JP4001606B2 - 樹脂充填型キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される樹脂充填型キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤に関し、詳しくは真密度が軽くなり長寿命化され、帯電量等の制御が容易で、高強度、かつ熱や衝撃による割れ、変形、溶融の少ない樹脂充填型キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうちで、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは自重が重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナーの融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい等耐久性に劣る。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、特許文献1(特開昭59−48774号公報)に記載のように鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライト芯材を用い、表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
しかしながら、最近、オフィスのネットワーク化が進み、単機能の複写機から複合機の時代に進化し、サービス体制も、契約したサービスマンが定期的にメンテナンスを行って現像剤等を交換するようなシステムから、メンテナンスフリーの時代へシフトしてきており、市場からは、現像剤の長寿命化に対する要求が一層高まってきている。
また、オフィスではフルカラー画像が認知され、高画質の要求が高まってきており、トナー粒径も、高解像度を得るため小粒径になってきている。
これに対応し、トナーに所望の電荷を素早く帯電させる必要があり、キャリア粒径も、高比表面積を有する小粒径の方向にシフトしてきている。全体に粒度分布を小粒径化した場合、特に、微粉側の粒子が、二成分系現像剤の欠点であるキャリア粒子が感光体へ飛散又は付着する現象が起きやすくなり、白抜け等致命的な画像欠陥を誘発しやすくなる。従って、小粒径キャリアは、粒度分布幅をさらに狭く管理することも要求されてきている。
上記のような問題を解決するために、キャリア粒子の軽量化を図り、現像剤寿命を伸ばすことを目的として、特許文献2(特開平5−40367号公報)等には、微細な磁性粉を樹脂中に分散させた磁性粉分散型キャリアも多く提案されている。
このような磁性粉分散型キャリアは、磁性粉の量を少なくすることにより真密度を下げることができ、攪拌によるストレスを軽減できるため、被膜の削れや剥離を防止することができ、長期にわたって安定した画像特性を得ることができる。
しかしながら、磁性粉分散型キャリアは、バインダー樹脂が磁性粉を覆っているため、キャリア抵抗が高い。そのため、充分な画像濃度を得ることが難しいという問題がある。
また、磁性粉分散型キャリアは、磁性微粒子をバインダー樹脂で固めているものであり、撹拌ストレスや現像機内での衝撃により磁性微粒子が脱離したり、従来用いられてきた鉄粉キャリアやフェライトキャリアに比べ、硬度が低いためか、キャリア自体が割れたりするという問題が発生することがあった。そして、脱離した磁性微粒子や割れたキャリア粒子は感光体に付着し、画像欠陥を引き起こす原因となることがあった。
さらに、磁性粉分散型キャリアは、微細な磁性微粒子を用いるため、残留磁化及び保磁力が高くなり、現像剤の流動性が悪くなるという欠点がある。特にマグネットロール上に磁気ブラシを形成した場合、残留磁化及び保磁力が高いために、流動性が悪く、磁気ブラシの穂が硬くなり、高画質を得にくい。また、マグネットロールを離れても、キャリアの磁気凝集がほぐれず、補給されたトナーとの混合が速やかに行われないため、帯電量の立ち上がりが悪く、トナー飛散やかぶりといった画像欠陥を起こすという問題があった。
さらに、磁性粉分散型キャリアは、粉砕法と重合法の2種類の方法によって作ることができるが、粉砕法は歩留まりが悪く、重合法は製造工程が複雑なため、どちらも製造コストが高いという問題がある。
磁性粉分散型キャリアに代わるものとして多孔性キャリア芯材の空隙部に樹脂を充填した樹脂充填型キャリアが提案されている。例えば特許文献3(特開平11−295933号公報)及び特許文献4(特開平11−295935号公報)には、コア又は硬磁性コアと、コアの細孔に含まれるポリマーと、コアを覆うコーティングとを含むキャリアが記載されている。これらの樹脂充填型キャリアにより、衝撃が少なく、所望の流動性を持ち、摩擦帯電値の範囲が広く、所望の伝導率であり、体積平均粒径が一定範囲にあるキャリアが得られるとされている。
ここで、特許文献3には、コア材として、既知の多孔性コア等の、様々な適当な多孔性固体状コアキャリア物質を用いることができるとされている。特に重要なのは、多孔性であることと所望の流動性をもつことであると記載され、注目すべき性質として、柔磁性と、BET面積で示される多孔度、及び体積平均粒径が挙げられている。
しかし、同特許文献の実施例に記載の様に、BET面積が1600cm/g程度の多孔度では、樹脂を充填させても充分な低比重が得られず、近年、ますます高まる現像剤の長寿命化への要求に応えられるものではなかった。
また、BET面積の測定原理は、特定の気体の物理吸着及び化学吸着を測定するものであり、芯材の多孔度とは相関しないものである。つまり、孔がほとんど存在しない芯材であっても、その粒径、粒度分布及び表面材質等によってBET面積が変わることは一般的であり、そのようにして測定されたBET面積で多孔度をコントロールしても、樹脂が充分に充填できる芯材であるとは言えない。BET面積の数値は高いが、多孔性でない芯材、もしくは多孔性が充分でない芯材に多量の樹脂を充填しようとすると、充填しきれなかった樹脂が、芯材と密着せずに単独で存在し、キャリア中で浮遊したり、粒子間の凝集が多量発生し、流動性が悪くなったり、実使用期間中に凝集が解れた際に、帯電特性が大きく変動する等して、安定した特性を得ることが困難である。
さらには、ただ単純にBET面積で表現される多孔性をコントロールするだけでは、樹脂充填後のキャリアにおける比重や機械的強度を精度良く制御することは困難であることは言うまでもない。
また、実施例で用いられているスポンジ鉄粉は、樹脂を充填しても充分な軽量化が図れず、所望とする長寿命化には到底及ばないものであった。
加えて、同特許文献には、多孔性コアを用い、そこに充填する樹脂とさらにその表面を被覆する樹脂の総含有量がキャリアの約0.5〜約10重量%であることが好ましいとされている。さらに同特許文献の実施例では、それらの樹脂は、キャリアに対して高々5重量%である。このような少量の樹脂では、所望とする低比重を実現することはできず、従来から使用されてきた樹脂被覆キャリアと何ら変わらず、同様な性能しか得ることができない。
さらに、実施例で用いられているCuZnフェライトは重金属を多量に含み、たとえ現像剤の寿命が延びたとしても、いずれは廃棄することとなり、近年の環境負荷低減の流れに沿うものでなかった。
また、特許文献4に記載されている様な、硬磁性のコアを用いた場合、残留磁化及び保磁力が高いために、現像剤の流動性が悪くなるという欠点がある。特にマグネットロール上に磁気ブラシを形成した場合、残留磁化及び保磁力が高いために、流動性が悪く、磁気ブラシの穂が硬くなり、高画質を得にくい。また、マグネットロールを離れても、キャリアの磁気凝集がほぐれず、補給されたトナーとの混合が速やかに行われないため、帯電量の立ち上がりが悪く、トナー飛散やかぶりといった画像欠陥を起こすという問題があった。
