JP4078881B2 - 熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板 - Google Patents
熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器に用いるのに好適な厚さが1.0mm以下の薄肉ステンレス鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
分散型電源として注目されているマイクロガスタービンには熱効率向上の観点から燃焼排ガスの熱を利用して燃焼用空気を加熱する熱交換器が装着されている。この熱交換器はステンレス鋼板からなるコルゲートフィンとプレート等から構成される。熱効率を向上させるには燃焼排ガス温度を高める必要があるが、特にコルゲートフィンの耐熱性から、その上限温度は現状では700℃程度と低く抑えられており、燃焼排ガス温度の向上が課題であった。そこで、コルゲートフィンへの厳しい加工に耐え、耐熱性にも優れ、かつ溶接性も良好なステンレス鋼板が望まれている。
自動車排ガス浄化装置の触媒担体用に種々の耐熱性Fe−Cr−Alフェライト系ステンレス鋼が提案されている。しかし、これらフェライト系ステンレス鋼は一般的に加工性に劣り、また溶接が難しいといった問題があった。本発明の用途の一つである熱交換器のコルゲートフィンのように厳しい加工が要求される部位には、これらのステンレス鋼板を適用するのが困難である。
【0003】
従来から一般に高温用途には、SUS304やSUS310に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼が多く用いられている。
【0004】
例えば、特開平7−188869号公報には、AlおよびBならびにLaおよびCe等の希土類元素(以下REMと略記)を添加し、Niバランスを考慮した成分を有し、溶接性や高温での耐酸化性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
【0005】
また、特開2000−303150号公報には、直接拡散接合用ではあるが、Alを多くは含まないフェライト系およびオーステナイト系ステンレス薄鋼板が開示されている。特にオーステナイト系ステンレス鋼は圧延も容易で加工性にも優れるとしている。
【0006】
しかし、鋼板の厚さが1.0mm以下のステンレス鋼板を用いる熱交換器において、特に問題となる焼損と呼ばれる現象については、上記いずれの刊行物にも全く記載がなく有用性に関しても不明である。ここで焼損とは、鋼板が高温酸化により原形を留めなくなる現象を指す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、厳しい加工に耐え、かつ容易に圧延できるオーステナイト系ステンレス鋼板であって、厚さが1.0mm以下の状態においても優れた耐熱性、特に高温領域で焼損しにくい特性、より詳しくは、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性を有し、さらに経済性にも優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは加工性に優れるNi−Cr−Fe系オーステナイト系ステンレス鋼に着目し、その鋼板について燃焼排ガス雰囲気中での耐高温酸化性を検討した。
【0009】
このような組成の鋼では一般に鋼表面にCr2O3酸化物が均一に生成するが、鋼板が焼損する原因としてステンレス鋼板中の合金元素であるCrがCr2O3酸化物の成長にしたがって酸化物層中に移行し、鋼板中のCrが枯渇することにより異常酸化が生じ、鋼板が焼損してしまう現象を見出し、本発明を完成した。
【0010】
焼損の原因となる異常酸化について、SUS310Sを用いた実験を基にさらに詳述する。
【0011】
図1は、ステンレス鋼板の異常酸化と酸化物中へのCrの移行量との関係を示す図である。
【0012】
厚さが0.1mmのSUS310Sステンレス鋼板を用い、900〜1050℃の温度で100〜500時間加熱した。ここで、ステンレス鋼板から酸化物層中へのCrの移行量は、酸化物と母材のCr濃度をEPMA(波長分散型X線分析装置)で求め、両者を比較し算出した。また、Cr2O3酸化物層の厚さは、試料断面を光学顕微鏡で観察し測定した。
【0013】
図1の結果から以下の知見を得た。
【0014】
a)厚さ0.1mmのSUS310Sステンレス鋼板の異常酸化(図1中黒印)は、Cr2O3酸化物層の厚さが約25μmで生じ、その後焼損に至る。
【0015】
b)ステンレス鋼板から酸化物層へ移行するCr量、すなわち高温酸化にともなうステンレス鋼板のCr消費量は、Cr2O3酸化物層の厚みにおおむね比例し、ステンレス鋼板から酸化物層へ移行したCr量が0.02g/cm2 で異常酸化を生じ、その後焼損に至る。
【0016】
c)一方、酸化物層の厚さが25μmとなると0.02g/cm2 のCr量が酸化物層へ移行し、この値は0.1mm厚のSUS310Sステンレス鋼板にもともと含まれるCr量に相当する。したがって、ステンレス鋼板の異常酸化は母材中にもともと含まれるCr量が完全に枯渇する条件下ではじめて生じることとなる。
【0017】
