JP3375849B2 - ナフトキノン誘導体およびこれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ナフトキノン誘導体およびこれを用いた電子写真感光体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なナフトキノ
ン誘導体と、それを用いた、例えば静電式複写機、ファ
クシミリ、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に
用いられる電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】カールソンプロセスを用いた複写機、フ
ァクシミリ、レーザープリンタ等の画像形成装置におい
ては、種々の材料からなる電子写真感光体が使用されて
いる。その1つはセレンのような無機材料を感光層に用
いた無機感光体であり、他は有機材料を感光層に用いた
有機感光体(OPC)である。このうち、有機感光体は
無機感光体に比べて安価でしかも生産性が高く、無公害
である等の多くの利点を有していることから、広範な研
究が進められている。
【0003】有機感光体としては、電荷発生層と電荷輸
送層とを積層した積層型の感光体、いわゆる機能分離型
の感光体が多いが、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一の
感光層中に分散させた、いわゆる単層型の感光体も知ら
れている。これらの感光体に使用される電荷輸送剤には
キャリヤ移動度が高いことが要求されているが、キャリ
ヤ移動度が高い電荷輸送剤のほとんどが正孔輸送性であ
るため、実用に供されている有機感光体は、機械的強度
の観点から、最外層に電荷輸送層が設けられた負帯電型
の積層型有機感光体に限られている。しかし、負帯電型
の有機感光体は負極性コロナ放電を利用するため、オゾ
ンの発生量が多く、環境を汚染したり、感光体を劣化さ
せるなどの問題が生じる。
【0004】そこで、このような欠点を排除するため
に、電荷輸送剤として電子輸送剤を使用することが検討
されており、例えば特開平1−206349号公報に
は、ジフェノキノン構造またはベンゾキノン構造を有す
る化合物を電子写真感光体用の電子輸送剤として使用す
ることが提案されている。また、特開平6−11022
7号公報には、ベンゾキノン構造またはナフトキノン構
造を電子写真感光体用の電子輸送剤として使用すること
が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキ
ノン誘導体などの従来の電子輸送剤は、電荷発生剤との
マッチングが困難であり、電荷発生剤から電子輸送剤へ
の電子注入が不十分になる。また、かかる電子輸送剤
は、結着樹脂との相溶性が乏しく、ホッピング距離が長
くなるため、低電界での電子移動が生じ難い。従って、
従来の電子輸送剤を含有する感光体は、後述する実施例
記載の光感度試験からも明らかなように、残留電位が高
くなり、感度が低いという問題があった。
【0006】また、前記のように現在、実用化されてい
る有機感光体の多くは積層型の感光層を備えたものであ
るが、これに比べて単層型の感光層を備えた感光体は構
造が簡単で製造が容易である上、被膜欠陥の発生を抑制
し、光学的特性を向上させる点でも多くの利点がある。
しかもこのような単層型の感光層を備えた感光体は、例
えば電荷輸送剤として電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用
することで、1つの感光体を正帯電型および負帯電型の
両方に使用でき、感光体の応用範囲を拡げられる可能性
があるが、前記した従来の電子輸送剤は、正孔輸送剤と
の相互作用により、電子および正孔の輸送を阻害すると
いう問題があるため、かかる単層型の感光層を備えた感
光体は、広く実用化されるに至っていない。
【0007】本発明の目的は、上記した技術的課題を解
決し、電子写真感光体における電子輸送剤として好適な
新規化合物と、それを用いた、従来よりも高感度の電子
写真感光体とを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、本発明のナフトキノン誘導体は、一般式(1) :
【化5】 〔式中、R1は水素原子、置換基を有してもよいアルキ
ル基、置換基を有してもよいアリール基を示し、R2
水素原子,置換基を有してもよいアルキル基、ハロゲン
化アルキル基、アルデヒド基、ニトロ基、基(i) :
【化6】
【0009】を示す。〕で表されることを特徴とするも
のである。上記一般式(1) で表される本発明のナフトキ
ノン誘導体は、ナフトキノン環の有する基:>C=Oの
作用によって電子受容性に優れているとともに、上記基
R1 の作用によって、溶剤への溶解性および結着樹脂
との相溶性が良好で、感光層中に均一に分散されるた
め、電子のホッピング距離が短く、特に低電界での電子
輸送性に優れており、かつ電荷発生剤とのマッチングが
優れていることから、かかる誘導体(1) を電子写真感光
体における電子輸送剤として使用することにより、高感
度な感光体を提供することができる。
【0010】とくに本発明のナフトキノン誘導体(1)
は、上記各置換基の作用によって本来的に電子輸送性お
よび電子受容性に優れている2つのナフトキノン環を結
合させたものであるので、さらに電子輸送性の向上がみ
られるものと推測される。上記一般式(1) で表される本
発明のナフトキノン誘導体は、結着樹脂との相溶性が良
好で、感光層中に均一に分散されるため、電子のホッピ
ング距離が短く、特に低電界での電子輸送性に優れてお
り、かつ電荷発生剤とのマッチングが優れていることか
ら、かかる誘導体(1) を電子写真感光体における電子輸
送剤として使用することにより、高感度な感光体を提供
することができる。
【0011】また、本発明のナフトキノン誘導体(1)
は、その高い電子輸送能を利用して、太陽電池、EL素
子などの用途にも使用できる。本発明の電子写真感光体
は、導電性基体上に感光層を設けたものであって、この
感光層が、一般式(1) で表される本発明のナフトキノン
誘導体を含有することを特徴とするものである。
【0012】上記ナフトキノン誘導体(1) を含む感光層
は、低電界での電子輸送性に優れているとともに、層中
で電子と正孔が再結合する割合が減少し、見かけの電荷
発生効率が実際の値に近づく結果、感光体の感度が向上
する。また感光体の残留電位も低くなり、繰り返し露光
を行った際の安定性、耐久性も向上する。特にナフトキ
ノン誘導体(1) は、電子および正孔の輸送を阻害する、
正孔輸送剤との相互作用を生じないため、とくに同じ層
中に正孔輸送剤が含有される単層型の感光層に使用した
際に、より高感度の感光体を構成できる。
【0013】また、前記感光層が−0.8〜−1.4V
の酸化還元電位を有する電子輸送剤を含有すると、感光
体の感度がさらに向上する。これは、前記電子輸送剤
が、電荷発生剤から電子を引き抜いてナフトキノン誘導
体(1) に伝達する働きをするため、電荷発生剤からナフ
トキノン誘導体(1) への電子の注入がさらに円滑になる
ためと推測される。
【0014】とくに、ナフトキノン誘導体(1) との相性
などを考慮すると、電子輸送剤としては一般式(2) :
【0015】
【化7】
【0016】〔式中、RA、RB、RCおよびRDは同一ま
たは異なって水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、アラルキル基、シクロアルキル基またはアミ
ノ基を示す。〕で表されるジフェノキノン誘導体、また
は一般式(3) :
【化8】 〔式中RE、RF、RGおよびRHは、同一または異なって
水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ア
ラルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していても
よいアミノ基を示す。〕で表されるベンゾキノン誘導体
を用いるのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】まず、本発明の電子写真感光体に
用いられるナフトキノン誘導体(1) について詳細に説明
する。一般式(1) で表されるナフトキノン誘導体(1) に
おいて、基R1 に相当するアルキル基としては、例え
ばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−
ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシルなどの炭素数が1〜6の基があげられる。
また、上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、
その置換基としてはアラルキル基、アルコキシ基、アル
カノイル基、ハロゲン原子、アリール基またはアルコキ
シカルボニル基などがあげられる。基R1に相当するア
リール基としては、例えばフェニル、トリル、キシリ
ル、ビフェニリル、o−テルフェニル、ナフチル、アン
トリル、フェナントリルなどがあげられる。また、上記
アリール基も、置換基を有していてもよく、その置換基
としてはアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ア
ルカノイル基、ハロゲン原子、またはアルコキシカルボ
ニル基などがあげられる。上記アルキル基としては、前
記と同様の基があげられる。ハロゲン原子としては、フ
ッ素、塩素、臭素、ヨウ素などがあげられる。アルコキ
シ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブ
トキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキ
