JP3527167B2 - 表示装置の製造方法、および表示装置 - Google Patents

表示装置の製造方法、および表示装置

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JP3527167B2
JP3527167B2 JP2000084889A JP2000084889A JP3527167B2 JP 3527167 B2 JP3527167 B2 JP 3527167B2 JP 2000084889 A JP2000084889 A JP 2000084889A JP 2000084889 A JP2000084889 A JP 2000084889A JP 3527167 B2 JP3527167 B2 JP 3527167B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分散媒中で電界の印
加に対して、電極間を移動する帯電粒子を利用した表示
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、図4に示すような電気泳動表
示素子が知られている。この電気泳動表示装置は、少な
くとも一方が透光性の一対のたとえばガラス基板11
a,11bが、封止部材13a、13bを介して互いに
所定間隔をもって対向し、これらガラス基板11a、1
1bと封止部材13a、13bによって閉空間が構成さ
れるようになっている。これら一対のガラス基板11
a,11bの互いに対向する内面側には平面状のITO
等の透明電極12a,12bが固定されている。
【0003】そして、上記閉空間には、電気泳動表示用
媒質4aが収容されている。この電気泳動表示用媒質4
aは、例えば分散媒中に黒色等の染料が溶解されたもの
であり、この媒質4aに分散されている白色の荷電粒子
(泳動粒子、例えば白色顔料)2aを含んでいる。
【0004】このような電気泳動表示素子は、上記一対
の電極12a,12bに対し、例えば図5に示すよう
に、上側の電極12aにプラスの電圧を印加し、下側の
電極12bにマイナスの電圧を印加すると、負に帯電し
た上記白色顔料2aがクーロン力によって陽極に向かっ
て電気泳動し、その白色顔料2が上側の陽極電極12a
に付着する。このような状態の電気泳動表示装置を、上
方の位置から観察すると、白色顔料2aが付着して層を
形成した部分は透明電極12aとガラス基板11aとを
介して白色に見えることになる。一方、印加電圧の極性
を逆にすれば、白色顔料1は、対面側の電極12bに付
着して層を形成し、白色顔料2aの層が黒色の媒質4a
の背後に隠れるので、電気泳動表示パネルは黒色に見え
ることになる。電圧の印加を停止すると、一旦白色顔料
2aが電極に付着した後は、付着状態を維持する以外は
特に電圧を印加する必要がなくなる。
【0005】しかし、このような表示装置の構造では平
面形状の表示装置を得ることができず、立体構造物など
の複雑な形状での表示を行わせることは困難であった。
【0006】また、このような泳動粒子2aと媒質に用
いられている溶媒とは比重差が大きく異なり、またその
表面の極性も異なるため、泳動粒子2aの沈降、凝集が
生じ、表示品質の悪化が避けられない。
【0007】このような泳動粒子の沈降、凝集は分散
剤、表面改質剤等により改善が図られてきた。しかし、
これらの添加剤自身が経時変化、電界の印加により変質
されてしまう場合があり、安定した状態を維持すること
が困難であった。
【0008】また、付着状態を維持するために継続的、
周期的に電圧を印加することとすると、消費電力が増大
し、電気回路が複雑になるといった問題を生じてしま
う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、立体
構造などの複雑な形状の表示面にも対応でき、表示ムラ
がなく、かつ低電力で駆動可能な表示装置の製造方法、
および表示装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の構成
により達成される。 (1) 複数の異なった曲率を有する形状を有する基体
上に第1の電極を有し、この第1の電極上に、少なくと
も溶媒と、泳動粒子とを含有し電気泳動による表示機能
を有する表示層を有し、さらにこの表示層上に第2の電
極を有する表示装置。 (2) 前記表示層の微少領域は、マイクロカプセルま
