JP3596620B2 - ポリヌクレオチド固定化方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は担体にポリヌクレオチドを固定化する方法に関する。より詳細には、標的核酸または標的を捕らえるための遺伝子プローブ(ポリヌクレオチド)を固相担体に結合させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子(DNA)にコードされた遺伝情報はメッセンジャーRNAを介して酵素等のタンパク質として表現され、これらのタンパク質の働きにより生成した様々な化合物の集合体として生物が存在する。このような遺伝子の総数はヒトで5〜10万といわれているが、その中に何らかの異常や変化(例えば、欠損、重複など)が生じることがある。その場合には、生成するタンパク質の特性、種類、量などが変化し、その結果、生体系のバランスが崩れて疾病を引き起こす。したがって、逆に、病因となっている遺伝子を検出することにより、疾病の同定や予防が可能となる。近年の遺伝子工学の進歩に伴い、このような遺伝子そのものに基づく診断(遺伝子診断と呼ばれている)が可能になってきた。
【0003】
遺伝子発現の機構を考えると、生化学的レベルでのほとんどの変化に先行して遺伝子での変化が生じていることが推定される。したがって遺伝子診断により、病気という表現型での変化に先立つ(すなわち、発症前や病気の潜伏期あるいはきわめて初期の)診断や予測が可能となる。
また、生体内の細胞の遺伝子は全て同一であるので、遺伝性の疾患に関しては分析しようとする臓器や組織は特定されない。特に、胎児に関しては、妊婦から羊水を採取して羊水中に浮遊している胎児の細胞を調べるだけで診断することができ、非常に重要な診断方法である。
【0004】
一般に、遺伝子診断は次のように行なわれる。
まず、試料から遺伝子を抽出し、必要があれば適当な制限酵素で切断する。次に、この遺伝子を電気泳動にかけ、その後サザンブロットを行なう。次いで、目的とする遺伝子に対応する遺伝子プローブ(通常は、放射性同位元素、酵素、蛍光物質などで標識されている)をハイブリダイズさせた後、そのプローブの標識を検出することで、目的とする遺伝子の有無を判定する。この方法において遺伝子プローブの標識剤としては、従来は放射性同位元素が使用されてきたが、放射性同位元素は診断場所が限定され、かつ試薬の取扱いにも充分な注意が必要であるため、放射性同位元素に替わる安全な標識剤の開発が進められている。すでにビオチン−アビジン結合を利用するもの、酵素や蛍光物質を使用するもの等が開発されており、使用が簡便でかつ感度の点でも放射性同位元素に肩を並べるレベルに到達しようとしている。
【0005】
ところで、上記方法では、遺伝子の検出までに少なくとも数日を要し、測定操作もかなり複雑である。そのため、測定操作、特に洗浄過程を簡略化し、測定時間を短縮するために、いわゆる「サンドイッチハイブリダイゼーション法」が提示された(Ranki et.al.,Gene. Vol.21, p77−85,1983、特開昭60−93355号広報、特開昭62−50107号広報、および特開昭62−205800号広報)。この方法は、固相担体上に目的とする遺伝子に対して相補的な塩基配列を有する第一の遺伝子プローブを固定し、試料中の特定の配列を持った標的核酸とハイブリダイズさせ、さらに、該標的核酸の別の配列部分とハイブリダイズ可能な、標識剤で標識した検出用の第二の遺伝子プローブと反応させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記サンドイッチハイブリダイゼーション法においても、固相担体への第一の遺伝子プローブの固定化の効率が悪いという問題点があった。また、ハイブリダイゼーションの際に、目的とする遺伝子以外にも他の遺伝子が固相担体上に非特異的に吸着されてしまうという問題もある。この非特異的な吸着を防ぐために、従来は、予め牛胸腺や鮭の精子などのDNAで長時間ブロックする方法がとられている。しかし、これは操作の簡便化、および検出時間短縮の妨げとなっている。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、遺伝子、特に遺伝子プローブ(ポリヌクレオチド)を、簡便に、かつ短時間で効率よく担体に固定化することが可能な方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意研究をすすめた結果、固相担体へのポリヌクレオチドの固定化の効率を上昇させるために、リンカーアームヌクレオチドを含むポリヌクレオチドをリンカー部を介して固相担体に結合させることが有効であることを見い出した。
