JP3442773B2 - 抗ウイルス性ヌクレオシドコンビネーション - Google Patents

抗ウイルス性ヌクレオシドコンビネーション

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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、ヌクレオシド誘導体の相乗作用的な抗ウ
イルス性コンビネーション、この組合せ(コンビネーシ
ョン)を含有する医薬製剤および医学的治療、特にウイ
ルス感染、とりわけレトロウイルス感染の治療における
それらの使用に関する。
後天性免疫不全症候群(AIDS)は、致命的な日和見感
染に罹患し易くする免疫抑制性もしくは免疫破壊性疾患
である。その特徴として、AIDSはT細胞、特にOKT4表面
マーカーを有するヘルパー−インデューサー・サブセッ
トの漸進的な減少に関連付けられる。
AIDSもしくはしばしばAIDSに先行する症状を有する患
者から、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が再現性をもっ
て単離されている。HIVは細胞変性性であり、OKT4マー
カーを有するT細胞に優先的に感染し、破壊するように
見える。
HIVがAIDSの病因であることが発見されて以来、AIDS
患者の治療に有効であり得る抗HIV化学療法剤について
多くの提案がなされている。そのような訳で、例えば、
欧州特許明細書0 382 526には、抗HIV置換1,3−オキサ
チオランが記述されている。米国特許明細書4724232お
よび欧州明細書0 196 185には(認定された名称ジドヴ
ジン[zidovudine]を有する)3′−アジド−3′−デ
オキシチミジンおよびAIDSの治療におけるその使用が記
載されている。
我々は、今や、1−(2−(ヒドロキシメチル)−1,
3−オキサチオラン−5−イル)−5−フルオロシトシ
ンを3′−アジド−3′−デオキシチミジン(ジドヴジ
ン)と組み合わせることにより、結果としてこれらの化
合物の抗HIV活性の驚くべき大きな相乗作用が生じるこ
とを見出した。1−(2−(ヒドロキシメチル)−1,3
−オキサチオラン−5−イル)−5−フルオロシトシン
をジドヴジンと一緒に用いることにより、その個々の化
合物の抗HIV活性と比較して、抗HIV活性の相乗作用的な
増加が生じる。
この発明の第1の特徴によると、(a)式(I)の1
−(2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン
−5−イル)−5−フルオロシトシン: もしくはそれらの生理学的機能性誘導体、および(b)
式(II)の3′−アジド−3′−デオキシチミジン(ジ
ドヴジン): もしくはそれらの生理学的機能性誘導体のコンビネーシ
ョンであり、このコンビネーションの成分(a)および
(b)が相乗的抗ウイルス効果が達成されるように同時
に用いられるコンビネーションが提供される。ここで、
「相乗的抗ウイルス効果」という用語は、コンビネーシ
ョンの個々の成分(a)および(b)の予期される純粋
な添加効果よりも大きい抗ウイルス効果を示すために用
いられる。
式(I)の化合物が2つのキラル中心を含み、そのた
め、2対の光学異性体(すなわちエナンチオマー)およ
びラセミ混合物を含むそれらの混合物の形態で存在する
ことに注意すべきである。そのため、式(I)の化合物
は、シスもしくはトランス異性体またはそれらの混合物
のいずれかであり得る。シスもしくはトランス異性体ま
たはそれらの混合物の各々。シスおよびトランス異性体
は、2種のエナンチオマーまたはラセミ体混合物を含む
それらの混合物の1種として存在し得る。
そのような異性体およびラセミ混合物を含むそれらの
混合物の全ては、式(I)および(II)の化合物の互変
異性体をも含むこの発明の範囲内にある。式(I)の化
合物のシス異性体が好ましい。
「生理学的機能性誘導体」は、式(I)もしくは(I
I)の親化合物の薬剤学的に許容し得る塩、エステルも
しくはエステルの塩、式(I)の化合物の薬剤学的に許
容し得るアミド、またはレシピエントに投与の際に親化
合物またはそれらの活性代謝物もしくは残基を(直接も
しくは間接的に)提供し得る他の化合物を意味する。
この発明による好ましいエステルには、エステル基の
非カルボニル部分が、直鎖もしくは分岐鎖アルキル、例
えば、n−プロピル、t−ブチル、n−ブチル、アルコ
キシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル
(例えば、ベンジル)、アリーロキシアルキル(例え
ば、フェノキシメチル)、およびアリール(例えば、フ