たはセルによる構造体で形成されている上記(1)の表
示装置。 (3) 前記表示層には、少なくとも溶媒と泳動粒子を
含有する分散液にチクソトロピック性を付与する材料が
封入されている上記(1)または(2)の表示装置。 (4) 前記分散液にチクソトロピック性を付与する材
料が、膨潤性層状粘土鉱物である上記(3)の表示装
置。 (5) 前記膨潤性層状粘度鉱物が、スメクタイトであ
る上記(4)の表示装置。 (6) 前記膨潤性層状粘度鉱物の含有量は、0.01
〜20重量%である上記(4)または(5)の表示装
置。 (7) 複数の異なった曲率を有する形状を有する基体
上に第1の電極を形成し、この第1の電極上に電気泳動
による表示機能を有する表示層を形成し、さらにこの表
示層上に第2の電極を形成する表示装置の製造方法。 (8) 前記表示層を塗布法により形成する上記(7)
の表示装置の製造方法。 (9) 前記表示層を噴霧法により形成する上記(7)
の表示装置の製造方法。 (10) 前記表示層の微小領域は、マイクロカプセル
またはセルによる構造体で形成されている上記(7)〜
(9)のいずれかの表示装置の製造方法。 (11) 前記表示層には、少なくとも溶媒と泳動粒子
を含有する分散液にチクソトロピック性を付与する材料
が封入されている上記(7)〜(10)のいずれかの表
示装置の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施の
形態について図面を参照して説明する。本発明の表示装
置は、例えば図1に示すように、立体形状を有する基体
1上に第1の電極5を有し、この第1の電極2上に電気
泳動による表示機能を有する表示層を有し、この表示層
は複数の微少領域に少なくとも溶媒、泳動粒子が封入さ
れているものである。より具体的には、有機バインダー
7中に表示機能を有するマイクロカプセル、またはセル
8が分散された表示層を有する。さらに、この表示層上
に第2の電極6を有し、前記マイクロカプセル、または
セル8には、少なくとも溶媒4、泳動粒子2が封入され
ているものである。また、前記表示層は塗布法、噴霧法
により形成されていることが好ましい。
【0012】このように、表示層の表示機能を担う部分
を微少領域に分割することにより、立体的な形状を有す
る基体にも表示機能を持たせることができ、電気泳動表
示装置の利用範囲が飛躍的に拡大する。
【0013】立体形状を有する基体1は、特に限定され
るものではなく、立体的な形状を有するものであればそ
の材質は金属、ガラス、セラミック、樹脂、木材等、い
ずれのものでもよい。ここで立体形状とは平面形状を含
まず、複数の異なった曲率を有する形状をいう。この場
合、単に平面を屈曲させた程度の形状も立体形状には含
まれない。
【0014】第1の電極は、基体上に形成され、所定の
導電性を有するものであれば特に限定されるものではな
く、金属、半導体、導電性樹脂、導電性塗料等種々のも
のを用いることができる。また第1の電極は、導電性を
有する基体が兼用していてもよい。第1の電極に金属材
料を用いる場合、Al,Ag,In,Ti,Cu,A
u,Mo,W,Pt,PdおよびNi、特にAl,Ag
から選択される1種または2種等の金属元素が好まし
い。
【0015】この第1の電極の厚さは、特に限定される
ものではなく、形成する材料や形成方法にもよるが、好
ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上とす
ればよい。また、その上限値には特に制限はないが、1
00μm 程度とすればよい。
【0016】第2の電極としては、表示層を視認できる
ように光透過性を有する電極が好ましい。具体的には、
錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化イ
ンジウム(IZO)が好ましい。これらの酸化物はその
化学量論組成から多少偏倚していてもよい。In23
に対するSnO2 の混合比は、1〜20質量%、さらに
は5〜12質量%が好ましい。また、IZOでのIn2
3 に対するZnOの混合比は、通常、12〜32質量
%程度である。また、導電性を有する樹脂材料などでも
よい。
【0017】透明電極の厚さは、気相堆積法で形成する
場合、50〜500nm、特に50〜300nmの範囲が好
