JP3969787B2 - ポリアルキレンナフタレート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融成形性等の改良された新しいポリアルキレンナフタレート樹脂組成物に関する。更に詳しくは、特定のポリイミドと、ポリアルキレンナフタレートとを混合して得られる、成形性と結晶性を大幅に改良したポリアルキレンナフタレート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンナフタレート(PEN)は磁気フィルム、飲料用ボトル、包装材料、各種成形品など広く利用されている。しかしながら、従来よりPENなどのナフタレン環を含んだ樹脂は結晶化速度が遅く、該樹脂の成形サイクルの向上のために結晶化速度の向上、寸法安定性、耐薬品性、耐熱性などの改善のため結晶化度の向上が望まれている。このような問題点を解決する方法として、高温金型を使用する方法や結晶核剤や結晶化促進剤を添加する方法が多数提案されている。
【0003】
しかしながら、高温金型を使用する方法では高温化のための操作が煩雑となり、成形サイクルが長くなって作業能率が著しく低下するために実用的ではない。結晶核剤、結晶化促進剤を添加する方法は、従来より多数検討されているが、射出成形時の結晶化速度はいまだ十分とはいえず、他の樹脂に比して成形サイクルが長く、また場合によっては結晶核剤、結晶化促進剤を添加することによって成形品の表面光沢などの表面特性や機械的性質、熱的性質などが大幅に低下したり、結晶化促進剤などの添加剤が成形時に揮発して臭気を発するなどの種々の問題点が発生する。脂肪族ポリアミド(特開昭61−204259号公報)、ポリカプロラクトン(特開昭51−58455号公報)、各種ポリエステル(EP387398、USP4223113、USP4223125)、のようなポリマーを結晶核剤、結晶化促進剤として使用する方法も提案されてはいるが、上記と同様に未だ検討すべき問題が多く残されているのが実情である。特に、ポリエステルを結晶核剤、結晶化促進剤として使用する方法では、エステル交換によってポリアルキレンナフタレートの融点が低下してしまう問題点がある。
【0004】
一方、PENの成形性を改善するために、ポリエステルに芳香族低分子イミド化合物を含有する方法は既に開示されている。(特開昭58−13625号公報、特開昭58−49733号公報、特開昭58−104720号公報、特開昭58−179243号公報、特開昭58−179623号公報、特開昭58−210934号公報など) しかし、上記芳香族低分子イミド化合物は、低分子であるが故に成形中に昇華などで揮散しやすいことや、成形後に成形物表面にブリードアウトしてくる等の不都合を生じるなどの問題がある。
【0005】
ところで、ポリエチレンナフタレート(PEN)に、高いガラス転移温度を有する非晶性ポリエーテルイミドであるULTEM(ゼネラルエレクトリック社製)を混合すると両者は相溶化し、これによってPENのガラス転移温度が向上することが知られている。(例えば、ANTEC1995 p.1453、POLYMER Vol.36 Number23 1995 p.4449、RESEARCH DISCLOSURE 1987 p.677、特開平7−228761号公報) しかしながら、かかるポリエーテルイミドを添加したPENは溶融粘度が上がり成形が困難であり、得られた成形品ももろい。また、折り返したフィルムなど応力がかかったときに生ずるデラミ問題も改善されない。
【0006】
このように、PENに代表されるポリアルキレンナフタレートは、成形性、耐デラミ性の問題や、耐侯性の問題など、いくつかの問題がいまだ未解決のままである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、成形性が大幅に改善され、結晶性が向上し、また成形後のブリードアウトなどの問題もなく、更には、蛍光の発光が抑制され、また耐候性および耐デラミ性が良好な、全く新しいポリアルキレンナフタレート樹脂組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリアルキレンナフタレートに混合する化合物としてブリードアウトなどの問題がないポリマーを取り上げ、ポリイミドに着目して検討した結果、かかるポリアルキレンナフタレートに比べてガラス転移温度が低いポリイミドを混合することにより、かかるポリアルキレンナフタレートの溶融粘度が下がり、結晶化も促進され、さらに驚くべきことに、ポリアルキレンナフタレートの耐侯性、デラミ性が改善され、さらに蛍光発光を抑制するという、種々の特性を与えることを見出した。即ち、本発明は、少なくとも構成単位の80モル%が下記式(1)
