JP3893957B2 - 変速操作装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された変速機の変速操作を行うための変速操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
変速機の変速操作を行う変速操作装置は、シフトレバーをセレクト方向に作動するセレクトアクチュエータと、該シフトレバーをシフト方向に作動するシフトアクチュエータとからなっている。
このようなセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータとしては、一般に空気圧や油圧等の流体圧を作動源とした流体圧シリンダが用いられている。この流体圧シリンダを用いたセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータは、流体圧源と各アクチュエータとを接続する配管が必要であるとともに、作動流体の流路を切り換えるための電磁切り換え弁を配設する必要があり、これらを配置するためのスペースを要するとともに、装置全体の重量が重くなるという問題がある。
また近年、圧縮空気源や油圧源を具備していない車両に搭載する変速機の変速操作装置として、電動モータによって構成したセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータが提案されている。電動モータによって構成したセレクトアクチュエータおよびシフトアクチュエータは、流体圧シリンダを用いたアクチュエータのように流体圧源と接続する配管や電磁切り換え弁を用いる必要がないので、装置全体をコンパクトで且つ軽量に構成することができる。しかるに、電動モータを用いたアクチュエータにおいては、所定の作動力を得るために減速機構が必要となる。この減速機構としては、ボールネジ機構を用いたものと、歯車機構を用いたものが提案されている。これらボールネジ機構および歯車機構を用いたアクチュエータは、ボールネジ機構および歯車機構の耐久性および電動モータの耐久性、作動速度において必ずしも満足し得るものではない。
【0003】
そこで、本出願人は、耐久性に優れ、かつ、作動速度が速いセレクトアクチュエータを備えた変速操作装置を、特願2001−013162として提案した。この変速操作装置は、セレクトアクチュエータがケーシングと、該ケーシング内に回転可能に配設され該シフトアクチュエータによってシフト方向に回動せしめられるコントロールシャフトと、該コントロールシャフトに軸方向に摺動可能に配設され該シフトレバーと一体的に構成されたシフトレバー支持部材としての筒状のシフトスリーブと、該シフトスリーブの外周面に配設された磁石可動体と、該磁石可動体を包囲して配設された筒状の固定ヨークと、該固定ヨークの内側に配設された一対のコイルとによって構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上述したセレクトアクチュエータはストロークエンド付近において推力が低下する特性を有しており、従って、変速機構のセレクト位置が多くセレクトストローク範囲が長い場合には、一対のコイルの軸方向長さを長くしなければならず、全体の軸方向長さが長くなる。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、変速機構のセレクト位置が多くセレクトストローク範囲が長い場合でも、ストロークエンド付近においても所定の推力を確保することができるセレクトアクチュエータを備えた変速操作装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するために、
変速機のシフトレバーをセレクト方向に作動するセレクトアクチュエータと、該シフトレバーをシフト方向に作動するシフトアクチュエータとを有する変速操作装置であって、
該セレクトアクチュエータは、ケーシングと、該ケーシング内に軸方向に摺動可能に配設され該シフトレバーを支持するシフトレバー支持部材と、該シフトレバー支持部材をセレクト方向である軸方向に作動せしめる第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータとを具備し、
該第1のアクチュエータおよび該第2のアクチュエータは、該シフトレバー支持部材の外周に配設された磁石可動体と、該磁石可動体を包囲して配設された筒状の固定ヨークと、該固定ヨークの内側に配設された一対のコイルとをそれぞれ具備するとともに、該セレクトアクチュエータには、該コイルに供給する電力量に対応して該シフトレバー支持部材に発生する推力に応じて該シフトレバー支持部材の作動位置を、両端の作動位置及び少なくとも1個の中間の作動位置に規制するセレクト位置規制手段が備えられており
