ましい。貫通孔によって、ガスの循環性能が向上するので、表皮材受部周辺の表皮材及び非着基材部並びに邪魔ブロックを、より一層冷却させる効果を高めることができる。
また、ガス吹き出しユニットからのガスは、表皮材の持ち上げ効果を奏することができるので、邪魔ブロックの表皮材受部を接着基材部の境界部と隣接して設定しにくい箇所に、ガスを吹き付けるガス吹き出しユニットを設けることによって、当該箇所の表皮材と表皮材不要の基材表面との間に隙間を形成することができる。これによって、表皮材不要の基材表面に表皮材が付着することを、防止することもできる。
また、ガスは、表皮材を加温する温度より低いガス(例えば、常温のエアなど)であれば、ガスの種類は限定しなくてもよい。なお、ガスの流量は、例えば、100〜200リットル/分程度が好ましい。
本発明によれば、基材の内、表皮材を接着させる接着基材部に隣接して形成された表皮材不要な非着基材部への表皮材付着を簡単に回避できる内装部品の真空成形装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る内装部品の模式的正面図である。 図1に示す内装部品を真空成形する真空成形装置の断面図である。 図2に示す真空成形装置の下型における斜視図である。 図3に示すA−A部における真空成形装置の部分断面図である。 図3に示すB−B部における真空成形装置の部分断面図である。 図3に示すC部詳細斜視図(基材を載置した状態)である。 従来の内装部品の模式的平面図である。 従来の内装部品を真空成形する工程を表す真空成形装置の模式的断面図である。
次に、本発明に係る実施形態である内装部品の真空成形装置について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る内装部品及び真空成形装置の全体構造を説明し、その後、本実施形態に係る真空成形装置の特徴部分である邪魔ブロックとガス吹き出しユニットについて、詳細に説明する。図1に、本発明の実施形態に係る内装部品の模式的正面図を示す。
<内装部品の全体構造>
図1に示すように、本実施形態に係る内装部品30は、例えば、車両の運転席及び助手席の前方に搭載されるインストルメントパネルである。この内装部品30(インストルメントパネル)は、車両上方に位置するアッパ部31(アッパ・インパネ)と車両下方に位置するロア部32(ロア・インパネ)とから構成されている。アッパ部31とロア部32とは、一体の基材1から形成されている。アッパ部31を構成する基材1の所定範囲(ドットで示す範囲)には、意匠面を構成する表皮材2が接着されている。また、ロア部32を構成する基材1には、計器盤、センターコンソール、空調機器等を取り付ける通孔123、124及び装着孔125、126、127、128と構造リブ等が形成されている。
表皮材2は、3〜4mm程度の厚さを有するポリプロピレンフォーム(PPF)層と、0.6〜1.0mm程度の厚さを有するオレフィン系エラストマ(TPO)層とで形成された2層構造である。ポリプロピレンフォーム(PPF)層には、熱溶融性のオレフィン系接着剤22が塗布されている。
基材1は、ポリプロピレン(PP)からなり、予め射出成形法によって必要な形状に形成されている。基材1には、表皮材2を接着する接着基材部11と表皮材2を接着しない非着基材部12とが隣接して形成されている。接着基材部11には、表皮材2を基材側へ真空吸引する吸気路(図示せず)が分散して形成されている。非着基材部12には、吸気路は形成されていない。
また、主にアッパ部31の車両下方に位置し、計器盤、センターコンソール、空調機器等を装着する非着基材部12に対する接着基材部11の境界部13には、接着基材部11の凹み方向(車両上方)に屈曲した切欠き部が形成されている。例えば、計器盤を装着する箇所(a)では、接着基材部11の境界部13が、略U字状に屈曲形成された切欠き部11Aとして形成されている。また、センターコンソールを装着する箇所(b)では、接着基材部11の境界部13が、略L字状に屈曲形成された切欠き部11Bが形成されている。また、空調機器を装着する箇所(c)(d)では、接着基材部11の境界部13が、略L字状に屈曲形成された切欠き部11C、11Dが形成されている。
