JP4297598B2 - 自動入金機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現金の入金処理をする自動入金機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顧客自らの操作によって現金を入金する自動入金機として、例えば、銀行等に設置されるATM(自動現金預入引出装置)が知られている。このATMでは、顧客が預金口座へ預金をするものであり、1回の入金取引で一度に入金できる現金の量は紙幣で200枚程度、硬貨で20枚程度に制限されている。これは、現金の投入口の容量や、投入された現金を識別計数した後に一時保留しておいて返却指示があった場合に一時保留した現金を返却可能とするための一時保留部の容量で制限されている。
【0003】
また、店の売上金等の入金の場合で、現金の量が非常に多い場合、顧客によって銀行等の窓口に持ち込まれ、窓口係員により紙幣計算機や硬貨計算機を使用して計算をしている。このような店の売上金等の入金の場合、現金の量が多量であることから、銀行等の窓口に持ち込んだ現金の合計がいくらであるか分かっていない場合が多く、銀行側で計算された金額をそのまま売上金として入金することがある。つまり、銀行側で売上金の計算をしたうえで、その金額を入金するような場合も多くある。
【0004】
また、1回の入金取引で多量の現金を一度に入金できるように、現金の投入口や一時保留部を大容量化した自動入金機も開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現金の投入口や一時保留部の容量を大容量化して1回の入金取引で多量の現金を一度に入金できるようにした場合、機械が大型化するとともにコストアップする問題があり、また、大容量化すればするほど、1回の入金取引で多量の現金を一度に入金できる可能性は高くなるものの、どこまで大容量化してもそれ以上の容量の現金は一度に入金することができず、限界がある。
【0006】
そこで、例えば、一時保留部が満杯になった時点で、それまでの識別計数した金額を表示して顧客に確認操作をしてもらったうえで、一時保留部の現金を収納庫へ収納した後に、残りの現金または追加投入される現金を識別計数して一時保留部ヘ収納させるようにし、一時保留部が満杯になる毎に収納庫へ収納して全ての識別計数が完了した時点で、それまでの合計金額(入金合計額)を表示して、顧客に最終的な入金額の確認をするという方法が試みられた。
【0007】
ところが、前述したように持ち込んだ現金の合計金額を知らない顧客の場合にはその方法が有効であるが、予め現金を計数してきている顧客の場合、最終的な合計金額が予め計数していた金額と一致しなかったときに、仮に現金の返却を要求されても、収納庫に収納された現金のうちどこまでがその顧客の入金分か区別がつかず、顧客の要求に対応困難となる問題がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、機械の大型化やコストアップを招くことなく、1回の入金取引で一時保留部の容量を越える多量の現金を処理できるうえ、継続収納可能な場合と現金の返却などに対応できる継続収納不可能な場合とで処理を変えることで顧客の要求に対応できる自動入金機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の自動入金機は、カードのデータを読み取り、カードの種類が継続収納可能な継続収納対応カードか継続収納不可能な非継続収納対応カードかを判別するカード処理部と、現金が投入される現金投入部と、この現金投入部に投入される現金を識別計数する識別計数部と、この識別計数部で正常と判別された現金を一時保留する一時保留部と、この一時保留部に一時保留された現金を収納する収納庫と、前記一時保留部が満杯になったことを検出する満杯検出手段と、係員を呼び出す係員呼出手段と、前記一時保留部が満杯になったことを前記満杯検出手段で検出したとき、前記カード処理部で読み取ったカードが継続収納対応カードの場合にのみ、一時保留部の現金を前記収納庫へ収納させるとともに、継続して前記識別計数部で正常と判別される現金を一時保留部へ一時保留する継続収納処理を可能にし、前記カード処理部で読み取ったカードが非継続収納対応カードであったときには、前記係員呼出手段を作動させた後に、係員操作による非継続収納に対応した非継続収納処理を可能にする制御部とを具備しているものである。