また、特許文献5(特開昭54−78137号公報)には、実質的に無孔質のものよりも嵩比重の小さい多孔質又は表面粗度の大きな磁性粒子の孔及び表面のへこみ部分に電気絶縁性樹脂の微粉末を充填した静電像現像剤用キャリアが記載されており、このキャリアによって、キャリア表面へのトナー蓄積が少なく、変化する温湿度条件下で粉体特性及び摩擦帯電特性の変化が少なく、また経時において画像濃度が一定で画像濃度の低下を起こさない等の利点を有する現像剤が得られるとされている。
しかし、微粉末を多孔質又は表面粗度の大きな磁性粒子の孔に充填する場合、同特許文献の実施例に記載されているような鉄粉を用いれば、比較的充填されやすいが、フェライト芯材の空隙の様に、非常に微細な空隙にこのような微粉末を充填することは困難であった。
また、微粉末を溶媒中に分散させたものを充填しようとした場合、上述したように、芯材が鉄粉の場合は比較的均一に充填することが可能であるが、フェライト芯材を用いた場合、溶媒のみが芯材の空隙に染み込み、分散されている微粉末は芯材表面に存在することとなる。これは、現像機内での機械的ストレスを受けることにより、容易に脱離し、帯電特性や抵抗特性が著しく変化してしまうという欠点を持っている。
また、同特許文献の実施例に記載されているような、例えば酸化鉄粉(商品名TEFV、日本鉄粉製)は、表面が粗く凹凸が存在するが、後述する本発明の様な多孔性を持つものではなく、鉄粉であることもあり、充分な低比重化が図れるものではなかった。
特開昭59−48774号公報 特開平5−40367号公報 特開平11−295933号公報 特開平11−295935号公報 特開昭54−78137号公報
上述のように、特許文献3〜5に記載されているようなキャリアにおいても、画像濃度を充分に確保でき、長期にわたってキャリア付着がなく、高品位な画質を維持できるという要望を充分に満足するものではなかった。
従って、本発明の目的は、トナーと混合して電子写真現像剤として用いられ、画像濃度を充分に確保でき、長期にわたってキャリア付着がなく、高品位な画質を維持できる樹脂充填型キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、長期にわたってキャリア付着がなく、高品位な画質を維持するためには、第1にキャリア芯材の空隙率を一定とし、かつ空隙への樹脂充填量を特定範囲とすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、空隙率が10〜60%であるフェライト芯材に、樹脂を6〜30重量%充填してなる樹脂充填型キャリアを提供するものである。
上記樹脂充填型キャリアにおいて、上記フェライト芯材は、真密度が3.0〜5.5g/cmであることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアにおいて、上記フェライト芯材は、見掛け密度が0.7〜2.5g/cmであることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアにおいて、上記フェライト芯材は、平均粒径が15〜80μmであることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアにおいて、上記フェライト芯材は、抵抗が10〜1012Ωであることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアにおいて、上記フェライト芯材は、Mn、Mg、Ca、Sr、Li、Ti、Al、Si、Zr、Biから選ばれる少なくとも1種を含むフェライトであることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアにおいて、上記フェライト芯材は、残留磁化が15emu/g(A・m/kg)以下であることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアにおいて、上記フェライト芯材は、その焼結一次粒子径が0.2〜10μmであることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアにおいて、上記フェライト芯材は、焼結一次粒子径に対する体積平均粒径の比(体積平均粒径/焼結一次粒子径)が5〜200であることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアは、空隙率が1〜50%であることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアは、芯材面積率に対する樹脂充填面積率の比(樹脂充填面積率/芯材面積率)が0.20〜0.80であることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアは、樹脂充填後の真密度が2.50〜4.50g/cmであることが好ましい。
上記樹脂充填型キャリアは、芯材の真密度に対する樹脂充填後の真密度比(樹脂充填後の真密度/芯材の真密度)が0.50〜0.90であることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアは、平均粒径が15〜80μmであることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアは、磁化が20〜90emu/g(A・m/kg)であることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアは、電気抵抗が10〜1015Ωであることが望ましい。
上記樹脂充填型キャリアは、樹脂被覆されていることが望ましい。
樹脂が被覆されている上記樹脂充填型キャリアは、表面被覆厚さが0.01〜7μmであることが望ましい。
また、本発明は、樹脂充填型キャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
上記電子写真現像剤において、上記樹脂充填型キャリアの真密度に対する上記トナーの真密度比(トナーの真密度/キャリアの真密度)は1/5〜1/2であることが望ましい。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、樹脂を充填しているため真密度が軽くなり長寿命が達成でき、流動性に優れ、また充填する樹脂の選択により、帯電量等の制御が容易にできる。しかも、磁性粉分散型キャリアに比して高強度であり、しかも熱や衝撃による割れ、変形、溶融がない。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材>
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、その空隙率が10〜60%、望ましくは15〜55%、さらに望ましくは20〜55%である。空隙率が10%未満であると空隙が少なすぎ、樹脂を充填しても低比重化が図れない。空隙率が60%を超えると、空隙が多すぎるため、樹脂を充填しても強度が高められず、実使用中にキャリアが破壊される恐れがある。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、その連続空隙度が望ましくは1.8〜4.0、さらに望ましくは1.8〜3.5、さらに望ましくは2.0〜3.0である。連続空隙度が1.8未満では、表面から連続する空隙が少なく、樹脂の充填が困難となり、低比重化が図りにくく、連続空隙度が4.0を超えると、表面から連続する空隙に樹脂を充填する際に、多量の樹脂が必要となり、生産性、コストの点で好ましくない。