【0008】
すなわち本発明は下記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを固相担体に結合させることを特徴とするポリヌクレオチド固定化方法である。
【0009】
一般式(I): G−P−Q
(式中、Gはリボースまたはデオキシリボースから還元末端の1位の炭素原子が外れた残基を示す。Pはアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジンのいずれか1つの残基を示す。Qは1〜15個の炭素原子を含む1価の有機基を示す。)
【0010】
また本発明は下記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを固相担体に固定化し、標的核酸を含む試料をハイブリダイズさせ、さらに標識プローブをハイブリダイズさせて、該標識を検出することを特徴とする試料中の標的核酸を定量する方法である。
【0011】
一般式(I): G−P−Q
(式中、Gはリボースまたはデオキシリボースから還元末端の1位の炭素原子が外れた残基を示す。Pはアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジンのいずれか1つの残基を示す。Qは、1〜15個の炭素原子を含む1価の有機基を示す。)
【0012】
さらに本発明は試料中のポリヌクレオチドに下記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを導入し、固相担体に固定化した後、標識プローブをハイブリダイズさせ、該標識を検出することを特徴とする試料中の標的核酸を定量する方法。
【0013】
一般式(I): G−P−Q
(式中、Gはリボースまたはデオキシリボースから還元末端の1位の炭素原子が外れた残基を示す。Pはアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジンのいずれか1つの残基を示す。Qは、1〜15個の炭素原子を含む1価の有機基を示す。)
【0014】
本発明における一般式(I)で表されるリンカーアームヌクレオチドは、リボース残基またはデオキシリボース残基(G)とアデノシン、グアノシン、シトシン、チミジン、ウリジンのいずれか1つの残基(P)と1〜15個の炭素原子を含む1価の有機基(Q)を含む。
Gは具体的には下記式で示されるリボース残基またはデオキシリボース残基である。
【0015】
【化1】
【0016】
Pはアデノシン、グアノシン、シトシン、チミジン、ウリジンのいずれか1つの残基を示す。チミンを次に例示する。
【化2】
【0017】
Qは1〜15個の炭素原子を有する1価の有機基であり、例えば
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
(ここでR1は水素原子または炭素原子数1〜6の低級アルキル基、Yは1またはそれ以上のアミノ基(−NH2)、置換アミノ基(−NHR)、アミド(−CONH2)、置換アミド(−CONHR)、アミノアルキルフェニルまたは置換アミノアルキルフェニル基であり(Rは炭素原子数1〜12のアルキル基を示す)、Yは1またはそれ以上のアセチルイミド基またはトリハロゲン化アセチルイミド基であってもよい。)などがある。
具体的には下記の有機基が例示される。
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
上記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを固相担体に結合させる手段は物理吸着法によることが好ましい。
【0025】
本発明で使用するリンカーアームヌクレオチドは、核酸の構成単位であるアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、またはウリジン(P)に有機基(Q)を介してアミノ基を導入したもので、従来、後述する実施例中の参考例1ならびに参考例2に示したように、少なくとも1個の酵素などの標識をヌクレオチド配列中に導入する目的で作成されたものである。
【0026】
