JP4112493B2 - レーザ顕微解剖システム - Google Patents

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Description

本発明は、生物学的物体を処理するためのレーザ顕微解剖システムに関し、より詳細には、生物学的物体の微視的に小さい生物学的対象物を処理、分離および/または採取するためのレーザ顕微解剖システムに関する。
この種の従来型レーザ顕微解剖システムは、本出願人によるWO97/29355またはWO01/73398によって知られている。これらの明細書では、平面上の担体に配置された個々の生物学的対象物または非生物学的対象物は、コンピュータを用いて選択され、レーザ光線によって処理され得る。こうした状況では、選択された対象物が周囲の質量を含まないで調製されるように、たとえばレーザ光線によって、またコンピュータを用いて、選択された対象物が、周囲の質量から分離され得る。次いで、自由に調製された対象物は、レーザ誘起輸送処理を介して、その自由に調製された対象物に向けられるレーザ・ショットによって、担体から捕捉装置(catchment device)へと打ち出され(catapult)得る。担体として、たとえば高分子膜が使用され得る。
前述の方法によって、生物学的対象物と非生物学的対象物の両方の分離、分類および採取が可能である。本特許出願の範囲においては、用語「生物学的対象物」は、具体的には、細胞組織、塗沫または細胞培養などの、液体または固体の生体物質の成分であって、生きたまたは固定の生物細胞または細胞構成要素を意味するものと理解されたい。前述の方法によって、それぞれの場合で選択される対象物には、非接触のレーザ・マイクロインジェクションによって、選択された物質が特定的に注入され、次いで、適切に注入された生物学的対象物が分類される。次いで、生物学的対象物を、固定された平面上の担体上に、並べて置くことが可能であり、それによって、分離の処理を短時間にかつ接触が生じることなく実施することが可能になる。生物学的対象物の生存能力および形態が保証され、すなわち、生物学的対象物は、マイクロインジェクションの手順、ならびに分離および打出しの処理によって破損または損傷を受けない。
基本的には、個々のレーザ・ショットを設定するときに、レーザ・ショットのもたらす衝撃力が、周囲の物体から対応する対象物を離し、また捕捉装置に輸送する処理を行うほど十分なものであるように、このレーザ・エネルギーおよび/またはレーザ・フォーカスが選択されている場合には、上記したレーザ誘起輸送処理、すなわち事前に選択された対象物を、それぞれの場合で、周囲の物体から個々に打ち出すことを、それぞれの場合で選択された対象物を事前に自由に調製をしなくても実施することが可能である。
前述の方法は、手動では、比較的大きな努力を払わなければ、望まれる程度の精度で実施され得ないので、上記した特許明細書のレーザ顕微解剖システムでは、コンピュータを使用し、すなわち選択された対象物の切断および/または打出しがコンピュータによって実施されるように設計され、したがって、切断および/または打出しの働きをするレーザ光線を生成するレーザ光源が自動的に始動され、切断および打出しに必要な、レーザ光線と、生物学的対象物および非生物学的対象物を含む担体の間の相対的な動きが、自動的に誘起されて制御される。具体的には、コンピュータを用いて、担体に置かれた所望の対象物を選択し、またはマークすることが可能であるので、引き続きレーザ顕微解剖システムによって、これらを自動的に処理することが可能である。このため、レーザ顕微解剖システムは、表示画面すなわちモニタを含み、このモニタ上に、担体上に置かれた物質の、デジタルカメラで記録したビデオ画像が表示される。ユーザは、表示画面すなわちビデオ画像上に、たとえば適切なグラフィック・ツールを用いて、所望の切断曲線を描くことが可能であり、次いで、このようにして選択された対象物を切断するために、この曲線を、コンピュータによる補助を受けながらレーザ光線がたどる。同じようにして、所望の対象物を打ち出すために、表示画面すなわちビデオ画像上で、所望の対象物をマークすることも可能であり、それによって、別個のレーザパルスすなわちレーザ光線が、所望の位置に割当てられる。
上記した周知のレーザ顕微解剖システムを用いることによる担体上に置かれた物質のコンピュータによる自動処理は、基本的には既に提供されているが、多くの生物学的対象物の処理は、特に種類が異なる複数の生物学的対象物の処理は、別個にでも、全体としてでも処理されるので、比較的に複雑である。
したがって、本発明の目的は、改善された使い易さおよび多機能性を備えた、前述のタイプのレーザ顕微解剖システムを提供することにある。
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有するレーザ顕微解剖システムによって達成される。従属請求項は、それぞれの場合で、本発明の好ましいおよび有利な実施形態に関連する。
本発明について、生物学的対象物の切断および/または打出しに基づいて以下に述べる。しかし、本発明は、たとえば、ガラス、シリカ、プラスチックなどからなる微視的に小さい対象物、または生物学的対象物内に人工的に作られた小胞などの非生物学的対象物(無生物物質)にも適用され得る。本発明は同様に、非生物学的物体すなわち、たとえば高分子物体などの物質にも適用可能であり、レーザ顕微解剖システムによって、こうした物質から、微視的に小さい対象物を放出することが可能である。
