JP4106892B2 - 液圧シリンダ回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベルのブームシリンダやアームシリンダ、クレーンのブームシリンダ等の液圧シリンダを駆動する液圧シリンダ回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベルのブームシリンダ回路を例にとって従来の技術を説明する。
【0003】
油圧ショベルのブームを駆動するブームシリンダには、掘削時に、負荷と、ブームを含む作業アタッチメントの重量の合計である外力が常に下向き(縮小方向)に作用し、同シリンダのヘッド側に圧力が立った状態となる。
【0004】
また、これとは逆に、ブームを下げてバケットを地面に押し付けることによって車体を前上がりに浮かせた状態で足まわりの検査や掃除を行う場合のように、外力が、ブームシリンダに上向き(シリンダ伸長方向)に作用し、シリンダのロッド側に圧力が立つ場合もある。
【0005】
一方、一般的なブームシリンダ回路は、油圧ポンプ及びタンクとブームシリンダとの間に、シリンダに対する圧油の給排を制御するコントロールバルブを設け、このコントロールバルブにより、アクチュエータの作動方向と速度の双方を制御する構成をとっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この構成によると次のような問題が生じていた。
【0007】
すなわち、予め、微操作が可能となるようにコントロールバルブのメータアウト開口面積の最小値を小さく設定すると、大流量時に絞り過ぎの状態となり、エネルギー損失が大きくなる。
【0008】
一方、メータアウト開口面積の最小値を大きく設定すると、たとえば前記のようにシリンダ縮小方向の外力が作用する状況下でシリンダを縮小させる(ヘッド側圧力を抜く)場合に、メータアウトでの絞り作用が十分に働かずにシリンダが失速する(速度制御が利かない状態となる)おそれがある。
【0009】
この点の対策として、コントロールバルブはシリンダの作動方向のみを制御し、油圧ポンプの吐出量を制御することによってアクチュエータ速度を制御する構成をとることが考えられる。
【0010】
しかし、こうすると、コントロールバルブのメータアウト絞りでのエネルギー損失を最小限に小さくすることはできるものの、絞り機能が無くなるため、前記のようにシリンダに一方向の外力が作用する状況で、高圧側の油を抜くシリンダ動作時にシリンダが失速状態となるという問題は解決できない。
【0011】
一方、この問題を解決する手段としてカウンタバランス弁を使用することが考えられる。
【0012】
しかし、この場合に使用される外部パイロット式のカウンタバランス弁は、外部から取り込んだ圧力に応じて開口面積を変えるフィードバック制御を行うため、圧力変動に伴うハンチングが生じ、振動が出易くて安定性が悪い。なお、この安定性を改善するための絞りを付加すると、今度は応答性が悪くなる。
【0013】
そこで本発明は、シリンダに外力が作用する状況下でのシリンダの失速を防止しながら、エネルギー損失を減少させ、しかも安定性及び応答性にすぐれた液圧シリンダ回路を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、操作手段からの指令に基づいて吐出量が制御される液圧ポンプと液圧シリンダとの間に、上記操作手段からの指令に応じて液圧シリンダの作動方向を制御するコントロールバルブが設けられ、かつ、上記液圧シリンダから流出する作動液に対して絞り機能を有するメータアウト制御弁と、このメータアウト制御弁を通過する流量を検出する流量検出手段と、外力によって上記液圧シリンダに作用する保持圧を検出する保持圧検出手段と、上記メータアウト制御弁の開口面積を制御する制御手段とを具備し、この制御手段は、
(I) メータアウト制御弁の開口面積が、同制御弁の製作誤差等の誤差の影響を受けない値として定められた設定値以下の領域を低速域とし、この低速域においては、上記コントロールバルブによってシリンダ速度を制御し得るようにメータアウト制御弁の開口面積を上記設定値まで制御し、
(II) 上記開口面積が上記設定値を超える領域においては、保持圧検出手段によって検出される保持圧と上記流量検出手段によって検出される流量とに基づいて、上記保持圧に対抗する圧力を上記メータアウト制御弁の入口側に発生させながらメータアウト制御弁によってシリンダ速度を制御する