ェニル)から選択されるカルボン酸エステル;アルキル
−もしくはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスル
ホニル)のようなスルホネートエステル;アミノ酸エス
テル(例えば、L−バリルもしくはL−イソロイシ
ル);ジカルボン酸エステル(例えば、ヘミスクシネー
ト);および一、二もしくは三リン酸エステルが含まれ
る。リン酸エステルは、例えば、C1-20アルコールもし
くはそれらの反応性誘導体により、あるいは2,3−ジ(C
6-24)アシルグリセロールによりさらにエステル化する
ことができる。
そのようなエステル中に存在するアルキル部分には、
1ないし18個の炭素原子、特には1ないし4個の炭素原
子が有利に含まれる。そのようなエステル中に存在する
アリール部分には、例えばハロゲン、C1-4アルキル、C
1-4アルコキシもしくはニトロによって任意に置換され
るフェニル基が有利に含まれる。
上述の、式(I)の化合物の薬剤学的に許容し得るア
ミドには、シトシンアミノ基がアミド、例えば、RがC
1-6アルキルもしくはアリール(例えば、ハロゲン、C
1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ニトロもしくはヒドロ
キシで任意に置換されるフェニル)であるNHCORの形態
で存在する誘導体が含まれる。
薬剤学的に許容し得る塩の例には、例えば、アルカリ
金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例え
ば、マグネシウム)塩、アンモニウムおよびNX4 +(ここ
で、XはC1-4アルキル)のような適当な塩基から誘導さ
れる塩基性塩が含まれる。薬剤学的に許容し得る酸付加
塩には、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、イセチオン
酸、ラクトビオン酸およびコハク酸のような有機カルボ
ン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸およびp−トルエンスルホン酸のような有機
スルホン酸、並びに塩酸、硫酸、リン酸およびスルファ
ミン酸のような無機酸の塩が含まれる。
ウイルス性感染およびこの発明に従って治療もしくは
予防することができる関連臨床状態の例には、ヒト免疫
不全ウイルス(HIV)、例えばHIV−1もしくはHIV−
2、およびヒトT細胞リンパ球向性[lymphotropic]ウ
イルス(HTLV)、例えばHTLV−IもしくはHTLV−II感染
のようなヒトレトロウイルス感染が含まれる。この発明
のコンビネーションは、AIDS、ならびにAIDS関連症候群
(ARC)、進行性全身リンパ節症(PGL)、多発性硬化症
もしくは局所[tropical]不全対麻痺のようなAIDS関連
神経学的状態、抗HIV抗体陽性および血小板減少性紫斑
病のようなHIV陽性状態等の関連臨床状態の治療に特に
有用である。この発明のコンビネーションは、乾癬の治
療に用いることもできる。この発明のコンビネーション
は、ヒトレトロウイルスによって生じ、もしくは関連す
る無症候感染または疾患の治療に特に適応可能であるこ
とが見出されている。
この発明の第2の特徴によると、医学療法における使
用、特に前述のウイルス性感染もしくは状態、とりわけ
AIDSを含むHIV感染の治療または予防のための、前記コ
ンビネーションが提供される。
この発明は、前記コンビネーションの調製方法であっ
て、医薬中のコンビネーションの成分(a)および
(b)を関連付けて相乗作用的抗ウイルス効果を提供す
ることを具備する方法をさらに含む。
この発明のさらなる側面においては、前記ウイルス性
感染または状態の治療のための医薬の製造におけるこの
発明のコンビネーションの使用が提供される。
この発明は、さらに、(ヒトを含む)哺乳動物におけ
るウイルス性感染(特にHIV感染)の治療もしくは予防
方法であって、前記哺乳動物に前記コンビネーションの
有効量を投与することを具備する方法を提供する。この
発明によると、コンビネーションの成分(a)および
(b)は、同時でも連続的に投与し得ることは明らかで
あろう。しかしながら、後者の場合には、相乗的抗ウイ
ルス効果が確実に達成されるように成分は十分に短い間
隔で投与される。
この発明はまた、ウイルスに感染した(ヒトを含む)
哺乳動物において、コンビネーションの成分(a)およ
び(b)の抗ウイルス活性を強化する方法であって、前
記哺乳動物に、成分(b)の投与と同時に、または先立
って、あるいはそれに続いて有効相乗作用量の成分
(a)を投与することを含む方法を提供する。
この発明のコンビネーションの利点は、それが(単独
で用いられる成分と比較して)抗ウイルス成分のうちの