一方、基材1に接着する前の表皮材2は、図1の仮想線で示す略矩形状の輪郭線21で形成されている。また、表皮材2は、両端を図2に示す表皮材把持装置8(81、82)で把持され、基材1に沿って表皮材2を成形、接着するために、所定の温度(例えば、180〜200℃)に予備加熱されている。そのため、上記各切欠き部11A、11B、11C、11Dに隣接して形成された非着基材部12(図1に示す斜線範囲)には、加熱によって軟化され非着基材部12側へ垂れ下がる表皮材2が、付着する恐れがある。
以下に説明する本実施形態の真空成形装置50は、このような接着基材部11に隣接して形成された非着基材部12への表皮材付着を簡単に回避させることを目的とする。
<真空成形装置の全体構造>
次に、本実施形態に係る真空成形装置50の全体構造を、図2、図3を用いて説明する。図2に、図1に示す内装部品を真空成形する真空成形装置の断面図を示す。図3に、図2に示す真空成形装置の下型における斜視図を示す。
図2、図3に示すように、本実施形態に係る真空成形装置50は、基材1を載置する下型4と、基材1に表皮材2を押圧する上型5と、下型4に固定する邪魔ブロック6と、基材1と表皮材2との隙間に冷却ガスを吹き付けるガス吹き出しユニット7と、下面に接着剤22が塗布され加温状態の表皮材2を把持して基材上に移送する表皮材把持装置8(81、82)とを備えている。図2は、型締め状態を示し、真空成形後には、上型5は、上方へ型開きし、下型4は、下方へ型開きする。
下型4には、基材1を載置する基材受部41が、基材形状に沿わせて形成されている。基材受部41は、図1に示す車両下方に位置するロア部32の非着基材部12が、車両上方に位置するアッパ部31の接着基材部11より、上型開き方向で上方に位置するように傾斜して形成されている。接着基材部11と当接する基材受部41には、複数の吸気溝411が面沿いに所定の間隔で形成されている。基材受部41の下端には、吸気溝411から吸引されたエアを図示しない吸引ポンプに送る下通気路43と連通する下枠部42が連結されている。下枠部42及び下通気路43は、下基台44に連結されている。下基台44には、下孔45が形成されている。
下型4には、上記計器盤を装着する箇所(a)に対応して、2種類の邪魔ブロック61、62の表皮材受部61A、62Aが形成され、上記センターコンソールを装着する箇所(b)に対応して、邪魔ブロック63の表皮材受部63Aが形成され、上記空調機器を装着する箇所(c)(d)に対応して、邪魔ブロック64、65の表皮材受部64A、65Aが形成されている。
上型5には、基材1に表皮材2を押圧する表皮材押圧部51が、接着基材部11に対向した位置に形成されている。上型5の非着基材部12に対向する位置には、表皮材2から離間して表皮材非押圧部51Bが形成されている。表皮材押圧部51及び表皮材非押圧部51Bの下端には、所定の厚さを有する連続した電鋳殻5Aが被覆されている。電鋳殻5Aには、微細な吸気孔(図示せず)が形成されている。また、電鋳殻5Aの表面には、表皮材2にシボ模様を形成する微細な凹凸形状が形成されている。表皮材押圧部51及び表皮材非押圧部51Bの上端には、吸気孔から吸引されたエアを図示しない吸引ポンプに送る上通気路53を構成する上枠部52が連結されている。上枠部52は、上基台54に連結されている。上基台54には、上孔55が形成されている。
上枠部52の右側壁には、上型開き方向に対して負角状に形成された接着基材部11に表皮材2を側方から押圧するカムブロック56が装着されている。カムブロック56は、上枠部52の右側壁に軸支された作動アーム57を、同側壁に固定されたシリンダー部材58が進退して揺動させることによって、表皮材2を側方から押圧する。
<邪魔ブロックの詳細構造>
次に、邪魔ブロック6の構造について、図1〜図4、図6を用いて詳細に説明する。図4に、図3に示すA−A部における真空成形装置の部分断面図を示す。図5に、図3に示すB−B部における真空成形装置の部分断面図を示す。図6に、図3に示すC部詳細斜視図(基材を載置した状態)を示す。
図1〜図4、図6に示すように、下型4には、載置された基材1の内、上型開き方向で上部に位置する非着基材部12に対する接着基材部11の境界部13に沿って延設され、表皮材2の下面に当接する表皮材受部6A(61A、62A、63A、64A、65A)を有し、非着基材部12から表皮材2を離間させる邪魔ブロック6(61、62、63、64、65)が固定されている。邪魔ブロック6は、金属製ブロック又は樹脂製ブロックを用いることができる。ただし、離型処理には、金属製ブロックが好ましい。邪魔ブロック6の表皮材受部6Aには、表皮材2と略均一に当接する線状又は帯状の当接面6aが形成されている。具体的には、下型4に固定された邪魔ブロック6の表皮材受部6Aは、接着基材部11が型開き方向に対して交差する方向へ凹む切欠き部11A、11B、11C、11Dに囲まれた非着基材部12に隣接して形成されている。