このように、フェライトには、表面から連続する空隙に加え、内部に独立して存在する空隙があり、それらの両方が比重並びに機械的強度に大きな影響を与えているため、単純にBET面積のみを制御しただけでは、所望とする低比重を実現しつつ、機械的強度に優れ、長期に渡って高品位な画質を維持できるようなキャリアを得ることはできない。以上の点からも、本発明で開示している「空隙率」及び「連続空隙度」が非常に重要である。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、その真密度が望ましくは3.0〜5.5g/cm、さらに望ましくは4.0〜5.5g/cmである。真密度が3.0g/cm未満では、樹脂充填後のキャリアの真密度が下がりすぎ、帯電速度が低下したり、1粒子当たりの磁化が下がりすぎ、キャリア付着の原因となる。真密度が5.5g/cmを超えると、樹脂を充填しても、所望の真密度が得られず、長寿命化が図れない。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、その見掛け密度が望ましくは0.7〜2.5g/cm、さらに望ましくは0.9〜2.3g/cm、最も望ましくは1.2〜2.0g/cmである。見掛け密度が0.7g/cm未満では、形状が悪いためか、強度が低くなりキャリアが破壊されやすくなる。見掛け密度が2.5g/cmを超えると、樹脂を充填しても、長寿命化が図りにくい。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、その平均粒径が望ましくは15〜80μm、さらに望ましくは20〜60μm、最も望ましくは20〜40μmである。平均粒径が15μm未満では、キャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。平均粒径が80μmを超えると、画質が劣化しやすくなり、好ましくない。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、その抵抗が望ましくは10〜1012Ω、さらに望ましくは10〜1011Ω、最も望ましくは10〜1010Ωである。抵抗が10未満では、樹脂を充填しても、電荷リークが発生しやすく、白斑等の画像欠陥が発生するため好ましくない。抵抗が1012Ωを超えると、樹脂を充填した際に、抵抗が高くなりすぎるため、画像濃度が得にくくなり好ましくない。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、その磁化が望ましくは20〜90emu/g(A・m/kg)、さらに望ましくは25〜75emu/g(A・m/kg)、最も望ましくは30〜70emu/g(A・m/kg)である。磁化が20emu/g(A・m/kg)未満では、キャリア付着を誘発しやすくなり、90emu/g(A・m/kg)を超えると、磁気ブラシの穂が高くなり、高画質を得にくく好ましくない。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、一般式(MO)(Fe(ここでyは30〜95mol%)で示されるものがさらに好ましい。ここでMはFe、Mn、Mg、Sr、Ca、Ti、Cu、Zn、Ni、Li、Al、Si、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が好ましく用いられる。
ここで、MをFeとした場合は、鉄フェライト、すなわちマグネタイトを意味している。マグネタイトに比べて、フェライトは高次の酸化物であり、ストレスによって特性が変化しにくい。また、低比重化が図りやすい。Feが30mol%未満であると、所望の磁化を得ることが困難であり、キャリア付着が生じやすい。特に特定の金属酸化物を原料としたフェライトは、粒子間の組成ばらつきが少なく、所望の特性を得やすい。また、上述の元素を用いた場合、他の元素に比べて、理由は明確ではないが、樹脂を充填しやすい。
また、近年の廃棄物規制を始めとする環境負荷低減の流れを考慮すると、Cu、Zn、Niの重金属を実質的に含まないことが好ましい。
上述の理由から、MはMn、Mg、Sr、Ca、Ti、Li、Al、Si、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Mn、Mg、Sr、Ca、Li、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、その焼結一次粒子径が望ましくは0.2〜10μm、さらに望ましくは0.2〜7μm、最も望ましくは0.2〜5μmである。焼結一次粒子径が0.2μm未満では、芯材の焼結性が低すぎるため、使用中にキャリアが破壊されたり、その一部が脱離しやすい。焼結一次粒子径が10μmを超えると、焼結性が高すぎるため、樹脂を充填しにくくなり、充填した樹脂が不均一になったり、所望の充填量を充填できないため、所望の強度や低比重を得にくくなる。
本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材は、焼結一次粒子径に対する体積平均粒径比(体積平均粒径/焼結一次粒子径)が5〜200であることが望ましく、さらに望ましくは8〜150、最も望ましくは10〜150である。上記比が200を超えると、グレインサイズが小さく、使用中にその一部が脱離しやすい。上記比が5より小さいと、焼結性が高すぎるため、樹脂を充填しにくくなり、充填した樹脂が不均一になったり、所望の充填量を充填できないため、所望の強度や低比重を得にくくなる。
<本発明に係る樹脂充填型キャリア>
本発明に係る樹脂充填型キャリアの樹脂充填量は、6〜30重量%、望ましくは8〜25重量%、さらに望ましくは10〜25重量%である。樹脂充填量が重量%未満では、所望の低比重化が図りにくく、長寿命化に対する効果が得にくい。樹脂充填量が30重量%を超えると、キャリアの抵抗が高くなりすぎるため、画像濃度が得にくく、また場合によっては充填及び表面被覆される樹脂以外に、遊離した樹脂が発生し、画像欠陥を引き起こしやすくなる。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、空隙率、すなわち樹脂が充填されず、空隙として存在している部分は、望ましくは1〜50%、さらに望ましくは1.5〜40%、最も望ましくは1.5〜30%である。樹脂を充分に充填しても空隙は1%以上存在する。また、表面近傍に樹脂を充填し、内部にはできるだけ空隙を残すことによって、キャリアを極度に高抵抗化することなく、低比重を得やすくなる。しかし、空隙率が50%を超えて残存していると、キャリアの強度が低下しやすく、使用中にキャリアが破壊されやすい。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、芯材面積率に対する樹脂充填面積率(樹脂充填面積率/芯材面積率)の比が0.20〜0.80であることが望ましく、さらに望ましくは0.30〜0.75、最も望ましくは0.40〜0.70である。上記比が0.20未満では、芯材に対する樹脂充填部分が少なすぎ、キャリアの機械的強度が低下する傾向にある。上記比が0.80を超えると、電荷の蓄積が助長されやすく、使用期間中に過度な帯電上昇が発生し、安定した画像品質を長期に渡って得にくくなる。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、樹脂充填後の真密度が2.50〜4.50g/cmであることが好ましい。真密度が2.50g/cm未満であると、低比重すぎるためか、帯電速度が低下しすぎることがある。真密度が4.50g/cmを超えると、低比重化の効果が得られず、長寿命化が達成できないことがある。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、芯材の真密度に対する樹脂充填後の真密度比(樹脂充填後の真密度/芯材の真密度)が0.50〜0.90であることが望ましく、さらに望ましくは0.65〜0.90、最も望ましくは0.70〜0.85である。上記真密度比が0.50未満では、1粒子の持つ磁化が低下しすぎてしまい、キャリア付着を発生しやすくなり、またトナーとの混合性が悪く、帯電速度が低下するためにトナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。