該第1のアクチュエータおよび該第2のアクチュエータの該磁石可動体は、該シフトレバー支持部材に支持された該シフトレバーが中立位置に位置する状態において、該一対のコイルの中間位置から偏倚して設定されている、
ことを特徴とする変速操作装置が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された変速操作装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明に従って構成された変速操作装置の一実施形態を示す断面図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図2におけるB−B線断面図である。図示の実施形態における変速操作装置2は、セレクトアクチュエータ3とシフトアクチュエータ7とから構成されている。図示の実施形態におけるセレクトアクチュエータ3は、円筒状に形成され互いに連結された2個のケーシング31a、31bを具備している。左側のケーシング31aは、両端が開放されており、中央部の下部には開口311aが形成されている。右側のケーシング31bは、両端が開放されており、下部には下方の突出して形成されたシフトアクチュエータ取付部311bを備えている。このシフトアクチュエータ取付部311bは、右側のケーシング31bの一端側側方(図1および図2において右方)の下方に配置されており、ケーシングの軸方向に対して直角方向に開口312bが形成されている。また、シフトアクチュエータ取付部311bには、開口312bとケーシング31b内とを連通する空間313bが設けられている。
【0010】
上記のように構成された2個のケーシング31a、31b内にはコントロールシャフト32が配設されている。このコントロールシャフト32は、ステンレス鋼等の非磁性材によって構成され、摺動性の良好な合成樹脂からなる軸受ブシュ331、332、333によって軸方向に摺動可能で且つ回動可能に支持されている。コントロールシャフト32には、中央部の外周面に外歯スプライン321が形成されている。なお、コントロールシャフト32は、ケーシング31aの左端およびケーシング31bの右端からそれぞれ突出して配設されている。このように構成されたコントロールシャフト32には、シフトレバー34が装着されている。このシフトレバー34は、筒状の装着部341と該装着部341から径方向に突出して形成されたレバー部342とからなっており、装着部341がコントロールシャフト32にスプライン嵌合されている。このようにコントロールシャフト32に装着されたシフトレバー34の装着部341は、その両側においてコントロールシャフト32に装着されたスナップリング361、362によって軸方向の移動が規制されている。このためシフトレバー34は、コントロールシャフト32と一体的に作動する。従って、コントロールシャフト32は、ケーシング内に軸方向に摺動可能で且つ回動可能に配設されシフトレバーを支持するシフトレバー支持部材ととして機能する。なお、シフトレバー34のレバー部342は、図2に示すように左側のケーシング31aの下部に形成された開口311aを挿通して配設されている。シフトレバー34を構成するレバー部342の先端部は、第1のセレクト位置SP1、第2のセレクト位置SP2、第3のセレクト位置SP3、第4のセレクト位置SP4に配設された図示しない変速機のシフト機構を構成するシフトブロック301、302、303、304と適宜係合するようになっている。なお、図示の実施形態においては、第1のセレクト位置SP1は後進−1速段セレクト位置、第2のセレクト位置SP2は2速−3速段セレクト位置、第3のセレクト位置SP3は4速−5速段セレクト位置、第4のセレクト位置SP4は6速段セレクト位置に設定されている。
【0011】
上記コントロールシャフト32には、上記軸受ブシュ331と332との間において後述するシフトアクチュエータ7を構成する作動レバー70の基部が軸方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。なお、作動レバー70は、上記右側のケーシング31bに設けられたシフトアクチュエータ取付部311bに形成された空間313bに配設され、その先端(下端)が上記シフトアクチュエータ取付部311bに形成された開口312bの中心部に達している。
【0012】
