JP4134926B2 - 超高圧水銀ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、主に液晶プロジェクタ等のバックライト用の光源として使用される超高圧水銀ランプ(以下、単にランプとも称す)に関する。特に、放電容器内に0.15mg/mm以上の水銀が封入され、点灯時における水銀蒸気圧が150気圧以上に達する超高圧水銀ランプに関する。
近年、プレゼンテーション、セミナー、会議、学校の授業等で、パソコン上の画面を大画面のスクリーン上に投影させるプロジェクタ装置が注目を集めている。このようなプロジェクタ装置は、映像方式によって液晶方式と、DLP(デジタル・ライト・プロセッシング)方式の2つに大別できる。
このうち、プロジェクタ装置の仕様として、最も普及しているのは液晶方式である。液晶方式とは、RGB(赤・緑・青)の液晶パネルに光源からの光を当てて映像を投影するものである。液晶方式を採用したプロジェクタ装置は、RGB各色のパネルを使用する3枚式のものが多い。3枚式のプロジェクタ装置は、画素数が3倍になるので解像度が高いという利点を有する。
これに対し、DLP方式は、映画上映を行うなどの実績をあげており、高画質、高輝度であることが評価されて近年急速に市場を拡大している。DLP方式とは、基板上に数十万個から百数十万個のマイクロミラーを並べたDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)チップをデジタル制御して映像を投影する仕組みである。DLP方式は、液晶方式と比較して、高輝度であり、さらには、液晶パネルを必要としないのでプロジェクタ装置自体を小型化できる、という利点を有する。
上記のプロジェクタ装置は、スクリーンに対して均一に、しかも十分な演色性を持って画像を照明させることが必要であるため、光源として水銀やハロゲン化物が封入されたメタルハライドランプが使用されている。近年、上記プロジェクタ装置、とりわけ、DLP方式のプロジェクタ装置は、一層の高輝度化、小型化を図る傾向にあるため、光源の高輝度化、小型化が強く要求されている。
このような理由から、メタルハライドランプに代えて、点灯時の水銀蒸気圧が200バール(約197気圧)以上に達する超高圧水銀ランプをプロジェクタ装置用の光源として使用することが提案されている。このランプは、点灯時の水銀蒸気圧を高くすることによって、アークの広がりを抑えるとともに、一層の光出力の向上を図るというものである(特許文献1、2参照)。
特開平2−148561号 特開平6−52830号
上記超高圧水銀ランプの放電容器を構成する材料としては、石英ガラスが用いられることが知られている。石英ガラスは、金属不純物を含有した溶融石英ガラスと、かかる不純物を含有しない合成石英ガラスとの概ね2種類であることが知られている。上記超高圧水銀ランプは、小型である上に、点灯時の水銀蒸気圧が150気圧以上にも達するという熱的条件の極めて厳しいものであるため、放電容器を構成する材料として耐熱性に優れる、例えばアルミニウムを含んだ溶融石英ガラスを使用することが一般的である。
ところが、上記超高圧水銀ランプは、点灯時間の経過とともに、電極から蒸発した電極構成物質が発光部の内表面に付着することにより頻繁に発光部に黒化が生じることが判明した。黒化が生じると、発光部を透過する光量が著しく減少して照度が低下するという問題がある。
本発明の目的は、溶融石英ガラスから構成される放電容器の発光部に生じる黒化を防止することにより、照度低下を招くことのない超高圧水銀ランプを提供することにある。
本発明者は、上記課題の解決にあたり、発光部に黒化現象が発生する要因について検討したところ、後述のように放電容器を構成する材料である溶融石英ガラスに含まれるアルミニウムがハロゲンサイクルを阻害することが原因であること、さらには、放電容器の発光部は厚み方向にアルミニウムの濃度分布を有し、内表面側ほど濃度が高いことを見出した。そこで、発光部の内表面のアルミニウム濃度に着目し、その濃度を規定することにより本発明を完成した。