【0010】
そして、予め顧客のカードの種類を、継続収納可能な継続収納対応カードと、現金の返却に対応できる継続収納不可能な非継続収納対応カードとに区別しておく。カード処理部でカードを読み取ることにより、カードの種類を判別する。現金投入部に投入された現金を識別計数部で識別計数し、正常と判別された現金を一時保留部に一時保留する。一時保留部が満杯になったことが満杯検出部で検出されたとき、カードの種類が継続収納対応カードの場合、一時保留部の現金を収納庫へ収納させるとともに継続して現金を一時保留部へ一時保留する継続収納処理を可能とし、つまり1回の入金取引で一時保留部の容量を越える多量の現金を処理可能とする。また、カードの種類が非継続収納対応カードの場合、継続収納処理をせず、係員呼出手段を作動させることにより、呼び出しを受けた係員が応対して、係員操作による現金の返却などの顧客の要求に対応可能とする。
【0011】
請求項2記載の自動入金機は、請求項1記載の自動入金機において、操作部を具備し、制御部は、一時保留部の現金を収納庫へ収納させるときに、前記操作部での確認操作に基づいて収納させるものである。
【0012】
そして、一時保留部の現金を収納庫へ収納させるときに、操作部での確認操作に基づいて収納させることにより、継続収納処理の場合でも収納や返却などを確認して顧客の要求に対応可能とする。
【0013】
請求項3記載の自動入金機は、請求項1記載の自動入金機において、カード処理部は、カードの種類として係員カードを判別可能とし、制御部は、係員呼出手段が作動された後に、前記カード処理部で係員カードが読み取られることにより、係員操作による非継続収納に対応した非継続収納処理を可能にするものである。
【0014】
そして、係員呼出手段が作動された後に、カード処理部で係員カードが読み取られることにより、係員操作による非継続収納に対応した非継続収納処理を可能にするので、係員が応対しながら顧客の要求に対応した処理が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図2に自動入金機の斜視図を示し、自動入金機11は、銀行等のロビーに設置され、顧客自らの操作によって現金の入金処理を可能としたものである。
【0017】
12は機体で、この機体12の前面側上部に、略水平状の手前側の操作面13、この操作面13の奥側から斜め後方へ立ち上がる奥側の操作面14が形成されている。
【0018】
手前側の操作面13には、一側にシャッタ15によって開閉される現金投入部としての紙幣投入口16が形成され、他側にシャッタ17によって開閉される現金投入部としての硬貨投入口18が形成され、これら紙幣投入口16および硬貨投入口18に隣接して紙幣や硬貨の入金時に点灯または点滅する表示ランプ19,20が配設されている。
【0019】
奥側の操作面14には、中央に顧客操作部21が配置されており、この顧客操作部21は、ブラウン管や液晶表示器などの表示装置22を有し、この表示装置22の画面23の表面がタッチパネル式の操作部24として兼用されている。画面23の一側には、取扱中または中止を表示する取扱表示部25、顧客情報や入金結果等を印字したレシートが発行されるレシート出口26、通帳が挿入される通帳挿入口27およびこの通帳挿入口27に隣接して通帳の挿入時や返却時に点灯または点滅する表示ランプ28が配設され、また、画面23の他側には、磁気カードやICカードなどが挿入されるカード挿入口29が配設されている。
【0020】
機体11の内部一側には、紙幣投入口16を通じて紙幣の入金処理をする紙幣入金部30が配設されている。機体11の前面一側には、紙幣入金部30の紙幣返却扉31が下辺側を支点として手前側に開放可能に配設され、この紙幣返却扉31に隣接して紙幣返却時に点灯または点滅する表示ランプ32が配設されている。
【0021】
機体11の内部他側には、硬貨投入口18を通じて硬貨の入金処理をする硬貨入金部33が配設されている。機体11の前面他側には、硬貨入金部33の硬貨返却箱34および硬貨リジェクト箱35が引き抜き可能に配設され、これら硬貨返却箱34および硬貨リジェクト箱35に隣接して硬貨返却時およびリジェクト硬貨返却時に点灯または点滅される表示ランプ36,37が配設されている。
