JP3902937B2 - 像加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録材上の画像を加熱する、誘導加熱方式の像加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置等の画像形成装置は、現像剤(トナー)により記録紙上にトナー画像を形成する画像形成手段を有し、トナー画像が形成された記録紙を紙搬送手段によって、図14に示す加熱定着装置801中に図中矢印方向に搬送することで、トナー像811を記録紙810に加熱加圧定着する。
【0003】
加熱定着装置801では加圧ローラ803と対向圧接する加熱ローラ802中にハロゲンヒータ804が加熱源として配され、加圧ローラ803および加熱ローラ802は図示しない駆動源によって、矢印方向に回転駆動されている。
【0004】
図15は加熱ローラ表面を所定の温度に調整する温度調整回路を示すもので、901は温度検知センサ805の検出出力と基準信号Vrとを比較器904で比較して、ON/OFF信号を出力する制御信号発生部、902は上記ON/OFF信号を受けてハロゲンヒータ804と交流電源903の接続回路をON/OFFしてハロゲンヒータ804の温度調整を行うスイッチング部である。
【0005】
上記ハロゲンヒータ804のオン・オン制御による加熱ローラ802の温度調整方式では、その構造上輻射熱により加熱ローラ802を加熱する間接加熱のため、発生熱の一部が対流熱として失われると共に、加熱ローラ全体を一様に加熱することから放熱量も大きくなり、熱効率が非常に悪く、消費電力が大きくなるといった欠点がある。
【0006】
また、安定した定着性を得るためには、加熱ローラ802の温度変動を小さくしなければならず、その結果として熱容量の大きな加熱ローラ802が必要となるため、目標温度に対して加熱ローラ温度が十分低い場合に、装置全体での消費電力量から規定された電力範囲内で定着可能温度まで加熱ローラ802を加熱するには、間接加熱による熱効率の悪さと相まって、時間がかかるという欠点にも繋がっていた。
【0007】
このような欠点を改善し、高効率で、高速な昇温特性を特徴とする加熱方式として誘導加熱方式が提案されている。この誘導加熱方式とは、励磁コイルに高周波電流を流すことで発生する高周波磁界を加熱ローラの表層に作用させることで、加熱ローラ表面の導電層に渦電流を発生させ、その渦電流によるジュール熱により加熱ローラを直接加熱するため、発熱効率が高く、高速昇温が可能となっている。また、その発熱量は、供給電力に比例するため、供給電力の可変制御により加熱ローラの温度制御が高速かつ容易に可能であり、電力を有効に利用できるため省電力化も図れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように高効率・高速加熱などの利点を備える誘導加熱方式は、励磁コイルと、それに並列接続されたコンデンサにより共振回路を構成させる電圧共振型インバータを用いられることが多く、供給電力の可変制御は半導体スイッチング素子のオフ期間を一定とし、ON期間を変更することで励磁コイルに流れる高周波電流を制御して電力を可変させる周波数変調制御を採ることが一般的であった。
【0009】
この電圧共振型インバータの特徴としては図12に示すように半導体スイッチング素子がターンオン・ターンオフする場合にスイッチング素子の両端電圧が零電圧のときにスイッチング動作が行えるため、基本的にスイッチング時の損失が発生しないという利点がある。ここで、図12は上から、零電圧スイッチング時のLC共振回路の各電流波形、半導体スイッチング素子の両端電圧波形、半導体スイッチング素子の電流波形を示しており、適切な零電圧スイッチング動作時には半導体スイッチング素子の両端電圧が零になってからターンオン及びターンオフしているため、スイッチング時の電力損失は発生しない。
しかしながら、共振作用による零電圧スイッチングが行える条件としては、励磁コイルと共振用コンデンサのインピーダンスZr、及び出力エネルギーPoと入力電圧Vinにより決定され、インピーダンスZrが一定であれば、出力電力がある値以上でないとならない。
【0010】
