JP3585365B2 - 電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、演奏者が片手で操作可能で、電子楽器の演奏音に効果を付与する際に操作される電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子鍵盤楽器の中には、図5に示すような、ベンダーホイール90やモジュレーションホイール92を備えたものがある。ベンダーホイール90は、楽音の高さを変更する効果を楽音に付与する機能を手動制御するためのものであり、操作量に応じて1音程度の範囲内で無段階に楽音の高さを変更できるため、楽音を意図的に上下に揺らすように変化させる効果を付与することができる。また、モジュレーションホイール92は、ビブラートなどの効果を楽音に対して付与する機能を手動制御するものであり、操作量に応じて効果付与レベルを変更することができる。
【0003】
また、これらベンダーホイール90およびモジュレーションホイール92は、より複雑に変化する効果を楽音に対して付与する際に、同時に操作される場合がある。そのため、多くの場合、ベンダーホイール90およびモジュレーションホイール92は、電子鍵盤楽器の左端付近の上面側に並べて配置され、演奏者が右手で鍵盤94を操作している最中でも、ベンダーホイール90およびモジュレーションホイール92の双方を、左手で同時に操作できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記ベンダーホイール90を単独で操作する場合、多くの演奏者は、ケース96の左端をつかむようなかたちでケース96上に左手を置き、親指を使ってベンダーホイール90を操作している。このような体勢で操作をすれば、左手のポジションが上下左右に振れにくく、左手を安定させやすいため、微妙な操作を正確に行うことができる。
【0005】
一方、上記ベンダーホイール90およびモジュレーションホイール92の双方を操作する場合は、多くの演奏者は、2本の指を使って操作する都合上、中指を使ってベンダーホイール90を操作するとともに、人さし指を使ってモジュレーションホイール92を操作している。
【0006】
しかし、このように中指と人さし指でベンダーホイール90およびモジュレーションホイール92を操作すると、親指でベンダーホイール90を操作する時のように、ケース96の左端をつかむようなかたちでケース96上に左手を置くことはできなくなるため、左手のポジションが不安定になりやすく、これが、微妙な操作を行うときの妨げになるという欠点があった。また、ベンダーホイール90を中指で操作することは、親指で操作すること以上に難しいため、ベンダーホイール90を親指で巧みに操作できる演奏者であっても、さらに、ベンダーホイール90を中指で操作する練習も行わなければならなかった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ベンダーホイール等として使われる第1の操作手段を最も操作しやすい体勢で操作でき、しかも、その体勢のままモジュレーション操作等の別操作に使われる第2の操作手段を操作できるように構成可能な電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】
上述の目的を達成するために、上記請求項1に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構は、
演奏者が片手で同時に操作可能で、その操作量に応じた信号をそれぞれ出力可能な第1,第2の操作手段を備え、各操作手段から出力される前記信号に基づいて電子楽器の効果付与機能が制御される電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構において、
前記第1の操作手段が、回動操作またはスライド操作可能な可動部、および該可動部の位置に応じた信号を出力可能な第1信号出力部を備えてなり、
前記第2の操作手段が、押圧操作された時の押圧力に応じた信号を出力する第2信号出力部を備えてなり、
しかも、前記第1の操作手段が、親指を使って操作可能な場所に配置され、
前記第2の操作手段が、前記第1操作手段を親指を使って操作可能な場所に手を置いた時に、同じ手の前記親指以外の指を使って操作可能な場所に配置されている
ことを特徴とする。
【0009】
この操作機構によれば、第1の操作手段の可動部を回動操作またはスライド操作すると、可動部の位置に応じた信号が第1信号出力部から出力されるので、この信号をパラメータとして電子楽器が備える第1の効果付与機能を制御することができる。また、第2の操作手段を押圧操作すると、押圧力に応じた信号が第2信号出力部から出力されるので、この信号をパラメータとして電子楽器が備える第2の効果付与機能を制御することができる。
