JP3825911B2 - 粘性体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、粘性体の製造方法に係わり、更に詳しくは湿気硬化型一液性シーリング材等の粘性体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シーリング材の製造方法としては、一定量毎(所謂バッチ単位)にシーリング材を製造する回分方式が知られているが、この回分方式は、移動式混合容器に液体成分(例えば、ウレタンプレポリマーや変性シリコン等)に、補強・充填材である粉体成分(例えば、クレー,タルク,炭酸カルシュウム等)を供給し、常圧下において粉体成分を供給して所定の粘度に混合し、また、混合後は、移動式容器を外して次工程へ移動して充填ラインへと供給していた。
【0003】
ここで使用される混合機としては、1軸式,2軸式(偏芯,プラネタリー,ディスパー翼),3軸式,4軸式と各製品の粘度、分散度合い、並びに製品の要求特性により選択されているのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上記の回分方式における製造方法の場合には、以下のような種々の問題を挙げることが出来る。
▲1▼.混合・分散工程における攪拌は常圧下で行われるため、翼形状、及びその周速度により混合サイクルが決まり時間の短縮を図ることが出来ない。
【0005】
▲2▼.混合工程から混合容器を次工程へ移動することにより、
(a).特に湿気硬化型の速硬化の製品においては、移動ならびに次工程の段取りのための時間で大気中に晒されているため、品質上の問題を引き起こす。
(b).次工程への供給時には、一般に加圧板にて、若しくはポンプ等を使用して材料を押出すが各工程間での残量が出ることにより良品率が下がる。
(c).作業工数が上がる。
(d).混合容器、及びミキサー翼等の材料接触部の洗浄作業が発生する。
【0006】
▲3▼.他のシーリング材の製造方法として、ニーダー,2軸混合機、また他の連続混合機による連続製造方法が知られているが、大量生産向けで品種切替え等の切替え作業には、多大な工数がかかり難しい。
【0007】
この発明の目的は、加圧下で、かつ減圧状態の密閉ケーシング内で原料を混合するので、未分散部分が少なく、短時間に混合でき、従って作業時間の短縮化を図ることが出来ると共に、次工程への段取り作業等の工数削減も図ることができ、回分方式でありながら連続生産も可能で、品種切替え時においても洗浄作業を伴うことなく、連続的に製造することが出来る粘性体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、湿気硬化型のシーリング材を製造する際、予め減圧し、かつ脱気した加圧混合可能な混合機のケーシング内に、低圧真空下で減圧した粉体成分を粉体計量タンク内から供給すると共に、送液ポンプにより定量の液体成分を供給して混合・分散を行い、その後、前記混合・分散させた材料に、少なくとも一種類以上の粉体小原料と液体小原料とをそれぞれ供給する際、粉体小原料を収容した粉体小原料ホッパ内の空気と、液体小原料を収容した液体小原料供給タンク内の空気とをそれぞれ窒素ガスにより置換した後に投入し、この状態で前記減圧された混合機のケーシング内で加圧混合を行って最終製品の粘度調整を行うことを要旨とするものである。
【0009】
ここで、前記混合機のケーシングを密閉状態のもとに、硬化剤を添加混合し、色付けを除く最終製品として混合・分散し、次工程の充填ラインへ加圧押出しながら移送して粘性体を排出し、連続的に次のサイクルの混合を行い、更に製造工程中の品種切替え時に、共通可能な主原料材毎にケーシングに接続した配管から次工程のストレージへと供給し、洗浄作業を行うことなく連続的に生産を行うものである。
【0010】
この発明は、上記のように構成され、粘性体を製造する場合に、縦型ケーシング、もしくは横型ケーシングにて加圧混合により容積を可変でき、また攪拌翼を横型ケーシングの場合には前後進でき、縦型ケーシングの場合には回転しながら昇降できるような加圧混合可能な混合機を用いて行うものである。
【0011】
また、上記混合機には、粉体成分の供給用には減圧可能(5Torr前後の低真空域)な計量ホッパ,及び供給装置を連結し、またポリマーや可塑材等の液体成分についてはポンプにて計量器を介して定量供給する。この場合、規定混合比率以下で、かつ粉体成分を液体成分よりも多く投入し、ケーシングを減圧させた状態で加圧混合を所定時間行って混合・分散を行うものである。
【0012】