すなわち、本発明の超高圧水銀ランプは、溶融石英ガラスからなる発光部と封止部とを有する放電容器の内部に一対の電極が対向配置されるとともに水銀が封入されており、前記発光部の内表面から深さ5μmまでの領域のアルミニウム濃度が1〜25wt.ppmであることを特徴とする。
さらに、本発明の超高圧水銀ランプは、前記電極のアルミニウム濃度が10wt・ppm以下であることを特徴とする。
さらに、本発明の超高圧水銀ランプは、前記電極のかさ密度が99.4%以上であることを特徴とする。
本発明の超高圧水銀ランプは、溶融石英ガラスからなる放電容器の発光部の内表面から深さ5μmまでの領域のアルミニウム濃度が1〜25wt.ppmの範囲に規定されている。従って、耐熱性に優れる溶融石英ガラスを放電容器に用いた場合にも、発光部の内表面から放電空間へ放出されるアルミニウムによってハロゲンサイクルが阻害されることがなく、これにより、ランプ点灯中に発光部に黒化が生じることを抑制できる。
図1は、本発明の超高圧水銀ランプを説明するための図である。
超高圧水銀ランプ10は、略球状の発光部11と、この発光部11の両端に連続して形成されたロッド状の封止部12とからなる、溶融石英ガラスで構成された放電容器13を有する。発光部11内の放電空間14には、例えばタングステンからなる陽極15と陰極16とが対向して配置されている。封止部12の内部には、例えばモリブデンからなる金属箔17がピンチシール等により気密に埋設されている。金属箔17は、その一端に陽極15及び陰極16の各々を先端に有する電極棒18の基端部が溶接等によって電気的に接続され、その他端に封止部12から外方に伸び出る給電用の外部リード19が溶接等により電気的に接続されている。
発光部11の内部の放電空間14には、必要な可視光波長、例えば360〜780nmという放射光を得るための水銀と、点灯始動性改善のために、例えばアルゴン、キセノン等の希ガスと、放電容器13の黒化を防止するために、例えば塩素、臭素等のハロゲンガスが封入されている。
上記超高圧水銀ランプ10は、後述の数値例に示すように非常に小型であり、かつ、点灯時の水銀蒸気圧が150気圧以上にも達するため、熱的条件が極めて厳しいものである。そこで、放電容器13を構成する材料としては、不純物を殆ど含有していない合成石英ガラスよりもアルミニウムを含有した溶融石英ガラスを用いることが好ましい。その理由として、溶融石英ガラス中に存在するアルミニウム原子は、ガラスと電極との界面の接合強度に悪影響を及ぼすアルカリ金属を捕捉するため、耐熱性に優れるためである。詳細に説明すると、アルミニウム原子が溶融石英ガラス中のシリカ(Si)原子と置換してマイナスイオン領域を形成すると、この領域に溶融石英ガラス中のアルカリを捕捉することによってアルカリ金属の移動を抑制できると考えられる。
本発明の放電ランプ10は、後程詳細に説明するように、発光部11の内表面20から深さ5μmまでの領域のアルミニウム濃度が1〜25wt.ppmとなるように加工が施されており、この点が本発明の最大の特徴である。発光部11の内表面20とは、放電容器13の内表面であって放電空間14に面する全ての部分をいう。深さ5μmまでの領域のアルミニウム濃度とは、後述のように当該深さ領域における平均アルミニウム濃度のことをいう。
ここで、上記超高圧水銀ランプ10の数値例について以下に説明する。発光部11の最大外径は、9mm〜14mmの範囲から選択されて、例えば11.3mmである。発光管11の内容積は、60mm〜300mmの範囲から選択されて、例えば100mmである。電極間距離は、0.8mm〜2mmの範囲から選択されて、例えば1.1mmである。管壁負荷は、0.5W/mm〜2W/mmの範囲から選択されて、例えば1.1W/mmである。定格電圧は、60V〜90Vの範囲から選択されて、例えば75Vである。定格電力は、130W〜350Wの範囲から選択されて、例えば200Wである。