1つの特定の投与量での抗ウイルス効果の改良を達成
し、それによりその成分の治療指標を改善することが可
能であることである。このため、例えば、このコンビネ
ーションは、他の方法では毒性の問題が生じ得る比較的
大用量の抗ウイルス成分を要するであろう状態の治療に
用いることができる。このコンビネーションのより小さ
な用量は、レシピエントにとっての便宜性を増加させ、
快い承諾を得る機会を増加させる。
この発明のコンビネーションは、通常の方法で哺乳動
物に投与することができる。上に示したように、成分
(a)および(b)は、(例えば、単体医薬処方とし
て)同時に、または(例えば、分離医薬処方として)別
々に投与することができる。一般に、このコンビネーシ
ョンは、局所、経口、直腸もしくは非経口(例えば、静
脈内、皮下もしくは筋肉内)経路により投与することが
できる。この経路が、例えば、治療しようとする状態の
重篤性およびレシピエントの個性[identity]によって
変化し得ることは明らかであろう。
通常、最大の強化を確実にするための成分の最適割合
が存在するにはするが、1つの成分が消え入りそうな少
量であっても他方の効果をある程度強化するには十分で
あろうし、2種の強化成分がいかなる割合であっても依
然として必要とされる相乗効果を有しているであろう。
したがって、この発明による使用のための、1−(2
−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−
イル)−5−フルオロシトシンに対するジドブジン、も
しくはそれら各々の生理学的機能性誘導体、の最適モル
比は、1:1ないし1:600、好ましくは1:10ないし1:250、
最も好ましくは1:25である。
以下、このコンビネーションの成分を「活性成分」と
称する。
このコンビネーションの用量は、治療している状態並
びに体重およびレシピエントの状態およびコンビネーシ
ョンの成分の投与経路のような他の臨床要因に依存する
であろう。用量の範囲および成分割合の例は以下の通り
である。
一般に、成分(a)および(b)の全重量に基づくこ
の発明のコンビネーションの適切な用量は、1日につき
レシピエントの体重kg当り3ないし120mgの範囲にあ
り、好ましくは1日につき体重kg当り6ないし90mgの範
囲にあり、最も好ましくは1日につき体重kg当り15ない
し60mgの範囲にある。この望ましい用量は、好ましく
は、1日を通して適当な間隔で投与される、2、3、
4、5、6もしくはそれ以上のサブ用量[sub−dose]
として提供される。これらのサブ用量は、例えば、1形
態当り10ないし1500mg、好ましくは20ないし1000mg、最
も好ましくは50ないし700mgの活性成分を含有する単位
用量形態で投与することができる。
活性成分を単独で投与することも可能であるが、それ
らを医薬製剤として提供することが好ましい。この発明
の医薬製剤は、この発明によるコンビネーションを、1
種以上の薬剤学的に許容し得る担体もしくは賦形剤およ
び、任意に、他の治療薬と一緒に包含する。コンビネー
ションの個々の成分が別々に投与される場合には、一般
にそれらは各々医薬製剤として提供される。以後、他に
指定しない限りは、製剤に対する言及は、このコンビネ
ーションまたはそれらの成分のいずれかを含有する製剤
を指す。製剤は、経口、直腸、鼻腔内、(経皮、口腔内
および舌下を含む)局所、膣内または(皮下、筋肉内、
静脈内および皮内を含む)非経口投与に適するものを含
む。これら製剤は、単位用量形態で提供されることが好
都合であり、薬学分野で公知の方法により調製すること
ができる。そのような方法には、活性成分を、1種以上
の補助成分を構成する担体と合わせる工程が含まれる。
一般に、この製剤は、活性成分を液体担体もしくは微
細に破砕した固体担体あるいはその両者と均一かつ緊密
に合わせ、次いで、必要であれば、製品に成型すること
により調製される。
経口投与に適するこの発明の製剤は、各々所定量の活
性成分を含有するカプセル、カシェもしくは錠剤;粉末
もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体としての溶液も
しくは懸濁液;または油中水液体乳剤もしくは水中油液
体乳剤のような分離された単位として提供することがで
きる。活性成分はまた、丸薬、舐剤もしくはペーストと
して提供することもできる。
錠剤は、任意に1種以上の補助成分と共に圧縮もしく
は成型により製造することができる。圧縮錠は、適切な
装置内で、粉末もしくは顆粒のような自由流動形態であ
り、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、
