JP3550185B2 - 画像処理機能を有するミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は画像処理機能を有するミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
ミシンの操作において、針落ちの位置や縫製状態の確認をするためには、作業者が針に顔を近づけて目視により行う必要があった。
例えば縫製開始時点では、第1針の縫い始め位置を確認するためには、ミシンのはずみ車を手動により回転させ、針を降ろしてから布に近接した位置を目視する必要がある。また、ブラインドステッチ等の細かい部分の縫製では、作業者が針落ち位置近傍に顔を近づけた状態で目視しながら、ミシンを駆動させること等が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したように顔を針落ち位置に近づけることは極めて危険であり、特にミシンを駆動させながらこれを行うことは危険が大きい問題があった。
また、針落ち位置近傍には針の他に押さえ足等の部品も多いため、見ずらい上、
危険防止のために目視の都度ミシンを停止させると、作業能率が極めて悪くなる欠点があった。
本発明は上記した従来技術の問題点を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも針穴と送り歯とを含むミシン針落ち部近傍の画像を撮影し、画像信号を出力する画像入力手段と、該画像入力手段からの画像信号に基づいて該画像を表示させるための信号を出力する制御手段と、該制御手段からの画像を表示させるための信号に基づいて画像を表示する画像表示手段と、該画像入力手段が、前記ミシン針落ち部近傍に押え足が降りている状態では該押え足を含む画像を撮影し、前記押え足が上がっている状態では該押え足を撮影しないように前記画像入力手段の焦点を調整する焦点調整手段を更に備えたことで課題を解決することができた。
また本発明は、画像入力手段の撮影対象までの焦点距離を測定する焦点距離測定手段と、該焦点距離測定手段により測定された焦点距離に基づいて、前記画像入力手段の焦点を調整する焦点調整手段と、を更に備えたことで課題を解決することができた。
さらに本発明は、画像入力手段により撮影する画像を拡大縮小するための手段を更に備えた、ことで課題を解決することができた。
【0005】
【作用】
上記構成により、針落ち近傍の画像を画像表示手段により目視できるから、針落ち近傍に顔を近づける必要がなく、作業上の危険を排除できる。また、目視よりも確実に視認ができ、更に目視の都度ミシンを停止する必要がないから、作業効率を向上させることができる。
更にミシン針落ち部近傍の撮影位置によっては、送り歯や釜の掃除等の際にも、顔を近づけることなく、画像表示手段による目視により作業を行え、同様に作業の危険を回避すると共に作業能率の向上を図ることが可能になる。
【0006】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1において、ミシン本体Xの頭部Yの内部に画像入力装置1が内蔵され、該頭部Yの下端から針落ち部Z近傍を撮影するようになっている。
この画像入力装置1として、この実施例ではCCDカメラを用いている。
画像入力装置1の信号は、図2に示すようにマイクロコンピュータを主体に構成された制御装置2に入力され、ここで表示信号に変換され、表示制御装置13を介して画像表示装置3に表示されるようになっている。
【0007】
画像表示装置3はこの実施例では液晶表示パネルを用いており、図1に示すようにミシン本体Xの上アームの前面に配設され、操作者が容易に視認できるようになっている。
画像入力始動釦5は画像入力装置1による針落ち部Z近傍の撮影及び表示を開始及び停止させるためのもので、この画像入力始動釦5の操作指令は制御装置2に入力され、この指令に応じて制御装置2は画像入力装置1を制御して針落ち部Z近傍の撮影を行わせ、この画像を画像表示装置3に表示させるようになっている。
【0008】
画像入力装置1には焦点調整装置4が設けられており、この焦点調整装置4の焦点調整ダイヤル10を操作者が廻すことにより、針落ち部Z近傍の画像の調整を行えるようになっている。
【0009】
図4に画像表示装置3に表示される画像の一例を示す。図4(A)は押え足31が降りた状態の画像であり、送り歯32と針板33及び角板34とが表示されている。
(B)は押え足31が上がった状態を示すもので、画像入力装置1の位置と焦点深度を適切なものに調節することにより押え足31を表示しないようになっている。この画像では送り歯32と針板33と角板34及び針落ち部Zである針穴30を表示している。
(C)は布Tを置いて縁縫いを行っている状態を示しており、このように実際に縫いを実行している状態で針落ち部Z近傍を目視することが可能である。
【0010】
図3により動作を説明する。
制御装置2は画像入力始動釦5の操作を常にチェックし(ステップS1)、該操作があるまでは通常の表示を画像表示装置3に行わせる(ステップS2)。画像入力始動釦5の操作があると、画像入力装置1をオンとして(ステップS3)、画像信号を入力し(ステップS4)、これを表示信号に変換し(ステップS5)、表示制御装置13を制御して画像表示装置3に針落ち部Z近傍の画像表示を行わせる(ステップS6)。そして、操作者は画像表示装置3を見て焦点が適正か否か判断し(ステップS7)、適正でない場合には焦点調整ダイヤル10を操作して焦点調整装置4により焦点の調整を行わせる(ステップS8)。そして焦点の正しい画像表示を行わせ(ステップS9)、画像入力始動釦5の操作による終了まで(ステップS10)、画像表示を継続する。
【0011】
図5と図6にズーム機構と自動焦点機構を備えた他の実施例を示す。
この実施例では、画像入力装置1’としてズーム機構を備えたCCDカメラを用いており、このズーム機構をズーム駆動装置6により駆動するようになっている。
ミシン本体Xの前面には画像入力始動釦5に加えてズーム操作スイッチ8が設けられており、このズーム操作スイッチ8の操作により制御装置2はズーム制御装置12を介してズーム駆動装置6に指令を出力し画像入力装置1をズームイン或いはズームアウト側に駆動するように構成されている。