ましい。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚
いと透過率の低下や剥離などの心配が生じる。厚さが薄
すぎると、十分な効果が得られず、製造時の膜強度等の
点でも問題がある。
【0018】透明電極の光透過率は、好ましくは可視光
域において、好ましくは60%以上、より好ましくは7
0%以上、特に80%以上の透過率を有することが好ま
しい。
【0019】第2の電極上には、さらに保護層を形成し
てもよい。保護層にはSiO2 等の無機層や、樹脂材料
を用いた有機層等を用いることができる。
【0020】微少領域を形成するためのマイクロカプセ
ルまたはセル8は、少なくとも液体溶媒4に泳動粒子
(帯電粒子)2を分散させた分散系を内包する構造とな
っている。
【0021】ここで、本発明に用いられるマイクロカプ
セル8の製造方法の概略について説明する。
【0022】マイクロカプセル化の方法としては、既
に、当業界において公知の技術となっている方法で作製
することが可能である。例えば、米国特許第28004
57号、同第2800458号明細書等に示されるよう
な水溶液からの相分離法、特公昭38−19574号、
同昭42−446号、同昭42−771号公報等に示さ
れるような界面重合法、特公昭36−9168号、特開
昭51−9079号公報等に示されるモノマーの重合に
よるイン・サイチュ(in−situ)法、英国特許第
952807号、同第965074号明細書に示される
融解分散冷却法等があるが、これらに限定されるもので
はない。
【0023】マイクロカプセル8の外壁部の形成材料と
しては、前記カプセル製造方法にて外壁部が作製可能で
あれば、無機物質でも有機物質でもよいが、光を十分に
透過させるような材質が好ましい。具体例としては、ゼ
ラチン、アラビアゴム、デンプン、アルギン酸ソーダ、
ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリアミド、ポ
リエステル、ポリウレタン、ポリユリア、ポリウレタ
ン、ポリスチレン、ニトロセルロース、エチルセルロー
ス、メチルセルロース、メラミン−ホルムアルデヒド樹
脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等、及びこれらの共重
合物等が挙げられる。
【0024】マイクロカプセル8の粒子径は、高解像度
の表示装置を実現するためには、理論的には小さいほど
好ましいといえるが、帯電粒子2を内包する構造である
ため、実際には、約5μm以上、約200μm以下であ
ることが望ましい。
【0025】なお、溶媒4としては、水、アルコール
類、炭化水素、ハロゲン化炭化水素等のほか、天然、ま
たは、合成の各種の油などを使用できる。
【0026】まず、溶媒4に泳動粒子2とを均一分散さ
せる。更に、この分散液と、界面活性剤を添加した蒸留
水を撹拌混合させ、分散液のエマルジョンを作製する。
分散液エマルジョンの大きさは、撹拌速度、または、乳
化剤、界面活性剤の種類と量とにより所望の大きさに調
節される。また、必要に応じて1種類以上の乳化剤、界
面活性剤、電解質、潤滑剤、安定化剤などを適宜添加す
ることができる。
【0027】また、上記界面重合法により、色調と帯電
極性の異なる2種類の帯電粒子(例えば白色の帯電粒子
と黒色の帯電粒子)を、液体溶媒4とともにマイクロカ
プセル8内に内包させてもよい。
【0028】このとき、泳動粒子2は、体積平均粒子径
/個数平均粒子径で表される粒度分布の分散度が約2以
下であることが好ましい。
【0029】ここで、体積平均粒子径とは、粒子径ごと
の体積を、粒子径の小さいものから大きいものへ順に累
積した場合に、その累積値が総体積の50%となるよう
な粒子径の値をいい、一方、個数平均粒子径とは、各粒
子径とその個数との積の総和を総個数で除した値をい
う。
【0030】分散度が約2を超える泳動粒子は、粒子径
が揃っていないため、実際にカプセル8を製造すると、
大きな泳動粒子がカプセル8内に1つだけ存在してしま
うといった不具合を生じてしまう。また、この不具合を
回避するためにはカプセル8の粒子径を大きくする必要
があり、画像解像度の低下を招いてしまう。
【0031】分散度が約2以下である泳動粒子2は、粒
子径が揃っているため、溶媒4に分散させた際に均一分
散し、マイクロカプセル8内の泳動粒子2の内包量を均
