JP6324225B2 - 内装部品の真空成形装置 - Google Patents
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Description
この真空成形装置200を用いる真空成形方法は、図8(a)に示すように、予め所望の形状に形成された基材101を下型201に載置し、図8(b)に示すように、接着剤が塗布された表皮材102を所定の温度に加熱して軟化させた状態(以下、「加温状態」という。)で基材表面に被せ、図8(c)に示すように、下型201と上型202とを型締めして表皮材102を基材101に押圧した後、下型201及び上型202から真空吸引することによって基材101の一部に表皮材102を接着させる方法である(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、上記真空成形装置200には、表皮材の不要な基材表面にも、表皮材が付着してしまう問題があった。特に、意匠外の基材形状が複雑で、表皮材の貼り付け範囲が特異形状であると、表皮材の不要な基材表面への表皮材付着が避けられず、基材へ余分に付着した表皮材の除去、又は、基材への表皮材付着を防止するためのマスキング処理等のため、無駄な工数とコストが掛かっていた。
すなわち、加温状態の表皮材は軟化されて垂れ下がる傾向があるので、垂れ下がった表皮材が非着基材領域に当接することがあった。表皮材が非着基材領域に当接した状態で冷却されると、表皮材が表皮材用凹状真空吸引型(上型に相当)によって押圧されなくても、表皮材は接着剤の冷却固化に伴い非着基材領域に付着される問題があった。
特に、基材の内、表皮材を接着させる基材部(以下、「接着基材部」という。)が、基材用凸状真空吸引型(下型に相当)の上部に位置する場合、型締め時にその上部に位置する接着基材部が表皮材と最初に当接して、接着基材部周辺の表皮材を引き寄せるので、当該接着基材部の境界部から表皮材の垂れ下がりが多く発生する。そのため、基材に、接着基材部の境界部に隣接して形成された表皮材不要な基材部(以下、「非着基材部」という。)が存在すると、垂れ下がった表皮材は、その下面が非着基材部に当接して、表皮材用凹状真空吸引型(上型に相当)によって押圧されなくても、接着剤の冷却固化に伴い非着基材部に付着される問題があった。
(1)接着基材部と非着基材部とが隣接して形成された基材を載置し真空吸引可能な下型と、接着剤が塗布され加温状態の表皮材を前記接着基材部に押圧し真空吸引可能な上型とを備え、真空成形によって前記表皮材を前記接着基材部に接着させて形成する内装部品の真空成形装置であって、
前記下型には、前記非着基材部に対する前記接着基材部の境界部に沿って延設され前記表皮材の下面に当接する表皮材受部を有し、前記非着基材部から前記表皮材を離間させる邪魔ブロックを形成したことを特徴とする。
よって、本発明によれば、基材の内、表皮材を接着させる接着基材部に隣接して形成された表皮材不要な非着基材部への表皮材付着を簡単に回避できる内装部品の真空成形装置を提供することができる。
前記邪魔ブロックの表皮材受部には、前記表皮材と略均一に当接する線状又は帯状の当接面が形成されたことを特徴とする。
前記境界部には、前記接着基材部が型開き方向に対して交差する方向へ凹む切欠き部が形成されたこと、
前記邪魔ブロックの表皮材受部は、前記切欠き部に囲まれた非着基材部に隣接して形成されたことを特徴とする。
前記切欠き部に囲まれた非着基材部には、前記切欠き部における前記接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出する先端部を有すること、
前記邪魔ブロックには、前記先端部より上型開き方向で上方に位置する他の表皮材受部が形成されたことを特徴とする。
ところが、邪魔ブロックには、先端部より上型開き方向で上方に位置する他の表皮材受部が形成されたので、非着基材部の先端部に付着する表皮材を他の表皮材受部が受け止めることができる。
そのため、切欠き部に囲まれた非着基材部に対して垂れ下がる表皮材を、邪魔ブロックの一の表皮材受部によって受け止めるとともに、切欠き部における接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出して形成された非着基材部の先端部に付着する表皮材を、他の表皮材受部によって、一の表皮材受部とは異なる方向から受け止めることができる。