0.90を超えると樹脂充填効果が見られず、長寿命化が図りにくい。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、その平均粒径が望ましくは15〜80μm、さらに望ましくは20〜60μm、最も望ましくは20〜40μmである。平均粒径が15μm未満では、キャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。また、平均粒径が80μmを超えると、画質が劣化しやすく好ましくない。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、その磁化が望ましくは20〜90emu/g(A・m/kg)、さらに望ましくは25〜75emu/g(A・m/kg)、最も望ましくは30〜70emu/g(A・m/kg)である。磁化が20emu/g(A・m/kg)未満では、キャリア付着を誘発しやすくなり、90emu/g(A・m/kg)を超えると、磁気ブラシの穂が高くなり、高画質を得にくく好ましくない。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、その電気抵抗が望ましくは10〜1015Ω、さらに望ましくは10〜1014Ω、最も望ましくは10〜1013Ωである。電気抵抗が10未満では、電荷リークが発生しやすく、白斑等の画像欠陥が発生するため好ましくない。電気抵抗が1015Ωを超えると、画像濃度が得にくくなり好ましくない。
本発明に係る樹脂充填型キャリアに用いられる樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。充填樹脂は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。具体的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂等が挙げられる。
また、上記充填樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは樹脂充填によって電気抵抗が比較的高くなった場合、帯電能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
また、樹脂充填型キャリアの抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、充填する樹脂中に導電性剤を添加することができる。導電性剤はそれ自身の持つ抵抗が低抵抗であるため、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こすため、添加量としては、充填樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電性剤としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、耐久性を上げ、安定した画像特性を長期に渡って得ることを目的として、上記樹脂充填後のキャリアの表面に、さらに樹脂被覆を施すことが好ましい。被覆樹脂としては、一般的な樹脂がすべて適用できる。
このような被覆樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、上記充填樹脂と同種の樹脂、もしくは充填する樹脂と濡れ易い樹脂、あるいは充填する樹脂と化学結合を有することができる樹脂が好ましく、トナーの融着を防ぐためには低表面エネルギー樹脂であることがより好ましい。低表面エネルギー樹脂の例としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂及びそれらを含有する樹脂が挙げられる。
被覆樹脂の表面被覆厚さは、望ましくは0.01〜7μm、さらに望ましくは0.05〜5μm、最も望ましくは0.1〜3.5μmである。表面被覆厚さが0.01μm未満では、表面に露出した芯材から電荷がリークしやすく、画像欠陥を発生させやすくなる。表面被覆厚さが7μmを超えると、キャリアが高抵抗になりやすく、また電荷を蓄積しやすく、さらにはキャリアの流動性が悪くなるため、所望の高画質が得にくくなる。
この樹脂の被覆量は、樹脂充填後のキャリアに対して0.01〜10.0重量%が好ましく、0.3〜7.0重量%がさらに好ましい。最も好ましくは0.5〜5.0重量%である。被覆量が0.01重量%未満ではキャリア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、また10.0重量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
また、上記被覆樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被覆によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
また、上記被覆樹脂中には、導電性剤を添加することができる。これは被覆によって樹脂のコーティング量が比較的多くなるように制御した場合、絶対的な抵抗が高くなりすぎて現像能力が低下することがあるためである。しかし導電性剤はそれ自身の持つ抵抗が被覆樹脂や芯材としてのフェライトに比べ低抵抗であるため、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こすため、添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電性微粒子としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
<測定方法>
本発明に係る上記樹脂充填型キャリア用フェライト芯材及び上記樹脂充填型キャリアの各特性の測定方法を下記に示す。
(空隙率)
樹脂充填キャリア芯材の空隙率は、キャリア芯材の断面を金属顕微鏡、走査型電子顕微鏡等で撮影した後、得られた画像を画像解析ソフト(Image−Pro Plus、Media Cybernetics社製)を用いて解析した。具体的には、芯材粒子の表面の凹凸を包絡する線で結んだ粒子面積(A)を測定し、次いで、その粒子画像に含まれる芯材部分の面積(B)を測定する。ここで、下記式を用いて、空隙率を計算した。
空隙率(%)=(包絡粒子面積(A)−芯材面積(B))/包絡粒子面積(A)×100
この式によって計算される空隙率は、芯材表面から連続する空隙と、芯材内部に独立して存在する空隙をあわせた空隙率となる。
(真密度)
キャリア芯材及び充填後のキャリア粒子の真密度は、JIS R9301−2−1に準拠して、ピクノメーターを用いて測定した。
(連続空隙度)
連続空隙度は、粒子表面から連続する空隙の量を意味し、シリコーンオイルを用いて測定された吸油量を連続空隙度とした。具体的には、フェライト芯材(粉体)10gをガラス板上に秤量し、粘度が約100csの直鎖型メチル系シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−96−100cs)を少量ずつ、試料の中央に滴下し、その都度全体をヘラで、充分に練り合わせる。滴下及び練り合わせの操作を繰り返し、粉全体が1体化、つまりペレット化した時の添加量を連続空隙度とした。この値が大きい程、そのフェライト芯材は樹脂を多く含浸する能力があることを示している。試料10gに対する滴下量(g)を、その試料の吸油量、すなわち連続空隙度とした。
(芯材面積率、樹脂充填面積率及び樹脂充填後の空隙率)
樹脂を充填したキャリアの断面を金属顕微鏡、走査型電子顕微鏡等で撮影した。得られた画像を、画像解析ソフト(Image−Pro Plus、Media
Cybernetics社製)を用いて粒子だけの像にした後、芯材の部分、空隙の部分、樹脂が充填された部分に分け、それぞれの面積を測定した。各面積は1粒子毎に算出し、50粒子の平均値をそのキャリアの芯材面積、空隙面積、樹脂充填面積とした。ここで、以下の計算式により、各面積率及び樹脂充填後の空隙率を求めた。