d)逆にステンレス鋼板にCrが残っている限り鋼板は優れた耐熱性を維持し、焼損に至る鋼板の寿命は、使用前のステンレス鋼板に含まれるCr量と、鋼表面に生成するCr2O3酸化物の成長速度、すなわち高温酸化にともなうステンレス鋼板のCr消費量とにより決まる。
【0018】
e)焼損現象は、鋼板の厚さが1.0mmを超える鋼板では鋼中のCr量が十分に存在することから発生しにくく、1.0mm以下の鋼板に起こりやすい現象である。
【0019】
上記知見に基づくと、焼損現象を防止するため、ステンレス鋼板中のCrの枯渇を遅らせるには以下の方法が考えられる。
【0020】
1)ステンレス鋼板中のCr含有量を増加する。
【0021】
2)ステンレス鋼板の厚さを厚くする。
【0022】
3)Cr2O3酸化物の成長速度を遅くする。
【0023】
上記1)の方法は、一般にオーステナイト系ステンレス鋼においてCr含有量を増加させると鋼質が著しく変化し、鋼の加工性、高温強度、耐時効脆化特性等を顕著に劣化させるため好ましくない。
【0024】
また2)の方法は、鋼板の厚さを厚くすると、熱交換器の燃焼排ガスならびに燃焼空気の圧力損失が増加し、システムの全体効率を低下させることから、困難である。
【0025】
このため本発明者らは鋼板表面に生成するCr2O3酸化物の成長速度を抑制する方策について種々検討を行った。その結果、ステンレス鋼にREMを微量添加し、加えて鋼中のNi含有量、REM含有量に応じて、Mn含有量の上限を規定することで、Cr2O3酸化物の成長速度を抑制できるとの知見を得た。
【0026】
図2は、本発明鋼と従来鋼の酸化速度常数の比較を示す図である。
【0027】
従来鋼として、後述する実施例中の表1に示した符号42の鋼板を、また本発明鋼として同じ表の符号5の鋼板を用いた。両鋼板の酸化実験から得られた酸化物層の厚さを基に酸化速度常数(kp)を算出した。両鋼種ともに、放物線則に従って酸化が進むが、kpは従来鋼に比べ本発明鋼が約一桁小さくなるとの新しい事実が、判明した。
【0028】
上記の知見に基づいてなされた本発明は、下記(1)〜(7)の燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板を要旨としている。
【0029】
(1)質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.01〜1.0%、Cr:19〜26%、Ni:10〜35%、およびREMの一種以上を合計で0.005〜0.10%含有し、さらにMnを0.01%以上でかつ下記関係式を満足するように含有し、残部がFeおよび不純物からなる、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
【0030】
Mn(%)≦2.8×REM(%)−0.025×Ni(%)+0.95
ここで、Mn(%)、REM(%)およびNi(%)は、いずれも鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を示す。
【0031】
(2)上記(1)に記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Mo、W、CuおよびCoの中から選ばれた1種または2種以上をそれぞれ0.1〜3%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
【0032】
(3)上記(1)または(2)に記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Nb、Ti、VおよびZrの中から選ばれた1種または2種以上をそれぞれ0.01〜1.0%含有含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
【0033】
(4)上記(1)から(3)までのいずれかに記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Alを0.60%以下含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
【0034】
(5)上記(1)から(4)までのいずれかに記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Nを0.01〜0.4%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
【0035】
(6)上記(1)から(5)までのいずれかに記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Bを0.001〜0.010%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
【0036】
(7)上記(1)から(6)までのいずれかに記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、CaおよびMgの中から選ばれた1種以上をそれぞれ0.001〜0.010%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の限定理由について述べる。なお、組成を表す単位はすべて質量%で表示する。