保存剤、崩壊剤(例えば、デンプンナトリウムグリコラ
ート[sodium starch glycollate]、架橋ポビドン、架
橋カルボキシメチルセルロースナトリウム[cross−lin
ked sodium carboxymethyl cellulose])、界面活性ま
たは分散剤と任意に混合された活性成分を圧縮すること
により調製することができる。成型剤は、適切な装置内
で、不活性希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を成型
することにより製造することができる。錠剤は、任意に
コートし、もしくは刻み目を入れることができ、かつそ
れらに含まれる活性成分の徐放もしくは制御された放出
を提供し得るように、例えば、種々の割合のヒドロキシ
プロピルメチルセルロールを用いて処方し、所望の放出
プロフィールを提供することができる。錠剤は、胃の他
に腸の一部で放出されるように、腸溶コーティングと共
に提供することができる。
口内での局所投与に適する製剤には、風味付けした基
材、通常ショ糖およびアカシアゴムもしくはトラガカン
トゴム、中に活性成分を含有するロゼンジ;ゼラチンお
よびグリセリン、もしくはショ糖およびアカシアゴムの
ような不活性基材中に活性成分を含有する香錠;および
適切な液体担体中に活性成分を含有するマウスウォッシ
ュが含まれる。直腸投与のための製剤は、適切な基材、
例えば、カカオバターもしくはサリチル酸塩を用いる坐
剤として提供することができる。
局所投与もまた、経皮イオン浸透装置によりできる。
膣内投与に適する製剤は、活性成分に加えて、この分
野において適当であることが知られているような担体を
含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペー
スト、泡、またはスプレー製剤として提供され得る。
非経口投与に適する製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、
静菌剤および製剤を目的とするレシピエントの血液と等
張にする溶質を含有し得る水性もしくは非水性等張無菌
注射溶液;および分散剤並びに増粘剤を含有することが
できる水性もしくは非水性無菌懸濁液;およびリポソー
ムまたは血液成分もしくは1種以上の器官を化合物の標
的に定めて設計された微小粒子系が含まれる。この製剤
は、単位用量もしくは複数用量密封容器、例えば、アン
プルおよびバイアルの形で提供することができ、使用直
後に無菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを要する
凍結乾燥[freeze−dried](lyophilized)状態で保存
することができる。即席注射溶液および懸濁液を、前述
の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができ
る。
好ましい単位投与量製剤は、前に列挙したように、活
性成分の1日用量もしくは1日サブ用量、あるいはそれ
らの適当な画分を含有するものである。
この発明の製剤は、上で特に言及される成分に加え
て、この分野において通常の、問題となる製剤のタイプ
に関係する剤を含むことができること、例えば、経口投
与に適したものは甘味料、増粘剤および矯味矯臭剤のよ
うなさらなる剤を含み得ることは理解されるべきであ
る。
この発明のコンビネーションの化合物は、通常の方法
で調製することができる。ジドヴジンは、例えば、参考
としてここに組み込まれる米国特許4724232に記載され
る通りに調製することができる。ジドヴジンはまた、ア
ルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwa
ukee,WI 53233,USA)から入手することもできる。
1−(2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオ
ラン−5−イル)−5−フルオロシトシンは、例えば、
以下の方法により調製することができる: a)任意に保護された5−フルオロシトシンを式(III
A)の1,3−オキサチオランと反応させ、 (ここで、R1は水素もしくはヒドロキシ保護基であり、
Lは遊離基である);または、 b)式(III B)の化合物 (ここで、R1は上で定義した通りであり、R1 aはアミノ
保護基である) をシトシン環の5−位にフッ素原子を導入する働きをす
るフッ素化剤と反応させ;または、 c)式(III C)の化合物 (ここで、R1は上で定義した通りである) をウラシル環の4−位のオキソ基をアミノ基に変換する
働きをする剤と反応させ;残りの保護基を除去して所望
の生成物を製造する。
方法a)に関して、ヒドロキシ保護基には、アシル