したがって、切欠き部に囲まれた非着基材部が、切欠き部における接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出する先端部を有する場合でも、異なる方向から突出する2種類の表皮材受部によって、表皮材を立体的(例えば略V字状)に折り曲げて、非着基材部と表皮材との隙間を形成させることができ、その結果、非着基材部に表皮材が付着することを、確実に防止することができる。
前記下型には、前記邪魔ブロックの表皮材受部によって形成した前記表皮材と前記非着基材部との隙間にガスを吹き付けるガス吹き出しユニットを配設したことを特徴とする。
また、ガス吹き出しユニットからのガスは、邪魔ブロックの表皮材受部を冷却することもできる。そのため、邪魔ブロックの表皮材受部における放熱を促進して、邪魔ブロックの表皮材受部への表皮材の付着を軽減することもできる。
また、ガス吹き出しユニットからのガスは、表皮材の持ち上げ効果を奏することができるので、邪魔ブロックの表皮材受部を接着基材部の境界部と隣接して設定しにくい箇所に、ガスを吹き付けるガス吹き出しユニットを設けることによって、当該箇所の表皮材と表皮材不要の基材表面との間に隙間を形成することができる。これによって、表皮材不要の基材表面に表皮材が付着することを、防止することもできる。
また、ガスは、表皮材を加温する温度より低いガス(例えば、常温のエアなど)であれば、ガスの種類は限定しなくてもよい。なお、ガスの流量は、例えば、100〜200リットル/分程度が好ましい。
図1に示すように、本実施形態に係る内装部品30は、例えば、車両の運転席及び助手席の前方に搭載されるインストルメントパネルである。この内装部品30(インストルメントパネル)は、車両上方に位置するアッパ部31(アッパ・インパネ)と車両下方に位置するロア部32(ロア・インパネ)とから構成されている。アッパ部31とロア部32とは、一体の基材1から形成されている。アッパ部31を構成する基材1の所定範囲(ドットで示す範囲)には、意匠面を構成する表皮材2が接着されている。また、ロア部32を構成する基材1には、計器盤、センターコンソール、空調機器等を取り付ける通孔123、124及び装着孔125、126、127、128と構造リブ等が形成されている。
基材1は、ポリプロピレン(PP)からなり、予め射出成形法によって必要な形状に形成されている。基材1には、表皮材2を接着する接着基材部11と表皮材2を接着しない非着基材部12とが隣接して形成されている。接着基材部11には、表皮材2を基材側へ真空吸引する吸気路(図示せず)が分散して形成されている。非着基材部12には、吸気路は形成されていない。
以下に説明する本実施形態の真空成形装置50は、このような接着基材部11に隣接して形成された非着基材部12への表皮材付着を簡単に回避させることを目的とする。
次に、本実施形態に係る真空成形装置50の全体構造を、図2、図3を用いて説明する。図2に、図1に示す内装部品を真空成形する真空成形装置の断面図を示す。図3に、図2に示す真空成形装置の下型における斜視図を示す。
上枠部52の右側壁には、上型開き方向に対して負角状に形成された接着基材部11に表皮材2を側方から押圧するカムブロック56が装着されている。カムブロック56は、上枠部52の右側壁に軸支された作動アーム57を、同側壁に固定されたシリンダー部材58が進退して揺動させることによって、表皮材2を側方から押圧する。
次に、邪魔ブロック6の構造について、図1〜図4、図6を用いて詳細に説明する。図4に、図3に示すA−A部における真空成形装置の部分断面図を示す。図5に、図3に示すB−B部における真空成形装置の部分断面図を示す。図6に、図3に示すC部詳細斜視図(基材を載置した状態)を示す。