一に制御することが可能となる。尚、分散度が1である
ことは、体積平均粒子径と個数平均粒子径とが等しいこ
とを意味し、完全に均一に分散されている状態を表して
いる。
【0032】また、泳動粒子2の平均粒子径は、マイク
ロカプセル8の粒子径に対し約1/1000以上、約1
/5以下であることが好ましい。粒子径がマイクロカプ
セル10の約1/5以上である泳動粒子2を内包したマ
イクロカプセル8では、電界を印加して画像形成する際
に、泳動粒子の(特に極性の異なる泳動粒子がお互い
の)泳動の妨げとなり、応答速度が極端に低下する。ま
た、粒子径がマイクロカプセル8の約1/1000以下
である泳動粒子2は、マイクロカプセル8内で凝集して
しまい、電界に対する応答性の低下や、表示ムラを引き
起こしてしまう。
【0033】泳動粒子2の量は、マイクロカプセル8中
に於いて、泳動粒子2の体積が、前記マイクロカプセル
8の容積に対し、各々約1.5%以上、約25%以下で
あり、且つマイクロカプセル8に内包されているすべて
の泳動粒子2の体積の総和が、マイクロカプセル8の容
積に対して約1.5%以上、約50%以下であるように
調整することが好ましい。
【0034】マイクロカプセル8に内包される泳動粒子
2の体積が、マイクロカプセル8の容積に対し各々約
1.5%以下である場合、制御電界により泳動粒子2が
マイクロカプセル壁端部に移動しても、カプセル半球面
の1/2を占めることができず、低コントラスト、また
は、混在する色素や別色粒子の色が観測者の目に触れて
しまう。
【0035】また、帯電極性の異なる泳動粒子の体積が
マイクロカプセル8の容積に対し各々約25%以上であ
り、且つマイクロカプセル8に内包されている泳動粒子
の体積の総和が、マイクロカプセル10の容積に対して
約50%以上であるよう場合、制御電界に対し泳動粒子
が応答する際に、衝突によりお互いの粒子が泳動の妨げ
となってしまう。このため、制御電界の印加から画像形
成が完結するまでの応答速度が著しく低下してしまうの
である。
【0036】泳動粒子2としては、重合粒子を好適に用
いることができる。重合粒子の他には、周知のコロイド
粒子、種々の有機・無機質顔料、染料、金属粉、ガラ
ス、あるいは樹脂等の粉砕微粉末などが挙げられるが、
これらは均一な粒子径、着色性、帯電性の全てを容易に
満たすことが困難である。
【0037】重合粒子の製造方法としては、懸濁重合
法、乳化重合法、溶液重合法、分散重合法等が挙げられ
る。これらの中でも、粒子径を均一に制御する点に於い
て、分散重合法、乳化重合法、溶液重合法により粒子を
製造することが好ましい。
【0038】重合粒子の組成材料は、その出発モノマー
にメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチル
アクリレート、iso-ブチルアクリレート、2-エチルヘキ
シルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テト
ラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、
iso-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリ
レート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリ
レート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、n-プロピルビニルエーテル、iso-ブチルビニルエー
テル、n-ブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチ
ルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデン、エチレン、プロピレン、イソプ
レン、クロロプレン、ブタジエン等を使用することがで
きる。
【0039】さらに、前記モノマーには、カルボキシル
基、水酸基、メチロール基、アミノ基、酸アミド基、グ
リシジル基等の官能基を有するモノマーが混合されても
良い。カルボキシル基を有するものはアクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸等、水酸基を有するものはβ-ハ
イドロキシエチルアクリレート、β-ハイドロキシエチ
