JP3864725B2 - 車両用シール部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のドアに装着される車両用シール部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両のドアウインドウガラス用開口部の周縁部には、ドアウインドウガラスの昇降動を案内するガラスランや、ドアのベルトライン部位においてドアウインドウガラスの車外側面または車内側面と当接してシールするとともにガラスの周縁をシールするアウタウェザストリップ、インナウェザストリップ等のシール部品が装着されている。また、これら各シール部品は、車室外から車室内への水、ほこり、騒音等の侵入を防止する役割も担っている。
【0003】
ガラスランは、ドアのウインドウフレームの上縁及び側縁に対して嵌合固定される断面略コ字形の基部としてのガラスラン本体と、ドアウインドウガラスの周縁の両側面にそれぞれ摺接する摺接部としての一対のシールリップとを有している。
【0004】
また、アウタウェザストリップ及びインナウェザストリップは、ドアのウインドウフレームの中間部をなすベルトライン部位に沿って配設される。この両ウェザストリップは、ドアパネルに対して、例えば別体のクリップ等を介して固定される基部としての支持部と、ドアウインドウガラスの外側面または内側面にそれぞれ摺接する摺接部としてのシールリップとを有している。前記支持部には、その形状を保持するための板金からなるインサートが埋設されている。そして、その両ウェザストリップは、その両端において、前記ガラスランに当接または連結されるようになっている。
【0005】
また、ドアウインドウガラスとしては、ほぼ平面状または昇降動方向および車両前後方向に僅かに湾曲したものが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、車両の外観に対する意匠性の向上要求がますます高まってきている。そして、この要求に対応すべく、全体的に丸みを帯びたボディを有する車両が製造されている。そして、更に意匠性を向上すべく、前記ボディの丸みに合わせて車両の上下方向及び前後方向に大きく湾曲させた、いわゆる三次元形状のドアウインドウガラスを備える車両が開発されつつある。
【0007】
ところが、このような三次元形状のドアウインドウガラスを昇降動可能に車両のドアに装着しようとすると、以下のような不具合が生じるおそれがある。
まず、ドアウインドウガラスを大きく湾曲する三次元形状とすることで、前記ウインドウフレームの各辺部における車両の左右方向の変位量が、従来のウインドウフレームの各辺部における車両の左右方向の変位量よりも大きく設定される場合がある。このように、前記ウインドウフレームの変位量が大きくなると、ドアウインドウガラスの外面と同外面に対向するウインドウフレームの内面との距離、及びドアウインドウガラスの内面と同内面に対向するウインドウフレームの内面との距離が部位によって大きく異なるようになる。
【0008】
このため、従来と同様の撓み代を有するように前記ガラスラン及び両ウェザストリップのシールリップを形成したのでは、前記距離の大きくなる部位において、シールリップのドアウインドウガラスの内面または外面に対する押圧力が小さくなるおそれがある。そして、このようにシールリップの押圧力が小さくなると、車室の内外をシールするシールリップのシール性が低下したり、ドアウインドウガラスのスムーズな昇降が損なわれたりすることがある。
【0009】
そこで、前記距離の大きくなる部位に合わせてドアウインドウガラスの内面または外面に当接するような撓み代を有するようにシールリップを形成することが考えられる。しかしながら、前記距離が大きくなる分だけシールリップがドアウインドウガラスに向かう方向に長くなり、シールリップの剛性が低下するおそれがある。このようにシールリップの剛性が低下すると、前記距離の大きくなる部位において、所望のシール圧でもって車室の内外をシールすることが困難になるおそれがある。
【0010】
なお、前記三次元形状のドアウインドウガラスを用いた場合に限らず、昇降動可能なドアウインドウガラスの前記開口部の周縁に配設される車両用シール部品であって、ドアのウインドウフレーム及びドアベルトライン部位の曲部形状とドアウインドウガラスの曲部形状とが異なる場合には、上記した問題点が共通したものとなっている。
