JP4288928B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機、特に、室内機側制御部を有する室内機と、室外機側制御部を有しており室内機から電力の供給を受けて作動する室外機とを備える空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気調和機では、室外機で発生した異常原因を特定するために、室外機の各部の運転状態情報を一定時間経過するごとにEEPROM等の記憶装置に記憶させることにより運転状態の履歴を保存している。そして、実際に異常が発生した場合には、記憶装置に残された異常発生に至るまでの運転状態の履歴を調べることにより異常原因を特定し、異常が発生した具体的な装置を見つけだす等している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、一般的な空気調和機では、室内機の電源プラグを電源コンセントに差し込んで電力の供給は室内機に対してなされており、室外機には室内機を介することにより電力の供給がなされている。そして、一度設置された室内機の電源プラグは通常抜かれることがないため、室内機は常時電力が供給されている状態にある。ところが、空気調和機の運転停止時に省電力を行う場合や室外機の圧縮機を暖めておく必要がないほど外気温が高い場合等に、室内機から室外機への電力の供給は停止されることがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−83134号公報 (第2−4頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のとおり、室内機から室外機への電力供給が途切れてしまうことがあるため、通常の室外機では、室内機へ通電を開始してからの時間経過については認識することができない。そこで、室内機から室外機への電力供給が途切れてしまうことがあっても、室内機へ通電を開始してからの時間経過を測定・記憶することができるバッテリーバックアップ等の機能を有する記憶装置を室外機に新たに設け、異常発生の情報と共に記憶させることにより、異常原因の特定作業に役立てるということが行われている。しかし、このような機能を搭載した室外機は前述の記憶装置に比べて非常にコストがかかってしまう。また、室内機へ通電を開始してからの時間経過について記憶させる情報量が多い場合には、記憶部自体の寿命を縮めてしまい短期間で取り替える必要が生ずるのでよりいっそう高コストとなり実現困難である。
【0006】
本発明の課題は、室外機で発生した異常の原因を特定することが容易にでき且つ安価な空気調和機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る空気調和機は、室内機と、室外機とを備えている。室内機は、室内機側制御部を有している。室外機は、室外機側制御部を有しており、室内機から電力の供給を受けて作動する。室内機側制御部は、室内機へ最初に通電を開始した時からの積算運転時間を記憶する室内記憶部と接続されており、積算運転時間を室外機側制御部へと送る。室内機へ最初に通電を開始した時とは、室内機が設置されて最初に電力が供給され始めた時を意味する。室外機側制御部は、不揮発性の室外記憶部と接続されており、室外機において異常が発生した時の積算運転時間を室外記憶部に記憶させる。
【0008】
室内機側制御部では、積算運転時間をカウントするごとに積算運転時間の値を室内記憶部に記憶させていく。これにより、室内記憶部には、次々と更新された積算運転時間が記憶される。
積算運転時間と異常原因との間には、例えば、積算運転時間が5分程度で発生しやすい異常原因A,6ヶ月程度で発生しやすい異常原因B等のように異常原因と積算運転時間との間に関連がある場合がある。ここでは、室外機側制御部は、室外機において異常が発生した時に積算運転時間を室外記憶部に記憶させているので、発生した異常が、どれだけの積算運転時間が経過して発生したものなのかが分かる。したがって、後にする異常原因の特定作業において積算運転時間に関連のある異常原因を考慮できるため発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。
【0009】
また、室内機側制御部は、室内機への通電開始からの積算運転時間を室内記憶部に記憶して室外機側制御部へと送っている。したがって、室外機側制御部では、電力の供給が途切れた場合であっても、時間の経過を記憶できるバッテリーバックアップ機能付きの記憶装置等のような高価な装置を設けることなく積算運転時間の把握ができる。このため、室外機を安価にすることができる。
【0010】
以上により、室外機で発生した異常の原因を特定することが容易にでき且つ安価な空気調和機を実現することができる。
請求項2に係る空気調和機は、請求項1に記載の空気調和機であって、室内記憶部は、不揮発性である。
ここでは、室内記憶部は、室内機への通電開始からの積算運転時間を記憶していくが、室内機への電力の供給が途切れてしまった場合に記憶内容が消えてしまうような記憶部では電力の供給が途切れる前までの記憶内容が反映されない。
【0011】
しかし、請求項2の空気調和機では、室内記憶部は、不揮発性である。このため、室内機への電力の供給が途切れたとしても、電力の供給が途切れた時までの積算運転時間を記憶しておき、電力の供給が再開された場合には記憶している積算運転時間からカウントを再開させることができるようになる。
請求項3に係る空気調和機は、請求項1又は2に記載の空気調和機であって、室外機側制御部は、室外機で異常が発生した時に、異常発生の通知を室内機側制御部へ送る。
【0012】
ここでは、室外機で異常が発生した時に異常発生の通知を室内機側制御部が室外機側制御部から受け取るので、室内機側制御部においては、室外機で異常が発生する毎に異常発生時を認識できるようになる。このため、室外機で異常が発生した際の異常発生の通知を室内機側制御部において受け取ることで、発生した異常が室内機に電力が供給されはじめてから初回に起こった異常であるか否かを室内機側制御部において認識することができるようになる。
【0013】
請求項4に係る空気調和機は、請求項3に記載の空気調和機であって、室内機側制御部は、室外機で異常が発生した時に、異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報を室外機側制御部へと送る。
室内機への通電開始とは、室内機に電力が供給され始めた時を意味し、一度電力の供給が途切れた場合はその後再び室内機に電力が供給され始めた時を意味する。
【0014】
ここでは、発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報は室内機側制御部だけが認識している。したがって、この情報を室外機側制御部へと送ることにより、室外機側制御部においても、発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かを認識することができるようになる。
請求項5に係る空気調和機は、請求項4に記載の空気調和機であって、室外機側制御部は、室内機から電力の供給を受けて室外機側制御部が作動している間、室外機で異常が発生した後は、室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を認識しておく。
【0015】
ここでは、室内機側制御部が室外機側制御部に対して室内機への通電開始後初めての異常か否かについての情報を知らせるとともに、室外機側制御部は、独自に室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を認識している。また、室外機側制御部は室内機から電力の供給を受けている間は作動することができるので、室外機側制御部は、室内機から電力の供給を受けている間だけ、室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を認識しおくことができる。したがって、室内機側制御部と室外機側制御部とが連携して異常履歴を記憶している場合において時間間隔の短い連続した異常が発生した場合であっても、室内機側制御部と室外機側制御部との間の伝送の遅れにより室内機への通電開始後初めての異常は未だ生じていないという誤った情報を記憶させてしまうことを抑えることができる。
【0016】
請求項6に係る空気調和機は、請求項4に記載の空気調和機であって、室外機側制御部は、室外機で異常が発生した後は、室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を室外記憶部に記憶させる。