本発明によるレーザ顕微解剖システムは、レーザ光線を生成するためのレーザ光源を含み、このレーザ光線は、処理される物質に向けられ、適切な担体上に置かれる。さらに、担体上に置かれた物質のビデオすなわち再生画像を生成し、それをレーザ顕微解剖システムの画面などの表示装置上に表示するCCDカメラなどの画像記録装置が提供される。レーザ光線で処理する対象物を選択し、それに応じて、それぞれの場合で、それらを対象物グループに割り当てるために、こうした画像が、レーザ顕微解剖システムのユーザインターフェースに重ね合わせられる。レーザ顕微解剖システムは、このようにして実施されるユーザの選択を評価し、リストを生成する制御手段を含む。このリスト上には、対象物グループ指定への方向付けによって、後続のレーザ光線処理のため対象物および/または対象物グループ特有の追加の選択が可能になるように、それぞれの場合で割り当てられた対象物グループについての表示または指定を伴う、選択された対象物が含まれる。こうした制御手段が、具体的には、パーソナル・コンピュータまたはレーザ顕微解剖システムのコンピュータに実装される。
ユーザがレーザ光線で処理をする所望の対象物を選択し割り当てるため、複数の異なるマーキング・タイプが使用可能であり、それによってユーザは、一方で、コンピュータを用いて、たとえばマーキングを適切に選択するなどによって、それぞれの場合で、表示装置上で、所望の対象物を検出し、また一方で、それを同時に、対応する対象物グループに割り当てることが可能であり、そのため、別のマーキングがそれぞれの対象物グループに割り当てられる。したがって、所望の対象物をマーキングするために、様々な色をユーザに提供することが可能であり、それによって、ユーザは、たとえば適切なグラフィックの助けによって、表示装置上で、切断対象の生物学的対象物について、所望の色で切断ラインを引くことが可能である。このようにして、表示装置上で、たとえば健全な細胞を第1の色でマークし、腫瘍細胞を第2の色でマークすることが可能であり、それによって、制御手段によって作成されたリスト内で、色に応じて個々の対象物が分類され、まとめられる。(制御手段によって、好ましくは対応する色を付けて、表示装置上に表示される)対象物グループを選択することによって、次いで、この対象物グループに属するすべての対象物を自動的に、すなわちコンピュータを用いて処理することが可能であり、それによって、次々と対応する対象物に接近し、たとえば、レーザ光線を用いて切断しかつ/または打ち出す。明らかに、異なる色によってマーキングする代わりに、区別する力を備えた他の任意のタイプのマーキングも可能である。したがって、たとえば、ビデオ画像上で所望の対象物の周りに引かれた切断ラインは、それぞれの場合で、所望の対象物を識別する明確な識別子を、その上に重ね合わせることが可能である。
上述したように、対象物グループにまとめられた対象物の選択は、オペレータによって手動で、ならびにコンピュータを用いて、デジタル画像処理/画像評価によって自動的に実施することが可能であり、それによって、後者の場合では、蛍光評価などを用いた、元来周知の方法で、健全な細胞、腫瘍細胞などが区別されることがあり、また対応する対象物グループへの自動的な割当てが行われ得る。したがって、本明細書では、用語「選択手段」は、所望の対象物の手動の選択と、ソフトウェア制御すなわちコンピュータ制御された自動的な選択の両方を含む。
上述の方法によって、事前に選択され、マークされた対象物を、グループを特定して、レーザ光線によって処理することが可能である。換言すれば、たとえば、まず、第1の対象物グループに割り当てられたすべての対象物を処理し、その後で、第2の対象物グループに割り当てられたすべての対象物が処理され得る。これによって、切断および/または打出しの手順が実施された後に、第1対象物グループのすべての対象物は第1捕捉容器に、第2対象物グループのすべての対象物は第2捕捉容器に集めることが可能になる。上述のように、第1グループの対象物は、たとえば腫瘍細胞であることがあり、第2グループの対象物は、たとえば健全な細胞であり得る。このようにして、所望の対象物の分離が明らかに簡略化され、迅速化される。
グループ特定のレーザ処理の結果、それぞれの対象物グループについて、異なるタイプのレーザ処理を選択し適応し得ることが有利である。これを行うために、レーザ顕微解剖システムによって、複数の異なるレーザ機能を提供し、それによって、具体的には、所定のレーザ処理の繰り返し回数を、各対象物グループごとに別個に選択することも可能である。
ユーザによって事前に選択された対象物がグループごとにまとめられている、レーザ顕微解剖システムの制御手段によって生成されるリストは、各グループごとに、その中に含まれる対象物の数、およびその中に含まれる対象物の総表面積の表示を含むことが好ましい。これを行うために、レーザ顕微解剖システムには、表面積の自動計算機能が備えられ、この機能によって、所望の対象物の周りに切断ラインを引いた後に、この切断ラインによって、選択され囲まれた対象物の面積を計算することが可能になる。このようにして、処理される対象物に関して、個々の対象物グループに従って分類された重要な追加の情報がユーザに提供される。
上述したリスト部に加えて、個々に処理される対象物に関する情報、それぞれの場合の特定の対象物のタイプに関する情報、それぞれの場合の個々の対象物表面積に関する情報および/または割当てが行われた対象物グループに関する情報を含み得るリスト部が、制御手段によっても生成されることが好ましい。対象物のタイプに関して、たとえば、これが切断ラインによって定義された対象物であるかどうか、またはその打出し点によって定義された唯一の対象物であるかどうかなどに関する区別を行うことが可能である。対応してマークされる対象物を、次いで所望のレーザ機能によって一緒に処理することが可能であるように、このリスト部内で、それぞれの個別の対象物、または表示されている対象物の望まれる任意の選択にマークすることが可能である。