【0011】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、シールリップによるシール性の低下を抑制することのできる車両用シール部品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、車両用シール部品に係る本願請求項1に記載の発明は、少なくともドアのウインドウガラス用開口部を構成するウインドウフレームの縦枠部に装着される基部と、該基部に一体形成され、昇降動可能なドアウインドウガラスの周縁部に摺接する摺接部とを有し、前記ドアウインドウガラスの昇降動を案内する車両用シール部品において、前記基部は、底壁部と、該底壁部の両端からほぼ垂直に延びる一対の側壁部とを備えるとともに、前記摺接部は、前記側壁部の先端に形成される第1の摺接部と、該第1の摺接部および前記底壁部の間に突設された屈曲部を介して形成される第2の摺接部とを備え、前記第2の摺接部の少なくとも一部を前記ドアウインドウガラス側に付勢するばね付勢手段を前記屈曲部内に設け、該屈曲部および該ばね付勢手段を、前記第2の摺接部がドアウインドウガラスに摺接した状態で前記基部の長手方向に対して直交する平面に投影したとき、その投影像が略V字状または略U字状となるように形成し前記ウインドウガラスの昇降に伴って変化するドアウインドウガラスとウインドウフレームとの距離に応じて前記略V字状または略U字状の一端部と他端部と接近又は復元する方向に弾性変形させることを要旨とするものである。
【0014】
願請求項1に記載の発明では、シール部品の第2の摺接部(シールリップ)は、屈曲部およびばね付勢手段により強制的にドアウインドウガラス側に付勢される。このため、ウインドウフレームとウインドウガラスとの距離の大きくなる部位であっても、所望のシール圧でもって第2の摺接部がドアウインドウガラスに摺接され、シール性の低下が抑制される。また、摺接部及びその根元部にスポンジ材を、例えば同時押出成形等により設け、そのスポンジ材の弾性力を付勢手段として利用する場合に比べて、ばね付勢手段による付勢力を大きなものとすることが可能となるとともに、付勢力の調節も容易であり、ドアウインドウガラスに対する摺接部の追従性が向上される。
また、第1の摺接部および底壁部の間に突設された屈曲部には、第2の摺接部を上記ばね付勢手段とともに配設するため、そのばね付勢手段の付勢力により、摺接部に基部に対して離間または接近しようとする力が働く。このため、その摺接部とドアウインドウガラスとの摺接がより確実なものとなる。
【0017】
また、本願請求項に記載の発明、前屈曲部およびばね付勢手段、前記摺接部がドアウインドウガラスに摺接した状態で前記基部の長手方向に対して直交する平面に投影したとき、その投影像が略V字状または略U字状となるように、その一端部と他端部とが接近する方向に弾性変形可能に形成している
【0019】
のように本願請求項に記載の発明では、屈曲部およびばね付勢手段は、外力によって、前記投影像の一端部が他端部に接近するように弾性変形しても、その外力が除荷されると、復元力によって元の状態に戻る。このため、ばね付勢手段のばね付勢力を利用することで、例えば三次元形状のドアウインドウガラスの昇降動の際、前記距離が大きくなったり、小さくなったりしても、その距離の変化に応じて摺接部の撓み量を変化させることが可能となる。
【0020】
また、本願請求項に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記ばね付勢手段は、その付勢力が前記基部の長手方向の一端から他端において連続的または断続的に付与されるように形成されてなることを要旨とするものである。
【0021】
例えば、部分的に形状が比較的大きく変化する三次元形状のドアウインドウガラスが用いられる場合では、その形状が比較的大きく変化する部分がある。これに対して、この本願請求項に記載の発明では、前記請求項1に記載の発明の作用に加えて、ドアウインドウガラスの形状が比較的大きく変化する部分であっても、その部分に対応するばね付勢手段の付勢力により、摺接部をドアウインドウガラスに摺接させ易くなる。また、ばね付勢手段を、基部の長手方向の一端から他端において断続的に付与するように形成した場合には、摺接部によるシール圧を強化したい部分にのみばね付勢手段を設けるといったシール圧の調整が容易となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下に、本発明を、車両用シール部品としてのガラスランに適用した第1の実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0030】