なお、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aは、非着基材部12の基材表面より上型開き方向で上方に、例えば10〜30mm程度、突出して形成することが好ましい。この場合、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aと対向する上型5下面に形成された電鋳殻5Aは、最低肉厚等を規定する電鋳要件を具備した上で、型締め時に邪魔ブロック6の表皮材受部6Aと干渉しない位置に退避させる必要がある。
例えば、下型4において、計器盤を装着する箇所(a)では、邪魔ブロック61の表皮材受部61Aが、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121に隣接して2つ形成されている。表皮材受部61Aには、表皮材2と略均一に当接する線状又は帯状の当接面61aが夫々形成されている。2つの表皮材受部61Aは、非着基材部121の通孔123を貫通し、接着基材部11の凹み方向(矢印Fの方向)に沿って略平行に形成されている。2つの表皮材受部61Aは、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121に対して垂れ下がる表皮材2を確実に受け止めることができる。
また、計器盤を装着する箇所(a)では、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121には、切欠き部11Aにおける接着基材部11の凹み方向(矢印Fの方向)と反対方向へ突出する先端部122が形成されている。そのため、下型4において、邪魔ブロック62には、この先端部122より上型開き方向で上方に位置する表皮材受部62A(他の表皮材受部に相当)が形成されている。表皮材受部62Aには、表皮材2と略均一に当接する線状又は帯状の当接面62aが形成されている。邪魔ブロック62の側壁には、後述する冷却ガスを通過させる貫通孔62Bが2ヶ所形成されている。表皮材受部62Aは、先端部122の長手方向に沿って、先端部122の長さと同程度の長さに形成されている。邪魔ブロック62の表皮材受部62Aは、邪魔ブロック61の表皮材受部61Aとは異なる方向に突設されている。
これら互いに異なる方向に突設された2種類の邪魔ブロック61、62の表皮材受部61A、62Aによって、表皮材2を立体的(例えば略V字状)に折り曲げて、非着基材部12(121、122)と表皮材2との隙間を形成させることができる。
また、図1、図3に示すように、下型4において、センターコンソールを装着する箇所(b)では、邪魔ブロック63の表皮材受部63Aが、略L字状の切欠き部11Bに囲まれた非着基材部12に隣接して形成されている。表皮材受部63Aは、非着基材部12の通孔124を貫通し、接着基材部11の境界部13に沿って形成されている。センターコンソールを装着する箇所(b)は広い範囲で形成されているので、表皮材受部63Aは、複数に分散して形成されている。
また、下型4において、空調機器を装着する箇所(c)(d)では、邪魔ブロック64、65の表皮材受部64A、65Aが、略L字状の切欠き部11C、11Dに囲まれた非着基材部12に隣接して形成されている。表皮材受部64A、65Aは、空調機器の装着孔125、126を貫通し、接着基材部11の境界部13に沿って形成されている。空調機器を装着する箇所(c)(d)は左右に分かれて形成されているので、表皮材受部64A、65Aは、左右別々に形成されている。
<ガス吹き出しユニットの詳細構造>
次に、ガス吹き出しユニット7について、図2〜図5を用いて詳細に説明する。図5に、図3に示すB−B部における真空成形装置の部分断面図を示す。