つまり、この方式では加熱対象が目標温度に到達し、かつ、コピー枚数が少ない場合などで熱が奪われることなく動作している軽負荷状態などでは、供給電力量を下げるためにON期間を絞っていかなければならず、ある電力量以下では十分な共振エネルギーが確保出来ないために、図13に示すように零電圧スイッチングが行えずに半導体スイッチング素子での損失が著しく増大することになり、半導体スイッチング素子の発熱による劣化、や熱破壊を招く危険性があった。ここで、図13は図12と同じ部位毎の波形を示したものであるが、零電圧スイッチングが行えていないために、スイッチング素子に過大な電流が流れていることによりターンオン時に電力損失が発生していることを示している。
【0011】
また逆に、電源投入時やコピー開始時など、加熱ローラの温度が十分に下がっている状態において、目標温度である200℃前後まで加熱を開始する場合には最大ON期間で半導体スイッチング素子を駆動することになる。そこで、前述したような軽負荷時においても零電圧スイッチングが可能となるように共振インピーダンスを大きくした場合には、共振電圧が大きくなりすぎて半導体スイッチング素子の耐圧をオーバすることになる。さらには交流電源電圧の変動により、入力電圧が変動していた場合には最大ON期間での駆動と相まって、半導体スイッチング素子に過大な電流が流れることにもなり、過大な電圧・電流が半導体素子に印加されることにより、やはり半導体スイッチ素子の破壊を招く危険性があった。
【0012】
従って、使用する半導体スイッチング素子の最大定格には、定格入力電圧時の動作電圧・電流値に対して十分に大きなマージンを採る必要が生じるため、コストが高い半導体スイッチング素子を使用せざるを得ないという課題があった。
【0013】
本発明は上記のような従来の課題を解決するために提案するものであり、共振作用が行われないような小さい電力値の電力の供給を防止し、半導体スイッチング素子の劣化や破壊なしに電力の供給不足を解消することが可能な、記録材上の画像を加熱する、誘導加熱方式の像加熱装置を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成を有することを特徴とする像加熱装置である。
【0018】
(1)
1)加熱ローラと、
2)前記加熱ローラの近傍に設けた励磁コイルと、
3)前記加熱ローラの温度を検知する温度検知手段と、
4)商用交流電源の入力部に設けられた入力電圧検出手段と、高周波電流を生成するスイッチング手段と、前記励磁コイルと電気的に並列に接続されて充電と放電を行うコンデンサと、前記スイッチング手段により発生する高周波電流を検出する電流検出手段と、前記スイッチング手段を駆動するスイッチング駆動手段と、を備え、前記励磁コイルに高周波電流を供給する誘導加熱電源と、
を有し、記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
前記コンデンサと前記励磁コイルの間で共振作用を生じさせるために励磁コイルに印加する最低電力値が設定され、この最低電力値以上の電力が前記励磁コイルに印加される場合には前記励磁コイルに印加する必要な電力値での電力制御が行われ、最低電力値が印加される場合の前記スイッチング手段のオン期間とオフ期間が前記入力電圧検知手段で検知された入力電圧から算出される係数を用いてそれぞれ設定され、前記励磁コイルに印加する必要な電力値が前記最低電力値を下回る場合には、前記設定された前記スイッチング手段のオン期間とオフ期間による最低電力値を間欠的に印加する電力制御が前記温度検知手段の検知温度に基づいて行われることを特徴とする像加熱装置。
【0019】
(2)前記電力制御をデジタル制御としたことを特徴とする(1)に記載の像加熱装置。
【0020】
(3)前記デジタル制御をデジタルシグナルプロセッサを用いてソフト的行うことを特徴とする(2)に記載の像加熱装置。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面について説明する。
【0024】
(参考例)
図1は誘導加熱方式の像加熱装置を加熱定着装置として適用した画像形成装置の概要を示すもので、この画像形成装置は、大きく分けて加熱定着装置100、画像形成装置全体の制御回路110、誘導加熱電源120とで構成されている。
【0025】
101は加熱ローラ、102は励磁コイル、106は加熱ローラ101の温度制御用に用いられる非接触サーミスタ、107は加熱ローラの過昇温を検出するためのサーミスタであり、これ等は上記加熱定着装置100を構成する主な部位である。111はA/Dコンバーター、112はCPU、113はインターフェースであり、これ等は画像形成装置全体の制御回路110を構成する主な部位ある。