図1に示すように、車両のドアとしてのフロントドア11には、ドアウインドウガラス12の外周形状に対応したウインドウフレーム13が形成されている。そして、フロントドア11のベルトライン部位14と、ウインドウフレーム13の下辺部を除く他の辺部とでウインドウガラス用開口部100が形成されている。ここで、ドアウインドウガラス12は、車両のボディ(図示略)の丸みに合わせて、図1中に示す矢印A、すなわち車両の上下(高さ)方向、及び矢印B、すなわち車両の前後方向において大きく湾曲した形状、いわゆる三次元形状に形成されている。また、同ドアウインドウガラス12は、ウインドウフレーム13内を前記矢印Aの方向に昇降動可能に配設されている。
【0031】
ウインドウフレーム13には、その下辺部を除く他の辺部の内周側に、例えばエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等のゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマー、軟質ポリ塩化ビニル等の軟質合成樹脂、あるいは、これらのブレンド物から形成されるガラスラン20が前記他の辺部に沿って装着されている。
【0032】
このガラスラン20は、ウインドウフレーム13の横枠部13aに沿って装着される第1の押出成形部21と、同ウインドウフレーム13の縦枠部13bに沿って配設される第2の押出成形部22と、ドア11の内部に収容される第3の押出成形部23と、隣り合う押出成形部21〜23を連結する型成形部24とを有している。また、各押出成形部21〜23は、公知の押出成形法により成形され、所定の長さに裁断されたものとなっている。また、各型成形部24は、公知の射出成形法を用い、ウインドウフレーム13の角部等に対応するように成形されている。なお、押出成形部21〜23は、型成形部24の射出成形時に接合され、押出成形部21〜23と型成形部24とが一体化される。
【0033】
図3に示すように、前記第1の押出成形部21には、基部としての本体部25が断面略コの字状に形成されている。本体部25は、底壁部26と、その両端からほぼ垂直に延びる一対の側壁部、つまり車内側側壁部27及び車外側側壁部28とを備えている。また、車内側側壁部27は、その高さが車外側側壁部28よりも高く形成されている。
【0034】
また、各側壁部27,28には、摺接部としての一対のシールリップ29が突出形成されている。このシールリップ29は、各側壁部27,28の先端部が屈曲するかたちで形成され、ドアウインドウガラス12が前記ウインドウガラス用開口部100を開閉する時の昇降動でドアウインドウガラス12の周縁の内外両面に対して弾性的に当接して案内するようになっている。そして、シールリップ29は、ドアウインドウガラス12がウインドウガラス用開口部100を閉止した状態で車内外をシールする役割を担っている。
【0035】
また、各側壁部27,28には、それぞれ外方に向かって延びる保持リップ30が形成されている。そして、各保持リップ30が、前記ウインドウフレーム13の横枠部13a内に形成された保持溝15に係合することで、ガラスラン20の本体部25がウインドウフレーム13内に支持される。
【0036】
また、図2に示すように、前記第2及び第3の押出成形部22,23には、基部としての本体部25が断面略コの字状に形成されている。本体部25は、底壁部26と、その両端からほぼ垂直に延びる一対の側壁部、つまり車内側側壁部27及び車外側側壁部28とを備えている。これら各側壁部27,28の先端には、摺接部としての一対のシールリップ29が突出形成されている。また、車内側側壁部27には、そのシールリップ29と底壁部26との間に摺接部としての中間シールリップ31が形成されている。中間シールリップ31は、車内側側壁部27から車外側側壁部28に向かって突出する屈曲相当部としての屈曲部32の先端に形成され、同屈曲部32の屈曲により、シールリップ29よりも大きな撓み量でもって弾性変形可能となっている。これらシールリップ29,31は、ドアウインドウガラス12の内外面に対して弾性的に当接するようになっている。また、シールリップ29,31は、ドアウインドウガラス12と摺接することでその昇降を案内するとともに、ドアウインドウガラス12が前記ウインドウガラス用開口部100を閉止した状態で車内外をシールする役割を担っている。
【0037】
また、各側壁部27,28には、それぞれ外方に向かって延びる保持リップ30が形成されている。そして、保持リップ30が、前記ウインドウフレーム13の縦枠部13b内に形成された保持溝15に係合することで、本体部25がウインドウフレーム13内に支持される。
【0038】