図示の実施形態におけるセレクトアクチュエータ3は、左側のケーシング31aと右側のケーシング31bとからなるケーシングの両側にそれぞれシフトレバー支持部材としての上記コントロールシャフト32に沿って配設された一対のアクチュエータとしての第1のアクチュエータ6aと第2のアクチュエータ6bを具備している。第1のアクチュエータ6aは、ケーシング61と、該ケーシング61の中心部に軸方向に摺動可能で且つ回動可能に配設された上記コントロールシャフト32の外周面に配設された磁石可動体62と、該磁石可動体62を包囲してケーシング61の内側に配設された筒状の固定ヨーク63と、該固定ヨーク63の内側に軸方向に併設された一対のコイル64、65とを具備している。ケーシング61は、図示の実施形態においてはステンレス鋼やアルミニウム合金等の非磁性材によって円筒状に形成されており、右側のケーシング31bと結合される。
【0013】
磁石可動体62は、コントロールシャフト32の外周面に装着され軸方向両端面に磁極を備えた環状の永久磁石621と、該永久磁石621の軸方向外側に配設された一対の可動ヨーク622、623とによって構成されている。図示の実施形態における永久磁石621は、図1および図2において右端面がN極に着磁され、図1および図2において左端面がS極に着磁されている。上記一対の可動ヨーク622、623は、磁性材によって環状に形成されている。このように構成された磁石可動体62は、その両側においてそれぞれコントロールシャフト32に装着されたスナップリング624、625によって位置決めされて、軸方向の移動が規制されている。
【0014】
上記固定ヨーク63は、磁性材によって筒状に形成されており、上記ケーシング61の内周面に装着されている。固定ヨーク63の内側には、一対のコイル64、65が配設されている。この一対のコイル64、65は、合成樹脂等の非磁性材によって形成され上記固定ヨーク63の内周に沿って装着されたボビン66に捲回されている。一対のコイル64、65は、図示しない電源回路に接続するようになっている。
【0015】
上記ケーシング61の右端壁610には、その中心部に上記コントロールシャフト32が挿通する穴611が設けられている。この穴611を挿通して配設されるコントロールシャフト32は、穴611の内周面によって軸方向に摺動可能で且つ回動可能に支持される。
【0016】
次に、第2のアクチュエータ6bについて説明する。
なお、第2のアクチュエータ6bは上記第1のアクチュエータ6aと実質的に同一の構成であり、従って、同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。第2のアクチュエータ6bを構成するケーシング61は、左側のケーシング31aと結合される。なお、第1のアクチュエータ6aと第2のアクチュエータ6bは互いに対向して配設されているので、各構成部材は対称関係となる。
【0017】
ここで、第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bを構成する上記磁石可動体62と一対のコイル64、65との関係について説明する。
第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bの中立位置は、シフトレバー支持部材としてのコントロールシャフト32に支持されたシフトレバー34の中立位置(ニュートラル)と偏倚して設定されている。図示の実施形態においては、第1のアクチュエータ6aの磁石可動体62は、コントロールシャフト32に支持されたシフトレバー34が図1および図2に示す中立位置(ニュートラル)にある状態において、一対のコイル64、65の中間位置である中立位置から図1および図2に右側即ちコイル64側に所定のオフセット量Sだけ偏倚して設定されている。一方、第2のアクチュエータ6bの磁石可動体62は、コントロールシャフト32に支持されたシフトレバー34が図1および図2に示す中立位置(ニュートラル)にある状態において、一対のコイル64、65の中間位置である中立位置から図1および図2に左側即ちコイル64側に所定のオフセット量Sだけ偏倚して設定されている。
【0018】
第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bは以上のように構成されており、以下その作動について図4および図5を参照して説明する。
第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bは、それぞれコントロールシャフト32に配設された磁石可動体62と固定ヨーク63および一対のコイル64、65とによって構成されるリニアモータの原理によって作動する。
【0019】
第1のアクチュエータ6aには、図4の(a)、(b)に示すように永久磁石621のN極、一方の可動ヨーク622、一方のコイル64、固定ヨーク63、他方のコイル65、他方の可動側ヨーク623、永久磁石621のS極を通る磁気回路620が形成される。