【0010】
ここで、第1の操作手段は、従来技術として説明したベンダーホイールと同様の動作をするものなので、例えば楽器のケース上に手を置いた状態で親指による操作を行うことができるような場所に、第1の操作手段を配置すればよい。一方、第2の操作手段は、従来技術として説明したベンダーホイールやモジュレーションホイールとは異なり、押圧操作された時の押圧力に応じた信号を出力するものである。そのため、指を使って可動部を大きく変位させるような操作をする必要はないので、親指以外の指を使って適宜押圧操作することができるような場所に、第2の操作手段を配置すればよい。その結果、ベンダーホイール等として使われる第1の操作手段を最も操作しやすい体勢で操作できるようになり、しかも、その体勢のままモジュレーション操作等の別操作に使われる第2の操作手段を操作できるようになる。
【0011】
したがって、この操作機構によれば、第2の操作手段を操作するか否かによって、第1の操作手段を操作する際に使用する指を変更したり、手の置き場を変えたりしなくてもよくすることができるので、第2の操作手段を操作するか否かを問わず、手のポジションを安定させた状態で、2つの操作手段を同時にでも良好に操作することができるようになる。
また、前記第1の操作手段が、親指を使って操作可能な場所に配置され、前記第2の操作手段が、前記第1操作手段を親指を使って操作可能な場所に手を置いた時に、同じ手の前記親指以外の指を使って操作可能な場所に配置されているので、第1の操作手段を親指で操作しつつ、第2の操作手段を同じ手の他の指で操作できる。したがって、第2の操作手段を微妙に操作することも、より容易になる。
次に、上記請求項2に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構は、
前記第1の操作手段が、電子鍵盤楽器の側端付近の上面側に配置され、
前記第2の操作手段が、前記電子鍵盤楽器の側端付近の側面側に配置されている
ことを特徴とする。
このような効果付与機能制御用の操作機構によれば、電子鍵盤楽器の上部側端付近をつかむようなかたちで手を置き、その状態のまま親指で第1の操作手段を操作でき、しかも、同時に他の指で第2の操作手段を操作できるので、手が左右に振れることも上下に振れることもなく、手のポジションを安定させて操作を行うことができる。
ちなみに、第1,第2の操作手段の配置場所としては、上記請求項2に記載の如き場所の他、第1,第2の操作手段の双方を電子鍵盤楽器の上面側に配置することもできるが、上記請求項2に記載の如く配置する方が、楽器の角をつかむように手を置くことができるので安定性が高い。
【0012】
次に、上記請求項3に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構は、
前記第2の操作手段が、前記第2信号出力部として、押圧操作された時の押圧力に応じて端子間の電気抵抗が変化する面状感圧抵抗体を備えている
ことを特徴とする。
【0013】
この操作機構は、第2の操作手段が、面状感圧抵抗体を備えてなる。この面状感圧抵抗体は、原理的には、面状体の内部に無数の接点があって面状体に押圧力を加えると、より多くの接点が閉じられて電気抵抗が低下するようなものである。
【0014】
より具体的には、例えば、導電性フィラーをゴム状基材に分散させて導電性弾性材料とし、その導電性弾性材料を面状に形成し、その面状体の表面に正負両極となる端子を形成した構造のものなどを考えることができる。この場合、上記正負両極となる端子は、上記導電性弾性材料を介して電気的に接続されていて、正負両極となる端子間にはある電気抵抗値が現れるが、面状の導電性弾性材料部分に押圧力が作用すると、導電性弾性材料中のゴム状基材が圧縮され、導電性フィラーの接触していなかった部分同士が接触し、その結果、電流の通過可能経路が増大して、端子間の電気抵抗が低下する。すなわち、微視的に見ると、ゴム状基材中に分散させてある導電性フィラーが、常時は開いていて押圧されると閉じられる無数の接点を形成しており、押圧力が増大するにつれて閉じられる接点の数が増大し、電気抵抗が低下するのである。
【0015】
このように構成された電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構によれば、第2の操作手段が、上述のような面状感圧抵抗体を備えているので、第2の操作手段をきわめて薄く構成することができる。したがって、大がかりな機構が組み込まれた圧力検出装置を使って押圧力を検出するものに比べ、第2の操作手段を配置するに当たっての自由度が高くなり、第1の操作手段の配置場所を基準にして第2の操作手段を最適な場所に配置することも、きわめて容易に実施できるようになる。