(例えば、アセチル)、アリールアシル(例えば、ベン
ゾイルもしくは置換ベンゾイル)、トリチルもしくはモ
ノメトキシトリチル、ベンジルもしくは置換ベンジル、
トリアルキルシリル(例えば、ジメチル−t−ブチルシ
リル)またはジフェニルメチルシリルが含まれる。5−
フルオロシトシン化合物は、シリル、例えばトリメチル
シリル基で任意に保護することができる。そのような基
は、通常の方法で除去することができる。遊離基Lはヌ
クレオシド化学の分野において公知の遊離基のうちの典
型的なものであり、例えば、塩素もしくは臭素のような
ハロゲン、メトキシもしくはエトキシのようなアルコキ
シまたはアセチルもしくはベンゾイルのようなアシルで
ある。
方法a)における反応は、有機溶媒(例えば、1,2−
ジクロロエタンもしくはアセトニトリル)中で、塩化第
二スズもしくはトリメチルシリルトリフラートのような
ルイス酸の存在下において達成し得る。
式III Aの化合物は、Can.J.Research,8,129(1933)
および欧州特許明細書0 382 526に記載されるように、
適切に保護された式(IV)の2−ヒドロキシアセトアル
デヒドから得られる。
R1OCH2CHO (IV) ここで、R1は上に定義される。式IVの化合物とメルカプ
トアセタールHSCH2CH(OR)(ここで、RはHSCH2CH
(OC2H5のようなC1-4アルコキシである)との反応
は、この分野で知られるように(Chem.Ber.,85,924−93
2(1952))、LがOR(アルコキシ)、例えばメトキシ
もしくはエトキシである式III Aの化合物を生成する。
その代わりに、Lがアルコキシである式III Aの化合物
を、炭化水素化学の分野で公知の方法により、Lがハロ
ゲンもしくはアシルである式III Aの化合物に変換する
ことができる。
式IVの化合物は、1,2−O−イソプロピリデングリセ
ロールから、アセトニトリル中でR1(例えば、三置換シ
リル、ベンジルもしくはトリチル)を導入し、温和な酸
(例えば、ギ酸もしくは酢酸水溶液)あるいは臭化亜鉛
を用いてイソプロピリデン基を除去して、過ヨウ素酸塩
水溶液でアルコール基を酸化することにより調製するこ
とができる。
方法b)に関して、5−フルオロ置換基は、この分野
で公知の方法(M.J.Robins,et.al.,in Nucleic Acid Ch
emistry,Part 2,L.B.Townsend and R.S.Tipson,editor
s,J.Wiley and Sons,New York,895−900(1978)および
そこに記載の参考文献;R.Duschinsky in Nucleic Acid
Chemistry,Part1,L.B.Townsend and R.S.Tipson,editor
s,J.Wiley and Sons,New York,43−46(1978)およびそ
こに記載の参考文献)により導入することができる。フ
ッ素化剤は、例えば、フルオロトリクロロメタン中のト
リメチルハイポフルオライトであってもよい。
方法c)に関して、式(III C)の化合物は、都合よ
くは4−クロロフェニルジクロロホスフェートと一緒
に、1,2,4,−トリアゾールで有利に処理され、対応する
4−(1,2,4−トリアゾリル)化合物を形成する。この
4−(1,2,4−トリアゾリル)化合物は、次いで、例え
ばメタノールと反応させることにより、所望の4−アミ
ノ(シチジン)に変換される。
式III BおよびIII Cの出発物質は、例えば、方法a)
に記載の方法と類似の方法で、適当な(任意に保護され
た)塩基と式III Aの化合物とを反応させることにより
調製することができる。5−フルオロウラシルおよび5
−フルオロシトシンは、アルドリッチ・ケミカル社(Al
drich Chemical Co.,Milwaukee,WI 53233 USA)から市
販されている。
例えば保護された形での、式(I)の(±)−シスお
よび(±)−トランス異性体の分離は、エチルアセテー
ト/メタノール、エチルアセテート/ヘキサンもしくは
ジクロロメタン/メタノールのような有機溶媒の混合物
を用いる、シリカゲル・クロマトグラフィーにより達成
することができる。どのような保護基も、次いで、各々
の基に適当な試薬を用いて除去することができる。
式IおよびIIの成分化合物のエステルは、酸ハライド
もしくは無水物のような適当なエステル化剤との反応に
より、従来の方法で調製することができる。式Iおよび
IIの化合物またはそれらのエステルは、適当な塩基で処
理することによりそれらの薬剤学的に許容し得る塩に変
換することができる。これらの成分化合物のエステルも
しくは塩は、加水分解により親化合物に変換することが
できる。
