JP4001257B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対摺動可能に相互接触する第1及び第2部材を備えた圧縮機に関し、特に前記二部材の摺動面に接触摺動性を確保するために施した被覆層の摺動耐久性の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に斜板式圧縮機は、ハウジングの一部を構成するシリンダブロックと、そのシリンダブロックに形成された複数のシリンダボア内に往復動可能に収容された複数のピストンと、クランク室内において駆動軸上に傾斜状態で固定され又は駆動軸に対して傾動可能に設けられた斜板とを備えている。そして、各ピストンの一部を一対のシューを介して斜板の外周部に係留させることで、各ピストンを斜板に作動連結している。この作動連結構成により、駆動軸及び斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換可能としている。
【0003】
かかる斜板式圧縮機においては、斜板とその外周部両面に直接接触する一対のシューとの焼付きをいかに回避し、且つ斜板とシューとの間の摩擦をいかに低減するかということが重要な技術的課題となっている。というのも、斜板式圧縮機においては、圧縮機各部の潤滑を図る目的で冷媒ガスにミスト状潤滑油を運ばせて各部に潤滑油を供給することが行われているが、低温下での圧縮機の運転初期には、潤滑油ミストが斜板に到達する前に、斜板の摺動表面に残存付着していた潤滑油を冷媒ガスが洗浄してしまい、斜板表面がドライ状態(潤滑油が少ない状態)になりやすい。このため、斜板及びシューはドライ条件下での摺動開始を余儀なくさせられる。このように、斜板の摺動条件(又は摺動環境)は非常に厳しい。加えて、昨今オゾン層保護のために旧冷媒に代えて使用され始めたいわゆる新冷媒(例えばR134a)は、旧冷媒以上にドライ状態を現出させやすく、斜板表面の潤滑性改善の要求は益々高くなっている。
【0004】
このような課題に対して斜板に表面処理を施すという手法での解決を図った従来技術として、特開昭60−22080号(特公平5−10513号)、国際公開WO95/25224号あるいは特開平8−199327号が存在する。
【0005】
これらの従来技術のうち例えば特開昭60−22080号公報は、斜板の金属母材の上に、二硫化モリブデン及びグラファイトをフェノール樹脂等の接着剤で固めた固体潤滑層を施す技術である。この固体潤滑層は、斜板の摺動部表面の潤滑性を改善し、斜板及びシューの接触摺動性を良好として両部材間の耐焼付き性を向上させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術はいずれも所望する潤滑性能が得られるものの、斜板及びシューの摺動面に施された被覆層の耐久性については十分満足できるものではなかった。すなわち、ドライ条件下で繰り返し使用されるうちに被覆層が磨耗もしくは剥がれて穴があくなどして表面に母材が露出する場合があった。
【0007】
本発明の目的は、圧縮機を構成する二部材間の摺動表面に施された被覆層の耐久性を改善し、二部材間の接触摺動性をより長期にわたり良好に保つことができる圧縮機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対摺動可能に相互接触する第1及び第2部材を備えた圧縮機において、第1部材の摺動面と第2部材の摺動面との少なくとも一方の表面に、金属粒子を含む樹脂からなるコーティング層が施されていることを特徴とする。このコーティング層では、樹脂マトリクス中に存在する金属粒子が摺動面から受ける荷重を支え、樹脂にかかる荷重が相対的に緩和されるため、金属粒子の存在によってコーティング層の耐久性が高まるものと推察される。金属粒子の存在がコーティング層の耐久性を増すことは、新しい技術的知見である。
【0009】
本発明が適用される圧縮機は、好ましくは斜板式圧縮機である。斜板式圧縮機は、斜板と、斜板の外周部をピストンに係留させるためのシューとを備える。相対摺動可能に相互接触する第1及び第2部材が前述のシュー及び斜板であり、これらの摺動面の少なくとも一方の表面に前述のコーティング層が施される。この場合、斜板及びシューの摺動面表面に存在するコーティング層が高い耐久性を有するため、斜板及びシューの摺動性が長期にわたり良好に保たれる。
【0010】