シなどの炭素数が1〜6のアルコキシ基があげられる。
【0018】アラルキル基としては、例えばベンジル、
1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェ
ニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキ
シルなどのアルキル部分の炭素数が1〜6のアルキル基
であるアラルキル基があげられる。アルコキシカルボニ
ル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカ
ルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカル
ボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル等のアルコキシ部分の炭素数が1〜6であるアルコ
キシカルボニル基があげられる。
【0019】アルカノイル基としては、例えばアセチ
ル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノ
イル、t−ブチルカルボニル、ヘキサノイルなどの炭素
数が1〜6のアルカノイル基があげられる。また、基R
2に相当するアルキル基としては、基R1と同様のものが
あげられ、基R2 に相当するハロゲン化アルキル基の
ハロゲン及びアルキル基としては上記と同様のものがあ
げられる。
【0020】一般式(1) で表されるナフトキノン誘導体
(1) の具体例としては、例えば下記式(1-1) 〜(1-7)
で表される化合物があげられる。
【0021】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】 一般式(1) で表されるナフトキノン誘導体は、下記の反
応式に示すように合成される。 反応式
【0022】
【化16】
【0023】〔式中、R1およびR2は前記と同じであ
る。〕 この反応は、一般式(4) で表されるナフトキノン誘導体
を適当な溶媒中で、一般式(5) で表されるアルデヒドと
反応させることにより、本発明のナフトキノン誘導体
(1) を得るものである。
【0024】上記化合物(4) に対するアルデヒド(5)
の使用割合は、化合物(1−2)、(1−3)、(1−
4)、(1−5)で1:1〜1:1.5、化合物(1−
1)で1:0.9が好ましい。反応は、通常60〜11
0℃、好ましくは100〜110℃にて行われ、3時間
程度で終了する。次に、本発明の電子写真感光体につい
て詳細に説明する。本発明の電子写真感光体は、前述の
ように、導電性基体上に設けた感光層に上記一般式(1)
で表されるナフトキノン誘導体(1) を含有する感光層を
設けたものである。本発明の電子写真感光体は、単層型
と積層型のいずれであってもよいが、電子輸送剤の使用
による効果は単層型感光体において顕著に現れる。
【0025】単層型の電子写真感光体は、導電性基体上
に単一の感光層を設けたものであって、この感光層が、
少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤とともに、電子輸送
剤としてナフトキノン誘導体(1) を含有した結着樹脂か
らなる。この単層型感光体は正帯電および負帯電のいず
れにも適用可能であるが、特に正帯電型で使用するのが
好ましい。
【0026】一方、積層型電子写真感光体は、導電性基
体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層をこの順
に設けたものであって、前記電荷輸送層に電子輸送剤と
してナフトキノン誘導体(1) を含有したものである。こ
の積層型電子写真感光体は、従来の積層型電子写真感光
体に比べて残留電位が大きく低下しており、感度が向上
している。また、電荷発生層から電荷輸送層への電子の
授受をより円滑に行わせるために、電荷発生層にもナフ
トキノン誘導体(1) を含有させるのが好ましい。
【0027】本発明の電子写真感光体に使用するナフト
キノン誘導体(1) は、前述のように、溶剤への溶解性お
よび結着樹脂との相溶性が良好であるとともに、電荷発
生剤とのマッチングに優れていることから、電子の注入
が円滑に行われ、とりわけ低電界での電子輸送性に優れ
ている。従って、例えば正帯電の単層型感光体では、露
光工程において電荷発生剤から放出された電子が前記一
般式(1) で表されるナフトキノン誘導体(1) からなる電
子輸送剤にスムーズに注入される。次いで、電子輸送剤
間での電子の授受により、電子が感光層の表面に移動
し、あらかじめ感光層表面に帯電させた正電荷(+)を
打ち消す。一方、正孔(+)は正孔輸送剤に注入され
て、途中でトラップされることなく導電性基体の表面に
移動し、導電性基体の表面の負電荷(−)を打ち消す。
このようにして正帯電の単層型感光体の感度が向上する
ものと考えられる。負帯電の単層型感光体は、上記と電
荷移動の方向が逆になるだけであって、同様に感度が向
上する。
【0028】また、正帯電の積層型感光体では、露光工
程において電荷発生層の電荷発生剤から放出された電子
が、電荷輸送層中の前記一般式(1) で表されるナフトキ
ノン誘導体からなる電子輸送剤にスムーズに注入され
る。次いで、電子輸送剤間での電子の授受により、電子
が電荷輸送層中を移動し、感光層表面に達し、あらかじ
め感光層表面に帯電させた正電荷(+)を打ち消す。一
方、正孔(+)は電荷発生層から直接導電性基体の表面
に移動し、導電性基体の表面の負電荷(−)を打ち消
す。このようにして正帯電の積層型感光体の感度が向上
するものと考えられる。
【0029】感光体への露光により光を吸収した電荷発
生剤は、イオン対〔正孔(+)と電子(−)〕を生成す
る。この生成したイオン対がフリーキャリヤとなり有効
に表面電荷を打ち消すためには、イオン対が再結合して
消失してしまう割合が小さいほうがよい。本発明の電子
写真感光体は、上記ナフトキノン誘導体(1) とともに、
他の電子輸送剤を併用することができる。とくに、酸化
還元電位が−0.8〜−1.4Vである電子輸送剤が好
適に使用される。その理由は以下の通りである。
【0030】酸化還元電位が−1.4Vより小さい電子
輸送剤を使用した場合は、LUMO(電子を有していな
い分子軌道の中で最もエネルギー準位が低い軌道をい
い、励起された電子は通常この軌道に移動する。)のエ
ネルギー準位が電荷発生剤よりも高くなり、イオン対の
生成の際に電子が電子輸送剤に移動せず、電荷発生効率
の向上につながらない。
【0031】これに対して、酸化還元電位が−1.4V
より大きい電子輸送剤を使用した場合は、LUMOのエ
ネルギー準位が電荷発生剤よりも低いため、イオン対の
生成の際に電子が電子輸送剤へ移動し、イオン対がキャ
リヤへ分離し易くなるからである。すなわち、電子輸送
剤が電荷発生に作用し、その発生効率を向上させるので
ある。
【0032】一方、高感度であるためには、フリーキャ
リヤの移動時に不純物によるキャリヤトラップが発生し
ないことも必要である。通常、フリーキャリヤの移動過
程には少量の不純物などによるトラップが存在し、フリ
ーキャリヤは、トラップ−脱トラップを繰り返しながら
移動するが、酸化還元電位が−0.8Vよりも大きい電
子輸送剤を使用した場合は、分離したフリーキャリヤを
脱トラップ不可能なレベルに落とし込み、キャリヤトラ
ップを生じるため、その移動は中止される。
【0033】これに対して、酸化還元電位が−0.8V
よりも小さい電子輸送剤を使用した場合は、キャリヤト
ラップが発生せず、フリーキャリヤの移動が容易に行わ
れるのである。前述の酸化還元電位は、図1に示すよう
に、牽引電圧(V)と電流(μA)との関係から同図に
示すE1とE2を求め、次式を用いて算出した。
【0034】酸化還元電位(V)=(E1+E2)/2 なお、上記牽引電圧(V)および電流(μA)は、以下
の材料を調合した測定溶液を用い、3電極式のサイクリ
ックボルターメトリーにて測定した。 電極:作用電極(グラッシーカーボン電極)、対極(白金電極) 参照電極:銀硝酸電極 (0.1モル/リットルAgNO3−アセトニトリル溶液) 測定溶液 電解質:過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム 0.1モル 測定物質:電子輸送剤 0.001モル 溶剤:CH2Cl2 1リットル 以上の材料を調合して測定溶液を調整する。
【0035】かかる電子輸送剤としては、その酸化還元
電位が−0.8〜−1.4Vの範囲内である化合物であ
ればとくに制限はなく、たとえばベンゾキノン系化合
物;ナフトキノン系化合物;アントラキノン系化合物;
ジフェノキノン系化合物;マロンニトリル系化合物;チ
オピラン系化合物;2,4,8−トリニトロチオキサン
トン;3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノ
ン等のフルオレノン系化合物;ジニトロアントラセン;
ジニトロアクリジン;ニトロアントラキノン;ジニトロ
アントラキノンなどの化合物があげられる。
【0036】ただし電荷発生剤や、本発明のナフトキノ
ン誘導体(1) との相性を考慮すると、上記例示の各化合
物の中でも、前記一般式(2) で表されるジフェノキノン
系化合物、または一般式(3) で表されるベンゾキノン系
化合物に属し、かつ酸化還元電位が前記の範囲内である
化合物が最も好適に使用される。なお、上記式中の
A、RB、RC およびRDは、これに限定されるもので
はないが、そのうちの2つ以上が同一の基であるのが好
ましい。
【0037】上記式中のアルキル基、アラルキル基、ア
ルコキシ基およびアリール基としては、前記と同様の基
があげられる。シクロアルキル基としては、たとえばシ
クロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロ
ヘキシルなどの、炭素数3〜6のシクロアルキル基があ
げられる。
【0038】また、置換基を有していてもよいアミノ基
としては、たとえばアミノのほか、モノメチルアミノ、
ジメチルアミノ、モノエチルアミノ、ジエチルアミノな
どがあげられる。かかるジフェノキノン系化合物の具体
例としては、これに限定されないがたとえば、式(2-1)
で表される3,5−ジメチル−3′,5′−ジ(t−ブ
チル)−4,4′−ジフェノキノン(酸化還元電位−
0.86V)や、式(2-2) で表される3,5,3′,
5′−テトラキス(t−ブチル)−4,4′−ジフェノ
キノン(酸化還元電位−0.94V)などがあげられ
る。
【0039】
【化17】
【0040】またベンゾキノン系化合物の具体例として
は、これに限定されないが、例えば式(3-1) で表される
p−ベンゾキノン(酸化還元電位−0.81V)や、式
(3-2) で表される2,6−ジ(t−ブチル)−p−ベン
ゾキノン(酸化還元電位−1.31V)などがあげられ
る。
【0041】
【化18】
【0042】これらの電子輸送剤は、それぞれ単独で使
用できる他、二種以上を併用することもできる。本発明
においては、上記電子輸送剤のほかに、従来公知の他の
電子輸送剤を感光層に含有させてもよく、たとえば下記
の一般式(ET1) 〜(ET16)で表される化合物等があげられ
る。
【0043】
【化19】
【0044】〔式中、Re1、Re2、Re3、Re4およびR
e5は同一または異なって、水素原子、置換基を有しても
よいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、
置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよ
いアラルキル基、置換基を有してもよいフェノキシ基ま
たはハロゲン原子を示す。〕
【0045】
【化20】
【0046】〔式中、Re6はアルキル基、Re7は置換基
を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアル
コキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を
有してもよいアラルキル基、ハロゲン原子またはハロゲ
ン化アルキル基を示す。γは0〜5の整数を示す。但
し、γが2以上のとき、各Re7は互いに異なっていても
よい。〕
【0047】
【化21】
【0048】〔式中、Re8およびRe9は同一または異な
って、アルキル基を示す。δは1〜4の整数を示し、ε
は0〜4の整数を示す。但し、δおよびεが2以上のと
き、各Re8およびRe9は異なっていてもよい。〕
【0049】
【化22】
【0050】〔式中、Re10はアルキル基、アリール
基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル
基またはハロゲン原子を示す。ζは0〜4、ηは0〜5
の整数を示す。但し、ηが2以上のとき、各Re10は異
なっていてもよい。〕
【0051】
【化23】
【0052】〔式中、Re11はアルキル基を示し、σは
1〜4の整数を示す。但し、σが2以上のとき、各R
e11は異なっていてもよい。〕
【0053】
【化24】
【0054】〔式中、Re12およびRe13は同一または異
なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリー
ル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシ基、
水酸基、ニトロ基またはシアノ基を示す。Xは酸素原
子、=N−CN基、または=C(CN)2基を示す。〕
【0055】
【化25】
【0056】〔式中、Re14は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基
を示し、Re15はハロゲン原子、置換基を有してもよい
アルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、アルコ
キシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シア
ノ基またはニトロ基を示す。λは0〜3の整数を示す。
但し、λが2以上のとき、各Re15は互いに異なってい
てもよい。〕
【化26】
【0057】〔式中、θは1〜2の整数を示す。〕
【0058】
【化27】
【0059】〔式中、Re16およびRe17は同一または異
なってハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル
基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基を示
す。νおよびξは0〜3の整数を示す。但し、νまたは
ξが2以上のとき、各Re16およびRe17は互いに異なっ
ていてもよい。〕
【0060】
【化28】
【0061】〔式中、Re18およびRe19は同一または異
なって、フェニル基、多環芳香族基または複素環式基を
示し、これらの基は置換基を有していてもよい。〕
【0062】
【化29】
【0063】〔式中、Re20はアミノ基、ジアルキルア
ミノ基、アルコキシ基、アルキル基またはフェニル基を
示し、πは1〜2の整数を示す。但し、πが2のとき、
各Re2 0は互いに異なっていてもよい。〕
【0064】
【化30】
【0065】〔式中、Re21は水素原子、アルキル基、
アリール基、アルコキシ基またはアラルキル基を示
す。〕
【0066】
【化31】
【0067】〔式中、Re22はハロゲン原子、置換基を
有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニ
ル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモ
イル基、シアノ基またはニトロ基を示す。μは0〜3の
整数を示す。但し、μが2以上のとき、各Re22は互い
に異なっていてもよい。〕
【0068】
【化32】
【0069】〔式中、Re23は置換基を有してもよいア
ルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示
し、Re24は置換基を有してもよいアルキル基、置換基
を有してもよいアリール基または基 −O−Re24a を示す。上記基中のRe24aは、置換基を有してもよいア
ルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示
す。〕
【0070】
【化33】
【0071】〔式中、Re25、Re26、Re27、Re28、R
e29、Re30およびRe31は同一または異なってアルキル
基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲ
ン原子またはハロゲン化アルキル基を示す。χおよびφ
は同一または異なって0〜4の整数を示す。〕
【0072】
【化34】
【0073】〔式中、Re32およびRe33は同一または異
なってアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲ
ン原子またはハロゲン化アルキル基を示す。τおよびψ
は同一または異なって0〜4の整数を示す。〕 上記例示の電子輸送剤において、アルキル基、アリール
基、アルコキシカルボニル基、アラルキル基、アルコキ
シ基、ハロゲン原子およびシクロアルキル基としては、
前述と同様な基があげられる。
【0074】複素環式基としては、たとえばチエニル、
フリル、ピロリル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソ
オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾ
リル、2H−イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリ
ル、テトラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピペリジル、
ピペリジノ、3−モルホリニル、モルホリノ、チアゾリ
ルなどがあげられる。また、芳香族環と縮合した複素環
式基であってもよい。
【0075】ハロゲン化アルキル基としては、たとえば
クロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、ヨード
メチル、2−クロロエチル、1−フルオロエチル、3−
クロロプロピル、2−ブロモプロピル、1−クロロプロ
ピル、2−クロロ−1−メチルエチル、1−ブロモ−1
−メチルエチル、4−ヨードブチル、3−フルオロブチ
ル、3=クロロ−2−メチルプロピル、2=ヨード−2
−メチルプロピル、1−フルオロ−2−メチルプロピ
ル、2−クロロ−1,1−ジメチルエチル、2−ブロモ
−1,1−ジメチルエチル、5−ブロモペンチル、4−
クロロヘキシルなどのアルキル基の部分が炭素数1〜6
のハロゲン化アルキル基があげられる。
【0076】多環芳香族基としては、たとえばナフチ
ル、フェナントリル、アントリルなどがあげられる。ア
ラルキルオキシカルボニル基としては、アラルキル部分
が前述した各種のアラルキル基であるものがあげられ
る。N−アルキルカルバモイル基としては、アルキル部
分が前述した各種のアルキル基であるものがあげられ
る。
【0077】ジアルキルアミノ基としては、アルキル部
分が前述した各種のアルキル基であるものがあげられ
る。なおアミノに置換する2つのアルキルは同一でも、
互いに異なっていてもよい。上記各基に置換してもよい
置換基としては、たとえばハロゲン原子、アミノ基、水
酸基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、シ
アノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のア
ルコキシ基、アリール基を有することのある炭素数2〜
6のアルケニル基等があげられる。置換基の置換位置に
ついては特に限定されない。
【0078】また本発明においては、上記例示のほかに
従来公知の電子輸送物質、すなわちベンゾキノン系化合
物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシア
ノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、
ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロア
クリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキ
ノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マ
レイン酸等を用いることができる。
【0079】本発明の電子写真感光体に用いられる電荷
発生剤、正孔輸送剤および結着樹脂は、次のとおりであ
る。 《電荷発生剤》電荷発生剤としては、たとえば下記の一
般式(CG1) 〜(CG12)で表される化合物があげられる。
【0080】(CG1) 無金属フタロシアニン
【0081】
【化35】
【0082】(CG2) オキソチタニルフタロシアニン
【0083】
【化36】
【0084】(CG3) ペリレン顔料
【0085】
【化37】
【0086】(式中、Rg1およびRg2は同一または異な
って、炭素数が18以下の置換または未置換のアルキル
基、シクロアルキル基、アリール基、アルカノイル基ま
たはアラルキル基を示す。) (CG4) ビスアゾ顔料
【0087】
【化38】
【0088】〔式中、Cp1およびCp2は同一または異
なってカップラー残基を示し、Qは次式:
【0089】
【化39】
【0090】(式中、Rg3は水素原子、アルキル基、ア
リール基または複素環式基を示し、アルキル基、アリー
ル基または複素環式基は置換基を有していてもよい。ω
は0または1を示す。)
【0091】
【化40】
【0092】
【化41】
【0093】(式中、Rg4およびRg5は同一または異な
って、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン
原子、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基を
示す。)
【0094】
【化42】
【0095】
【化43】
【0096】
【化44】
【0097】(式中、Rg6は水素原子、エチル基、クロ
ロエチル基またはヒドロキシエチル基を示す。)
【0098】
【化45】
【0099】または
【0100】
【化46】
【0101】(式中、Rg7,Rg8およびRg9は同一また
は異なって、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハ
ロゲン原子、アルコキシ基、アリール基またはアラルキ
ル基を示す。)で表される基を示す。〕 (CG5) ジチオケトピロロピロール顔料
【0102】
【化47】
【0103】(式中、Rg10およびRg11は同一または異
なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハ
ロゲン原子を示し、Rg12およびRg13は同一または異な
って、水素原子、アルキル基またはアリール基を示
す。) (CG6) 無金属ナフタロシアニン顔料
【0104】
【化48】
【0105】(式中、Rg14、Rg15、Rg16およびRg17
は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコ
キシ基またはハロゲン原子を示す。) (CG7) 金属ナフタロシアニン顔料
【0106】
【化49】
【0107】(式中、Rg18、Rg19、Rg20およびRg21
は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコ
キシ基またはハロゲン原子を示し、MはTiまたはVを
示す。) (CG8) スクアライン顔料
【0108】
【化50】
【0109】(式中、Rg22およびRg23は同一または異
なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハ
ロゲン原子を示す。) (CG9) トリスアゾ顔料
【0110】
【化51】
【0111】(式中、Cp3、Cp4およびCp5は同一
または異なって、カップラー残基を示す。) (CG10)インジゴ顔料
【0112】
【化52】
【0113】(式中、Rg24およびRg25は同一または異
なって、水素原子、アルキル基またはアリール基を示
し、Zは酸素原子または硫黄原子を示す。) (CG11)アズレニウム顔料
【0114】
【化53】
【0115】(式中、Rg26およびRg27は同一または異
なって、水素原子、アルキル基またはアリール基を示
す。) (CG12)シアニン顔料
【0116】
【化54】
【0117】(式中、Rg28およびRg29は同一または異
なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハ
ロゲン原子を示し、Rg30およびRg31は同一または異な
って、水素原子、アルキル基またはアリール基を示
す。) 上記例示の電荷発生剤において、アルキル基としては、
前述した炭素数1〜6のアルキル基に加えて、オクチ
ル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、ペンタデ
シル、オクタデシルなどの炭素数18以下の置換または
未置換のアルキル基などがあげられる。
【0118】シクロアルキル基、アルコキシ基、アルカ
ノイル基、複素環式基、アリール基およびアラルキル基
としては前述と同様な基があげられる。上記基に置換し
てもよい置換基としては、たとえばハロゲン原子、アミ
ノ基、水酸基、エステル化されてもよいカルボキシル
基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜
6のアルコキシ基、アリール基を有することのある炭素
数2〜6のアルケニル基等があげられる。
【0119】Cp1、Cp2、Cp3、Cp4およびCp5
で表されるカップラー残基としては、たとえば下記一般
式(Cp-1)〜(Cp-11) に示す基があげられる。
【0120】
【化55】
【0121】
【化56】
【0122】各式中、Rg32は、カルバモイル基、スル
ファモイル基、アロファノイル基、オキサモイル基、ア
ントラニロイル基、カルバゾイル基、グリシル基、ヒダ
ントイル基、フタルアモイル基またはスクシンアモイル
基を示す。これらの基は、ハロゲン原子、置換基を有し
てもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル
基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、
カルボニル基、カルボキシル基等の置換基を有していて
もよい。
【0123】Rg33は、ベンゼン環と縮合して芳香族
環、多環式炭化水素または複素環を形成するのに必要な
原子団を示し、これらの環は前記と同様な置換基を有し
てもよい。Rg34は、酸素原子、硫黄原子またはイミノ
基を示す。Rg35は、2価の鎖式炭化水素基または芳香
族炭化水素基を示し、これらの基は前記と同様な置換基
を有してもよい。
【0124】Rg36は、アルキル基、アラルキル基、ア
リール基または複素環基を表し、これらの基は前記と同
様な置換基を有してもよい。Rg37は、2価の鎖式炭化
水素基もしくは芳香族炭化水素基とともに、または上記
基(Cp-1)〜(Cp-11) 中の2つの窒素原子とともに複素環
を形成するのに必要な原子団を表し、これらの環は前記
と同様な置換基を有してもよい。
【0125】Rg38は、水素原子、アルキル基、アミノ
基、カルバモイル基、スルファモイル基、アロファノイ
ル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリ
ール基またはシアノ基を示し、水素原子以外の基は前記
と同様な置換基を有していてもよい。Rg39は、アルキ
ル基またはアリール基を示し、これらの基は前記と同様
な置換基を有してもよい。
【0126】アルケニル基としては、たとえばビニル、
アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチルアリ
ル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル等の炭素数が2〜
6のアルケニル基があげられる。前記Rg33において、
ベンゼン環と縮合して芳香族環を形成するのに必要な原
子団としては、たとえばメチレン、エチレン、トリメチ
レン、テトラメチレン等の炭素数1〜4のアルキレン基
があげられる。
【0127】上記Rg33とベンゼン環との縮合により形
成される芳香族環としては、たとえばナフタリン環、ア
ントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン
環、ナフタセン環等があげられる。またRg33におい
て、ベンゼン環と縮合して多環式炭化水素を形成するの
に必要な原子団としては、たとえば上記炭素数1〜4の
アルキレン基や、あるいはカルバゾール環、ベンゾカル
バゾール環、ジベンゾフラン環等があげられる。
【0128】またRg33において、ベンゼン環と縮合し
て複素環を形成するのに必要な原子団としては、たとえ
ばベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、