【0022】
機体11の内部で、レシート出口26の内方にはレシートを発行するレシート処理部38が配設され、通帳挿入口27の内方には挿入された通帳を処理する通帳処理部39が配設され、カード挿入口29の内方には挿入されたカードを処理するカードリーダとしてのカード処理部40が配設されている。
【0023】
機体11の前面には、機体11の前方域内に顧客が進入したことを検知して、例えば消灯して一時停止状態にあった画面23で受付状態を表示するようにさせるための人体検知センサ41が配設されている。
【0024】
次に、図3に自動入金機の紙幣入金部の構成図を示し、紙幣入金部30は、紙幣入金部本体51を有し、この紙幣入金部本体51の前側上部にシャッタ15で開閉される紙幣投入口16が配設され、この紙幣投入口16の下方の前寄り位置に、集積方向を機体11の前後方向に向けた立位状態で投入される紙幣(図中に符号Pで示し、以下省略する)を受け入れる紙幣受入部52が形成され、また、後寄り位置に、リジェクト紙幣が返却されるリジェクト紙幣返却部53が形成され、これら紙幣受入部52とリジェクト紙幣返却部53とが仕切部材54によって区画形成されている。
【0025】
紙幣受入部52には紙幣受入部52に受け入れられた紙幣を1枚ずつ繰り出す紙幣繰出手段55が配設され、紙幣繰出手段55は、紙幣を1枚ずつ繰り出す複数の繰出ローラ56、およびこの繰出ローラ56に紙幣を押し付ける押付部57を有している。
【0026】
紙幣受入部52には紙幣受入部52から紙幣繰出手段55によって1枚ずつ繰り出される紙幣を受け入れて搬送する紙幣搬送通路58が接続され、この紙幣搬送通路58の途中に紙幣を識別計数する識別計数部59が配設されている。
【0027】
紙幣搬送通路58には識別計数部59で識別不能と判別されたリジェクト紙幣を分岐してリジェクト紙幣返却部53に送るリジェクト紙幣返却通路60が接続されている。
【0028】
紙幣搬送通路58の下方には、識別計数部59で識別計数された紙幣を紙幣搬送通路58の末端から受け入れて所定枚数分を一時保留する一時保留部61が前後方向に移動可能に配設され、さらに、一時保留部61の下方には、一時保留部61に一時保留された紙幣を収納する複数の収納庫62が前後方向に並列に配設されている。
【0029】
一時保留部61は、上下に開口してその上面開口側から紙幣を受け入れる枠部63、この枠部63の底面開口側を開閉する複数のシャッタ64、および紙幣返却扉31に対向する前面に紙幣返却扉31の開閉に伴って開閉される扉体65を有し、一時保留時にシャッタ64が閉鎖されて紙幣搬送通路58の末端から受け入れられる紙幣が上下方向に集積収納され、収納時にシャッタ64が開放されて収納紙幣が下方へ放出され、返却時に一時保留部61が返却位置に移動した状態で紙幣返却扉31と一体的に扉体65が開放されて返却紙幣の取り出しが可能とされる。一時保留部61には、一時保留部61内に一時保留される紙幣が満杯になったことを検知する満杯検出手段としてのフルセンサ66が配設されている。そして、一時保留部61は、図示しない一時保留部移動機構によって紙幣入金部本体51内で前後方向に移動され、一時保留時に紙幣搬送通路58から紙幣を受け入れて一時保留する一時保留位置、収納時に一時保留部61内の紙幣を各収納庫62に放出する各収納位置、返却時に紙幣返却扉31の直ぐ後で紙幣返却扉31および扉体65の開放によって一時保留部61内の紙幣を取出可能とする返却位置に移動される。
【0030】
複数の収納庫62は、紙幣入金部本体51の底部に前後方向に沿って、つまり一時保留部61の移動方向に沿って並列に配列されるとともに、紙幣入金部本体51内および機体11内から着脱可能としている。各収納庫62は、上面が開口する箱状に形成され、その内部には紙幣を載せて昇降するステージ67が配設されており、一時保留部61から放出される紙幣が上面開口側を通じて受け入れられてステージ67上に上下方向に集積される。ステージ67は、紙幣入金部本体51側に設けられる駆動機構によって昇降駆動される。
【0031】
各収納庫62には、各収納庫62の上端近傍に検知ラインを有して各収納庫62に収納される紙幣の上端位置を検知する上端検知センサ68、および各収納庫62の上下方向の中間部でやや下寄り位置にステージ67を検知するステージ検知センサ69が配設されている。