コーティング層は金属粒子の粒径に近似する値以下の厚みに研磨されていることが好ましい。例えば金属粒子と樹脂との液状混合物を部材の母材表面に塗布し、塗布層が硬化した後、その表面を金属粒径に近似する値以下の厚みとなるまで研磨する。コーティング層の表面露出の金属粒子は母材に直接接触するか、ほぼ接触状態となる。このため、摺動面にかかる荷重は金属粒子が主に受けとめ、樹脂にかかる荷重が相対的に低減されるため、コーティング層の摺動耐久性が一層高まる。なお、近似する値とは例えば金属粒径の1割増し程度の値である。
【0011】
また、金属粒子の粒径は、10〜100ミクロンの範囲内にあることをが好ましい。粒径が10ミクロン未満であると、金属粒子が樹脂中に分散して構造的に荷重を受けとめ難くなるうえ、荷重を受けとめられ得る層厚にしようとするとコーティング層の厚みが薄くなるため、コーティング層の摺動耐久性が得られ難い。また、粒径が100ミクロンを超えると、コーティング層を必要以上に厚くせざるを得ず、過剰の量の材料が必要となるうえ、母材からの剥離等の密着強度上の不具合が生じる場合がある。
【0013】
コーティング層が第1部材と第2部材のうち一方の表面のみに施される場合、コーティング層中の金属粒子の材質は、コーティング層が施されていない方の部材の金属材質とは異種の金属とし、凝着性を低くすることが好ましい。こうすれば、コーティング層の表面に露出した金属粒子と、相手側の部材の金属との凝着が防がれる。
【0014】
金属粒子の材質の具体例としては、錫、銀、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、シリコン、コバルト、チタン、タングステン、モリブデン、マグネシウム、鉄、及びこれらのうち少なくとも一種を含む合金が挙げられる。金属はこの群から選択される一種のみを使用してもよいし、複数種を混合して使用することもできる。また、コーティング層中に固体潤滑剤を加えることもできる。
【0015】
樹脂は、粉末状の金属粒子を部材の母材などに接着するためのバインダーとして主に機能する他、コーティング層のマトリクスとして表面に露出してその表面を平滑にするとともに、その表面の固体潤滑性能の発現にも寄与する。コーティング層の形成方法は、例えば金属粒子と樹脂との液状混合物を部材の摺動部表面に塗布し、その後、適当な温度で焼き付けることで行う。塗布方法としてはスプレー法、タンブリング法、転写法、刷毛塗り法のいずれも採用可能である。樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂(例えばPTFE)および不飽和ポリエステル樹脂などがあげられる。かかる樹脂の一種又は複数種を併用することも可能である。なお、部材の母材に下地層を介してコーティング層を形成することもできる(ただし下地層は省略可能)。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の適用対象となる容量可変型斜板式圧縮機の一例を簡単に説明する。図1に示すように斜板式圧縮機は、シリンダブロック1と、その前端に接合されたフロントハウジング2と、シリンダブロック1の後端に弁形成体3を介して接合されたリヤハウジング4とを備え、これらは複数の通しボルト(図示略)により相互に接合固定されて圧縮機のハウジングを構成する。このハウジング内には、クランク室5、吸入室6及び吐出室7が区画されている。シリンダブロック1には複数のシリンダボア1a(一つのみ図示)が形成され、各ボア1aには片頭型のピストン8が往復動可能に収容されている。吸入室6及び吐出室7は、弁形成体3に設けられた各種フラッパ弁を介して各ボア1aと選択的に連通可能となっている。
【0017】
クランク室5内には駆動軸9が回転可能に支持されるとともに、第1部材としての斜板10が収容されている。斜板10の中央部には挿通孔10aが貫設され、この挿通孔10aに駆動軸9が挿通されている。この斜板10は、ヒンジ機構13及びラグプレート11を介して駆動軸9に作動連結され、駆動軸9と同期回転可能且つ駆動軸9の軸線方向への摺動を伴いながら駆動軸9に対し傾動可能となっている。そして、斜板10の外周部10dが前後一対のシュー(カムフォロワ)20,20を介して各ピストン8の基端部8aに摺動自在に係留されることで、全てのピストン8が斜板10に作動連結されている。駆動軸9とともに所定角度に傾斜した斜板10が回転すると、各ピストン8が斜板の傾角に対応したストロークで往復動され、各シリンダボア1aでは、吸入室6(吸入圧Psの領域)からの冷媒ガスの吸入、圧縮、吐出室7(吐出圧Pdの領域)への圧縮冷媒ガスの吐出が順次繰り返される。