図2〜図4に示すように、下型4の上部には、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aによって形成した表皮材2と非着基材部12との隙間に冷却ガスCGを吹き付けるガス吹き出しユニット7(71)が配設されている。表皮材2の一端は、チャック式の表皮材把持装置8(81)によってガス吹き出しユニット7(71)の上方に把持されている。ガス吹き出しユニット7(71)は、複数個配置され、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121に向けて複数方向から冷却ガスCGを吹き付けるように配置されている。ガス吹き出しユニット7(71)は、筒状ノズル先端から冷却ガスCGとしてのエアを型締め後に噴出する。ガス吹き出しユニット7(71)からの冷却ガスCGは、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aによって受け止められた表皮材2の裏面及び非着基材部121の表面を速やかに冷却する。
また、ガス吹き出しユニット7(71)からの冷却ガスCGは、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aをも冷却する。邪魔ブロック6の表皮材受部6Aにおける放熱を促進して、表皮材受部6Aへの表皮材2の付着を低減させるためである。
また、計器盤を装着する箇所(a)に配置したガス吹き出しユニット7(71)からの冷却ガスCGは、邪魔ブロック62の側壁に形成した貫通孔62Bを通過する。貫通孔62Bを通過した冷却ガスCGは、邪魔ブロック62の表皮材受部62Aによって形成された表皮材2と非着基材部12との隙間を、循環する。貫通孔62Bによって、冷却ガスCGの循環性能が向上するので、表皮材受部62A周辺の表皮材2及び非着基材部12並びに邪魔ブロック62を、より一層冷却させる効果を高めることができる。
なお、邪魔ブロック6の冷却手段として、邪魔ブロック6中に冷却液を流す孔又はパイプを設けてもよい。
図2、図3、図5に示すように、下型4の下部にも、冷却ガスCGを吹き付けるガス吹き出しユニット7(72)が配置されている。表皮材2の他端は、チャック式の表皮材把持装置8(82)によってガス吹き出しユニット7(72)の上方に把持されている。ガス吹き出しユニット7(72)は、複数個配置されている。ガス吹き出しユニット7(72)は、筒状ノズル先端から冷却ガスCGとしてのエアを型締め後に噴出する。ガス吹き出しユニット7(72)からの冷却ガスCGは、カムブロック56下方の表皮材2を速やかに冷却する。
また、ガス吹き出しユニット7(72)からの冷却ガスCGは、表皮材2の持ち上げ効果を奏することができるので、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aを接着基材部11の境界部13と隣接して設定しにくい箇所に、表皮材2と表皮材不要の基材表面14との間に隙間を形成することができる。これによって、表皮材不要の基材表面14に表皮材2が付着することを、防止することもできる。
なお、冷却ガスCGは、表皮材2を加温する温度より低いガス(例えば、常温のエアなど)であれば、ガスの種類は限定しなくてもよい。なお、冷却ガスCGの流量は、例えば、100〜200リットル/分程度が好ましい。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る内装部品30の真空成形装置50によれば、下型4には、非着基材部12に対する接着基材部11の境界部13に沿って延設され表皮材2の下面に当接する表皮材受部6Aを有し、非着基材部12から表皮材2を離間させる邪魔ブロック6を形成したので、加温状態の表皮材2が非着基材部12に対する接着基材部11の境界部13から非着基材部側へ垂れ下がっても、垂れ下がる表皮材2を邪魔ブロック6の表皮材受部6Aが受け止めることによって、表皮材2と非着基材部12との間に隙間を形成させ、非着基材部12に表皮材2が付着することを防止することができる。
よって、本実施形態によれば、基材1の内、表皮材2を接着させる接着基材部11に隣接して形成された表皮材不要な非着基材部12への表皮材付着を簡単に回避できる。
また、本実施形態によれば、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aには、表皮材2と略均一に当接する線状又は帯状の当接面6aが形成されたので、表皮材受部6A周辺における表皮材2の局部的な垂れ下がりを低減しつつ、表皮材受部6Aでの表皮材当接面積を必要最小限とすることができる。そのため、表皮材2と非着基材部12との間に最低限必要な隙間を確保させることが容易であり、かつ、製品取出し時に表皮材2を表皮材受部6Aから簡単に剥離することができる。その結果、非着基材部12に表皮材2が付着することを、より一層簡単に防止することができる。