芯材面積率(%)=芯材面積/(芯材面積+樹脂充填面積+空隙面積)×100
樹脂充填面積率(%)=樹脂充填面積/(芯材面積+樹脂充填面積+空隙面積)×100
樹脂充填後の空隙率(%)=空隙面積/(芯材面積+樹脂充填面積+空隙面積)×100
(見掛け密度)
この見掛け密度の測定は、JIS−Z2504(金属粉の見掛け密度試験法)に従って測定される。
(平均粒子径)
この平均粒径の測定は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いて測定される。
(磁気特性)
この磁化の測定は、積分型B−HトレーサーBHU−60型(株式会社理研電子製)を使用して測定した。電磁石間に磁場測定用Hコイル及び磁化測定用4πIコイルを入れる。この場合、試料は4πIコイルに入れる。電磁石の電流を変化させ磁場Hを変化させたHコイル及び4πIコイルの出力をそれぞれ積分し、H出力をX軸に、4πIコイルの出力をY軸に、ヒステリシスループを記録紙に描く。ここで測定条件としては、試料充填量:約1g、試料充填セル:内径7mmφ±0.02mm、高さ10mm±0.1、4πIコイル:巻数30回にて測定した。
(形状、表面性及び樹脂充填状態観察)
キャリア粒子の形状及び表面性は、走査型電子顕微鏡(JSM−6100型日本電子株式会社製)を用いて観察を行い確認した。また、樹脂の充填状態は、キャリアの断面写真を上記走査型電子顕微鏡で撮影し、観察を行った。ここで焼結一次粒子径は、上述の電子顕微鏡によって撮影された写真から、代表的な粒子を1つ選択し、その粒子中の最大の焼結一次粒子径と最小の焼結一次粒子径の平均値を計算して求めた。
(帯電特性)
帯電量は、キャリアとトナーとの混合物を用い、吸引式帯電量測定装置(Epping q/m−meter、PES−Laboratoriumu社製)により測定した。トナーはフルカラープリンターに使用されている市販の負極性トナー(シアントナー、富士ゼロックス株式会社製DocuPrintC3530用)を用い、トナー濃度を7重量%に調整して用いた。このトナーの真密度を測定したところ、1.05g/cmであった。
ここで、帯電量はトナーと撹拌後1分の帯電量を初期帯電量とし、撹拌後10分の帯電量を飽和帯電量とした。初期帯電量と飽和帯電量の差が小さいほど帯電速度が速いことを示し、実使用においても、補給されたトナーと速やかに混合される。
また、撹拌36時間後の帯電量を、ストレス後の帯電量とした。これは、長期の撹拌ストレスによって帯電量が変動しないかを確認したもので、初期帯電量及び飽和帯電量の値に近いほど安定した帯電特性であることを示している。
(電気抵抗)
磁極間間隔6.5mmにてN極及びS極を対向させ、非磁性の平行平板電極(10mm×40mm)間に、試料200mgを秤量して挿入する。磁極(表面磁束密度:1500Gauss、対向電極面積:10mm×30mm)を平行平板電極に付けることにより電極間に試料を保持させ、印加電圧100Vの抵抗を絶縁抵抗計にて測定した。
(キャリアの強度)
キャリアの強度はJIS−K1474(活性炭強度試験法)に準じて、以下のように行った。
試料50gと直径5mm及び12mmの鋼球各30個を、試験用皿に入れ、ふるい振とう機にて20分間振とうした。その後、鋼球と試料を分け、試料の平均粒径を測定した。振とう前後の平均粒径を用い、平均粒径の変化率を下記式によって算出し、キャリアの強度とした。この値が小さいものは、機械的ストレスによって、キャリアが破壊されたことを意味し、強度が弱いと言える。
強度(%)=(振とう後平均粒径)/(振とう前平均粒径)×100
(トナー破壊状態)
上述した36時間撹拌後のトナーの形状を走査型電子顕微鏡(JSM−6100型日本電子株式会社製)を用いて観察を行い確認した。
(トナースペント)
36時間撹拌後の現像剤からキャリアを抜き取り、走査型電子顕微鏡(JSM−6100型日本電子株式会社製)で観察すると共に、キャリアの表面に融着したトナー量を測定した。
(飛散量)
軸に直交する方向に100mTのピーク磁束密度をもつ領域を有する円筒スリーブ上に、該キャリア芯材又は樹脂充填キャリアを磁気的に保持し、該ピーク磁束密度を有する磁極領域のみを開口し、該円筒スリーブを10分間回転し、回転軸に直交する方向に重力の3倍の脱離力を付与して、開口部より脱離した量を飛散量とした。飛散量が多いことは、実使用上においてキャリアがマグネットロールから脱離しやすいことを意味し、キャリア飛散によって感光体を傷つけたり、白斑が発生する等の不具合を生じることとなる。飛散量としては、50mg以下であることが好ましく、さらには30mg以下であることが好ましく、10mg以下であることが特に好ましい。
<本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材及び樹脂充填型キャリアの製造方法>
次に、本発明に係る樹脂充填型キャリア用フェライト芯材の製造方法について説明する。
本発明に係るキャリア用フェライト芯材を製造する場合、原材料を適量秤量した後、ボ−ルミルまたは振動ミル等で0.5時間以上、好ましくは1〜20時間粉砕混合する。このようにして得られた粉砕物を加圧成型機等を用いてペレット化した後700〜1200℃の温度で仮焼成する。加圧成型機を使用せずに、粉砕した後、水を加えてスラリー化し、スプレードライヤーを用いて粒状化しても良い。仮焼成後さらにボ−ルミルまたは振動ミル等で粉砕した後、水及び必要に応じ分散剤、バインダー等を添加し、粘度調整後、造粒し、酸素濃度を制御し、1000〜1500℃の温度で1〜24時間保持し、本焼成を行う。仮焼後に粉砕する際は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミル等で粉砕しても良い。
上記のボールミルや振動ミル等の粉砕機は特に限定されないが、原料を効果的かつ均一に分散させるためには、使用するメディアに1mm以下の粒径を持つ微粒なビーズを使用することが好ましい。また使用するビーズの径、組成、粉砕時間を調整することによって、粉砕度合いをコントロールすることができる。
このようにして得られた焼成物を、粉砕し、分級する。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化皮膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300〜700℃で熱処理を行うことができる。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、磁化が低下したり、高抵抗になりすぎたりするため、所望の特性を得にくくなり好ましくない。また、必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行っても良い。
上記のような、樹脂充填型キャリア用フェライト芯材の空隙率や連続空隙度、見掛け密度、真密度をコントロールする方法としては、配合する原料種、原料の粉砕度合い、仮焼の有無、仮焼温度、仮焼時間、スプレードライヤーによる造粒時のバインダー量、水分量、乾燥度合い、焼成方法、焼成温度、焼成時間、解砕方法、水素ガスによる還元等、様々な方法で行うことができる。これらのコントロール方法は特に限定されるものではないが、その一例を以下に示す。
すなわち、配合する原料種として、水酸化物や炭酸化物を用いた方が、酸化物を用いた場合に比べて、空隙率及び連続空隙度が高くなりやすい。また、原料として重金属であるCu、Ni、Znの酸化物に比べて、Mn、Mg、Ca、Sr、Li、Ti、Al、Si、Zr、Bi等の酸化物を使用した方が、真密度や見掛け密度が低くなりやすい。
また、仮焼成を行わない方が空隙率、連続空隙度が高く、見掛け密度は低くなり、仮焼成を行った場合でも、その温度が低い方が空隙率、連続空隙度が高く、見掛け密度は低くなりやすい。
