JP3679572B2 - 染毛剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた安定性とともに色強度の改善された毛髪の染色を可能とする染毛剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
染毛剤組成物を次の2つのカテゴリーに分類することは一般に知られている。その1つは、酸化染料前駆体を含む永久染毛剤組成物であり、酸化剤と共に使用して選択された処方に応じて所望の毛髪の色を顕色する。もう1つは、染毛効果を発現するために酸化剤を添加することを全く必要としない、直接染料を含有する半永久染毛剤組成物である。したがって、半永久染毛剤組成物による染毛効果は永久染毛剤組成物によるものよりも持続性が悪い。
【0003】
これらの直接染料をベースとする染毛組成物は、通常は染毛シャンプー、ローション又はカラーセッティングローションとして適用され、時にはエアゾールフォーム製剤としても使用される。使用される直接染料は、通常はカチオンタイプであり、リンス組成物は追加の必須成分としてカチオン性界面活性剤、特に第4級アンモニウム塩をも含有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの染毛剤組成物で得られる染色強度と持続性は必ずしも充分なものではない。耐光性を改善する1つの方法は、光による損傷から毛髪を保護するために染毛剤組成物にUV吸収剤を添加することである。
この目的で通常は水不溶性のUV吸収剤が使用されるが、これらは本質的に毛髪に付着しないので適切なものではない。アニオン性基を有する水溶性のUV吸収剤はそれ自体としては公知である。物性上は一般に、それらは直接作用染料を含む染毛剤により処理される毛髪の耐光性を改善するのに有用である。しかしながら、これらの水溶性でUV吸収性のアニオン性基含有化合物を、通常のカチオン性直接作用染毛剤組成物に添加することは、これら2種の物質間で明白な相互作用が起り不安定な組成物となるので、これまでは不可能であった。
したがって、本発明の目的はカチオン性の直接作用毛髪染料とアニオン性基を有する水溶性UV吸収剤を組合せて、毛髪の光沢、持続性、表現性及び耐光性に優れた染色を可能とする、安定な水性染毛剤組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では水性染毛剤組成物に、
(a)全組成物の0.0001〜2.5重量%の1種以上のカチオン性直接作用毛髪染料、
(b)全組成物の0.1〜5重量%の1種以上のアニオン性基、特にスルホ基、カルボキシル基又はホスフェート基を有する水溶性UV吸収化合物、及び
(c)全組成物の0.1〜10重量%の次の1)〜5)からなる群から選択された1種以上の界面活性剤、
1)界面活性アミンオキサイド;
2)次の一般式(1)で表されるアルキルポリグルコシド
RO(R1O)tZx (1)
式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基、R1 はエチレン又はプロピレン基、Zは炭素数5〜6の糖残基、tは0〜10の数、そしてxは1〜5の数を表す;3)次の一般式(2)で表されるアルキルポリエーテルカルボン酸及びその塩
R−(OCH2−CH2)m−O−CH2−COOH (2)
式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又は炭素数8〜20のアルキルフェニル基、mは1〜20の数を表す;
4)次の一般式(3)で表されるアルキルアミドポリエーテルカルボン酸及びその塩
【0006】
【化2】
Figure 0003679572
【0007】
式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基、nは1〜15の数を表す;及び
5)1〜30個のエチレンオキサイド基を有する炭素数8〜20の脂肪アルコールポリグリコールエーテル、
を組合せて含有させるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で(C)成分として使用する界面活性剤について、以下に説明する。
好適な界面活性アミンオキサイドは、炭素数8〜20のアルキルジメチル又はジエチルアミンオキサイドであり、特にラウリルジメチルアミンオキサイド及びココジ(ヒドロキシエチル)アミンオキサイドが好ましい。
長鎖アルキル基は、例えば炭素数7〜17のアルコイルアミノ−3−ジメチルアミノプロパン3−N−オキサイドのように、アミド基で置換されていてもよい。ポリオキシエチレン化アミンオキサイドや、ジエチルアミノプロピルパルミタミドN−オキサイド等のアミンオキサイド類を使用することもできる。好適な商品としては、「アモニックス」、「アロモックス」及び「ゲナミノックス」が挙げられる。
【0009】
上記一般式(1)で表される好適なアルキルポリグルコシドとしては、式中Zが炭素数5〜6の糖残基、特にグルコースであり、Rが炭素数8〜20のアルキル基であり、R1 がエチレン又はプロピレン基であり、tが0〜10の数であり、そしてxが1〜5の数であるものが挙げられる。