式(I)の化合物の薬剤学的に許容し得るアミドは、
例えば、適当なアシル化剤、例えば、5′−OHおよび4
−NH2基をアシル化する働きをする酸ハライドもしくは
無水物との反応により調製することができる。このアシ
ル基は、その後、1つもしくは他の5′−OHおよび4−
NH2基から選択的に除去することができる。例えば、ア
ルカリ性条件下、例えば、ナトリウムメトキサイドを用
いたジアシル化化合物の処理では5′−OHアシル基が除
去されて対応する4N−アミドが生成するのに対して、酸
性条件、例えばメタノール中の臭化亜鉛のようなルイス
酸の下でジアシル化化合物を処理すると、4N−アシル基
が除去されて対応する5′−OHエステルが生成する。こ
のアシル基もまた、市販のエステラーゼもしくはリパー
ゼ酵素、例えばブタ肝臓エステラーゼもしくは膵臓リパ
ーゼで処理することにより、あるいは米国特許明細書50
71983号に記載の方法に従う処理により選択的に除去す
ることができる。式(I)の化合物は、例えば、適当な
塩基で処理することにより、従来の方法で、それらの薬
剤学的に許容し得る塩に変換することができる。
以下の例は説明のみを目的とするものであり、いかな
る意味においても発明の範囲を限定することを意図する
ものではない。「活性成分」は、成分ジドヴジンとシス
−1−(2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオ
ラン−5−イル)−5−フルオロシトシンとのモル比1:
25の混合物を意味する。
例 1:錠剤製剤 以下の製剤A、BおよびCを、ポビドン溶液を用いる
成分の湿式造粒、続くステアリン酸マグネシウムおよび
圧縮により調製する。
製剤A mg/錠剤 活性成分 250 ラクトースB.P. 210 ポビドンB.P. 15 デンプンナトリウムグリコラート 20 ステアリン酸マグネシウム 5 500 製剤B mg/錠剤 活性成分 250 ラクトースB.P. 150 アビセル(Avicel)PH101 60 ポビドンB.P. 15 デンプンナトリウムグリコラート 20 ステアリン酸マグネシウム 5 500 製剤C mg/錠剤 活性成分 250 ラクトースB.P. 200 デンプン 50 ポビドン 5 ステアリン酸マグネシウム 4 359 以下の製剤、DおよびE、を混合成分の直打により調
製する。製剤Eのラクトースは、直打型のものである
(Dairy Crest−“ゼパロックス[Zeparox])。
製剤D mg/錠剤 活性成分 250 予めゼラチン状にしたデンプン NF15 150 400 製剤E mg/錠剤 活性成分 250 ラクトースB.P. 150 アビセル 100 500 製剤F(徐放製剤) ポビドン溶液を用いる成分の湿式造粒、続くステアリ
ン酸マグネシウムの添加および圧縮により、製剤を調製
する。
mg/錠剤 活性成分 500 ヒドロキシプロピルメチルセルロース (メトセルK4Mプレミアム [Methocel N4M Premium]) 112 ラクトースB.P. 53 ポビドンB.P. 28 ステアリン酸マグネシウム 7 500 薬剤放出は約6−8時間にわたって起こり、12時間後
に完了する。
例 2:カプセル製剤 製剤A 上述の例1における製剤Dの成分を混合し、2分割硬
ゼラチンカプセルに充填することによりカプセル製剤を
調製する。製剤B(下記)は、同様の方法で調製され
る。
製剤B mg/カプセル 活性成分 250 ラクトースB.P. 143 デンプンナトリウムグリコラート 25 ステアリン酸マグネシウム 2 420 製剤C mg/カプセル 活性成分 250 マクロゴール4000 B.P. 350 600 錠剤Cのカプセルは、マクロゴール4000 B.P.を溶解
し、この溶解物に活性成分を分散させて2分割硬ゼラチ
ンカプセルに充填することにより調製する。
製剤D mg/カプセル 活性成分 250 レシチン 100 落花生油 100 450 製剤Dのカプセルは、レシチンおよび落花生油中に活
性成分を分散させ、この分散対を軟弾性ゼラチンカプセ
ルに充填することにより調製する。
製剤E(徐放カプセル) 押出機を用いて成分a、bおよびcを押出し、次いで
押出し物を球状化にして乾燥させることにより、下記徐
放カプセル製剤を調製する。その後、乾燥したペレット
を放出制御膜(d)でコートし、2分割硬ゼラチンカプ
セルに充填する。
mg/カプセル (a)活性成分 250 (b)微結晶セルロース 125 (c)ラクトースB.P. 125 (d)エチルセルロース 13 513 例 3:注射製剤 製剤A mg 活性成分 200 pH4.0ないし7.0にするに十分な量の塩酸溶液 0.1Mまたは水酸化ナトリウム溶液0.1M 無菌の水 10mlとするに十分な量 活性成分を大部分の水(35℃−40℃)に溶解し、適宜
