JP3509419B2 - ジアリールカーボネートの製法 - Google Patents
ジアリールカーボネートの製法Info
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
の製造原料として有用なジアリールカーボネートを製造
する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ジアリールカーボネートを製造する方法
として、ジアリールオキサレートを脱カルボニル反応さ
せてジアリールカーボネートを生成させる方法が知られ
ているが、この方法は目的のジアリールカーボネートの
收率が著しく低いという問題を有している。例えば、シ
ュウ酸ジフェニル(ジフェニルオキサレート)を蒸留フ
ラスコ中で煮沸して炭酸ジフェニル(ジフェニルカーボ
ネート)を製造する方法〔有機合成協会誌,5,報47
(1948),70〕では、この文献記載の反応式にも
示され、また副生物として単離されているようにフェノ
ールが副生し、更に二酸化炭素も副生して、目的の炭酸
ジフェニルの收率が著しく低くなる。 【0003】また、オキサレートジエステルをアルコラ
ート触媒の存在下に50〜150℃で液相で加熱してカ
ーボネートジエステルを製造する方法も提案されている
(USP4544507号公報)。しかし、この方法で
は、記載されている実施例に示されるように、カリウム
フェノラート触媒の存在下でジフェニルオキサレートを
加熱しても、主生成物として得られるものは目的のジフ
ェニルカーボネートではなく原料のジフェニルオキサレ
ートである。このように、ジアリールオキサレートの脱
カルボニル反応によってジアリールカーボネートを收率
よく製造できる方法は知られていなかった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、ジアリール
オキサレートを脱カルボニル反応させてジアリールカー
ボネートを製造する方法において、ジアリールカーボネ
ートを收率よく製造できる方法を提供することを課題と
する。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の課題は、ジアリ
ールオキサレートを3B族金属の化合物の存在下で加熱
して脱カルボニル反応させることを特徴とするジアリー
ルカーボネートの製法によって達成される。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明では、ジアリールカーボネ
ートは次式で示されるジアリールオキサレートの脱カル
ボニル反応によって生成する。 【0007】 【化1】 (式中、Arはアリール基を示す) 【0008】前記のアリール基としては、 (1)フェニル基、 (2)置換基として、(a)メチル基、エチル基等の炭
素数1〜12のアルキル基、(b)メトキシ基、エトキ
シ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基、(c)ニトロ
基、又は(d)フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子
などを有する置換フェニル基、及び(3)ナフチル基な
ど、が挙げられる。これらのアリール基の中ではフェニ
ル基が好ましい。 【0009】前記置換フェニル基は各種異性体を含む。
これら異性体としては、(a)2−(又は3−、4−)
メチルフェニル基、2−(又は3−、4−)エチルフェ
ニル基等の炭素数1〜12のアルキル基を有する2−
(又は3−、4−)アルキルフェニル基、(b)2−
(又は3−、4−)メトキシフェニル基、2−(又は3
−、4−)エトキシフェニル基等の炭素数1〜12のア
ルコキシ基を有する2−(又は3−、4−)アルコキシ
フェニル基、(c)2−(又は3−、4−)ニトロフェ
ニル基、(d)2−(又は3−、4−)フルオロフェニ
ル基、2−(又は3−、4−)クロロフェニル基等のハ
ロゲン原子を有する2−(又は3−、4−)ハロフェニ
ル基、などが挙げられる。 【0010】ジアリールオキサレートとしては、ジフェ
ニルオキサレート、ビス(2−メチルフェニル)オキサ
レート、ビス(3−メチルフェニル)オキサレート、ビ
ス(4−メチルフェニル)オキサレート、ビス(2−ク
ロロフェニル)オキサレート、ビス(3−クロロフェニ
ル)オキサレート、ビス(4−クロロフェニル)オキサ
レート、ビス(2−ニトロフェニル)、ビス(3−ニト
ロフェニル)オキサレート、ビス(4−ニトロフェニ
ル)オキサレートなどが具体的に挙げられる。また、そ
の他のジアリールオキサレートは公知の方法に基づいて
合成される。これらのジアリールオキサレートの中で
は、ジフェニルオキサレートが好ましい。 【0011】本発明では、ジアリールオキサレートの脱
カルボニル反応において、触媒として3B族金属の化合
物が使用される。3B族金属(アルミニウム、ガリウム
等)の化合物としては、これら3B族金属のハロゲン化
物、酸素酸塩(酸素酸のアルカリ金属塩)、無機酸塩
(硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等)、アルコラート、有機
酸塩などが使用される。 【0012】アルミニウムのハロゲン化物としては、塩
化アルミニウム、臭化アルミニウム等が挙げられ、ガリ