ように構成したものである。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、流量検出手段は、操作手段の操作量に基づく目標シリンダ流量をメータアウト制御弁の通過流量として求めるように構成されたものである。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1の構成において、電動機によって液圧ポンプが駆動され、制御手段は、操作手段からの指令に基づいて上記電動機の回転速度を制御することによりポンプ流量を制御するように構成されたものである。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成において、保持圧検出手段は、液圧シリンダの両側圧力を検出し、この両側圧力から保持圧を求めるように構成されたものである。
【0018】
上記構成によると、シリンダに一方向の外力が作用する状況下で、メータアウト制御弁の入口側(メータアウト側)にシリンダ保持圧に対抗する圧力が発生し、この対抗圧力で外力を支えながら、シリンダの速度がポンプ流量で、作動方向がコントロールバルブでそれぞれ制御される。
【0019】
なお、メータアウト弁入口圧は、基本的にはシリンダ保持圧と同じ値とするが、これより若干小さい値でも若干大きい値でもよい。
【0020】
この構成により、シリンダの失速を防止しながら、無駄な絞りを無くしてエネルギー損失を最小限に小さくすることができる。
【0021】
しかも、カウンタバランス弁方式のようなフィードバック制御でなく、メータアウト制御弁の通過流量とシリンダ保持圧とに基づいてメータアウト制御弁の開口面積を制御する構成であるため、安定性及び応答性ともに良いものとなる。
【0022】
ところで、メータアウト制御弁の開口面積制御は制御手段によって自動で行われるため、制御弁の各部品の製作誤差等の影響を受け、とくに開口面積が小さい領域ではこの誤差の影響が大きく、メータアウト制御弁の制御では微速制御の操作性が悪くなる懸念がある。
【0023】
この点、メータアウト制御弁の開口面積が設定値以下の領域(低速域)では、メータアウト制御弁の開口面積制御に代えてコントロールバルブによるメータアウト制御を行い得るように構成したから、製作誤差等の影響を受けない微速制御が可能となる。すなわち、微速操作を含む全操作範囲に亘って、失速のおそれがなく、操作手段の操作に応じた速度制御が可能となる。
【0024】
ここで、請求項2では、操作手段の操作量に基づく目標シリンダ流量が、メータアウト制御弁の開口面積を求めるための同制御弁の通過流量として求められる。
【0025】
この構成によると、実際にメータアウト制御弁を通過する流量を流量計で実測する場合や、シリンダ速度を測定して流量を割り出す場合と比較して、流量検出のための専用のセンサ類を付加する必要がないため、回路構成が簡単でコストが安くてすむ。
【0026】
一方、ポンプ流量を制御する手段として、請求項3のようにポンプを電動機で駆動し、電動機の回転速度を制御するようにしてもよいし、エンジンで可変容量型のポンプを駆動し、このポンプの傾転を変えて流量を制御するようにしてもよい。
【0027】
また、シリンダ保持圧を検出する保持圧検出手段として、請求項4のようにシリンダの両側圧力を圧力センサで検出し、その差を保持圧として求める手段を用いてもよいし、シリンダに作用する力をロードセルで検出し、これをシリンダ保持圧に置き換えてもよい。
【0028】
前者のシリンダ圧力を検出する方式によると、後者のロードセル方式と比較して保持圧を検出でき、かつ、設備コストが安くてすむ。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図によって説明する。
【0030】
基本実施形態
図6に本発明の適用対象となる油圧シリンダが搭載された油圧ショベルを示している。
【0031】
同図において、1はクローラ式の下部走行体で、この下部走行体1上に、キャビン2を備えた上部旋回体3が搭載され、この上部旋回体3に作業アタッチメント4が取付けられている。
【0032】
作業アタッチメント4は、起伏自在なブーム5の先端にアーム6、このアーム6の先端にバケット7がそれぞれ水平軸まわりに回動可能に取付けられて成り、これらブーム5、アーム6、バケット7がブームシリンダ8、アームシリンダ9、バケットシリンダ10によってそれぞれ駆動される。
【0033】
本発明は、この油圧ショベルにおけるブーム、アーム、バケット各シリンダ8,9,10のいずれにも、またクレーンのブームシリンダにも適用することができる。以下の実施形態では、油圧ショベルのブームシリンダ8に適用した場合を例示している。
【0034】
図1に示すブームシリンダ回路において、11は電動機12によって駆動される油圧ポンプで、この油圧ポンプ11からの吐出油が、電磁切換式のコントロールバルブ13を介してブームシリンダ14のヘッド側油室14aまたはロッド側油室14bに供給され、これによって同シリンダ14が伸長または縮小作動する。
【0035】