ここで、上述のように、ドアウインドウガラス12は三次元形状に形成されている。そして、ドアウインドウガラス12の昇降動を可能とすべく、ウインドウフレーム13は、その車両の左右方向の幅W(図2(b)参照)が従来のウインドウフレームにおける車両の左右方向の幅よりも大きくなるように形成されている。そのため、図2(a)及び(b)に示すように、ドアウインドウガラス12の外面と同外面に対向するウインドウフレーム13の内面との距離W1(図2(b)参照)、及びドアウインドウガラス12の内面と同内面に対向するウインドウフレーム13の内面との距離W2(図2(b)参照)がウインドウフレーム13の部位によって大きく異なるようになる。このように距離W1、W2が大きく異なるようになると、前記屈曲部32自身の弾性力を利用して中間シールリップ31をドアウインドウガラス12に当接させるようにしたとしても、所望のシール圧でもって車室の内外をシールすることが困難になるおそれがある。
【0039】
そこで、本実施形態では、図2に示すように、第2及び第3の押出成形部22,23の屈曲部32に、中間シールリップ31をドアウインドウガラス12側に付勢するばね付勢手段としてのばね部材33が埋設されている。また、図3に示すように、このばね部材33は、第1の押出成形部21における各シールリップ29の屈曲相当部としての屈曲部29aにも埋設されている。このばね部材33は、屈曲部29a,32における本体部25の長手方向の一端から他端に亘って埋設されている。これにより、ばね部材33の付勢力が各屈曲部29a,32の各押出成形部21〜23の一端から他端において連続的に付与されるようになっている。
【0040】
図2(c)及び図4に示すように、ばね部材33は、線材としての1本の金属製ワイヤから構成される。ばね部材33は、シールリップ29がドアウインドウガラス12に摺接した状態で、前記本体部25の長手方向に対して直交する平面に投影したとき、その投影像が略V字状となるように形成されている。また、ばね部材33は、前記平面とほぼ平行に、且つ長手方向において等間隔に形成されるV字部33aと、各V字部33aの一端を接続するように形成される一端側接続部33bと、各V字部33aの他端を接続するように形成される他端側接続部33cとを備えている。なお、一端側接続部33bと他端側接続部33cとは、前記長手方向において交互に形成されている。また、各V字部33aは、一対の直線状のワイヤ34で互いに連結されている。
【0041】
このような構成のばね部材33は、例えば、次の手順により形成される。
まず、図5に示すように、前記金属製ワイヤの曲げ加工により、中央線mに直交する縦辺部33dと、同縦辺部33dに連続するとともに、前記中央線mに対して平行な上辺部33e及び下辺部33fとを形成する。その際、上辺部33eと下辺部33fとを交互に形成する。その後、各縦辺部33dにおける上辺部33e近傍及び下辺部33f近傍を、伸縮性に乏しいワイヤ34で連結する。これにより、ばね部材33が、後述する押出成形時に前記中央線m方向にほどんど伸長しないようにする。そして最後に、各縦辺部33dを、前記中央線mと交差する部分にてV字状に曲げ加工する。
【0042】
また、このように形成されたばね部材33は、各押出成形部21〜23の押出成形時、その押出成形部21〜23の成形材料と共に成形装置内に供給される。これにより、前記屈曲部29a,32にばね部材33が埋設された押出成形部21〜23が形成される。
【0043】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、押出成形部21〜23の屈曲部29a,32にばね部材33を設けた。これにより、シールリップ29,31は、ばね部材33のばね付勢力によって強制的にドアウインドウガラス12側に付勢される。このため、ウインドウフレーム13とウインドウガラス12との距離W1、W2の大きくなる部位があっても、シールリップ29,31を所望のシール圧でもってドアウインドウガラス12に確実に摺接させることができ、シール性の低下を抑制することができる。なお、第3の押出成形部23においては、シールリップ29,31をドアウインドウガラス12に所望のシール圧で摺接させることにより、ドアウインドウガラス12の昇降時におけるガタつきをより確実に抑制することができる。
【0044】
また、屈曲部29a,32にスポンジ材を、例えば同時押出成形等により設け、そのスポンジ材の弾性力を付勢手段として利用する場合に比べて、ばね部材33による付勢力を大きなものとすることができる。従って、シールリップ29,31のドアウインドウガラス12に対する追従性を向上することができる。
【0045】
(2)本実施形態では、金属製のワイヤからなるばね部材33を用いた。このため、押出成形部21〜23の屈曲部29a,32自身のゴム弾性力よりも大きな付勢力をその屈曲部29a,32に付与することができる。
