JP3672780B2 - ポジ型レジスト組成物およびパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なポジ型レジスト組成物に関し、より詳しくは、真空紫外領域(VUV)レーザー特にF2エキシマレーザー光に対して透明性が高く、かつ高感度な化学増幅型のポジ型レジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子や液晶素子などの製造においては、化学増幅型レジスト組成物が使用されるようになってきた。この化学増幅型レジスト組成物は、活性エネルギー線の照射により生成した酸の触媒作用を利用したレジストであって、高い感度と解像性を有し、活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物すなわち酸発生剤の使用量が少なくてよいという利点を有している。
【0003】
この化学増幅型レジストにはポジ型とネガ型の2つのタイプがあり、これらは、一般に、酸発生剤と、発生する酸の作用により塩基性水溶液に対する溶解性が変化する被膜形成成分を基本成分としている。
【0004】
これまで、化学増幅型レジストの被膜形成成分(樹脂成分)としては、KrFエキシマレーザー光(248nm)に対して透明性の高いポリヒドロキシスチレンやその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護したものが、主として用いられてきた。
【0005】
一方、半導体素子の微細化がますます進み、それに伴って、KrFエキシマレーザー光(248nm)を用いたプロセスから、ArFエキシマレーザー光(193nm)を用いたプロセスに移行し始めている。このArFエキシマレーザー光を用いたプロセスでは、前記ポリヒドロキシスチレンのようなベンゼン環を有する樹脂では、透明性が不十分であって、ほとんど使用不能であるため、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、例えば、エステル部にアダマンタン骨格を有するアクリル酸エステル系樹脂(特開平4−39665号公報)、メントールのようなテルペノイド骨格を有するアクリル酸又はメタクリル酸エステル樹脂(特開平8−82925号公報)などエステル部に脂環式炭化水素基を導入したものが提案されている。
【0006】
しかしながら、半導体の進歩にともなってさらに微細化を追究する必要性から、ArFエキシマレーザより短波長レーザーであるVUVレーザー特にF2エキシマレーザーを用いたプロセスが求められるようになってきた。ところが、上記ポリヒドロキシスチレンのようなベンゼン環を有する樹脂やアクリル樹脂では、F2エキシマレーザー(波長157nm)等の真空紫外波長域では透明性が不十分であって、ほとんど使用不能である。したがって、半導体の進展のためにこの157nm以下の短波長域で透明性の高い新たなレジスト用樹脂が早急に必要になっている。一般的にパーフルオロ化合物はこの波長でも透明性が高いことが知られているが、これらのパーフルオロ化合物は一般的にレジスト技術で使用されている有機溶媒に不溶であることから、事実上使用できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、VUV光、特にF2エキシマレーザー光に対する透明性が高く、かつ高感度であり、さらに有機溶媒に対する十分な溶解性を有する樹脂を見いだすことで化学増幅型のポジ型レジスト組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、VUV光、特にF2エキシマレーザーに感応する、優れた性質を有するポジ型レジスト組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、露光により予め添加された酸発生剤から発生する酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化するアクリル系樹脂として、エステル基が完全にまたは部分的にフッ素化されたアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを用いて得られた重合体を用いることにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化するアクリル系樹脂および酸発生剤(B)を含有するポジ型レジスト組成物において、アクリル系樹脂が、構成単位として、フッ素原子を有する基をエステル部位とするアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単位を含む重合体(A)であることを特徴とする真空紫外領域のレーザー用ポジ型レジスト組成物である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明組成物において、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化するアクリル系樹脂とは、活性エネルギー線が照射される前にはアルカリ性水溶液に不溶もしくは難溶であって、活性エネルギー線を照射したことにより酸発生剤から発生した酸によりアルコキシカルボニル基が加水分解されカルボキシル基に変化することでアルカリ性水溶液に対して溶解性を示すようになるアクリル樹脂をいう。
【0011】
本発明において使用するフッ素原子を有する基をエステル部位とするアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル重合体(A)は、例えばそのエステル部位がパーフルオロアルキル基、フルオロアルキル基またはアルキル基を置換基として有することもある炭素数1から20程度の含フッ素アルキル基、エステル部位に環状構造を有する単位であって、その環状構造が例えば含フッ素ベンゼン環、含フッ素シクロペンタン環、含フッ素シクロヘキサン環、含フッ素シクロヘプタン環等を有する単位などを少なくとも共重合単位として有するアクリル樹脂である。またエステル部位が含フッ素のt−ブチルエステル基であるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルなども使用可能である。
【0012】
そのような単位のうち特に代表的なものを単量体の形で例示するならば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルアクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルメタクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルメタクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルアクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。またこれらの化合物は単独使用でも2種以上の併用でもよい。
【0013】