好ましいアルキルポリグルコシドは、炭素数10〜14のアルキル基を有し、縮合度xが1.25〜1.6でtが0のものである。好適なアルキルポリグルコシドとその性状は、ここで参照として引用する、ディー・バルツァー著「Tensides」第28巻(1991)第419〜427頁の総説に記載されている。
【0010】
上記一般式(2)で表されるアルキルポリエーテルカルボン酸及びその塩、特にアルカリ塩としては、商品名「アキポ」として知られているものが挙げられる。好ましいアルキル基の鎖長は炭素数10〜16であり、特に炭素数12〜14のアルキル基が好ましく、mは好ましくは2〜15、特に2.5〜12の数である。
【0011】
上記一般式(3)で表されるアルキルアミドポリエーテルカルボン酸及びその塩は、特にヘアシャンプーに用いられる、マイルドな界面活性剤として知られている。
好ましいものとしては、エトキシ化度が2〜8である、炭素数12〜14のアルキルアミドエーテルカルボン酸が挙げられる。
【0012】
特に好ましい炭素数8〜20の脂肪アルコールポリグリコールエーテルとしては、一般名「ラウレス」、「ミリステス」、「セテス」、「デセス」及び「ステアレス」として知られたものが挙げられ、これらは「CTFA化粧品成分レビュー」によれば、例えば「ラウレス−16」のようにエチレンオキサイドのモル数を付記して表示される。
【0013】
本発明において、これら界面活性剤の含有量は、全組成物を基準として約0.1〜10重量%、好ましくは約0.25〜5重量%、特に好ましくは約0.5〜2.5重量%である。
【0014】
本発明で(b)成分として使用される水溶性UV吸収剤の使用量は、好ましくは全組成物を基準として約0.1〜5重量%、特に約0.25〜2.5重量%である。
好ましいアニオン性基を有する水溶性UV吸収剤としては、例えば5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸(ベンゾフェノン4)、そのナトリウム塩(ベンゾフェノン−5)、及び2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−3,3’−ジスルホベンゾフェノン又はそのジナトリウム塩(ベンゾフェノン−9)ならびにフェニルベンズイミダゾールスルホン酸(ユーソレックス232)等が挙げられるが、他の水溶性UV吸収剤を使用することもできる。
(c)成分である上記界面活性剤の(b)成分である水溶性アニオン性UV吸収剤に対する重量比は、好ましくは約1:1〜約3:1である。
【0015】
本発明の組成物における直接作用染料の含有量は様々であるが、全組成物を基準として約0.0001〜2.5重量%、好ましくは約0.001〜1重量%、特に好ましくは約0.01〜0.5重量%である。
一般にこの目的で提案された公知の全カチオン性染料は、本発明の直接作用毛髪染料として使用することができる。
好ましいものとしては、いわゆる「アリアノール」染毛剤、ケー・シュレイダー著「化粧品の基礎と処方(Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika)」第2版(1989)第811頁参照、が挙げられる。
特に好ましい塩基性(カチオン性)染料としては、ベーシックブルー6,C.I.No.51,175;ベーシックブルー7,C.I.No.42,595;ベーシックブルー9,C.I.No.52,015;ベーシックブルー26,C.I.No.44,045;ベーシックブルー41,C.I.No.11,154;ベーシックブルー99,C.I.No.56,059;ベーシックブラウン4,C.I.No.21,010;ベーシックブラウン16,C.I.No.12,250;ベーシックブラウン17,C.I.No.12,251;ナチュラルブラウン7,C.I.No.75,500;ベーシックグリーン1,C.I.No.42,040;ベーシックレッド2,C.I.No.50,240;ベーシックレッド22,C.I.No.11,055;ベーシックレッド76,C.I.No.12,245;ベーシックバイオレット1,C.I.No.42,535;ベーシックバイオレット3,C.I.No.42,555;ベーシックバイオレット10,C.I.No.45,170;ベーシックバイオレット14,C.I.No.42,510;ベーシックイエロー57,C.I.No.12,719等が挙げられる。
もちろん、(追加的に)適当な直接植物染料を使用することも可能である。
【0016】
本発明の組成物は、好ましくは1種以上のカチオン性界面活性剤を、特に全組成物の約0.1〜7.5重量%、好ましくは約0.25〜5重量%、特に好ましくは約0.5〜2.5重量%含有することができる。