【0009】
【化5】
【0010】
(R1は炭素数2〜6のアルキレン基を表す)
で示される繰り返し単位からなるポリアルキレンナフタレートと、該ポリアルキレンナフタレートのガラス転移温度以下のガラス転移温度を有するポリイミドとを混合してなるポリアルキレンナフタレート樹脂組成物である。
【0011】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは下記式(1)
【0012】
【化6】
【0013】
(R1は炭素数2〜6のアルキレン基を表す)
で示される繰り返し単位を有する。かかるポリアルキレンナフタレートとしては、ポリ(1,2−エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ(1,4−ブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ(1,3−(2,2−ジメチル)プロピレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)およびそれらの共重合体を例示できる。これらのうちポリ(1,2−エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)において好ましく実施できる。
【0014】
本発明で用いられるポリアルキレンナフタレートは、上記式(1)で示される繰り返し単位から主としてなるが、それ以外にも以下に示すような構成成分を20モル%を超えない範囲で共重合成分として含んでいても良い。そうした共重合の酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸があげられる。また、共重合のジオール成分としては、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族のジオールがあげられる。こうした共重合成分の共重合量は好ましくは10モル%以下である。
【0015】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中35℃で測定した固有粘度が0.3以上であることが好ましい。固有粘度が0.3未満の場合には、成形品の強度が不足し好ましくない。固有粘度はより好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上である。
【0016】
本発明に用いられるポリイミドは、ポリアルキレンナフタレートのガラス転移温度以下のガラス転移温度を有するが、さらに非晶性であることが好ましい。但し、結晶性のポリイミドであっても、該ポリアルキレンナフタレートへ添加時には結晶化していないものならばポリアルキレンナフタレートに溶解せしめることは可能である。ここでいう非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分での測定で、明確な融点ピークが見られないものを指し、一般的には透明な樹脂である。
【0017】
上記ポリイミドは、混合するポリアルキレンナフタレートのガラス転移温度(Tg)以下のTgを有する必要がある。ポリアルキレンナフタレートとポリイミドとのTgの差は特に規定しないが、差は大きい方が成形性や結晶性改善には好ましく、10℃以上、より好ましくは20℃以上である。また、該ポリイミドとポリアルキレンナフタレートとが相溶化するならば、ポリイミドのTgは低いほど好ましいが、少なくとも室温(20℃)以上であることがポリイミドの取り扱いの点からより好ましい。
【0018】
本発明に用いるポリイミドは、それのTgが、混合するポリアルキレンナフタレートのTgと、差が大きい方が成形性や結晶性改善には好ましい。さらに、耐デラミ性向上の面も、該ポリイミドはTgの差が少なくとも5℃以上、より好ましくは10〜40℃、さらにより好ましくは100℃以下の範囲であるものを用いることができる。
【0019】
また、上記ポリイミドは、できれば本発明におけるポリアルキレンナフタレートと相溶化することが好ましい。ここで言う相溶化とは、両者のガラス転移温度に差がある場合、両者の混合物のTgは一つになることを指す。例えばDSCで測定(昇温速度20℃/分)したときのポリアルキレンナフタレート樹脂組成物のガラス転移温度が、ポリアルキレンナフタレートのホモポリマーのTg以下、好ましくは40〜123℃の範囲内に示される。更に、添加剤などがなければ、溶融状態でのポリマーが白く濁らず透明であることが一般的である。溶融粘度の高いポリアルキレンナフタレートと、該ポリアルキレンナフタレートよりTgの低いポリイミドとを相溶化せしめれば、該組成物のTgは該ポリアルキレンナフタレートより下がり、その結果一般に溶融粘度も低下する。更に、結晶化温度とTgの温度差が広がるので、ポリアルキレンナフタレートが結晶化できる温度範囲が広がり、その結果、結晶化度も一般に更に高まるので好ましい。