スプレードライヤーによる造粒においては、原料をスラリー化する際の水分量を多くした方が、空隙が多くなり、空隙率、連続空隙度が高く、見掛け密度が低くなりやすく、焼成時には温度を低くした方が、空隙率、連続空隙度が高く、見掛け密度が低くなりやすい。
所望の空隙率、連続空隙度、真密度、見掛け密度を得るために、これらのコントロール方法を、単独もしくは組み合わせて使用する方ことができる。また一般に空隙率や連続空隙度が高いものは、真密度や見掛け密度は低くなる傾向にある。
しかし、各コントロール因子が、各特性に与える影響度合いは様々であるため、それらを組み合わせて使用することにより、高空隙率で高見掛け密度、低空隙率で低密度等の特性を持つフェライトからなるキャリア芯材を得ることができる。
特に好ましい形態としては、トナーとの撹拌性、1粒子あたりの磁化、長寿命化の全てを満足させるためには、高空隙率、高連続空隙度、高見掛け密度、低真比重、高流動性という、従来は相反しているために同時に達成できなかった様な特性を合わせ持つキャリア芯材であることが好ましく、前述のような方法を多数組み合わせてコントロールすることで、達成できる。
このようにして得られた樹脂充填キャリア用芯材に、樹脂を充填する方法としては、様々な方法が使用できる。その方法としては、例えば乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機等による液浸乾燥法等が挙げられる。これらの方法は、使用する芯材、樹脂によって適当な方法が選択される。
樹脂を充填させた後、必要に応じて各種の方式によって加熱し、充填した樹脂を芯材に密着させる。加熱方式としては、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。温度は、充填する樹脂によって異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げることにより、衝撃に対して強い樹脂充填型キャリアを得ることができる。
また、上記樹脂充填後のキャリアに、上述したような樹脂をさらに被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
樹脂を樹脂充填後のキャリアに被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明の電子現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子を使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、さらにはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独または混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色剤)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に外添剤を添加する。
さらに、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。さらに、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤の使用量は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼすことから、単量体の分散安定性が確保され、かつ重合トナー粒子の環境依存性に過度の影響を及ぼしにくい上記範囲内の量で使用することが好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
さらに、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素微粒子、アクリル微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
さらに、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しカブリやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15%に設定することが好ましい。3%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
本発明に係る電子写真現像剤では、キャリアの真密度に対するトナーの真密度比(トナーの真密度/キャリアの真密度)は、望ましくは1/5〜1/2、さらに望ましくは1/5〜2/5、最も望ましくは2/9〜1/3である。上記真密度比が1/5未満では、トナーとキャリアの比重差が大きく、キャリアとの攪拌ストレスによってトナーが劣化しやすく、帯電特性が変化しやすく好ましくない。上記真密度比が1/2を超えると、トナーとキャリアの混合性が悪くなり、帯電特性が低下し、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
上記のように混合された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
(実施例1a)
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%及びSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、水と混合した後、湿式のメディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。空隙率ならびに連続空隙度を調整するために、MnO原料としては炭酸マンガンを、MgO原料としては水酸化マグネシウムを用いた。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、仮焼成を行った。次いで、空隙率を高めにしつつ適度な流動性を得るために、1/8インチ径のステンレスビーズを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕したのち、さらに1/16インチ径のステンレスビーズを用いて4時間粉砕した。このスラリーに分散剤を適量添加し、また造粒される粒子の強度を確保し、空隙率ならびに連続空隙度を調整する目的で、バインダーとしてPVAを固形分に対して1重量%添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1100℃、酸素濃度0体積%で4時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、フェライト粒子の芯材を得た。このフェライト粒子の芯材の電子顕微鏡写真を図1に示す。
(実施例1b)
炭酸マンガンの代わりに四酸化三マンガンを用い、添加するバインダーの量を0.8重量%にし、1/16インチ径のステンレスビーズに代えて、0.5mmのジルコニアビーズを用い、電気炉にて、温度1150℃、酸素濃度0.5体積%で4時間保持し、本焼成を行った以外は、実施例1aと同様にして、フェライト粒子の芯材を得た。
(実施例1c)
炭酸マンガンの代わりに二酸化マンガンを用い、添加するバインダーの量を0.5重量%にし、電気炉にて、温度1200℃、酸素濃度1.5体積%で4時間保持し、本焼成を行った以外は、実施例1aと同様にして、フェライト粒子の芯材を得た。
(比較例1a)
特開平11−295933号公報の実施例に記載の、多孔性CuZnフェライト(パウダーテック社製、平均粒径32μm、BET表面積が約1600cm/g)をフェライト芯材とした。具体的には、CuO:20mol%、ZnO:25mol%、Fe:55mol%になるように原料を秤量し、分散剤及びバインダーを適量添加し湿式のメディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、大気中、約1200℃で4時間保持し、BET表面積が約1600cm/gになるように、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに平均粒径が32μmになるように粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、フェライト粒子の芯材を得た。