【0018】
斜板10は、傾角減少バネ14によってシリンダブロック1に接近する方向(傾角減少方向)に付勢されている。ただし、例えば駆動軸9上に固定されたサークリップ15で斜板10の傾角減少方向への摺動を規制することで斜板10の最小傾角(例えば3〜5°)が制限される。他方、斜板10の最大傾角は、例えば斜板10のカウンタウェイト部10bがラグプレート11の規制部11aに当接することで制限される。
【0019】
図1の斜板式圧縮機では、制御弁16を用いてクランク室5の内圧であるクランク圧Pc(ピストンの背圧)を調節することで、斜板10の傾角を最小傾角と最大傾角との間の任意の角度に設定できるようになっている。
【0020】
斜板10は、その中心域を占めるランド部10cと、ランド部10cを取り囲む鍔状の外周部10dとを有している。ランド部10cは外周部10dに比べて相対的に肉厚であり、挿通孔10a及びカウンタウエイト10bは共にこのランド部10cに形成されている。また、ピストン8の基端部8aには、斜板10の外周部10d及び第2部材としての一対のシュー20,20を進入させる凹部8bが設けられている。
【0021】
次に、本発明の特徴部分である斜板の表面構造等について図2を参照しつつ説明する。図2に示すように、一対のシュー20の各々は凸球面20a及び平坦面20bを有している。ピストン8の凹部8aの内周面上には、各シュー20の凸球面20aと対向接触する一対の凹球面8cが形成され、各シュー20は凹球面8c上を摺動案内される。斜板10は、その外周部10dの前後表面22と各シュー20の平坦面20bとが接触する状態で、一対のシュー20によって前後両側から摺動可能な状態で狭持されている。つまり、一対の凹球面8cと斜板10の外周部10dとの間に介在された一対のシュー20がピストン8の基端部8aに回動可能に保持されることにより、各シュー20を介してピストン8の基端部8aが斜板10の外周部10dに係留されている。なお、斜板10の外周部10dの表面22のうちシュー20の平坦部20bと摺動する部分が斜板側の摺動面となり、シュー20の平坦面20bがシュー側の摺動面となる。
【0022】
ピストン8はアルミニウム合金製(例えばAl−Si系合金)で、斜板10は鉄系材料(例えば鋳鉄)からなる。また、シュー20は鉄系材料である軸受鋼からなる。ピストン8にはその軽量化を図るためにアルミニウム系材料を使用している。斜板10にはその慣性モーメントを高くするために密度の比較的高い鉄系材料を使用している。斜板10とシュー20が共に鉄系材料で同種の金属材料からなるため、その摺動面で凝着が起こり易い。そのため、斜板10の外周部10dの表面22に凝着を防ぐためのコーティング層としての皮膜23を施している。皮膜23は斜板10の母材24の表面に形成されている。なお、皮膜23が形成される斜板10の母材24は鉄系材料であることに限定されず、例えばアルミニウム系材料であってもよい。
【0023】
皮膜23は、斜板10の外周部10dの表面22において、少なくともシュー20との摺動域全てを含む領域に形成されている。このため、シュー20は、斜板10に対しては皮膜23と摺動する。皮膜23の内部構造および形成方法については次に示す実施例1及び2において詳述する。
【0024】
次に、斜板10の表面に形成される皮膜層23の具体例を示す実施例1,2と、従来技術の範疇に属する比較例について説明する。
(実施例1)
金属粒子として粒径約70μmのアルミニウム合金(12%Si−Al)を使用し、このアルミニウム合金粉末と樹脂としてのポリイミド樹脂とを、アルミニウム合金が65wt%、ポリイミド樹脂が35wt%の配合比率で混合し、液状混合物を調製した。鉄系材料で構成した斜板母材の表面を洗浄・脱脂した後、アルミニウム合金粒子を分散させたポリイミド樹脂の液状混合物を斜板母材の外周部両面にスプレー法で塗布した。塗布後、200℃で焼き付けをして膜形成を完了した後、この膜表面に研磨加工を施し、厚さ約50μmの皮膜23を形成した。
【0025】
(実施例2)
金属粒子として粒径40〜50μmの錫(Sn)を使用し、この錫粉末と樹脂としてのポリイミド樹脂とを、錫が80wt%、ポリイミド樹脂が20wt%の配合比率で混合し、液状混合物を調製した。鉄系材料で構成した斜板母材の表面を洗浄・脱脂した後、錫粒子を分散させたポリイミド樹脂の液状混合物を斜板母材の外周部両面にスプレー法で塗布した。塗布後、200℃で焼き付けをして膜形成を完了した後、この膜表面に研磨加工を施し、厚さ約50μmの皮膜23を形成した。