【0016】
なお、上記請求項3に記載の操作機構において、第2の操作手段が、面状感圧抵抗体に加えて、面状感圧抵抗体以外の部材を備えていてもよいことはもちろんである。具体的には、面状感圧抵抗体の表面を保護するための保護部材など、機能的に必要な部材を配設することは任意である。また、意匠的な観点から何らかの部材を付加することも可能である。
【0017】
次に、上記請求項4に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構は、
前記第2の操作手段が、異なる押圧位置として判別すべき箇所にそれぞれ形成された複数の前記第2信号出力部を備えてなる
ことを特徴とする。
【0018】
この操作機構において、複数の第2信号出力部は、それぞれが独立に押圧力に応じた信号を出力可能な単位構造で、通常は、この単位構造が異なる押圧位置として識別すべきピッチで複数配列される。このように構成すれば、例えば、信号を入力する側で、上記複数の第2信号出力部を繰り返し走査することにより、各第2信号出力部から出力される信号の内、最も大きな押圧力に相当する信号を探し出して押圧力を取得することができ、しかも、その押圧力を検出した第2信号出力部の配置位置を、押圧位置と判断することもできる。
【0019】
したがって、この操作機構によれば、第2の操作手段を押圧操作すると、押圧力および押圧位置という2つの情報を取得できるので、押圧力をパラメータとして電子楽器が備える第2の効果付与機能を制御する他に、押圧位置をパラメータとして電子楽器が備える第3の効果付与機能をも制御することができるようになる。
【0020】
ちなみに、第3の効果付与機能を制御するパラメータとして上記押圧位置を利用するに当たっては、種々の利用方法を考え得る。
例えば、第3の効果付与機能の効果付与レベルを「1」〜「10」まで10段階に可変制御でき、第2の操作手段の押圧位置の座標値「1」〜「10」を特定でき、第3の効果付与機能の効果付与レベルが「A」に設定されていて、演奏者が座標値「B」の押圧位置を押圧した場合であれば、第3の効果付与機能の効果付与レベルを、直ちに「A」から「B」へ変更してもよいし(すなわち、効果付与レベルを瞬時変更)、所定時間内に(例えば3秒間で)変更が完了するように「A」から「B」へ連続的に変更してもよいし(すなわち、効果付与レベルの変更完了までの時間を特定)、所定時間毎(例えば0.5秒毎)に「A」,「A+1」,「A+2」,…,「B−1」,「B」(この場合A<B;但し、押圧位置によりB≧Aの場合もあり得る)といった具合に連続的に変更してもよい(すなわち、効果付与レベルを1段階分変更する時間を特定)。瞬時変更以外は、楽音の変化を聴きながら所望の効果付与レベルとなったところで操作を中断することもできる。これらの変更は、いずれも押圧位置の座標値「1」〜「10」と、第3の効果付与機能の効果付与レベル「1」〜「10」とに1対1の対応関係があることを前提とする変更方法である。
【0021】
一方、このような1対1の対応関係ではなく、押圧位置の相対的な変位をパラメータとして利用する方法もある。
例えば、第3の効果付与機能の効果付与レベルを「1」〜「10」まで変更でき、第2の操作手段の押圧位置の座標値「1」〜「10」を特定でき、現在の第3の効果付与機能が「A」に設定されていて、演奏者が座標値「B」の押圧位置を押圧し、そのまま押圧位置を座標値「B+C」までスライドさせた場合であれば、第3の効果を付与する程度を、押圧位置のスライドに連動させて「A」から「A+C」へ、リアルタイムに変更してもよいし、所定時間内に(例えば3秒間で)変更が完了するように「A」から「A+C」へ連続的に変更してもよいし(すなわち、効果付与レベルの変更完了までの時間を特定)、所定時間毎(例えば0.5秒毎)に「A」,「A+1」,「A+2」,…,「A+C−1」,「A+C」(この場合C>0;但し、押圧位置によりC≦0の場合もあり得る)といった具合に連続的に変更してもよい(すなわち、効果付与レベルを1段階分変更する時間を特定)。これらの変更は、いずれも押圧位置の相対的な変化を、現在の第3の効果付与機能の効果付与レベルに加味する変更方法である。
【0022】
なお、上記請求項4に記載の操作機構の場合、第2の効果付与機能だけを制御したい場合であっても、不用意に操作すると、押圧操作した際に、押圧位置をも変更してしまい、第3の効果付与機能に何らかの影響を与えてしまう可能性がある。
【0023】
このような問題を防止するには、第3の効果付与機能の制御を行うか否かを、別のスイッチ等により選択的に設定できるようにするとよい。こうすれば、押圧操作時に不要な押圧位置の変更を行ったとしても、押圧位置を変更する操作は無視され、第3の効果付与機能に影響を与えることなく、第2の効果付与機能を制御できる。その逆に、押圧力を加える操作を無視する設定にできれば、第2の効果付与機能の制御を行うことなく、第3の効果付与機能だけを制御することもできる。