カチオン性界面活性剤として単独又は混合物として使用される、好適な長鎖アンモニウム化合物としては、特にセチルトリメチルアンモニウムクラロイド、ジメチルジセチルアンモニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクラロイド、ジメチルステアリルベンジルアンモニウムクラロイド、ベンジルテトラデジルジメチルアンモニウムクラロイド、ジメチルジ水素化牛脂アンモニウムクラロイド、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクラロイド、ラウリルトリメチルアンモニウムクラロイド、トリス(オリゴオキシエチル)アルキルアンモニウムホスフェート、セチルピリジニウムクロライド等が挙げられる。
好適な第4級アンモニウム塩としては、またヨーロッパ特許出願第472,107号に記載されたものが挙げられる。原則として、「CTFA国際化粧品辞典」第4版(1991)に一般名「コーテルニウム」として記載された全ての第4級アンモニウム化合物を使用することができる。
【0017】
本発明の染毛剤組成物は、また染毛剤組成物に通常用いられる成分を含有することができる。繰り返しを避けるために、上記ケー・シュレイダー著「化粧品の基礎と処方(Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika)」第2版(1989)第722〜771頁を参照として引用する。
【0018】
例えば、合成又は天然のヘアコンディショニングポリマーを、好ましくは全組成物を基準として約0.1〜2.5重量%、特に約0.25〜1.5重量%使用することができる。
好ましいカチオン性ポリマーは公知である。「ポリマーJR」タイプの第4級セルロース誘導体のほかに、特に商品名「マーコート」として市販されている、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの4級化ホモ−及びコーポリマー、4級化ビニルピロリドンコーポリマー、特に商品名「ガフコート」として知られているジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、商品名「ルビコート」として市販されているビニルピロリドンとビニルイミダゾリニウムメトクロライドのコーポリマー、ポリアミノ−ポリアミド誘導体、例えば「カルタレチンF」という名称で市販されているアジピン酸ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコーポリマー、及び商品名「ミラポールA15」として市販されている米国特許第4,157,388号明細書に記載の尿素構造を有するビス第4級長鎖アンモニウム化合物等が挙げられる。
この点については、ドイツ特許出願第2521960,2811010,3044738及び3217059号に記載されたカチオン性ポリマー、ならびにヨーロッパ特許出願第377,354号の第3〜7頁に開示された製品を参照として引用する。異なるカチオン性ポリマーの混合物を使用することもできる。
【0019】
カチオン性ポリマーに代えて又はカチオン性ポリマーと共に非イオン性ポリマーを使用することもできる。好適な非イオン性ポリマーとしては、特にポリビニルピロリドンホモ−及びコーポリマー、特にポリビニルピロリドン単独、ビニルピロリドンとビニルアセテートのコーポリマー又は;例えば商品名「ルビスコール」としてBASFにより販売されている、ビニルピロリドン、ビニルアセテート及びビニルプロピオネートのターポリマー等が挙げられる。
しかし、種々のアクリル酸及びメタアクリル酸エステル、アクリルアミド及びメタアクリルアミドの(コー)ポリマー、例えば100,000以上の分子量を有するポリアクリルアミド、ジメチルヒダントインホルムアルデヒド樹脂等、を使用することもできる。もちろん、種々の非イオン性ポリマーの混合物を使用することもできる。
例えば「アムホマー」という名で販売されているN−オクチルアクリルアミド、N−ブチルアミノエチルメタアクリレート及びアクリル酸のコポリマー等の両性ポリマーを使用してもよい。
【0020】
本発明の染毛剤組成物は通常の添加剤を含有してもよく、そのタイプや性状は適用形態に応じて選択される。このような添加剤としては脂肪、脂肪アルコール、乳化剤、pH調整剤、溶剤及びコンパウンド剤、可溶化剤、防腐剤、香料等がある。
好適な脂肪及びワックスを含む油としては特に天然油、例えばアボカド油、ココやし油、やし油、ごま油、ピーナッツ油、鯨油、ひまわり種油、アーモンド油、桃核油、小麦麦芽油、クイスランドナット油、さくらそう油、ホホバ油、ひまし油やオリーブ油又は大豆油、ラノリンやその誘導体、さらにはパラフィン油やワセリン等の鉱油が挙げられる。
例えばシリコーン油、ポリエチレングリコール等の合成油やワックスを使用してもよい。
【0021】
他の好適な疎水性化合物としては、特に脂肪アルコール、好ましくはミリスチル、セチル、ステアリルアルコールのように分子中に約8〜22の炭素原子を有するもの、ワックスアルコール及び脂肪酸エステル、例えばイソプロピルミリステート、パルミテート、ステアレート及びイソステアレート、オレイルオレエート、イソセチルステアレート、ヘキシルラウレート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ミリスチルミリステート、オレイルエルケート等、ポリエチレングリコール及びポリグリセリル脂肪酸エステル、例えばPEG−7−グリセリルココエート、セチルパルミテート等が挙げられる。
