JP4250291B2 - 画像処理装置及び画像処理方法及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置及び画像処理方法及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年カラーコピー機には紙幣や有価証券等の偽造防止用の画像認識処理機能等を搭載することが提案されている。複写物生成の対象画像データが偽造防止対象画像であると判定される場合には、その画像データに対しては、(1)何らかの色彩で塗り潰してプリント出力する、(2)何らかの記号や図形を重畳してプリント出力する、(3)色彩や画像サイズを変更して出力する、(4)プリント出力を全くしない、等のように正常な複写出力が行われないようにするというものである。
【0003】
ところで複写機は、紙幣等の複写禁止物を除き原稿台上に載置された物体を忠実に複写することが原則であるため、仮に紙幣に似た画像(紙幣ではなく、法律的にも複写可能な画像)が入力された場合には、紙幣ではないと認識してそのままの複写処理を行なう必要がある。このため、認識対象の画像が偽造防止対象画像に該当するか否かの判定は、極めて厳密な認識精度が要求される。
【0004】
一方、昨今では、カラーコピー機に比して廉価なカラースキャナやカラープリンタにより得られる画像の画質も飛躍的に向上しており、これらの機器をパソコンに接続して、いわばカラーコピー機の要素機器の組合せ使用によっても、同様な偽造行為が可能となってきている。このため、廉価なカラースキャナやカラープリンタを用いる画像処理システムにおいても画像認識処理機能の搭載等による紙幣や有価証券等の偽造防止対策が望まれてきている。
【0005】
尚、原稿が複写禁止対象物であるか否かの判定法方としては、画像データ中の各画素値(三色カラー信号に対応する R,G,Bの値のセット)に基いて、原稿をスキャンして得られる画像データのカラースペクトル分布をROM13に予め登録してあるデータと比較したり(違いを数値間の差分値の絶対値の総和として求めたり、分布間の相互相関値を算出したり等)、あるいは、原稿の一部あるいは全体の総合的な画像パターンをROM等に予め登録してあるパターンデータと比較したりすることで評価値を算出する方法等が提案されている。
【0006】
また、最近では、"電子透かし"と呼ばれる技術を用いることにより、印刷物としての原稿内に複写禁止対象物であることを示す情報を含ませて作成しておく事も可能となってきている。即ち、複写禁止対象物である原稿を、その原稿が印刷物として作成される際に、予め、元になる第一のディジタル情報(主情報)である画像データ(電子的な画像情報)に対して、複写禁止対象物であることを示す第二のディジタル情報(副情報)を埋め込むことにより生成された複写禁止対象物情報の入りの画像データ(やはり電子的な画像情報)から印刷物として作成しておく方法である。この複写禁止対象物情報(副情報)は、原稿を印刷する前の複写禁止対象物情報の入りの画像データから抽出できることはもちろんのこと(電子透かし技術そのもの)、複写禁止対象物情報の入りの画像データ(電子的な画像情報)から印刷物として作成した時の条件と読み取りや抽出処理の条件の整合性を取れば、それを含んだ電子的な画像情報から作成された印刷物(原稿)をカラースキャナ等の原稿読取装置により読み取って得られる電子的な画像データから抽出することも可能であることから、この"電子透かし"と呼ばれる技術の、印刷物としての原稿の違法な複製を防ぐ用途への適用が着目される始めている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
コンシューマ市場で一般的に用いられる廉価なカラースキャナやカラープリンタにおいては、比較的高価なカラー複写機に比して、より安価に複写禁止対象物の偽造防止の実現を図ることが望ましい。そのためには、複写禁止対象物の認識処理機能を電子回路等を多用したハードウェア主体の実現方法によらず、なるべくソフトウェア主体の実現方法をとることが有力な解となり得る。
【0008】
反面、ソフトウェア主体の実現方法によって先に述べた様な厳密な認識精度を要求される複写禁止対象画像の判定を行なおうとすると、演算の総量が多い以上、その認識・判定に要する処理時間が著しく長くなりがちであるという問題がある。