【0024】
また、ある押圧力をしきい値とし、そのしきい値以下の押圧力を無視するように構成してもよい。この場合、可動部に軽く触れて(しきい値以下の押圧力しか作用しない状態で)押圧位置を変更する操作を行えば、第2の効果付与機能に影響を与えることなく、第3の効果付与機能を制御できる。また同様に、押圧位置の変更についても、微少な変位を無視するように構成してもよい。この場合、押圧力を加える操作を行う際に押圧位置が多少ずれたとしても、第3の効果付与機能に影響を与えることなく、第2の効果付与機能を制御できる。
【0025】
次に、上記請求項5に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構は、
前記第2の操作手段が、押圧操作された時の押圧位置に応じた信号を出力する第3信号出力部を備えてなる
ことを特徴とする。
【0026】
ここで、第3信号出力部は、押圧位置のみを検出できればよいので、例えば既に実用化されている各種膜状タッチパネルを利用して構成することができる。柔軟な膜状タッチパネルであれば、第2信号出力部に重ねて配置しても、押圧力の検出を妨げることはない。
【0027】
このように構成された操作機構によれば、第2の操作手段が押圧操作された際には、第2信号出力部が押圧力に応じた信号を出力し、第3信号出力部が押圧位置に応じた信号を出力するので、上記請求項4記載の操作機構と同様に、押圧力をパラメータとして電子楽器が備える第2の効果付与機能を制御する他に、押圧位置をパラメータとして電子楽器が備える第3の効果付与機能をも制御することができるようになる。なお、上記押圧位置は、上記請求項4の操作機構と同様に、種々の方法で第3の効果付与機能を制御するパラメータとして利用できる。
【0028】
次に、上記請求項6に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構は、
前記第2の操作手段が、交差する2本の座標軸により規定される座標系が想定された面状部分を押圧操作可能な構造で、前記座標系に準じて前記押圧位置を表した場合の第1,第2の座標値の組を特定可能に構成されている
ことを特徴とする。
【0029】
この操作機構においても、押圧位置を特定できるのは上記請求項4または請求項5に記載のものと同じであり、同様の具体的手段を採用できるが、特に、押圧位置を第1,第2の座標値として特定できるので、第1の座標値をパラメータとして第3の効果付与機能を制御する他に、第2の座標値をパラメータとして第4の効果付与機能を制御できるようになり、さらに多彩な効果を付与できるようになる。
【0030】
ちなみに、第4の効果付与機能を制御するに当たって、そのの効果付与レベルは、上記第3の効果付与機能について述べた通りの方法で決定できる。
なお、上記請求項5に記載の操作機構の場合も、第3の効果付与機能の効果付与レベルを変更すべく操作した場合に、不用意に操作すると、誤って第4の効果付与機能の効果付与レベルを変更してしまうなど、一方だけの変更操作が難しくなる可能性があるので、このような問題を防止する必要があれば、第3,第4の効果のいずれの程度を変化させるのかを、別のスイッチ等により選択的に設定できるようにするとよい。
【0036】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
第1の実施形態として説明する電子鍵盤楽器は、図1に示すように、ケースの上部左端付近に左腕木部12が形成され、この左腕木部12の上面側に、本発明の第1の操作手段に相当するベンダーホイール14が配置され、左腕木部12の側面側に、本発明の第2操作手段に相当するモジュレーションパッド16が配置されている。
【0037】
ベンダーホイール14は、この種の電子鍵盤楽器において従来から採用されているものとまったく同じ構造のもので、回動可能に支持されていて、電子鍵盤楽器の内部に配置された回動形可変抵抗器(図示略)の回動軸に、ギヤないしシャフト等の動作伝達部材(図示略)を介して連結されている。
【0038】
ベンダーホイール14を回動操作すると、上記可変抵抗器の回動軸が回動して可変抵抗器の端子間に現れる電気抵抗値が変化する。そのため、この抵抗値の変化に基づいてベンダーホイール14の操作量を検出することができ、ベンダーホイール14の操作量に応じた楽音制御を実現することができる。具体的には、電子鍵盤楽器に内蔵された制御部は、上記抵抗値の変化から、ベンダーホイール14が背面側から正面側へ回動操作されたことを検出し、その操作量に応じて楽音の音程を下げる制御を行い、あるいは、その逆に回動操作されたことを検出し、その操作量に応じて楽音の音程を上げる制御を行う。