本発明において、そのリンカーアームヌクレオチドを配列中に含有するポリヌクレオチドは、約200塩基単位の長さより短い、定められた配列の1本鎖ヌクレオチドである。1種またはそれ以上の検出可能なリポーター・グループとして機能しうるか、あるいはまた1種またはそれ以上の検出可能なリポーター・グループと結合し得る置換基が、その塩基の立体的に耐容性のある部位(例えばピリミジンのC−5、プリンのC−8)に結合している様なヌクレオチド単位を少なくとも1個含んでいる1本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0027】
さらに具体的には、
【化9】
〔式中、R’は水素原子またはヒドロキシ基、Pはピリミジン塩基またはプリン塩基、Qはリンカーアームである。〕で示されるヌクレオチド残基を少なくとも1つ予め選択された位置に有する基本的に200ヌクレオチドを越えない予め選択された配列からなる実質上一本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0028】
非酵素的合成法は、活性化されたヌクレオチドモノマーと伸長しつつあるヌクレオチド鎖の遊離の水酸基をもつ端末単位とをカップリングさせることからなり、該モノマーおよび端末単位の少なくとも一方がその塩基の立体的に耐容性のある部位に、1種またはそれ以上の検出可能なリポーターグループとして機能しうる、あるいは1種またはそれ以上の検出可能なリポーターグループと結合し得る置換基が結合することによって修飾されている。
【0029】
オルゴヌクレオチドはリボキシヌクレオチドであってもデオキシリボヌクレオチドであってもよい。その合成前に、リポーターグループが結合する特定のヌクレオチド単位と同様、そのリポーターグループも予め選択される。
【0030】
本発明に用いたリンカーアームヌクレオチドを取り込ませる方法としては、リンカーアームヌクレオチドを配列中に持つプライマーを用いたランダムプライマー法(Feinberg et.al., Analytical Biochemistry. Vol.132, P6−13,1983, Vol.137, P266−267,1984 )およびリンカーアームヌクレオチドを配列中に持ったプライマーを用いるPCR法(Saiki et.al.,Science. Vol.230, P1350−1354,1985)などがあり、これらの方法で導入されたリンカー部を介して固相担体に結合し、標識を持ったプローブを利用することにより検出できる。
【0031】
本発明のポリヌクレオチド固定化方法において用いられる担体は、ニトロセルロースやナイロンなどの膜担体、ラテックス粒子、マイクロタイタープレート等、従来からハイブリダイゼーションに使用されてきたものおよび使用が可能と考えられるものであれば特に限定されるものではない。
【0032】
本発明のポリヌクレオチド固定化方法においては、ポリヌクレオチド中のリンカーアームヌクレオチドのリンカー部(Q)が、上記担体に物理吸着または共有結合することにより、担体に遺伝子が固定化される。
物理吸着の場合には、通常免疫法で用いられているのと同様に、リンカーアームヌクレオチドを持つ遺伝子プローブ(ポリヌクレオチド)を1〜1000nM、好ましくは10〜100nM程度の適当な濃度の反応溶液とし、担体を浸漬または担体に添加し、適当な時間静置または懸濁することで実現できる。
【0033】
また共有結合の場合には、遺伝子プローブ(ポリヌクレオチド)中のリンカーアームヌクレオチドのリンカー部(Q)と、担体の表面に存在する官能基とが反応することで結合する。このとき共有結合を形成する反応は、担体表面に存在する官能基によって異なる。したがって、担体の表面上に存在する官能基と遺伝子中のリンカーアームヌクレオチドのリンカー部(Q)との共有結合の形成において、反応方法および条件は特に限定されるものではない。上記共有結合を形成するための反応としては、担体にカルボキシル基を有する場合のリンカー部のアミノ基とのアミド結合があげられる。
【0034】
本発明において使用するポリヌクレオチドは上記リンカーアームヌクレオチドを配列中に含有しないポリヌクレオチドと比較して、担体への固定化効率の上昇をもたらす。
【0035】
本発明の固定化法により固定された担体を、サンドイッチハイブリダイゼーションを用いた遺伝子の検出に好適に使用することができる。また従来からの遺伝子を試料から抽出し適当な処理の後、担体に固定する方法においても、上記したランダムプライマー法やPCR法などの処理の際、本発明に用いたリンカーアームヌクレオチドを取り込ませることにより、同様な効果をあげることができる。