また、制御手段によって生成されたリストは、任意選択で、選択された対象物が対象物グループごとにまとめられた最初に言及したリスト部だけを示すことも、個別に選択された対象物が含まれている第2の場合で言及したリスト部だけを示すこともある。しかし、対象物グループの表示に基づいた追加の選択を可能にするために、それぞれの場合で、対象物グループの表示が提供されることが重要である。
制御手段によって生成されるリストおよびそれに含まれる情報は、適切な記憶媒体または顕微解剖システムの作業メモリ内に格納することが可能である。こうした状況では、選択された対象物について、選択された対象物の個々の対象物位置が関連する、対応する担体上の参照位置が決定されることが有利であり、それによって、後に対応する担体を処理するとき、および格納されている対象物情報をロードするときに、事前に決定された参照位置を開始点と見なし、これに関連して格納された対象物位置に簡単に接近し、それを見つけることが可能である。
選択された対象物を対象物グループにまとめることによって、特定の対象物グループの対象物がレーザ処理された後に、対応する対象物の切断および打出しが適切に実施されたことをチェックするために、対象物担体上の対応する対象物の位置に、再び次々に接近することも可能になり、これは、表示画面上で切断または打出しラインをチェックすることによって、オペレータが視覚的に行うことも、デジタル画像処理または画像分析によって、切断または打出しラインをコンピュータを用いて評価して、自動的に行うことも可能である。
好ましくは、レーザ顕微解剖システムのレーザ源として、パルスUVレーザが使用される。好ましくは、担体として、たとえば5μmや15μmの厚さのUV吸収高分子膜からなる担体膜で覆われ得るガラスの対象物担体を使用することが可能であり、それによって、担体膜の吸収動作がUVレーザの波長に適応され、したがって、好ましくは、レーザ波長に近い吸収極大をもつ。同様に、フレーム上で張力をかけた、担体皮膜または担体膜、あるいはさらにはペトリ皿などとして周知のものの形のテフロン膜が、キャリアとして使用され得る。処理される物質から離された物質を捕捉し、取り上げるための捕捉装置として、捕捉基質(catchment substrate)を使用することが可能であり、捕捉基質は、膜または板の形、さらには鉢型の容器の形にでも設計され得る。具体的には、捕捉装置として、分子生物学で使用されるものや、それらの蓋などのマイクロ遠心容器が推奨され、それによって、具体的には、様々な対象物が異なる捕捉容器に、次々に輸送されるように、この類のいくつかの捕捉容器が隣同士に並べて配置され得る。同様に、複数の対象物が異なる穴で次々捕捉され得るように、複数の穴が付いたマイクロタイター・プレートを捕捉装置として使用することが可能である。離れた対象物が接着層によって固定され得るように、捕捉装置に接着層を設けることが可能である。こうした装置の自動的な位置決めを可能にするために、担体および/または捕捉装置に、コンピュータによる制御が可能な調整装置を設けることが好ましい。
上述したように、本発明による制御手段の機能は、具体的には、ソフトウェアに関して、レーザ顕微解剖システムに適した制御プログラムの形で実装される。したがって、本発明は、レーザ顕微解剖システム自体だけではなく、この制御プログラムを格納する対応する制御プログラムまたはコンピュータで読取り可能な記憶媒体の設計にも関連するものである。
本発明について、添付の図面を参照して、また好ましい実施形態に基づいて、以下に詳述する。
図1に示すレーザ顕微解剖システムは、レーザ光線生成のためレーザ光源が設置されているレーザ装置4を含む。さらに、レーザ光線を顕微鏡1中に結合し、また対象物面上で、レーザの焦点を顕微鏡1の光焦点に合わせて調整するために必要なレンズ6が、レーザ装置4内に設置される。この場合、これは、たとえば、337nmの波長をもつパルスUV窒素レーザ、270μJのパルス・エネルギー、3msのパルス幅、および1〜30パルス/秒のパルス周波数を必要とする。
レーザ・エネルギーを厳密に調整するために、石英フィルタ5がレーザ光の通路に垂直に配置され、この石英フィルタは、制御パネル(図示せず)によって対応するレーザ・エネルギーの設定に合うように手動で調整することが可能であり、また自動的に調整することも可能である。レーザ・エネルギーの調整設定に加えて、レーザの焦点を顕微鏡の焦点とは関係なく調整することも可能であり、すなわちレーザの焦点を顕微鏡1の対象物面に対してZ方向に置くことが可能であり、このため、図1に示すレンズ6をステッピング・モータによって移動させることが可能である。この調整は、手動でも、自動でも実施し得る。
レーザ光線は、数個の被膜ビーム・スプリッタを介して顕微鏡1に結合され、レンズ12に偏向される。対象物面に当たるレーザ光線の直径は、レンズ12の口径数に大きく左右される。比較的に高い口径数のレンズでは、1μm未満のレーザ光線の直径を実現することが可能である。これに加えて、それぞれの場合で使用されるレンズ12は、エネルギー損失を最小に抑えるために、レーザの個々の波長について、高い透過性を示すことに留意されたい。
レンズ12を介して放たれるレーザ光線は最終的に、処理される生物学的対象物を含む担体が並べられた、電動のコンピュータ制御された顕微鏡台すなわち担体台3上に当たる。担体台3の上には、手動で作動可能であり、または好ましくはやはり電動でコンピュータ制御されるマニピュレータ2が設置される。コンポーネント2および3によって、高精度の正確な対象物の位置決め、ならびにマイクロマニピュレーション手順の自動実施が可能になる。