【0026】
(比較例)
固体潤滑剤として粒径約1μmの二硫化モリブデンを使用し、この二硫化モリブデン粉末と樹脂としてのポリイミド樹脂とを、二硫化モリブデンが60wt%、ポリイミド樹脂が40wt%の配合比率で混合し、液状混合物を調製した。鉄系材料で構成した斜板母材の表面を洗浄・脱脂した後、二硫化モリブデンを分散させたポリイミド樹脂の液状混合物を斜板母材の外周部両面にスプレー法で塗布した。塗布後、200℃で焼き付けをして膜形成を完了した後、この膜表面に研磨加工を施し、厚さ約50μmの皮膜23を形成した。
【0027】
(耐久性試験の方法及び評価)
図1のような斜板式圧縮機に前記実施例及び比較例のような斜板を組み込んだ実機を想定した加速試験機を使用し、斜板/シュー間での連続摺動耐久性試験を行った。この試験機では、斜板の外周部表面の周方向等角度(180°)の位置に2個のシューをそれぞれの端面を接触させるとともにバネにより斜板表面に圧接させる方向に付勢する状態で配置し、この状態で斜板を高速回転させる。シューと斜板の接圧は実機に合わせた。また、この試験では、実機での起動直後の状態を想定してオイルレス環境下(潤滑油の量を通常の10%程度と想定)の潤滑油条件(流体潤滑条件)を採用した。斜板の回転数は実機の通常回転数の約2倍の9200rpmとし、斜板をこの回転数で8時間回転させた。
【0028】
以上の実施例1,2並びに比較例の斜板の素材構成と試験結果をまとめたものが以下の表1である。試験後のシュー/斜板間における焼付き等の不具合の有無を目視で評価した。斜板の外周部表面をアルミニウム合金粒子または錫粒子をポリイミド樹脂に混合した皮膜23を施した実施例1,2では、連続摺動耐久性試験においても斜板およびシューの摺動部表面のいずれにも何らの異常も見られなかった。これに対し、斜板の外周部表面に固体潤滑層を施した比較例では、表面において若干の焼付きの異常が見られた。固体潤滑層は実機では一応の効果が得られるものであることから、実施例1,2は共に摺動耐久性の点で固体潤滑層よりも優れることが確認された。
【0029】
【表1】
Figure 0004001257
なお、実施の形態は、上記に限定されず次のような態様でも実施できる。
【0030】
○ コーティング層中に固体潤滑剤を加えることも可能である。固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、酸化アンチモン、酸化鉛、鉛(Pb)、インジウム(In)およびスズ(Sn)、PTFEがあげられる。使用される固体潤滑成分は、前述の群から選択される少なくとも一種であることは好ましく、又、前記固体潤滑成分を複数種混合して用いることもできる。
【0031】
なお、固体潤滑成分には金属も含まれるが、本発明の金属粒子との違いは、金属粒子は粒子であること(粒子性)が挙げられる。また、金属粒子の粒径はコーティング層の厚みに近似する値以上に大きいことが好ましく、粉末状の固体潤滑剤に比べて径が大きいことが好ましい。また、金属粒子の形態が等方性を有することが好ましい。金属粒子の形態が例えば鱗片状(薄片状)や針状などのような異方性を有していると、コーティング層(皮膜23)の層方向に配向して存在することになるため、コーティング層の摺動耐久性が得られ難くなる。また、金属粒子の含有率が高いことが好ましい。例えば30%以上の体積含有率がよく、好適には40%以上の体積含有率、最適には50%以上の体積含有率がよい。金属粒子の体積含有率が高いほど(金属粒子が高充填であるほど)、金属粒子が荷重を受けとめる働きをし易く、コーティング層の摺動耐久性の向上に寄与する。
【0032】
○ 金属粒子の粒径はコーティング層(皮膜23)の厚みに近似する値より小さくてもよい。例えば金属粒子の粒径を10〜20μmとし、コーティング層の厚みを金属粒子の粒径の約2倍とすることもできる。この場合、金属粒子の体積比率が高ければ、コーティング層の表面と母材表面との間に金属粒子が連なって存在するようになり、金属粒子が荷重を効果的に受けるため、コーティング層の摺動耐久性は高まる。
【0033】
○ 皮膜23の下層に母材と異なる下地層が形成されていてもよい。下地層としては例えば銅合金層を形成することができ、例えば溶射法で形成する。