本発明の組成物において、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性を効率的に変化させる目的のためには上に例示されたようなエステル部位に含フッ素イソプロピル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルに基づく単位がより望ましく、また、耐ドライエッチング性を向上させる目的のためにはエステル部位の環状構造にフッ素原子を有するフッ素系化合物に基づく単位が好ましく採用される。
【0014】
さらに本発明にかかるアクリル系樹脂を形成するために使用できる単量体としては含フッ素アクリル酸エステルまたは含フッ素メタクリル酸エステルと共重合可能であれば制限なく使用可能であるが、VUV波長での透明性をより高める目的で 3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロペン(ヘキサフルオロイソブテン)、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロプロペンなどのトリフルオロメチル基が重合性二重結合に直接結合した化合物、またビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)イタコネートの様な1分子に4つのトリフルオロメチル基を有する重合性化合物、さらにα、α−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル基含有化合物が好適に使用できる。
【0015】
また、その他公知のアクリル樹脂に通常用いられている以下の様な化合物も適宜使用可能である。例えばメチルアクリレートート又はメタクリレート、エチルアクリレート又はメタクリレート、n‐プロピルアクリレート又はメタクリレート、イソプロピルアクリレート又はメタクリレート、n‐ブチルアクリレート又はメタクリレート、イソブチルアクリレート又はメタクリレート、n‐ヘキシルアクリレート又はメタクリレート、n‐オクチルアクリレート又はメタクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート又はメタクリレート、ラウリルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール基を含有したアクリレート又はメタクリレート、さらにアクリルアミド、メタクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、N‐メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ヒドロキシスチレン、無水マレイン酸、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、塩化ビニル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのフルオロオレフィン類などがある。この際、部分的に塩素やフッ素などのハロゲンで置換されていても良い。さらにアルコキシシラン含有のビニルシランやアクリル酸またはメタクリル酸エステルも使用できる。
【0016】
また、耐ドライエッチング性、密着性、塗布均一性、溶剤溶解性を高いレベルでバランスさせるために、フッ素原子を有する基をエステル部位とするアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単位を30モル%以上の範囲で含む単独重合体または共重合体とするのがより有利であり、その際には化学増幅型のポジ型レジストで用いられている公知の耐ドライエッチング性を向上させ得る基又は酸解離性のアルカリ性水溶液に対する溶解抑制基によりカルボキシル基が保護されたアクリル酸又はメタクリル酸;例えばt−ブチルアクリレート又はメタクリレート、3‐オキソシクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、アダマンチルアクリレート又はメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート又はメタクリレートなど、またアルカリ性水溶液への可溶性を付与するためのエチレン性不飽和カルボン酸;例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などが使用できる。
【0017】
以上に挙げられた各種の単量体から目的とするフッ素原子を有する基をエステル部位とするアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル重合体(A)を得るには、前記含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを10〜100重量部、好ましくは30〜100重量部とその他の反応成分0.1〜70重量部とを、これら全反応成分の合計量が100重量部となるように共重合させればよい。
【0018】
含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの使用量が10重量部未満の場合には真空紫外領域の光透過率が不十分である。
【0019】
そして、本発明にかかる重合体(A)を調製するには、ラジカル重合開始剤あるいはラジカル開始源の存在下で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合または乳化重合などの公知の重合方法により、回分式、半連続式または連続式のいずれかの操作でおこなえばよい。
【0020】
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例としてアゾ系化合物、過酸化物系化合物、レドックス系化合物が挙げられ、とくにアゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシピバレート、過酸化ベンゾイル等が好ましい。
【0021】
重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。
また、重合反応においては、重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては、ラジカル重合を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素系、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤などがある。またこれらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。また、メルカプタンのような分子量調整剤を併用してもよい。共重反応の反応温度はラジカル重合開始剤あるいはラジカル重合開始源により適宜変更され、通常は20〜200℃が好ましく、特に50〜140℃が好ましい。
【0022】
このようにして得られる本発明にかかる重合体(A)の溶液または分散液から、媒質である有機溶媒または水を除去する方法としては、公知の方法のいずれも利用できるが、例を挙げれば再沈殿ろ過または減圧下での加熱留出等の方法がある。
【0023】
そして、得られる本発明にかかる重合体(A)の数平均分子量としては、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000の範囲が適切である。