【0039】
また、ベンダーホイール14には、回動操作に伴って弾性変形するバネが巻きかけられており、このバネの弾性力により、ベンダーホイール14は回動操作後の位置から原点位置へと自動的に復帰するようになっている。
モジュレーションパッド16は、従来技術として説明したモジュレーションホイール(図5参照)の代わりに採用したもので、図2に示すように、左腕木部12の側面側に突設された環状突起20の内側に、面状感圧抵抗体22を配置し、その上に弾性材料からなるパッド24を配置した構造になっている。
【0040】
面状感圧抵抗体22は、第1の絶縁性フィルム30の表面に、一対の櫛歯状導電体31,32を形成する一方、第2の絶縁性フィルム34の表面に、感圧導電性ポリマー層36を形成し、櫛歯状導電体31,32と感圧導電性ポリマー層36とが接触するように重ねた構造のものである。
【0041】
感圧導電性ポリマー層36は、ゴム状の絶縁性ポリマーを基材として導電性フィラーを添加した複合材料で、圧力が加わっていない状態においては、きわめて高い電気抵抗値を示す一方、圧力が加わると感圧導電性ポリマー層36内の導電性フィラーの接触点が多くなって電気抵抗値が低下する。
【0042】
このような感圧導電性ポリマー層36を介して、櫛歯状導電体31,32は電気的に接続されている。櫛歯状導電体31,32には、それぞれリード線37,38が接続され、リード線37,38は、環状突起20の内側において左腕木部12に穿設された穴39を介して、電子鍵盤楽器の内部へと導入されている。
【0043】
このように構成された面状感圧抵抗体22は、押圧力が大きくなるほど感圧導電性ポリマー層36の電気抵抗値が低下し、その結果、櫛歯状導電体31,32間に現れる電気抵抗値(すなわち、リード線37,38を介して検出される電気抵抗値)が小さくなる。そのため、この抵抗値の変化に基づいてモジュレーションパッド16が受けた押圧力を検出することができ、この押圧力に応じた楽音制御を実現することができる。具体的には、電子鍵盤楽器に内蔵された制御部は、上記抵抗値の変化から、モジュレーションパッド16が押圧操作されたことを検出し、その押圧力に応じて楽音に付与されるモジュレーションの程度を変更する制御を行う。
【0044】
以上のように構成された電子鍵盤楽器は、演奏者が、右手を使って鍵盤を操作して演奏を行っている最中に、左手で左腕木部12をつかむようなかたちで左手を左腕木部12上に置き、その状態のまま左手の親指を使って上記ベンダーホイール14を回動操作するという、演奏者にとって最も自然な体勢をとることができ、さらにその左手のポジションを変更することなく、親指以外の指をモジュレーションパッド16にかけ、モジュレーションパッド16の押圧操作を行うことができる。
【0045】
したがって、従来のように、モジュレーション操作を行うか否かによって、上記ベンダーホイール14を親指で操作するか中指で操作するかを変更する必要がなく、演奏者は、常に自然な体勢でベンダー操作およびモジュレーション操作を行うことができる。
【0046】
なお、このように構成された電子鍵盤楽器において、モジュレーションパッド16で検出される押圧力と、モジュレーションの程度との関係は、いくつかのパターンを可変設定できると望ましい。
例えば、押圧力が弱い範囲ほど押圧力が増加した時のモジュレーションの程度の増加率が大きい第1のパターン、押圧力の大小によらず押圧力が増加した時のモジュレーションの程度の増加率が一定となる第2のパターン、押圧力が強い範囲ほど押圧力が増加した時のモジュレーションの程度の増加率が大きい第3のパターンなどを選択的に設定できるようにする。こうすれば、標準状態である第2のパターンの他に、指先の力が弱い演奏者は、第1のパターンを選ぶことができ、これにより、軽い力で触れても所期の効果を得ることができるようになる。一方、指先の力が強い演奏者は、第3のパターンを選ぶことができ、これにより、軽く触れたつもりなのに予期しない大きな変化が起きることを防止できる。
【0047】
また、僅かな押圧力でもモジュレーション操作と認識されると、モジュレーション操作が不要な場合に、モジュレーションパッド16に指をかけておくことすらできなくなる可能性もあるので、例えば、指をかけている程度の弱い押圧力をしきい値とし、そのしきい値以上の押圧力をモジュレーション操作と認識するようなパターンを設定すれば、モジュレーションパッド16に指をかけていても問題がない。
【0048】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様に構成されている部分については、同じ符号を付し、その部分についての詳細な説明は省略する。