【0012】
画像入力装置1’には更に焦点距離測定装置7が設けられており、画像入力装置1’の撮影対象である針落ち部Z近傍までの焦点距離を測定するようになっている。この焦点距離測定装置7により計測された焦点距離は制御装置2に入力され、焦点距離比較装置11において現在の焦点と焦点距離測定装置7により計測された焦点距離が比較され、焦点調整装置4’は該比較結果に基づいて適正な焦点になるように自動で焦点を調整するようになっている。
【0013】
図7により動作を説明する。
制御装置2は画像入力始動釦5の操作を常にチェックし(ステップS20)、該操作があるまでは通常の表示を画像表示装置3に行わせる(ステップS21)。画像入力始動釦5の操作があると、画像入力装置1’をオンとして(ステップS22)、画像信号を入力し(ステップS23)、これを表示信号に変換し(ステップS24)、表示制御装置13を制御して画像表示装置3に針落ち部Z近傍の画像表示を行わせる(ステップS25)。
焦点距離測定装置7が焦点距離を測定し、焦点距離比較装置11における比較により焦点が適正か否か判断し(ステップS26)、適正でない場合には焦点調整装置4’が自動的に焦点の調整を行う(ステップS27)。 ズーム操作スイッチ8の操作があると(ステップS28)、制御装置2はズームインかズームアウトかを判断し(ステップS29)、その方向にズーム制御装置12を介して駆動装置6を駆動し(ステップS30)、画像入力装置1’をズームさせる。そして同様に焦点距離測定装置7が焦点距離を測定し、焦点距離比較装置11における比較により焦点が適正か否か判断し(ステップS31)、適正でない場合には焦点調整装置4’が自動的に焦点の調整を行う(ステップS32)。
そして画像入力始動釦5の操作による終了まで(ステップS38)、画像表示を継続する。
【0014】
以上の構成により、焦点距離測定装置7と焦点調整装置4’により自動焦点調整が可能になる。また画像入力装置1’によるズームインとズームアウトが可能になり、任意の大きさで針落ち部Z近傍の画像を表示させることができる。しかも、その際には焦点距離測定装置7と焦点調整装置4’により自動的に焦点が調整され、鮮明な像を得ることが可能になる。
【0015】
以上説明したように、図1及び図2に示す実施例では針落ち部Z近傍の画像を画像表示装置3に表示させることができ、焦点の調整も行えるから、従来の直接の目視に比較して、明瞭に且つ危険がなく、針落ち部Z近傍の確認を行える。しかも、ミシン可動中の確認も何等の危険を伴わずに行える効果がある。
更に図5及び図6の実施例においては、上記に加えて自動焦点調整と、画像のズームイン及びズームアウトが可能であり、しかも該ズームに伴って自動的に焦点調整が行われるから、任意の大きさの画像を明確に表示することが可能になる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の画像処理機能を有するミシンによれば、針落ち近傍の画像を画像表示手段により目視できるから、針落ち近傍に顔を近づける必要がなく、作業上の危険を排除できる。また、目視よりも確実に視認ができ、更に目視の都度ミシンを停止する必要がないから、作業効率を向上させることができる。またミシン針落ち部近傍の撮影位置によっては、送り歯や釜の掃除等の際にも、顔を近づけることなく、画像表示手段による目視により作業を行え、同様に作業の危険を回避すると共に作業能率の向上を図ることが可能になる。
また請求項2の発明では、焦点調整手段により前記画像入力手段が、前記ミシン針落ち部近傍に押え足が降りている状態では該押え足を含む画像を撮影し、前記押え足が上がっている状態では該押え足を撮影しないように、画像入力手段の焦点を調整することが可能になる。
更に請求項3の発明では自動的に焦点の調整が行われるため、常に鮮明な画像を得ることができる。
また請求項4の発明では、画像のズームインとズームアウトが可能であり、任意の大きさの画像を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す外観斜視図。
【図2】本発明の一実施例を示す機能ブロック図。
【図3】本発明の一実施例の動作を示すフローチャート図。
【図4】本発明の一実施例における画像表示の一例を示す説明図。
【図5】本発明の他の実施例を示す外観斜視図。
【図6】本発明の他の実施例を示す機能ブロック図。
【図7】本発明の他の実施例の動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1:画像入力装置、2:制御装置、3:画像表示装置、4:焦点調整装置、5:画像入力始動釦、6:ズーム駆動装置、7:焦点距離測定装置、8:ズーム操作スイッチ、10:焦点調整ダイヤル、11:焦点距離比較装置、12:ズーム制御装置、13:表示制御装置、30:針穴、31:押え足、32:送り歯、33:針板、34:角板。

Claims (3)

  1. 少なくとも針穴と送り歯とを含むミシン針落ち部近傍の画像を撮影し、画像信号を出力する画像入力手段と、該画像入力手段からの画像信号に基づいて該画像を表示させるための信号を出力する制御手段と、該制御手段からの画像を表示させるための信号に基づいて画像を表示する画像表示手段と、該画像入力手段が、前記ミシン針落ち部近傍に押え足が降りている状態では該押え足を含む画像を撮影し、前記押え足が上がっている状態では該押え足を撮影しないように前記画像入力手段の焦点を調整する焦点調整手段を更に備えたことを特徴とする画像処理機能を有するミシン。
  2. 前記画像入力手段の撮影対象までの焦点距離を測定する焦点距離測定手段と、該焦点距離測定手段により測定された焦点距離に基づいて、前記画像入力手段の焦点を調整する焦点調整手段と、を更に備えた請求項1に記載の画像処理機能を有するミシン。
  3. 前記画像入力手段により撮影する画像を拡大縮小するための手段を更に備えた、請求項1又は2に記載の画像処理機能を有するミシン。
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