ウムのハロゲン化物としては、塩化ガリウム、臭化ガリ
ウム等が挙げられる。アルミニウムの酸素酸塩として
は、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アル
ミン酸カリウム、アルミン酸ルビジウム、アルミン酸セ
シウム等のアルミニウムの酸素酸のアルカリ金属塩(ア
ルカリ金属のアルミン酸塩)などが挙げられる。アルミ
ニウムの無機酸塩としては、硫酸アルミニウム、硝酸ア
ルミニウム、リン酸アルミニウム等のアルミニウムの硫
酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙げられ、ガリウムの無機
酸塩としては、硫酸ガリウム、硝酸ガリウム、リン酸ガ
リウム等のガリウムの硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙
げられる。アルミニウムのアルコラートとしては、アル
ミニウムフェノキサイド、アルミニウムブトキサイド等
が挙げられ、ガリウムのアルコラートとしては、ガリウ
ムエトキサイド等が挙げられる。アルミニウムの有機酸
塩としては、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム
等の炭素数1〜15の脂肪族カルボン酸とアルミニウム
との塩(アルミニウムの脂肪族カルボン酸塩)、安息香
酸アルミニウム、メチル安息香酸アルミニウム等の炭素
数7〜15の芳香族カルボン酸とアルミニウムとの塩
(アルミニウムの芳香族カルボン酸塩)が挙げられる。
3B族金属の化合物の中では、アルミニウムのハロゲン
化物、アルミニウムの酸素酸塩、ガリウムのハロゲン化
物が好ましいが、特にアルミニウムの酸素酸のアルカリ
金属塩が好ましい。 【0013】3B族金属の化合物はそのままで使用する
こともできるが、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、
ゼオライト、ケイソウ土、軽石、活性炭等の担体に担持
させて使用することもできる。このとき、3B族金属の
化合物の担持量は、担体に対して、3B族金属として通
常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%
である。 【0014】前記の担持触媒を調製する方法は特別なも
のである必要はなく、例えば、含浸法、混練法、沈着
法、共沈法、蒸発乾固法、イオン交換法等の通常実施さ
れる方法により、3B族金属の化合物を担体に担持させ
た後、乾燥、焼成する方法によって調製することができ
る。乾燥は空気中、50〜100℃で、焼成は空気中、
150〜500℃で通常行われる。 【0015】前記の担持触媒は、粉末、粒状もしくは成
型体で使用される。そのサイズは特に限定されるもので
はないが、通常、粉末では20〜100μmφのもの、
粒状では4〜200メッシュのもの、成型体では長さ
0.5〜10mmのものが好適に使用される。 【0016】ジアリールオキサレートの脱カルボニル反
応は、反応器にジアリールオキサレートと3B族金属の
化合物を入れて、該ジアリールオキサレートを、通常1
00〜450℃、特に160〜400℃、更には180
〜350℃で液相で加熱することによって行うことが好
ましい。このとき、前記の反応式に従って、ジアリール
オキサレートからジアリールカーボネートが生成すると
共に一酸化炭素が発生する。反応圧は通常は常圧とされ
るが、特に制限されるものではない。触媒は単独でもま
た2種以上混合して使用しても差し支えなく、その使用
量はジアリールオキサレートに対して3B族金属として
通常0.001〜50モル%、好ましくは0.01〜2
0モル%である。また、触媒は通常は反応液に溶解させ
て使用されるが、懸濁させて使用しても差し支えない。 【0017】脱カルボニル反応において溶媒は特に必要
とされないが、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジ
メチルイミダゾリドン等の非プロトン性極性溶媒を適宜
使用することもできる。反応器の材質は特に制限される
ものではなく、例えば、ガラス製、ステンレス(SU
S)製の反応器を使用することができる。反応後、生成
したジアリールカーボネートは蒸留等により分離精製さ
れる。 【0018】 【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。なお、ジフェニルカーボネートの收率
(モル%)はジフェニルオキサレートに対して求めた。 実施例1 温度計及び還流冷却管を備えた50ml容のガラス製フ
ラスコに、ジフェニルオキサレート(10.0mmo
l)と塩化アルミニウム〔AlCl3 〕(0.5mmo
l)を入れて、攪拌下で255℃まで昇温した後、常圧
下、この温度で3時間液相で加熱して脱カルボニル反応
を行った。反応終了後、反応液を室温まで冷却してガス
クロマトグラフィー(カラム温度:130〜170℃、
注入口温度:180℃)により分析したところ、ジフェ
ニルカーボネートの收率は15.4%であった。なお、
分析操作によるジフェニルオキサレートからのジフェニ
ルカーボネートの生成は認められなかった。 【0019】実施例2 塩化アルミニウムを塩化ガリウム〔GaCl3 〕(0.