電動の担体台3は、2つの直線軸(X/Y方向)に沿って動かすことが可能である。たとえば、マイクロインジェクション用の針またはマイクロピペットを、電動マニピュレータ2上に置くことが可能である。しかし、本発明の枠組み内では、担体から打ち出された生物学的対象物を捕捉するために、捕捉装置は、マニピュレータ2上に設置されることが想定されている。電動のマニピュレータ2は、X/Y方向とZ方向の両方に移動させることが可能である。
顕微鏡1は、望まれる任意の設計の顕微鏡であり得る。具体的には、逆倒と直立の両方の顕微鏡またはレーザ顕微鏡を使用することが考えられる。図1に示すレーザ顕微解剖システムは、担体上に置かれた生物学的対象物を、捕捉装置に向かって上に打ち出すために、レーザ光線が下から担体に当たるようにした逆倒配置である。直立の配置では、それとは逆に、レーザ光線は上から担体に当たり、そのため、生物学的対象物から離された対象物は、レーザ・エネルギーの関数として打ち出され、下向きに落ちて、担体の下に置かれた捕捉装置に当たる。
顕微鏡1は、レンズ12上側の担体3の領域を記録するビデオ・カメラ、具体的には、CCD(「電荷結合素子:Charge Coupled Device」)ビデオ・カメラを備える。
このビデオ・カメラからのビデオ信号は、従来の商用コンピュータ(「パーソナル・コンピュータ」)に伝わり、そこで処理され、それによって、対応するビデオ画像がコンピュータ7の表示画面すなわちモニタ8にリアルタイムに表示され得る。同様に、個々のビデオ画像を、コンピュータ7の適切な記憶媒体上に格納することが可能である。これに加えて、ビデオ・カメラから提供されたビデオ画像を録画するために、アナログまたはデジタルのビデオ・レコーダをコンピュータ7に結合することも可能である。
以下に詳述するように、様々な異なる機能が、コンピュータ7上で、またはその上で実行されるソフトウェアによって実行される。このソフトウェアによって、レーザ装置4および顕微鏡1の両方を、コンピュータによってすなわち自動的に作動させることを可能にし、それによって、たとえばレーザを自動的に駆動することが可能であり、またマニピュレータ2および担体テーブル3を個々に動かすことが可能である。同様に、こうしたコンピュータによる機能によって、担体台に置かれた生体物質からの所望の生物学的対象物を、特にユーザが簡単に選択し処理し得るようになる。こうした機能を調整および選択するために、キーボード9またはコンピュータ・マウス10などの従来の入力手段が提供される。さらに、レーザ装置4に、足踏みスイッチ11が割り当てられ、この足踏みスイッチを作動すると、レーザを手動で作動することが可能である。
図1に示すレーザ顕微解剖システムによって提供される機能について、以下に詳述する。
コンピュータ7に電源が入れられると、ビデオ・カメラによって、その特定の時点でとられるイメージが、たとえば図2に示すように、画面8上に表示される。図2に、レーザのターゲット・ポイント13を、十字で示す。こうした顕微鏡画像に加えて、画面には、レーザ・エネルギー、レーザ・フォーカス、レーザ機能、使用されるレンズ12の拡大の調整、示された顕微鏡画像の格納などのためのソフトウェアによって実現され得る調整および設定の可能性、またはその時点では扱われない他のメニュー・ウィンドウを、より詳細に呼び出す可能性も表示される。制御プログラムは、図1に示すコンピュータ・マウス10によって基本的には制御されるが、基本的な機能をキーボード9の対応するキーの組合せによっても呼び出すことが可能である。
基本的に、2つの異なるオペレーティング・モード間で区別をすることが可能である。カーソル・モードと称されるものでは、マウス10を用いてメニューを開き、対応するメニューを選択することが可能であり、ボタンと称されるものは、それをクリックすることが可能である。移動モードでは、それと対照的に、マウス10の動きが対応する調整信号に、したがって担体台3またはマニピュレータ2の対応する機械的な動きに直接に変換される。状況ウィンドウを顕微鏡画像の下方に表示することが可能であり、特にその状況ウインドウは、制御システムが現在カーソル・モードであるか、それとも移動モードであるかを示す。さらに、この状況ウィンドウは、ゼロ位置に対して、顕微鏡台または担体台3の絶対位置を(μm単位で)定義するXおよびY座標を表示することが可能である。
上述した機能、および顕微鏡画像に加えて、グラフィック・ツールと称されるものが、画面8上に表示され、このツールを用いて、画面8または表示される顕微鏡画像上に、手書きの線または所定の図、たとえば長方形、円、直線、楕円などを描くことが可能であり、それによって、画面8上にはこうしたグラフィック要素が重ね合わせられた顕微鏡画像が表示される。さらに、画面8上にはカラー・パレットを表示することが可能であり、それによって、描かれる各要素について画面8上に表示される所望の色を選択することが可能である。こうした状況では、その特定の時点で選択される要素タイプのすべての要素について、それぞれの場合で選択される色が、標準の初期値として格納される。このようにして、画面8上に、ビデオまたは顕微鏡画像の形で表示される、担体3上に置かれた生体物質14からの様々な生物学的対象物を、選択して、様々な色でマークすることが可能である。
図2に示した例では、ユーザは、上述したグラフィック・ツールを用いて、2つの生物学的対象物の周りに、図2に正方形で示される第1の色で、手書きの切断ライン16を入れると想定する。図2に円で示される第2の色で、2つの別の対象物が対応する手書きの切断ラインによってマークされている。三角形で示される第3の色で、別の3つの対象物が手書きの切断ラインによって同じように選択され、マークされている。星型で示される第4の色で、別の生物学的対象物の周りに、別の手書き切断ラインが入れてあるが、前述の手書き切断ラインとは異なり、この手書き切断ラインは完全には閉じていない。図2に示す切断ラインは、対応する生物学的対象物のマーキングおよび選択に役立つだけでなく、担体台3上に置かれた生体物質14の、その後のレーザ処理、ならびにそれぞれの場合で指定される切断ラインに沿ってレーザ光線を導き、したがって、それぞれの場合で、周囲の生物学的物体から選択される生物学的対象物を調製するために、担体台3とレーザ装置4のレーザ光線との間の自動的な相対運動を指定するのに役立つ。