15はコントロールバルブ13とシリンダヘッド側油室14aとを結ぶヘッド側管路、16は同バルブ13とロッド側油室14bとを結ぶロッド側管路、Tはタンク、17はリリーフ弁である。
【0036】
電動機12は、インバータ18を介して制御手段としてのコントローラ19に接続され、レバー20aによって操作される操作体20の操作(以下、レバー操作といい、その操作量をレバー操作量という)に基づくコントローラ19からの指令信号によってその運転(回転/停止・回転方向と回転速度)が制御される。
【0037】
コントロールバルブ13は、中立位置イと、図右側のシリンダ伸長位置ロと、図左側のシリンダ縮小位置ハとを有し、レバー操作に基づくコントローラ19からの信号によりこれら各位置間で切換わり作動してブームシリンダ14の作動(伸長/縮小/停止)を制御する。
【0038】
シリンダヘッド側管路15には、ヘッド側油室14aに油が流入する方向の流れのみを許容するチェック弁21が設けられるとともに、このチェック弁21と並列に電磁−油圧式のメータアウト制御弁22が設けられ、コントローラ19からの信号によりこのメータアウト制御弁22がストローク作動してその開口面積が変化するようになっている。
【0039】
また、シリンダヘッド側及びロッド側両油室14a,14bの圧力を検出する圧力センサ23,24が設けられ、コントローラ19で、この圧力センサ23,24によって検出される両側油室14a,14bの圧力から、シリンダ14に作用する一方向の外力W(ここでは下向きの力として示している)によってシリンダ14のヘッド側油室14aに発生する保持圧PFが、
(ヘッド側圧力−ロッド側圧力)×(シリンダロッド側受圧面積/シリンダヘッド側受圧面積)
によって求められる。
【0040】
コントローラ19の作用を含むこのシリンダ回路の作用を次に説明する。
【0041】
操作体20が操作されると、その信号がコントローラ19に入力され、このコントローラ19からの指令に基づいて電動機12の回転速度、すなわち、ポンプ流量が制御されるとともに、コントロールバルブ13がストローク制御される。
【0042】
このレバー操作量とコントロールバルブ13の開口面積の関係を図2に、レバー操作量とポンプ流量及び目標シリンダ流量の関係を図3にそれぞれ示している。
【0043】
コントロールバルブ13は、ブリードオフ、メータイン、メータアウト各開口を有し、図2のように、レバー操作量が0の状態ではブリードオフ開口面積が最大、メータイン及びメータアウト両開口面積が最小となり、レバー操作の開始とともにブリードオフ開口面積が漸減し、一定の操作量からメータイン、メータアウト両開口面積が増加する。
【0044】
一方、図3に示すように、レバー操作量が0から増加するに連れて電動機回転速度が増加してポンプ流量が増加し、このポンプ流量から上記コントロールバルブ13によるブリードオフ流量を引いた目標シリンダ流量も増加する。
【0045】
コントローラ19は、シリンダ14に下向きの外力Wが作用する状態でシリンダ14を縮小作動させるときに、レバー操作量によって決まる目標シリンダ流量と、シリンダ保持圧PFとから、シリンダ保持圧PFに対抗する圧力(基本的にはPFと同圧。これよりも少し近い圧力でもよい)がメータアウト制御弁22の入口側に発生するように同制御弁22の開口面積(ストローク)を制御する。
【0046】
これを詳しく説明する。
【0047】
メータアウト制御弁22をオリフィスと考えた場合、流量Qは、
Q=C・S√(2g・ΔP)/γ…式(1)
g:重力加速度
γ:作動油の単位体積当たり質量
C:流量係数
S:開口面積
ΔP:オリフィスの差圧
で表される。
【0048】
上記式(1)から、
S=Co×Q/√ΔP…式(2)
(Co=1/C×√γ/2g)
となり、この式(2)のQ、ΔPをこのシリンダ回路におけるメータアウト制御弁22の通過流量QA、入口圧力PFに置き換えると、制御弁開口面積は、
S=Co×QA/√PF…式(3)
と表すことができる。
【0049】
そこで、コントローラ19において、レバー操作量によって決まる目標シリンダ流量(=メータアウト制御弁22を通過する流量QA)と、圧力信号に基づいて求められたシリンダ保持圧PFから、上記式(3)を用いて、同制御弁22の入口にシリンダ保持圧PFに対抗する圧力が発生する開口面積Sを算出し、この開口面積Sが得られるストロークの指令信号をメータアウト制御弁22に送る。
【0050】
すなわち、この実施形態では、コントローラ19は、制御手段と、メータアウト制御弁22の通過流量を検出する流量検出手段を兼ね、かつ、圧力センサ23,24とで保持圧検出手段を構成する。
【0051】
上記制御により、メータアウト制御弁22の入口にシリンダ保持圧PFに対抗する圧力が立ち、外力Wがこの圧力で支えられながらシリンダ14が縮小作動する。
【0052】