更に添加材等の粉体小原料については、供給ホッパを設けると共に、窒素置換にてホッパー内の空気を追い出し混合機に供給可能に接続すると共に、液体小原料については、同方法、またはポンプ及び計量計を介して定量供給するように接続する。
【0013】
また、混合後の粘性体の材料については、次工程のストレージタンク並びに供給配管を設けて各品種毎に別ラインにて供給可能とする。
【0014】
以上のように、従来のような移動式の混合容器を使用しないことにより、次工程への段取り作業等の工数を削減することができ、また常圧下の混合容器内では粉体供給後の工程にて未混合・未分散部分が発生し、その部分の掻き取り作業が発生するが、この発明においては、1MPa以下の加圧下で、かつ密閉容器内で混合するため未分散部分が無く、かつ混合作業時間も従来に比較して約1/2以下で行うことが出来るものである。
【0015】
更に、空気中の水分を吸って硬化する湿気硬化型のシーリング材においては、減圧下にて、若しくは窒素加圧にて供給混合することにより、回分方式でありながら連続的に生産でき、品種切替えにおいても洗浄を伴うことなく作業を行うことが可能となる。更に良品率については極限を、また工数についても削減することが可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
図1は、この発明を実施した粘性体W(この実施形態では、シーリング材)の製造工程を示す概略構成図を示し、この実施形態における混合機1は、一般にプレスミキサーと呼称される混合機で、減圧(1MPa以下)した状態で加圧混合により容積を可変にできるもので、混合された粘性体は、混合機1に接続された複数本の供給配管2を介して密閉容器3や、次工程の図示しないストレージタンクに供給可能となっている。
【0017】
この発明の実施形態では、混合機1として横型ケーシングを使用し、加圧混合により容積を可変すると共に、攪拌翼は前後進できるものを使用しているが、この実施形態に限らず、縦型ケーシングを使用して、加圧混合により容積を可変にすると共に、攪拌翼は回転しながら昇降できるような混合機を使用することも可能である。
【0018】
前記減圧下で、加圧混合可能な混合機1のケーシング1aには、粉体成分(例えば、クレー,タルク,炭酸カルシュウム等)の供給ライン4と、液体成分(例えば、ウレタンプレポリマーや変性シリコン等)の供給ライン5と、複数の粉体小原料供給ライン6及び複数の液体小原料供給ライン7とが接続されている。
【0019】
前記粉体成分の供給ライン4は、粉体原料Wを収容した粉体計量タンク8の下部排出口8aに定量フィーダー9,供給配管10及び定量スクリューフィーダー11を介して混合機1のケーシング1aに接続され、前記粉体計量タンク8及びケーシング1aには、減圧用のポンプP1,P2が接続されている。また粉体計量タンク8は、粉体供給用に減圧(5Torr前後の低真空域)可能である。
【0020】
そして、粉体計量タンク8内の粉体原料Wは、減圧すると共に脱気した状態のケーシング1a内へ所定量供給される。
【0021】
また、液体成分の供給ライン5は、数種類の液体原料Q(ポリマーや可塑材等)を収容したそれぞれの供給タンク12と混合機1のケーシング1aとを結ぶ供給配管13に、送液ポンプ14と流量計15とをそれぞれ配設し、上記と同様にケーシング1a内へ送液ポンプ14の圧力により液体原料Qが供給される。
【0022】
更に、前記混合機1のケーシング1aに接続される複数の粉体小原料供給ライン6は、供給配管16に粉体小原料ホッパ17を設け、窒素置換装置18から送り込む窒素(N2 )により粉体小原料ホッパ17内の空気を置換した後、ケーシング1a内へ吸引可能とするものである。
【0023】
また、複数の液体小原料供給ライン7は、上記粉体小原料と同様にケーシング1a内へ吸引可能としたライン化または供給配管19に液体小原料供給タンク20を設け、窒素置換装置21から送り込む窒素(N2 )により液体小原料供給タンク20内の空気を置換した後、送液ポンプ22及び流量計23を介してケーシング1a内へ送り込むようにしている。
【0024】
粘性体Wの製造工程は、以上のように構成され、次に、粘性体の製造方法について説明する。
【0025】
まず、混合機1のケーシング1a内を減圧させた状態で、粉体成分Wと液体成分Qとを規定混合比率以下で、かつ粉体成分Wを液体成分Qよりも多く投入する。一般に粉体成分Wと液体成分Qとの規定混合比率は、 100:70で、この発明の実施形態では、混合機1のケーシング1a内に、最初に投入する粉体成分Wと液体成分Qとの比率は、 100:40に設定する。
【0026】