本発明の実施形態の枠組み内では、後のレーザ処理のために、様々な生物学的対象物15は様々な色でマークされ、それによって、同一の色でマークされたすべての対象物は対応する対象物グループを形成する。しかし、明らかに、様々な色を用いること以外に、画面8上で個々の生物学的対象物に、別のタイプのマーキングを行うことも可能である。しがたって、たとえば、図2に示すように、それぞれの切断ラインについて、別のタイプのグラフィック表示を選択することが可能である(図2では、正方形、円、三角形、または星型を有する)。これは、同じマーキングの生物学的対象物がまとめられる個々のグループ間で、できるだけ明確な区別が可能であるように、マーキングがそれぞれの場合で選択されるということに関してだけが重要なことである。
図2に示す例では、前述したグラフィック・ツールは、手書き切断ライン16によってマークまたは選択された各生物学的対象物に対して、画面8にやはり表示されるシリアル番号が付けられるようにして、調整される。したがって、「1」番と「2」番の生物学的対象物、「3」番と「4」番の生物学的対象物、「5」番〜「7」番の生物学的対象物、ならびに「8」番の生物学的対象物が、それぞれの場合で、1つの対象物グループを形成する。画面8上でのこうした番号の表示を、動作しないように設定することも可能である。これに加えて、レーザ顕微解剖システムのソフトウェアは、顕微鏡画像上で選択された2つの点の間の距離を測定することを可能にする機能も含む。したがって、たとえば、顕微鏡画像上で、開始点を選択することが可能であり、それによって、マウス10の動作中、マウス10の対応するマウス・キーが押下されているときに、開始点までの距離の測定が自動的に行われる。同様に、ソフトウェアは、以前に引かれた切断ライン16によって区切られている、上述したようにして選択および/またはマークされた生物学的対象物の表面積を、自動計算する機能を提示し得る。次いで、レーザ顕微解剖システムの画面8上に、それぞれの場合の個々の生物学的対象物の表面積が、たとえばμm2単位で示される。追加の機能として、レーザ顕微解剖システムのグラフィック・ツールは、画面8上に以前に引かれたグラフィック要素を削除するために、「削除」機能を提示することも可能である。同様に、対応する機能によって、画面8上に表示されるビデオ画像の望まれる任意の点に、所望されるテキスト注釈を挿入することも可能である。
上述した、所望の生物学的対象物15のマーキングまたは選択は、その後のレーザ処理のために所望の生物学的対象物を選択するのに役立ち、すなわち後で自動的に自由に調製し、および/または捕捉装置に打ち出すつもりの生物学的対象物が判断される。このようにして選択された生物学的対象物について、リスト内にそれぞれの場合で項目が生成され、このリストも同様に画面8上に表示される。このリストの構成について、図3を参照して以下に詳述する。
図3のリスト部の上段には、以前に選択された各対象物について、項目または要素が提供されている。列Aでは、図2と類似したマーキングの順序で、個々に選択またはマークされた対象物に、シリアル番号が付与されている。列Bには、それぞれの要素について、いずれのタイプが関与しているかに関する表示が提供され、それによって、具体的には、切断ラインのための「ライン」タイプと、個々の打出し点のための「点」タイプが区別され、こうしたタイプも同様に、ビデオ画像上の指定されたグラフィック・ツールによって判断することが可能である。図3に示す例では、すべての要素が、以前に引かれたラインである。さらに、列Cでは、対応する切断ラインによって囲まれて、選択された各生物学的対象物の表面積(好ましくは、μm2単位)が示される。さらに、列Dでは、それぞれの項目について、対応する注釈が任意に挿入され得る。
図3から明らかなように、追加の列18には、それぞれの場合で対象物が選択されたときに、各要素または各対象物についてそれぞれ選択されたマーキングまたは色が示されている。
リストは連続して更新される。換言すれば、画面8上でユーザが必要とする追加の生物学的対象物にマークしている間、追加でマークされた各生物学的対象物について、新しい項目が自動的に生成される。
下方リスト部29には、対象物が対象物グループおよび/または色によってソート及び分類されて、集計表示が示されている。こうした状況では、それぞれのマーキング/色について、それぞれの場合で含まれる対象物の数が列Fに示され、列Gにはこの対象物グループに割り当てられている対象物の総表面積が示される。このリスト部29の最終行には、すべての対象物グループからの対象物の総数すなわちマークされたすべての対象物の総数、およびその総表面積が表示される。
図3に示す例では、選択フィールド19がアクティブ化されており、このアクティブ化によって、「ライン」タイプのリスト項目だけが表示される。しかし、「点」タイプの項目、またテキスト項目などは、選択フィールド19のアクティブ化によっては表示されていない。
ボタン20をクリックすることによって、表示されているリストを格納し閉じることが可能である。一方、ボタン21をクリックすることによって、格納しないでリストを閉じることが可能であり、したがってそれが廃棄される。ボタン22をクリックすることによって、リストのすべての要素およびその属性(マーキング/色、数またはタイプなど)および集計された値を、ファイルにエキスポートすることが可能である。