いいかえれば、シリンダ14とメータアウト制御弁22を一つのシステムと考えると、外力Wがない(シリンダ14を横置きにして無負荷で駆動する)のと等価の条件でシリンダ14をメータアウト制御によって目標通りの速度で縮小作動させることができる。
【0053】
このため、シリンダ14が縮小作動時に外力Wによって失速するおそれがない。しかも、メータアウト流量を必要なだけ絞るため、エネルギー損失が最小限に少なくてすむ。
【0054】
なお、上記式(3)における流量係数Coの値は、理論通りの値を用いてもよいし、メータアウト制御弁22の開口面積に応じて異なる値を用い、あるいは、メータアウト制御弁22の制御を緩くするために理論値よりも少し小さい値を用いてもよい。
【0055】
また、シリンダ伸長時は、ポンプ吐出油がチェック弁21を介してシリンダヘッド側油室14aに供給され、メータアウト制御弁22の制御は行われない。
【0056】
さらに、
(イ)シリンダ14に作用する下向きの外力Wが小さくて保持圧PFも小さく、シリンダ14の失速が生じるおそれがない場合、
(ロ)前記した車体持ち上げ時のように外力Wがシリンダ14に上向きに作用し、ロッド側油室14bに圧力が立った状態でシリンダ14を縮小させる場合
には、メータアウト制御弁22は上記のような制御は不要であるため、余分な圧損が出ないように最大開口面積状態にセットされる。
【0057】
コントロールバルブ13は、基本的にはシリンダ14の作動方向のみを制御すればよく、流量制御機能は不要であるため、コントロールバルブ13のメータアウト開口は、理論的にはオン・オフ的に変化するものでよい。
【0058】
ただし、メータアウト制御弁22の開口面積制御はコントローラ19によって自動で行われるため、メータアウト制御弁22をはじめとする開口面積制御にかかわる各部品の製作誤差や情報伝達誤差等の影響を受け、とくに開口面積が小さい領域ではこの誤差の影響が大きく、微速制御の操作性が悪くなる懸念がある。
【0059】
そこで、図2に示すようにコントロールバルブ13に、通常のコントロールバルブ同様にメータアウト制御ノッチを設け、目標シリンダ流量(レバー操作量)が少なくてメータアウト制御弁22の開口面積が設定値以下の領域(上記誤差の影響を受ける可能性のある低速域)では、メータアウト制御弁22は前記した式(3)による制御は行わずに、上記誤差の影響を受けないストローク(開口面積)まで作動させ、この間はコントロールバルブ13のメータアウト開口による制御を行うように構成している。
【0060】
こうすれば、製作誤差等の影響を受けない微速制御が可能となり、全操作範囲に亘って、失速のおそれがなく、操作手段の操作に応じた速度制御が可能となる。
【0061】
他の実施形態
(1)前記のように、ブームを下げて車体を持ち上げる動作を行う場合や、アーム引き動作においてブームが下降から上昇に転じる場合等には、メータアウト制御弁22によるメータアウト制御は不要となり、むしろこのときは同制御弁22での圧損をできるだけ小さくするのが望ましい。
【0062】
そこで、図4に示すように、メータアウト制御弁22の開口面積があるストロークTa以上の範囲で急増し、上記のようなメータアウト制御が不要な条件となったときに、メータアウト制御弁22を最大ストロークさせて、大きな開口面積が得られるように開口面積特性を設定してもよい。
【0063】
(2)上記基本実施形態では、レバー操作量に対応する目標シリンダ流量を、メータアウト制御弁22の開口面積を決定する流量情報として用いる構成としたが、メータアウト制御弁22を実際に通過する流量を流量センサ等によって測定し、この実測値を流量情報として用いる構成としてもよい。あるいは、シリンダ速度を検出し、このシリンダ速度から制御弁通過流量を算出してもよい。
【0064】
(3)基本実施形態では、メータアウト制御弁22をシリンダヘッド側のみに設けたが、同制御弁22をヘッド側及びロッド側の双方に設け、必要側をメータアウト制御する構成としてもよい。
【0065】
(4)メータアウト制御弁22は、基本実施形態のようにコントロールバルブ13とシリンダ14の間に限らず、図5に示すようにコントロールバルブ13とタンクTとの間に設けてもよい。この場合は、この一つのメータアウト制御弁22でシリンダ14の伸長及び縮小の両動作を制御するように構成することができる。
【0066】
(5)基本実施形態では、ブームシリンダ回路を適用対象として例示したが、本発明は油圧ショベルのアームシリンダ回路、バケットシリンダ回路にも、またクレーンのブームシリンダ回路にも(要は各種作業機においてシリンダに外力が作用するシリンダ回路)に適用することができる。
【0067】