【0020】
本発明に用いるポリイミドは、該ポリイミドが該ポリアルキレンナフタレートより低Tgであれば特に指定しないが、例えば下記式(2)
【0021】
【化7】
【0022】
(但し、Arは芳香族残基であり、R2は、一種またはそれ以上の、ポリアルキレンナフタレートと非反応性の置換基を含んでいてもよい炭素数6以上の脂肪族残基である)
で表される構造のものが好適に用いられる。
【0023】
ここで、R2はポリアルキレンナフタレートと非反応性の置換基を含んでもよい炭素数6以上の長鎖の脂肪族アルキレン基が例示できる。これらは単独でも2種以上組み合わせて用いることができる。炭素数は該ポリイミドがポリアルキレンナフタレート中に相分離して成形不可能とならなければ上限は規定しないが、好ましくは炭素数6〜30の脂肪族アルキレン基である。また、該ポリイミドがポリアルキレンナフタレートに相溶化せしめるために、R2中に、例えばエーテル結合、スルフィド結合のようにエステル結合と反応しない結合を含有していてもよい。このようなポリイミドをもたらすジアミンとしては、例えば2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンの如き脂肪族アルキレンが好ましく、中でも2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンとドデカメチレンジアミンの組み合わせが最も好ましい。また、ポリイミドのTgがポリアルキレンナフタレートのTgを越えない範囲で、芳香族ジアミン成分や脂環族ジアミン成分を含有していてもよい。
【0024】
Arは、ポリアルキレンナフタレートと非反応性の置換基を含んでいてもよい炭素数6以上13以下の芳香族残基である。Arとしては例えば、
【0025】
【化8】
【0026】
を挙げることができるが、下記式
【0027】
【化9】
【0028】
が好ましく、下記式
【0029】
【化10】
【0030】
が最も好ましい。
【0031】
本発明におけるポリイミドの製造方法は、公知のどの方法を用いても構わない。例えば、上述の原料のジカルボン酸無水物とジアミンから先ず得られるポリアミド酸を加熱又は、無水酢酸とピリジン、カルボジイミド、亜燐酸トリフェニルなどの化学的脱水剤を用いても良いし、ジカルボン酸無水物と対応するジイソシアネートを加熱して脱炭酸を行って重合してもよい。このほか、ジカルボン酸無水物をメタノールやエタノールのような低級アルコールで中間的に部分エステルや全エステルとした後、チオニルクロライドや塩素、五塩化リンなどで酸クロリド化し、該当ジアミンと反応させた後、環化反応を行ってもよい。
【0032】
本発明におけるポリイミドの35℃、ポリマー濃度1.2g/dLで測定した固有粘度は、0.2dL/g以上、好ましくは0.3dL/g以上である。これより固有粘度が低い場合は、該ポリイミドの分子構造によっては、低分子イミド化合物添加と同様に昇華などの揮散や成形後のブリードアウトを起こすことがあるので好ましくないことがある。
【0033】
本発明のポリアルキレンナフタレート樹脂組成物中の該ポリイミドの分率は、目的とその発現する効果により適宜選択することができる。ポリアルキレンナフタレート100重量部に対して、例えば溶融成形性を大きく改善する場合は、ポリイミドは0.5重量部以上が好ましい。該ポリイミドが0.5重量部より少ないと、溶融粘度の低下も少なく、成形性向上効果も少ない。添加量の上限は、ポリアルキレンナフタレート樹脂組成物の結晶化が起きて示差走査熱量計(DSC)で融点が現れる程度が好まれる。また、耐候性が改善されたり、蛍光の発光の抑制されたポリアルキレンナフタレート樹脂組成物を得る場合は、ポリアルキレンナフタレート樹脂組成物100重量部中、0.05重量部以上、好ましくは0.1重量部以上該ポリイミドを添加することが好ましい。これより添加量が少ないと耐候性向上や蛍光防止効果が十分でない。デラミ改善では、0.1重量部以上5重量部以下の添加が好ましい。これより少ないと効果が明らかになりにくく、これより多いと成形体の機械的な物性が低下してしまうことがある。 以上より、上記ポリイミドの含有量は、ポリアルキレンナフタレート組成物中、0.05重量部以上20重量部以下、より好ましくは0.1重量部以上10重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以上5重量部以下である。