ボタン23によって、表示されているリストの要素すべてをファイル内に記憶することが可能である。各要素または各生物学的対象物について別々に、それぞれの場合で以前に選択された生物学的物質の参照位置に関連する位置も同様に、格納することが可能である。したがって、格納する前に、担体およびその上に置かれた生物学的物質のこうした参照位置を別々に、コンピュータによって決定しなければならない。以前に調べた生物学的対象物を再び使用する場合、そこで選択及びマークされた生物学的対象物に正確に接近して位置決めされるようにするために、こうした参照位置が必要である。こうした状況では、各対象物の担体および各標本について、別個に、異なる参照位置が決定され得る。したがって、対象物の担体の位置が定まると、事前に定められた参照位置に関連して、所望の生物学的対象物が移動され、すなわち各要素または各生物学的対象物に関して格納された位置データは、事前に定められた参照位置に関連する相対位置データである。表示されている顕微鏡画像上で参照位置を定める際に、対応するソフトウェア機能によって、ユーザは、レーザで生物学的物質のこうした位置にマークすることが可能であり、それによって、後で参照位置を容易に見つけることが可能である。
ボタン24のアクティブ化によって、表示されているリストの要素すべてを削除することが可能であり、ボタン28では、リストから選択された1つまたは複数の要素だけを選択して削除することが可能である。ボタン25をクリックすることによって、リスト上の残りの要素の番号を付け替えることが可能である。
ボタン26を用いて、生物学的対象物が画面8上の中央に現れるように、個々の各生物学的対象物に接近することが可能である。対象物番号「5」を中央表示するには、マウス10で、図3のライン部上段の対応する行だけにマークされ、次いでボタン26をアクティブ化する必要がある。
個々の各要素および個々の各生物学的対象物はそれぞれ、レーザ光線で別個に処理することが可能である。たとえば、生物学的対象物「5」番を処理しようとする場合は、マウスで、リスト部上段の対応する項目にだけマークし、次いで、レーザ開始30ボタンをアクティブ化する。次いで、コンピュータを用いて、レーザ光線と担体台3との間の適切な相関運動によって、レーザ光線が、事前に引かれた図2に従う生物学的対象物の所望の切断ライン上に置かれ、かつ、事前に引かれた切断ラインに沿って移動される。同様にして、選択された生物学的対象物のうちの数個にマークし、次いで、レーザ開始ボタンを次々にアクティブ化することによって処理することが可能である。
しかし、単一または複数の対象物グループの対応する選択を、下側リスト部29でも実施することが可能であれば、特に有利であり、それによって、次にレーザ開始ボタン30をアクティブ化すると、選択された対象物グループ、すなわち選択された対象物グループに属する生物学的対象物だけが処理される。
たとえば、腫瘍細胞を一つの捕捉容器内に置き、健全な細胞を別の捕捉容器内に置こうとする場合は、図2による画面3上に表示される顕微鏡画像が動いている間に、腫瘍細胞の切断ラインが第1の色で識別され、健全細胞の切断ラインが第2の色で識別されるように所望の細胞にマークするとよい。したがって、たとえば、腫瘍細胞にはマーキングに青色を使用し、健全な細胞には黄色を使用する。そうすると、下側リスト部29には、「青」の腫瘍細胞が編集された行が現れ、また「黄」の健全細胞が編集された行が表示される。「青」の行にマークし(「強調表示」)、レーザ光線によって捕捉装置の対応する位置を定め、その後、レーザ開始ボタン30をアクティブ化することによって、「青」の腫瘍細胞のすべてが、レーザ光線によって処理され、また選択フィールド32内で設定されたレーザ機能に応じて、捕捉容器内に打ち出される。次いで、「黄」の行にマウス10でマークすることが可能であり、レーザ光線を用いて新しい捕捉容器の位置が定められ、レーザ開始ボタン30が再びアクティブ化され、それによって、第2捕捉容器内にすべての「黄」の健全細胞が捕捉される。
これに関し、レーザ顕微解剖システムは、個々の対象物グループおよび/または対象物について、様々な捕捉容器が自動的に位置決めされ、したがって、捕捉位置に移動されるように有利に設計される。すなわち、選択された対象物グループの対象物の処理が行われる前に、それぞれの場合で、対応する捕捉容器が捕捉位置に移動されるので、同一の対象物グループ内の対象物が、それぞれの場合で、同一の捕捉容器に収集され、それによって、対象物の貯蔵およびその後の分析が容易になる。
上側リスト部には、列18に加えて、各要素または各生物学的対象物の処理状況が表示される追加の列17が設けられる。レーザ開始ボタン30をアクティブ化した後に、レーザ光線によって生物学的対象物が処理されると、この生物学的対象物に関する「チェックボックス」またはこのリスト項目にマークが付けられる。
レーザ開始ボタン30をアクティブ化するたびに、別の選択ウィンドウ31に対応する値を入力することによって、レーザ処理の繰り返し回数を入力することが可能である。図3に示す例では、レーザ機能の単一の操作だけが選択ウィンドウ32によって設定されている。
既に簡潔に説明したように、選択ウィンドウ32を用いて、それぞれのレーザ処理について、所定の複数のレーザ機能のうちからある特定のレーザ機能を選択することが可能である。図3によって示されているレーザ機能「RoboLPC」では、レーザ開始ボタン30がアクティブ化されると、所望の生物学的対象物を周囲の生物学的対象物から打ち出して捕捉容器に入れるために、残存スラットまたはブレードが所定のものである限りは、それぞれの場合で、事前に引かれた個々の生物学的対象物の切断ラインが通り抜けられ、個々のレーザショットがこのスラットまたはブレードの中心に向けられる。図2に番号「8」で示す生物学的対象物のように、以前、切断ラインを引いた際に、その切断ラインがシステム内で事前に設定されたスラットまたはブレードの幅に相当するように、切断ラインがさらに開いたままになっている場合には、この寸法外の隙間が直線によって、所定のスラット幅にまで自動的に狭められる。