(比較例1b)
仮焼成温度を1100℃、その後の粉砕時間を12時間、本焼成を1300℃にて6時間、酸素濃度2.5%で行った以外は、実施例1aと同様にしてフェライト粒子の芯材を得た。
(比較例1c)
アルコキシ変成シリコーン(SR−2402、東レ・ダウコーニング株式会社製)100重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン15重量部及びジブチルスズラウリレート4重量部を、体積平均粒子径0.75μmに粒度調整したマグネタイト微粒子300重量部とともに、ニーダーにて混練してペーストを得た。
イオン交換水20重量部にリン酸カルシウム2重量部を分散させ、上記ペースト1重量部を添加し、ホモジナイザーにて2分間攪拌した。攪拌後の懸濁液を80℃で2時間加温した後、25℃にまで冷却し、次いで、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解させ、濾過して、濾物を得た。得られた濾物を乾燥させ、80℃で2時間硬化させた後、解砕して、磁性粉分散型キャリア粒子を得た。
(比較例1d)
MnO:20mol%、Fe:80mol%になるように原料を秤量し、乾式のメディアミルで5時間粉砕して粉砕物を得た。得られた粉砕物を圧縮造粒機により、平均粒径約1mmに成形した。得られた成形物を、950℃で2時間加熱し、仮焼成を行った。次いで、衝撃式粉砕機にて粉砕し、粒度調整を行い、平均粒径約20μmの不定形の粒子を得た。得られた不定形粒子を電気炉にて、温度1300℃、酸素濃度0体積%で4時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、不定形のフェライト粒子の芯材を得た。
(比較例1e)
MnO:10mol%、MgO:39mol%、Fe:50mol%及びSnO:1mol%になるように原料を秤量し、分散剤及びバインダーを適量添加し湿式のメディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、大気中、約1250℃で4時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、粒度調整した。得られた粒子を、バッチ式の還元炉にて、水素を用いて480℃の温度で1時間還元を行い、1時間かけて充分冷却した後、取り出した。その後、還元処理によって凝集した粒子を解し、再度粒度調整を行った後、磁力選鉱により低磁力品を分別し、フェライト粒子の芯材を得た。
(比較例1f)
SrO:14.9mol%、Fe:85.1mol%になるように原料を秤量し、分散剤及びバインダーを適量添加し湿式のメディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、大気中、約1280℃で4時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、粒度調整し、硬磁性フェライト粒子の芯材を得た。
(実施例2a)
縮合架橋型シリコーン樹脂(SR−2411、東レ・ダウコーニング株式会社製)を固形分換算で20重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン2重量部をトルエン1000重量部に溶解させ充填樹脂溶液を得た。実施例1aで得られたフェライト芯材100重量部を、一軸式間接加熱型の乾燥機に入れ、75℃に保持し撹拌ながら、上述の樹脂溶液を滴下した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、撹拌を続けながら200℃まで昇温し、2時間保持した。その後、乾燥機から取り出し、凝集した粒子を解し、粒度調整を行った。その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、樹脂充填型キャリア粒子を得た。
(実施例2b)
シリコーン樹脂の配合量を固形分換算で15重量部とした以外は、実施例2aと同様にして、樹脂充填型キャリア粒子を得た。
(実施例2c)
シリコーン樹脂の配合量を固形分換算で13重量部とした以外は、実施例2aと同様にして、樹脂充填型キャリア粒子を得た。
(実施例2d)
実施例1bで得られたフェライト芯材を用いた以外は、実施例2cと同様にして樹脂充填型キャリア粒子を得た。
(実施例2e)
実施例1cで得られたフェライト芯材を用いた以外は、実施例2cと同様にして樹脂充填型キャリア粒子を得た。
(比較例2a)
熱可塑性アクリル樹脂(BR−52、三菱レイヨン社製)を固形分換算で5.5重量部をトルエン1000重量部に溶解させ充填樹脂溶液を得た。比較例1aで得られたフェライト芯材100重量部を、一軸式間接加熱型の乾燥機に入れ、75℃に保持し撹拌ながら、上述の樹脂溶液を滴下した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、撹拌を続けながら150℃まで昇温し、2時間保持した。その後、乾燥機から取り出し、凝集した粒子を解し、粒度調整を行った。その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、キャリア粒子を得た。
(比較例2b)
アクリル樹脂の配合量を13重量部とし、比較例1bで得られたフェライト芯材を用いた以外は、比較例2aと同様にして、キャリア粒子を得た。
(比較例2c)
比較例1cで得られた磁性粉分散型キャリアをそのまま使用した。
(比較例2d)
比較例1dで得られた不定形フェライト芯材を用いた以外は、比較例2aと同様にして、キャリア粒子を得た。
(比較例2e)
比較例1eで得られたフェライト芯材を用いた以外は、比較例2aと同様にして、キャリア粒子を得た。
(比較例2f)
比較例1fで得られたフェライト芯材を用いた以外は、比較例2aと同様にして、キャリア粒子を得た。
上述の様にして得られたキャリア芯材及び樹脂充填型キャリアを、上記した方法で特性の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2に示した結果から明らかなように、実施例1a〜1cに示したフェライト芯材を用いた樹脂充填型キャリア(実施例2a〜2e)は、低比重でありながら強度が高く、初期帯電量が高く、初期帯電量と飽和帯電量の差が小さく、帯電速度の点で優れている。またストレス後もトナー破壊が生じず、トナースペントも少なく、帯電量も初期とほとんど変化が見られない。さらに、均一に、適度な樹脂充填がされており、充填時の凝集もほとんど見られず、飛散量も非常に少ない結果となっている。
比較例2aで得られたキャリアは、実施例2a〜2eで得られたキャリアに比べて真密度が高く、体積平均粒径からもわかるように、樹脂充填時に凝集が発生している。また、36時間の撹拌により、トナーの破壊が多く観察され、同時にトナースペントも大きいものであった。これにより、初期帯電量及び飽和帯電量とストレス後の帯電量に大きな差が生じ、安定した特性が得られなかった。また、充分な軽量化が図れなかったことと、樹脂充填時に発生した凝集粒子に起因し、飛散量の結果も悪い結果となった。
比較例2bで得られたキャリアは、芯材の連続空隙度が低く、配合した樹脂が充分に芯材に充填されず、遊離した樹脂が多量発生した。また粒子間の凝集も激しかった。そのため、キャリアの断面、真密度、体積平均粒径等の測定ができなかった。また、トナーと混合撹拌した際に、遊離した樹脂の影響で、混合不良が発生し、帯電量等の特性すら測定することができなかった。飛散量が大きいのは、これら遊離した樹脂がマグネットロールに保持できなかったためであると考えられる。
