JP4010720B2 - シール材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や建築物等に使用するシール材製造方法に関し、さらに詳しくは、気密性を確保しながら大幅な低比重化を可能にし、しかも深部硬化性を向上するようにしたシール材製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車や建築物等に使用するシール材では、気密性を確保しながら低比重化を図ることが求められている。また、その場で硬化させるタイプの一液酸素硬化型シール材や一液湿気硬化型シール材では、表層のみならず深部においても素早く硬化することが求められている。
【0003】
従来、シール材を低比重化させる方法として、シール材組成物に発泡剤による気泡やガラスバルーン、樹脂バルーン等の微少中空体を添加して均一な空隙直径と空隙率を確保している。しかしながら、上述したシール材では低比重化を進めると発泡剤の分解物による汚染や微少中空体の分散不良等により気密性が低下するという問題があった。また、一液型シール材に発泡剤による気泡や微少中空体を添加しても深部硬化性を向上させることはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、気密性を確保しながら大幅な低比重化を可能にし、しかも深部硬化性を向上することを可能にしたシール材製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のシール材の製造方法は、シール材組成物と気体とを合わせて通流させる導管と、該導管内に挿入された軸部の周囲に攪拌羽根を設けた攪拌体とを有し、該攪拌体をその軸方向に沿って振動自在に構成し、前記導管を軸方向に沿って複数の混合室に区分し、前記導管を鉛直方向に延長するように配置すると共に、前記導管の下端部にシール材組成物を供給するための供給管と気体を供給するための供給管とを接続し、前記導管の上部にはシール材を排出するための排出口を設けた振動式攪拌機を用いたシール材の製造方法であって、
前記導管内に粘度1万〜1000万cPのシール材組成物と気体とを供給すると共に、前記攪拌体をその軸方向に沿って振動させることにより、前記シール材組成物に多数の独立気泡を均一に分散させてシール材を得るようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
このように高粘度のシール材組成物に独立気泡を均一に分散させることにより、従来のように発泡剤の分解物による汚染や異物の混入がないため、気密性を確保しながら大幅な低比重化を実現することができる。また、シール材組成物に独立気泡を分散させると、これら独立気泡を介して酸素や湿気がシール材の深部に到達し易くなるので、一液酸素硬化型シール材又は一液湿気硬化型シール材の深部硬化性を向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1〜図3は本発明の実施形態からなるシール材の製造方法に使用する振動式攪拌機を例示するものである。図において、振動式攪拌機1は枠体2の上部にモータ3と振動源4を搭載し、枠体2の上部から円筒状の導管5を鉛直方向に吊下した構成になっている。
【0012】
導管5の内部には、軸部6aの周囲に攪拌羽根6bを螺旋状に形成した攪拌体6が挿入され、その軸部6aの上端が振動源4に連結されている。この振動源4はモータ3の回転を振動に変換し、攪拌体6をその軸方向に沿って振動させるようになっている。また、導管5は仕切り板7によって軸方向に沿って複数の混合室に区分されており、各混合室に攪拌羽根6bが配置されている。
【0013】
導管5の下端部には、シール材組成物Aを供給するための供給管8と、気体Bを供給するための供給管9とがそれぞれ接続されている。一方、導管5の上部にはシール材組成物Aに気体Bの独立気泡を混入させたシール材Cを排出するための排出口10が設けられている。
【0014】
本発明では上記のような振動式攪拌機1を用いてシール材組成物に独立気泡を均一に分散させる。即ち、供給管8から所定の流量でシール材組成物Aを供給すると共に、供給管9から所定の流量の気体Bを供給し、これらシール材組成物Aと気体Bとを導管5内で合流させる。シール材組成物Aと気体Bの供給量に応じて導管5内の液面が上昇し、やがて排出口10からシール材Cとして排出されるが、その液面上昇過程において攪拌体6をその軸方向に沿って振動させる。このとき、攪拌体6の軸方向の振幅は4〜10mmとし、振動数は5〜30回/秒とすることが好ましい。
【0015】
攪拌体6に上記振動を与えると、図3(a),(b)に示すように、導管5の各混合室において攪拌体6に接触するシール材Cを瞬時にかつ十分に混合することができる。また、導管5はその軸方向に沿って複数の混合室に区分されているので、シール材Cは入口側から出口側に向けて徐々にその混合均一度を高めながら移動することになる。
【0016】
上述のように高粘度のシール材組成物に独立気泡を均一に分散させた場合、従来のように発泡剤の分解物による汚染や異物の混入がないため、シール材としての気密性を確保しながらその比重を大幅に低下させることができる。また、シール材組成物に独立気泡を分散させると、これら独立気泡を介して酸素や湿気がシール材の深部に到達し易くなるので、一液酸素硬化型又は一液湿気硬化型のシール材における深部硬化性を向上することができる。更に、シール材組成物に独立気泡を混入させたシール材は、硬化後においてエネルギー損失が大きいという特長もある。
【0017】
本発明において、シール材組成物としては、20℃における粘性が1万〜1000万cP(センチポアズ)である高粘性のシール材を使用することができる。このシール材組成物としては、シリコーン系シール材組成物、ポリサルファイド系シール材組成物、ウレタン系シール材組成物、変成シリコーン系シール材組成物、ポリイソブチレン系シール材組成物を挙げることができる。