【0034】
本発明のポリアルキレンナフタレート樹脂組成物の製造方法としては、2軸エクストルーダーによる混合方法が好ましく用いられる。混合温度は、ポリマーの分解が起きない範囲で、ポリアルキレンナフタレートの融点以上であることが必要である。ポリアルキレンナフタレートの融点以下では実質的に混合は不可能である。且つ好ましくは添加するポリイミドのガラス転移温度以上であることが必要である。例えば、ポリアルキレンテレフタレートがポリ(1,2−エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)のときは、280〜290℃が好ましい。該ポリイミドは、ポリアルキレンナフタレートに直接添加してもよいし、ポリアルキレンナフタレートに高濃度に溶解せしめたマスターポリマーを予め調製しておき、これをポリアルキレンナフタレートのホモポリマーで希釈してもよい。マスターポリマーの調製方法は、ポリアルキレンナフタレートと該ポリイミドを直接混合してもよいし、ポリイミド、ポリアルキレンナフタレートともに溶解する溶剤中に両者とも溶解せしめた後、該溶剤を留去せしめて得てもよい。該溶剤としては、例えば以下の構造の低分子イミド化合物が好適に用いられる。
【0035】
【化11】
【0036】
(但し、nは1〜6の整数)
【0037】
また、本発明における樹脂組成物に対してさらに必要に応じて各種の添加剤を配合することも可能である。こうした添加剤としては、ガラス繊維、金属繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウィスカー、炭酸繊維、アスベストのような繊維状強化剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属フレーク、金属粉末のような各種充填剤、リン酸エステル、亜リン酸エステルに代表されるような熱安定剤あるいは酸化安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、難燃化剤、難燃助剤、可塑剤、結晶核剤などをあげることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリアルキレンナフタレートと特定のポリイミドとを混合することにより、全く新しいポリアルキレンナフタレート樹脂組成物が得られる。即ち、昇華などの揮散などがないうえ溶融粘度が低下して、従来のポリアルキレンナフタレートの成形性が大幅に改良され、更には成形物からのブリードアウトもしないポリアルキレンナフタレート樹脂組成物が得られる。
【0039】
また、ポリアルキレンナフタレートと、該ポリアルキレンナフタレートよりガラス転移温度の低いポリイミドとを相溶化せしめれば、該組成物のガラス転移温度は該ポリアルキレンナフタレートより下がって、結晶化温度とガラス転移温度の温度差が広がるので、ポリアルキレンナフタレートが結晶化できる温度範囲が広がり、結晶化度も一般に更に高まる。
【0040】
また、ポリアルキレンナフタレートは一般に蛍光を発するためにボトル等の成形品が青白く光り使用者に不快感を与えるという問題があったが、本発明のポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物は、その蛍光を大幅に抑制することができる。一般に紫外線吸収剤を大量に添加した場合には紫外線吸収剤の凝集物が不均一に分散することが多いので、凝集物の内部の紫外線吸収剤は紫外線吸収には効果は小さく、添加した分相応の紫外線吸収能を期待し難いが、本発明の如く均一にポリイミドが分散している系では、すべてのポリイミドがポリアルキレンナフタレートの蛍光防止に効果を発揮するため、単なる紫外線吸収剤として使用する以上に紫外光によるポリマーの発光を防止することができる。このため、外観上の問題、物性の低下を引き起こすことなく、ポリアルキレンナフタレートの優れた性能を生かした樹脂材料を提供することができる。また、ポリイミドを大量に添加しても均一に相溶化して機械的物性などの低下の原因となり難い。
【0041】
さらに、本発明のポリアルキレンナフタレート組成物は、ポリアルキレンナフタレート自身より耐候性が改善される。また、ポリエチレンナフタレートを製膜し、延伸・熱固定後に得たフィルムを折り曲げ、更に折り返すと折り目が白化するというデラミが生じるが、本発明の如く特定のポリイミドを添加すると、この耐デラミ性が向上する。
【0042】