塩酸もしくは水酸化ナトリウムでpHを4.0ないし7.0に調
節する。その後、このバッチを水で嵩上げし、無菌の微
細孔フィルターを通して無菌、琥珀色の10mlガラスバイ
アル(タイプ1)に入れて無菌のクロージャー[closur
e]およびオーバーシール[overseal]で密封する。
製剤B 活性成分 125mg 無菌、パイロジェン非含有、pH7 リン酸緩衝液 25mlとするに十分な量 例 4:筋肉内注射 活性成分 200mg ベンジルアルコール 0.10g グリコフロール75[Glycofurol] 1.45g 注射用水 3.00mlとするに十分な量 活性成分をグリコフロールに溶解する。次いでベンジ
ルアルコールを添加して溶解させ、3mlまで水を添加す
る。その後、この混合物を無菌の微細孔フィルターに通
し、無菌、琥珀色の3mlガラスバイアル(タイプ1)に
密封する。
例 5:シロップ 活性成分 250ml ソルビトール溶液 1.50g グリセロール 2.00g 安息香酸ナトリウム 0.005g フレーバー、ピーチ17.42.3169 0.0125ml 純水 5.00mlとするに十分な量 活性成分をグリセロールおよび大部分の水の混合物に
溶解する。次いで、この溶液に安息香酸ナトリウムの水
溶液、続いてソルビタン溶液、および最後にフレーバー
を添加する。純水で嵩上げし、よく混合する。
例 6:坐剤 mg/坐剤カプ
セル 活性成分 250 硬脂肪、B.P.(ワイテプソールH15 [Witepsol H15]−Dynamit Novel) 1770 2020 ワイテプソールのH15の1/5を、蒸気ジャケットパン内
において最大45℃で溶解する。活性成分を200μMふる
いを通して移し、カッティングヘッドを装備したシルバ
ーソン[Silverson]を用いてむらのない分散が達成さ
れるまで撹拌しながら溶融基材に添加する。この混合物
を45℃に維持し、この懸濁液に残余のワイテプソールH1
5を添加し、混合して、均一な混合を確かなものとす
る。全ての懸濁液を250μmステンレススクリーンに通
し、連続的に撹拌しながら、40℃に冷却する。38℃ない
し40℃で、この混合物2.02gを適当な2mlプラスチック型
にいれる。坐剤を室温に冷却させる。
例 7:ペッサリー mg/ペッサリー 活性成分 250 デキストロース無水物 380 ジャガイモデンプン 363 ステアリン酸マグネシウム 7 1000 上記成分を直接混合し、得られた混合物を直接圧縮す
ることによりペッサリーを作製する。
例 8:1−(2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチ
オラン−5−イル)−5−フルオロシトシンの調製 方法A:(±)−シスおよび(±)−トランス2−ベン
ゾイルオキシメチル−5−(N4−アセチル−シトシン−
1−イル)−1,3−オキシチオランを調製し、欧州特許
(EP)明細書0 382 526に記載される通りに(±)−シ
スおよび(±)−トランス異性体を分離する。(±)−
シス異性体は、Robinsら、Nucleic Acid Chemistry,Par
t 2,895−900(1978)に従って、−78℃で、フルオロト
リクロロメタン(CCl3F)およびクロロホルム中におい
て、トリフルオロメチルハイポフルオライトを用いてフ
ッ素化する。N4−アセチルおよび2−ベンゾイル基を、
エタノール中においてジメチルアミンで除去し、生成
物、(±)−シス−1−(2−(ヒドロキシメチル)−
1,3−オキサチオラン−5−イル)−5−フルオロシト
シンを単離する。
方法B:EP 0 382 526の記載に従って、(±)−シスお
よび(±)−トランス2−ベンゾイルオキシメチル−5
−(ウラシル−1−イル)−1,3−オキサチオランを調
製する。飽和メタノール性アンモニアを用いて2−ヒド
ロキシ基の脱保護を行なった後、EtOAc/MeOHを溶出駅と
して用いるシリカゲル状で各々のアミドを分離する(EP
0 382 526)。この(±)−シス異性体を、室温におい
て、ピリジン中で無水酢酸と反応させ、2−アセテート
を得る。減圧下、<30℃で溶媒を除去する。次いで、2
−アセテートをCHCl3に溶解し、重炭酸塩水溶液で洗浄
する。分離した有機層を乾燥させ、CHCl3を減圧下で留
去する。(±)−シス−2−アセチル−オキシメチル−
5−(ウラシル−1−イル)−1,3−オキサチオラン
を、Robinsらの方法により上記(方法A)の通りにフッ
素化する。5−F−ウラシル塩基の5−F−シトシン塩
基への転換は、C.B.Reese,J.Chem.Soc.,Perkins I,1171
(1984)およびW.L.Sung,Nucleic Acids Res.,9,6139