ここでは、室内機側制御部が室外機側制御部に対して室内機への通電開始後初めての異常か否かについての情報を知らせるとともに、室外機側制御部は、独自に室外側記憶部に室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を記憶させている。このため、室外機側制御部は、室外記憶部に異常の情報を記憶させる際に、この室外機に記憶された室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報に基づいて行うことができる。したがって、室内機側制御部と室外機側制御部とが連携して異常履歴を記憶している場合において、室内機側制御部と室外機側制御部との間の伝送の遅れにより室内機への通電開始後初めての異常は未だ生じていないという誤った情報を記憶させてしまうことを抑えることができる。
【0017】
請求項7に係る空気調和機は、請求項4から6のいずれかに記載の空気調和機であって、室外機側制御部は、室外機で発生した異常が通電開始後初めてのものか否かについての情報を室外記憶部に記憶させる。
ここでは、室外機側制御部は発生した異常の原因を特定するために異常発生時の積算運転時間を室外記憶部に記憶させているが、異常が発生する原因は多様であるために、異常発生時の積算運転時間が分かっていても異常原因を特定することが困難な場合がある。
【0018】
しかし、請求項7の空気調和機では、室外機側制御部は、室外機で発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報を、室外記憶部に記憶させている。したがって、後にする異常原因の特定作業において、考えられる多様な異常原因の中から、室内機への通電開始後初めて発生する異常に関連のある異常原因に絞り込むことができる。したがって、異常原因の特定をさらに容易に行うことができるようになる。
【0019】
請求項8に係る空気調和機は、請求項1から7に記載の空気調和機であって、室外機側制御部は、室外機で異常が発生した時に、室外機の異常発生時における運転情報を室外記憶部に記憶させる。
室外機の異常発生時における運転情報とは、室外機の異常発生時における運転状態に関する各種情報であり、例えば、室外機の圧縮機の吐出管温度や、圧縮機、室内ファンモータおよび室外ファンモータに加えられる電流の測定や、圧縮機が吸引あるいは吐出する冷媒の圧力や、空気調和機の設置される環境の温度あるいは湿度等である。
【0020】
ここでは、室外記憶部に室外機の異常発生時における運転情報を記憶させておくことで、異常発生時の室外機各部の値と標準運転時の室外機各部の値とを比較する等して異常発生部分を見つけだし易くなる。このため、後にする異常原因の特定をさらに容易に行うことができるようになる。
請求項9に係る空気調和機は、室内機と、室外機とを備えている。室内機は、室内機側制御部を有する。室外機は、室外機側制御部を有しており、室内機から電力の供給を受けて作動する。室内機側制御部は、室内機へ最初に通電を開始した時からの積算運転時間を記憶する室内記憶部と接続されており、室外機で異常が発生した時に室外機側制御部から通知される異常発生の通知を受け取り、受け取り時の積算運転時間を室内記憶部に記憶させる。
【0021】
室内機へ最初に通電を開始した時とは、室内機が設置されて最初に電力が供給され始めた時を意味する。
室内機側制御部では、積算運転時間をカウントするごとに積算運転時間の値を室内記憶部に記憶させていく。これにより、室内記憶部には、次々と更新された積算運転時間が記憶される。
【0022】
積算運転時間と異常原因との間には、例えば、積算運転時間が5分程度で発生しやすい異常原因A,6ヶ月程度で発生しやすい異常原因B等のように異常原因と積算運転時間との間に関連がある場合がある。ここでは、室内機側制御部は、室外機で異常が発生した時に室外機側制御部から通知される異常発生の通知を受け取り、受け取り時に積算運転時間を室内記憶部に記憶させているので、発生した異常が、どれだけの積算運転時間が経過して発生したものなのかが分かる。したがって、後にする異常原因の特定作業において積算運転時間に関連のある異常原因を考慮でき、発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。
【0023】
また、室内機側制御部では、室内機への通電開始からの積算運転時間とを室内記憶部に記憶し、室外機で異常が発生した時に室外機側制御部から通知される異常発生の通知を受け取り、受け取り時に積算運転時間を室内記憶部に記憶させている。したがって、電力の供給が途切れることがある室外機の室外機側制御部においてでも、時間の経過を記憶できるバッテリーバックアップ機能付きの記憶装置等のような高価な装置を設ける必要や、積算運転時間を室内機側制御部から受け取り記憶をするための記憶装置等の容量を確保する必要をなくすることができる。このため、室外機を安価にすることができる。
【0024】
以上により、室外機で発生した異常の原因を特定することが容易にでき且つより安価な空気調和機を実現することができる。
請求項10に係る空気調和機は、請求項9に記載の空気調和機であって、室内記憶部は、不揮発性である。
ここでは、室内記憶部は、室内機への通電開始からの積算運転時間を記憶していくが、室内機への電力の供給が途切れてしまった場合に記憶内容が消えてしまうような記憶部では電力の供給が途切れる前までの記憶内容が反映されない。
【0025】
しかし、請求項10の空気調和機では、室内記憶部は、不揮発性である。このため、室内機への電力の供給が途切れたとしても電力の供給が途切れた時までの積算運転時間を記憶しておき、電力の供給が再開された場合には記憶している積算運転時間からカウントを再開させることができるようになる。
請求項11に係る空気調和機は、請求項10に記載の空気調和機であって、室内機側制御部は、室外機で発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報を室内記憶部に記憶させる。
【0026】
ここでは、室内機側制御部は発生した異常の原因を特定するために異常発生時の積算運転時間を室内記憶部に記憶させているが、異常が発生する原因は多様であり異常発生時の積算運転時間が分かっていても異常原因を特定することが困難な場合がある。
しかし、請求項11の空気調和機では、室内機側制御部は、室外機で発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報を、室内記憶部に記憶させている。したがって、後にする異常原因の特定作業において、考えられる多様な異常原因の中から室内機への通電開始後初めて発生する異常に関連のある異常原因に絞り込むことができる。したがって、異常原因の特定をさらに容易に行うことができるようになる。
【0027】
請求項12に係る空気調和機は、請求項9から11のいずれかに記載の空気調和機であって、室内機側制御部は、室外機の異常発生時における運転情報を室外機側制御部から受け取り、室内記憶部に記憶させる。
室外機の異常発生時における運転情報とは、室外機の異常発生時における運転状態に関する各種情報であり、例えば、室外機の圧縮機の吐出管温度や、圧縮機、室内ファンモータおよび室外ファンモータに加えられる電流の測定や、圧縮機が吸引あるいは吐出する冷媒の圧力や、空気調和機の設置される環境の温度あるいは湿度等である。
【0028】
ここでは、室内記憶部に室外機の異常発生時における運転情報を記憶させておくことで、異常発生時の室外機各部の値と標準運転時の室外機各部の値とを比較する等して異常発生部分を見つけだし易くなる。このため、後にする異常原因の特定をさらに容易に行うことができるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
<空気調和機の外観>
本発明の一実施形態が採用される空気調和機の外観を図1に示す。
この空気調和機1は、室内の壁面などに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機6とを備えている。室内機2は、室内機2の電源プラグを電気コンセントに差し込むことにより電気配線に接続される。これにより、室内機2に、電力が供給されている。さらに、室外機6は、室内機2と電気的に接続されており、室内機2から電力の供給を受けている。
【0030】
また、図2で示すように、室内機2および室外機6の各熱交換器27,69は、冷媒配管7を介して接続されることにより冷媒回路を構成している。そして、室内機2は室内機側制御部20を有しており、室外機6は室外機側制御部60を有している(図3参照)。この室内機側制御部20と室外機側制御部60とが通信ライン49で接続され、互いに情報の送受信を行うことができるようになっている。
【0031】
<冷媒回路の概略構成>
空気調和機1で用いられる冷媒回路の一例を、図2に示す。
[室内機の構成]
室内機2には、室内熱交換器27が設けられている。この室内熱交換器27は、長さ方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管が挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内機2内には、クロスフローファン28と、クロスフローファン28を回転駆動する室内ファンモータ29とが設けられている。クロスフローファン28は、円筒形状に構成され、周面には回転軸方向に羽根が設けられており、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。このクロスフローファン28は、室内空気を室内機2内に吸い込ませるとともに、室内熱交換器27を流れる冷媒との間で熱交換を行った後の空気を室内に吹き出させる。