ルメタクリレート、β-ハイドロキシプロビルアクリレ
ート、β-ハイドロキシプロピルメタアクリレート、ア
リルアルコール等、メチロール基を有するものはN-メチ
ロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド
等、アミノ基を有するものはジメチルアミノエチルアク
リレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等、酸
アミド基を有するものはアクリルアミド、メタクリルア
ミド等、グリシジル基を有するものはグリシジルアクリ
レートグリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエ
ーテル等が例示される。また、これらのモノマーを単
体、または、複数のモノマーを混合して使用することが
可能である。
【0040】重合粒子の着色材料には、各種染料を挙げ
ることができる。また、重合粒子の帯電制御には、4級
アンモニウム塩、ニグロシン化合物、アゾ系化合物など
の帯電付与剤を挙げることができる。重合粒子に於い
て、これら着色、帯電付与は、重合粒子を適当な溶媒中
に浸すことにより膨潤させ、着色剤、帯電付与剤を粒子
内に取り込ませ、取り込み後、溶媒を希釈することによ
り、重合粒子内に着色剤と帯電付与剤を確実に固着させ
ることが可能である。このため重合粒子では、粒子径を
均一に揃えることの他に、所望の着色と着色剤に影響さ
れない帯電性とを確保することが可能である。
【0041】本発明においては、前記溶媒4中に膨潤性
層状粘土鉱物を含有していてもよい。膨潤性層状粘土鉱
物としては、スメクタイトが好ましい。スメクタイト
は、その単位構造を図3に示すように、層状珪酸塩の一
種で、基本的にはSi−O4 4面体が酸素頂点を共有し
て六角網目状に広がった四面体シートが2枚、残りの頂
点酸素を向かい合わせて陽イオンを挟み酸素の八面体シ
ートを形成した2:1構造を単位層として、これが重な
った構造をもつものである。そして、溶媒中で膨潤し、
層状構造がくずれ、コロイド性を示す。このため、ゲス
ト物質の吸着能が高く、さらに、存在する陽イオンによ
り、例えば表示粒子のもつアニオンを吸着しやすく、保
持特性が格段にすぐれたものとなる。
【0042】スメクタイトは、天然のものや工業的に合
成されたものがある。本発明では、天然品および合成品
のいずれを用いてもよいが、溶媒中での特性あるいは不
純物を含まない等の点で、工業的に合成されたものが好
ましい。
【0043】工業的に合成されたものとしては、合成ス
メクタイトが市販されている。市販されている合成スメ
クタイトとしては、水中で膨潤し、層状構造を崩してコ
ロイド状となり、粘性を示す親水性のタイプと、有機溶
媒中でコロイド状となり、粘性を示す親油性のタイプと
がある。親水性のタイプとしては、SWN(コープケミ
カル社製)として市販されている親水性スメクタイトが
あるが、本発明では親油性のものが好ましい。
【0044】親油性スメクタイトは、親水性スメクタイ
トの層状構造中にあるNaイオン等を、低極性溶媒や高
極性溶媒等と溶媒和が可能な有機イオンで置換したもの
である。このような有機イオンとしては、特に限定はし
ないが、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアン
モニウム等、例えば炭素原子数が1〜10程度のアルキ
ル基を有する第4級アンモニウム等が挙げられる。
【0045】置換する有機イオンを選択することで、種
々の有機溶媒中に良好に分散してコロイド性や粘性を示
し、さらにインクやその溶媒のようなゲスト物質をイン
ターカレートするすぐれた特性をもつものである。この
ような親油性スメクタイトとしては、SAN、STN、
SENおよびSPN(いずれもコープケミカル社製)と
して市販されているものがある。これらのなかでも多く
の有機溶媒と親和性を有するSAN,STNが好まし
い。
【0046】このようなスメクタイトは、前述したよう
に親水性、親油性ともに溶媒中で膨潤してコロイド性を
示し、溶液の粘度を増加させる特性をもつ。静置時には
このコロイドが水素結合により嵩高い網目構造を形成
し、弾性挙動を示す。ところが、これに外力を加える
と、この結合は弱いため、網目構造は簡単に壊れ流動性
を示す。このため、スメクタイトを含めることで、泳動