【0032】
そして、各収納庫62は、紙幣が載置されていないステージ67またはこのステージ67上に載置された紙幣の上端位置が上端検知センサ68の位置より少し下側で待機され、紙幣の収納時に、一時保留部61から放出される紙幣の落下距離が少なくなるように構成され、一時保留部61からの紙幣の放出後にステージ67が下降され、紙幣の上端位置が上端検知センサ68の位置より少し下側となる位置でステージ67が停止される。さらに、ステージ67の下降途中でステージ検知センサ69がステージ67を検知することで、紙幣の収納が満杯近くなったことが検知される。また、各収納庫62には、金種混合状態で紙幣が収納されるとともに、前側の収納庫62から順に満杯にされていくように収納動作が制御される。
【0033】
次に、図4に自動入金機の硬貨入金部の構成図を示し、硬貨入金部33は、硬貨入金部本体71を有し、この硬貨入金部本体71の前側上部にシャッタ17で開閉される硬貨投入口18が配設され、この硬貨投入口18の下方に投入される硬貨を一括して受け入れるとともに少量ずつ送り出す供給円盤72が配設され、この供給円盤72の下方に供給円盤72から少量ずつ供給される硬貨を1枚ずつ繰り出す硬貨繰出部としての繰出円盤73が配設されている。
【0034】
繰出円盤73には繰出円盤73から1枚ずつ繰り出される硬貨を受け入れて搬送する硬貨搬送通路74が接続され、この硬貨搬送通路74に硬貨を識別計数する識別計数部75が配設されている。硬貨搬送通路74には、識別計数部75のリジェクト硬貨と識別された硬貨を分岐する図示しないリジェクト硬貨分岐部が配設され、このリジェクト硬貨分岐部で分岐された硬貨を硬貨リジェクト箱35に導くシュート76が接続されている。
【0035】
硬貨搬送通路74の下方には、識別計数部75で識別計数された正常な硬貨を硬貨搬送通路74の下流端から受け入れて一時保留する一時保留部77が前後方向に移動可能に配設され、さらに、一時保留部77の下方には、一時保留部77に一時保留された硬貨を収納する複数の収納庫78が前後方向に並列に配設されている。
【0036】
一時保留部77は、上下に開口してその上面開口側から硬貨を受け入れる枠部79、およびこの枠部79の底面開口側を開閉する底板80を有し、一時保留時に底板80が閉鎖されて硬貨搬送通路74から受け入れられる硬貨が収納され、返却時または収納時に底板80が開放されて収納硬貨が下方へ放出される。一時保留部77には、一時保留部77内に一時保留される硬貨が満杯になったことを検知する満杯検出手段としてのフルセンサ81が配設されている。そして、一時保留部77は、図示しない一時保留部移動機構によって硬貨入金部本体71内で前後方向に移動され、一時保留時に硬貨搬送通路74から硬貨を受け入れて一時保留する一時保留位置、返却時に一時保留部77内の硬貨を硬貨返却箱34に放出する返却位置、収納時に一時保留部77内の硬貨を各収納庫78に放出する各収納位置に移動される。
【0037】
複数の収納庫78は、硬貨入金部本体71の底部で、硬貨返却箱34の後方に前後方向に沿って、つまり一時保留部77の移動方向に沿って並列に配列されるとともに、硬貨入金部本体71内および機体11内から着脱可能としている。各収納庫78は、上面が開口する箱状に形成され、一時保留部77から放出される硬貨が上面開口側を通じて受け入れられて底面上に収納される。各収納庫78には、各収納庫78に収納される硬貨が満杯近くなったことを検知するニアフルセンサ82、および満杯になったことを検知するフルセンサ83が配設されている。そして、各収納庫78には、金種混合状態で硬貨が収納されるとともに、前側の収納庫78から順に満杯にされていくように収納動作が制御される。
【0038】
次に、図5に自動入金機の構成図を示し、自動入金機11は、自動入金機11の処理動作を制御する制御部91を有し、この制御部91に、顧客操作部21、レシート処理部38、カード処理部40、通帳処理部39、硬貨入金部33、および紙幣入金部30が接続され、これらが制御部91で制御される。
【0039】
制御部91には、制御プログラムや処理データを記憶する記憶部92、および通信をする通信部93が接続されている。
【0040】