【0046】
(3)また、ばね部材33の重量が小さくなり、ばね部材33を設けたことによるガラスラン20の重量の増加を小さく抑えることができる。
(4)本実施形態では、ばね部材33を、シールリップ29,31がドアウインドウガラス12に摺接した状態で押出成形部21〜23の本体部25の長手方向に対して直交する平面に投影したとき、その投影像が略V字状となるようにした。これにより、ばね部材33は、ドアウインドウガラス12の昇降動により生じる外力によって、V字部33aの一端側接続部33bと他端側接続部33cとが接近するように弾性変形しても、その外力が除荷されると、復元力によって元の状態に戻る。このため、ばね部材33のばね付勢力を利用することで、三次元形状のドアウインドウガラス12の昇降動の際、前記距離W1、W2が大きくなったり、小さくなったりしても、その距離W1、W2の変化に応じて屈曲部29a,32の撓み量を変化させることが可能となる。
【0047】
(5)本実施形態では、ばね部材33を、その付勢力が押出成形部21〜23の本体部25の長手方向の一端から他端において連続的に付与されるように設けた。このため、形状が比較的大きく変化する部分を有する三次元形状のドアウインドウガラス12の周縁に設けられるガラスラン20であっても、その部分に対応するばね部材33の付勢力により、シールリップ29,31をドアウインドウガラス12に摺接させ易くなる。
【0048】
(6)本実施形態では、ばね部材33を押出成形部21〜23の屈曲部29a,32に埋設した。このため、ガラスラン20を通常の組み付け作業でフロントドア11のウインドウフレーム13に装着させることができる。また、ばね部材33の劣化、脱落等の発生を抑制することができる。
【0049】
(変形例)
なお、本発明の第1の実施形態は、以下のように変形してもよい。
・前記実施形態では、第2及び第3の押出成形部22,23における中間シールリップ31の屈曲部32にばね部材33を埋設する構成とした。しかし、この第2及び第3の押出成形部22,23において、ばね部材33が埋設される位置は、中間シールリップ31の屈曲部32には限定されない。ばね部材33を例えば、車内側側壁部27と同車内側側壁部27に突出形成されるシールリップ29との間の屈曲部、車外側側壁部28と同車外側側壁部28に突出形成されるシールリップ29との間の屈曲部、そして屈曲部32と中間シールリップ31との間の屈曲部等に埋設する構成としてもよい。また、これら各屈曲部の少なくとも一箇所に埋設する構成としてもよい。
【0050】
・また、前記実施形態において、第2及び第3の押出成形部22,23の中間シールリップ31を省略した構成としてもよい。なお、そのようにした場合には、車内側側壁部27側のシールリップ29の高さを必要な分だけ大きくすることが望ましい。
【0051】
・また、前記実施形態において、車内側側壁部27のみならず、車外側側壁部28にも中間シールリップを形成する構成としてもよい。なお、このようにした場合には、この中間シールリップの屈曲部にばね部材を埋設することができる。
【0052】
・また、前記実施形態において、車内側側壁部27側のシールリップ29の先端部と、中間シールリップ31のドアウインドウガラス12に当接しない側の先端部とが接続されたような中空部を有するシールリップを形成する構成としてもよい。なお、このようにした場合には、ばね部材33を例えば、前記中空部の屈曲部に埋設することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、本発明を、ベルトライン部位に装着される車両用シール部品としてのアウタウェザストリップ又はインナウェザストリップに適用した第2の実施形態について、前記第1の実施形態と異なる部分を中心に図1及び図6を参照して説明する。
【0054】
図1に示すように、ウェザストリップとしてのアウタウェザストリップ40は、フロントドア11の外板11aのベルトライン部位14に沿って配設されている。
【0055】
アウタウェザストリップ40は、例えばエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等のゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマー、軟質ポリ塩化ビニル等の軟質合成樹脂、あるいは、これらのポリマーブレンド物から形成されている。このアウタウェザストリップ40は、公知の押出成形法により成形され、所定の長さに裁断されたものとなっている。
【0056】