【0009】
裏返せば、認識・判定にかける演算量を減らそうとすると、一般的には、厳密な認識精度を要求される複写禁止対象画像の判定の実現が難しくなる傾向にあり、故意に読み取り条件(原稿の読み取り面上での置載角度、置載位置等)を変更して読み込まれた画像からの紙幣等の複写禁止物の検出等が難しくなったり、あるいは逆に、紙幣に似た画像(紙幣ではなく、法律的にも複写可能な画像)が入力された場合でも、複写禁止対象画像であると誤認識して、正常な出力を行なわずに、本来の画像処理システムとしての機能を損なってしまう、等の恐れがある。
【0010】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安価なイメージスキャナやカラープリンタを使用したパソコンシステムにおいて、比較的少ない演算量の認識・判定処理でも、従来に比し、より厳密な複写禁止対象物か否かの認識を可能とする画像処理システムを構成する画像処理装置、画像処理方法、及び、記憶媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、入力される画像から所定のサイズを有するバンド領域の画像情報を入力する入力手段と、前記バンド領域から所定サイズを有するサブブロックの画像情報を選定するサブブロック選定手段と、前記サブブロックの画像情報から、一定周期で埋め込まれている電子透かしの抽出を行い、前記入力される画像が予め定められた特徴を有する特定画像であるか否かを判定する特定画像判定手段と、前記特定画像判定手段による判定結果に応じて、前記入力される画像に対する処理を行なう処理手段とを有し、前記サブブロック選定手段は、ランダム位置に配置されるサブブロックを選定し、前記特定画像判定手段は、前記サブブロックに対してのみ電子透かしの抽出処理を行うことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第一の実施の形態)
以下、この発明の好ましい実施の形態の一例として、原稿内に含まれる複写禁止対象物であることを示す情報が、"電子透かし"と呼ばれる技術により作成されている場合に基いて説明をすすめる。即ち、複写禁止対象物である原稿が、印刷物として作成される元になる第一のディジタル情報である画像データ(電子的な画像情報)に対して、複写禁止対象物であることを示す第二のディジタル情報を埋め込むことにより生成された複写禁止対象物情報の入りの画像データ(やはり電子的な画像情報)から印刷物として作成されている事を前提として説明をすすめる。尚、上述した電子透かしは、画像データの特定空間周波数に情報をうめ込む不可視の電子透かし、人の目に見えにくいイエロー(系)ドットの配列により情報をうめ込む可視の電子透かし等どの様なものでもよい。
【0013】
先に述べたように、電子透かし技術により埋め込まれた電子透かしデータを抽出するためには、一般的に読み取りや抽出の条件を、透かし情報を埋め込んだ印刷物を生成した際の条件(即ち、画像データのどの位置にどのような並びで埋め込まれているか等)に整合性が取れるようにする必要がある。
【0014】
図1は複写禁止対象物の一種である紙幣である。0101は紙幣全体を示し、0102の領域には紙幣の偽造紙幣を判別するための透かしが埋め込まれている。
【0015】
今、複写禁止対象物であるか否かを判別する情報が、紙幣全体0101に電子透かし技術を用いて埋め込まれていることとする。
【0016】
図2は第1の実施例で複写禁止対象物の抽出が想定される環境である。
【0017】
同図において、0201は画像入力装置としてのカラーイメージスキャナ、0202はコンピュータシステムとしてのパソコン、0203はカラーイメージスキャナ0201とコンピュータシステム0202間でのデータのやり取りをするための接続ケーブルを表している。
【0018】
図3は、図2の構成における主要部を機能モジュールとしてのブロックにより表現したブロック図である。同図において、0311はCPU、0312はRAM、0313はROM、0314はディスプレイ制御部、0315はディスプレイ、0316はキーボードやマウスなどの操作入力、0317はデバイスキーボードやマウスなどの操作入力デバイスの接続I/O、0318はハードディスク装置などの外部記憶装置、0319は外部記憶装置の接続I/O、0320はバス、0321はカラーイメージスキャナ、0322はカラーイメージスキャナなどの画像入力機器との接続I/Oである。0323はネットワークなどの通信手段とのインターフェース部である。