コントロールシャフト32に支持されたシフトレバー34が中立位置(ニュートラル)にある図4の(a)で示す状態において、一対のコイル64、65に図4の(a)で示す方向にそれぞれ反対方向の電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32には図4の(a)において矢印で示すように右方に推力が発生する。一方、一対のコイル64、65に図4の(b)で示すように図4の(a)と反対方向に電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32には図4の(b)において矢印で示すように左方に推力が発生する。上記磁石可動体62即ちコントロールシャフト32に発生する推力の大きさは、一対のコイル64、65に供給する電力量によって決まる。
【0020】
一方、第2のアクチュエータ6bには、図5の(a)、(b)に示すように永久磁石621のN極、一方の可動ヨーク622、一方のコイル64、固定ヨーク63、他方のコイル65、他方の可動側ヨーク623、永久磁石621のS極を通る磁気回路620が形成される。
コントロールシャフト32に支持されたシフトレバー34が中立位置(ニュートラル)にある図5の(a)で示す状態において、一対のコイル64、65に図5の(a)で示す方向にそれぞれ反対方向の電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32には図5の(a)において矢印で示すように右方に推力が発生する。一方、一対のコイル64、65に図5の(b)で示すように図5の(a)と反対方向に電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32には図5の(b)において矢印で示すように左方に推力が発生する。上記磁石可動体62即ちコントロールシャフト32に発生する推力の大きさは、一対のコイル64、65に供給する電力量によって決まる。
【0021】
図示の実施形態におけるセレクトアクチュエータ3は、上記第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bを構成する磁石可動体62即ちコントロールシャフト32に発生する推力の大きさと協働してシフトレバー34を上記第1のセレクト位置SP1、第2のセレクト位置SP2、第3のセレクト位置SP3、第4のセレクト位置SP4に位置規制するための第1のセレクト位置規制手段51および第2のセレクト位置規制手段52を具備している。
第1のセレクト位置規制手段51は、シフトレバー34の装着部341の右側に配設されている。この第1のセレクト位置規制手段51は、コントロールシャフト32に沿って摺動可能に配設された環状の移動リング511と、該移動リング511の右方に配設され上記軸受ブシュ332との間に配設された筒状のスペーサ37によって図1および図2において右方への移動が規制された環状のストッパー512と、移動リング511とシフトレバー34の装着部341との間に配設された第1の圧縮コイルばね513と、移動リング511とストッパー512との間に配設された第2の圧縮コイルばね514と、左側のケーシング31aの内周に装着され、移動リング511の図示の位置から左方即ちシフトレバー34側への移動を規制するスナップリング515によって構成されている。なお、第2の圧縮コイルばね514のばね力は第1の圧縮コイルばね513のばね力より大きく設定されている。
【0022】
第1のセレクト位置規制手段51は以上のように構成されており、第1のアクチュエータ6aの一対のコイル64、65および第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65に供給する電力に対応して磁石可動体62即ちコントロールシャフト32の作動位置を次のように規制する。即ち、図1および図2に示す状態から上記第1のアクチュエータ6aの一対のコイル64、65に2.4Vの電圧で図4の(a)で示す方向にそれぞれ電流を流すとともに、第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65に2.4Vの電圧で図5の(a)で示す方向にそれぞれ電流を流すと、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32が第1の圧縮コイルばね513のバネ力に抗して図1および図2において右方に移動し、コントロールシャフト32に装着されたシフトレバー34の装着部341が移動リング511に当接して位置規制される。そして、シフトレバー34の装着部341が移動リング511に当接した状態においては、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32に発生する推力より第2の圧縮コイルばね514のばね力の方が大きくなるように設定されており、このため、移動リング511に当接したシフトレバー34の装着部341は移動リング511がスナップリング515に当接した位置に停止せしめられる。