また、アウタウェザストリップ40は、図6に示すように、ベルトライン部位14に保持される基部としての本体部41と、モール部42と、ドアウインドウガラス12の外面と摺接する摺接部としてのシールリップ43と、同じくドアウインドウガラス12の外面と摺接する摺接部としての水切りブレード44とを備えている。
【0057】
モール部42は、フロントドア11の外板11a側のフランジ部を覆う断面逆U字形の本体部41の外形面部分である。そして、アウタウェザストリップ40は、本体部41に外板11aのフランジ部を挟んでベルトライン部位14に取り付けられている。また、シールリップ43及び水切りブレード44は、本体部41のドアウインドウガラス12側において上下位置に若干の間隔をおいて本体部41から突出形成されている。
【0058】
シールリップ43は本体部41から斜め上方に突出形成され、その先端にはドアウインドウガラス12の外面に接触して、そのドアウインドウガラス12の外面を払拭可能な植毛45が施されている。シールリップ43の基端には薄肉部46が形成され、この薄肉部46を介してシールリップ43がドアウインドウガラス12の外面に対する接触位置と離間位置とに撓曲配置されるようになっている。また、この薄肉部46に対応したシールリップ43の下部には、窪み部47が形成されている。そして、この窪み部47には、ドアウインドウガラス12が上昇しきった際に、水切りブレード44のブレード側突起48が配置されるようになっている。
【0059】
また、水切りブレード44は、シールリップ43の下方において本体部41の車内側側壁の車内側面からドアウインドウガラス12側に延長され、その先端には、ドアウインドウガラス12の外面に接触して、その外面の水を除去する先端水切り部49が形成されている。そして、ドアウインドウガラス12の昇降時に、先端水切り部49の下側エッジまたは上側エッジにおいてドアウインドウガラス12の外面に接触されて、水切りが確実に行われるようになっている。
【0060】
水切りブレード44には、本体部41側に中空部50が形成され、この中空部50の両側壁51の先端側にはそれぞれ薄肉部52が形成されている。この薄肉部52の本体部41側には、上側厚肉部53及び下側厚肉部54が形成されている。そして、ドアウインドウガラス12の昇降時に、中空部50の両側壁51の厚肉部53,54の剛性により、水切りブレード44の本体部41側が所定形状に維持されて、先端水切り部49が所定位置に保持される。この状態で、先端水切り部49が薄肉部52を介して上方または下方に反転撓曲されるようになっている。つまり、この反転撓曲により、前記先端水切り部49が上向きまたは下向きに姿勢変更される。
【0061】
本実施形態では、アウタウェザストリップ40の本体部41と水切りブレード44の上側厚肉部53との屈曲相当部としての屈曲部55、そして、同本体部41と水切りブレード44の下側厚肉部54との屈曲相当部としての屈曲部56にばね付勢手段としてのばね部材57がそれぞれ埋設されている。なお、ばね部材57は、前記第1の実施形態におけるばね部材33と同様のものである。
【0062】
また、ばね部材57は、アウタウェザストリップ40のベルトライン部位14に沿う長手方向の一端から他端に亘って連続的に付勢力が得られるように埋設されている。
【0063】
従って、本実施の形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(6)に記載の効果に準じた効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(7)本実施形態では、屈曲部55,56にばね部材57を設けた。これにより、水切りブレード44の先端水切り部49は、ばね部材57のばね付勢力によって強制的にドアウインドウガラス12の外面に付勢される。このため、三次元形状のドアウインドウガラス12であっても、その外面に付着した水分の水切りを確実に行うことができる。
【0064】
(変形例)
なお、本発明の第2の実施形態は、以下のように変形してもよい。
・前記実施形態では、屈曲部55,56にばね部材57を埋設する構成とした。しかし、ばね部材57を例えば、シールリップ43と本体部41との間の屈曲相当部等に埋設する構成としてもよい。また、ばね部材57をこれら屈曲部55,56、前記屈曲相当部の少なくとも一箇所に埋設する構成としてもよい。
【0065】
・また、前記実施形態では、ドアウインドウガラス12の昇降に応じて、シールリップ43がドアウインドウガラス12の外面に対して接離可能なアウタウェザストリップ40の例を示した。しかし、本発明は、通常用いられるタイプのアウタウェザストリップや、例えば図7に示すようなインナウェザストリップにも同様に適用することができる。なお、図7において、図6と同一の構成については同一の符号を付している。
