JP3493934B2 - N,n−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンの製造方法 - Google Patents

N,n−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミノ基を有する
シランカップリング剤等の有機ケイ素化合物の合成原料
として有用なN,N−ビス(トリメチルシリル)アリル
アミン化合物の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】3−ア
ミノプロピルアルコキシシラン化合物は、有機材料と無
機材料の界面の接着性を改善し、FRP積層板、レジン
コンクリート、樹脂封止剤、人工大理石、プラスチック
マグネット等の複合材料の機械的強度、耐水性、耐熱性
を改良するために使用される汎用シランカップリング剤
として有用であり、また、アミノ基の吸着能力を生かし
て繊維処理剤、つや出し剤、塗料添加剤及び樹脂改質用
オイル等の用途で広く使用されているアミノ変性シリコ
ーンオイル等の原料としても多用されている。
【0003】上記3−アミノプロピルアルコキシシラン
化合物は、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルア
ミンの二重結合にハイドロジェンアルコキシシランを付
加した後、脱トリメチルシリル化することにより容易に
製造できるもので、このため、N,N−ビス(トリメチ
ルシリル)アリルアミンは工業的に有用な化合物であ
る。
【0004】このN,N−ビス(トリメチルシリル)ア
リルアミンは、アリルアミンとヘキサメチルジシラザン
を反応させることにより合成できることは公知である
が、この反応の場合、モノシリル化合物であるN−トリ
メチルシリルアリルアミンが主生成物であり、目的とす
るN,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンは非
常に低い収率でしか得られないという欠点があった。
【0005】そこで、上記問題の解決策として、トリエ
チルアミンの存在下、アリルアミンとトリメチルクロロ
シランを溶媒中加圧下に反応させる方法(特開平6−3
40919号公報)、同様な試薬を使用し、塩化チタン
や塩化アルミニウム等のルイス酸触媒を使用して反応さ
せる方法(Phosphorus,Sulfur,an
d Silicon,68,25−35(1992)、
特開平8−134078号公報)が報告されている。
【0006】しかしながら、これらの方法は、N,N−
ビス(トリメチルシリル)アリルアミンの収率はかなり
改善されるものの、高価かつ反応容積を占めるトリエチ
ルアミンや溶媒を使用するため、コスト高で低生産性と
なる上、回収等の処置が必要であり、工程が面倒であ
る。更に、上記方法では、大量のトリエチルアミン塩酸
塩が副生するため、その除去のために濾過等の煩雑な処
理を行う必要があり、工業的製造方法として満足いく方
法とは言えなかった。
【0007】従って、上記問題のない工業的に有利な
N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンの製造
方法の開発が望まれていた。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、安価かつ簡便に、しかも高収率で生産性よくN,N
−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンを製造するこ
とができるN,N−ビス(トリメチルシリル)アリルア
ミンの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、N−トリメチルシリルアリルアミンを触媒の存在下
に不均化反応させると共に、副生するアリルアミンを随
時反応系外へ留出させることにより、N−トリメチルシ
リルアリルアミンの不均化反応が非常に高い不均化率で
進行し、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミ
ンを高収率で得ることができる上、回収したアリルアミ
ンの再利用も可能で廃液処理の必要がなく、それ故、安
価な原料から簡便かつ容易に、しかも効率的に生産性よ
くN,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンを製
造できること、更に、アリルアミンとヘキサメチルジシ
ラザンを触媒の存在下に反応させてN−トリメチルシリ
ルアリルアミンを生成させた後、このN−トリメチルシ
リルアリルアミンを引き続いて不均化反応させると共
に、副生するアリルアミンを随時反応系外へ留出するこ
とにより、同一触媒の存在下で連続して前記二段階の反
応を行うことができ、工業的により有利となることを知
見し、本発明をなすに至った。
【0010】 従って、本発明は、 (1)N−トリメチルシリルアリルアミンを、ルイス酸
を含む酸化合物又はその塩からなる触媒の存在下に不均
化反応させると共に、副生するアリルアミンを随時反応
系外へ留出させ、N,N−ビス(トリメチルシリル)ア
リルアミンを分取することを特徴とするN,N−ビス
(トリメチルシリル)アリルアミンの製造方法、 (2)アリルアミンとヘキサメチルジシラザンを、ルイ
ス酸を含む酸化合物又はその塩からなる触媒の存在下に
反応させてN−トリメチルシリルアリルアミンを生成さ
せた後、引き続いて該N−トリメチルシリルアリルアミ
ンを前記と同じ触媒の存在下、不均化反応させると共