1H−インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾ
リル、1H−インダドリル、ベンゾイミダゾリル、クロ
メニル、クロマニル、イソクロマニル、キノリニル、イ
ソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾニ
リル、キノキサリニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリ
ル、キサンテニル、アクリジニル、フェナントリジニ
ル、フェナジニル、フェノキサジニル、チアントレニル
等があげられる。
【0129】上記Rg33とベンゼン環との縮合により形
成される芳香族性複素環基としては、たとえばチエニ
ル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリ
ル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラ
ゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、チア
ゾリルがあげられる。また、さらに他の芳香族環と縮合
した複素環基(たとえばベンゾフラニル、ベンゾイミダ
ゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノ
リルなど)であってもよい。
【0130】前記Rg35、Rg37において、2価の鎖式炭
化水素基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメ
チレン等があげられ、2価の芳香族炭化水素基として
は、フェニレン、ナフチレン、フェナントリレン等があ
げられる。前記Rg36において、複素環基としては、ピ
リジル、ピラジル、チエニル、ピラニル、インドリル等
があげられる。
【0131】前記Rg37において、2つの窒素原子とと
もに複素環を形成するのに必要な原子団としては、たと
えばフェニレン、ナフチレン、フェナントリレン、エチ
レン、トリメチレン、テトラメチレン等があげられる。
上記Rg37と、2つの窒素原子とにより形成される芳香
族性複素環基としては、たとえばベンゾイミダゾール、
ベンゾ[f]ベンゾイミダゾール、ジベンゾ[e,g]
ベンゾイミダゾール、ベンゾピリミジン等があげられ
る。これらの基は前記と同様な置換基を有してもよい。
【0132】前記Rg38において、アルコキシカルボニ
ル基としては、たとえばメトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニ
ル等の基があげられる。本発明においては、上記例示の
電荷発生剤のほかに、たとえばセレン、セレン−テル
ル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリ
コン等の無機光導電材料の粉末や、ピリリウム塩、アン
サンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン
系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナク
リドン系顔料等の従来公知の電荷発生剤を用いることが
できる。
【0133】また、上記例示の電荷発生剤は、所望の領
域に吸収波長を有するように、単独でまたは2種以上を
混合して用いられる。上記例示の電荷発生剤のうち、特
に半導体レーザーなどの光源を使用したレーザービーム
プリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成
装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感
光体が必要となるため、たとえば前記一般式(CG1) で表
される無金属フタロシアニンや一般式(CG2) で表される
オキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔
料が好適に用いられる。なお、上記フタロシアニン系顔
料の結晶形については特に限定されず、種々のものを使
用できる。
【0134】一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使
用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置
には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるた
め、たとえば前記一般式(CG3) で表されるペリレン顔料
や一般式(CG4) で表されるビスアゾ顔料等が好適に用い
られる。 〈正孔輸送剤〉正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を
有する種々の化合物、たとえば下記の一般式(HT1) 〜(H
T13)で表される化合物等があげられる。
【0135】
【化57】
【0136】〔式中、Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5
よびRh6は同一または異なってハロゲン原子、置換基を
有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコ
キシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。
aおよびbは同一または異なって0〜4の整数を示し、
c、d、eおよびfは同一または異なって0〜5の整数
を示す。但し、a、b、c、d、eまたはfが2以上の
とき、各Rh1、Rh2、R h3、Rh4、Rh5およびRh6は異
なっていてもよい。〕
【0137】
【化58】
【0138】〔式中、Rh7、Rh8、Rh9、Rh10および
h11は同一または異なってハロゲン原子、置換基を有
してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキ
シ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。
g、h、iおよびjは同一または異なって0〜5の整数
を示し、kは0〜4の整数を示す。但し、g、h、i、
jまたはkが2以上のとき、各Rh7、Rh8、Rh9、R
h10およびRh11は異なっていてもよい。〕
【0139】
【化59】
【0140】〔式中、Rh12、Rh13、Rh14およびRh15
は同一または異なってハロゲン原子、置換基を有しても
よいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基ま
たは置換基を有してもよいアリール基を示す。Rh16
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有しても
よいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基ま
たは置換基を有してもよいアリール基を示す。m、n、
oおよびpは同一または異なって、0〜5の整数を示
す。qは1〜6の整数を示す。但し、m、n、o、pま
たはqが2以上のとき、各Rh12、Rh13、Rh14、Rh15
およびRh16は異なっていてもよい。〕
【0141】
【化60】
【0142】〔式中、Rh17、Rh18、Rh19およびRh20
は同一または異なってハロゲン原子、置換基を有しても
よいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基ま
たは置換基を有してもよいアリール基を示す。R、s、
tおよびuは同一または異なって、0〜5の整数を示
す。但し、R、s、tまたはuが2以上のとき、各R
h17、Rh18、Rh19およびRh20は異なっていてもよ
い。〕
【0143】
【化61】
【0144】〔式中、Rh21およびRh22は同一または異
なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはア
ルコキシ基を示す。Rh23、Rh24、Rh25およびRh26
同一または異なって、水素原子、アルキル基またはアリ
ール基を示す。〕
【0145】
【化62】
【0146】〔式中、Rh27、Rh28およびRh29は同一
または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基
またはアルコキシ基を示す。〕
【0147】
【化63】
【0148】〔式中、Rh30、Rh31、Rh32およびRh33
は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アル
キル基またはアルコキシ基を示す。〕
【0149】
【化64】
【0150】〔式中、Rh34、Rh35、Rh36、Rh37およ
びRh38は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。〕
【0151】
【化65】
【0152】〔式中、Rh39は水素原子またはアルキル
基を示し、Rh40、Rh41およびRh42は同一または異な
って、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアル
コキシ基を示す。〕
【0153】
【化66】
【0154】〔式中、Rh43、Rh44およびRh45は同一
または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基
またはアルコキシ基を示す。〕
【0155】
【化67】
【0156】〔式中、Rh46およびRh47は同一または異
なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよ
いアルキル基または置換基を有してもよいアルコキシ基
を示す。Rh48およびRh49は同一または異なって、水素