【0032】
[室外機の構成]
室外機6には、圧縮機67と、圧縮機67の吐出側に接続される四路切換弁68と、圧縮機67の吸入側に接続されるアキュムレータ67aと、四路切換弁68に接続された室外熱交換器69と、室外熱交換器69に接続された電動弁70とが設けられている。電動弁70は、フィルタ74および液閉鎖弁75を介して冷媒配管7aに接続されており、この冷媒配管7aを介して室内熱交換器27の一端と接続される。また、四路切換弁68は、ガス閉鎖弁71を介して冷媒配管7bに接続されており、この冷媒配管7bを介して室内熱交換器27の他端と接続されている。また、室外機6には、室外熱交換器69での熱交換後の空気を外部に排出するための送風ファン72が設けられている。この送風ファン72は、室外ファンモータ73によって回転駆動される。
【0033】
<制御ブロック図>
室内機2と室外機6のシステム概略図を図3に、室内機2の制御ブロック図、室外機6の制御ブロック図を図4および図5に示す。
[室内機側制御部の構成]
室内機側制御部20の構成を示すブロック図を図4に示す。
【0034】
室内機側制御部20は、室内機2の内部に設置されている。室内機側制御部20はマイクロプロセッサで構成されており、この室内機の運転時における制御プログラムが格納される室内ROM22および運転中における各種パラメータなどが一時的に格納される室内RAM23が接続されている。なお、室内機側制御部20、室内ROM22および室内RAM23をワンチップマイコンとして構成することも可能である。
【0035】
また、各機種毎に設定される制御定数を格納する室内EEPROMからなる室内記憶部21が、室内機側制御部20に接続されている。この室内記憶部は、書き換え可能な不揮発性メモリであって、その空気調和機の機種に応じたファンの風量設定、インバータの周波数制御、保護制御のための温度設定値などの制御定数が格納される。
【0036】
なお、この室内記憶部21は、異常発生の種類別のコードに関する各種データや消費電力等の情報についても格納可能であり、特に、異常が発生した機器の情報や発生した異常が室内機への通電開始後初めてか否かについての情報や積算運転時間の情報を格納することができる。室内記憶部21内にこれらの情報が格納される領域は、全領域の一部が割り当てられており、例えば、2つの異常発生情報を格納するための領域が確保される。
【0037】
また、室内記憶部21への書き込みを許可または禁止するための上書規制部24が、室内記憶部21に接続されている。この上書規制部24は、室内機側制御部20が室内記憶部21に異常発生情報を格納することを許可または禁止するものである。
また、リモコンとの間でデータの送受信を行うための赤外線送受信部30が室内機側制御部20に接続されている。この赤外線送受信部30は、リモコンからのデータを受信するための赤外線受信素子とリモコンへのデータを送信するためのデータ送信用LEDなどで構成されている。
【0038】
さらに、運転状態や室内外の温度、湿度などの情報を表示するためのLEDなどで構成される表示素子31が室内機側制御部20に接続されている。表示素子31は、例えば、図1に示す空気調和機1の外観図において、表示部32に設けられる各種LEDなどの表示素子とすることができる。
また、設定温度変更、運転モード切替、その他の指示入力がリモコンからあった場合や各種警告時に発音するためのブザー33が室内機側制御部20に接続されている。
【0039】
この室内機側制御部20は内外伝送路を介して室外機側制御部60と接続されてデータの送受信を行っており、室内機側制御部20には、この内外伝送路に接続される内外伝送路用インターフェイス34が接続されている。これにより、室内機側制御部20は、室外機側制御部60との間でデータの送受信が可能となっている。
【0040】
さらに、他の入出力部35が室内機側制御部20に接続されている。
室内機側制御部20は、室内熱交サーミスタ36、室温センサ37などの各種センサが接続されており、各センサの検出信号が入力される。
また、室内機側制御部20は、室内ファンモータ29を駆動する室内ファンモータ駆動部38や風向調整用ルーバを動かすスイングモータ駆動部39などの各部の駆動部に接続されており、各部に対して制御信号を供給することによって運転中の各部の制御を行うように構成されている。
【0041】
さらに、室内機側制御部20は、メインリレー40のオン・オフ制御を行うためのメインリレー作動部41と接続されている。
室内機側制御部20は、室内記憶部21、室内ROM22、室内RAM23、上書規制部24等と共に室内プリント基板42上に搭載され、室内機2内の室内電装品ボックス43に収納されている(図6参照)。室内電装品ボックス43は、室内機2内に着脱可能に取り付けられており、異常発生時にこの室内電装品ボックス43のみを回収して調査を行うことが可能となっている。また、室内電装品ボックス43内の少なくとも室内記憶部21を搭載する室内プリント基板42のみを回収可能な構成とすることもできる。
【0042】
[室外機側制御部の構成]
室外機側制御部60は、室外機6の内部に設置されている。室外機側制御部60はマイクロプロセッサで構成されており、この室外機の運転時における制御プログラムが格納される室外ROM62および運転中における各種パラメータなどが一時的に格納される室外RAM63が接続されている。なお、室外機側制御部60、室外ROM62および室外RAM63をワンチップマイコンとして構成することも可能である。
【0043】
また、室外機側制御部60には、電気的にデータ書き換えが可能な室外EEPROMからなる室外記憶部61が接続されている。この室外記憶部61は、装置の異常発生時における運転状態に関する各種データの複数回分を格納することができ、特に、異常発生の種類別のコード、積算運転時間、発生した異常は室内機への通電開始後初めてのものか否かの情報、異常発生時の装置の各部の運転状態、環境情報などを含む異常発生情報を格納することが可能となっている。室外記憶部61内の異常発生情報が格納される領域は、全領域の一部が割り当てられており、たとえば、2つの異常発生情報を格納するための領域が確保される。
【0044】
室外記憶部61への書き込みを許可または禁止するための上書規制部64が、室外記憶部61に接続されている。この上書規制部64は、室外機側制御部60が室外記憶部61に異常発生情報を格納することを許可または禁止するものである。
この室内機側制御部60は内外伝送路を介して室内機側制御部20と接続されてデータの送受信を行っており、室外機側制御部60には、この内外伝送路に接続される内外伝送路用インターフェイス34が接続されている。これにより、室外機側制御部60は、室内機側制御部20との間でデータの送受信が可能となっている。
【0045】
室外機側制御部60には、さらに、外気温度を検出するための外気サーミスタ76、室外熱交換器69内の冷媒の蒸発温度または凝縮温度を検出する室外熱交サーミスタ77、圧縮機67の吐出管温度を検出する吐出管サーミスタ78、圧縮機67の圧力保護を行うための吐出側圧力保護スイッチ80などのセンサ類が接続され、各センサの検出信号が入力される。
【0046】
また、室外機側制御部60は、圧縮機67を駆動するための圧縮機駆動部81、四路切換弁68を駆動するための四路切換弁駆動部82、電動弁70を駆動する電動弁駆動部83、室外ファンモータ73を駆動する室外ファンモータ駆動部84などと接続されており、各部に制御信号を供給することによって運転中の各部の制御を行うように構成されている。
【0047】
室外機側制御部60は、室外記憶部61、室外ROM62、室外RAM63、上書規制部64等と共に室外プリント基板85上に搭載されている。また、圧縮機駆動部81および室外ファンモータ駆動部84は、室外機側制御部60が搭載される室外プリント基板85と同一または異なる複数のプリント基板上に搭載されており、室外機6内の室外電装品ボックス86に収納されている。
【0048】
室外電装品ボックス86内には、センサおよびスイッチ類用のコネクタ、電動弁用コネクタ、四路弁用コネクタ、圧縮機用コネクタ、サーミスタ用コネクタなどを備えており、これらのコネクタを介して室外機6内に配置されている各部と接続されている。また、室外電装品ボックス86内には、上述の内外伝送路用インターフェイス34や電源受電用コネクタなどを備えており、それぞれ室内機2と接続される。電装品ボックス内に配置される各コネクタは、室外機側制御部60、圧縮機駆動部81、室外ファンモータ駆動部84などを搭載する室外プリント基板85上にマウントすることも可能であり、また、室外電装品ボックス86の内壁に取り付けられ、ハーネスにより室外プリント基板85上の端子に接続される構成とすることもできる。室外電装品ボックス86は、室外機6内に着脱可能に取り付けられており、異常発生時にこの室外電装品ボックス86のみを回収して調査を行うことが可能となっている。また、室外電装品ボックス86内の少なくとも室外記憶部61を搭載する室外プリント基板85のみを回収可能な構成とすることもできる。