【0019】
本第1の実施の形態では複写禁止対象物がカラーイメージスキャナを通じて入力される場合に、複写禁止対象物であるか否かを判断し、複写禁止対象物であると判断された場合には、画像入力を停止し、そうでないと判断された場合には、画像入力を続行するシステムを提案する。
【0020】
図5は図2および図3に示した構成上で、処理を実施するための動作手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートに示す手順を記述したコンピュータ実行可能なプログラムを、あらかじめROM0313に格納しておき、あるいは、あらかじめ外部記憶装置0319に格納されているプログラムをRAM0312上の読みこんだ後にCPU0311により該プログラムを実行(ソフトウエア処理)することにより処理を実施する。この場合前述のプログラムはスキャナドライバである。
【0021】
はじめにイメージスキャナ0201が行う画像取りこみの仕組みについて説明する。ここではイメージスキャナ0201はコンシューマ市場で最も一般的であるフラッドベッドスキャナを例にとり説明を行う。なお、その他の種類のスキャナでも本実施の形態で適用することが可能であることは、後の説明により自明である。
【0022】
図4に示すイメージスキャナの原稿台0401に置かれた原稿に対し、イメージスキャナ内部にある光源が、主走査方向0402の一列の原稿を照らし出す。原稿で反射した光は、内部にあるミラー、およびレンズを経てCCDセンサに入力する。CCDセンサは光の強度を数値データに変更し、横一列分の読み取り(主走査)が完了する。この後、ミラーと光源が副走査方向0403に少しづつ移動して、同じ走査を繰り返す。このように原稿の横方向(主走査方向0402)の情報を読み取ることを縦方向の回数分繰り返すことで、原稿全体の読みこみが行われる。
【0023】
本実施の形態1においては、イメージスキャナ0321は、上述の走査を繰り返し、接続I/O 0322を通じて、RAM0312内部に画像情報を蓄積する。コンピュータ0202内部では、CCDセンサの移動方向(主走査方向)の長さを持ち、光源とミラーの移動方向(副走査方向)に一定の幅を持つバンド領域0404の入力がRAM0312へ行われるたびに、CPU0313でプログラムを動かすことにより電子透かし情報の抽出を行うとする。
【0024】
図5はその一連の処理をフローチャートにて記したものである。スキャンが開始されると、イメージスキャナはステップ0502にて主走査方向へのスキャンを行う。その後またはそれと並行し、ステップ0503で接続I/O 0322を通じてRAM0312へ画像情報の転送を行う。ステップ0504ではRAM0312内部に新たにバンド領域に相当する画像情報の入力が行われたかを判定する。
【0025】
ステップ0504でバンド領域に相当する画像情報が入力された場合には、ステップ0510に進み、バンド領域内からさらに電子透かしを抽出するサブブロックを選定し、ステップ0505に進み、ステップ0510で選定したサブブロックから電子透かしの抽出処理を行う。
【0026】
このサブブロックを選定するサブブロック選定手段については、後ほど詳しく説明する。
【0027】
ステップ0504でバンド領域に相当する画像情報が入力されていない場合には、ステップ0506に進み、さらに副走査方向へ進みスキャンする必要があるか(原稿台全体に対するスキャンが終了したか)を判断する。
【0028】
ステップ0506でさらに副走査方向へ進みスキャンする必要がない場合にはステップ0509に進み、スキャンを終了する。さらに副走査方向へ進みスキャンする必要がある場合にはステップ0508に進み、副走査方向への移動を行い、ステップ0502に戻る。
【0029】
ステップ0505で電子透かしの抽出処理を行い、複写禁止対象物であるとの電子透かし情報が抽出された場合には、ステップ0507に進み、直ちに今までRAM0312へ入力された画像情報を破棄し、スキャンを終了する。