自動入金機11は、例えば銀行等のロビーに顧客自身によって操作可能に設置され、窓口のカウンタ94内に設置されて係員によって操作される機器に対して通信部93を通じて通信可能に接続されている。機器には、顧客情報および入金結果等を印刷するプリンタ95や表示するモニタ96が含まれている。
【0041】
そして、制御部91は、以下の機能を有している。
【0042】
カード処理部40でデータを読み取ったカードの種類が、継続収納可能な継続収納対応カードか、継続収納不可能な非継続収納対応カードか、係員が持つ係員カードかを判別するカード判別手段の機能。
【0043】
一時保留部61,77が満杯になったことをフルセンサ66,81で検出したとき、カード処理部40で読み取ったカードが継続収納対応カードの場合に、一時保留部61,77の現金を各収納庫62,78へ収納させるとともに、継続して識別計数部59,75で正常と判別される現金を一時保留部61,77へ一時保留可能とする継続収納処理の機能。
【0044】
一時保留部61,77が満杯になったことをフルセンサ66,81で検出したとき、カード処理部40で読み取ったカードが非継続収納対応カードの場合に、処理を一時中断して、係員を呼び出す機能。この係員を呼び出す機能では、例えば、係員を呼び出す内容をモニタ96で表示するようにし、そのため、モニタ96が係員呼出手段97として機能する。なお、係員呼出手段97としては、呼出ランプや、呼出音を発生する音発生器等で呼び出し動作するものでも、それらを併用してもよい。
【0045】
係員呼出手段97が作動された後に、カード処理部40で係員カードが読み取られることにより、非継続収納に対応した処理を可能とする非継続収納処理の機能。
【0046】
一時保留部61,77が満杯になったことをフルセンサ66,81で検出し、この一時保留部61,77の現金を各収納庫62,78へ収納させるときに、操作部24での確認操作に基づいて収納させる機能。
【0047】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0048】
自動入金機11を運用するにあたって、入金処理途中で一時保留部61,77が満杯になったときに一時保留した現金を収納する継続収納処理が可能かどうか、つまり投入した現金をその現物での返却を希望するかどうか、顧客の意向を確認し、継続収納可能な継続収納対応カード、または継続収納不可能な非継続収納対応カードを渡す。
【0049】
例えば、銀行に持ち込んだ現金の合計金額が分からず、銀行側で現金の計算をしたうえでその金額を入金するような場合等、投入した現金の現物での返却がない場合の顧客には、継続収納可能な継続収納対応カードを渡す。また、予め現金を計数してくるような場合等、投入した現金の現物での返却がある場合の顧客には、継続収納不可能な非継続収納対応カードを渡す。
【0050】
そして、自動入金機11による入金処理について、図6の自動入金機の画面の遷移を説明する説明図を参照して説明する。
【0051】
待機時には、自動入金機11の画面23で「いらっしゃいませ カードを通してください」といった操作案内を表示する(図6にW1で示す画面W1であり、以下、同様に画面W2、画面W3……という)。
【0052】
待機状態で、顧客により、カードをカード挿入口29に挿入し、カード処理部40でカードのデータを読み取って顧客のカードであることを判別すれば、各投入口16,18のシャッタ15,17を開放し、画面23で「投入口に現金をセットして確認を押してください。」といった操作案内を表示する(画面W2)。
【0053】
顧客により、少なくとも一方の投入口16,18から対応する現金を投入した後、画面23の「確認」の文字の表示部分に触れること、つまり操作部24を操作することで、各投入口16,18のシャッタ15,17を閉鎖し、識別計数処理を開始する。なお、投入する現金の量が各投入口16,18に投入可能とする量より多い場合には、投入可能とする量の現金のみを投入し、残りの現金は後で追加投入する。識別計数中は、画面23で「現金計数中です しばらくお待ち下さい」といった操作案内を表示する(画面W3)。
【0054】