このとき、シフトレバー34は、第3のセレクト位置SP3に位置付けられる。次に、上記第1のアクチュエータ6aの一対のコイル64、65に4.8Vの電圧で図4の(a)で示す方向にそれぞれ電流を流すとともに、第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65に4.8Vの電圧で図5の(a)で示す方向にそれぞれ電流を流すと、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32に発生する推力が第2の圧縮コイルばね514のばね力より大きくなるように設定されており、このため、コントロールシャフト32に装着されたシフトレバー34の装着部341は移動リング511と当接した後に第2の圧縮コイルばね514のばね力に抗して図1および図2において右方に移動し、移動リング511がストッパ512に当接した位置で停止される。このとき、シフトレバー34は、第4のセレクト位置SP4に位置付けられる。
【0023】
次に、上記第2のセレクト位置規制手段52について説明する。
第2のセレクト位置規制手段52は、シフトレバー34の装着部341の左側に配設されている。この第2のセレクト位置規制手段52は、コントロールシャフト32に沿って摺動可能に配設された環状の移動リング521と、該移動リング511の左方に配設され上記軸受ブシュ333によって図1および図2において左方への移動が規制された環状のストッパー522と、移動リング521とシフトレバー34の装着部341との間に配設された第1の圧縮コイルばね523と、移動リング521とストッパー522との間に配設された第2の圧縮コイルばね524と、左側のケーシング31aの内周に装着され、移動リング511の図示の位置から右方即ちシフトレバー34側への移動を規制するスナップリング525によって構成されている。なお、第2の圧縮コイルばね524のばね力は第1の圧縮コイルばね523のばね力より大きく設定されている。
【0024】
第2のセレクト位置規制手段52は以上のように構成されており、第1のアクチュエータ6aの一対のコイル64、65および第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65に供給する電力に対応して磁石可動体62即ちコントロールシャフト32の作動位置を次のように規制する。即ち、図1および図2に示す状態から上記第1のアクチュエータ6aの一対のコイル64、65に2.4Vの電圧で図4の(b)で示す方向にそれぞれ電流を流すとともに、第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65に2.4Vの電圧で図5の(b)で示す方向にそれぞれ電流を流すと、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32が第1の圧縮コイルばね513のバネ力に抗して図1および図2において左方に移動し、コントロールシャフト32に装着されたシフトレバー34の装着部341が移動リング511に当接して位置規制される。そして、シフトレバー34の装着部341が移動リング511に当接した状態においては、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32に発生する推力より第2の圧縮コイルばね524のばね力の方が大きくなるように設定されており、このため、移動リング521に当接したシフトレバー34の装着部341は移動リング521がスナップリング525に当接した位置に停止せしめられる。このとき、シフトレバー34は、第2のセレクト位置SP2に位置付けられる。次に、上記第1のアクチュエータ6aの一対のコイル64、65に4.8Vの電圧で図4の(b)で示す方向にそれぞれ電流を流すとともに、第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65に4.8Vの電圧で図5の(b)で示す方向にそれぞれ電流を流すと、磁石可動体62即ちコントロールシャフト32に発生する推力が第2の圧縮コイルばね524のばね力より大きくなるように設定されており、このため、コントロールシャフト32に装着されたシフトレバー34の装着部341は移動リング521と当接した後に第2の圧縮コイルばね524のばね力に抗して図1および図2において右方に移動し、移動リング521がストッパ522に当接した位置で停止される。このとき、シフトレバー34は、第1のセレクト位置SP1に位置付けられる。
【0025】
以上のように、図示の実施形態においては第1のセレクト位置規制手段51および第2のセレクト位置規制手段52を設けたので、第1のアクチュエータ6aの一対のコイル64、65および第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65に供給する電力量を制御することにより、位置制御することなくシフトレバー34を所定のセレクト位置に位置付けることが可能となる。