【0030】
ステップ0505で電子透かしの抽出処理を行い、複写禁止対象物でないと判断した場合には、ステップ0506に進み、原稿のスキャンが終了した場合には、ステップ0509に進みスキャンを終了する。
【0031】
ステップ0506で原稿のスキャンが終了していないと判断される場合にはステップ0508に進み、副走査方向へ光源を移動し、ステップ0502に戻る。
【0032】
以上の一連の処理により、カラーイメージスキャナを用いて画像の入力を行いつつ、同時に複写禁止対象物であるか否かを判断し、複写禁止対象物である場合には処理を中止することが可能になる。
【0033】
次に、ステップ0510における電子透かしの抽出処理を行う領域を選定するサブブロック選定手段について詳しく述べる。
【0034】
図6は複写禁止対象物0603がイメージスキャナの原稿台0601に置かれ、画像情報を読みとっている様子を示した図である。なお、複写禁止対象物0603の全面には、複写禁止であることを表す情報が電子透かし技術を用いて埋め込まれている。尚、複写禁止対象物0603には一定周期に電子透かしがうめ込まれている。0602は複写禁止対象物か否かの判断を行うためのバンド領域を示し、バンド領域の容量を満たす画像情報が新たに入力されるたびに、図3のRAM0312に蓄えられたバンド領域の画像情報は、CPU0311により電子透かしの抽出処理が行われる。
【0035】
通常、厳密に複写禁止対象物であるか否かの判断を行う場合、電子透かしの抽出処理を行うバンド領域0602の画像情報全てに対して抽出処理を行うのが、もっとも確実な方法である。
【0036】
しかし、実際には電子透かしの抽出処理を全てのバンド領域の画像情報に対して行った場合、電子すかし抽出処理における処理が終わるまで光源ミラーの副走査方向に対する移動が行われないため画像のスキャン速度の低下が起こることが予想される。
【0037】
本実施の形態では、厳密に複写禁止対象物であるか否かの判断を行ないつつ、画像のスキャン速度をできるかぎり低下させない方法を提案する。
【0038】
図7は電子透かしの抽出処理を行うバンド領域中において、電子透かしの抽出対象領域として市松模様にサブブロックを設定し、このサブブロックのみを抽出処理(電子すかし判定)する場合を示している。市松模様を形成するサブブロック0702は、電子透かしの抽出が行える最低限の大きさを有することが好ましい。サブブロック0702は、電子透かしの方式、サイズによりそのサイズが異なることが考えられるが、複写禁止対象物中に十分な数だけ含まれると考えられる。
【0039】
図7のように複写禁止対象物0703が傾けられ、入力された場合にも、複写禁止対象物0703から電子透かしの抽出に必要なサブブロックが得られ、複写禁止対象物であるか否かの判断が有効に行えることが分かる。この様にサブブロックに対してのみ電子すかしの抽出処理を行うことでソフトウエアにて抽出処理する際の処理時間の削減を実現できる。
【0040】
電子透かし抽出バンド領域において、サブブロックを市松模様に選択するのみならず、分散させて配置させ、選択する場合にも同様に効果が得られる。
【0041】
次にサブブロックを分散させて配置する例について述べる。図8の0801は、サブブロックの配置方法を主走査方向に一定間隔a、副走査方向に一定間隔bで配置した場合の例である。また0802は、サブブロックの配置をランダム位置に配置した場合である。どちらの方法も複写禁止対象物が傾けられて、イメージスキャナの原稿台に置かれていた場合にも有効であることが分かる。
【0042】
上記方法に限らず、抽出したい電子すかしに合わせて、その電子すかしの抽出に好適となる様電子透かしの抽出を行うサブブロックを分散させて配置することにより、複写禁止対象物であるか否かの判断を行い、その判断に基づきスキャンを制御するとともに、同時にスキャン速度の低下をできるだけ防ぐ種々の方法は本実施の形態に含まれるものである。
【0043】
以上の様に本実施の形態によれば、ブロックからサブブロックを選定してこのサブブロックに対して電子すかし抽出を行うので、ブロック全体に電子すかしの抽出を行うものに比べ高速に電子すかし抽出が可能となる。
【0044】