【0038】
C:0.01〜0.10%
Cはδフェライトの生成を抑制し、オーステナイト組織を安定させるとともに高温強度を確保する効果を有する。この効果を発揮させるにはC含有量を0.01%以上とすることが必要であるが、C含有量が0.10%を超えると鋼の結晶粒界に塊状のCr23C6 が析出し、鋼の靱性が低下するとともに加熱・冷却サイクル時の熱疲労に対する抵抗性が劣化する。したがって、Cの含有量を0.01〜0.10%とした。
【0039】
Si:0.01〜1.0%
Siは溶解時に脱酸剤として添加され、含有量が0.01%以上でその効果を発揮する。しかしながら、1.0%を超えて含有させると脆い金属間化合物の析出を促進させ合金の組織安定性を損なう、すなわち脆化を加速させることから、その上限を1.0%とした。
【0040】
Mn:0.01%以上
Mnはオーステナイト組織を形成する効果を有し、溶解時に脱酸剤としても作用するため添加される。その効果はMnの含有量が0.01%以上で達成される。Mn含有量の上限は、REMおよびNi含有量との関係で決まる。この上限値を超えてMnが鋼に含まれると、酸化速度の抑制効果が発揮されない。
【0041】
図3は、酸化物厚さに及ぼす鋼中Mn量の影響を示す図である。
【0042】
19%Niオーステナイト系ステンレス鋼板(SUS310S相当材)を用いて、鋼中のMn含有量を変化させ、1000℃で生成したCr2O3酸化物層の厚さを、鋼中のMn量で整理した。従来鋼のSUS310S鋼板にREMを0.09%含有させることで、酸化物層の厚さは25μmから20μmへと約20%程度薄くなる。さらに、Mn含有量を変化させて試験を行った結果、あるMn含有量以下で酸化物層厚さが約5μm程度へと激減することが判明した。
【0043】
上記の酸化実験を、Mn、NiおよびREM含有量を変化させて溶製した種々の組成の鋼について行い、回帰分析を行って下記に示すMn含有量の上限を規定する関係式を求めた。
【0044】
Mn(%)≦2.8×REM(%)−0.025×Ni(%)+0.95。
【0045】
この機構については以下のように推測される。
【0046】
すなわち、REMがCr2O3酸化物の結晶粒界に偏析することによって、酸化物層中のCr3+およびO2−イオンの拡散を抑制し、これによって酸化速度が抑制される。一方、MnおよびNiはREMの酸化物層への偏析を阻害する作用があると考えられる。この阻害作用をMnを例にとり説明する。Mn含有量がREMおよびNi含有量との関係で決まる或る値以上になると、鋼の高温酸化時にMnO酸化物がCr2O3酸化物層中に一部固溶し、REMのCr2O3結晶粒界への偏析を妨害し、これより酸化速度抑制効果が発揮されないこととなる。
【0047】
Cr:19〜26%
Crは鋼表面に保護性のCr2O3酸化被膜を均一生成させ、異常酸化を防止し鋼を焼損から守る作用を有する元素である。Crの含有量が19%未満では、高温で鋼板表面にCr2O3酸化物が均一生成せず耐高温酸化性が劣化するため、19%以上含有させることが必要である。Cr含有量が26%を超えるとオーステナイト組織を安定して形成することができないのに加え、高温で長時間使用中に脆い金属間化合物であるα−Cr相が析出するようになり、鋼を脆化させる。このため、Crの含有量を19〜26%とした。好ましいCrの含有量は21〜26%である。
【0048】
Ni:10〜35%
Niはオーステナイト組織を形成する効果を有するとともに鋼板の耐熱性を高める作用を有する。オーステナイト組織を得るためには少なくとも10%以上含有させる必要がある。しかし、Niを35%を超えて含有させても前記の効果は飽和しコストが嵩むばかりである。したがって、Niの含有量を10〜35%とした。Niの含有量は10〜29%とすることが好ましく、さらに好ましくは10〜24%である。
【0049】
REM:0.005〜0.10%
REMは酸化されるとイオンとしてCr2O3酸化物の結晶粒界に偏析し、Cr2O3酸化物の成長に伴うCr2O3結晶粒界を通じたCr3+、O2−イオンの粒界拡散を抑制し、結果としてCr2O3酸化物の成長速度を遅らせる作用を有する。その効果はREMの含有量の合計が0.005%以上で達成される。一方、REMの合計含有量が0.10%を超えると高温で使用中に脆い金属間化合物が析出し、鋼が脆化する。このため、REMの含有量の合計を0.005〜0.10%とした。なお、本発明でいうREMとはSc、Y及びランタノイドの合計17元素を指し、ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加すればよい。
【0050】
前記の(1)に記載した本発明に係る燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板は、上記の化学成分を含有し、残部がFe及び不純物からなるオーステナイト系ステンレス鋼板である。
【0051】
上記の成分に加え、必要に応じて、下記(a)〜(f)の少なくとも1群から選ばれる元素を選択的に含有させることで、前記の(2)〜(7)に記載した本発明に係る燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板が得られる。
【0052】
(a)Mo、W、CuおよびCoの中から選ばれた1種または2種以上、