【0049】
<電気配線図>
室内機2および室外機6の電気配線図の概略を図6に示す。
室内機2は電源ポート44,45および通信ポート46を備えており、室外機6は電源ポート87,88および通信ポート89を備えている。室内機2の電源ポート44,45と室外機6の電源ポート87,88はそれぞれ給電ライン47,48によって接続されており、室内機2の通信ポート46と室外機6の通信ポート89は通信ライン49によって接続されている。
【0050】
室内機2は、商用電源に接続される電源プラグ50を備える電源ケーブル51を備えており、この電源ケーブル51を介して電力供給される。電源ケーブル51からの供給電力は、室内機側制御部20等の回路部品を搭載する室内プリント基板42に入力される。室内プリント基板42には、室内機側制御部20、室内記憶部21、室内ROM22、室内RAM23、各種インターフェイス34などが実装されており、室内ファンモータ29を駆動するための室内ファンモータ駆動部38や風向調整用ルーバを動かすスイングモータ駆動部39などが構成されている。室内ファンモータ29およびスイングモータ52がそれぞれ室内プリント基板42の対応位置に接続されている。
【0051】
また、室内機2内の給電ライン48には、電源ポート44,45への電力の供給を遮断するためのメインリレー40が設けられている。このメインリレー40を遮断することによって室外機6への電力の供給を停止することが可能となっている。
室外機6には、電源ポート87,88および通信ポート89と接続される室外プリント基板85が配置されている。この室外プリント基板85には、室外機側制御部60、室外記憶部61、室外ROM62、室外RAM63、各種インターフェイス34等が実装されており、室外ファンモータ73を駆動する室外ファンモータ駆動部84、四路切換弁68を駆動する四路切換弁駆動部82、電動弁70を駆動する電動弁駆動部83等を備えている。室外ファンモータ73、四路切換弁68および電動弁70がそれぞれ室外プリント基板85の対応位置に接続されている。
【0052】
また、室外プリント基板85上には電源ポート87,88から供給される電源電圧を整流する整流部90および空調指令に基づいて圧縮機67を駆動するインバータ回路91などが構成されている。インバータ回路91の出力は圧縮機67に入力される。
<給電停止制御>
空気調和機1では、室内機2の電源プラグ50を電源コンセントに差し込むことで室内機2に対して電力の供給がなされ、室外機6の方にはこの室内機2を介することにより電力の供給がなされる。一度設置された室内機の電源プラグ50は通常抜かれることがないため、室内機2は常時電力が供給されている状態にある。空気調和機1の運転停止時に省電力を行う場合等には、室内機2から室外機6への電力の供給は停止される。以下、室内機2と室外機6の給電停止制御について説明する。
【0053】
[室内機]
給電停止制御を行う場合の室内機側制御部20の動作を図7のフローチャートに示す。
ステップS11では、所定の給電停止条件に到達したか否かを判別する。たとえば、空調運転停止から一定時間が経過して待機電力削減モードに移行すると判断した場合には、所定の給電停止条件に到達したと判断して、ステップS12に移行する。例えば、室外機6の圧縮機67は一定の温度以上に保たなければならないが、外気温が高いためこのような一定温度に保つ制御が必要ない場合も、給電の停止を行う。また、通常動作モードにおいて、室外機側制御部60から異常が発生した旨の情報を受信した場合に、給電停止が必要であるか否かを判断し、給電停止が必要であると判断した場合にステップS12に移行する。
【0054】
ステップS12では、室外機側制御部60に対して給電停止を行う旨の信号を送信する。
ステップS13では、室外機6の運転状態情報を取得する。ここでは、室外機側制御部60に対して室外RAM63内に保持している室外運転情報を送信するように要求信号を送信し、送信されてくる室外運転情報を受信する。室外運転情報は、現在の室外機6の運転状態に関する情報であり、たとえば、過去に発生した異常の回数や異常のレベル、学習内容などの情報が想定される。
【0055】
ステップS14では、取得した室外機6の運転状態情報を記憶手段に格納する。ここでは、室外RAM63の所定領域に室外運転情報を格納する。室内機側制御部20には、不揮発性メモリの室内EEPROMからなる室内記憶部21を備えているため、この不揮発性メモリに室外運転情報を格納するように構成できる。
【0056】
ステップS15では、室外機6への給電停止処理を行う。ここでは、メインリレー作動部41を介してメインリレー40をオフ状態とし、室外機6への給電停止を行う。
ステップS16では、給電停止中の室外機6に対して給電を復帰するための条件に到達したか否かを判別する。待機電力削減モードにおいてユーザからの指示またはタイマーの設定により運転を再開する場合、室外機6の異常に対する復旧処理が完了した場合にはステップS17に移行する。
【0057】
ステップS17では、給電停止状態の室外機6に対する給電を再開する。ここでは、メインリレー作動部41を介してメインリレー40をオン状態とし、室外機6への給電復帰を行う。
ステップS18では、記憶手段に格納されている給電停止直前の室外運転情報を室外機6に送信する。室外RAM63の所定の領域に格納されている給電停止直前の室外運転情報を読み出して、室外機側制御部60に送信する。なお、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記録媒体に室外運転情報を格納させることも可能であり、この場合は、それぞれの記録媒体から給電停止直前の室外運転情報を読み出して室外機側制御部60に送信する。
【0058】
ステップS19では、通常運転を再開する。
[室外機]
給電停止制御および給電再開制御を行う場合の室外機側制御部60の動作を図8および図9のフローチャートに示す。
ステップS21では、室内機2側からの給電停止を行う旨の信号を受信したか否かを判別する。室内機側制御部20から給電停止を行う旨の信号を受信した場合にはステップS22に移行する。
【0059】
ステップS22では、室内機2側からの要求に応じて、運転状態情報を室内機2側に送信する。ここでは、室外RAM63に保持している室外運転情報を室内機側制御部20に送信する。この後、室内機側制御部20による給電停止処理により電力の供給が絶たれるので、室外機側制御部60は動作を停止する。
室内機2側からの給電が再開されると、図9ステップS31において、室外機側制御部60では各部の初期化を実行する。
【0060】
ステップS32では、室内機側制御部20から送信される給電停止直前の室外運転情報を受信する。
ステップS33では、室内機側制御部20から送信されてきた給電停止直前の室外運転情報を室外RAM63に格納する。
ステップS34では、通常運転を再開する。
【0061】
以上のように構成した空気調和機1では、室外機6における異常が発生して室外機6への給電を一旦停止するような場合に、給電停止直前の室外機側制御部60で管理する運転状態に関する情報を室内機側制御部20の室内RAM23に待避させているため、給電復帰した際に待避させた室外運転情報を用いて、給電停止直前の使用状態を再現することができる。また、待機電力削減のために室外機6への給電を停止する場合にも、同様にして給電停止直前の使用状態を再現することが可能となる。
【0062】
なお、室外機側に関係する情報判断はできるだけ室外機6だけで完結させ、室内機側に関係する情報判断はできるだけ室内機2だけで完結させるようにして、室外機6および室内機2を別々に開発できるように構成できる。この場合、室内機と室外機のモデルチェンジを異なる時期に行うことが比較的容易になり、開発時期の自由度が増すという効果がある。
【0063】
<室内記憶部の記憶作業>
[積算運転時間の記憶作業]
室内機側制御部20の制御用プログラムや各種定数を格納する室内ROM22が作動することによって、室内機側制御部20は、室内機の積算運転時間を計測し続けることができる。そして、室内機側制御部20は、1時間毎などの定期的に室内記憶部21に積算運転時間を記憶させている。室内記憶部21はEEPROM(Electrionically Erasable and Programmable Read only Memory)で構成されているため、電源プラグ50が抜かれる等により室内機への電力の供給が途切れることがあっても、室内記憶部21は、記憶した内容を保持しておくことができる。上述のように、室内記憶部21では、積算運転時間を定期的に記憶し続けているため、室内機2の電力の供給が途切れることがあっても、室内機2に始めに電源が供給されてからの積算の運転時間の情報を確保し続けることができる。