原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を
有してもよいアリール基を示す。〕
【0157】
【化68】
【0158】〔式中、Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、R
h54およびRh55は同一または異なって、置換基を有して
もよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基
または置換基を有してもよいアリール基を示す。αは1
〜10の整数を示し、v、w、x、y、zおよびβは同
一または異なって0〜2の整数を示す。但し、v、w、
x、y、zまたはβが2のとき、各Rh50、Rh51、R
h52、Rh53、Rh54およびRh55は異なっていてもよ
い。〕
【0159】
【化69】
【0160】〔式中、Rh56、Rh57、Rh58およびRh59
は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アル
キル基またはアルコキシ基を示し、Φは
【化70】
【0161】で表される基(Φ−1)、(Φ−2)また
は(Φ−3)を示す。〕 上記例示の正孔輸送剤において、アルキル基、アルコキ
シ基、ハロゲン原子、アリール基およびアラルキル基と
しては、前述と同様な基があげられる。上記基に置換し
てもよい置換基としては、たとえばハロゲン原子、アミ
ノ基、水酸基、エステル化されていてもよいカルボキシ
ル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1
〜6のアルコキシ基、アリール基を有することのある炭
素数2〜6のアルケニル基等があげられる。置換基の置
換位置については特に限定されない。
【0162】また本発明においては、上記例示のほかに
従来公知の正孔輸送物質、すなわち2,5−ジ(4−メ
チルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール
等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルア
ミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポ
リビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機
ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチル
アミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、
ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、イ
ンドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサ
ゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール
系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合
物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合
多環式化合物等を用いることができる。
【0163】本発明において正孔輸送剤は、1種単独で
用いられる他、2種以上を混合して用いてもよい。ま
た、ポリビニルカルバゾール等の成膜性を有する正孔輸
送剤を用いる場合には、結着樹脂は必ずしも必要でな
い。前記正孔輸送剤のうち、本発明では、イオン化電位
(Ip)が4.8〜5.6eVのものを使用するのが好
ましく、電界強度3×105V/cmで1×10-62
V・秒以上の移動度を有するものがより好ましい。
【0164】イオン化電位が前記範囲内にある正孔輸送
剤を用いることによって、より一層残留電位が低下し、
感度が向上する。その理由は必ずしも明らかではない
が、以下のようなものと考えられる。すなわち、電荷発
生剤から正孔輸送剤への電荷の注入のし易さは正孔輸送
剤のイオン化電位と密接に関係しており、正孔輸送剤の
イオン化電位が前記範囲よりも大きい場合には、電荷発
生剤から正孔輸送剤への電荷の注入の程度が低くなる
か、あるいは正孔輸送剤間での正孔の授受の程度が低く
なるため、感度の低下が生じるものと認められる。一
方、正孔輸送剤と電子輸送剤とが共存する系では、両者
の間の相互作用、より具体的には電荷移動錯体の形成に
注意する必要がある。両者の間にこのような錯体が形成
されると、正孔と電子との間に再結合が生じ、全体とし
て電荷の移動度が低下する。正孔輸送剤のイオン化電位
が前記範囲よりも小さい場合には、電子輸送剤との間に
錯体を形成する傾向が大きくなり、電子−正孔の再結合
が生じるために、見掛けの量子収率が低下し、感度の低
下に結びつくものと思われる。
【0165】なお、電子輸送剤中に嵩高い基が存在する
場合は、その立体障害により電荷移動錯体の形成を抑制
することが出来る。従って、本発明において電子輸送剤
として用いられるナフトキノン誘導体(1)には、でき
るだけ嵩高い置換基を導入するのが好ましい。本発明に
好適に使用できる正孔輸送剤の具体例としては、例えば
前記一般式(HT1)で表されるベンジジン誘導体に属
する、式(HT1−1):
【0166】
【化71】
【0167】で表される化合物があげられる。 〈結着樹脂〉上記した各成分を分散させるための結着樹
脂としては、従来より感光層に使用されている種々の樹
脂を使用することができ、例えばスチレン系重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニト
リル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリ
ル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマ
ー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、
アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタ
レート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、
ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂
や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹
脂、さらにエポキシアクリレート、ウレタン−アクリレ
ート等の光硬化性樹脂等があげられる。これらの結着樹
脂は1種または2種以上を混合して用いることができ
る。好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合
体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、ア
ルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等であ
る。
【0168】次に、本発明の電子写真感光体の製造方法
について説明する。単層型の電子写真感光体を得るに
は、所定の電子輸送剤を、電荷発生剤、正孔輸送剤、結
着樹脂等と共に適当な溶剤に溶解または分散した塗布液
を、塗布等の手段によって導電性基体上に塗布し、乾燥
させればよい。単層型の感光体においては、結着樹脂1
00重量部に対して電荷発生剤は0.1〜50重量部、
好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合され、電子
輸送剤は5〜100重量部、好ましくは10〜80重量
部の割合で配合される。また、正孔輸送剤は5〜500
重量部、好ましくは25〜200重量部の割合で配合す
る。さらに、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、結着
樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好まし
くは30〜200重量部であるのが適当である。単層型
の感光層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子
受容性化合物を結着樹脂100重量部に対して0.1〜
40重量部、好ましくは0.5〜20重量部で配合する
のが適当である。
【0169】また、単層型の感光層の厚さは5〜100
μm、好ましくは10〜50μmである。積層型の電子
写真感光体を得るには、まず導電性基体上に、蒸着また
は塗布等の手段によって電荷発生剤を含有する電荷発生
層を形成し、ついでこの電荷発生層上に、電子輸送剤と
結着樹脂とを含む塗布液を塗布等の手段によって塗布
し、乾燥させて電荷輸送層を形成すればよい。
【0170】積層型感光体においては、電荷発生層を構
成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用す
ることができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷
発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500
重量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に
電子受容性化合物を含有させる場合は、電子受容性化合
物を結着樹脂100重量部に対して0.1〜40重量
部、好ましくは0.5〜20重量部で配合するのが適当
である。また、電荷発生層に電子輸送剤を含有させる場
合は、電子輸送剤を結着樹脂100重量部に対して0.