媒質1にチクソトロピックな性質を付与することがで
き、表示粒子の保持能力が向上し、表示が安定する。
【0047】スメクタイトの含有量は、好ましくは泳動
媒質の0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜
15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
【0048】用いるスメクタイトの比表面積は、好まし
くは200〜1000m2/g、より好ましくは500〜1
000m2/g、特に好ましくは710〜800m2/g、であ
る。
【0049】光学顕微鏡を用いて観察したとき、不定形
の形状で観察されるスメクタイトの平均長径は、好まし
くは0.1〜100μm 、より好ましくは0.5〜50
μm、特に好ましくは1〜45μm である。
【0050】マイクロカプセルを分散させ、保持するバ
インダーとしては、マイクロカプセル8を分散・保持
し、塗布法等により表示層を形成可能な材質であれば特
に限定されるものではない。具体的には、セルロース誘
導体、ポリビニルアルコール、アクリル誘導体、可溶性
でんぷん、ゼラチン等が挙げられる。
【0051】バインダーには添加剤が含まれていてもよ
く、このような添加剤としては、例えばポリアルキレン
グリコール、脂肪酸アンモニウム塩、脂肪酸、脂肪酸エ
ステル、ワックス、多価アルコール、シリコンオイル等
が挙げられる。
【0052】バインダー、マイクロカプセルは塗布溶媒
中に溶解・分散させて用いることが好ましい。塗布溶媒
としては、上記バインダーが溶解可能で、マイクロカプ
セルを溶解しにくい材料であれば特に限定されるもので
はない。具体的には、水、アルコール類、脂肪酸、炭化
水素、ケトン、アルデヒド等が挙げられる。
【0053】塗布溶媒中のバインダーの含有量は、バイ
ンダーの種類にもよるが、好ましくは1〜40質量%、
特に10〜30質量%程度である。塗布溶媒中のマイク
ロカプセルの含有量は、バインダーの種類にもよるが、
好ましくは1〜95体積%、特に50〜90体積%程度
である。
【0054】表示層は、上記構成のマイクロカプセル
と、樹脂バインダー、必要により添加剤とを混合し、塗
布溶媒に溶解して導電性が付与された立体形状を有する
基体表面に塗布ないし噴霧して形成する。
【0055】基体上に導電性を付与する方法としては、
無電解メッキ、スパッタ法、蒸着法、CVD法等のメッ
キ法、気相堆積法により金属あるいは導電性物質の薄膜
層を基体表面の表示領域に形成してもよいし、基体材料
に導電性を有する材料を用いてもよい。
【0056】塗布方法としては、例えばロールコータ
ー、刷毛塗り、浸漬(ディッピング)、スクリーン印刷
等の手法によって塗布することができる。
【0057】第2の電極となる透明電極を形成する方法
としては、ITO、IZOなどの酸化インジウム、酸化
錫系の透明電極材料を、スパッタ法、蒸着法、CVD法
等により形成してもよいし、導電性物質を含有する樹脂
材料を塗布したり、ラミネート等の被覆法により形成し
てもよい。
【0058】以上の構成を有する本実施の形態の表示装
置において、例えば図2に示すように、スイッチSWを
閉じて電源Eと接続し、電極5,6に電圧を印加し、泳
動用の電界を与えると、その電界に対応して、泳動粒子
2がマイクロカプセル8内で上方に移動し、泳動粒子2
が電極6を介して認識されることにより、所望の画像を
表示することができる。
【0059】
【実施例】以下に本実施の形態の表示装置について、実
施例及び比較例を挙げて説明する。 <実施例1>立体形状を有する基体として、気密性の高
いラテックス風船を用いた。これに、第1の電極として
導電性塗料を、噴霧法により10μm の膜厚に形成し
た。
【0060】帯電粒子:分散重合法によるスチレン粒子
(比重1.1g/cm3)。帯電付与剤にはポリビニル
ピロリドン(プラス極性)、オリエント化学社製E-84
(マイナス極性)を使用し、マイナス極性の粒子は日本
化薬製分散染料カヤロンポリエステルS-200で黒色に着
色した。
【0061】溶媒:EXXON社製 Isopar G(比重0.75
g/cm3) カプセル壁材:ゼラチン 乳化剤水溶液:
ビニルエチルエーテル無水マレイン酸共重合体3%水溶
液 平均粒子径3μm、粒度分布の分散度1.3の白色
帯電粒子と、平均粒子径3μm、粒度分布の分散度1.