【0026】
ここで、上記第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bの推力特性について、図6を参照して説明する。
図6において、横軸はセレクトストローク、縦軸は推力を示している。図6のセレクトストロークにおいて、Nはシフトレバー34が図1および図2に示す中立位置(ニュートラル)、SP1は上述した第1のセレクト位置、SP2は上述した第2のセレクト位置、SP3は上述した第3のセレクト位置、SP4は第4のセレクト位置である。図6において、曲線F1は第1のアクチュエータ6aの推力特性、曲線F2は第2のアクチュエータ6bの推力特性を示すものである。また、図6において曲線F3は第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bと同一容量のアクチュエータを1個使用した場合の推力特性を示すもので、アクチュエータが1個の場合はシフトレバー34の中立位置(ニュートラル)Nから左右に同一の推力が得られるようにアクチュエータの中立位置をシフトレバー34の中立位置(ニュートラル)Nと一致させることになる。曲線F1、F2、F3から明らかなようにアクチュエータの推力は、中立位置で最も大きく、ストロークエンドに行くに従って2次曲線的に低下する。
【0027】
図6において曲線F3で示すように、第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bと同一容量のアクチュエータを1個使用した場合には、第1のセレクト位置SP1から第4のセレクト位置SP4までのセレクトストローク範囲を所定の推力FP以上の推力をもってカバーすることができない。
第1のアクチュエータ6aは、上述したように磁石可動体62の中立位置をシフトレバー34の中立位置(ニュートラル)に対して右側即ちコイル64側に所定のオフセット量Sだけ偏倚し、中立位置が第1のセレクト位置SP1と第2のセレクト位置SP2との間に設定されているので、第1のセレクト位置SP1でも所定の推力FPより大きい推力が得られる。そして、第1のアクチュエータ6aは、シフトレバー34の中立位置(ニュートラル)Nより第3のセレクト位置SP3側の所定位置P1まで推力が得られるように設定されている。
また、第2のアクチュエータ6bは、上述したように磁石可動体62の中立位置をシフトレバー34の中立位置(ニュートラル)に対して左側即ちコイル64側に所定のオフセット量Sだけ偏倚し、中立位置が第3のセレクト位置SP3と第4のセレクト位置SP4との間に設定されているので、第4のセレクト位置SP4でも所定の推力FP大きい推力が得られる。そして、第2のアクチュエータ6bは、シフトレバー34の中立位置(ニュートラル)Nより第2のセレクト位置SP2側の所定位置P2まで推力が得られるように設定されている。
なお、シフトレバー34を中立位置から第1のセレクト位置SP1および第2のセレクト位置SP2側へ作動する場合には、第2のアクチュエータ6bの推力が零(0)となるストローク位置P2に達したら第2のアクチュエータ6bへの通電を停止する。一方、シフトレバー34を中立位置から第4のセレクト位置SP4および第3のセレクト位置SP3側へ作動する場合には、第1のアクチュエータ6aの推力が零(0)となるストローク位置P1に達したら第1のアクチュエータ6aへの通電を停止する。なお、第1のアクチュエータ6aと第2のアクチュエータ6bの推力が重複するストローク位置P1とP2の間は合成合成推力F4となる。
【0028】
次に、第1のアクチュエータ6aと第2のアクチュエータ6bの作動制御の他の実施形態について、図7を参照して説明する。
上述したように第1のアクチュエータ6aは磁石可動体62の中立位置をシフトレバー34の中立位置(ニュートラル)に対して右側即ちコイル64側に所定のオフセット量Sだけ偏倚して構成されているので、第3のセレクト位置SP3および第4のセレクト位置SP4側に作動する場合、推力が零(0)となるストローク位置P1を越える(磁石可動体62がコイル65から抜け出した状態)と図7において破線F11で示すように逆推力が発生する。従って、第1のアクチュエータ6aの一対のコイル64、65にこれまでの電流方向と逆方向の電流を流すと、第1のアクチュエータ6aは図7において破線F12で示すように推力が発生する。