【0064】
具体的には、室内機側制御部20による積算運転時間のカウント時に室内機への電力の供給が途切れても、電力の供給が途切れる直前に室内機側制御部20から送信されてきた最新の積算運転時間の情報が室内RAM23に記憶されており、この情報が室内EEPROMに確保される。そして、室内機側制御部20に対して再び電力の供給が開始されると、室内機側制御部20は、室内EEPROMに記憶されている積算運転時間の値からカウントを再開させることができる。これにより、室内機2への電力の供給が途切れることがあっても、室内機側制御部20では、空気調和機1を設置してから運転している積算運転時間を認識することができる。
【0065】
なお、室内記憶部21では、電力の供給が開始された時に、室内機側制御部20から風量設定や能力設定等の機種に固有の設定値の読み出し作業を行う。
[初回異常発生時の記憶作業]
室内機側制御部20は、図3に示すように室外機側制御部60との間で情報の送受信を行う。室内機側制御部20は、異常発生時に室外機側制御部60から異常発生の通知を受け取る。この場合に、室内機側制御部20は、発生した異常が室内機2への通電開始後初めてのものであるか否か(以下単に、初回異常か否かという。)を判断し、室内機2へ通電を開始した後初めての異常(以下単に、初回異常という。)である場合にのみ室内記憶部21に初回異常情報を記憶させる。この初回異常情報とは、発生した異常の識別コードと、どの機器で異常が発生したのかという情報と、初回異常か否かの情報である。
【0066】
なお、既に室外機6の異常が発生した後であっても、室内機2への電力の供給が一度途切れた場合には、初回異常か否かの認識は初期化される。このため、室内機側制御部20は、初回異常は未だ発生していないと認識をする。そして、再び室内機2へ電力の供給が開始されてから初めて異常が発生した時には、室内機側制御部20は、その異常の情報を室内機への通電開始後初めての異常であると判断して上記と同様、室内記憶部21に記憶させる。
【0067】
<室外記憶部の記憶作業>
[異常発生時の記憶作業]
室外機側制御部60は、図3に示すように室外機側制御部60との間で情報の送受信を行う。室外機6に電力の供給がなされている間、室内機側制御部20は、室外機側制御部60へ1分毎の定期的な送信を行っている。この1分毎の定期的な送信により、室外機側制御部60は、積算運転時間の情報と初回異常が発生したか否かの情報とを受信している。例えば、室内機2への通電開始後異常が未発生の場合には、室外機側制御部60は、積算運転時間は○○時間△分であるという情報と、初回異常は未だ発生していないという情報(以下単に、初回異常未発生情報という。)とを受信する。
【0068】
室外機側制御部60は、室外機6に異常が発生した時に室内機側制御部20へ異常発生の通知を行う。そして、異常発生の通知を受けた室内機側制御部20は、この直前の時点まで定期的な送信を行っていた異常未発生情報を、初回異常は既に発生したという情報(以下単に、初回異常既発生情報という。)に切り換えて、次回の定期的な送信を行う際に積算運転時間の情報とあわせて室外機側制御部60へ送信する。
【0069】
室外機側制御部60は、室外機6に異常が発生していない段階では、特に室外記憶部61に情報を記憶させることは無い。そして、室外機6に異常が発生した場合においてのみ、室外記憶部61に異常情報を記憶させる。なお、室外機側制御部60は、室内機側制御部20とは異なり、初回異常についての情報だけでなく2回目以降に発生した異常の情報についても室外記憶部61に記憶させて、異常発生の情報の履歴を蓄積していく。この異常の情報とは、異常の種類別のコードに関する各種データと、室内機側制御部20から送信されてきた積算運転時間の情報と、初回異常であるか否かの情報とである。この異常発生の種類別のコードに関する各種データには、異常発生時のネック温度や各部の温度等の後の修理に必要な各部のパラメータについての情報等がある。
【0070】
なお、室内機2から室外機6への電力の供給が途切れた場合であっても、室外記憶部61は室外EEPROMで構成されているため記憶した内容を保持しておくことができる。そして、この室外記憶部61は、再び室内機2から室外機6へ電力の供給が再開され初めると、再び異常情報を記憶していく。
また、室外記憶部61は、室外機6への電力の供給が途切れた後、再び電力が供給された時に室外機側制御部60から風量設定や能力設定等の機種に固有の設定値の読み出しを行う。
<室内機側制御部と室外機側制御部の通電開始後初めての異常の認識作業>
室外機6で連続して異常が発生した場合の室内機側制御部20と室外機側制御部60と室外記憶部61とによる情報送受信図を図10に示す。
【0071】
図においては、上方から下方に向けて時間が経過していることを表している。室外機側制御部60のライン上のAで示す時は、初回異常の発生時を示している。同様にBで示す時は、2回目の室外機の異常発生時を示している。同様にCで示す時は、初回異常は既に発生したという情報(初回異常既発生情報)を室外機側制御部60が室内機側制御部20から受信した時を示す。
【0072】
初回異常が未発生の状態では、室内機側制御部20は、図の矢印20a、20b、20cで示すように、室内機へ通電を開始した後初めての異常は未だ発生していないという情報(初回異常未発生情報)を1分毎に室外機側制御部60に送信する。これにより、室外機側制御部60は室内機へ通電を開始した後未だに異常は発生していないと認識している。
【0073】
初回異常が発生した時(A)に、室外機側制御部60は、矢印60dで示すように室内機側制御部20へ異常発生の通知を行う。これにより、室内機側制御部20は、初回異常が発生したことを認識する。これと同時に室外機側制御部60は、矢印60eで示すように異常発生時における各情報を室外記憶部61に記憶させる。この場合には、室外記憶部61は、矢印20cによって送信されてきた積算運転時間の情報と初回異常未発生情報と、異常発生時における室外機の各部の運転情報とを記憶する。
【0074】
異常発生の通知を受けた室内機側制御部20は、初回異常未発生情報を初回異常既発生情報に切り換えて積算運転時間とあわせて室外機側制御部60に送信する(矢印20g)。
なお、室内機側制御部20から初回異常既発生の情報を室外機側制御部60が受信する時(C)より前に、図のBで示すような2回目の異常が発生してしまうことがある。この場合は、室外機側制御部60は室内機側制御部20からの初回異常既発生情報を未だ受信していないが、室外機側制御部60は、矢印60fで示すように、異常発生時における各情報を室外記憶部61に記憶させる。
【0075】
このような1回目の異常が発生した以降は、通電中の室外機側制御部60において室外機に初回異常が発生したか否かを認識している。そして、室外機側制御部60は、室内機側制御部20からの情報については積算運転時間のみ参照して記憶作業を行い、初回異常が発生したか否かの情報については室外機側制御部60において認識している初回異常既発生情報を室外記憶部31に記憶させるようにしている。すなわち、室外機側制御部60は、発生した異常の全てについて室内機側制御部20から得られる情報を参照するのではなく、初回異常についてのみ室内機側制御部20から得られる情報を参照している。2回目以降に発生した異常について、室内機側制御部20からの異常既発生情報を受信する前に記憶作業をしてしまうと、室外記憶部61には、初回異常が既に発生したという情報が記憶されなければならないところ、異常が発生していないという誤った情報が記憶されていくことになるからである。
【0076】
このように室外機側制御部60が、室外機6に初回異常が発生したか否かの情報を認識できるのは、室外機6に電力が供給されて室内機側制御部20と室外機側制御部60とが接続されている間だけである。このため一度室外機6への電力の供給が途切れると、室外機側制御部60は、初回異常が発生したか否かの情報は認識できなくなる。ところが、室外機6に再び電力の供給がなされた時に室内機側制御部20から初回異常既発生情報もしくは初回異常未発生情報が送信されてくるため、室外機側制御部60は、再び初回異常が既に発生したのか否かを認識できるようになる。
【0077】
なお、室外機側制御部60は、2回目以降の異常発生では初回異常既発生情報と異常発生時の室外機の各部の運転情報とを記憶し、積算運転時間については室内機側制御部20から受信している積算運転時間のうち最新の積算運転時間を記憶する。
初回異常発生時の異常発生の通知を室内機側制御部20が受信した時から室内機への電力供給が途切れるまで、矢印20hで示すように、室内機側制御部20が初回異常既発生情報を室外機側制御部60に送信していく。このため、その後室外機の通電が途切れることがあっても、室外機側制御部60では初回異常が既に発生していることを認識することができる。