【0036】
具体的な標的核酸を定量する方法としては、上記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを固相担体に固定化し、標的核酸を含む試料をハイブリダイズさせ、さらに標識プローブをハイブリダイズさせて、該標識を検出することを特徴とする試料中の標的核酸を定量する方法がある。
【0037】
また試料中のポリヌクレオチドに上記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを導入し、固相担体に固定化した後、標識プローブをハイブリダイズさせ、該標識を検出することを特徴とする試料中の標的核酸を定量する方法がある。
【0038】
試料としては通常、生体から採取できるサンプルを広く利用でき、具体的には糞便、尿、組織、血液などを直接あるいは適当な処理を行った後、使用することができる。
標識プローブとしては試料中に存在する可能性を有する標的核酸とハイブリダイズする核酸に標識を結合させた10〜数千塩基長のオリゴヌクレオチドを使用する。望ましくは10〜100塩基長程度のものがよいが、試料中のポリヌクレオチド中のリンカーアームヌクレオチドを取り込ませる場合には、さらに長いものでもよい。
標識としては放射性元素、酵素、蛍光物質、抗原、抗体、ハプテンなど、通常、核酸の標識に用いられるものであれば使用できる。
標識を検出する方法としては、上記のものを検出する、通常、用いられる検出方法であれば利用できる。
【0039】
【発明の効果】
本発明では上記したリンカーアームヌクレオチドを持つ遺伝子プローブ(ポリヌクレオチド)を担体に結合させることにより、ハイブリダイゼーション法における固相担体への遺伝子プローブ(ポリヌクレオチド)の固定化の効率が改善される。このことにより、ハイブリダイゼーション反応時のシグナル値が上昇し、その結果最低検出感度を向上させることが可能となる。
【0040】
【実施例】
以下に本発明の実施例および参考例を挙げることにより、本発明の効果をより一層明瞭なものとする。
なお、実施例中、“n×SSC”は、0.3Mクエン酸ナトリウム (pH 7.0), 3.0M NaCl混合液の(20/n)倍希釈液を示す。
【0041】
参考例1
腸炎ビブリオ検出用捕捉プローブおよび標識プローブの合成
捕捉プローブ及び標識プローブは、DNA合成機392型(アプライドバイオシステムズ社)を用いて、ホスホアミダイト法により合成した。
捕捉プローブの塩基配列は5’−CGGTCATTCTGCTGXGTTCGTAAAAT−3’である。
標識プローブの塩基配列は5’−CCCCGGTTCTGAXGAGATATTGTT−3’である。
配列中、Xは下記のリンカーアームヌクレオチドを示す。
【0042】
【化10】
【0043】
参考例2
標識プローブの酵素・アルカリホスファターゼによる標識
参考例1で合成した標識プローブと、リンアーアームを介してアルカリホスファターゼとの結合を、文献(Nucleic Acids Research, vol.14,P.6155, 1986) に従って行った。
リンカーアームヌクレオチド(標識プローブ)1.0 A260を0.2M重炭酸ソーダ60μl に溶解し、ここへスベリン酸ジスクシニミジル(DSS)1.25mgを加えて室温、2分間反応させた。反応液を1mM 酢酸ナトリウム(pH5.0)で平衡化した。
【0044】
次に、Sephadex G−25 (ファルマシア社)カラム(1cm φ×30cm)でゲル濾過して過剰のDSSを除去した。末端のアミノ基が活性化されたリンカーアームヌクレオチドを、更にモル比で2倍等量のアルカリホスファターゼ(ベーリンガーマンハイム社)と室温、16時間反応させることでアルカリホスファターゼ標識核酸プローブを得た。
得られた標識プローブは、陰性イオン交換高速液体クロマトグラフィーMONO−QFPLC(ファルマシア社)を用いて精製した。標識プローブを含む画分を集め、セントリコン30K(アミコン社)を用いて限外濾過法により濃縮した。
【0045】
参考例3
腸炎ビブリオ遺伝子の調製
