JP3814872B2 - 電気かみそり - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気かみそり、特に粗剃りのためのトリマー刃と仕上げ剃りのための主刃とが同時に肌に接するようにしている電気かみそりに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粗剃りのためのトリマー刃と仕上げ剃りのための主刃とが同時に肌に接するようにしている電気かみそりでは、トリマー刃による長い毛の切断と、トリマー刃によって短くされた毛を主刃でさらに短くすることとを同時に行うことができるために髭を含む体毛を剃ることを迅速に行うことができる。
【0003】
しかし、トリマー刃と主刃とを同時に肌に接触させることができるようにした場合、刃先が主刃から遠ざかる方向に向いているトリマー刃の上端には通常刃カバーが位置しており、トリマー刃の肌に接する刃先部と同じく肌に接する主刃との間には上記刃カバーがやはり肌に接した状態で位置している。この刃カバーは、肌に沿って電気かみそりを動かす時、毛を寝かせてしまことが多々あって、主刃への毛の導入効率の低下を招いている。
【0004】
このために特開平7−144074号公報に示されたものでは、トリマー刃の刃先部と主刃との間に位置しているトリマー刃の刃カバーの上面に、トリマー刃の刃先部と主刃とをつなぐ方向に走る溝を多数設けて、毛が溝を通るようにすることで毛を寝かせてしまう事態の発生を抑制している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
刃カバーに上記溝を設けたものでは、確かに刃カバーによって寝てしまうことになる毛が減少し、これに伴って主刃に導入することができる毛が増えるが、刃カバーにおける溝は毛の通り道を確保するものでしかなく、寝ている毛を起こすことはできない。このために剃り残しを減らすことはできないものであった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは剃り残しが生じにくくて早く仕上げることができる電気かみそりを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、多数の刃孔を備えた外刃とこの外刃内面に摺接する内刃とからなる主刃の近傍に刃先を主刃から遠ざかる方向に向けたトリマー刃を配して、トリマー刃と主刃とを同時に肌に接触させることができるようにした電気かみそりにおいて、フロート自在としたトリマー刃における刃部材の上面を覆っている刃カバー上に弾性を有した毛起こし部材を突設しているとともに、トリマー刃の刃先と主刃との間に位置する上記毛起こし部材はトリマー刃の刃先の長手方向に長いリブが複数状並んでいるものとして形成されていることに特徴を有している。本発明によれば、電気かみそりを肌に沿って動かす時、刃カバー上の毛起こし部材が毛を起こすことで主刃への毛の導入効率を高める。
【0008】
この毛起こし部材はエラストマー製であって成形品からなる刃カバーに固定されていることが好ましく、この場合、刃カバーと毛起こし部材とは厚み方向において嵌合していることが好ましい。
また主刃の頂上部に対して毛起こし部材の上端を±2mmの範囲内の高さに位置させておくことが好ましい
【0009】
【発明の実施の形態】
本体5の上端に刃ヘッド1と、刃ヘッド1の両隣に位置する一対のトリマー刃タイプの刃ヘッド2,2とを平行並列に配設した図示の電気かみそりは、これら3個の刃ヘッド2,1,2がモータ4によって同時に駆動されるものとなっている。図2中の8はスイッチ部、9は充電器である。
【0010】
上記刃ヘッド1,2のうち、主刃である刃ヘッド1は、金属薄板から形成されるとともに多数の刃孔が形成されている外刃10と、この外刃10をヒートシールによって保持している矩形枠状の内カセット11と、外刃10内面に摺接する内刃12とからなるもので、内カセット11は図5に示すようにその両端面に弾性片13を備えている。
【0011】
この刃ヘッド1は、外カセット3を介して本体5に装着される。外カセット3は、図5に示すように合成樹脂の成形によって矩形枠状に形成されたもので、その長手方向の両端内面の幅方向中央部に受け片30を、両側にガイド溝31を備えており、また幅方向の内面にはガイド溝32とばね受け33とを備えている。そして上記刃ヘッド1の外刃10を備えた内カセット11は、外カセット3の下方開口から外カセット3内に納められて、弾性片13が受け片30の上方側に位置することで抜け止めされるとともに外カセット3に対して上下の小範囲内で可動となる。内カセット11に設けた突起15は外カセット3から内カセット11を取り外す時に指をかけるためのものである。