識別計数処理の開始により、紙幣入金部30では、紙幣投入口16から紙幣受入部52内に受け入れた紙幣を、紙幣繰出手段55で1枚ずつ紙幣搬送通路58に繰り出し、紙幣搬送通路58を搬送しながら識別計数部59で識別計数し、正常な紙幣を一時保留位置に位置されている一時保留部61内に一時保留し、リジェクト紙幣を分岐して硬貨投入口18の後側の一部に区画された図示しないリジェクト紙幣返却部に導く。また、硬貨入金部33では、硬貨投入口18から供給円盤72内に受け入れた硬貨を、繰出円盤73で1枚ずつ硬貨搬送通路74に繰り出し、硬貨搬送通路74を搬送しながら識別計数部75で識別計数し、正常な硬貨を一時保留位置に位置されている一時保留部77内に一時保留し、リジェクト硬貨を分岐して硬貨リジェクト箱35に導く。
【0055】
投入された現金の計数が完了し、リジェクト紙幣やリジェクト硬貨が判別されていなければ、対応する投入口16,18のシャッタ15,17を開放し、画面23で「合計金額123,456 この金額でよろしければ確認 処理を続ける場合は現金を入れてください」といった計数結果と操作案内を表示する(画面W4)。
【0056】
現金の追加投入がない場合、顧客により、画面23の「確認」の文字の表示部分に触れること、つまり操作部24を操作することで、各投入口16,18のシャッタ15,17を閉鎖し、レシート処理部38で受付番号、顧客情報および計数金額を印刷したレシート(受付票)をレシート出口26から送り出し、カード処理部40でカードをカード挿入口29から送り出し、画面23で「受付票を切り取り カードを抜いてください」といった計数結果と操作案内を表示する(画面W5)。
【0057】
顧客により、レシートが切り取られ、カードを引き抜くことにより、画面23で「受付処理が終了するまでロビーでお待ちください ありがとうございました」といった案内を表示した後(画面W6)、待機状態に復帰して画面23で「いらっしゃいませ カードを通してください」といった操作案内を表示する(画面W7)。
【0058】
この場合、窓口から受付番号が呼ばれた顧客がレシートおよび預金通帳を窓口の係員に渡し、顧客によって計数された現金の金額の預入がなされる。
【0059】
また、現金の追加がある場合、画面23の表示に従って(画面W8)、顧客により、少なくとも一方の投入口16,18から対応する追加分の現金を投入することで、各投入口16,18のシャッタ15,17を閉鎖し、上述のように追加分の現金の識別計数処理を開始する。
【0060】
また、投入された現金の計数が完了した時点で、リジェクト紙幣が判別されて返却されていれば、画面23で「返却された紙幣を抜き取ってください」といった操作案内を表示し(画面W9)、リジェクト紙幣が抜き取られたら画面W4または画面W8に移る。
【0061】
また、計数中にいずれかの一時保留部61,77の満杯が検知された場合、例えば、継続収納処理でかつ自動収納が設定されていれば、満杯となった一時保留部61,77の現金を対応する収納庫62,78に収納する収納動作をし、画面23で「自動収納」といった処理動作中の説明を表示する(画面W10)。
【0062】
また、待機状態で、係員により、係員カードをカード挿入口29に挿入し、カード処理部40でカードのデータを読み取って係員カードであることを判別すれば、回収処理、エラー解除処理、データ検索処理、データクリア処理等の係員による処理を可能とする。係員による処理中は、画面23で対応する内容を表示する(画面W11)。処理が完了すれば、待機状態に復帰する。
【0063】
次に、継続収納処理および非継続収納処理について、図1の自動入金機の入金動作のフローチャートを参照して説明する。
【0064】
計数中に、いずれかの一時保留部61,77が満杯になったことをフルセンサ66,81で検出した場合(ステップ1)、計数処理を一時停止し、カード処理部40でデータを読み取ったカードの種類が、継続収納可能な継続収納対応カードか、継続収納不可能な非継続収納対応カードか判別する(ステップ2)。
【0065】
カードの種類が継続収納対応カードの場合には、自動収納が設定されているか判断する(ステップ3)。自動収納は、顧客に収納の可否を確認することなく、満杯となった一時保留部61,77の現金を各収納庫62,78へ自動的に収納するものであり、自動入金機11を運用する銀行側の判断で任意に設定可能とする。
【0066】
自動収納が設定されている場合には、継続収納処理を自動的に実行する(ステップ4)。この継続収納処理では、一時保留部61,77の現金を各収納庫62,78へ収納させた後に、継続して現金を一時保留部61,77へ一時保留する。