に、副生するアリルアミンを随時反応系外へ留出させ、
N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンを分取
することを特徴とするN,N−ビス(トリメチルシリ
ル)アリルアミンの製造方法を提供する。
【0011】以下、本発明について更に詳しく説明する
と、本発明のN,N−ビス(トリメチルシリル)アリル
アミンの製造方法は、N−トリメチルシリルアリルアミ
ンを触媒の存在下に不均化反応させると共に、副生する
アリルアミンを随時反応系外へ留出させ、N,N−ビス
(トリメチルシリル)アリルアミンを分取することを特
徴とするものである。
【0012】本発明方法の原料であるN−トリメチルシ
リルアリルアミンとしては、いずれの方法で製造したも
のを使用してもよいが、特にアリルアミンとヘキサメチ
ルジシラザンを不均化反応と同様の後述するような触媒
の存在下に反応させることで得ることができるN−トリ
メチルシリルアリルアミンを使用すると、このN−トリ
メチルシリルアリルアミンの合成反応で使用した触媒を
不均化反応で共通して使用できる上、この反応による副
生物がほとんどないことから、生成したN−トリメチル
シリルアリルアミンを一旦蒸留単離することなく、この
合成反応に引き続いて不均化反応を行うことが可能であ
り、非常に効率が良い。
【0013】上記N−トリメチルシリルアリルアミンの
合成反応において、アリルアミンとヘキサメチルジシラ
ザンとの使用割合は、アリルアミンに対してヘキサメチ
ルジシラザンを0.1〜10モル当量、特に0.5〜2
モル当量とすることが好適である。
【0014】アリルアミンとヘキサメチルジシラザンと
の反応条件は、特に限定されないが、還流温度で1〜1
0時間反応させることが好ましい。
【0015】 本発明方法で使用される触媒としては、
ルイス酸を含む酸化合物及びその塩が有効であり、具体
的にはベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデ
シルベンゼンスルホン酸、トルイジンスルホン酸、メタ
ニル酸、スルファニル酸、ペリ酸、ジアミノベンジルス
ルホン酸、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、トルエン
スルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸
アンモニウム、トルイジンスルホン酸アンモニウム、メ
タニル酸アンモニウム、スルファニル酸アンモニウム、
ペリ酸アンモニウム、ジアミノベンジルスルホン酸アン
モニウム等のアリールスルホン酸化合物及びその塩が好
ましい。
【0016】上記触媒の使用量は、N−トリメチルシリ
ルアリルアミンに対して0.01〜20重量%、特に
0.5〜5重量%が好ましく、0.01重量%に満たな
いと反応が非常に遅くなる場合があり、20重量%を超
えるとコスト高となる場合がある。
【0017】本発明に係る不均化反応は本質的に溶媒は
不要であるが、必要に応じてトルエン、キシレン、ヘキ
サン、イソオクタン、テトラヒドロフラン等の非プロト
ン性溶媒を使用してもよい。
【0018】また、不均化反応は常圧、減圧、加圧いず
れの条件で行うことも可能であるが、反応速度の観点か
ら常圧又は加圧下で行うことが好ましい。
【0019】本発明方法において、N−トリメチルシリ
ルアリルアミンの不均化反応により副生するアリルアミ
ンの留去は、1〜20時間程度かけて留出除去すること
が好ましい。なお、この留去により得られたアリルアミ
ンは、N−トリメチルシリルアリルアミンの原料として
再利用可能であり、本発明の方法においては、処分すべ
き廃液がほとんど発生しない。
【0020】不均化反応終了後は、得られた反応液から
通常の方法、例えば減圧蒸留等により目的物質である
N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンを得る
ことがてきる。
【0021】
【発明の効果】本発明のN,N−ビス(トリメチルシリ
ル)アリルアミンの製造方法によれば、シランカップリ
ング剤、アミノ変性シリコーンオイルの中間原料として
有用な3−アミノプロピルアルコキシシラン化合物の製
造原料として有効なN,N−ビス(トリメチルシリル)
アリルアミンを安価な原料から簡便かつ容易に、しかも
高収率で生産性よく工業的に有利に製造することでき
る。
【0022】
【実施例】以下、実施例、比較例及び参考例を示し、本
発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制
限されるものではない。
【0023】〔実施例1〕蒸留塔及び温度計を備えた5
00mlフラスコにN−トリメチルシリルアリルアミン
387.9g(3.0mol)及びドデシルベンゼンス
ルホン酸10.5g(0.03mol)を加え、加熱し
て還流させた後、8時間かけて生成するアリルアミンを
留出除去した。得られた反応液から、減圧蒸留により8
9〜90℃/40mmHgの留分を分取することによ
り、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミン2
84.8gを得た(収率94.2%)。
【0024】〔実施例2〕蒸留塔、撹拌機、温度計及び
滴下ロートを備えた500mlフラスコにヘキサメチル
ジシラザン193.7g(1.2mol)及びドデシル
ベンゼンスルホン酸7.0g(0.02mol)を仕込
み、そこへ滴下ロートよりアリルアミン114.2g
(2.0mol)を内温70℃で1時間かけて滴下し、
3時間還流して反応させた後、引き続いてアリルアミン