又、予め複写禁止対象物へうめ込まれている電子透かしのうめ込み間隔を考慮して本実施の形態では複写禁止対象物の位置/向きによらずこの電子透かしを必ず1つは抽出できる様に、サブブロックを設定するものである。そのための種々のサブブロックの設定は本実施形態に含まれる。
【0045】
(第2の実施の形態)
前記第1の実施の形態においては、カラーイメージスキャナより読み込んだ画像に関して、複写禁止対象物であるか否かの判断を電子透かし技術を用いてチェックすることを前提に説明した。
【0046】
しかし、複写禁止対象物の入力は必ずしもカラーイメージスキャナより読み込んだカラー画像に限るものではなく、例えば、図3の0323に示されるネットワークなどの通信手段とのインターフェース部を介して入手したり、あるいは、着脱可能な記憶媒体(例えば、スマートメディアやコンパクトフラッシュ、もしくは、光磁気ディスクなど)を図示しない当該画像処理システムに接続される、それ用の駆動装置に装着することによって、その着脱可能な記憶媒体上に保持されるカラー画像データを取り込むことによって得られる場合も考えられる。この場合、ネットワーク等の通信手段を実現するプログラム(例えば、インターネットプラウザソフト)、記憶媒体から画像を獲得するプログラムに上述の複写禁止対象物特徴チェックプログラムが含まれる。
【0047】
図9は第2の実施の形態で複写禁止対象物の抽出が想定される環境である。
【0048】
同図において、0903は画像入力装置としてのカラーイメージスキャナ、0901はコンピュータシステムとしてのパソコン、0907はカラーイメージスキャナ0903とコンピュータシステム0901間でのデータのやり取りをするための接続ケーブル、0902は画像出力装置としてのカラープリンタ、0908はカラープリンタ0902とコンピュータシステム0901間でのデータのやり取りをするための接続ケーブル、0904はCD−ROMに代表される着脱可能な外部記憶媒体、0905はLANやインターネットに代表されるネットワーク、0906はコンピュータシステムとLANやインターネット間のデータの通信を行うための接続ケーブルを表している。
【0049】
図10は、図9の構成における主要部を機能モジュールとしてのブロックにより表現したブロック図である。同図において、1011はCPU、1012はRAM、1013はROM、1014はディスプレイ制御部、1015はディスプレイ、1016はキーボードやマウスなどの操作入力、1017はデバイスキーボードやマウスなどの操作入力デバイスの接続I/O、1018はハードディスク装置などの外部記憶装置、1019は外部記憶装置の接続I/O、1020はバス、1021はカラーイメージスキャナ、1022はカラーイメージスキャナなどの画像入力機器との接続I/O、1024はカラープリンタ、1025はカラープリンタなどの画像出力機器との接続I/Oである。1023はネットワークなどの通信手段とのインターフェース部である。
【0050】
本実施の形態2では既にディジタル化された複写禁止対象物が外部記憶媒体やネットワークを通じて入力された場合に、カラープリンタで印刷出力を行う前に、複写禁止対象物であるか否かを判断し、複写禁止対象物であると判断された場合には、印刷出力を停止し、そうでないと判断された場合には、印刷を続行するシステムを提案する。
【0051】
図14は図9および図10に示した構成上で、第2の実施の形態の処理を実施するための動作手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートに示す手順を記述したコンピュータ実行可能なプログラムを、あらかじめROM1013に格納しておき、あるいは、あらかじめ外部記憶装置1019に格納されているプログラムをRAM1012上に読みこんだ後にCPU1011により該プログラムを実行することにより第2の実施の形態の処理を実施する。
【0052】
はじめにカラーイメージスキャナ0903、ネットワーク0905、外部記憶装置0904からコンピュータシステム0901に入力される画像データを画像出力装置としてのカラープリンタ0902に出力するための画像処理を行うプリンタドライバの処理について述べる。
【0053】
一般的にカラーディジタル画像は1画素が階調情報をもつ複数の色成分から構成される。例えばRGB24ビットカラー情報の場合、赤、緑、青はそれぞれ8ビット(256階調)の情報をもつため、1画素では24ビット(約1670万色)もの色を表現することが可能である。