本発明のポリアルキレンナフタレート樹脂組成物は、各種包装材、飲料ボトル、各種容器、チューブ、フィルム、カバー、ケース等の成型品、繊維、フィルムなどへ展開でき、その工業的意義は大きい。
【0043】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は実施例にのみ限定されるものではない。実施例においてポリマーの固有粘度はフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中35℃での値である。
【0044】
<ポリイミド(PTDO)の合成>
窒素を雰囲気下で、N−メチル−2−ピロリドン 2000ml中にトリメチルヘキサメチレンジアミン(2,2,4体、2,4,4体混合物) 62.524g(0.395モル)と、1,12−ドデカンジアミン 79.146g(0.395モル)を仕込み、氷浴で冷却した後、この溶液にオキシジフタル酸 245.07g(0.790モル)を添加した。引き続いて氷浴中で8時間重合した。次に、無水酢酸 240g、ピリジン 190gをこの系に添加した後、12時間更に室温で撹袢した。このポリマー溶液を、水に展開して十分に洗浄した後、得られたポリマーを乾燥した。ポリマーの固有粘度は、0.54であった。以下、このポリマーをPTDOと呼ぶ。後述の熱分析の方法で測定したPTDOのガラス転移温度は88℃であった。尚、結晶化度、融点は見られなかった。
【0045】
<PTDOマスターポリマーの調製>
1.AC6I(溶剤)の合成
窒素雰囲気下で、トルエン800ml中に1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物498gを添加し、この溶液にn−ブチルアミン283g(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物に対し、1.2モル倍)を滴下した。その後トルエンを6時間還流させたのち、所定量の水が流出したことを確認した。トルエンと過剰のn−ブチルアミンを留去したたのち、生成物(AC4I)を蒸留精製した。これは常圧下では300℃以上の沸点があり、0.5mmHg下での沸点は115℃であった。
【0046】
【化12】
【0047】
2.PTDOとPENのブレンド
窒素雰囲気下、三つ口フラスコ内でPTDO 200gに対しAC6I 400gを加え、錨形の撹袢翼を回転させながら290℃に加熱したところ、PTDOはAC6Iに溶解した。この溶液にPEN 800gを添加したところ、約5分ほどでPENも溶けて系は透明な組成物の溶液となった。その後約1分間で徐々に0.5mmHgにしてAC6Iを完全に追い出し、20重量部のPTDOのマスターポリマーを調製した。
【0048】
<所定量のブレンド及び製膜>
上記のようにPTDOマスターポリマーを調製後、これを粉砕して固有粘度0.73のPENチップと混合し、30mmφ同方向回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用いて、ポリマー温度290℃、平均滞留時間約20分の条件下で溶融混練したのちTダイから吐出し、厚み200ミクロンの未延伸フィルムを得た。これを140℃で3.5×3.5に同時ニ軸延伸した後、金枠に固定して240℃で10分間熱処理した。このようにして得られたポリマー、未延伸フィルム及び延伸・熱固定フィルムを各種評価に供した。尚、各種評価は以下の通り実施した。
【0049】
<熱分析>
未延伸フィルムを、示差走査熱量計(DSC)で20℃/分で昇温したのち、融点+30℃まで昇温したのち、正確を期すため、サンプルを取り出してドライアイスで急冷した後、再度20℃/分で昇温し、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、融点(Tm)を求めた。
【0050】
<溶融粘度>
溶融粘度は、フローテスターを用いて剪断速度1000sec-1で300℃で測定した。
【0051】
<蛍光測定>
蛍光の発光強度は、未延伸フィルムを用い、日立製作所(株)製F−2000日立蛍光分光光度計を用いて、励起波長350nm(バンドパス10nm)、蛍光の発光領域400〜550nm(バンドパス10nm)における発光量を相対比較した。
【0052】
蛍光強度の減少率は、比較例での発光強度をI0 、実施例での発光強度をIとして
【0053】
【数1】
蛍光強度の減少率 = (I0 −I)/I0 × 100 (%)
により算出した。
【0054】
<耐候性>
得られた未延伸糸フィルムを、JIS L0842に基づき、キセノンウェザーメーター(63℃、雨あり)で紫外線照射し、表面の劣化によるフィルムの曇りをヘーズメーターで測定した。