【0078】
そして、室内機2への電力供給が途切れた後に室内機2へ電力の供給が再開されると、室内機側制御部20の認識していた初回異常が発生したか否かの情報は初期化され、室内機側制御部20は、再び初回異常未発生情報を室外機側制御部60へと送信するようになる。
室内機2への電力の供給が途切れることにより室外機6への電力も途切れるので、再び室内機2へ電力が供給され始める段階では、室外機側制御部60は、もはや初回異常が発生したか否かの情報は認識していない。ここで、上述のように、初回異常未発生情報が再び室外機側制御部60へと送信され始めることで、室外機側制御部60でも再び初回異常未発生情報を認識することができる。
<異常原因の特定作業>
上述のように、室外記憶部61に記憶されている情報は、室外機6に異常が発生した際に、室外電装品ボックス86の中の室外プリント基板85を取り出して室外記憶部61を回収し、もしくは室外記憶部61があるこの現場で直接情報を読み出すことにより、実際に異常原因を特定するときに利用される。
【0079】
[部品の寿命による異常発生の原因特定]
室外機6を構成する圧縮機67やガス閉鎖弁71等の各装置の部品にはそれぞれ異なった寿命がある。このため、異常が発生する時期も各部品によって異なることになる。したがって、室外記憶部61に記憶された積算運転時間が比較的長い場合には、異常が発生した原因となる部品は、寿命が長いものである可能性が高く、寿命が短いものである可能性は低い。このため、室外記憶部61に記憶された積算運転時間が室外機の何かの部品の寿命に近い場合は、膨大な種類のあらゆる異常原因の中から積算運転時間に対応した寿命のものに限って異常原因を調べるだけでよいことになる。これにより、室外機6で発生した異常の原因を容易に特定できる。
【0080】
[初回異常の原因特定]
空気調和機1を設置した場合、一度室内機2の電源を落として故障部分を修理した場合、停電等で一時的に電力の供給が途切れた場合等の後に初めて発生する異常については、初回異常に関連のある異常原因があることが多い。例えば、空気調和機1の設置時の配線ミスや故障部分の修理が完全にはなされていなかった等の異常原因は、通電開始後初めての異常原因として考えられる事項である。そして、これらの異常原因は通電開始後2回目や3回目の異常原因としては起こりにくいものである。したがって、室外記憶部61に記憶された情報が初回異常である場合は、膨大な数のあらゆる異常原因の中から初回異常の異常原因に対応したものに限って調べるだけでよいことになる。これにより、室外機6で発生した異常の原因を容易に特定できる。
【0081】
なお、室外機側制御部60は、室内機2からの電力の供給がなされている時は、初回異常が未発生か既発生かを認識しておくことができる。しかし、室内機2からの電力の供給が途切れることがあるので、室外機6への電力供給再開後における室内機側制御部20からの定期的な情報送信がなされるまでは、室外機側制御部60では初回異常が未発生か既発生かは認識できない。このため、初回異常の異常原因を調べる場合には室内記憶部21に記憶されている情報を参照し、2回目以降の異常の原因を調べる場合には室外記憶部61に記憶されている情報を参照する。
【0082】
<遠隔地からの情報の取得>
また、遠隔地から空気調和機の情報を取得する流れを示すシステム概略図(
図11)に示すように、室内機2の室内機側制御部20には、異常履歴等の情報を読み出し可能なホームオートメイション用の通信端子25が接続されている。この通信端子25は、通信ターミナルアダプタ19に接続されている。通信ターミナルアダプタ19は、認識装置19aを備えており、この認識装置19aは、サービスエンジニア等による空気調和機へのアクセスを許可または禁止する認証手段を行う。このように、サービスエンジニア等は、通信ターミナルアダプタ19を介して空気調和機へのアクセスを行うが、この際に通信ターミナルアダプタ19の認識装置19aに許可されることで定められた者のみのアクセスに縛り込むことができ、遠隔からでもサービスエンジニア等が空気調和機の情報を得ることができるようになっている。通信ターミナルアダプタ19は、空気調和機以外にも、冷蔵庫26aやテレビ26bなどの家電製品とも接続可能で、それぞれ遠隔監視センタ17の遠隔管理装置18に情報を送信することができる。なお、この認識装置19aによる許可は、空気調和機についてのみの許可とすることもできる。また、サービスエンジニア等がサービスステーション16に待機している場合に、パソコンや携帯電話を用いて遠隔管理センタ17と通信することにより遠隔管理センタ17から空気調和機等の情報を得ることもできるようになっている。これにより、異常部分の修理を行うサービスエンジニア等が現地に到着する前に、パソコンや携帯電話を用いて異常履歴の情報を確認することができる。したがって、サービスエンジニア等は、あらかじめ修理を行う対象の部品などについての準備を現地に行く前に十分に行うことができる。
【0083】
なお、室内機側制御部20に接続されている通信端子25は、室内記憶部21からの異常の履歴を読み出しているが、この通信端子25は室内機側制御部20と室外機側制御部60との間の通信ライン49を介して室外記憶部61とも繋がっていることから、室外記憶部61に記憶されている異常の履歴をも読み出すことが可能である。
【0084】
<本実施形態に係る空気調和機の特徴>
(1)
ここでは、電力供給が途切れることのある室外機6であっても、異常発生時の積算運転時間を室外記憶部61に記憶させることができる。これにより、室内機2へ通電を開始した後にどれくらいの時間が経過して発生した異常なのかが分かるので、後にする異常原因の特定作業において、発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。
【0085】
また、装置を構成する部品の寿命は各部品に固有であるため、記憶された積算運転時間から部品の寿命の可能性を検討することで、発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。
(2)
本実施例は、電力供給が途切れることのある室外機6であっても異常情報を記憶して異常原因の特定を行い易くしていることと、室外機6に高コストな機能を搭載させなくてよいということとの両方を同時に満たすという点で従来の空気調和機よりも優れている。
(3)
電力供給が途切れることのある室外機6であっても、室内機2へ通電を開始した後初めて発生した異常か否かの情報を室外記憶部61に記憶させることができるので、通電開始後初めて発生する異常に関連のある異常原因について考慮でき、発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。
<変形例>
(1)
上記の実施形態では、室外機6の異常発生時に室外機側制御部60は室内機側制御部20へ異常発生の通知を行っており、室内機側制御部20はこの通知を受信した後に、その次の回に行う定期的な送信によって室外機側制御部60に各種情報を送信している。ところが、このように定期的な送信時を待って送信を行うのではなく、室外機6の異常発生の通知を受けて直ちに室外機側制御部60へ送信することもできる。これにより、室外機側制御部60は、異常が発生した時の積算運転時間をより正確に認識することができ、室外記憶部61は、より正確な積算運転時間を記憶することができる。
(2)
上述の実施形態では、室内記憶部21が記憶する積算運転時間は室内機2へ最初に通電を開始した時からカウントした運転時間の合計であるが、室内記憶部21には、この情報を記憶させることに加えて、室内機2への通電が途切れた後に再び通電が開始された時からカウントした運転時間についても記憶させることもできる。
【0086】
従来の空気調和機の記憶装置では、異常が発生した部分を発見できても、その部分が他の複数の部分と連携した動作を行っている場合やその部分を構成する部品間で連携した動作を行う部品群を有している場合には異常が発生した原因となるこのような動作や部品までを特定するのは困難である。
ここで、各装置の部品が行う動作に要する時間は各動作に固有のものである。このため、異常が発生する時期も各部品の動作に要する時間によって異なることになる。例えば、室外記憶部61に記憶された積算運転時間が長い場合には、異常が発生したのは、動作に要する時間が短い性質の部品の可能性よりも動作に要する時間が長い性質の部品の方が可能性が高いことになる。
【0087】
このため、膨大な種類のあらゆる異常原因の中から積算運転時間に対応した時間を要する動作を行う部品に限って異常原因を調べるだけでよいことになる。これにより、室外機6で発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。
なお、通常は、部品の動作等に要する時間よりも部品の寿命に要する時間の方が長いため、異常発生時の積算運転時間がかなり長い場合には、何かの部品の動作途中の異常が原因というよりはむしろ部品の寿命という異常原因の可能性が高くなる。