さらに、発光部11内の封入物に関する数値例について以下に説明する。水銀の封入量は、10〜50mgの範囲から選択されて、例えば22mgである。この場合にランプ点灯時における水銀蒸気圧は130〜250気圧に達し、点灯時の水銀蒸気圧が高いほどプロジェクタ装置に適した光源となる。希ガスとして使用されるアルゴンの封入量は、封入時において5〜20kPaの範囲から選択されて、例えば13.3kPaである。ハロゲンガスとして使用される臭素の封入量は、封入時において2×10−4μmoles/mm〜7×10−3μmoles/mmの範囲から選択されて、例えば1.2×10−3μmoles/mmである。ハロゲンの封入量を適宜調整してハロゲンサイクルを利用することによって、放電容器13の黒化を防止して放電ランプ10の長寿命化を図ることができる。
以上のような本願発明の超高圧放電ランプ10によると、発光部11の内表面20から深さ5μmまでの領域のアルミニウム濃度が1〜25wt.ppmの範囲に規定されているので、ランプ点灯中に発光部11への黒化の発生を抑制できる。この理由について、以下0020乃至0027にて検討する。
従来から超高圧水銀ランプでは、放電容器内に導入したハロゲンガスによるハロゲンサイクルを利用することによって発光部の黒化を防止することが知られている。ハロゲンサイクルとは、ランプ点灯時に電極が高温状態となることによって蒸発したタングステン原子と、ハロゲンガスとして封入されている、例えば臭素原子とが結合することによって臭化タングステンを形成し、この臭化タングステンが放電容器内の対流によって移動し、その後高温状態の電極近傍で臭素とタングステンとに解離することによって、電極にタングステン原子を戻すまでの一連の流れをいう。このようなハロゲンサイクルが本来の機能を発揮していれば発光部に容易に黒化が生じないことから、従来の超高圧水銀ランプにおいて頻繁に発光部の黒化が生じるのは上記ハロゲンサイクルが阻害されて本来の機能を発揮していないものと考えられる。
そこで、本発明者は、ハロゲンサイクルを阻害する要因を検討したところ、放電容器を構成する溶融石英ガラス中のアルミニウムが原因であることを見出した。すなわち、溶融石英ガラスに含まれるアルミニウムは、適量であれば放電容器中のアルカリ金属の移動を抑制することにより耐熱性の向上に寄与する反面、ハロゲンサイクルに悪影響を及ぼすものであると考えられる。この理由については、以下0022乃至0024にて詳細に説明する。
ハロゲンサイクルが良好に機能を発揮するためには、発光部11の上方側(紙面において上方向)の内表面21付近におけるタングステンの溶解度が、陽極15または陰極16近傍よりも大きくなければならない。すなわち、タングステンが陽極15または陰極16から蒸発し、再び陽極15または陰極16近傍に戻るためには、陽極15または陰極16に比して低温部である上方側の内表面21にタングステンが付着、析出することなく気相として存在する必要がある。言い換えると、蒸発したタングステンは、放電空間14内に溶解している必要がある。この溶解度が、陽極15または陰極16の近傍に比して上方側の内表面21近傍の方が大きい場合には、上方側の内表面21にタングステンが付着することがないと考えられる。
図2は、種々のアルミニウム濃度における温度とタングステン溶解度との関係を示す図である。図2は、横軸に温度(K)を、縦軸にタングステン溶解度(mol)をとっている。詳細には、上記数値例を有する超高圧水銀ランプ10の放電空間14に以下の原子が存在すると仮定し、放電空間14に存在するアルミニウム原子の量を4通りに変化させてランプ10を点灯させた場合において、気相中に存在するタングステン量と、温度との関係を理論計算により求めた結果である。
<放電空間14に存在すると仮定した原子>
水銀:5×10−5mol
臭素:1×10−8mol