(b)Nb、Ti、VおよびZrの中から選ばれた1種または2種以上、
(c)Al、
(d)N、
(e)B、
(f)CaおよびMgの中から選ばれた1種以上。
以下、上記(a)〜(f)群の任意添加元素に関して説明する。
【0053】
(a)Mo、W、CuおよびCo:それぞれ0.1〜3%
これらの元素は、添加してもしなくてもよいが、添加すれば、高温強度を高める効果を有する。この効果を確実に得るには、Mo、W、CuおよびCoはそれぞれ0.1%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Mo、WおよびCuの含有量がそれぞれ3%を超えると使用中に脆い金属間化合物が析出し、鋼の靱性低下を招く。またCoはその含有量が3%を超えると高温強度が著しく高くなり熱間加工性が低下する。したがって、Mo、W、CuおよびCoを添加する場合には、それぞれの含有量は0.1〜3%とするのがよく、それぞれの含有量が0.1〜1.5%であれば一層好ましい。
【0054】
(b)Nb、Ti、VおよびZr:それぞれ0.01〜1.0%
これらの元素は、添加してもしなくてもよいが、添加すれば、炭窒化物を形成して高温強度を高める効果を有する。この効果を確実に得るには、Nb、Ti、VおよびZrはそれぞれ0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Nb、Ti、VおよびZrのいずれも、1.0%を超えて含有させても、前記の効果は飽和しコストが嵩むばかりである。したがって、Nb、Ti、VおよびZrを添加する場合には、それぞれの含有量は0.01〜1.0%とするのがよい。添加する場合の、Nb、Ti、VおよびZrの好ましい含有量はそれぞれ0.1〜1.0%であり、さらに好ましい含有量はそれぞれ0.1〜0.6%である。
【0055】
(c)Al:0.60%以下
Alは添加してもしなくてもよいが、添加すれば、鋼の脱酸効果が高まる。この効果を確実に得るには、Alは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Alを0.60%を超えて含有させると高温で脆い金属間化合物であるNi3Al が析出し、熱間加工性が著しく劣化するし、またクリープ破断伸びの低下をきたす。したがって、Alの含有量を0.60%以下とした。なお、Alを添加する場合には、その含有量を0.005〜0.60%とするのがよく、より好ましいAl含有量は0.02〜0.30%であり、0.02〜0.20%であれば一層好ましい。さらに、0.05〜0.20%であれば極めて好ましい。
【0056】
(d)N:0.01〜0.4%
Nは鋼中に不純物として含まれる元素であるが、オーステナイト組織の安定化に寄与するのみならず、高温強度を高める作用を有し、これらの効果はNの含有量が0.01%以上で確実に得られる。したがって、オーステナイト組織を安定化させるとともに高温強度を高めたい場合には、Nを添加して0.01%以上含有させてもよい。しかし、Nを添加する場合でも通常の溶製技術では0.4%を超える含有量にするのは困難である。したがって、Nを添加する場合には、その含有量を0.01〜0.4%とするのがよい。なお、Nを添加する場合のより好ましい含有量は0.1〜0.4%である。
【0057】
(e)B:0.001〜0.010%
Bは添加してもしなくてもよいが、添加すれば、結晶粒界を強化し高温強度を高める効果を有する。また、熱間加工性を高める効果も有する、これらの効果を確実に得るには、Bは0.001%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.010%を超えると、溶接時の高温割れに対する感受性が高くなる。したがって、Bを添加する場合には、その含有量を0.001〜0.010%とするのがよい。
【0058】
(f)CaおよびMg:それぞれ0.001〜0.010%
これらの元素は、添加してもしなくてもよいが、添加すれば、熱間加工性を高める効果を有する。この効果を確実に得るには、CaおよびMgはそれぞれ0.001%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、CaおよびMgのいずれも、0.010%を超えて含有させると、低融点化合物であるNi−Ca、Ni−Mg化合物が形成され、熱間加工性がかえって低下する。したがって、CaおよびMgを添加する場合には、それぞれの含有量は0.001〜0.010%とするのがよい。
【0059】
【実施例】
次に、実施例により本発明の効果をさらに詳しく説明する。
【0060】
表1〜3に示す化学組成を有する45種の試験鋼(符号1〜40、および符号44〜48)を、それぞれ10kgの真空誘導加熱炉で溶製した。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
インゴット表面を機械研削した後、1250℃で3時間加熱し、熱間鍛造により25mm厚、90mm幅の板状に成形した。次いで、1250℃で3時間加熱した後、熱間圧延して5mm厚の鋼板とした。
【0065】
このようにして得た5mm厚の鋼板を、1100℃で軟化焼鈍した後、冷間圧延により1.2mm厚とし、さらにこの鋼板に、1100℃で軟化焼鈍した後、冷間圧延を施す工程を繰り返すことで、0.1mmの厚さを有するステンレス鋼板を得た。