【0026】
121は入力の商用交流電源002からの交流電圧を整流するための整流ダイオード、122は共振用コンデンサ、123は半導体スイッチング素子、124は前記半導体スイッチング素子123を駆動するための駆動回路、125はスイッチング電流に流れる電流量を検出するための電流検出回路、126は入力電圧検出回路、128は励磁コイル102に高周波電力を供給する誘導加熱定着制御回路、127は非接触サーミスタ106からの検出値から加熱ローラ101の表面温度を算出するための温度検出回路であり、これ等は上記誘導加熱電源120を構成する主な部位である。
【0027】
ここで、装置全体の制御回路110の動作の概略について説明する。
【0028】
画像形成装置は、主スイッチ001のオンにより商用交流電源002から電力供給が行われ、不図示の直流電源から装置全体の制御回路110へ電力供給が開始され、装置のシーケンス制御がCPU112と不図示のROM・RAMに記憶されたプログラム及びデータを元に行われることになる。
【0029】
これにより起動後、もしくは画像形成装置への外部からの画像形成要求信号に応じて、CPU112では不図示のROM内に記憶されたプログラムに従って給紙・画像形成・定着・排紙等の一連の静電複写動作を、各部での検出・制御(メインモータ203,排紙センサ202,分離センサ201)を行うと共に、所定の目標温度データと稼働開始信号を誘導加熱電源120の誘導加熱制御回路128へ送信することで加熱動作が実行される。
【0030】
次に加熱定着装置100の構成を図2に、加熱原理の簡易的な説明を図3に示す。図2は加熱定着装置100を横から見た図である。
【0031】
加熱ローラ101は、表面離型性を高めるために表面に樹脂コーティングまたは金属メッキなどの表面処理501が施されている鉄製の中空ローラである。この加熱ローラ101内部には、励磁コイル102とI字型コア(以下、Iコアと称する)103とからなる磁気回路を、加熱ローラ101の長手方向、つまり軸線方向に配置し、励磁コイル102はIコア103を取り巻くように配置されている。
【0032】
Iコア103は高い透磁率を有するフェライトなどで構成することにより、励磁コイル102により発生させた磁界を有効に加熱ローラ表面に作用させる。ここで、励磁コイル102の巻き線を示す○中に"・"が付されている線、"×"が付されている線はそれぞれ同じ向きに電流が流れることを示している。
【0033】
加熱動作は図3に示すように、励磁コイル102に交流電力を印加することで、交流磁界51を発生させ、対向する加熱ローラ101の表面に渦電流52を発生させる。その渦電流52が加熱ローラ表面を流れることで、加熱ローラ101の固有抵抗成分によるジュール熱が該加熱ローラ表面に発生し、加熱ローラ表面が自己発熱することになる。この時、高透磁率を有するIコア103に磁界が集中することで、加熱ローラ101のIコア103に向かい合った部分に多くの渦電流による発熱が引き起こされることとなる。そして、励磁コイル102に投入された電力が大きいほど、発生する交流磁界およびジュール熱も大きいものとなる。
【0034】
このようにして加熱ローラ101は所定の温度に発熱され、図2に図示しない駆動源により矢印方向に回転する加熱ローラ101および加圧ローラ502の間を、トナー画像811の形成された記録紙810が通過することで、記録紙上にトナー画像が定着される。
【0035】
図4は誘導加熱電源120の回路構成を示す図であり、図5は電力可変制御のフローチャートを示す図であり、以下図4、図5を用いて動作を説明する。
【0036】
商用交流電源002が電源スイッチ001のオンにより入力されると、交流電圧は整流ダイオード121により全波整流される。全波整流された電圧はノイズフィルタを構成するコモンモードチョークコイル401とコンデンサ402を介して、励磁コイル102と共振用コンデンサ122で形成される並列共振回路と、その並列共振回路と直列に接続される半導体スイッチング素子123間に印加される。
【0037】