また、本実施形態によれば、境界部13には、接着基材部11が型開き方向に対して交差する方向へ凹む切欠き部11A、11B、11C、11Dが形成されたので、切欠き部11A、11B、11C、11Dに囲まれた非着基材部12(121)に対して、表皮材2の垂れ下がりがより一層生じやすくなる。ところが、邪魔ブロック6(61、63、64、65)の表皮材受部6A(61A、63A、64A、65A)は、切欠き部11A、11B、11C、11Dに囲まれた非着基材部12(121)に隣接して形成されたので、切欠き部11A、11B、11C、11Dに囲まれた非着基材部12(121)に対して垂れ下がる表皮材2を、邪魔ブロックの表皮材受部によって効果的に受け止めることができる。そのため、表皮材2の垂れ下がりが生じやすい切欠き部の周辺において、表皮材2と非着基材部12との間に隙間を形成させることによって、非着基材部12への表皮材2の付着を、より一層効果的に防止することができる。
なお、切欠き部11A、11B、11C、11Dに囲まれた非着基材部12(121)には、装備品(例えば、計器盤、センターコンソール、空調機器など)を取り付ける通孔123、124及び装着孔125、126、127、128が形成されているので、邪魔ブロック6(61、63、64、65)の表皮材受部6A(61A、63A、64A、65A)は、その通孔123、124又は装着孔125、126、127、128を貫通するように形成することができる。
また、本実施形態によれば、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121には、切欠き部11Aにおける接着基材部11の凹み方向(矢印Fの方向)と反対方向へ突出する先端部122を有するので、型締め時に、非着基材部121の先端部122に表皮材2が最初に当接し、当該先端部122に表皮材が付着する恐れがある。ところが、邪魔ブロック6(62)には、先端部122より上型開き方向で上方に位置する他の表皮材受部62Aが形成されたので、非着基材部121の先端部122に付着する表皮材2を他の表皮材受部62Aが受け止めることができる。
そのため、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121に対して垂れ下がる表皮材2を、邪魔ブロック61の一の表皮材受部61Aによって受け止めるとともに、切欠き部11Aにおける接着基材部11の凹み方向(矢印Fの方向)と反対方向へ突出して形成された非着基材部121の先端部122に付着する表皮材2を、他の表皮材受部62Aによって、一の表皮材受部61Aとは異なる方向から受け止めることができる。
したがって、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121が、切欠き部11Aにおける接着基材部11の凹み方向(矢印Fの方向)と反対方向へ突出する先端部122を有する場合でも、異なる方向から突出する2種類の表皮材受部61A、62Aによって、表皮材2を立体的(例えば略V字状)に折り曲げて、非着基材部12(121、122)と表皮材2との隙間を形成させることができ、その結果、非着基材部12(121、122)に表皮材2が付着することを、確実に防止することができる。
また、本実施形態によれば、下型4には、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aによって形成した表皮材2と非着基材部12との隙間に冷却ガスCGを吹き付けるガス吹き出しユニット7(71)を配設したので、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aによって受け止められた表皮材2の裏面側と非着基材部12の表面側とを速やかに冷却することができる。加温状態の表皮材2及び非着基材部12を速やかに冷却することによって、表皮材2に塗布された接着剤の接着性能を低下させ、非着基材部12に表皮材2が付着することを、より一層迅速かつ確実に防止することができる。なお、表皮材2と非着基材部12との隙間には、表皮材2の裏面及び非着基材部12の表面が含まれる。