(6)本発明は、上記実施形態のように電動機12で油圧ポンプ11を駆動し、かつ、いわゆるポジコン制御を行うシリンダ回路に限らず、油圧ポンプ11をエンジンで駆動し、かつ、いわゆるネガコン制御を行うシリンダ回路、また負荷に応じてポンプ流量を変えるロードセンシング方式のシリンダ回路、あるいはポンプ吐出量を圧力補償付き流量調整弁で制御してシリンダへの流入量を制御する回路にも適用することができる。
【0068】
(7)本発明は、とくに上記実施形態であげた油圧シリンダ回路に適するが、水圧シリンダ回路を含む液圧シリンダ回路に広く適用することができる。
【0069】
【発明の効果】
上記のように本発明によると、シリンダに一方向の外力が作用する状況下で、メータアウト制御弁の入口側(メータアウト側)にシリンダ保持圧に対抗する圧力を発生させ、この対抗圧力で外力を支えながらシリンダ速度を制御する構成としたから、シリンダの失速を防止しながらエネルギー損失を最小限に小さくすることができる。
【0070】
しかも、カウンタバランス弁方式のようなフィードバック制御でなく、メータアウト制御弁の通過流量とシリンダ保持圧とに基づいてメータアウト制御弁の開口面積を制御する構成であるため、安定性及び応答性ともに良いものとなる。
【0071】
また、メータアウト制御弁の開口面積が設定値以下の領域(低速域)では、メータアウト制御弁の開口面積制御に代えてコントロールバルブによるメータアウト制御を行い得るように構成したから、製作誤差等の影響を受けない微速制御が可能となる。すなわち、微速操作を含む全操作範囲に亘って、失速のおそれがなく、操作手段の操作に応じた速度制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本実施形態にかかる油圧ショベルのブームシリンダ回路の回路図である。
【図2】 同実施形態におけるコントロールバルブの開口面積特性を示す図である。
【図3】 同実施形態におけるレバー操作量と目標シリンダ流量及びポンプ流量の関係を示す図である。
【図4】 本発明の他の実施形態におけるメータアウト制御弁のストロークと開口面積の関係を示す図である。
【図5】 本発明のまた別の実施形態にかかるブームシリンダ回路の回路図である。
【図6】 本発明の適用対象例である油圧ショベルの全体概略側面図である。
【符号の説明】
11 油圧ポンプ
12 電動機
13 コントロールバルブ
14 ブームシリンダ
19 制御手段と流量検出手段を兼ね、かつ、流量検出手段を構成するコントローラ
20 操作体(操作手段)
22 メータアウト制御弁
23,24 保持圧検出手段としてシリンダヘッド側及びロッド側圧力を検出する圧力センサ

Claims (4)

  1. 操作手段からの指令に基づいて吐出量が制御される液圧ポンプと液圧シリンダとの間に、上記操作手段からの指令に応じて液圧シリンダの作動方向を制御するコントロールバルブが設けられ、かつ、上記液圧シリンダから流出する作動液に対して絞り機能を有するメータアウト制御弁と、このメータアウト制御弁を通過する流量を検出する流量検出手段と、外力によって上記液圧シリンダに作用する保持圧を検出する保持圧検出手段と、上記メータアウト制御弁の開口面積を制御する制御手段とを具備し、この制御手段は、
    (I) メータアウト制御弁の開口面積が、同制御弁の製作誤差等の誤差の影響を受けない値として定められた設定値以下の領域を低速域とし、この低速域においては、上記コントロールバルブによってシリンダ速度を制御し得るようにメータアウト制御弁の開口面積を上記設定値まで制御し、
    (II) 上記開口面積が上記設定値を超える領域においては、保持圧検出手段によって検出される保持圧と上記流量検出手段によって検出される流量とに基づいて、上記保持圧に対抗する圧力を上記メータアウト制御弁の入口側に発生させながらメータアウト制御弁によってシリンダ速度を制御する
    ように構成したことを特徴とする液圧シリンダ回路。
  2. 流量検出手段は、操作手段の操作量に基づく目標シリンダ流量をメータアウト制御弁の通過流量として求めるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の液圧シリンダ回路。
  3. 電動機によって液圧ポンプが駆動され、制御手段は、操作手段からの指令に基づいて上記電動機の回転速度を制御することによりポンプ流量を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の液圧シリンダ回路。
  4. 保持圧検出手段は、液圧シリンダの両側圧力を検出し、この両側圧力から保持圧を求めるように構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液圧シリンダ回路。
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