【0024】
本発明組成物に用いられる光酸発生剤(B)については特に制限はなく、化学増幅型レジストの酸発生剤として用いられるものの中から、任意のものを選択して使用することができる。このような酸発生剤の例としては、以下に示すものがある。
【0025】
ビススルホニルジアゾメタン類;例えばビス(p‐トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1‐ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4‐ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタンなど。
【0026】
ニトロベンジル誘導体類;例えばp‐トルエンスルホン酸2‐ニトロベンジル、p‐トルエンスルホン酸2,6‐ジニトロベンジルなど。
【0027】
スルホン酸エステル類;例えばピロガロールトリメシレート、ピロガロールトリトシレートなど。
【0028】
オニウム塩類;例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(4‐メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4‐メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p‐tert‐ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートなど。
【0029】
ベンゾイントシレート類;例えばベンゾイントシレート、α‐メチルベンゾイントシレートなど。
【0030】
ハロゲン含有トリアジン化合物類;例えば2‐(4‐メトキシフェニル)‐4,6‐(ビストリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐(4‐メトキシナフチル)‐4,6‐(ビストリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐[2‐(2‐フリル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐[2‐(5‐メチル‐2‐フリル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐[2‐(3,5‐ジメトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐[2‐(3,4‐ジメトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2,4,6‐トリス(2,3‐ジブロモプロピル)‐1,3,5‐トリアジン、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレートなど。
【0031】
シアノ基含有オキシムスルホネート化合物類;例えば、α‐(p‐トルエンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐(p‐クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐(4‐ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐(4‐ニトロ‐2‐トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐4‐クロロベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐2,4‐ジクロロベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐2,6‐ジクロロベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシベンジルシアニド、α‐(2‐クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐チエン‐2‐イルアセトニトリル、α‐(4‐ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐[(p‐トルエンスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシフェニル]アセトニトリル、α‐[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシフェニル]アセトニトリル、α‐(トシルオキシイミノ)‐4‐チエニルシアニドなどの特開昭60−65072号公報に記載の公知のオキシムスルホネートなどがある。
【0032】
また、その他のオキシムスルホネート化合物の例としては、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘキセニルアセトニトリル、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘプテニルアセトニトリル、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロオクテニルアセトニトリル、α‐(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)‐シクロヘキシルアセトニトリル、α‐(エチルスルホニルオキシイミノ)‐エチルアセトニトリル、α‐(プロピルスルホニルオキシイミノ)‐プロピルアセトニトリル、α‐(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)‐シクロペンチルアセトニトリル、α‐(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)‐シクロヘキシルアセトニトリル、α‐(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(エチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(n‐ブチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(エチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘキセニルアセトニトリル、α‐(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘキセニルアセトニトリル、α‐(n‐ブチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘキセニルアセトニトリルなどが挙げられる。
【0033】