また、ガス吹き出しユニット7(71)からの冷却ガスCGは、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aを冷却することもできる。そのため、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aにおける放熱を促進して、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aへの表皮材2の付着を低減することもできる。
なお、本実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することが可能なことは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、邪魔ブロック6は、下型4の所定位置に固定されているが、下型4の所定位置に対して移動可能に設けてもよい。例えば、邪魔ブロックを移動させることによって、型締め時に上型5との干渉を回避しやすくさせることができる。
本発明は、基材の一部に、接着剤を塗布した表皮材を真空成形によって接着して形成する内装部品の真空成形装置として利用できる。
1 基材
2 表皮材
4 下型
5 上型
5A 電鋳殻
6 邪魔ブロック
6A 表皮材受部
6a 当接面
7 ガス吹き出しユニット
8 表皮材把持装置
11 接着基材部
11A、11B、11C、11D 切欠き部
12 非着基材部
13 境界部
22 接着剤
30 内装部品
41 基材受部
50 真空成形装置
51 表皮材押圧部
61、62、63、64、65 邪魔ブロック
61A 表皮材受部(一の表皮材受部)
62A 表皮材受部(他の表皮材受部)
63A、64A、65A 表皮材受部
61a、62a 当接面
62B 貫通孔
71、72 ガス吹き出しユニット
121 非着基材部
122 先端部
123、124 通孔
125、126、127、128 装着孔
CG 冷却ガス(ガス)

Claims (5)

  1. 接着基材部と非着基材部とが隣接して形成された基材を載置し真空吸引可能な下型と、接着剤が塗布され加温状態の表皮材を前記接着基材部に押圧し真空吸引可能な上型とを備え、真空成形によって前記表皮材を前記接着基材部に接着させて形成する内装部品の真空成形装置であって、
    前記下型には、前記非着基材部に対する前記接着基材部の境界部から非着基材部側へ垂れ下がる前記表皮材を表皮材受部が受け止めることによって、前記表皮材と前記非着基材部との間に隙間を形成させる邪魔ブロックを固定したこと
    前記邪魔ブロックの表皮材受部は、前記非着基材部の通孔を貫通し、下型開き方向へ凹む前記接着基材部の凹み方向に沿って略平行に形成されていることを特徴とする内装部品の真空成形装置。
  2. 請求項1に記載された内装部品の真空成形装置において、
    前記邪魔ブロックの表皮材受部には、前記表皮材と略均一に当接する線状又は帯状の当接面が形成されたことを特徴とする内装部品の真空成形装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された内装部品の真空成形装置において、
    前記境界部には、前記接着基材部の凹み方向へU字状に屈曲形成された切欠き部が形成されたこと、
    前記邪魔ブロックの表皮材受部は、前記切欠き部にU字状に囲まれた非着基材部の通孔を貫通して形成されたことを特徴とする内装部品の真空成形装置。
  4. 請求項3に記載された内装部品の真空成形装置において、
    前記切欠き部に囲まれた非着基材部には、前記切欠き部における前記接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出する先端部を有すること、
    前記邪魔ブロックには、前記先端部より上型開き方向で上方に位置する他の表皮材受部が形成されたことを特徴とする内装部品の真空成形装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された内装部品の真空成形装置において、
    前記下型には、前記邪魔ブロックの表皮材受部によって形成した前記表皮材と前記非着基材部との隙間にガスを吹き付けるガス吹き出しユニットを配設したことを特徴とする内装部品の真空成形装置。
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