3の黒色帯電粒子と溶媒とを白色帯電粒子:黒色帯電粒
子:液体分散媒=22:22:45の比率で混合し、撹
拌器と超音波とにより十分に分散させた。この分散溶液
と、乳化剤を3%添加した蒸留水とを、撹拌器により混
合撹拌し、エマルジョンを形成させた。撹拌混合の最中
にカプセル壁材を添加し、2種類の帯電粒子と液体分散
媒とを内包した100μmのマイクロカプセルを得た。
マイクロカプセル中の帯電粒子の体積率は、白色帯電粒
子(20%)、黒色帯電粒子(20%)であった。
【0062】このマイクロカプセルと、バインダーとし
て水溶性アクリル樹脂を、それぞれ2:1の質量比率と
なるように蒸留水中に溶解・分散させた。
【0063】得られた表示層用材料を噴霧法により、乾
燥時の膜厚200μm となるように形成した。
【0064】次いで、第2の電極としてITOを、RF
スパッタ法により、膜厚1μm に形成した。さらに保護
層として、アクリル樹脂層を浸漬法により形成した。
【0065】得られた表示装置の第1の電極と第2の電
極との間に電圧を印加し、電界に対する画像形成の応答
を観察した。その結果、印加電圧に応じて泳動粒子が移
動し、画像が形成されることが確認できた。
【0066】<実施例2>実施例1において、溶剤(溶
媒)としてトリメチルベンゼン(TMB):10gとし
てを用い、これに染料としてフタロシアニン系染料(S
olvent Blue 70):0.5g、スメクタイト(コ
ープケミカル(株)製、商品名:SAN)2.5g、分
散剤(日本油脂(株)製、商品名:マリアリム)0.5
gを分散溶解させ、さらに、泳動粒子としてチタニア
(平均粒径:0.5μm ):1gを分散させ、マイクロ
カプセルを得た。それ以外は実施例1と同様にして表示
素子を形成し、評価したところ実施例1と略同様の結果
が得られた。
【0067】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、立体構造
などの複雑な形状の表示面にも対応でき、表示ムラがな
く、かつ低電力で駆動可能な表示装置の製造方法、およ
び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の表示装置の概略構成を示
す概略構成図である。
【図2】液体分散媒中に帯電粒子を分散させた様子を示
す模式図である。
【図3】スメクタイトの結晶構造を示した図である。
【図4】従来の電気泳動表示装置の基本構成を示す概略
断面図である。
【図5】従来の電気泳動表示装置の基本構成を示す概略
断面図である。
【符号の説明】
1 基体 2 泳動粒子 4 液体溶媒 5 電極 6 電極 8 マイクロカプセル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/167 G09F 9/37

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の異なった曲率を有する形状を有す
    る基体上に第1の電極を有し、 この第1の電極上に、少なくとも溶媒と、泳動粒子とを
    含有し電気泳動による表示機能を有する表示層を有し、 さらにこの表示層上に第2の電極を有する表示装置。
  2. 【請求項2】 前記表示層の微少領域は、マイクロカプ
    セルまたはセルによる構造体で形成されている請求項1
    の表示装置。
  3. 【請求項3】 前記表示層には、少なくとも溶媒と泳動
    粒子を含有する分散液にチクソトロピック性を付与する
    材料が封入されている請求項1または2の表示装置。
  4. 【請求項4】 前記分散液にチクソトロピック性を付与
    する材料が、膨潤性層状粘土鉱物である請求項3の表示
    装置。
  5. 【請求項5】 前記膨潤性層状粘度鉱物が、スメクタイ
    トである請求項4の表示装置。
  6. 【請求項6】 前記膨潤性層状粘度鉱物の含有量は、
    0.01〜20重量%である請求項4または5の表示装
    置。
  7. 【請求項7】 複数の異なった曲率を有する形状を有す
    る基体上に第1の電極を形成し、この第1の電極上に電
    気泳動による表示機能を有する表示層を形成し、さらに
    この表示層上に第2の電極を形成する表示装置の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記表示層を塗布法により形成する請求
    項7の表示装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記表示層を噴霧法により形成する請求
    項7の表示装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記表示層の微小領域は、マイクロカ
    プセルまたはセルによる構造体で形成されている請求項
    7〜9のいずれかの表示装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記表示層には、少なくとも溶媒と泳
    動粒子を含有する分散液にチクソトロピック性を付与す
    る材料が封入されている請求項7〜10のいずれかの表
    示装置の製造方法。
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