腸炎ビブリオの菌株をブレインハートインフュージョン培地に接種して37℃で一晩培養した。成育したコロニーをそれぞれ 1.5mlのエッペンドルフチューブにかきとり、希釈用緩衝液 300μl に懸濁した。さらにここへプロテイナーゼK(ナカライテスク社)0.6mg 、溶菌液(8M尿素、0.25%ドデシル硫酸ナトリウム、0.25%ラウリルサルコシンナトリウム、50mM EDTA,pH 7.6) 600μl を加えて撹拌し、60℃で30分間インキュベートした。 得られた溶解液を、フェノールで2回、クロロホルムで1回抽出後、エタノール沈澱し、核酸を得た。
【0046】
実施例1
(1) 捕捉プローブの固相担体への結合法
固相担体として、ポリスチレン製のマイクロタイタープレート(マイクロライト2、ダイナテック社)を用いた。参考例1で得られた捕捉プローブを、50mMホウ酸緩衝液で10pmole/mlに希釈した。その溶液をマイクロタイタ−プレートのウェルに 100μl ずつ分注し室温で一夜インキュベートした。
また比較例1として、リンカーアームヌクレオチドを持たない捕捉プローブを調製し、同様に固相担体に結合させた。
【0047】
(2) 捕捉プローブ結合プレートのブロック法
上記方法で得られたプレートから捕捉プローブ溶液をアスピレーターで除き、ブロックバッファーを各ウェルに 150μl ずつ分注し、室温で2時間放置しブロックした。
【0048】
(3) サンドイッチハイブリダイゼーション法による腸炎ビブリオ遺伝子の検出
参考例2、3の方法で調製した試薬及び試料を用いて、陽性検体として腸炎ビブリオ遺伝子の検出を以下に述べる方法で行った。
試料は等量の 0.6N NaOHを加え室温で15分変性させた。対照(陰性検体)として、ヒト胎盤由来のDNA(シグマ社)を、同様の方法で変性させたものを用いた。
【0049】
捕捉プローブを結合させた後、ブロックしたプレートよりブロック液を除き、変性させた試料を10μl 添加した。次にハイブリダイゼーション緩衝液を 100μl 加え、50℃で60分間ハイブリダイゼーションを行った。液をウェルから除き、洗浄液I(2×SSC、1.0%ラウリル硫酸ナトリウム)を 200μl 加えて、50℃で5分間洗浄した。続いて洗浄液Iを除き、1×SSC 200μl でウェル内をすすぎ、アルカリ性ホスファターゼ標識プローブ溶液 100μl を加え、50℃で60分間ハイブリダイゼーションを行った。プローブ溶液をウェルから除き、洗浄液Iを 200μl 加えて50℃で10分間洗浄し、次に洗浄液II(1×SSC、0.5% Triton X−100 )を 200μl 加え、室温で10分間洗浄した。最後に1×SSCを 200μl 加えてウェル内を濯いだ後、アルカリ性ホスファターゼの基質である化学発光基質、Lumiphos480 (和光純薬社)を 100μl 加え、37℃、暗所で15分間発光反応を行った。発光量は、マイクロライト1000(ダイナテック社)で測定した。
【0050】
下記の表1から明らかなように、本発明のリンカーアームヌクレオチドを用いた捕捉プローブを使用すると、比較例1に対して陽性検体を測定した値が上昇しており、しかも陰性検体を測定した値が減少しているため、感度並びに特異性について優れた結果が得られた。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例2
(1) 腸炎ビブリオ遺伝子へのリンカーアームヌクレオチドの導入
参考例3で調製した腸炎ビブリオ遺伝子を、ランダムプライマー、dNTP、およびリンカーアームヌクレオチドと混合し、95℃で3分間加熱した後氷中で急冷し5分間おいた。ここにKlenow Fragment を2単位加え、37℃で3時間反応させた後、95℃で3分間加熱した。これを氷中で急冷することにより、リンカーアームヌクレオチドを配列中に持つ腸炎ビブリオ遺伝子断片を調製した。
【0053】
(2) 腸炎ビブリオ遺伝子の固相への結合法
固相として、ナイロン膜(ハイボンドN+;アマシャム社)を用いた。膜は核酸を固定する前に5×SSC溶液で軽くすすいだ。上記 (1)で得られた腸炎ビブリオ核酸を滅菌水で10μl/50μl の濃度に希釈した。核酸水溶液に等容量の0.3N NaOH を加え室温で15分間処理し変性した。変性後ドットブロッター(BRL社)を用いてナイロン膜上に核酸を 100μl ずつ添加しゆっくりと吸引した。溶液がすべて吸引された後、5×SSCを 100μl ずつ添加、吸引し、膜をブロッターからはずして5×SSCで軽くすすぎ、ろ紙で膜の水分をとり乾燥させた。
【0054】
(3) 腸炎ビブリオ遺伝子固定化膜のブロックおよび遺伝子検出法