【0054】
しかしながら、プリンタ(ここでは主にコンシューマ市場で最も一般的であるインクジェットプリンタについて述べる)はCMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の4色インク(またはそれに準じるインク、例えば、うすいシアン、うすいマゼンタ、うすいブラック)により画像を構成し、各インクの出力においては、ONまたはOFFの状態しかなく、インクドットに階調情報を持たせることは難しい。そのため単位面積あたりに打ち出すインクドットの量・数により面積的に画素値の階調を表現する。以上のことからカラー画像のCMYKへの色分解と濃度階調を面積階調へ変換するための2値化処理(ハーフトーン処理)が必要になる。
【0055】
またモニタの色再現域とプリンタの紙上での色再現域は異なるため、人の目に好ましく映るような色空間圧縮(カラーマッチング)もプリンタドライバで行う必要がある。
【0056】
上記に代表されるプリント用の画像処理のため、外部記憶媒体1018またはROM1013に存在する画像データは、RAM1012に展開され、CPU1011で上記の画像処理が行われる。画像処理が行われた結果、プリンタの制御情報が生成され、カラープリンタとの接続I/O1025を通し、カラープリンタ1024に入力される。この一連の画像処理がプリンタドライバの行う処理である。なお、プリンタドライバはあらかじめROM1013または外部記憶装置1019に格納されているプログラムであり、RAM1012上に読み込んだ後にCPU1011により実行される。
【0057】
図11を用いてプリンタドライバの処理を簡単に述べる。画像1101をプリンタで出力する場合には、一度に画像1101全体をRAM1012に展開して処理を行うのではなく、プリンタヘッドの移動方向(主走査方向)の長さを持ち、紙送りの方向(副走査方向)に幅を持つ斜線のバンド領域1103がプリンタドライバの一度の処理単位となる。
【0058】
ただし、2値化処理(ハーフトーン処理)を行う場合に、誤差拡散法など前のラインの情報が必要なときは、別に誤差情報を記憶するバッファ領域を確保しておき、その情報を保存しておく。
【0059】
以上のようにして、プリンタドライバは画像1101を複数個のバンド領域に分けて、RAM1012に展開し、CPU1011において画像処理を行うことにより、画像1101を印刷出力する。
【0060】
本実施の形態では、このプリンタドライバのバンド領域ごとに、複写禁止対象物であるか否かの判断を電子透かし技術を用いて行うことにより、複写禁止対象物のプリンタでの正常な印刷出力を抑止する方法を提案する。
【0061】
図14に本実施の形態における一連の処理のフローチャートを示す。
【0062】
ステップ1401で印刷開始すると、ステップ1402で画像情報をバンド領域分RAM1012への読み込みを行う。ステップ1403ではRAM1012にあるバンド領域から電子透かしの抽出を行うサブブロックの選定を行う。このステップ1403における電子透かしの抽出を行うサブブロックを選定するサブブロック選定手段については、後に詳しく説明を行う。ステップ1404では電子透かしの抽出を行う領域から電子透かしの抽出を行う。電子透かしの抽出を行った結果、複写禁止対象物と判断された場合には、ステップ1408に進み、ただちに印刷出力を中止する。尚、この印刷出力の中止とは、印刷を止める、もしくは、正常な印刷を止める(ベタ画像、網画像の様に忠実な印刷をしない)のいずれでもよい。またこの場合、操作者になぜ正常な印刷が行われないかを知らしめるため“複写禁止画像はプリントできません”等の表示を行わせる。
【0063】
複写禁止対象物ではないと判断された場合にはステップ1405に進み、通常のプリンタドライバ処理を行う。その後ステップ1406に進み、全画像領域の印刷が終了していれば、ステップ1408に進み、印刷を終了し、全画像領域の印刷が終了していなければ、ステップ1407に進み、次のバンド領域に対する処理を行う。
【0064】
図12は複写禁止対象物1203を含むディジタル画像データ1201をプリンタ0902で出力する例を示している。