【0067】
つまり、紙幣入金部30では、複数の収納庫62のうち、満杯が検知されていない最も前側の収納庫62の上方に一時保留部61が移動し、シャッタ64の開放により一時保留部61内から一時保留紙幣を放出し、収納庫62のステージ67の下降により一時保留紙幣を収納庫62内に収納し、その後、シャッタ64が閉鎖し、空となった一時保留部61が一時保留位置に復帰する。
【0068】
硬貨入金部33では、複数の収納庫78のうち、満杯が検知されていない最も前側の収納庫78の上方に一時保留部77が移動し、底板80の開放により一時保留部77内から一時保留硬貨を放出させて収納庫78に収納し、その後、底板80が閉鎖し、空となった一時保留部77が一時保留位置に復帰する。
【0069】
空となった一時保留部61,77が一時保留位置に復帰したら、一時停止していた計数処理を再開する。
【0070】
また、自動収納が設定されていない場合には、画面23で継続収納の可否を確認する表示をし(ステップ5)、顧客により、操作部24で確認が操作されれば(ステップ6)、上述した継続収納処理を実行し、また、取消が操作されれば(ステップ7)、返却処理をする(ステップ8)。
【0071】
返却処理では、紙幣入金部30において、一時保留部61が紙幣返却扉31の後側に移動した後、顧客により、紙幣返却扉31が開放されることで、一時保留部61の扉体65が一体的に開放され、一時保留部61内の紙幣が取り出される。開放された紙幣返却扉31および扉体65が閉鎖されることにより、一時保留部61が一時保留位置に復帰して、次の処理が可能となる。また、硬貨入金部33において、一時保留部77が硬貨返却箱34の上方に移動し、底板80が開き、一時保留硬貨を硬貨返却箱34に放出する。顧客により、硬貨返却箱34が機体11から前方へ引き出されることにより、硬貨返却箱34内の硬貨が取り出される。引き出された硬貨返却箱34が元に戻されることにより、一時保留部77が一時保留位置に復帰して、次の処理が可能となる。
【0072】
また、カードの種類が非継続収納対応カードの場合には、係員呼出手段97を動作させて係員を呼び出し、画面23では係員を呼び出していることを表示する(ステップ9)。
【0073】
呼び出された係員により、係員カードをカード挿入口29に挿入して(ステップ10)、カード処理部40で係員カードであることを確認することにより、画面23で収納・返却を確認する内容を表示する(ステップ11)。
【0074】
顧客に対して係員が応対し、一時保留部61,77の現金を継続収納してもよいか確認をとり、継続収納の確認を操作すれば(ステップ12)、上述のように継続処理を実行し(ステップ13)、また、取消を操作すれば(ステップ14)、上述のように返却処理を実行する(ステップ15)。
【0075】
以上のように、予め顧客のカードの種類を、継続収納可能な継続収納対応カードと、現金の返却などに対応できる継続収納不可能な非継続収納対応カードとに区別し、継続収納対応カードの場合にのみ、一時保留部61,77の現金を収納庫62,78へ収納させるとともに継続して現金を一時保留部61,77へ一時保留する継続収納処理を可能とすることにより、機械の大型化やコストアップを招くことなく、1回の入金取引で一時保留部61,77の容量を越える多量の現金を処理でき、そのうえで、非継続収納対応カードの場合には、現金の返却などの顧客の要求に対応できる。
【0076】
さらに、一時保留部61,77の現金を収納庫へ収納させるときに、操作部24での確認操作に基づいて収納させることにより、継続収納処理の場合でも収納などを確認して顧客の要求に対応できる。
【0077】
しかも、一時保留部61,77が満杯になったことが検出され、かつカードが非継続収納対応カードであったとき、係員呼出手段97を作動させることにより、呼び出しを受けた係員が応対して顧客の要求に対応できる。さらに、係員呼出手段97が作動された後に、カード処理部40で係員カードが読み取られることにより、非継続収納に対応した非継続収納処理を可能にするので、係員が応対しながら顧客の要求に対応した処理ができる。
【0078】