【0055】
<耐デラミ性>
耐デラミ性測定用フィルムは、延伸・熱固定後のフィルムを用いた。このフィルムを、3日間デシケータ内で調湿後に、該フィルムを折り曲げて10kgf/cm2で20秒プレスし、更に折り返して4kg/cm2で20秒プレスした。このとき、折り目に入る白い筋の幅を測定し、該幅(デラミ幅)が大きいものほどデラミし易いとした。
【0056】
[実施例1〜4]
PTDOを表1のように所定量ブレンドすると、ブレンドポリマーのガラス転移温度(Tg)はPTDOの添加量に応じて減少し、PENと相溶化していることがわかった。また、PTDOの添加量の上げると結晶化温度(Tc)ピークが大きくなり、結晶化が促進されることがわかる。これに伴って融点(Tm)ピーク面積も大きくなる。更に、溶融粘度も添加量に応じて減少し、成形性も向上した。
【0057】
[比較例1]
固有粘度0.73のPENのガラス転移温度と溶融粘度を実施例と同様に実施した。
【0058】
【表1】
【0059】
* ( )内はピーク面積(+吸熱、-発熱)
【0060】
尚、更に、このようなPTDOを添加したPENは、PENの蛍光の発光が減少した。また、光照射150時間後のへーズが比較例より小さいので耐光劣化が小さくなり、耐候性が向上したことがわかる。また、延伸、熱固定後のフィルムは、デラミ幅が狭くなり、デラミ性が改善されることがわかった。これらの結果を以下に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
[実施例5〜7]
酸成分を表3に示す成分に変えたほかは、全て実施例1と同様にポリイミドを調製して、ガラス転移温度(Tg)を測定した。次に、このポリイミドをPENとブレンドした(PEN/ポリイミド=80/20(重量比))ところ全て相溶化した。これらも実施例1と同様にガラス転移温度を測定したところ、PENに比べて全てTgが低下していた。また、ブレンドポリマーは溶融粘度、蛍光が低下し、結晶性、耐候性、耐デラミ性が向上していた。
【0063】
【表3】
【0064】
PMDA: 無水ピロメリット酸
BTDA: 3,3,4,4-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物
S-BPDA: 3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物
【0065】
[実施例8、9]
酸成分をオキシジフタル酸にし、アミン成分を下表4に示すように変更し、実施例1と同様にポリイミドを調製して、ガラス転移温度(Tg)を測定した。次に、このポリイミドをPENとブレンドした(PEN/ポリイミド=80/20(重量比))ところ全て相溶化した。これらも実施例1と同様にガラス転移温度を測定したところ、PENに比べて全てTgが低下していた。また、ブレンドポリマーは溶融粘度、蛍光が低下し、結晶性、耐候性、耐デラミ性が向上していた。
【0066】
【表4】
【0067】
TMHMDA: 2,2,4−、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン
HMDA : 1,6−ヘキサメチレンジアミン
【0068】
[比較例2、3]
PENに対し、ガラス転移温度がPENより高い非晶性ポリイミドのULTEM1000(ゼネラルエレクトリック社製 Tg220℃)をチップで混合し、実施例と同様に2軸エクストルーダーで溶融混練した後、得られたポリマーの熱分析、溶融粘度、耐デラミ性を測定した。このように、ULTEM1000のブレンド量が増えると、融点ピーク面積が小さくなって結晶性が低下していることがわかる。また、ULTEM1000の添加量が増えると、溶融粘度は高くなり、成形性が低下するうえ、デラミ幅は狭くならず耐デラミ性は改善されなかった。
【0069】
【表5】
Claims (4)
- 少なくとも構成単位の80モル%が下記式(1)
で示される繰り返し単位からなり、該ポリアルキレンナフタレートのガラス転移温度以下のガラス転移温度を有するポリイミドとを混合してなり、ポリイミドが、ポリアルキレンナフタレート樹脂組成物100重量部に対し、0.05重量部以上20重量部以下であるポリアルキレンナフタレート樹脂組成物。 - DSCで測定(昇温速度20℃/分)したときのポリアルキレンナフタレート樹脂組成物の吸熱ピークが40〜123℃の範囲内に示されることを特徴とする請求項1記載のポリアルキレンナフタレート樹脂組成物。
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