○ 斜板10の母材24の表面に粗面化処理(面粗度は例えば3〜10μmの範囲)を施し、皮膜23と母材24との密着性の向上を図ることもできる。
【0034】
○ 本発明が適用可能な部位は、斜板/シュー間の摺動部位に限定されるものではなく、以下に示す(a)〜(c)の接触摺動部位に本発明が適用されてもよい(つまり、第1及び第2部材の組合せとして次の組合せがあげられる)。
【0035】
(a)シュー20とピストン8との間。
(b)駆動軸9と斜板10との間。
(c)ピストン8の外周面とシリンダブロック1のシリンダボア1aの内周面との間。
【0036】
○ 本発明は斜板式圧縮機に適用が限定されるものではなく、スクロール型圧縮機等の他のタイプの圧縮機に適用されてもよい。
前記実施形態及び別例から把握される請求項以外の技術的思想を、以下に記載する。
【0038】
記金属粒子の粒径(平均粒径)は、30〜80ミクロンの範囲内である。この場合、コーティング層の摺動耐久性がさらに高まり、しかもコーティング層の厚み管理がし易くなる。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、圧縮機を構成する二部材間の摺動表面に施された被覆層の耐久性を改善し、二部材間の接触摺動性をより長期にわたり良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される片頭ピストン型斜板式圧縮機の縦断面図。
【図2】斜板とシューとの関係の概略を示す拡大断面図。
【符号の説明】
8…ピストン、10…第1部材としての斜板、10d…外周部、16…駆動軸、20…第2部材としてのシュー、20b…平坦面、6…吸入室、7…吐出室、22…斜板の摺動面を含む外周部表面、23…コーティング層としての皮膜、24…斜板の母材。

Claims (7)

  1. 相対摺動可能に相互接触する第1及び第2部材を備えた圧縮機において、前記第1部材の摺動面と前記第2部材の摺動面との少なくとも一方に、金属粒子を含む樹脂からなるコーティング層が施され、前記コーティング層は前記金属粒子の粒径に近似する値以下の厚みに研磨されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記圧縮機は斜板式圧縮機であり、該斜板式圧縮機は、相対摺動可能に相互接触する第1及び第2部材として、斜板と、該斜板の外周部をピストンに係留させるためのシューとを備えており、前記斜板と前記シューの摺動面の少なくとも一方の表面に、前記コーティング層が施されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記金属粒子の粒径は、10〜100ミクロンの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮機。
  4. 前記コーティング層は、前記第1部材と第2部材のうち一方のみに施されており、該コーティング層中の金属粒子の材質は、該コーティング層が施されていない方の部材の金属材質との凝着性の低い異種の金属であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧縮機。
  5. 前記金属粒子の材質は、錫、銀、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、モリブデン、マグネシウム、鉄、及びこれらのうち少なくとも一種を含む合金からなる群から選択される一種又は複数種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧縮機。
  6. 前記樹脂材質は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選択される一種又は複数種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧縮機。
  7. 前記コーティング層中に固体潤滑剤を加えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧縮機。
JP07226299A 1999-03-17 1999-03-17 圧縮機 Expired - Fee Related JP4001257B2 (ja)

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