5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部で配合する
のが適当である。
【0171】電荷輸送層を構成する電子輸送剤と結着樹
脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しな
い範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射
により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよう
に、結着樹脂100重量部に対して電子輸送剤を10〜
500重量部、好ましくは25〜100樹脂の割合で配
合するのが適当である。電荷輸送層に電子受容性化合物
を含有させる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂10
0重量部に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.
5〜20重量部で配合するのが適当である。
【0172】また、積層型の感光層の厚さは、電荷発生
層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm
程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは
5〜50μm程度である。単層型感光体にあっては、導
電性基体と感光層との間に、また積層型感光体にあって
は、導電性基体と電荷発生層との間、導電性基体と電荷
輸送層との間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、
感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されて
いてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成さ
れていてもよい。
【0173】単層型および積層型の各感光層には、電子
写真特性に悪影響を与えない範囲で、それ自体公知の種
々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重
項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化
剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定
剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合すること
ができる。 また、感光層の感度を向上させるために、
例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチ
レン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
【0174】さらに、前記一般式(1)で表されるナフ
トキノン誘導体とともに、高い電子輸送能を有する種々
の電子輸送剤を感光層に含有させてもよい。本発明の感
光体に使用される導電性基体としては、導電性を有する
種々の材料を使用することができ、例えばアルミニウ
ム、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデ
ン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウ
ム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、
上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材
料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等
で被覆されたガラス等があげられる。
【0175】導電性基体はシート状、ドラム状等の何れ
であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるい
は基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電
性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するも
のが好ましい。本発明における感光層は、前記した各成
分を含む樹脂組成物を溶剤に溶解ないし分散した塗布液
を導電性基体上に塗布、乾燥して製造される。
【0176】すなわち、前記例示の電荷発生剤、電荷輸
送剤、結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方
法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペ
イントシェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散
混合して塗布液を調製し、これを公知の手段により塗
布、乾燥すればよい。塗布液をつくるための溶剤として
は、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のア
ルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン
等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメ
チルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は1種又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0177】さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分
散性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性
剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0178】
〔前記式(1-1) で表されるナフトキノン誘導体の合成〕
【0179】200mlの2つ口フラスコに、前記式
(4) 中のR1がフェニル基であるナフトキノン誘導体
(4−1),2.0g(3.6mmol)を入れ、アル
ゴン置換後、アルデヒド(5−1)の0.42g(3.
1mmol)/トルエン70mlを加え、3時間加熱還
流した。放冷後、トルエンを留去後カラムクロマトグラ
フィーにより精製し目的物を得た。(収量1.8g、収
率 72.5%)。 融点300℃以上 生成物のIRスペクトルを図2に、MSスペクトルを図
3に示す。上記反応の反応式を以下に示す。
【化72】 合成例2 〔前記式(1-2) で表されるナフトキノン誘導体の合成〕
前記式(5−1) の代わりに(5−2)を8.1mmo
l使用した以外は、合成例1と同様にして反応を行い、
標記化合物を得た(収量1.9,収率 53.8%)。 融点242〜244℃ 生成物の 1H−NMRスペクトルを図4に、 IRス
ペクトルを図5に、MSスペクトルを図6に示す。化合
物(5−2)を以下に示す。
【化73】 合成例3 〔前記式(1-3) で表されるナフトキノン誘導体の合
成〕前記式(5−1)の代わりに(5−3)を3.6mm
ol使用した以外は、合成例1と同様にして反応を行
い、標記化合物を得た(収量 1.5g、収率 92.
1%)。 融点224〜227℃ 生成物の 1H−NMRスペクトルを図7に示す。化合
物(5−3)を以下に示す。
【化74】 合成例4 〔前記式(1-4) で表されるナフトキノン誘導体の合
成〕前記式(5−1) の代わりに(5−4)を3.6m
mol使用した以外は、合成例1と同様にして反応を行
い、標記化合物を得た(収量1.4g,収率 87.9
%)。 融点228〜231℃ 生成物の 1H−NMRスペクトルを図8に、 IRス
ペクトルを図9に、MSスペクトルを図10に示す。化
合物(5−4)を以下に示す。
【化75】 合成例5 〔前記式(1-5) で表されるナフトキノン誘導体の合
成〕前記式(5−1) の代わりに(5−5)を8.6m
mol使用した以外は、合成例1と同様にして反応を行
い、標記化合物を得た(収量3.6g,収率 95.3
%)。 融点271〜274℃ 生成物の 1H−NMRスペクトルを図11に、 IR
スペクトルを図12に、MSスペクトルを図13に示
す。化合物(5−5)を以下に示す。
【化76】 〔電子写真感光体の製造〕本発明の電子写真感光体に用
いた各成分は以下のとおりである。 (i) 電荷発生剤 PcH2:前記式(CG1) で表されるX型無金属フタロシ
アニン〔イオン化ポテンシャル(Ip)=5.38e
V〕 PcTiO:前記式(CG2) で表されるオキソチタニルフ
タロシアニン(Ip=5.32eV) ペリレン:前記一般式(CG3) に属する、次式(CG3-1) :
【0180】
【化77】
【0181】で表されるペリレン顔料(Ip=5.50
eV) (ii) 正孔輸送剤 HT1−1:前記式(HT1-1) で表されるベンジジン誘導