【0012】
トリマー刃タイプの2つの刃ヘッド2は、図6に示すように夫々トリマー基台20とトリマー基台20の上面に嵌合突起201との嵌合で固定される固定刃21と、この固定刃21の上面側に配されるとともに嵌合突起201によってスライド自在にガイドされる可動刃22と、トリマー基台20に連結されてそのばね片231によって可動刃22を固定刃21側に押さえる押さえばね23と、押さえばね23の上面側を覆ってトリマー基台20に連結される刃カバー24と、上端が可動刃22に係合するトリマー駆動子25と、トリマー基台20に装着される肌当たりガイド26と、フロートばね27とからなるもので、トリマー駆動子25はトリマー基台20に設けられた軸205によって上下方向中央部が軸支される。図中206はトリマー駆動子25との係合でトリマー駆動子25の外れを防止するフック、207は刃カバー24の結合孔240に差し込まれて刃カバー24を固定するピンである。
【0013】
上記肌当たりガイド26は、トリマー基台20に組つけられた時、その下端から突設された突片262がトリマー基台20に設けられた弾性を有する押し上げ片202の上面に載り、両側から突設されたフック261がトリマー基台20の側面に設けられた係合凹所203の上部壁の下面に接することでトリマー基台20に一体化される。
【0014】
そして2つの刃ヘッド2,2も上記外カセット3内に配設されるのであるが、この時、トリマー基台20とガイド溝32との係合並びに肌当たりガイド260の上記フック261とガイド溝31との係合によって、外カセット3に対して上下の小範囲においてスライド自在とされる。また肌当たりガイド26の下面と外カセット3の上記ばね受け33との間に配されたフロートばね27によって刃ヘッド2は上方へ付勢される。
【0015】
刃ヘッド1における内刃12は、図1に示すように継手51を介して往復駆動用の駆動子50に連結されることで往復駆動されるとともに押し上げばね53によって上方へ付勢されて外刃10の内面に接する。そして刃ヘッド1も該押し上げばね53のばね力によってフロート自在となる。上記継手51は各刃ヘッド2のトリマー駆動子25の下端部との係合部も有していることから、刃ヘッド1の内刃12が往復駆動される時、トリマー駆動子25を介して刃ヘッド2の可動刃22も往復駆動される。
【0016】
また刃ヘッド2は、上記フロートばね27のばね力でフロートしており、刃ヘッド2を肌に押し付けたならば、図9に示すように刃ヘッド2がフロートばね27に抗して沈むのであるが、刃ヘッド1の内カセット11から突設した図5に示す突起14が刃ヘッド2のトリマー基台20に設けられた下方に開放された係合溝208内に位置していることから、刃ヘッド2の沈み動作の途中からは、刃ヘッド1も連動して沈むようになっている。
【0017】
更に肌当たりガイド26は、上述のように突片262がトリマー基台20の押し上げ片202の上面に載り、フック261がトリマー基台20の係合凹所203の上部壁の下面に接しているためにトリマー基台20に一体化された状態となっており、肌当たりガイド26が上下動を行う時、トリマー基台20も同時に上下動を行い、更にトリマー基台20が上下動を行う時、肌当たりガイド26も上下動を行う。つまり肌当たりガイド26とトリマー基台20とはフロートばね27によるばね力を受けて同時にフロートするようになっている。
【0018】
このように形成されたトリマー刃タイプの刃ヘッド2は、その刃カバー24の上面で且つ刃ヘッド1側の部分に、エラストマー樹脂製の複数条のリブ80からなる弾性を備えた毛起こし部材8が取り付けられている。各リブ80が刃ヘッド2の刃先や刃ヘッド1の長手方向と平行に並んでいる髭起こし部材8は、図9に示すように、その上端が刃ヘッド1の上端の高さHとほぼ同じところに位置しており、このために刃ヘッド1,2を肌Sに押し当てた時、毛起こし部材8も肌Sに接するものとなっている。
【0019】
トリマー刃タイプの粗剃り用の刃ヘッド2で毛を切断した後、仕上げ剃り用の主刃である刃ヘッド1で毛を切断するように電気かみそりを動かす時、刃ヘッド2の刃先で毛が切断された部分の肌Sは、毛起こし部材8に接してから刃ヘッド1に接するものであり、この時、複数状のリブ80で構成された弾性を有する毛起こし部材8は、毛に引っ掛かることで毛を起こすとともに、刃ヘッド1との間で肌を引き伸ばすことによって毛を立たせる。寝ている毛であっても刃ヘッド1部分が接する直前に毛起こし部材8が起こしてしまうものであり、毛起こし部材8の部分を通過して再度寝ようとしても、寝てしまう前に刃ヘッド1で捕らえられて切断されるとともに、捕らえられる際の毛の角度は刃ヘッド1の外刃10に最も導入されやすい角度となっているものであり、刃ヘッド1への毛の導入効率が毛起こし部材8の存在によって大きく向上するものである。