なお、紙幣および硬貨の現金のうち、いずれか一方の満杯の検知された場合に、その満杯の検知された一方の現金についてのみ継続収納処理等を実行し、満杯の検知されていない他方の現金については計数処理を継続すれば計数処理を中断することなく早く計数でき、また、いずれか一方の満杯の検知された場合に、満杯が検知されていない他方の現金についても継続収納処理等を並行して実行してもよく、他方の現金が満杯になる機会を少なくできる。
【0079】
【発明の効果】
請求項1記載の自動入金機によれば、予め顧客のカードの種類を、継続収納可能な継続収納対応カードと、現金の返却などに対応できる継続収納不可能な非継続収納対応カードとに区別し、一時保留部が満杯になったことを検出したとき、継続収納対応カードの場合にのみ、一時保留部の現金を収納庫へ収納させるとともに継続して現金を一時保留部へ一時保留する継続収納処理を可能とすることにより、機械の大型化やコストアップを招くことなく、1回の入金取引で一時保留部の容量を越える多量の現金を処理でき、そのうえで、非継続収納対応カードの場合には、係員呼出手段を作動させることにより、呼び出しを受けた係員が応対して、係員操作による現金の返却などの顧客の要求に対応できる。
【0080】
請求項2記載の自動入金機によれば、請求項1記載の自動入金機の効果に加えて、一時保留部の現金を収納庫へ収納させるときに、操作部での確認操作に基づいて収納させることにより、継続収納処理の場合でも収納などを確認して顧客の要求に対応できる。
【0081】
請求項3記載の自動入金機によれば、請求項1記載の自動入金機の効果に加えて、係員呼出手段が作動された後に、カード処理部で係員カードが読み取られることにより、係員操作による非継続収納に対応した非継続収納処理を可能にするので、係員が応対しながら顧客の要求に対応した処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す自動入金機の入金動作のフローチャートである。
【図2】 同上自動入金機の斜視図である。
【図3】 同上自動入金機の紙幣入金部の構成図である。
【図4】 同上自動入金機の硬貨入金部の構成図である。
【図5】 同上自動入金機の構成図である。
【図6】 同上自動入金機の画面の遷移を説明する説明図である。
【符号の説明】
16,18 現金投入部
24 操作部
40 カード処理部
59,75 識別計数部
61,77 一時保留部
62,78 収納庫
66,81 満杯検出手段としてのフルセンサ
91 制御部
97 係員呼出手段

Claims (3)

  1. カードのデータを読み取り、カードの種類が継続収納可能な継続収納対応カードか継続収納不可能な非継続収納対応カードかを判別するカード処理部と、
    現金が投入される現金投入部と、
    この現金投入部に投入される現金を識別計数する識別計数部と、
    この識別計数部で正常と判別された現金を一時保留する一時保留部と、
    この一時保留部に一時保留された現金を収納する収納庫と、
    前記一時保留部が満杯になったことを検出する満杯検出手段と、
    係員を呼び出す係員呼出手段と、
    前記一時保留部が満杯になったことを前記満杯検出手段で検出したとき、前記カード処理部で読み取ったカードが継続収納対応カードの場合にのみ、一時保留部の現金を前記収納庫へ収納させるとともに、継続して前記識別計数部で正常と判別される現金を一時保留部へ一時保留する継続収納処理を可能にし、前記カード処理部で読み取ったカードが非継続収納対応カードであったときには、前記係員呼出手段を作動させた後に、係員操作による非継続収納に対応した非継続収納処理を可能にする制御部と
    を具備していることを特徴とする自動入金機。
  2. 操作部を具備し、
    制御部は、一時保留部の現金を収納庫へ収納させるときに、前記操作部での確認操作に基づいて収納させる
    ことを特徴とする請求項1記載の自動入金機。
  3. カード処理部は、カードの種類として係員カードを判別可能とし、
    制御部は、係員呼出手段が作動された後に、前記カード処理部で係員カードが読み取られることにより、係員操作による非継続収納に対応した非継続収納処理を可能にする
    ことを特徴とする請求項1記載の自動入金機。
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