たとえば、別個の打出しレーザ・ショットを設定するために、別のレーザ機能すなわち「LPC」を提供することが可能であり、すなわち対応する生物学的対象物を打ち出すために、事前の自由な調製なしに、レーザ・ショットが所望のポイントに設定される。特定の調製、たとえば細胞遠心機にかけた細胞では、こうした別個に設定されたレーザ・ショットが打出しを引き起こすのに既に十分なものであり得る。以前に引かれた切断ラインに沿った切断だけを行い、その後の打出しレーザ・ショットを設定しないようにするために、別のレーザ機能すなわち「切断」を提供することが可能である。その後、上記したレーザ機能を用いて、自由に調製された生物学的対象物上の所望の位置に、レーザ・ショットを別個に設定することが可能である。こうした切断だけの機能(pure cutting function)でも同様に、それぞれの場合の生物学的対象物が、全体として自由に調製されるのではなく、所定の幅のスラットまたはレードの狭い残存部分が残ったままでいることが好ましい。別のレーザ機能すなわち「閉切断(CloseCut)」が、前述した切断機能に対応し得るが、しかし、その機能では、それぞれの場合の生物学的対象物を全体として自由に調製するために、事前に引かれた切断ラインを超えて、レーザ光線がその対象物全体を移動する。ユーザが切断ラインを完全に閉じていない場合は、閉じた切断ラインを得るために、レーザ顕微解剖システムによって、切断ラインの開始点および終了点が直線でつながれる。別のレーザ機能すなわち「自動LPC」は、選択ウィンドウ32によって設定することが可能であり、顕微鏡画像上で事前にマークされた表面、または事前にマークされた生物学的対象物をそれぞれ取り除くために提供され得る。このレーザ機能が選択されると、事前に引かれた線の内側の領域が、次々発せられる複数のレーザ・ショットによって運び出され、対応する捕捉容器内に打ち出される。この場合には、表面積単位当たりのレーザ・ショット数を、レーザ顕微解剖システムの対応するメニューによって設定することが可能である。最後に、別のレーザ機能、「閉切断&自動LPC」によって、上記した2つのレーザ機能の組合せを備え、すなわち最初に完全に閉じた切断ラインを用いて、所望の生物学的対象物を周囲の生物学的対象物から分離し、次いで複数の組のレーザ・ショットによって次々にそれを運び出し、捕捉容器の中に輸送する。この手順は、ユーザが隣接の生体物質のため、運び出される生体物質が汚染されるリスクを排除しようとする場合に、特に適応可能である。
したがって、各レーザ処理手順ごとに、すなわちレーザ開始ボタン30をアクティブ化するごとに、選択ウィンドウ32、および選択ウィンドウ31を用いたこのレーザ機能の繰り返し回数によって、レーザ機能を調整して設定することが可能である。一方、レーザ開始ボタン30をアクティブ化するごとに、所望の要素、対象物または対象物グループの対応するマーキングによって、対応する手順を個々の対象物または対象物グループ全体にまで拡張すべきかどうかに関して、図示したリスト上で選択をすることが可能である。
既に説明したように、列17で、処理済みの各対象物について、その対象物の処理が終了すると、対応する「チェックボックス」が設定される。同時に、列Eでは、対応する対象物について実施された切断および打出しの手順の数が指定されて表示される。
レーザ顕微解剖システムについて上記した構成によって、たとえばそれぞれ異なる対象物グループに分類された生物学的対象物を、異なる方法でレーザ処理することが可能になる。したがって、たとえば第1の対象物グループの対象物については、レーザ切断機能だけが設定され、第2の対象物グループの対象物については、図3で事前に定められているように、「RoboLPC」レーザ機能が提供される。このようにして、可能な最大限の柔軟さが実現される。
本発明の好ましい一実施形態によるレーザ顕微解剖システムの構造を示す図。 所望の生物学的対象物を選択しマークするための、図1に示すレーザ顕微解剖システムの例示的な表示画面の画像を示す図。 ユーザによって事前に選択されマークされた生物学的対象物が含まれるリストを含む、図1に示すレーザ顕微解剖システムの表示画面の例示的な画面を示す図。

Claims (11)

  1. レーザ光線による生物学的物質(14)の処理のため、処理される生物学的物質(14)上に向けられるレーザ光線を生成するためのレーザ光源(4)と、
    担体(3)上に置かれた生物学的物質の少なくとも1つの区分の画像を生成するための画像記録装置(1)と、
    該画像記録装置(1)によって生成される画像を表示するための表示装置(8)と、
    該担体(3)上に置かれた生物学的物質(14)から、該レーザ光線によって処理される生物学的対象物(15)を選択し、選択され該生物学的対象物を、複数の対象物グループの内の一つに割り当てるための選択手段(9、10)と、
    択された生物学的対象物を含んだ対象物グループリストを生成し、そのリストを前記表示装置(8)に表示するための制御手段(7)とを有する、担体(3)上に置かれた生物学的物質(14)を処理するためのレーザ顕微解剖システムであって、
    該選択手段(9、10)によって、該リスト上のいずれの対象物グループ及びレーザ光線による処理のタイプを選択することが可能であり、該制御手段(7)は該選択された対象物グループ内の生物学的対象物(15)を、選択されたレーザ光線による処理のタイプに従い、グループを特定してレーザ光線によって処理するように設計され、