【0018】
一方、独立気泡を構成する気体としては、乾燥空気又は窒素ガスを使用することができる。これら気体であれば、一液酸素硬化型又は一液湿気硬化型のシール材を保存状態において硬化させてしまうことはない。独立気泡の平均径は1mm以下にすることが好ましい。この独立気泡の平均径が1mmを超えると気密性の低下や外観上の問題を引き起こす恐れがある。また、独立気泡の混入量は1〜30体積%にすることが好ましい。この独立気泡の混入量が1体積%未満であると比重の低減効果及び深部硬化性の向上効果が不十分になり、逆に30体積%を超えると気密性が低下する恐れがある。
【0019】
【実施例】
図1〜図3に示す振動式攪拌機(冷化工業社製バイブロミキサー)を使用し、1成分形(一液型)のシール材組成物に平均径が約1mmである窒素ガスの独立気泡を混入させ、その混入量を種々異ならせた実施例1〜6のシール材と、窒素ガスを混入させていない比較例1〜3のシール材をそれぞれ作製した。シール材組成物としては、1成分形ポリウレタン(商品名:シール21,横浜ゴム株式会社製)、1成分形変成シリコーン(商品名:スーパーワン,横浜ゴム株式会社製)、1成分形ポリイソブチレン(商品名:ポリイソブチレン,横浜ゴム株式会社製)を使用した。
【0020】
これら実施例1〜6及び比較例1〜3のシール材について、比重及び深部硬化性を測定し、その結果を表1に示した。なお、深部硬化性の評価として、未硬化のシール材を外気に曝して表層から硬化させ、3日間で硬化した深さ(mm/3day)を測定した。
【0021】
【表1】
Figure 0004010720
【0022】
この表1から判るように、実施例1〜6のシール材はシール材組成物に窒素ガスの独立気泡を均一に分散させているので、それぞれ比較例1〜3のシール材に比べて比重が低く、しかも深部硬化性が向上していた。
【0023】
次に、図1〜図3に示す振動式攪拌機(冷化工業社製バイブロミキサー)を使用し、2成分形(二液型)のシール材組成物に平均径が約1mmである窒素ガスの独立気泡を混入させた実施例7〜11のシール材と、窒素ガスを混入させていない比較例4〜8のシール材をそれぞれ作製した。シール材組成物としては、2成分形ポリウレタン(商品名:UH−30,横浜ゴム株式会社製)、2成分形シリコーン(商品名:シリコーン70,横浜ゴム株式会社製)、2成分形ポリサルファイド(商品名:SC−500,横浜ゴム株式会社製)2成分形変成シリコーン(商品名:スーパーII,横浜ゴム株式会社製)、2成分形ポリイソブチレン(商品名:マイレックス−Z,横浜ゴム株式会社製)を使用した。
【0024】
これら実施例7〜11及び比較例4〜8のシール材について、比重を測定し、その結果を表2に示した。
【0025】
【表2】
Figure 0004010720
【0026】
この表2から判るように、実施例7〜11のシール材はシール材組成物に窒素ガスの独立気泡を均一に分散させたことにより、それぞれ比較例4〜8のシール材に比べて比重が低くなっていた。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、粘度1万〜1000万cPのシール材組成物に多数の独立気泡を均一に分散させたので、シール材の気密性を確保しながら大幅な低比重化を可能にし、しかも深部硬化性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなるシール材の製造方法に使用する振動式攪拌機を示す側面図である。
【図2】図1の振動式攪拌機の導管部分を示す拡大断面図である。
【図3】図2の振動式攪拌機の導管部分を示し、(a)は攪拌体下降時の拡大断面図であり、(b)は攪拌体上昇時の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 振動式攪拌機
2 枠体
3 モータ
4 振動源
5 導管
6 攪拌体
6a 軸部
6b 攪拌羽根
A シール材組成物
B 気体
C シール材

Claims (4)

  1. シール材組成物と気体とを合わせて通流させる導管と、該導管内に挿入された軸部の周囲に攪拌羽根を設けた攪拌体とを有し、該攪拌体をその軸方向に沿って振動自在に構成し、前記導管を軸方向に沿って複数の混合室に区分し、前記導管を鉛直方向に延長するように配置すると共に、前記導管の下端部にシール材組成物を供給するための供給管と気体を供給するための供給管とを接続し、前記導管の上部にはシール材を排出するための排出口を設けた振動式攪拌機を用いたシール材の製造方法であって、
    前記導管内に粘度1万〜1000万cPのシール材組成物と気体とを供給すると共に、前記攪拌体をその軸方向に沿って振動させることにより、前記シール材組成物に多数の独立気泡を均一に分散させてシール材を得るようにしたシール材の製造方法。
  2. 前記独立気泡の平均径が1mm以下である請求項に記載のシール材の製造方法。
  3. 前記独立気泡の混入量が1〜30体積%である請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のシール材の製造方法。
  4. 前記シール材組成物が、シリコーン系シール材組成物、ポリサルファイド系シール材組成物、ウレタン系シール材組成物、変成シリコーン系シール材組成物、ポリイソブチレン系シール材組成物から選ばれた1種である請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のシール材の製造方法。
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