【0020】
特に図示例のものでは、毛起こし部材8における肌Sとの接触部を細くて撓みやすい複数条のリブ80で構成しているために、肌Sに押し当てた時、肌Sの凹凸にもかかわらず、毛起こし部材8はその長手方向全長にわたって確実に肌Sに接触するものであり、毛起こし部材8が設けられた刃ヘッド2がフロート自在となっていることもあって、毛起こし部材8が適切な力で肌Sに接して毛を起こすことが確実になされるものである。
【0021】
毛起こし部材8の刃カバー24への取り付けは熱溶着で行っているが、この時、刃カバー24に毛起こし部材8の基部が嵌まり込むようにしておくと、毛起こし部材8が刃カバー24から外れにくくなって好ましい。
また毛起こし部材8の上端が主刃である刃ヘッド1の頂上位置Hとほぼ同じ高さとなるようにしているが、これは刃ヘッド1の頂上位置Hよりも毛起こし部材8の上端位置が高すぎると、毛起こし部材8によって刃ヘッド1と肌Sとの接触圧を十分に確保することができず、これに伴って毛を短く剃ることができなくなるからであり、また刃ヘッド1の頂上位置Hよりも毛起こし部材8の上端位置が低すぎると、毛起こし部材8による毛起こし効果を十分に得られなくなってしまうからであって、上記H位置の上下2mm以内に毛起こし部材8の上端位置を定めておくことが好ましい。図10は毛起こし部材8の高さ位置によって切断した毛の短さロと肌当たりイとがどのように変化するかを示している。
【0022】
また、毛起こし部材8をリブ80で構成する場合、リブ80の本数が切断した毛の短さロと肌当たりイとについてどのような影響を及ぼすかを調べると、図11に示すようになった。リブ80の本数が2本以上であると良好な結果を得ることができる。
ところで、前記肌当たりガイド26は腋のような柔らかい肌に押し当てた時にも、肌がトリマー刃タイプの刃ヘッド2の可動刃22や固定刃21の刃先内に入り込んで傷ついてしまうことがないようにするために設けたものであり、刃ヘッド2と肌当たりガイド26とは一体化されていると説明したが、一方の刃ヘッド2は外カセット3の外面に配したスライド釦7の操作によって肌当たりガイド26とトリマー基台20とが切り離されてトリマー基台20側の部材のみを上方へ移動させることができるようになっている。
【0023】
この点について説明すると、スライド釦7は図8に示すように背方に突出する2対のフック71,72を備えているとともに中央にロック釦70が装着されたもので、これらフック71,72とロック釦70とが外カセット3に設けられた総計5本の上下方向に長い長孔35,36,37に挿通されて外カセット3外面に上下にスライド自在に装着される。そしてロック釦70はスライド釦7と外カセット3との間に挟まれる形で保持されるとともにスライド釦7背面の非円形凹所73との嵌合によって回り止めがなされ、さらには先端をトリマー基台20に設けられた弾性片204に当接させている。
【0024】
今、スライド釦7が下方位置にある時には、ロック釦70における外カセット3内部に位置する部分が、外カセット3内面で長孔35の両脇に設けられた突起38の下方に位置しており、このためにスライド釦7を上方へ動かそうとしても、ロック釦70と突起38との当接によって妨げられる。また、この状態ではスライド釦7における両フック71,72は刃ヘッド2の上下動を妨げることはなく、このために肌当たりガイド3を含む刃ヘッド2のフロートが自在となっている。
【0025】
しかし、ロック釦70を押し込めば、外カセット3の突起38とロック釦70との係合が外れるためにスライド釦7を上方へ動かすことが可能となる。また押し込まれたロック釦70は弾性片204を背方へと押してスライド釦7のフック72の直上に弾性片204における係合突起209を位置させるために、スライド釦7を上方へ動かせば、トリマー基台20も押されて上方へ移動する。
【0026】
そしてこのようにトリマー基台20が上動する時、外カセット3の内面に設けられた図8に示す解除用突起39に押し上げ片202が乗り上げて背方に撓むために、押し上げ片202の上に載っていた肌当たりガイド26の突片262から押し上げ片202が外れ、トリマー基台20の上方への動きに肌当たりガイド26は追従せず、刃ヘッド2における肌当たりガイド26を除く部材がスライド釦7に連動して上方へ移動する。なお、この状態においてもトリマー駆動子25は継手51と係合して駆動子50からの往復動を可動刃22に伝えることができるようになっている。
【0027】