一方、第2のアクチュエータ6bは磁石可動体62の中立位置をシフトレバー34の中立位置(ニュートラル)に対して左側即ちコイル64側に所定のオフセット量Sだけ偏倚し、中立位置が第3のセレクト位置SP3と第4のセレクト位置SP4との間に設定されているので、第2のセレクト位置SP2および第1のセレクト位置SP1側に作動する場合、推力が零(0)となるストローク位置P2を越える(磁石可動体62がコイル65から抜け出した状態)と図7において破線F21で示すように逆推力が発生する。従って、第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65にこれまでの電流方向と逆方向の電流を流すと、第2のアクチュエータ6bは図7において破線F22で示すように推力が発生する。上記の点を考慮して、第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bの一対のコイル64、65に流す電流を、それぞれ推力が零(0)となるストローク位置P1およびP2に達したらこれまでと逆方向にすることにより、第1のアクチュエータ6aと第2のアクチュエータ6bによる合成推力は図7においてF5(F1+F22)およびF6(F2+F12)で示す推力が得られる。即ち、ストロークエンド付近(第1のセレクト位置SP1および第1のセレクト位置SP4)において大きな推力が得られる。なお、第1のアクチュエータ6aと第2のアクチュエータ6bの推力が重複するストローク位置P1とP2の間は合成合成推力F4となる。
【0029】
上述したように、第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bを用いることにより、変速機構のセレクト位置が多くセレクトストローク範囲が長い場合でも、ストロークエンド付近においても所定の推力を確保することができる。また、第1のアクチュエータ6aおよび第2のアクチュエータ6bは上記のようにセレクトストロークエンド(第1のセレクト位置SP1および第4のセレクト位置SP4)で大きい推力が得られるように設定されているので、セレクトストロークエンドでばね反力が最大となる上記第1のセレクト位置規制手段51および第2のセレクト位置規制手段52を備えた場合でも、十分に推力が確保できる。
【0030】
次に、シフトアクチュエータ7について、主に図3を参照して説明する。
図示のシフトアクチュエータ7は、上記コントロールシャフト32に装着された作動レバー70と、該作動レバー70を作動せしめる第1の電磁ソレノイド7aと第2の電磁ソレノイド7bを具備している。この第1の電磁ソレノイド7aと第2の電磁ソレノイド7bは、上記シフトアクチュエータ取付部311bの両側面に互いに対向して配設されている。
【0031】
次に、第1の電磁ソレノイド7aについて説明する。
第1の電磁ソレノイド7aは、筒状のケース71と、該ケース47内に配設された電磁コイル72と、該電磁コイル72内に配設された固定鉄心73と、該固定鉄心73の一端面(図3において右端面)と対向して同一軸上に配設された可動鉄心74と、該可動鉄心74に装着された作動ロッド75と、上記筒状のケース71の一端(図3において右端)に取り付けられたカバー76を具備している。上記電磁コイル72は、合成樹脂等の非磁性材からなる環状のボビン77に捲回されケース71の内周に沿って配設されている。上記固定鉄心73は、磁性材によって形成され、他端(図3において左端)にはフランジ部731が設けられており、このフランジ部731を介してケース71の他端側(図3において左端側)に装着されている。上記可動鉄心74は、磁性材によって形成され、固定鉄心73に対して軸方向に接離可能に構成されている。上記作動ロッド75は、ステンレス鋼等の非磁性材によって形成され、その一端部(図3において右端部)に小径部751が設けられている。このように構成された作動ロッド75は、小径部751を上記可動鉄心74の中央部に形成された穴741に挿通し、一端をカシメることにより可動鉄心74に装着する。このように構成された第1の電磁ソレノイド7aは、上記右側のケーシング31bに設けられたシフトアクチュエータ取付部311bの一側面にケース71が取付けボルト79によって装着され、作動ロッド75の先端が上記作動レバー70の先端部(下端部)に係合するようになっている。このようにしてシフトアクチュエータ取付部311bの一側面に装着された第1の電磁ソレノイド7aは、電磁コイル72に通電されると、可動鉄心74が固定鉄心73に吸引される。この結果、可動鉄心74に装着された作動ロッド75が図3において左方に移動し、その先端が上記作動レバー70に作用してコントロールシャフト32を中心として図3において時計方向に回動する。これにより、作動レバー70を装着したコントロールシャフト32が回動するので、該コントロールシャフト32に装着されたシフトレバー34が第1の方向にシフト作動せしめられる。
【0032】
次に、第2の電磁ソレノイド7bについて説明する。