5mmol)に代えたほかは、実施例1と同様に反応と
分析を行った。その結果、ジフェニルカーボネートの收
率は8.1%であった。 【0020】比較例1 反応温度を250℃に変え、塩化アルミニウムを加えな
かったほかは、実施例1と同様に反応と分析を行った。
その結果、ジフェニルカーボネートの生成は認められな
かった。 【0021】実施例3 塩化アルミニウムをアルミン酸リチウム〔LiAl
O2 〕(3.7mmol)に代え、反応温度を265℃
に変えたほかは、実施例1と同様に反応と分析を行っ
た。その結果、ジフェニルカーボネートの收率は39.
6%であった。 【0022】比較例2 アルミン酸リチウムを加えなかったほかは、実施例3と
同様に反応と分析を行った。その結果、ジフェニルカー
ボネートの生成は認められなかった。 【0023】比較例3 実施例1と同様の反応器にジフェニルオキサレート(2
0.7mmol)を入れ容器の空間部をアルゴンガスで
置換して、攪拌下で330℃まで昇温した後、常圧下、
この温度で3時間液相で加熱(煮沸)して脱カルボニル
反応を行った。反応終了後、実施例1と同様に分析を行
ったところ、ジフェニルカーボネートの收率は4.1%
であった。 【0024】比較例4 温度計を備えた内容積90mlのステンレス鋼製密閉反
応器に、ジフェニルオキサレート(20.7mmo
l)、カリウムフェノラート〔PhOK〕(3.8mm
ol)及びテトラヒドロフラン(5.0g)を入れ、容
器の空間部をアルゴンガスで置換した後、攪拌下で10
0℃まで昇温した。そして、この温度で3時間液相で加
熱して脱カルボニル反応を行った。反応終了後、実施例
1と同様に分析を行ったが、ジフェニルカーボネートの
生成は認められなかった。実施例及び比較例の結果を表
1に示す。 【0025】 【表1】【0026】 【発明の効果】本発明により、ジアリールオキサレート
を脱カルボニル反応させてジアリールカーボネートを製
造する方法において、ジアリールカーボネートを收率よ
く製造できる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ジアリールオキサレートを、アルミニウ
ムのハロゲン化物、ガリウムのハロゲン化物、又はアル
ミニウムの酸素酸のアルカリ金属塩の存在下で加熱して
脱カルボニル反応させることを特徴とするジアリールカ
ーボネートの製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26476296A JP3509419B2 (ja) | 1996-10-04 | 1996-10-04 | ジアリールカーボネートの製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26476296A JP3509419B2 (ja) | 1996-10-04 | 1996-10-04 | ジアリールカーボネートの製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10109961A JPH10109961A (ja) | 1998-04-28 |
JP3509419B2 true JP3509419B2 (ja) | 2004-03-22 |
Family
ID=17407843
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26476296A Expired - Lifetime JP3509419B2 (ja) | 1996-10-04 | 1996-10-04 | ジアリールカーボネートの製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3509419B2 (ja) |
-
1996
- 1996-10-04 JP JP26476296A patent/JP3509419B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10109961A (ja) | 1998-04-28 |
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