(1981)の方法に従い、周囲温度で、乾燥ピリジン中に
おいて、1,2,4−トリアゾールおよび2当量の4−クロ
ロフェニルジクロロホスフェートを用いて、4−(1,2,
4−トリアゾール−1−イル)誘導体を調製することに
より行なう。この転換に続き、0℃で、予めアンモニア
で飽和したメタノールと反応させ、2−アセテートを加
水分解して(±)−シス−1−(2−ヒドロキシメチ
ル)−1,3−オキサチオラン−5−イル)−5−フルオ
ロシトシンを得る。
抗ウイルス活性 この発明によるコンビネーションを、Averett,D.R.,
J.Virol.Methods,23,263−276(1989)に記載されるよ
うに、HIV感染MT4細胞アッセイで抗HIV活性について試
験した。抗ウイルス性成分(複数)の添加に先立ち、細
胞をHIVに1時間晒した。各成分を、連続的な2.5倍希釈
で試験した。37℃で5日間インキュベートした後、細胞
数を測定した。HIV誘発細胞変性効果の阻害を算出し、E
lion,SingerおよびHitchings,J.Biol.Chem.,208,477(1
954)に記載されるように、FICプロットによって相乗作
用を決定した。
前記Elionらの方法に従って、ジドヴジンおよびシス
−1−(2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオ
ラン−5−イル)−5−フルオロシトシンの分画阻害濃
度[fractional inhibitor concentration](FIC)を
算出した(表1)。
これらの値は、グラフにプロットすることができ、こ
れからシス−1−(2−(ヒドロキシメチル)−1,3−
オキサチオラン−5−イル)−5−フルオロシトシンと
ジドヴジンとのコンビネーションが高い相乗作用効果を
有することを決定することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ファーマン、フィリップ・アレン アメリカ合衆国、ノース・カロライナ州 27713、ドゥルハム、ブルーストー ン・ロード 901 (56)参考文献 特開 平3−2782(JP,A) 特開 昭61−257925(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/70 A61K 31/505

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)1−(2−(ヒドロキシメチル)−
    1,3−オキサチオラン−5−イル)−5−フルオロシト
    シン又はその薬学的に許容し得る塩、エステル、エステ
    ルの塩若しくはアミド、及び (b)3'−アジド−3'−デオキシチミジン又はその薬学
    的に許容し得る塩、エステル若しくはエステルの塩 を包含し、 組合せの成分(a)及び(b)を相乗的抗HIV効果を達
    成する割合で用いる医薬組合せ製剤。
  2. 【請求項2】成分(a)がシス−1−(2−(ヒドロキ
    シメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル)−5−
    フルオロシトシンであり、成分(b)が3'−アジド−3'
    −デオキシチミジンである請求項1に記載の医薬組合せ
    製剤。
  3. 【請求項3】成分(a)対成分(b)が600:1乃至1:1の
    範囲のモル比で該成分が用いられる請求項1又は2に記
    載の医薬組合せ製剤。
  4. 【請求項4】成分(a)対成分(b)が250:1乃至10:1
    の範囲のモル比で該成分が用いられる請求項3に記載の
    医薬組合せ製剤。
  5. 【請求項5】人の治療に用いられる請求項1〜4のいず
    れかに記載の医薬組合せ製剤。
  6. 【請求項6】ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の治療
    又は予防に用いられる請求項5に記載の医薬組合せ製
    剤。
  7. 【請求項7】該組合せの成分(a)及び成分(b)を混
    合して相乗的ウイルス効果を生じさせる請求項1〜4の
    いずれかに記載の医薬組合せ製剤の調製方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組合
    せ製剤を1種又はそれ以上の薬学的に許容し得る担体又
    は賦形剤と共に包含する医薬製剤。
  9. 【請求項9】錠剤又はカプセルの形態にある請求項8に
    記載の医薬製剤。
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