酸素:1×10−9mol
水素:1×10−9mol
アルミニウム:1×10−9mol、2×10−9mol、5×10−9mol、1×10−8molの4通り
点灯時の内圧:200気圧
点灯時に水銀蒸気圧が150気圧以上に達する超高圧水銀ランプは、上方側の内表面21の温度が概ね1300K(ケルビン)に、陽極15または陰極16の先端部の温度が3000Kに達することが一般的である。
図2に示すように、上方側の内表面21の温度に相当する1300Kでは、アルミニウム濃度が増加するに伴ってタングステンの溶解度が低下していることが分かる。これにより、放電空間14内のアルミニウム濃度が増加した場合には、上方側の内表面21近傍の空間に溶解可能なアルミニウム原子の量が減少することから、上方側の内表面21にタングステンが析出して付着することにより、発光部11に黒化が生じるものと考えられる。一方、陽極15または陰極16の先端部の温度に相当する3000Kでは、タングステンの溶解度がアルミニウム濃度の変化に殆ど影響を受けないことが分かる。
本発明者はさらに検討したところ、図3に示す放電容器を製作するために用いる溶融石英ガラス製の管30(以下、原管30ともいう)は、ガラス業者から購入後何らの加工を施していない場合には、発光部に相当する部分31の内表面32からの深さL1が変化するに伴いアルミニウムの濃度が変化すること、具体的には内表面32側程アルミニウム濃度が高くなることを見出した。
従って、超高圧水銀ランプ10を製作するために用いる溶融石英ガラスからなる原管30に対して、アルミニウム濃度の高い領域を削り取る加工を施すことが有効であると考えられ、具体的には内表面32から20μm以上削り取ることが望ましい。かかる加工をあらかじめ施した原管30を放電容器13に使用した本発明の超高圧水銀ランプ10によると、ランプ点灯時に放電空間14内に放出されるアルミニウムの量を低減することができるので、発光部11に黒化が生じる可能性は極めて低いと考えられる。
これに対して、従来の超高圧水銀ランプのように放電容器に何の加工も施していない原管を用いた場合には、ランプ点灯時に放電空間内に多量のアルミニウムが放出され、ハロゲンサイクルが阻害されることにより発光部に黒化が生じ易いと考えられる。
本発明の超高圧水銀ランプ10によると、図3に示すように、内表面32から溶融石英ガラスを削り取った後に形成される原管30の表面34(図1において内表面20)からの深さが5μmまでの領域のアルミニウム濃度を平均値にて規定している。5μmまでの領域に規定したのは以下の理由による。
図1において、ランプ点灯中に発光部11が高温となると、溶融石英ガラスに含まれるアルミニウムは熱拡散によって高温部である内表面20方向に向けて移動する。その移動距離は、ランプ点灯時の発光部11の温度(1000℃以上)における拡散係数によって決定される。ここで、発光部11の温度を1200℃と仮定すると、アルミニウムの拡散係数は約3×10−14cm/sとなる。そして、ランプ寿命を2000時間と設定した場合、点灯時に溶融石英ガラス中を移動する距離は約4.8μmと見積もることができる。従って、発光部11の内表面20から深さ5μmの領域に存在するアルミニウム量を規定することで、放電空間内へアルミニウム原子が放出されることが防止され、ハロゲンサイクルが阻害されることを防止できると考えられる。
ここで、発光部11の内表面20から深さ5μmの領域におけるアルミニウム濃度を分析する方法について、以下0029乃至0031にて説明する。
分析手法としては、フレームレス原子吸光法(FL−ASS)であり、分析装置は市販品(HITACHI製)を使用した。測定原理としては一般によく知られた手法であり、各元素が固有の波長光を吸収すること、つまり光の吸光度(光の減衰量)を利用する。具体的には、被検体に特有の光を透過させ、その時の吸光度を測定するもので、吸光度の大きさによって被検体に含まれる各元素の含有量を評価する。