誘導加熱定着制御回路128は、入力電圧検出回路126と、コイル電流検出回路125で得られた値から入力電力を演算するとともに、非接触サーミスタ106で検出された加熱ローラ101の表面温度データを温度検出回路127を介して得て、装置全体の制御回路110のCPU112からの目標温度データと比較演算を行うことで、励磁コイル102へ供給する電力を決定し、加熱ローラ101の表面温度が目標温度となるようにPWM制御信号を生成して、駆動回路124により半導体スイッチング素子123を高速でオン・オフ駆動を行う。
【0038】
半導体スイッチング素子123がオン状態となると、整流された入力電圧が励磁コイル102に印加される。半導体スイッチング素子123がオフ状態となると、導通時に流れていた電流レベルに応じて励磁コイル102に逆起電力が発生し、この逆起電力が並列接続された共振用コンデンサ122に充電される。
【0039】
これにより共振用コンデンサ122の両端電圧は、励磁コイル102と共振用コンデンサ122の共振作用により正弦波状に上昇し、励磁コイル102の蓄積エネルギーが無くなった時点で最大電圧に達する。共振コンデンサ122への充電電圧が最大電圧に達すると、今度は逆に共振用コンデンサ122から励磁コイル102に向けて電流が流れ、共振用コンデンサ122の電圧が低下する。コンデンサ122の両端電圧がゼロ以下になると、半導体スイッチング素子123に寄生しているダイオード、もしくは両端に接続されるフライホイールダイオード403がオンとなり、半導体スイッチング素子123の両端電圧はダイオードの順方向電圧(0.6〜1.0V)レベルにクランプされる。その後、再び半導体スイッチング素子123がオンされれば、励磁コイル102に電流が流れるということを繰り返すことで、励磁コイル102にはPWM信号に応じた周波数の高周波の交流電流が流れ続け、高周波磁界を発生させる。
【0040】
加熱ローラ101の発熱原理は前述したとおりであり、これにより検出した温度に応じたPWM信号を生成し、半導体スイッチング素子123を駆動することで加熱ローラ表面を任意の温度に制御することが可能となる。また、加熱開始時および通常動作時において、このPWM信号は前記入力電圧検出回路126の検出値である入力電圧に応じて、そのスイッチング周波数およびオフ期間を可変調整する。
【0041】
以下ではこのスイッチング周波数の可変調整機能の詳細を説明する。
【0042】
誘導加熱定着制御回路128はデジタルシグナルプロセッサ(以下、DSPと称する)で構成される。ここでは図に示すように各検出回路からのアナログ信号をデジタル信号へ変換するためのA/Dコンバータ(ADC)128a、半導体スイッチング素子(PWM1)128bのオン・オフ制御信号であるPWM信号の周波数を決定するためのタイマーユニット(TIMER)128c、オン・オフ比率を決定するための比較ユニット(Compare)128dからなるPWMユニット、シリアル通信のインターフェース128e、プログラムおよび検出回路からの値を格納するためのROM、RAMが一体となっているメモリ128f(TMS320C24xシリーズ等)を例に説明する。
【0043】
半導体スイッチング素子123のオン・オフ駆動を制御するPWM信号は、図5に示すようにPWMユニットの構成要素であるタイマーユニット128c、比較ユニット128dにおいて、スイッチング周期はタイマーユニット128cのタイマ周期レジスタTMxPRに周期値を設定し、オン・オフ比率は比較ユニット128dのTxCMPRレジスタにその比較値を設定することで生成される。具体的には図に示すようにTMxPRにカウント値として0h〜FFFFhを設定すると、それがPWM信号の1サイクルとして定義される。ここで、オン・オフ期間をどのレベルで設定するかは比較値であるTxCMPRに同様にカウント値として0h〜FFFFhの間での値を設定することによってなされる。この図においては周期をTMxPR=10として設定し、比較値TxCMPR=5とした場合にはデューティ50%のPWM信号が生成され、周期TMxPR=9、比較値TxCMPR=11とした場合には全期間オフ期間として設定されることを示す。
(この図では簡単のためタイマ周期値は小さい値としてあるが、実際には最大電力時の最大オン幅を最大周期:FFFFhとなるよう設定する)。
【0044】