【0065】
プリンタドライバの処理がバンド領域1202に達するとき、複写禁止対象物1203の一部の領域は、バンド領域1202に含まれるため、電子透かし抽出処理により、複写禁止対象物であることを判定することが可能である。
【0066】
しかしながら、バンド領域1202全体から電子透かし抽出処理を行う場合、プリンタドライバの処理速度が大幅に低下することが考えられる。
【0067】
したがって、ステップ1403のサブブロック選定手段においては、本実施の形態においても前記の第1の実施の形態と同様に、バンド領域の中から電子透かしの抽出を行うサブブロックを図13のように市松模様に配置したり、図8の0801に示すように主走査方向に一定間隔aで配置し、副走査方向に一定間隔bで配置したり、図8の0802にようにランダム位置に配置したりする領域から選定することにより、複写禁止対象物であるか否かの判断を行い、その判断に基づき印刷を制御するとともに、同時にプリンタドライバの処理速度の低下をできるだけ妨げることが可能である。
【0068】
上記方法に限らず、抽出したい電子すかしに合せて、その電子すかしの抽出に好適となる様、電子透かしの抽出を行うサブブロックを分散させて配置することにより、複写禁止対象物であるか否かの判断を行い、その判断に基づき印刷を制御するとともに、同時に印刷速度の低下をできるだけ防ぐ種々の方法は本実施の形態に含まれるものである。
【0069】
尚プリント時間が重要なセールスポイントとなるプリンタ(ドライバ)で処理速度の低減を実現できる上述の電子すかしの抽出は好適である。
【0070】
(本発明の他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれるし、前述のプログラムが記憶された記憶媒体も上述の実施形態に含まれる。
【0071】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−RON、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0072】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限られず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、入力される画像から所定のサイズを有するバンド領域の画像情報を入力する入力手段、前記バンド領域から所定サイズを有するのサブブロックの画像情報を選定するサブブロック選定手段、前記サブブロックの画像情報に応じて、前記入力される画像が予め定められた特徴を有する特定画像であるか否かを判定する特定画像判定手段、前記特定画像判定手段による判定結果に応じて、前記入力される画像に対する処理を行なう処理手段とを有するので、比較的少ない演算容量で特定画像判定処理を行なう古都が可能となる。
【0074】
更には、周期的に配置される特徴を抽出しやすいサブブロックを選定できる。
【0075】
また入力される画像の向き/位置が種々の状態であっても特徴を抽出可能に出来る。
【0076】
更には、特手宇画像であると判定した場合、前記入力される画像に対する入力を中止することができ、例えば有価証券に応じた画像のように入力が禁止された画像の不正な入力を防止できる。
【0077】
また前記特定画像判定手段は前記入力される画像の電子透かしを抽出することで、前記入力される画像が前記特定画像であるか判定することで、入力される画像において特定画像を判定するための情報を人の目に見えにくいもしくは見えない情報とすることができ、高いセキュリティーを実現できる。
【0078】
また前記特定画像判定手段による判定結果、前記入力される画像が特定画像と判定された場合、前記入力される画像に対するプリンタドライバの処理を行なわないので、複写禁止画像のプリントを防止することが可能となる。
【0079】
更に、前記特定画像判定手段による判定結果を表示するので、操作者に装置の状態を知らせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複写禁止対象物の一例の紙幣を示す図である。
【図2】本発明の実施形態となる画像処理システムの一例を示す図である。
【図3】図2の主要部の構成を示すブロック図である。