第2の実施形態として説明する電子鍵盤楽器は、図3に示すように、ケースの上部左端付近に左腕木部12が形成され、この左腕木部12の上面側に、本発明の第1の操作手段に相当するベンダーホイール14が配置され、左腕木部12の側面側に、本発明の第2操作手段に相当する多機能操作パッド51が配置されている。
【0049】
多機能操作パッド51は、上記第1の実施形態におけるモジュレーションパッド16と同じ機能に加え、パンポット操作を行うこともできるもので、図4に示すように、導電体からなる正極用電極53と、上記モジュレーションパッド16でも採用していた感圧導電性ポリマー層55と、絶縁性フィルム57の表面に一列に並べて形成された導電体からなる負極用電極59とを重ね合わせた構造になっている。
【0050】
このように構成された多機能操作パッド51は、負極用電極59の配列方向へある程度の長さがあるため、押圧力が加えられた部分においては、感圧導電性ポリマー層55内の導電性フィラーの接触点が多くなるものの、押圧力が加えられた部分から離れた箇所では、感圧導電性ポリマー層55内の導電性フィラーの接触点が多くならないため、多数の負極用電極59の電位は、それぞれ押圧されているか否かにより変化する。したがって、多数の負極用電極59の電位を走査して、最も高い電位が現れる負極用電極59を検出すれば、その電極の配置位置から押圧位置を特定することができ、同時に、そのような電位の変化(電気抵抗値の変化)に基づいて多機能操作パッド51が受けた押圧力を検出することができるので、この押圧位置および押圧力に応じた楽音制御を実現することができる。具体的には、電子鍵盤楽器に内蔵された制御部は、上記抵抗値の変化から多機能操作パッド51が押圧操作されたことを検出し、その時の押圧位置に応じてパンポットを左右に変化させる制御を行うとともに、その押圧力に応じて楽音に付与されるモジュレーションの程度を変更する制御を行う。
【0051】
以上のように構成された電子鍵盤楽器は、演奏者が、右手を使って鍵盤を操作して演奏を行っている最中に、左手で左腕木部12をつかむようなかたちで左手を左腕木部12上に置き、その状態のまま左手の親指を使って上記ベンダーホイール14を回動操作するという、演奏者にとって最も自然な体勢をとることができ、さらにその左手のポジションを変更することなく、親指以外の指を多機能操作パッド51にかけ、多機能操作パッド51の押圧操作を行うことができる。
【0052】
したがって、従来のように、モジュレーション操作を行うか否かによって、上記ベンダーホイール14を親指で操作するか中指で操作するかを変更する必要がなく、演奏者は、常に自然な体勢でベンダー操作およびモジュレーション操作を行うことができる。しかも、必要があれば、多機能操作パッド51上で押圧位置を変化させることにより、パンポット操作を行うこともできる。
【0053】
なお、このように構成された電子鍵盤楽器の場合、パンポット操作を行うには、必ずある程度の押圧力を多機能操作パッド51に作用させることになるので、僅かな押圧力でもモジュレーション操作と認識される構成にすると、パンポット操作だけを単独で行うことはできなくなる。これについては、ある押圧力をしきい値とし、そのしきい値以上の押圧力をモジュレーション操作と認識するように構成すれば、しきい値以下の弱い力で押圧操作することにより、パンポット操作だけを行うことができるようになる。
【0054】
逆に、パンポット操作の認識方法によっては、モジュレーション操作だけを行いたい場合に、パンポット操作と認識されてしまう場合もある。これについては、押圧操作自体をパンポット操作と認識せず、押圧位置の相対的な変化をパンポット操作と認識するようにし、必要があれば、所定のしきい値以上に大きく押圧位置が変化した場合にパンポット操作と認識するようにすればよい。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態については上記のもの以外にも種々の具体的形態が考えられる。
例えば、上記説明では、多機能操作パッド51の負極用電極59を一列に並べることで、押圧位置の直線的な変位を検出可能に構成してあったが、同様の負極用電極を縦横に並べてマトリクス状に配置すれば、面内における点の位置を示す第1,第2の座標値の組を検出できるので、各座標値をパラメータとして、2つの効果を同時に制御することができるようになる。
【0056】
また、上記各実施形態では、モジュレーションパッド16、多機能操作パッド51を、左腕木部の側面に配置する例を説明したが、十分な操作性を確保できれば、これらは他の場所に配置されていてもよい。