本件の分析方法としては、先ず検量線の作成を行う。目的元素の既知濃度の溶媒をいくつか準備し、濃度対吸光度の検量線を作成する。次に、高純度ガラス(合成石英ガラス)を溶解したフッ酸(HF)溶液に純水を加え、HF濃度5%まで希釈する。そして、任意濃度のアルミニウムを加えて、その溶液の吸光度を測定する。次に、添加したアルミニウム量に対する吸光度変化をプロットし、検量線を作成する。この検量線をもとに、サンプル内のアルミニウム含有量を決定する。
(イ)ガラス管内をエッチング液で満たし、管内表面を均一にエッチングする。その際に管の外側はエッチングされないようにする。エッチング溶液として47%HF(28±1℃)を使用する。
(ロ)エッチング前後でのガラス管の重量差を測定し、エッチング重量を求める。ガラス重量はマイクロ天秤および電子天秤を使用する。
(ハ)一方、エッチング前後で顕微測長器にてガラス管の内径を測定し、肉厚方向の変化量を求める。その際には、ガラス管を屈折率調整液の中に入れ、ガラス表面(曲面)での屈折率の影響を補正する。
(ニ)上記(ロ)、(ハ)によりエッチング重量と肉厚変化量との相関関係を導出する。
(ホ)上記(ニ)の関係に基き、肉厚変化量が5μmとなるようにガラス管内面をエッチングし、その肉厚変化量5μm分に相当するエッチング液中に含まれるアルミニウム濃度を評価する。この値が、発光部11の内表面20から深さ5μmの領域におけるアルミニウム濃度となる。
上記方法で算出されるアルミニウム濃度の単位はng/μmであるが、これをwt.ppmに換算する方法は次のようである。本件の場合、ガラスの厚み1μmあたりの重量を4mgと見積もった。従って、ng/μmからwt.ppmへの換算は前記値を4mgで割ることで得られる。
また、本発明は、陽極15または陰極16のアルミニウム濃度が10wt.ppm以下に規定されている。これにより、超高圧水銀ランプ10を点灯させた際に放電空間14内へ放出されるアルミニウムの量を一層低減することができるので、発光部11への黒化発生を防止できる。具体的には、タングステン純分として99.99%以上であり、アルミニウム成分が10wt.ppm以下である純度の高いタングステン粉末から製造されたインゴットに塑性加工を施したタングステン又はタングステン合金からなるタングステン電極を使用する。
さらに、本発明は、陽極15または陰極16のかさ密度(質量/体積)が99.4%以上に規定されている。これにより、陽極15または陰極16が高密度であるため粒界の割合が減少することにより、例えばアルミニウムなどのハロゲンサイクルを阻害するような不純物が入り込むスペースが減少し、陽極15または陰極16の製作時においてアルミニウム等の不純物が混入しにくいという効果がある。具体的には、上述したように純度の高いタングステン粉末を2000kgf/cm以上のプレス圧で加圧した成形体を3000℃以上の高温で焼結することで上記のかさ密度を有するタングステン製のインゴットが得られる。それらのインゴットを所望の寸法に切断、切削加工した後、高温で再結晶化させたものを電極材として用いる。
ここで、本発明の効果を実証するための第1の実験について説明する。発光部11の内表面20から5μmまでの領域のアルミニウム濃度が黒化発生に及ぼす影響を確認するため、前記領域の平均アルミニウム濃度が異なる実験用ランプを14本用意した。実験用ランプの詳細を以下に示す。これらのランプの放電容器は、図3に示す原管30の内表面32を前述の方法で化学エッチングすることにより種々のアルミニウム濃度に調整して得た。
<実験用ランプ>
発光部11の最大外径:11mm
放電容器13の内容積:100mm
電極間距離 :1.2mm
封入水銀量 :0.25mg/mm
封入ハロゲンと封入量:臭素を1.3×10−3μmoles/mm
管壁負荷 :1.1W/mm
定格電圧 :70V
定格電力 :200W