【0066】
上記0.1mm厚の鋼板に1100℃で1時間加熱後水冷する最終熱処理を施したのち、幅15mm、長さ35mmの寸法で試験片を切り出し、高温酸化試験に用いた。
【0067】
表3中に示す符号41〜43の合金鋼としては、市販されている鋼板を用いた。符号42の試験鋼は、JIS G 4305に記載のSUS310S鋼、符号43の試験鋼はJIS G 4902に記載のNCF800鋼に相当する。これらの鋼板はいずれも1.2mm厚の冷延鋼板で入手したが、1100℃で軟化焼鈍した後に、冷間圧延を施す工程を繰り返すことで同じく0.1mm厚のステンレス鋼板を得た。
【0068】
高温酸化試験は、都市ガスの燃焼排ガスを模擬した3%O2−16%H2O−9%CO2−bal.N2の組成を持つ気流中で、900、950、1000、1050℃の各温度で、500時間酸化させ、異常酸化発生状況およびステンレス鋼板表面に生成したCr2O3酸化物の厚みの測定を行った。酸化物の厚みは、試料の断面を光学顕微鏡で観察することにより測定した。
【0069】
表4、表5に試験結果をまとめて示す。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
加熱温度が1050℃において、従来鋼である符号42(SUS310S)および43(NCF800)の鋼板は、いずれも完全に焼損した。また符号41の従来鋼ならびに符号44〜48の比較鋼で、鋼板の一部に異常酸化が生じ、焼損しかかっていることがわかった。しかし、本発明鋼である符号1〜40の鋼板ではいずれも焼損、異常酸化等がなく良好な外観を呈していた。
【0073】
また上記以外の試験温度においても同様に、本発明鋼(符号1〜40)の鋼板に生成したCr2O3酸化物層の厚さは、従来鋼の鋼板の場合の20〜30%と著しく薄いことが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステンレス鋼板の異常酸化と酸化物中へのCrの移行量との関係を示す図である。
【図2】本発明鋼と従来鋼の酸化速度常数の比較を示す図である。
【図3】酸化物厚さに及ぼす鋼中Mn量の影響を示す図である。
Claims (7)
- 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.01〜1.0%、Cr:19〜26%、Ni:10〜35%、およびREMの一種以上を合計で0.005〜0.10%含有し、さらにMnを0.01%以上でかつ下記関係式を満足するように含有し、残部がFeおよび不純物からなる、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
Mn(%)≦2.8×REM(%)−0.025×Ni(%)+0.95
ここで、Mn(%)、REM(%)およびNi(%)は、いずれも鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を示す。 - 請求項1に記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Mo、W、CuおよびCoの中から選ばれた1種または2種以上をそれぞれ0.1〜3%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
- 請求項1または2に記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Nb、Ti、VおよびZrの中から選ばれた1種または2種以上をそれぞれ0.01〜1.0%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
- 請求項1から3までのいずれかに記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Alを0.60%以下含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
- 請求項1から4までのいずれかに記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Nを0.01〜0.4%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
- 請求項1から5までのいずれかに記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、Bを0.001〜0.010%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
- 請求項1から6までのいずれかに記載のステンレス鋼板の組成中のFeの一部に代えて、CaおよびMgの中から選ばれた1種以上をそれぞれ0.001〜0.010%含有する、厚さが1.0mm以下の、燃焼排ガス(3%O 2 −16%H 2 O−9%CO 2 −bal.N 2 )の気流中での高温酸化試験における耐高温酸化性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼板。
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