なお、第2の電磁ソレノイド7bは上記第1の電磁ソレノイド6aと実質的に同一の構成であり、従って、同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。
第2の電磁ソレノイド7bは、上記シフトアクチュエータ取付部311bの他側面にケース71が取付けボルト78によって装着され、作動ロッド75の先端が上記作動レバー70の先端部(下端部)に係合するようになっている。このようにしてシフトアクチュエータ取付部311bの他側面に装着された第2の電磁ソレノイド7bは、電磁コイル72に通電されると、可動鉄心74が固定鉄心73に吸引される。この結果、可動鉄心74に装着された作動ロッド75が図3において右方に移動し、その先端が上記作動レバー70に作用して、コントロールシャフト32を中心として図3において反時計方向に回動する。これにより、作動レバー70を装着したコントロールシャフト32が回動するので、該コントロールシャフト32に装着されたシフトレバー34が第2の方向にシフト作動せしめられる。
【0033】
【発明の効果】
本発明による変速操作装置は以上のように構成されているので、変速機構のセレクト位置が多くセレクトストローク範囲が長い場合でも、ストロークエンド付近においても所定の推力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された変速操作装置を示す断面図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】図2におけるB−B線断面図。
【図4】図1に示す変速操作装置のセレクトアクチュエータを構成する第1のアクチュエータの作動状態を示す説明図。
【図5】図1に示す変速操作装置のセレクトアクチュエータを構成する第2のアクチュエータの作動状態を示す説明図。
【図6】図1に示す変速操作装置の構成するセレクトアクチュエータを構成する第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータの作動制御の一実施形態における推力特性を示す説明図。
【図7】図1に示す変速操作装置の構成するセレクトアクチュエータを構成する第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータの作動制御の他の実施形態における推力特性を示す説明図。
【符号の説明】
2:変速操作装置
3:セレクトアクチュエータ
32:コントロールシャフト
34:シフトレバー
51:第1のセレクト位置規制手段
511:移動リング
512:ストッパー
513:第1の圧縮コイルばね
514:第2の圧縮コイルばね
52:第2のセレクト位置規制手段
521:移動リング
522:ストッパー
523:第1の圧縮コイルばね
524:第2の圧縮コイルばね
6a:第1のアクチュエータ
6b:第2のアクチュエータ
61:ケーシング
62:磁石可動体
621:永久磁石
622、623:可動ヨーク
63:固定ヨーク
64、65:コイル
66:ボビン
7:シフトアクチュエータ
7a:第1の電磁ソレノイド
7b:第2の電磁ソレノイド
71:ケース
72:電磁コイル
73:固定鉄心
74:可動鉄心
75:作動ロッド
76:カバー
77:ボビン

Claims (1)

  1. 変速機のシフトレバーをセレクト方向に作動するセレクトアクチュエータと、該シフトレバーをシフト方向に作動するシフトアクチュエータとを有する変速操作装置であって、
    該セレクトアクチュエータは、ケーシングと、該ケーシング内に軸方向に摺動可能に配設され該シフトレバーを支持するシフトレバー支持部材と、該シフトレバー支持部材をセレクト方向である軸方向に作動せしめる第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータとを具備し、
    該第1のアクチュエータおよび該第2のアクチュエータは、該シフトレバー支持部材の外周に配設された磁石可動体と、該磁石可動体を包囲して配設された筒状の固定ヨークと、該固定ヨークの内側に配設された一対のコイルとをそれぞれ具備するとともに、該セレクトアクチュエータには、該コイルに供給する電力量に対応して該シフトレバー支持部材に発生する推力に応じて該シフトレバー支持部材の作動位置を、両端の作動位置及び少なくとも1個の中間の作動位置に規制するセレクト位置規制手段が備えられており
    該第1のアクチュエータおよび該第2のアクチュエータの該磁石可動体は、該シフトレバー支持部材に支持された該シフトレバーが中立位置に位置する状態において、該一対のコイルの中間位置から偏倚して設定されている、
    ことを特徴とする変速操作装置。
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