また、計器盤を装着する箇所(a)では、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121には、切欠き部11Aにおける接着基材部11の凹み方向(矢印Fの方向)と反対方向へ突出する先端部122が形成されている。そのため、下型4において、邪魔ブロック62には、この先端部122より上型開き方向で上方に位置する表皮材受部62A(他の表皮材受部に相当)が形成されている。表皮材受部62Aには、表皮材2と略均一に当接する線状又は帯状の当接面62aが形成されている。邪魔ブロック62の側壁には、後述する冷却ガスを通過させる貫通孔62Bが2ヶ所形成されている。表皮材受部62Aは、先端部122の長手方向に沿って、先端部122の長さと同程度の長さに形成されている。邪魔ブロック62の表皮材受部62Aは、邪魔ブロック61の表皮材受部61Aとは異なる方向に突設されている。
これら互いに異なる方向に突設された2種類の邪魔ブロック61、62の表皮材受部61A、62Aによって、表皮材2を立体的(例えば略V字状)に折り曲げて、非着基材部12(121、122)と表皮材2との隙間を形成させることができる。
また、下型4において、空調機器を装着する箇所(c)(d)では、邪魔ブロック64、65の表皮材受部64A、65Aが、略L字状の切欠き部11C、11Dに囲まれた非着基材部12に隣接して形成されている。表皮材受部64A、65Aは、空調機器の装着孔125、126を貫通し、接着基材部11の境界部13に沿って形成されている。空調機器を装着する箇所(c)(d)は左右に分かれて形成されているので、表皮材受部64A、65Aは、左右別々に形成されている。
次に、ガス吹き出しユニット7について、図2〜図5を用いて詳細に説明する。図5に、図3に示すB−B部における真空成形装置の部分断面図を示す。
また、計器盤を装着する箇所(a)に配置したガス吹き出しユニット7(71)からの冷却ガスCGは、邪魔ブロック62の側壁に形成した貫通孔62Bを通過する。貫通孔62Bを通過した冷却ガスCGは、邪魔ブロック62の表皮材受部62Aによって形成された表皮材2と非着基材部12との隙間を、循環する。貫通孔62Bによって、冷却ガスCGの循環性能が向上するので、表皮材受部62A周辺の表皮材2及び非着基材部12並びに邪魔ブロック62を、より一層冷却させる効果を高めることができる。
なお、邪魔ブロック6の冷却手段として、邪魔ブロック6中に冷却液を流す孔又はパイプを設けてもよい。
また、ガス吹き出しユニット7(72)からの冷却ガスCGは、表皮材2の持ち上げ効果を奏することができるので、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aを接着基材部11の境界部13と隣接して設定しにくい箇所に、表皮材2と表皮材不要の基材表面14との間に隙間を形成することができる。これによって、表皮材不要の基材表面14に表皮材2が付着することを、防止することもできる。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る内装部品30の真空成形装置50によれば、下型4には、非着基材部12に対する接着基材部11の境界部13に沿って延設され表皮材2の下面に当接する表皮材受部6Aを有し、非着基材部12から表皮材2を離間させる邪魔ブロック6を形成したので、加温状態の表皮材2が非着基材部12に対する接着基材部11の境界部13から非着基材部側へ垂れ下がっても、垂れ下がる表皮材2を邪魔ブロック6の表皮材受部6Aが受け止めることによって、表皮材2と非着基材部12との間に隙間を形成させ、非着基材部12に表皮材2が付着することを防止することができる。
よって、本実施形態によれば、基材1の内、表皮材2を接着させる接着基材部11に隣接して形成された表皮材不要な非着基材部12への表皮材付着を簡単に回避できる。
そのため、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121に対して垂れ下がる表皮材2を、邪魔ブロック61の一の表皮材受部61Aによって受け止めるとともに、切欠き部11Aにおける接着基材部11の凹み方向(矢印Fの方向)と反対方向へ突出して形成された非着基材部121の先端部122に付着する表皮材2を、他の表皮材受部62Aによって、一の表皮材受部61Aとは異なる方向から受け止めることができる。