さらに、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐フェニルアセトニトリル、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシフェニルアセトニトリル、α‐(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)‐フェニルアセトニトリル、α‐(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシフェニルアセトニトリル、α‐(エチルスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシフェニルアセトニトリル、α‐(プロピルスルホニルオキシイミノ)‐4‐メチルフェニルアセトニトリル、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐4‐ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。これらの酸発生剤の中では、オニウム塩類及びシアノ基含有オキシムスルホネート化合物が好ましい。
【0034】
本発明組成物においては、酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その含有量は、樹脂成分100重量部に対して、通常0.5〜20重量部の範囲で選ばれる。この量が0.5重量部未満では像形成性が不十分であるし、20重量部を超えると均一な溶液が形成されにくく、保存安定性が低下する傾向がみられる。
【0035】
本発明組成物は、その使用に当たっては上記各成分を溶剤に溶解した溶液の形で用いるのが好ましい。このような溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、フロン、代替フロン、パーフルオロ化合物、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールなどのフッ素系溶剤、塗布性を高める目的で高沸点弱溶剤であるターペン系の石油ナフサ溶媒やパラフィン系溶媒などが使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0036】
本発明組成物には、さらに所望により混和性のある添加物、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、クエンチャー、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、相溶化剤、密着剤、酸化防止剤などの種々添加剤を含有させることができる。
【0037】
本発明のポジ型レジスト組成物は、1nm〜190nmの真空紫外領域の波長を持つ露光光に適し、そのような露光光として、具体的には、Xe2エキシマレーザ光、F2エキシマレーザ光、Kr2エキシマレーザ光、ArKrエキシマレーザ光、Ar2エキシマレーザ光又は軟X線などが挙げられ、特にF2エキシマレーザ光に好適である。
【0038】
本発明組成物の使用方法としては、従来のホトレジスト技術のレジストパターン形成方法が用いられるが、好適に行うには、まずシリコンウエーハのような支持体上に、該レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに露光装置などにより、エキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して照射し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば0.1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実なパターンを得ることができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明のポジ型レジスト組成物は、化学増幅型であって、VUV光、特にF2エキシマレーザー光に対して透明性が高く、かつ高感度な化学増幅型のポジ型レジストとして、超微細加工が要求される半導体素子などの製造に好適に用いられる。
【0040】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕
ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート(7FMA)5.0g、t−ブチルメタクリレート(t−BuMA)4.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.4g、メタクリル酸(MAA)0.2g、t−ブチルパーオキシピバレート(t−BuPPV)0.05g、酢酸ブチル40gを内容積100mLのステンレス鋼製容器に採取し、脱気−窒素置換を3回繰り返した後に容器を密封し、60℃の恒温水槽にて20時間重合を行った。重合終了後、内容物を大量のヘキサンに注いで固体を得た。次いでこれをアセトンに溶解し、ヘキサンで再沈殿して精製重合体7gを得た。
【0042】
得られた重合体の分子量をゲルパーミエーションクロマトフィーにより、ポリスチレンを標準試料としてテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として測定したところ、数平均分子量(Mn)2.4万、重量平均分子量(Mw)4.1万であった。
【0043】
〔比較例1〕
単量体の種類と量、開始剤および溶媒の量などを表1に示す処方で実施例1と同様に反応を行い重合体を得た。得られた重合体の物性を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
7FMA:ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート
t-BuMA:t-ブチルメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
t-BuPPV:t-ブチルパーオキシピバレート
溶解性:重合体がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、シクロヘキサノン、酢酸ブチルのいずれかに室温で5g/溶媒100g以上溶解する場合可溶(○)、これらの何れの溶媒にも不溶(×)。
【0046】
157nm透明性:膜厚1000オングストロームの膜を真空紫外分光器で測定。
Claims (3)
- 酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化するアクリル系樹脂および酸発生剤を含有するポジ型レジスト組成物において、アクリル系樹脂が、構成単位として、フッ素原子を有する基をエステル部位とするアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単位を含む重合体であって、該構成単位がエステル部位がヘプタフルオロイソプロピル基であることを特徴とする1nm〜190nmの真空紫外領域のレーザー用ポジ型レジスト組成物。
- さらに溶剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
- 真空紫外領域のレーザーがF2エキシマレーザであることを特徴とする請求項1または2の何れかに記載のポジ型レジスト組成物。
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