を8時間かけて留出除去した。得られた反応液から、減
圧蒸留により89〜90℃/40mmHgの留分を分取
することにより、N,N−ビス(トリメチルシリル)ア
リルアミン192.0gを得た(収率95.3%)。
【0025】〔比較例〕撹拌機、温度計及び滴下ロート
を備えた500mlフラスコにヘキサメチルジシラザン
322.8g(2.0mol)及びドデシルベンゼンス
ルホン酸7.0g(0.02mol)を仕込み、そこへ
滴下ロートよりアリルアミン114.2g(2.0mo
l)を内温70℃で1時間かけて滴下し、6時間還流し
て反応させた後、得られた反応液から、減圧蒸留により
89〜90℃/40mmHgの留分を分取したところ、
N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンの収量
は68.5gであった(収率17%)。
【0026】〔参考例1〕3−アミノプロピルトリエト
キシシランの合成 撹拌機、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた1
リットルのガラスフラスコ中にN,N−ビス(トリメチ
ルシリル)アリルアミン201.5g(1.0mol)
及びH2PtCl6・6H2Oの4%イソプロピルアルコ
ール溶液0.98gを仕込み、そこに滴下ロートよりト
リエトキシシラン164.3g(1.0mol)を70
〜80℃にて3時間かけて滴下し、そのまま2時間熟成
して反応させた。この反応液へエタノール460.7g
を加え、還流して脱トリメチルシリル化後、得られた反
応液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、3
−アミノプロピルトリエトキシシランの生成が確認さ
れ、その異性体の生成は確認されなかった。この反応液
から減圧蒸留により67〜68℃/3mmHgの留分を
分取することにより、3−アミノプロピルトリエトキシ
シラン194.8gを得た(収率88%)。
【0027】〔参考例2〕1,3−ビス(3−アミノプ
ロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
の合成 撹拌機、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた1
リットルのガラスフラスコ中にN,N−ビス(トリメチ
ルシリル)アリルアミン201.5g(1.0mol)
及びH2PtCl6・6H2Oの4%イソプロピルアルコ
ール溶液0.98gを仕込み、そこに滴下ロートよりジ
メチルエトキシシラン104.2g(1.0mol)を
70〜80℃にて3時間かけて滴下し、そのまま2時間
熟成して反応させた。この反応液へエタノール460.
7gを加え、脱トリメチルシリル化後、得られた反応液
をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、3−ア
ミノプロピルジメチルエトキシシランの生成が確認さ
れ、その異性体の生成は確認されなかった。この反応液
から生成したトリメチルエトキシシラン並びにエタノー
ルを留出除去した後、水を加えて加水分解し、減圧蒸留
により99〜101℃/2mmHgの留分を分取するこ
とにより、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサン102.3gを
得た(収率82%)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沼波 和敏 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28−1 信越化学工業株式会社 合成技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平8−99979(JP,A) 独国特許出願公開4041645(DE,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 7/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−トリメチルシリルアリルアミンを
    ルイス酸を含む酸化合物又はその塩からなる触媒の存在
    下に不均化反応させると共に、副生するアリルアミンを
    随時反応系外へ留出させ、N,N−ビス(トリメチルシ
    リル)アリルアミンを分取することを特徴とするN,N
    −ビス(トリメチルシリル)アリルアミンの製造方法。
  2. 【請求項2】 アリルアミンとヘキサメチルジシラザン
    、ルイス酸を含む酸化合物又はその塩からなる触媒の
    存在下に反応させてN−トリメチルシリルアリルアミン
    を生成させた後、引き続いて該N−トリメチルシリルア
    リルアミンを前記と同じ触媒の存在下、不均化反応させ
    ると共に、副生するアリルアミンを随時反応系外へ留出
    させ、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミン
    を分取することを特徴とするN,N−ビス(トリメチル
    シリル)アリルアミンの製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒がアリールスルホン酸化合物又はそ
    の塩である請求項1又は2記載のN,N−ビス(トリメ
    チルシリル)アリルアミンの製造方法。
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