各設定値は1周期毎に変更可能であり、ここでは図7に示すようにサーミスタ106で検出された加熱ローラ101の表面温度と目標温度との温度差分に応じた加熱に必要な目標電力を算出し、また、入力電圧検出回路126およびコイル電流検出回路125から得た値から供給電力を積算し、供給電力が目標電力となるように半導体スイッチング素子123のオン期間を誘導加熱定着制御回路128にて演算し、タイマ周期レジスタTMxPRに設定することで、オン期間を変更し、供給電力Poの増減制御を行う。
【0045】
ここで回路の損失を最大限減らし効率を良くするためには、供給電力Poと半導体スイッチング素子123のオン及びオフ期間は図8に示すような関係となる。これは確実な零電圧スイッチングを行うために、同一供給電力である場合、入力電圧が高いほど電流は少なくて済むためにON期間は短くなるが、逆に半導体スイッチング素子123の両端電圧が零になるまでの時間が伸びるに伴いオフ期間を拡げる必要があるためである。
【0046】
参考までに同一供給電力時にオフ幅固定として入力電圧を変化させた場合の半導体スイッチング素子123の両端電圧波形を図6に示す。図6は上側が半導体スイッチング素子のスイッチング時の両端電圧を示し、下側が素子に流れる電流を示しているものである。この図からオフ幅を固定とした場合に、入力電圧が変化した場合に半導体スイッチング素子の両端電圧が零になりきれないうちに、オンすることになるため、オン時に過大な電流が半導体スイッチング素子に流れて、素子での電力損失が増大してしまうことが分かる。
このように入力電圧が変化した場合にオフ期間を補正しないと損失が激増することになる。したがって、入力電圧検出回路126の検出値に応じて、比較ユニット128cのTxCMPRレジスタを変化させる制御を行う。
【0047】
以上のような制御処理は図9に示すフローチャートにより実現される。図9について説明すると、加熱開始FLAGオンすると、入力電圧検出値読み込み処理ST1、下記の式による電圧補正値演算処理ST2
Figure 0003902937
最大オン幅補正演算処理ST3
ex:ton#max=(ip#max/Vrate xL)×α
()内は定数
加熱ローラ表面温度検出値読み込み処理ST4、検出温度<目標温度かを判断しST5、いいえのときはST6に移行して、
ex:TMxPR=10
TxCMPR=20
のPWM出力停止処理を行いST1に戻る。
【0048】
上記ST5の判断において、はいの場合はST7に移行し
ex:(検出温度−検出温度)×PK
PK:単位温度当たりの必要電力
の目標電力演算処理を行う。
【0049】
ついで、コイル電流検出値読み込み処理ST8、供給電力演算処理(入力電圧×コイル電流)ST9、オン幅(駆動周波数)演算処理ST10
ex:ton#op=(目標電力−供給電力)
×(1/最大供給可能電力)×Gain
を行う。引き続き
ex:ton#op=α×供給電力
×(1/最大供給可能電力)×toff#max
のオフ幅補正演算処理ST11を行った後、ST12で、ton#op>ton#maxかを判断し、はいの場合は最大オン幅設定処理ton#op=ton#maxを行いST13、上記判断がいいえの場合とともに
ex:TMxPR=ton#op
TxCMPR=toff#op
のPWM設定処理ST14を行い、ST1に戻る。
【0050】
これらはソフトでのデジタル制御による方法を紹介したが、ハード的なデジタル制御でも可能である。
【0051】
これにより、半導体スイッチング素子123のオン・オフ駆動を開始する前に、入力電圧に応じて最大オン期間を設定することができ、未然に半導体スイッチング素子123に過大な電流が流れることを防止することができると共に、それによる過大な共振電圧が半導体スイッチング素子123に印加されることも回避することができる。また、加熱動作中は逐次入力電圧、供給電力の値を参照することで確実な零電圧スイッチングを行うことで、不要な電力損失の発生を防ぐと共に、半導体スイッチング素子123での発熱による劣化・破壊を防ぐことが可能となる。
【0052】
(実施例)
本実施例は参考例と同じ構成において、供給電力がある規定値以下になった場合に通常のPWM制御から、加熱ローラ101の表面温度の検出値に応じた間欠制御を行う構成とした点が参考例と異なる。これは、課題において前述したようにLC共振作用による零電圧スイッチングが行える条件としてあるレベル以上の電力が必要になるためである。
【0053】