核酸を固定化した膜をハイブリバッグ(BRL社)に入れ、ブロックバッファーを加えてポリシーラーでシールし、振とうさせながら50℃で15分間ブロックした。ハイブリバッグからブロックバッファーを除き、アルカリホスファターゼ標識プローブを含むハイブリダイゼーション緩衝液 100μl を加え、振とうさせながら50℃で60分間ハイブリダイゼーションを行った。膜をハイブリバッグから出し、洗浄液I(2×SSC、1.0%ラウリル硫酸ナトリウム)を入れたバットに移し振とうさせながら50℃で10分間洗浄した。次に、洗浄液II(1×SSC、0.5%Triton X−100)のバットに移し振とうさせながら室温で10分間洗浄した。
洗浄が終了した膜をハイブリバッグに入れ、ニトロブルーテトラゾリウムならびに、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸を含むアルカリホスファターゼの基質溶液を加えシールし37℃、1時間暗所におくことで反応させた。発色後膜を蒸留水で洗浄し乾燥させ、発色を色彩色差計CR−221(ミノルタカメラ社)を用いて測定した。測定には△L*a*b*モードを用いた。
【0055】
下記の表2から明らかなように、本発明のリンカーアームヌクレオチドを用いた遺伝子断片を固相に結合させて使用すると、比較例2に対して陽性検体を測定した値が上昇しており、しかも陰性検体を測定した値が減少しているため、感度並びに特異性について優れた結果が得られた。
【0056】
【表2】
【0057】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:26
配列の型:核酸
トポロジー:一本鎖
配列の種類:合成DNA
配列の特徴
存在位置:1..26
特徴を決定した方法:S
他の特徴:腸炎ビブリオTDH(Thermostable Direct Haemolysin)遺伝子の339番目から364 番目のヌクレオチド配列と相同的な配列を有する。
【0058】
配列番号:2
配列の長さ:24
配列の型:核酸
トポロジー:一本鎖
配列の種類:合成DNA
配列の特徴
存在位置:1..24
特徴を決定した方法:S
他の特徴:腸炎ビブリオTDH(Thermostable Direct Haemolysin)遺伝子の102 番目から125 番目のヌクレオチド配列と相同的な配列を有する。
Claims (3)
- 下記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを含有する200塩基単位の長さより短い1本鎖ポリヌクレオチドを固相担体に結合させることを特徴とするポリヌクレオチド固定化方法。
一般式(I): G−P−Q(式中、Gはリボースまたはデオキシリボースから還元末端の1位の炭素原子が外れた残基を示す。Pはアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジンのいずれか1つの残基を示す。Qは1〜15個の炭素原子を含む1価の有機基を示す。) - 下記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを含む200塩基単位の長さより短い1本鎖ポリヌクレオチドを固相担体に固定化し、標的核酸を含む試料をハイブリダイズさせ、さらに標識プローブをハイブリダイズさせて、該標識を検出することを特徴とする試料中の標的核酸を検出する方法。
一般式(I): G−P−Q(式中、Gはリボースまたはデオキシリボースから還元末端の1位の炭素原子が外れた残基を示す。Pはアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジンのいずれか1つの残基を示す。Qは、1〜15個の炭素原子を含む1価の有機基を示す。) - 試料中のポリヌクレオチドに下記一般式(I)で表される少なくとも1個のリンカーアームヌクレオチドを導入した、200塩基単位の長さより短い1本鎖ポリヌクレオチドを、固相担体に固定化した後、標識プローブをハイブリダイズさせ、該標識を検出することを特徴とする試料中の標的核酸を検出する方法。
一般式(I): G−P−Q(式中、Gはリボースまたはデオキシリボースから還元末端の1位の炭素原子が外れた残基を示す。Pはアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジンのいずれか1つの残基を示す。Qは、1〜15個の炭素原子を含む1価の有機基を示す。)
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