体(Ip=5.56eV) (iii) 電子輸送剤 1−1:前記式(1-1) で表されるナフトキノン誘導体 1−2:前記式(1-2) で表されるナフトキノン誘導体 1−3:前記式(1-3) で表されるナフトキノン誘導体 1−4:前記式(1-4) で表されるナフトキノン誘導体 1−5:前記式(1-5) で表されるナフトキノン誘導体 ET13-1 :特開平6−110227号公報に開示された、
前記式 (ET13) で表されるナフトキノン誘導体に属す
る、次式(ET13-1):
【0182】
【化78】
【0183】で表される3−フェニル−1,4−ナフト
キノン 3−1:前記式(3-1) で表されるp−ベンゾキノン(酸
化還元電位=−0.81V) 3−2:前記式(3-2) で表される2,6−ジt−ブチル
−p−ベンゾキノン(酸化還元電位=−1.30V) 2−1:前記式(2-1) で表される3,5−ジメチル−
3’,5’−ジt−ブチル−4,4’−ジフェノキノン
(酸化還元電位=−0.86V) 2−2:前記式(2-2) で表される3,3’,5,5’−
テトラt−ブチル−4,4’−ジフェノキノン(酸化還
元電位=−0.94V) 上記イオン化電位は、大気下光電子分析装置(理研計器
(株)製のAC−1)を用いて測定した。 〔単層型電子写真感光体の作製〕 実施例1〜15、および比較例1〜8 表1および3に示す電荷発生剤、正孔輸送剤および電子
輸送剤を、結着樹脂および溶媒と共に以下に示す割合で
配合し、ボールミルで50時間混合分散して単層型感光
層塗布液を調製した。
【0184】 (成分) (重量部) 電荷発生剤 5 正孔輸送剤 50 電子輸送剤 30 結着樹脂(ポリカーボネート) 100 溶 媒(テトラヒドロフラン) 800 次いで、上記塗布液を、導電性基材であるアルミニウム
素管の表面にディップコート法にて塗布し、100℃で
60分間熱風乾燥させて膜厚15〜20μmの単層型電
子写真感光体を作製した。 実施例26〜45、および比較例13〜16 表2および3に示す電荷発生剤5重量部、正孔輸送剤5
0重量部、電子輸送剤30重量部、結着樹脂100重量
部および溶媒800重量部に加え、さらに所定の還元電
位を有する前記式(2-1) 〜(2-2) 、(3-1) 〜(3-2) で表
される電子輸送剤10重量部を配合して単層型感光層塗
布液を調製したほかは、上記実施例1〜3等と同様にし
て単層型電子写真感光体を作製した。 〔積層型電子写真感光体の作製〕 実施例16〜25、および比較例9〜12 表1および3に示す電荷発生剤100重量部、結着樹脂
(ポリビニルブチラール)100重量部および溶媒(テ
トラヒドロフラン)2000重量部をボールミルで50
時間混合分散し、電荷発生層用の塗布液を調製した。こ
の塗布液を導電性基材であるアルミニウム素管の表面に
ディップコート法にて塗布し、100℃で60分間熱風
乾燥させて膜厚1μmの電荷発生層を形成した。
【0185】次いで、表1〜3に示す電子輸送剤100
重量部、結着樹脂(ポリカーボネート)100重量部お
よび溶媒(トルエン)800重量部をボールミルで50
時間混合分散し、電荷輸送層用の塗布液を調製した。そ
して、この塗布液を上記電荷発生層上にディップコート
法にて塗布し、100℃で60分間熱風乾燥させて膜厚
20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体
を作製した。 (感光体特性の評価)上記実施例および比較例で得られ
た電子写真感光体について下記の光感度試験を行い、そ
の感度特性を評価した。 光感度試験 ジェンテック(GENTEC)社製のドラム型の感度試
験機を用い、上記各実施例および比較例の感光体に電圧
を印加して+700Vに帯電させた。次いで、この感光
体に光を照射して露光させ、露光から330ミリ秒後の
感光体表面の電位を露光後電位VL (V)として測定
した。
【0186】尚、光照射の条件は、以下に示すように、
電荷発生剤がフタロシアニン系のものとペリレン系のも
のとによって異なる。 (1)フタロシアニン系顔料の場合 +700Vに帯電させた感光体表面に、バンドパスフィ
ルターを用いて780nm(半値幅20nm)に単色化
した光(ハロゲンランプ、光強度:16μW/cm2
80ミリ秒間照射した。 (2)ペリレン系顔料の場合 +700Vに帯電させた感光体表面にハロゲンランプの
白色光(光強度:147μW/cm2)50ミリ秒間照
射した。
【0187】上記実施例および比較例で使用した成分お
よび露光後電位VLの測定結果を表1〜3に示す。
【0188】
【表1】
【0189】
【表2】
【0190】
【表3】
【0191】表1〜3から明らかなように、実施例の感
光体は、従来の電子輸送剤を用いたり、あるいは電子輸
送剤を使用しなかった比較例の感光体に比べて、露光後
電位が低下しており、高い感度を有することがわかる。
また、実施例21〜36の感光体は、所定の酸化還元電
位を有する電子輸送剤と本発明のナフトキノン誘導体
(1) を含有するから、他の実施例の感光体よりもさらに
露光後電位が低下しており、より高い感度を有すること
がわかる。
【0192】
【発明の効果】本発明の電子感光体に使用するナフトキ
ノン誘導体(1) は、高い電子輸送能を有する。従って、
かかるナフトキノン誘導体(1) を電子輸送剤として含有
する本発明の電子写真感光体は、残留電位が著しく低下
し、高い感度を有する。また、特定の酸化還元電位を有
する電子輸送剤を添加することにより、より一層残留電
位が低下し、感度が向上した感光体が得られる。
【0193】かかる本発明の感光体を使用すると、複写
機やプリンター等の高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における酸化還元電位を求めるための牽
引電圧(V)と電流(A)との関係を示すグラフであ
る。
【図2】本発明のナフトキノン誘導体(1-1) の IR
スペクトルを示すグラフである。
【図3】本発明のナフトキノン誘導体(1-1) の MS
スペクトルを示すグラフである。
【図4】本発明のナフトキノン誘導体(1-2) の 1H
−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明のナフトキノン誘導体(1-2) の IR
ペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明のナフトキノン誘導体(1-2) の MS
スペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明のナフトキノン誘導体(1-3) の 1H
−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図8】本発明のナフトキノン誘導体(1-4) の 1H
−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明のナフトキノン誘導体(1-4) の IR
スペクトルを示すグラフである。
【図10】本発明のナフトキノン誘導体(1-4) の M
Sスペクトルを示すグラフである。
【図11】本発明のナフトキノン誘導体(1-4) の 1
H−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図12】本発明のナフトキノン誘導体(1-4) の I
Rスペクトルを示すグラフである。
【図13】本発明のナフトキノン誘導体(1-4) の M
Sスペクトルを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 241/36 G03G 5/06 315 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) : 【化1】 〔式中、R1は水素原子、置換基を有してもよいアルキ
    ル基、置換基を有してもよいアリール基を示し、R2
    水素原子,置換基を有してもよいアルキル基、ハロゲン
    化アルキル基、アルデヒド基、ニトロ基、基(i) : 【化2】 を示す。〕で表されるナフトキノン誘導体。
  2. 【請求項2】導電性基体上に、請求項1記載のナフトキ
    ノン誘導体を含有する感光層を設けたことを特徴とする
    電子写真感光体。
  3. 【請求項3】前記感光層が、−0.8〜−1.4Vの酸
    化還元電位を有する電子輸送剤を含有する請求項2記載
    の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】前記電子輸送剤が、一般式(2) : 【化3】 〔式中、RA、RB、RCおよびRDは同一または異なって
    水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ア
    ラルキル基、シクロアルキル基またはアミノ基を示
    す。〕で表されるジフェノキノン誘導体、または一般式
    (3) : 【化4】 〔式中RE、RF、RGおよびRHは、同一または異なって
    水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ア
    ラルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していても
    よいアミノ基を示す。〕で表されるベンゾキノン誘導体
    である請求項3記載の電子写真感光体。
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