図10は本実施例での加熱ローラ101への供給電力と、半導体スイッチング素子123のオン期間及びオフ期間との関係を示す。このように規定の電力Plim以下での加熱動作を行う場合には、零電圧スイッチングが可能となるだけの共振エネルギーが確保できる最低ON期間を設定し、さらにその場合に零電圧スイッチング可能な最大オフ期間を設定し、設定固定のまま動作させ、検出温度が目標温度以上になったら動作を休止させ、目標温度以下、もしくはある幅を設定した目標下限温度以下になったら、再度同様に動作を開始させる構成としている。
【0054】
この制御処理は図11に示すフローチャートにより実現される。図11について説明すると、前記図9におけるフローチャートのステップST7の後に目標電力>制御切換電力かを判断するステップST21を設けたもので、この判断ではいの場合は、図9のステップST8からステップST14の処理を行い、上記の判断がいいえの場合は、最小オン幅入力電圧補正処理ST22
ex:ton#op=ton#min×β
ついで、オフ幅補正演算処理ST23
Figure 0003902937
()内は定数
を行った後、加熱ローラ表面温度検出値読み込み処理ST24、
検出温度>目標下限温度かを判断しST25、はいの場合はステップST1に戻り、いいえの場合はステップST14に移行する。
【0055】
これにより、共振エネルギーが得られず零電圧スイッチングが不可能な領域を無くすことが可能となり、より効率の良い熱定着器を実現できる。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、コンデンサと励磁コイルの間で共振作用を生じさせるために励磁コイルに印加する最低電力値が設定され、この最低電力値以上の電力が前記励磁コイルに印加される場合には励磁コイルに印加する必要な電力値での電力制御が行われ、最低電力値が印加される場合のスイッチング手段のオン期間とオフ期間が入力電圧検知手段で検知された入力電圧から算出される係数を用いてそれぞれ設定され、励磁コイルに印加する必要な電力値が最低電力値を下回る場合には、設定されたスイッチング手段のオン期間とオフ期間による最低電力値を間欠的に印加する電力制御が前記温度検知手段の検知温度に基づいて行われることを特徴とする。
この特徴構成により、共振作用が行われないような小さい電力値の電力の供給を防止するために最低電力値を設定する際に、入力電圧が変動してもゼロクロススイッチングを行いながら電力の供給不足を解消することができる。
【0057】
この発明によれば、電力制御手段をデジタル制御するように構成したので、制御を高精度に行うことができる。
【0058】
この発明によれば、デジタル制御をデジタルシグナルプロセッサを用いて行うように構成したので、制御をソフト的に高精度に行うことができる。
【0059】
この発明によれば、加熱装置において、誘導加熱電源は、商用交流電源の入力部に設けた入力電圧検出手段と、前記高周波電流を生成するスイッチング手段と、コンデンサ及び前記励磁コイルからなる共振手段と、前記スイッチング手段により発生する高周波電流を検出する電流検出手段と、前記スイッチング手段を駆動するスイッチング駆動手段と、前記加熱ローラの温度を検出する温度検出手段とを備え、前記スイッチング手段のオン・オフ期間を、前記温度検出手段で検出された温度に基づいて制御する電力制御手段は、前記入力電圧検出手段で検出された入力電圧に応じて、前記オン期間・オフ期間を補正する機能を備え、負荷に供給する電力が所定の電力以下になった場合に間欠動作を行う構成としたので、入力電圧が変動して定格電圧以上の電圧が入力された場合にも、ON期間増大による過大電流や、それに伴う共振電圧の増大による過大電圧の発生による半導体スイッチング素子へのダメージを抑制すると共に、入力電圧と励磁コイルへの供給電流から励磁コイルへの供給電力を算出することで、その電圧と電力から最適なオフ期間を設定し、確実な零電圧スイッチングを実現することが可能となり、半導体スイッチング素子での電力損失を抑え、発熱による素子の劣化や破壊を無くし、複写機全体での信頼性の向上と省電力化を図ることが可能となる。
【0060】
この発明によれば、電力制御手段をデジタル制御するように構成したので、制御を高精度に行うことができる。
【0061】
この発明によれば、デジタル制御をデジタルシグナルプロセッサを用いて行うように構成したので、制御をソフト的に高精度に行うことができる。
【0062】