比較例2cの磁性粉分散型キャリアは、強度が低く、流動性が悪い。また初期帯電量と飽和帯電量の差が大きく、帯電速度が非常に遅い。また、36時間の撹拌後には、トナー破壊は見られないものの、トナースペントが多く、キャリアが破壊されたことも影響して、ストレス後の帯電量は非常に低く安定性が悪いものであった。また、キャリアの破壊により発生した磁性粉を含む微粉は、その粒子の持つ磁化が低いために、マグネットロール上に保持できず、飛散量は悪い結果となった。
比較例2d及び比較例2eで得られたキャリアは、BET面積が比較的大きいフェライト芯材を用いているが、空隙率が低く、連続空隙度が低いために、樹脂を保持する能力が充分ではない。そのために、樹脂が充填されず、遊離した樹脂が多量観察された。また粒子の凝集も激しく、初期帯電不良が発生した。また、測定された真密度は、芯材に比べて低くなっているものの、上述のように、実際は遊離した樹脂による影響であり、キャリア自体は軽量化が図れていないために、36時間の撹拌により、トナーの破壊が多く観察され、同時にトナースペントも大きいものであった。これにより、初期帯電量及び飽和帯電量とストレス後の帯電量に大きな差が生じ、安定した特性が得られなかった。また、充分な軽量化が図れなかったことと、遊離した樹脂が多量発生したこと、さらには樹脂充填時に発生した凝集粒子に起因し、飛散量の結果も悪い結果となった。
比較例2fで得られたキャリアは、BET面積が比較的大きいフェライト芯材を用いているが、空隙率が低く、連続空隙度が低いために、樹脂を保持する能力が充分ではない。また、残留磁化が非常に高い硬磁性フェライト芯材を使用しているため、流動性が悪く、流動度並びに見掛け密度は測定できなかった。また、高残留磁化に起因し、磁気凝集が発生しており、流動性が悪く、トナーと混合した際に混合不良を引き起こし、帯電特性の評価ができなかった。また、上述したように、樹脂を充分に保持できず、遊離した樹脂が多量存在するために、飛散量も悪い結果となった。
(実施例3a)
実施例2cで得られた樹脂充填型キャリアの表面に、充填した樹脂と同じシリコーン樹脂をキャリア重量に対して2重量%、流動床コート装置を用いてコーティングを行った。この際、被覆した樹脂中に導電性剤として、導電性カーボンを、被覆樹脂固形分に対して2重量%添加した。被覆した後、220℃で2時間加熱を行い、表面に樹脂被覆を施した樹脂充填型キャリアを得た。
(比較例3a)
比較例2aで得られたキャリアの表面に、比較例2aで用いた樹脂と同じアクリル樹脂を、キャリア重量に対して2重量%、流動床コート装置を用いてコーティングを行った。被覆した後、160℃で2時間加熱を行い、表面に樹脂被覆を施した樹脂被覆キャリアを得た。
上述のようにして得られた樹脂被覆キャリアの帯電特性及びトナーの破壊状況、トナースペントについて、前述の方法と同様にして測定した。その結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、実施例3aで得られたキャリアは、帯電速度が早く、ストレス後の帯電量も安定しており、トナー破壊並びにトナースペントも極めて少なく、非常に優れた特性を示した。一方で、比較例3bで得られたキャリアは、被覆前の悪い特性が改善された様には見えず、逆にトナースペントの点では、被覆前に比べて劣る結果となった。
本発明に係る樹脂充填型キャリアは、樹脂を充填しているため真密度が軽くなり長寿命が達成でき、流動性に優れ、また充填する樹脂の選択により、帯電量等の制御が容易にできる。しかも、磁性粉分散型キャリアに比して高強度であり、しかも熱や衝撃による割れ、変形、溶融がない。
従って、上記樹脂充填型キャリアを用いた電子写真現像剤は、画像濃度を充分に確保でき、長期にわたってキャリア付着がなく、高品位な画質を維持できることから、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。
図1は、実施例1aのフェライト粒子の芯材の電子顕微鏡写真である。

Claims (20)

  1. 空隙率が10〜60%であるフェライト芯材に、樹脂を6〜30重量%充填してなる樹脂充填型キャリア。
  2. 上記フェライト芯材の真密度が3.0〜5.5g/cmである請求項1記載の樹脂充填型キャリア。
  3. 上記フェライト芯材の見掛け密度が0.7〜2.5g/cmである請求項1又は2記載の樹脂充填型キャリア。
  4. 上記フェライト芯材の平均粒径が15〜80μmである請求項1〜いずれかの記載の樹脂充填型キャリア。
  5. 上記フェライト芯材の抵抗が10〜1012Ωである請求項1〜のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  6. 上記フェライト芯材がMn、Mg、Ca、Sr、Li、Ti、Al、Si、Zr、Biから選ばれる少なくとも1種を含むフェライトよりなる請求項1〜のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  7. 上記フェライト芯材の残留磁化が15emu/g(A・m/kg)以下である請求項1〜のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  8. 上記フェライト芯材の焼結一次粒子径が0.2〜10μmである請求項1〜記載の樹脂充填型キャリア。
  9. 上記フェライト芯材の焼結一次粒子径に対する体積平均粒径の比(体積平均粒径/焼結一次粒子径)が5〜200である請求項1〜のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  10. 空隙率が1〜50%である請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  11. 芯材面積率に対する樹脂充填面積率の比(樹脂充填面積率/芯材面積率)が0.20〜0.80である請求項1〜10いずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  12. 樹脂充填後の真密度が2.50〜4.50g/cmである請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  13. 芯材の真密度に対する樹脂充填後の真密度比(樹脂充填後の真密度/芯材の真密度)が0.50〜0.90である請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  14. 平均粒径が15〜80μmである請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  15. 磁化が20〜90emu/g(A・m/kg)である請求項1〜14のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  16. 電気抵抗が10〜1015Ωである請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  17. 樹脂被覆されている請求項1〜16のいずれかに記載の樹脂充填型キャリア。
  18. 表面被覆厚さが0.01〜7μmである請求項17記載の樹脂充填型キャリア。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載の樹脂充填型キャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
  20. 上記樹脂充填型キャリアの真密度に対する上記トナーの真密度比(トナーの真密度/キャリアの真密度)が1/5〜1/2である請求項19記載の電子写真現像剤。
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