    前記レーザ光線による処理は、前記選択手段(9、10)によって指定された切断ラインに沿って前記生物学的物質を切断すること、又は、前記担体(3)上に置かれた前記生物学的物質(14)上で、前記選択手段(9、10)によって指定されたにレーザ・ショットを設定して対象物を特定し、特定された対象物をレーザ・ショットにより運び出すことを含むことを特徴とするレーザ顕微解剖システム。
  2. 前記表示装置(8)によって表示された前記画像上の、前記担体(3)上に置かれた前記生物学的物質の前記生物学的対象物に、マーキングを行うことによって、処理される生物学的対象物(15)を選択することが可能であり、前記制御手段(7)は様々なタイプのマーキングを提供するように設計され、それによって、特定の種類のマーキングによってマークされ選択された該生物学的対象物(15)のすべてが一つの対象物グループを形成するように、それぞれのタイプのマーキングが対象物グループに割り当てられることを特徴とする請求項1に記載のレーザ顕微解剖システム。
  3. 前記制御手段(7)は前記リストに、それぞれの対象物グループについての、その対象物グループに割り当てられた前記生物学的対象物の総数の表示を含むように設計されることを特徴とする請求項2に記載のレーザ顕微解剖システム。
  4. 前記制御手段(7)は前記選択手段(9、10)によって選択された生物学的対象物(15)の表面積を計算する表面積計算機能を含み、前記制御手段(7)は前記リストに、それぞれの対象物グループに割り当てられた前記生物学的対象物すべての総表面積の表示が含まれるように設計されることを特徴とする請求項2に記載のレーザ顕微解剖システム。
  5. 前記制御手段(7)は、リスト項目が前記生物学的対象物(15)が前記レーザ光線によって既に処理されたかどうかに関する表示を含むように設計されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ顕微解剖システム。
  6. 前記制御手段(7)は、前記リストに前記生物学的対象物(15)の前記マーキングのタイプを表示するように設計されることを特徴とする請求項2に記載のレーザ顕微解剖システム。
  7. 前記選択手段(9、10)によって選択される前記生物学的対象物(15)または対象物グループの前記レーザ光線による処理の繰り返し回数を、前記選択手段(9、10)によって調整して設定することが可能であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ顕微解剖システム。
  8. 前記様々なタイプのマーキングが様々な色のマーキングであり、その色を用いて、処理される前記生物学的対象物(15)が、前記表示装置(8)上に表示される前記担体(3)上に置かれた前記生物学的物質(14)の前記画像上でマークされることを特徴とする請求項2に記載のレーザ顕微解剖システム。
  9. 前記リストが記憶手段内に格納され得ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
  10. 担体(3)上に置かれた生物学的物質(14)を処理するためのレーザ顕微解剖システムをコンピュータ制御する制御プログラムが格納されているコンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、
    該レーザ顕微解剖システムは、
    該生物学的物質(14)をレーザ光線で処理するために、該生物学的物質(14)に向けられる該レーザ光線を生成するためのレーザ光線源(4)と、
    該担体(3)上に置かれた該生物学的物質(14)の少なくとも1つの区分の画像を生成するための画像記録装置(1)と、
    該画像記録装置(1)によって生成される該画像を表示するための表示装置(8)と、
    該担体(3)上に置かれた該生物学的物質(14)から、該レーザ光線によって処理される生物学的対象物(15)を選択し、選択された該生物学的対象物を、対象物グループに割り当てる選択手段(9、10)とを備え、
    該制御プログラムは、該コンピュータ制御のレーザ顕微解剖システム内での動作時に、該選択手段(9、10)によって、選択された生物学的対象物を含んだ対象物グループのリストを生成し、該表示装置(8)上に表示するように構成され、該選択手段(9、10)によって、該リスト上の望まれる任意の対象物グループ及びレーザ光線による処理のタイプが選択されたときに、該選択された対象物グループに割り当てられた該生物学的対象物(15)の処理が、選択されたレーザ光線による処理のタイプに従い、該レーザを用いてグループを特定して行われ、
    前記レーザ光線による処理は、前記選択手段(9、10)によって指定された切断ラインに沿って前記生物学的物質を切断すること、又は、前記担体(3)上に置かれた前記生物学的物質(14)上で、前記選択手段(9、10)によって指定された点にレーザ・ショットを設定して対象物を特定し、特定された対象物をレーザ・ショットにより運び出すことであるように構成されるコンピュータ読取り可能記憶媒体。
  11. 前記制御プログラムは、前記コンピュータ制御のレーザ顕微解剖システムに実装されるときに、前記レーザ顕微解剖システムの前記制御手段(7)の前記機能が、請求項1から9のいずれか1項に従って実施されるように構成されることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ読取り可能記憶媒体。
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