【0088】
このように、本変形例では室内機2への通電が途切れた後再び通電が開始された時からカウントした運転時間を記憶しているため、各装置の部品が行う動作に要する時間等を考慮することで、異常原因の特定がより容易になる。
(3)
上記の実施形態では、室内機側制御部20は、積算運転時間の情報および室内機2へ通電を開始した後に初回異常が発生したか否かの情報を室外機側制御部60に1分毎に送信しているが、この間隔を狭めて30秒毎や10秒毎や1秒毎に送信してもよく、この間隔を広げて30分毎や1時間毎に送信してもよい。
(4)
上記の実施形態では、室内機側制御部20および室外機側制御部60は、不揮発性メモリの室内EEPROMからなる室内記憶部21および室外記憶部61を備えているため、この不揮発性メモリに異常発生時の各情報を格納するように構成できるが、磁気ディスクやフラッシュメモリのドライブを備えることにより、これらの記録媒体に異常発生時の各情報を格納するように構成することも可能である。
(5)
上記の実施形態では、室内機側制御部20が、室外機側制御部60に対して室内機への通電開始後初めての異常か否かについての情報を知らせている。さらに、室外機側制御部60は、独自に室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を認識している。しかし、室外機側制御部60は、独自に室外側記憶部60に室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を記憶させることもできる。この場合には、室外機側制御部60は、室外記憶部61に異常の情報を記憶させる際に、この室外機側制御部60に認識されている室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報に基づいて行うことができる。したがって、室内機側制御部20と室外機側制御部60とが連携して異常履歴を記憶している場合において、室内機側制御部20と室外機側制御部60との間の伝送の遅れにより室内機2への通電開始後初めての異常は未だ生じていないという誤った情報を記憶させてしまうことを抑えることができる。
【0089】
<他の実施形態>
上記の実施形態では、室外機側制御部60は、異常発生時の室外機6の各部の運転情報と積算運転時間の情報と初回異常か否かの情報とを室外記憶部61に記憶させているが、これらの情報を、室内記憶部21において室内機側制御部20が記憶させることもできる(図12参照)。
【0090】
室外機2で異常が発生した時に室外機側制御部60が室内機側制御部20へ異常発生の通知を行うが、この通知を受けた時に室内機側制御部20で計測している積算運転時間を室内記憶部21に記憶させることで、異常発生時の積算運転時間を確保することができる。
また初回異常か否かの情報は、上記の実施形態と同様に室内機側制御部20が認識できるので、それぞれの異常発生の通知を受けた時に室内記憶部21に記憶させていくことができる。
【0091】
なお、異常発生時の室外機6の各部の運転情報は、室外機側制御部60が認識している情報である。従って、図12に矢印で示すように、室外機側制御部60が、通信ライン49を介して、異常発生の通知と共にあるいはその後に室内機側制御部20に異常発生時の室外機6の各部の運転情報を送信することで、室内機側制御部20がこれらの運転情報を認識することができる。これにより、異常発生時の室外機6の各部の運転情報を、室内機側制御部20が、室内記憶部21に記憶させることができる。
【0092】
また、図12に示すように、室内機2の室内機側制御部20には、異常履歴等の情報を読み出し可能なホームオートメイション用の通信端子25が接続されている。この通信端子25は、通信ターミナルアダプタ19に接続されている。通信ターミナルアダプタ19は、認識装置19aを備えており、この認識装置19aは、サービスエンジニア等による空気調和機へのアクセスを許可または禁止する認証手段を行う。このように、サービスエンジニア等による空気調和機へのアクセスは、通信ターミナルアダプタ19の認識装置19aに許可されることで、定められた者のみのアクセスに縛り込むことができ、遠隔からでもサービスエンジニア等が空気調和機の情報を得ることができるようになっている。通信ターミナルアダプタ19は、空気調和機の他にも、冷蔵庫26aやテレビ26bなどの家電製品とも接続可能で、それぞれ遠隔監視センタ17の遠隔管理装置18に情報を送信することができる。なお、サービスステーション16に待機しているサービスエンジニア等が、パソコンや携帯電話を用いて遠隔管理センタ17と通信することにより遠隔管理センタ17から空気調和機等の情報を得ることもできるようになっている。
【0093】
なお、他の構成については上記実施形態と同様である。
<他の実施形態に係る空気調和機の特徴>
(1)
ここでは、室内記憶部21において異常情報を記憶させることにより、室外機に高コストなEEPROM等を搭載させることなく、安価に空気調和機を提供でき、且つ、異常原因の特定を行い易くすることもできるという点で従来の空気調和機よりも優れている。
(2)
ここでは、室内記憶部21に積算運転時間を記憶させることができ、室内機2への通電開始後どれくらいの時間が経過して発生した異常なのかが分かるので、後にする異常原因の特定作業において、発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。
(3)
ここでは、初回異常か否かの情報を室内記憶部21に記憶させておくことができるので、初回異常に関連のある原因を考慮することにより、後にする異常原因の特定作業において、発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。
(4)
ここでは、異常発生から記憶作業をするまでに必要な時間が、異常発生時における室外機側制御部60から室内機側制御部20への異常発生の通知をするのにに要する時間のみである。これにより、異常が発生してから室内機側制御部20がその異常を認識するまでに要する時間が短縮化されるため、室内機側制御部20は、異常発生時における積算運転時間をより正確に取得することができる。
(5)
ここでは、通信ターミナルアダプタ19の認識装置19aによってサービスエンジニア等による空気調和機へのアクセスが許可されることで、サービスエンジニア等が、遠隔からでも空気調和機の情報を得ることができるようになっている。なお、サービスステーション16に待機しているサービスエンジニア等が、パソコンや携帯電話を用いて遠隔管理センタ17と通信することにより遠隔管理センタ17から空気調和機等の情報を得ることもできるようになっている。このため、異常部分の修理を行うサービスエンジニア等が現地に到着する前に、パソコンや携帯電話を用いて異常履歴の情報をあらかじめ確認することができる。これにより、室内にある室内記憶部21を直接操作する必要がなく、サービスエンジニア等は、室内に入ることなく部屋の外に設置されている室外機の異常部分の修理を直接行うことができる。
【0094】
【発明の効果】
請求項1に係る空気調和機では、室外機側制御部は、室外機において異常が発生した時に積算運転時間を室外記憶部に記憶させているので、発生した異常が、どれだけの積算運転時間が経過して発生したものなのかが分かる。したがって、後にする異常原因の特定作業において積算運転時間に関連のある異常原因を考慮できるため発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。また、室内機側制御部は、室内機への通電開始からの積算運転時間を室内記憶部に記憶して室外機側制御部へと送っている。したがって、室外機側制御部では、電力の供給が途切れた場合であっても、時間の経過を記憶できるバッテリーバックアップ機能付きの記憶装置等のような高価な装置を設けることなく積算運転時間の把握ができる。このため、室外機を安価にすることができる。以上により、室外機で発生した異常の原因を特定することが容易にでき且つ安価な空気調和機を実現することができる。
【0095】
請求項2に係る空気調和機では、室内記憶部は、不揮発性である。このため、室内機への電力の供給が途切れたとしても、電力の供給が途切れた時までの積算運転時間を記憶しておき、電力の供給が再開された場合には記憶している積算運転時間からカウントを再開させることができるようになる。
請求項3に係る空気調和機では、室外機で異常が発生した時に異常発生の通知を室内機側制御部が室外機側制御部から受け取るので、室内機側制御部においては、室外機で異常が発生する毎に異常発生時を認識できるようになる。このため、室外機で異常が発生した際の異常発生の通知を室内機側制御部において受け取ることで、発生した異常が室内機に電力が供給されはじめてから初回に起こった異常であるか否かを室内機側制御部において認識することができるようになる。
【0096】