スライド釦7からそのスライド範囲の上端位置で指を離せば、ロック釦70が弾性片204による付勢を受けて復帰し、前記突起38の上方にロック釦70が位置するために、スライド釦7を下方に動かすことができない状態となる。
刃ヘッド2を元の状態に戻すには、再度ロック釦70を押しつつスライド釦7を下げればよい。ロック釦70の突起38のとの係合を外した状態でスライド釦7を下方へ動かせば、この時はスライド釦7のフック71が押し上げ片202の根元部分を押し下げることでトリマー基台20を下方へ移動させる。またトリマー基台20の下降時、押し上げ片202は外カセット3内面の解除用突起39に乗り上げて背方に撓むことで、肌当たりガイド26の先端部は突片262を乗り越えて突片262の下方側に移り、再度肌当たりガイド26とトリマー基台20とが一体化される。
【0028】
図12及び図13に示したものは、トリマー刃タイプの刃ヘッド2を、主刃である刃ヘッド1の片側にのみ設けたものを示している。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、肌に沿って動かすことで粗剃りの後に毛を主刃に導入するにあたり、トリマー刃の刃カバー上にあってトリマー刃の刃先と主刃との間に毛起こし部材があるために、刃カバーが肌に接して毛を寝かしてしまうことがない上に、毛起こし部材はトリマー刃の刃先の長手方向に長いリブが複数状並んでいるものとして形成されているために、寝ている毛を積極的に起こしてしまうことができるものであり、このために主刃への毛の導入効率が高く、剃り残しが生じにくくて早く仕上げることができるものであり、また毛起こし部材が複数条のリブで形成された弾性を有するものであるために、肌当たりの点や毛を短く剃ることができる点でも好ましい結果を得ることができる。また弾性を備えた毛起こし部材が刃カバー上に設けられたトリマー刃をフロート自在としているために、肌の凹凸にかかわらず毛起こし部材による毛起こし効果を確保することができる。
【0030】
そして毛起こし部材をエラストマー製であって成形品からなる刃カバーに固定されたものとしておくと、その製造を刃カバーと毛起こし部材との成形によって行うことができるものであり、この時、刃カバーと毛起こし部材とを厚み方向において嵌合させておくと、両者の結合強度が高くて毛起こし部材が剥がれにくくなる。
【0031】
また主刃の頂上部に対して毛起こし部材の上端が±2mmの範囲内に位置させておくと、肌当たりの点や毛を短く剃ることができる点で好ましい結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の部分縦断面図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】同上の平面図である。
【図4】同上の階段横断面図である。
【図5】同上の刃ヘッドと外カセットとスライド釦の分解斜視図である。
【図6】同上のトリマー刃の分解斜視図である。
【図7】同上の刃カバーと毛起こし部材の斜視図である。
【図8】同上の外カセットとスライド釦の分解斜視図である。
【図9】同上のフロート時の状態を示す部分縦断面図である。
【図10】同上の毛起こし部材の高さに応じた特性変化を示す説明図である。
【図11】同上の毛起こし部材のリブの本数に応じた特性変化を示す説明図である。
【図12】同上の他例の部分縦断面図である。
【図13】同上の平面図である。
【符号の説明】
1 刃ヘッド(主刃)
2 刃ヘッド(トリマー刃)
8 肌伸ばし部材
24 刃カバー

Claims (4)

  1. 多数の刃孔を備えた外刃とこの外刃内面に摺接する内刃とからなる主刃の近傍に刃先を主刃から遠ざかる方向に向けたトリマー刃を配して、トリマー刃と主刃とを同時に肌に接触させることができるようにした電気かみそりにおいて、フロート自在としたトリマー刃における刃部材の上面を覆っている刃カバー上に弾性を有した毛起こし部材を突設しているとともに、トリマー刃の刃先と主刃との間に位置する上記毛起こし部材はトリマー刃の刃先の長手方向に長いリブが複数状並んでいるものとして形成されていることを特徴とする電気かみそり。
  2. 毛起こし部材はエラストマー製であって成形品からなる刃カバーに固定されていることを特徴とする請求項1記載の電気かみそり。
  3. 刃カバーと毛起こし部材とは厚み方向において嵌合していることを特徴とする請求項2記載の電気かみそり。
  4. 主刃の頂上部に対して毛起こし部材の上端が±2mmの範囲内の高さに位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の電気かみそり。
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