【0066】
・また、前記実施形態では、ばね部材57を、水切りブレード44がドアウインドウガラス12に摺接した状態でアウタウェザストリップ40の本体部41の長手方向に対して直交する平面に投影したとき、その投影像が略V字状となるようにした。しかし、例えば図7に示すように、2つの屈曲部が互いに接近した位置に設けられる場合には、前記投影像が略コ字状となるようにばね部材57を形成するようにしてもよい。
【0067】
・また、前記実施形態において、摺接部を1つのみ有するアウタウェザストリップ40としてもよい。
その他、前記各実施形態に共通した変更可能な要素としては、以下のようなものがある。
【0068】
・前記各実施形態では、ばね部材33,57を、各屈曲部29a,32,55,56に埋設する構成とした。しかし、これらばね部材33,57を本体部25,41とシールリップ29,31,43、水切りブレード44との間に配設する構成としてもよい。なお、このようにした場合、例えば図8(a)、(b)に示すような態様で、ばね部材33,57の前記投影像における一端部と他端部との少なくとも一方に係止部36を設ける。そして、本体部25,41とシールリップ29,31,43、水切りブレード44のうち前記係止部36と対応する側に係止溝37を設け、係止部36を係止溝37に収容させる構成としてもよい。また、ばね部材33,57を本体部25,41とシールリップ29,31,43、水切りブレード44との一方に、例えばテープ等により貼着する構成としてもよいし、接着剤等により接着する構成としてもよい。
【0069】
・前記各実施形態では、ばね部材33,57を、各屈曲部29a,32,55,56における本体部25,41の長手方向の一端から他端に亘って配設する構成とした。しかし、これらばね部材33,57を各屈曲部29a,32,55,56における本体部25,41の長手方向の一部のみに配設する構成としてもよい。また、ばね部材33,57を各屈曲部29a,32,55,56における本体部25,41の長手方向の複数の個所に配設して、ばね部材33,57の付勢力が本体部25,41の長手方向の一端から他端において断続的に付与されるようにしてもよい。
【0070】
・また、前記各実施形態では、ばね部材33,57を1本のワイヤの曲げ加工により形成する構成としたが、ばね部材33,57の形成方法は上記の方法には限定されない。これを例えば、複数の短線を、例えば格子状、はしご状等に接続し、その接続されたものを、前記投影像が所定の形状をなすように曲げ加工して、ばね部材33,57を形成するようにしてもよい。
【0071】
・また、前記各実施形態では、ばね部材33,57をワイヤから構成されるものとした。しかし、ばね部材33,57を、例えば薄板材から構成されるものとしてもよい。このようにした場合には、その薄板材を、例えば格子状、はしご状等に打抜き加工し、打抜き加工されたものを、前記投影像が所定の形状をなすように曲げ加工して、ばね部材33,57を形成することができる。
【0072】
・また、前記各実施形態では、ばね部材33,57を、前記投影像が略V字状となるように形成した。しかし、ばね部材33,57は、前記投影像が略V字状である必要はなく、同投影像が略U字状となるようにばね部材33,57を形成するようにしてもよい。要は、同投影像における一端部と他端部とが接近する方向に弾性変形が可能となるようにばね部材33,57が形成されていればよい。
【0073】
・また、前記各実施形態では、ばね部材33,57を金属製とした。しかし、このばね部材33,57は、金属製には限定されない。これを例えば、プラスチック材料等、屈曲部29a,32,55,56とは異なる材料から形成されるばね部材を用いる構成としてもよい。
【0074】
・また、前記各実施形態では、三次元形状のドアウインドウガラス12の周縁に配設されるシール部品の例を示した。しかし、本発明は、従来用いられているドアウインドウガラス、すなわち平面状のガラス、または車両の上下方向及び前後方向に僅かに湾曲したガラスの周縁に配設されるシール部品であっても同様に適用することができる。
【0075】
・また、前記各実施形態では、フロントドア11に装着されるガラスラン20またはアウタウェザストリップ40を備えた車両用シール部品の例を示した。しかし本発明は、リアドアに装着されるガラスラン及びアウタウェザストリップ等の車両用シール部品にも同様に適用することができる。
【0076】