【図4】イメージスキャナにおける画像取り込み操作を説明する図である。
【図5】第1の実施例における動作手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施例における複写禁止対象物の検出を説明する図である。
【図7】第1の実施例における複写禁止対象物の効率的な検出を説明する図である。
【図8】第1の実施例における効率的な複写禁止対象物の検出を行うための検出領域を示す図である。
【図9】本発明の実施形態となる画像処理システムの一例を示す図である。
【図10】図9の主要部の構成を示すブロック図である。
【図11】プリンタドライバの画像処理を説明する図である。
【図12】第2の実施例における複写禁止対象物の検出を説明する図である。
【図13】第2の実施例における複写禁止対象物の効率的な検出を説明する図である。
【図14】第2の実施例における動作手順を示すフローチャートである。
Claims (11)
- 入力される画像から所定のサイズを有するバンド領域の画像情報を入力する入力手段と、
前記バンド領域から所定サイズを有するサブブロックの画像情報を選定するサブブロック選定手段と、
前記サブブロックの画像情報から、一定周期で埋め込まれている電子透かしの抽出を行い、前記入力される画像が予め定められた特徴を有する特定画像であるか否かを判定する特定画像判定手段と、
前記特定画像判定手段による判定結果に応じて、前記入力される画像に対する処理を行なう処理手段とを有し、
前記サブブロック選定手段は、ランダム位置に配置されるサブブロックを選定し、前記特定画像判定手段は、前記サブブロックに対してのみ電子透かしの抽出処理を行う
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記処理手段は、前記特定画像判定手段による判定結果、前記入力される画像が特定画像と判定された場合、前記入力される画像に対する入力を中止することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記画像はフラットベットスキャナにより入力されることを特徴とする請求項1項記載の画像処理装置。
- 前記処理手段は、前記特定画像判定手段による判定結果、前記入力される画像が特定画像と判定された場合、前記入力される画像に対するプリンタドライバの処理を行なわないことを特徴とする請求項1項記載の画像処理装置。
- 前記処理手段は、前記特定画像判定手段による判定結果を表示することを特徴とする請求項1項記載の画像処理装置。
- 入力される画像から所定のサイズを有するバンド領域の画像情報を入力する入力工程と、
前記バンド領域から所定サイズを有するサブブロックの画像情報を選定するサブブロック選定工程と、
前記サブブロックの画像情報から、一定周期で埋め込まれている電子透かしの抽出を行い、前記入力される画像が予め定められた特徴を有する特定画像であるか否かを判定する特定画像判定工程と、
前記特定画像判定工程による判定結果に応じて、前記入力される画像に対する処理を行なう処理工程とを有し、
前記サブブロック選定手段は、ランダム位置に配置されるサブブロックを選定し、前記特定画像判定手段は、前記サブブロックに対してのみ電子透かしの抽出処理を行う
ことを特徴とする画像処理方法。 - 前記処理工程は、前記特定画像判定工程による判定結果、前記入力される画像が特定画像と判定された場合、前記入力される画像に対する入力を中止することを特徴とする請求項6項記載の画像処理方法。
- 前記画像はフラットベットスキャナにより入力されることを特徴とする請求項6項記載の画像処理方法。
- 前記処理工程は、前記特定画像判定工程による判定結果、前記入力される画像が特定画像と判定された場合、前記入力される画像に対するプリンタドライバの処理を行なわないことを特徴とする請求項6項記載の画像処理方法。
- 前記処理工程は、前記特定画像判定工程による判定結果を表示することを特徴とする請求項6項記載の画像処理方法。
- コンピュータに、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
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