請求項4に係る空気調和機では、発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報は室内機側制御部だけが認識している。したがって、この情報を室外機側制御部へと送ることにより、室外機側制御部においても、発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かを認識することができるようになる。
【0097】
請求項5に係る空気調和機では、室内機側制御部と室外機側制御部とが連携して異常履歴を記憶している場合において時間間隔の短い連続した異常が発生した場合であっても、室内機側制御部と室外機側制御部との間の伝送の遅れにより室内機への通電開始後初めての異常は未だ生じていないという誤った情報を記憶させてしまうことを抑えることができる。
【0098】
請求項6に係る空気調和機では、室外機側制御部は、室外記憶部に異常の情報を記憶させる際に、この室外機に記憶された室内機への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報に基づいて行うことができる。したがって、室内機側制御部と室外機側制御部とが連携して異常履歴を記憶している場合において、室内機側制御部と室外機側制御部との間の伝送の遅れにより室内機への通電開始後初めての異常は未だ生じていないという誤った情報を記憶させてしまうことを抑えることができる。
【0099】
請求項7に係る空気調和機では、室外機側制御部は、室外機で発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報を、室外記憶部に記憶させている。したがって、後にする異常原因の特定作業において、考えられる多様な異常原因の中から、室内機への通電開始後初めて発生する異常に関連のある異常原因に絞り込むことができる。したがって、異常原因の特定をさらに容易に行うことができるようになる。
【0100】
請求項8に係る空気調和機では、室外記憶部に室外機の異常発生時における運転情報を記憶させておくことで、異常発生時の室外機各部の値と標準運転時の室外機各部の値とを比較する等して異常発生部分を見つけだし易くなる。このため、後にする異常原因の特定をさらに容易に行うことができるようになる。
請求項9に係る空気調和機では、室内機側制御部は、室外機で異常が発生した時に室外機側制御部から通知される異常発生の通知を受け取り、受け取り時に積算運転時間を室内記憶部に記憶させているので、発生した異常が、どれだけの積算運転時間が経過して発生したものなのかが分かる。したがって、後にする異常原因の特定作業において積算運転時間に関連のある異常原因を考慮でき、発生した異常の原因を容易に特定することができるようになる。また、室内機側制御部では、室内機への通電開始からの積算運転時間とを室内記憶部に記憶し、室外機で異常が発生した時に室外機側制御部から通知される異常発生の通知を受け取り、受け取り時に積算運転時間を室内記憶部に記憶させている。したがって、電力の供給が途切れることがある室外機の室外機側制御部においてでも、時間の経過を記憶できるバッテリーバックアップ機能付きの記憶装置等のような高価な装置を設ける必要や、積算運転時間を室内機側制御部から受け取り記憶をするための記憶装置等の容量を確保する必要をなくすることができる。このため、室外機を安価にすることができる。以上により、室外機で発生した異常の原因を特定することが容易にでき且つより安価な空気調和機を実現することができる。
【0101】
請求項10に係る空気調和機では、室内記憶部は、不揮発性である。このため、室内機への電力の供給が途切れたとしても電力の供給が途切れた時までの積算運転時間を記憶しておき、電力の供給が再開された場合には記憶している積算運転時間からカウントを再開させることができるようになる。
請求項11に係る空気調和機では、室内機側制御部は、室外機で発生した異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報を、室内記憶部に記憶させている。したがって、後にする異常原因の特定作業において、考えられる多様な異常原因の中から室内機への通電開始後初めて発生する異常に関連のある異常原因に絞り込むことができる。したがって、異常原因の特定をさらに容易に行うことができるようになる。
【0102】
請求項12に係る空気調和機では、室内記憶部に室外機の異常発生時における運転情報を記憶させておくことで、異常発生時の室外機各部の値と標準運転時の室外機各部の値とを比較する等して異常発生部分を見つけだし易くなる。このため、後にする異常原因の特定をさらに容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気調和機の外観構成を示す斜視図。
【図2】冷媒回路の一例を示す説明図。
【図3】室内機側制御部と室外機側制御部とのシステム概略図。
【図4】室内機側制御部の構成を示すブロック図。
【図5】室外機側制御部の構成を示すブロック図。
【図6】室内機および室外機の電気配線の概略図。
【図7】給電停止制御を行う場合の室内機側制御部の動作のフローチャート図。
【図8】給電停止制御を行う場合の室外機側制御部の動作のフローチャート図。
【図9】給電再開制御を行う場合の室外機側制御部の動作のフローチャート図。
【図10】室外機で連続して異常が発生した場合の情報送受信図。
【図11】遠隔地から空気調和機の情報を取得する流れを示すシステム概略図。
【図12】他の実施形態に係る遠隔地から空気調和機の情報を取得する流れを示すシステム概略図。
【符号の説明】
2 室内機
6 室外機
20 室内機側制御部
21 室内記憶部
60 室外機側制御部
61 室外記憶部
Claims (12)
- 室内機側制御部(20)を有する室内機(2)と、
室外機側制御部(60)を有しており、前記室内機(2)から電力の供給を受けて作動する室外機(6)と、
を備え、
前記室内機側制御部(20)は、前記室内機へ最初に通電を開始した時からの積算運転時間を記憶する室内記憶部(21)と接続されており、前記積算運転時間を前記室外機側制御部(60)へと送り、
前記室外機側制御部(60)は、不揮発性の室外記憶部(61)と接続されており、前記室外機において異常が発生した時の前記積算運転時間を前記室外記憶部(61)に記憶させる、
空気調和機。 - 前記室内記憶部(21)は、不揮発性である、
請求項1に記載の空気調和機。 - 前記室外機側制御部(60)は、前記室外機で異常が発生した時に、異常発生の通知を前記室内機側制御部(20)へ送る、
請求項1又は2に記載の空気調和機。 - 前記室内機側制御部(20)は、前記室外機で異常が発生した時に、前記異常が室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報を前記室外機側制御部(60)へと送る、
請求項3に記載の空気調和機。 - 前記室外機側制御部(60)は、前記室内機(2)から電力の供給を受けて前記室外機側制御部(60)が作動している間、前記室外機(6)で異常が発生した後は、前記室内機(2)への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を認識しておく、
請求項4に記載の空気調和機。 - 前記室外機側制御部(60)は、前記室外機(6)で異常が発生した後は、前記室内機(2)への通電開始後初めての異常が既に発生しているという情報を前記室外記憶部(61)に記憶させる、
請求項4に記載の空気調和機。 - 前記室外機側制御部(60)は、前記室外機で発生した異常が通電開始後初めてのものか否かについての情報を前記室外記憶部(61)に記憶させる、
請求項4から6のいずれかに記載の空気調和機。 - 前記室外機側制御部(60)は、前記室外機で異常が発生した時に、前記室外機の異常発生時における運転情報を前記室外記憶部(61)に記憶させる、
請求項1から7に記載の空気調和機。 - 室内機側制御部(20)を有する室内機(2)と、
室外機側制御部(60)を有しており、前記室内機(2)から電力の供給を受けて作動する室外機(6)と、
を備え、
前記室内機側制御部(20)は、前記室内機へ最初に通電を開始した時からの積算運転時間を記憶する室内記憶部(21)と接続されており、前記室外機側制御部(60)から通知される異常発生の通知を前記室外機で異常が発生した時に受け取り、前記受け取り時の前記積算運転時間を前記室内記憶部(21)に記憶させる、
空気調和機。 - 前記室内記憶部(21)は、不揮発性である、
請求項9に記載の空気調和機。 - 前記室内機側制御部(20)は、前記室外機で発生した異常が前記室内機への通電開始後初めてのものか否かについての情報を前記室内記憶部(21)に記憶させる、
請求項10に記載の空気調和機。 - 前記室内機側制御部(20)は、前記室外機の異常発生時における運転情報を前記室外機側制御部(60)から受け取り、前記室内記憶部(21)に記憶させる、
請求項9から11のいずれかに記載の空気調和機。
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