・また、前記各実施形態では、一対のフロントドア11と一対のリアドアとを備えた車両の例を示した。しかし、本発明は、一対のサイドドアを備えた車両(いわゆる、2ドア車、3ドア車)におけるそのサイドドア、一対のフロントドアと1つのリアドアとを備えた車両、一対のフロントドアと車両の側部に沿ってスライドするスライドドアとを備えた車両、及び一対のフロントドアと1つのリアドアと1つのスライドドアとを備えた車両におけるそのフロントドア、サイドドアあるいはリアドア等に装着されるガラスラン及びウエザストリップの少なくとも一方を備える車両用シール部品にも同様に適用することができる。また、バックドアを備えた車両において、そのバックドアのドアウインドウガラスが昇降可能に構成された車両のシール部材にも適用することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願請求項1に記載の発明によれば、三次元形状のドアウインドウガラスの周縁に設けられるシール部品であっても、摺接部によるシール性の低下を抑制することができる。また、スポンジ材の弾性力を付勢手段として利用する場合に比べて、摺接部のドアウインドウガラスに対する追従性を大きなものとすることができる。
【0079】
また、本願請求項1に記載の発明によれば、ドアウインドウガラスの表面とウインドウフレームの内面との距離の変化に応じて摺接部の撓み量を変化させることができる。
【0080】
また、本願請求項に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明の効果に加えて、摺接部をドアウインドウガラスに摺接させることが容易となる。また、ばね付勢手段を、基部の長手方向の一端から他端において断続的に付与するように形成した場合には、摺接部によるシール圧を強化したい部分にのみばね付勢手段を設けるといったシール圧の調整を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のガラスランを装着したフロントドアの側面図。
【図2】(a)は図1の2a―2a線断面図、(b)は図1の2b―2b線断面図、(c)は(b)においてばね部材の形状を示した断面図。
【図3】図1の3―3線断面図。
【図4】ばね部材の斜視図。
【図5】ばね部材の形成工程の一部を示す平面図。
【図6】第2の実施形態のアウタウェザストリップの断面図。
【図7】変形例にかかるインナウェザストリップの断面図。
【図8】(a)及び(b)は変形例にかかるガラスランの断面図。
【符号の説明】
11…ドアとしてのフロントドア、12…ドアウインドウガラス、13…ウインドウフレーム、14…ベルトライン部位、20…ガラスラン、25,41…基部としての本体部、29,43…摺接部としてのシールリップ、29a,32,55,56…屈曲相当部としての屈曲部、31…摺接部としての中間シールリップ、33,57…ばね付勢手段としてのばね部材、40…ウェザストリップとしてのアウタウェザストリップ、44…摺接部としての水切りブレード、100…ウインドウガラス用開口部。

Claims (2)

  1. 少なくともドアのウインドウガラス用開口部を構成するウインドウフレームの縦枠部に装着される基部と、該基部に一体形成され、昇降動可能なドアウインドウガラスの周縁部に摺接する摺接部とを有し、前記ドアウインドウガラスの昇降動を案内する車両用シール部品において、
    前記基部は、底壁部と、該底壁部の両端からほぼ垂直に延びる一対の側壁部とを備えるとともに、
    前記摺接部は、前記側壁部の先端に形成される第1の摺接部と、該第1の摺接部および前記底壁部の間に突設された屈曲部を介して形成される第2の摺接部とを備え、
    前記第2の摺接部の少なくとも一部を前記ドアウインドウガラス側に付勢するばね付勢手段を前記屈曲部内に設け、該屈曲部および該ばね付勢手段を、前記第2の摺接部がドアウインドウガラスに摺接した状態で前記基部の長手方向に対して直交する平面に投影したとき、その投影像が略V字状または略U字状となるように形成し前記ウインドウガラスの昇降に伴って変化するドアウインドウガラスとウインドウフレームとの距離に応じて前記略V字状または略U字状の一端部と他端部と接近又は復元する方向に弾性変形させることを特徴とする車両用シール部品。
  2. 前記ばね付勢手段は、その付勢力が前記基部の長手方向の一端から他端において連続的または断続的に付与されるように形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用シール部品。
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