したがって、切欠き部11Aに囲まれた非着基材部121が、切欠き部11Aにおける接着基材部11の凹み方向(矢印Fの方向)と反対方向へ突出する先端部122を有する場合でも、異なる方向から突出する2種類の表皮材受部61A、62Aによって、表皮材2を立体的(例えば略V字状)に折り曲げて、非着基材部12(121、122)と表皮材2との隙間を形成させることができ、その結果、非着基材部12(121、122)に表皮材2が付着することを、確実に防止することができる。
また、ガス吹き出しユニット7(71)からの冷却ガスCGは、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aを冷却することもできる。そのため、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aにおける放熱を促進して、邪魔ブロック6の表皮材受部6Aへの表皮材2の付着を低減することもできる。
例えば、本実施形態では、邪魔ブロック6は、下型4の所定位置に固定されているが、下型4の所定位置に対して移動可能に設けてもよい。例えば、邪魔ブロックを移動させることによって、型締め時に上型5との干渉を回避しやすくさせることができる。
2 表皮材
4 下型
5 上型
5A 電鋳殻
6 邪魔ブロック
6A 表皮材受部
6a 当接面
7 ガス吹き出しユニット
8 表皮材把持装置
11 接着基材部
11A、11B、11C、11D 切欠き部
12 非着基材部
13 境界部
22 接着剤
30 内装部品
41 基材受部
50 真空成形装置
51 表皮材押圧部
61、62、63、64、65 邪魔ブロック
61A 表皮材受部(一の表皮材受部)
62A 表皮材受部(他の表皮材受部)
63A、64A、65A 表皮材受部
61a、62a 当接面
62B 貫通孔
71、72 ガス吹き出しユニット
121 非着基材部
122 先端部
123、124 通孔
125、126、127、128 装着孔
CG 冷却ガス(ガス)
Claims (5)
- 接着基材部と非着基材部とが隣接して形成された基材を載置し真空吸引可能な下型と、接着剤が塗布され加温状態の表皮材を前記接着基材部に押圧し真空吸引可能な上型とを備え、真空成形によって前記表皮材を前記接着基材部に接着させて形成する内装部品の真空成形装置であって、
前記下型には、前記非着基材部に対する前記接着基材部の境界部から非着基材部側へ垂れ下がる前記表皮材を表皮材受部が受け止めることによって、前記表皮材と前記非着基材部との間に隙間を形成させる邪魔ブロックを固定したこと、
前記邪魔ブロックの表皮材受部は、前記非着基材部の通孔を貫通し、下型開き方向へ凹む前記接着基材部の凹み方向に沿って略平行に形成されていることを特徴とする内装部品の真空成形装置。 - 請求項1に記載された内装部品の真空成形装置において、
前記邪魔ブロックの表皮材受部には、前記表皮材と略均一に当接する線状又は帯状の当接面が形成されたことを特徴とする内装部品の真空成形装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された内装部品の真空成形装置において、
前記境界部には、前記接着基材部の凹み方向へU字状に屈曲形成された切欠き部が形成されたこと、
前記邪魔ブロックの表皮材受部は、前記切欠き部にU字状に囲まれた非着基材部の通孔を貫通して形成されたことを特徴とする内装部品の真空成形装置。 - 請求項3に記載された内装部品の真空成形装置において、
前記切欠き部に囲まれた非着基材部には、前記切欠き部における前記接着基材部の凹み方向と反対方向へ突出する先端部を有すること、
前記邪魔ブロックには、前記先端部より上型開き方向で上方に位置する他の表皮材受部が形成されたことを特徴とする内装部品の真空成形装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された内装部品の真空成形装置において、
前記下型には、前記邪魔ブロックの表皮材受部によって形成した前記表皮材と前記非着基材部との隙間にガスを吹き付けるガス吹き出しユニットを配設したことを特徴とする内装部品の真空成形装置。
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