実験条件について説明する。各々のランプを50時間連続点灯させた後、発光部11への黒化発生の有無及び発光部11への破裂発生の有無を目視により確認した。結果を表1に示す。
Figure 0004134926
表1において、「黒化」の欄に示された「○」は発光部11に全く黒化が発生しなかったことを示し、「△」は発光部11の一部に黒化が発生したことを示し、「×」は発光部11に全体的に黒化が発生したことを示す。また、「破裂」の欄に示された「○」は発光部11が破裂しなかったことを示し、「×」は発光部11が破裂したことを示す。
表1に示す実験結果より、実施例1〜8のランプは、発光部11に黒化が全く発生することがなく、さらには、発光部11が破裂することもなかった。一方、アルミニウムの濃度が本発明の数値範囲を下回る比較例1、2のランプは発光部11が破裂し、本発明の数値範囲を上回る比較例3〜6のランプは発光部11に黒化が発生した。従って、発光部11に含まれるアルミニウムの量が少なすぎると耐熱性の面で問題があり、多すぎるとハロゲンサイクルを阻害する要因となることが示された。
本発明の効果を実証するための第2の実験について説明する。電極の平均アルミニウム濃度が発光部11の黒化に及ぼす影響を確認するため、陽極15の平均アルミニウム濃度が異なる実験用ランプを14本用意した。ランプの詳細及び実験条件については第1の実験と同様である。結果を表2に示す。
Figure 0004134926
表2において、「黒化」の欄に示された「○」は発光部11に全く黒化が発生しなかったことを示し、「△」は発光部11の一部に黒化が発生したことを示し、「×」は発光部11に全体的に黒化が発生したことを示す。
表2に示す実験結果より、平均アルミニウム濃度が本発明の範囲内である実施例1〜8のランプは、発光部11に黒化が全く発生することがなかった。一方、平均アルミニウム濃度が本発明の数値範囲を上回る比較例1〜6のランプは、発光部11に黒化が発生した。
以上、本発明の超高圧水銀ランプは、直流点灯のものについて説明してきたが、これに限らず、交流点灯のものにも適用できる。溶融石英ガラスに含まれるアルミニウムを原因とする発光部の黒化は、直流点灯のものに特有に生じる現象ではなく、交流点灯のものにも起こり得るからである。
また、本発明の超高圧水銀ランプは、ランプの長手軸を垂直に配置する場合、水平に配置する場合、斜めに配置する場合など、種々の点灯姿勢のものに適用することができる。
さらに、本発明の超高圧水銀ランプは、内表面からの深さが5μmまでの領域におけるアルミニウム濃度が1〜25wt.ppmの範囲内に規定されているが、ランプ製作後及びランプを所定時間点灯させた後のアルミニウム濃度もこの範囲内にあるものとする。
本発明の超高圧水銀ランプを説明するための図である。 種々のアルミニウム濃度における温度とタングステン溶解度との関係を示す図である。 放電容器となる原管の構造を説明するための図である。
符号の説明
10 超高圧水銀ランプ
11 発光部
12 封止部
13 放電容器
14 放電空間
15 陽極
16 陰極
17 金属箔
18 電極棒
19 外部リード
20 内表面

Claims (3)

  1. 溶融石英ガラスからなる発光部と封止部とを有する放電容器の内部の放電空間に一対の電極が対向配置されるとともに水銀が封入された超高圧水銀ランプにおいて、
    前記発光部の内表面から深さ5μmまでの領域のアルミニウム濃度が1〜25wt.ppmの範囲内であることを特徴とする超高圧水銀ランプ。
  2. 前記電極のアルミニウム濃度が10wt.ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の超高圧水銀ランプ。
  3. 前記電極のかさ密度が99.4%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超高圧水銀ランプ。
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