これらの疎水性化合物は、本発明の組成物中に全組成物を基準として好ましくは約0.5〜10重量%、特に好ましくは約1〜7.5重量%、最も好ましくは約1.5〜5重量%の量で配合される。
これら組成物の要約は、先のケー・シュレーダーの著作の第798〜815頁特に第804頁に見ることができる。
【0022】
本発明の染毛剤組成物は、エマルジョン、分散液又は(時により粘ちょう化した)ゲル製剤の形態にすることができ、またエアゾールフォームの形態にしてもよい。これらの製剤は当業者にはよく知られたものであり、これ以上説明をする必要はないであろう。
本発明の染毛剤組成物のpH値は好ましくは約3〜6.5、特に約4〜6である。
【0023】
【実施例】
次に実施例により本発明の染毛剤組成物について説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
(実施例1〜5)
表1に記載の成分を混合することによって、次のカラーリンス組成物を調製した。
【0024】
【表1】
Figure 0003679572
【0025】
上記各組成物から界面活性剤ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルエーテル6−カルボン酸、ラウリルアミドエーテル2.5−カルボン酸、炭素数12〜14アルキルポリグルコシド及びラウレス−16を除いた場合には、不安定な水性組成物となり、24時間保存後に沈殿が生じた。
アニオン性UV吸収剤を水不溶性のUV吸収剤で置換した組成物では、染毛した際の色の光沢や持続性が本発明の組成物で得られるものよりも本質的に劣っていた。

Claims (6)

  1. 永久又は半永久水性染毛剤組成物において、
    (a)全組成物の0.0001〜2.5重量%の1種以上のカチオン性直接作用毛髪染料、
    (b)全組成物の0.1〜5重量%の1種以上のアニオン性基を有する水溶性UV吸収化合物、
    (c)全組成物の0.1〜10重量%の次の1)〜5)からなる群から選択された1種以上の界面活性剤、
    1)界面活性アミンオキサイド;
    2)次の一般式(1)で表されるアルキルポリグルコシド
    RO(RO)tZx (1)
    式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基、Rはエチレン又はプロピレン基、Zは炭素数5〜6の糖残基、tは0〜10の数、そしてxは1〜5の数を表す;
    3)次の一般式(2)で表されるアルキルポリエーテルカルボン酸及びその塩
    R−(OCH−CH)m−O−CH−COOH (2)
    式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又は炭素数8〜20のアルキルフェニル基、mは1〜20の数を表す;
    4)次の一般式(3)で表されるアルキルアミドポリエーテルカルボン酸及びその塩
    Figure 0003679572
    式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基、nは1〜15の数を表す;及び
    5)1〜30個のエチレンオキサイド基を有する炭素数8〜20の脂肪アルコールポリグリコールエーテル、
    及び
    (d)全組成物の0.1〜7.5重量%の1種以上の長鎖第4級アンモニウム化合物、
    を組合せて含有し、(c)成分の(b)成分に対する重量比が1:1〜3:1であることを特徴とする染毛剤組成物。
  2. (c)成分の界面活性アミンオキサイドとして、ラウリルジメチルアミンオキサイドを含有することを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
  3. (c)成分のアルキルポリグルコシドとして、縮合度xが1.25〜1.6でt=0である炭素数10〜14のアルキルポリグルコシドを含有することを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
  4. (c)成分の脂肪アルコールポリグリコールエーテルとして、平均エトキシ化度が16である炭素数12〜14の脂肪アルコールエーテルを含有することを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
  5. pH値が3〜6.5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の染毛剤組成物。
  6. pH値が4〜5であることを特徴とする請求項5に記載の染毛剤組成物。
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