この発明によれば、表面に未定着トナー画像が形成されている記録紙を挟圧搬送して該記録紙上に該未定着トナー画像を加熱定着する加熱定着装置において、前記記録紙を加熱する加熱装置として本発明の加熱装置を備えたので、電力損失の少ない高効率な加熱定着装置を実現可能であり、発熱などによる機器の信頼性の低下を防止することが可能であり、常に安定した加熱定着処理を行うことである。
【0063】
本発明によれば、記録紙上に直接または間接に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記記録紙上に形成された未定着トナー画像を該記録紙上に加熱定着する加熱定着手段とを画像形成装置において、前記加熱定着手段として本発明の加熱定着装置を備える構成としたので、発熱などによる機器の信頼性の低下を防止することが可能であり、常に安定して高精度のプリントができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体ブロック図
【図2】熱定着装置の構成図
【図3】導加熱の動作説明図
【図4】導加熱電源のブロック図
【図5】SPによるPWM制御信号生成方法の説明図
【図6】 オフ期間の入力電圧による補正をしない場合の半導体素子での電圧電流波形
【図7】 加熱ローラの表面温度と供給電力の関係図
【図8】給電力オン・オフ期間の入力電圧による変動の説明図
【図9】 参考例の制御動作を説明するフローチャート
【図10】 実施例の供給電力オン・オフ期間の入力電圧による変動の説明図
【図11】 実施例の制御動作を説明するフローチャート
【図12】 電圧共振インバータの動作波形(オフ幅:適切)
【図13】 電圧共振インバータの動作波形(オフ幅:不適切)
【図14】 従来の加熱定着装置の構成図
【図15】 従来の加熱定着装置の温度制御構成図
【符号の説明】
002 交流電源
100 加熱定着装置
110 画像形成装置全体の制御回路
120 誘導加熱電源
101 加熱ローラ
102 励磁コイル
106 サーミスタ
107 サーミスタ
111 A/Dコンバーター
112 CPU
113 インターフェース
120 誘導加熱電源
121 整流ダイオード
122 共振用コンデンサ
123 半導体スイッチング素子
124 駆動回路
125 電流検出回路
126 入力電圧検出回路
127 温度検出回路
128 誘導加熱定着制御回路

Claims (3)

  1. 1)加熱ローラと、
    2)前記加熱ローラの近傍に設けた励磁コイルと、
    3)前記加熱ローラの温度を検知する温度検知手段と、
    4)商用交流電源の入力部に設けられた入力電圧検出手段と、高周波電流を生成するスイッチング手段と、前記励磁コイルと電気的に並列に接続されて充電と放電を行うコンデンサと、前記スイッチング手段により発生する高周波電流を検出する電流検出手段と、前記スイッチング手段を駆動するスイッチング駆動手段と、を備え、前記励磁コイルに高周波電流を供給する誘導加熱電源と、
    を有し、記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
    前記コンデンサと前記励磁コイルの間で共振作用を生じさせるために励磁コイルに印加する最低電力値が設定され、この最低電力値以上の電力が前記励磁コイルに印加される場合には前記励磁コイルに印加する必要な電力値での電力制御が行われ、最低電力値が印加される場合の前記スイッチング手段のオン期間とオフ期間が前記入力電圧検知手段で検知された入力電圧から算出される係数を用いてそれぞれ設定され、前記励磁コイルに印加する必要な電力値が前記最低電力値を下回る場合には、前記設定された前記スイッチング手段のオン期間とオフ期間による最低電力値を間欠的に印加する電力制御が前記温度検知手段の検知温度に基づいて行われることを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記電力制御をデジタル制御としたことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記デジタル制御をデジタルシグナルプロセッサを用いてソフト的行うことを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。
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