そして、前記ケーシング1aを加圧させた状態(1MPa以下の加圧下)で加圧混合を所定時間行って混合・分散を行い、その後、液体成分Qの残量を供給し、加圧混合を行うと共にケーシング1a内に、少なくとも一種類以上の粉体小原料Waと液体小原料Qaとを規定比率まで投入しながら加圧混合を行って最終製品の粘度調整を行うことにより粘性体を製造する。
【0027】
即ち、混合機1のケーシング1aを密閉状態のもとに、硬化剤を添加混合し、色付けを除く最終製品として混合・分散し、次工程の充填ラインへ加圧押出しながら移送して粘性体を排出し、連続的に次のサイクルの混合を行う。
【0028】
また、湿気硬化型のシーリング材を製造する場合には、減圧し、かつ脱気した加圧混合可能な混合機1のケーシング1a内に、粉体計量タンク8内を低圧真空下(5Torr前後)で減圧して粉体成分Wを供給すると共に、液体成分Qは送液ポンプ14により流量計15を介して定量供給しながら混合・分散を行い、その後、小原料添加物の供給は、上記と同様に窒素ガスにより空気を置換した後、前記混合機1のケーシング1aを減圧して供給し、加圧混合を行って最終製品の最終粘度調整を行うことにより粘性体を製造する。
【0029】
以上のような方法により粘性体を製造することにより、製造工程中の品種切替え時に、共通可能な主原料材毎にケーシングに接続した配管から次工程のストレージへと供給し、洗浄作業を行うことなく連続的に生産を行うことが可能となるものである。
【0030】
【発明の効果】
この発明は上記のように構成したので、以下のような優れた効果を奏するものである。
(1).従来のような移動式の混合容器を使用しないことにより、次工程への段取り作業等の工数を削減することができる。
(2).常圧下の混合容器内では粉体供給後の工程にて未混合・未分散部分が発生し、その部分の掻き取り作業が発生するが、この発明においては、1MPa以下に減圧したケーシングで、かつ密閉容器内で加圧混合するため未分散部分が無く、かつ混合作業時間も従来に比較して約1/2以下で行うことが出来る。
(3).空気中の水分を吸って硬化する湿気硬化型のシーリング材においては、粉体小原料と液体小原料とをそれぞれ供給する際、粉体小原料ホッパ内の空気及び液体小原料供給タンク内の空気を窒素ガスにより置換した後に投入し、この状態で加圧混合を行って最終製品の粘度調整を行うので、シーリング材が硬化することなく、回分方式でありながら連続的に生産できる。
(4).種切替えにおいても洗浄を伴うことなく作業を行うことが可能となる。
(5).良品率については極限を、また工数についても削減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施した粘性体の製造工程を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 混合機 1a ケーシング
2 供給配管 3 密閉容器
4 粉体成分の供給ライン 5 液体成分の供給ライン
6 粉体小原料供給ライン 7 液体小原料供給ライン
8 粉体計量タンク 8a 下部排出口
9 定量フィーダー 10 供給配管
11 定量スクリューフィーダー 12 供給タンク
13 供給配管 14 送液ポンプ
15 流量計 16 供給配管
17 粉体小原料ホッパ 18 窒素置換装置
19 供給配管 20 液体小原料供給タンク
21 窒素置換装置 22 送液ポンプ
23 流量計 W 粉体原料
Q 液体原料 P1,P2 減圧用のポンプ

Claims (3)

  1. 湿気硬化型のシーリング材を製造する際、予め減圧し、かつ脱気した加圧混合可能な混合機のケーシング内に、低圧真空下で減圧した粉体成分を粉体計量タンク内から供給すると共に、送液ポンプにより定量の液体成分を供給して混合・分散を行い、その後、前記混合・分散させた材料に、少なくとも一種類以上の粉体小原料と液体小原料とをそれぞれ供給する際、粉体小原料を収容した粉体小原料ホッパ内の空気と、液体小原料を収容した液体小原料供給タンク内の空気とをそれぞれ窒素ガスにより置換した後に投入し、この状態で前記減圧された混合機のケーシング内で加圧混合を行って最終製品の粘度調整を行うことを特徴とする粘性体の製造方法。
  2. 前記混合機のケーシングを密閉状態のもとに、硬化剤を添加混合し、色付けを除く最終製品として混合・分散し、次工程の充填ラインへ加圧押出しながら移送して粘性体を排出し、連続的に次のサイクルの混合を行う請求項1に記載の粘性体の製造方法。
  3. 製造工程中の品種切替え時に、共通可能な主原料材毎にケーシングに接続した配管から次工程のストレージへと供給し、洗浄作業を行うことなく連続的に生産を行う請求項1または2に記載の粘性体の製造方法。
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