さらに、上記各実施形態では、モジュレーションパッド16、モジュレーション操作用兼パンポット操作用の多機能操作パッド51として、各パッドの説明を行ったが、フィルター変化など、さらに他の効果を制御するためのパッドとしてもよく、効果付与機能の種類をどのように組み合わせるかについては、特に限定されない。どのような効果付与機能が制御されるかを、スイッチ等で選択的に設定できるようにしておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態として示した操作機構を採用した電子鍵盤楽器の部分斜視図である。
【図2】モジュレーションパッドの分解斜視図である。
【図3】第2の実施形態として示した操作機構を採用した電子鍵盤楽器の部分斜視図である。
【図4】多機能操作パッドの分解斜視図である。
【図5】従来の操作機構を採用した電子鍵盤楽器の部分斜視図である。
【符号の説明】
12・・・左腕木部、14・・・ベンダーホイール、16・・・モジュレーションパッド、20・・・環状突起、22・・・面状感圧抵抗体、24・・・パッド、30,34,57・・・絶縁性フィルム、31,32・・・櫛歯状導電体、36,55・・・感圧導電性ポリマー層、37、38・・・リード線、39・・・穴、51・・・多機能操作パッド、53・・・正極用電極、59・・・負極用電極。
Claims (6)
- 演奏者が片手で同時に操作可能で、その操作量に応じた信号をそれぞれ出力可能な第1,第2の操作手段を備え、各操作手段から出力される前記信号に基づいて電子楽器の効果付与機能が制御される電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構において、
前記第1の操作手段が、回動操作またはスライド操作可能な可動部、および該可動部の位置に応じた信号を出力可能な第1信号出力部を備えてなり、
前記第2の操作手段が、押圧操作された時の押圧力に応じた信号を出力する第2信号出力部を備えてなり、
しかも、前記第1の操作手段が、親指を使って操作可能な場所に配置され、
前記第2の操作手段が、前記第1操作手段を親指を使って操作可能な場所に手を置いた時に、同じ手の前記親指以外の指を使って操作可能な場所に配置されている
ことを特徴とする電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構。 - 請求項1に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構において、
前記第1の操作手段が、電子鍵盤楽器の側端付近の上面側に配置され、
前記第2の操作手段が、前記電子鍵盤楽器の側端付近の側面側に配置されている
ことを特徴とする電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構。 - 請求項1または請求項2に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構において、
前記第2の操作手段が、前記第2信号出力部として、押圧操作された時の押圧力に応じて端子間の電気抵抗が変化する面状感圧抵抗体を備えている
ことを特徴とする電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構において、
前記第2の操作手段が、異なる押圧位置として判別すべき箇所にそれぞれ形成された複数の前記第2信号出力部を備えてなる
ことを特徴とする電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構において、
前記第2の操作手段が、押圧操作された時の押圧位置に応じた信号を出力する第3信号出力部を備えてなる
ことを特徴とする電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構。 - 請求項4または請求項5に記載の電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構において、
前記第2の操作手段が、交差する2本の座標軸により規定される座標系が想定された面状部分を押圧操作可能な構造で、前記座標系に準じて前記押圧位置を表した場合の第1,第2の座標値の組を特定可能に構成されている
ことを特徴とする電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構。
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JP05522698A JP3585365B2 (ja) | 1998-03-06 | 1998-03-06 | 電子楽器の効果付与機能制御用の操作機構 |
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