JP3311251B2 - 画像形成方法 - Google Patents

画像形成方法

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JP3311251B2
JP3311251B2 JP21907596A JP21907596A JP3311251B2 JP 3311251 B2 JP3311251 B2 JP 3311251B2 JP 21907596 A JP21907596 A JP 21907596A JP 21907596 A JP21907596 A JP 21907596A JP 3311251 B2 JP3311251 B2 JP 3311251B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真、静電記録
の如き画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法においては、硫化カドミウ
ム、ポリビニルカルバゾール、積層型有機光導電体、セ
レン、酸化亜鉛の如き光導電体の性質を利用して、光導
電体に静電潜像を形成する。例えば光導電体(以下、
「感光体」と称す)上に一様に電荷を付与し、画像露光
を施して静電潜像を形成し、ついで前記静電潜像の電荷
とは逆極性または同極性に荷電したトナー粉末で現像
し、さらに必要に応じて転写シートに転写して定着す
る。このうち、転写工程を有する装置の場合には、転写
シートに転写されなかった感光体上の残余のトナーを除
去し、感光体を繰り返し使用するのが通常である。
【0003】感光体上の残余のトナーを除去する方法と
しては、ブレードクリーニング方式、ファーブラシクリ
ーニング方式、磁気ブラシクリーニング方式の如く、感
光体にクリーニング部材を接触させて行うのが一般的で
ある。この場合、クリーニング部材は適当な圧力で感光
体に圧接しているので、繰り返し使用している間に感光
体に傷がついたり、トナーが固着する現象が発生する場
合がある。例えば、特開昭48−47345号公報にお
いて、このトナーが感光体に固着する現象を回避するた
めに、現像剤中に摩擦減少物質と研磨物質の双方を添加
することが提案されている。この方法は、確かにトナー
固着現象を回避するには有効であるが、次の問題点を有
している。
【0004】トナー固着現象を回避しうる程度に摩擦減
少物質を添加すると、繰り返しの使用によって感光体表
面に生成もしくは付着する紙粉、オゾン付加物の如き低
電気抵抗物質の除去が行なわれにくくなる。特に高温高
湿の環境下において感光体上の潜像が低電気抵抗物質に
よって著しく損なわれるという問題点がある。摩擦減少
物質と研磨物質それぞれの添加量が微妙であり、安定し
た特性を有するトナーまたは現像剤を得るのが難しいと
いう問題点がある。
【0005】特開昭61−59454号公報は、トナー
の動摩擦係数を適度に調整することによって、感光体の
削れを制御することを提案しており、ポリアルキレンの
添加が効果があるとしている。しかしながら、この方法
では、他の滑材の添加を伴わないという点で、カブリ、
画像濃度安定性で従来より優れてはいるが、未だに、い
くつかの問題点がある。
【0006】結着樹脂とポリアルキレンの相溶性は小さ
く、そのため、加熱混練の如き手段によってもポリアル
キレンは十分に小さなセグメントとして分散しえず、そ
の後の微粉砕工程の如き工程において、ポリアルキレン
成分が粉砕粒子から分離する場合がある。分離したポリ
アルキレン粒子は、トナー粒子中に遊離したポリアルキ
レン粒子として存在し、通常のトナーとは異なった荷電
粒子として、カブリの如き画像汚れの原因となることが
ある。さらに、通常のトナー製造工程では、適度に粒度
調節するために微粉砕品を、分級工程を通して、微粉
部、適正部(通常、ここをトナーとして用いる)、粗粉
部にわける。一般的に、微粉部は、全量の10〜40重
量%であり、微粉部及び粗粉部は、製造工程のはじめの
原材料中に混入され、再利用される。
【0007】しかしながら、前述の如く、ポリアルキレ
ンの遊離粒子が生じていると、この遊離粒子は分級によ
る微粉部に多く含まれる。特に、磁性トナーにおいて
は、比重差のため、この傾向は顕著である。以上のよう
な状態で、ポリアルキレン粒子の多く含まれた微粉部の
再利用を繰り返し行うと、トナー組成は変動して不均一
となり、安定した現像特性を有するトナーが生成され得
なくなる。
【0008】本発明者は、前述の問題点を解決するため
には、低分子量オレフィン共重合体または共重合体の結
着樹脂中における分散性を上げること、結着樹脂中に、
低分子量オレフィン共重合体または共重合体による異質
のハードセグメントを形成しないことが重要であると考
え、種々の検討の結果、本発明に到達してものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カブ
リのないトナー画像を形成し得る画像形成方法を提供す
ることにある。
【0010】さらに、本発明の目的は、常に安定した画
像濃度、鮮明な画像を形成し得る画像形成方法を提供す
ることにある。
【0011】さらに、本発明の目的は、感光体への傷つ
けがなく、感光体表面の削れが抑制された画像形成方法
を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、高温高湿環境下にお
いても潜像の乱れを生じない画像形成方法を提供するこ
とにある。
【0013】本発明の目的は、感光体へのトナーの付着
及び融着を防止し、複写画像へのスジ状または点状の汚
染を生じない画像形成方法を提供することにある。
【0014】さらに、本発明の他の目的は、現像スリー
ブの汚染を防止し、耐久時の画像濃度の低下を生じない
画像形成方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)有機光
導電体を感光層とする感光体に静電潜像を形成し、 (b)トナーで、静電潜像を現像してトナー像を形成
し、 (c)該トナー像を感光体から転写材へ転写し、 (d)転写後の感光体表面にクリーニング部材を圧接さ
せて感光体表面をクリーニングする画像形成方法であ
り、該トナーは、少なくとも結着樹脂,着色剤及びプロ
ピレン成分を85〜95重量%有する低分子量オレフィ
ン共重合体を含有し、該低分子量オレフィン共重合体
が、少なくとも2種類以上のオレフィンモノマー単位よ
りなり、重量平均分子量が1,800〜12,500で
あり、且つ90℃から170℃の間に2つ以上の融解ピ
ークを有し、第2の融解ピークは、最も高い温度の融解
ピークより10℃以上低く、該低分子量オレフィン共重
合体は、該結着樹脂100重量部当り0.5〜10重量
部含有されていることを特徴とする画像形成方法に関す
る。
【0016】
【発明の実施の形態】トナーは種々の方法によって製造
することができる。例えば、粉砕方法では、結着樹脂に
特定な低分子量オレフィン共重合体を分散する工程で、
結着樹脂及び特定なプロピレン成分を85〜99.5重
量%有する低分子量オレフィン共重合体の軟化点または
融点より高い温度で、溶融、混合した後に、常温付近ま
で冷却しその後に粉砕し、分級を行う。
【0017】トナーにおいて、特定な低分子量オレフィ
ン共重合体が融解ピークを2つ以上もつ場合には、結着
樹脂中で、特定な低分子量オレフィン共重合体は、極め
て特有の構造をとっていると思われる。
【0018】特定な低分子量オレフィン共重合体は、冷
却されると、溶融温度に近い融解ピークの成分が急冷却
状態で、微小核を多数形成し、次いで、徐冷状態で、そ
れより低い温度の融解ピークの成分が、おそらく、ラン
ダム共重合部よりなるソフトセグメントを核の周囲に形
成し、中がハードセグメント、外がソフトセグメントよ
りなる二重構造の微粒子になっていると考えられる。
【0019】このように、結着樹脂中に、特定な低分子
量オレフィン共重合体粒子は、極めて微小かつ分散性に
富んで存在し、さらには、上述の如き二重構造のため、
核となるハードセグメントにしっかりと付き、流動する
ことのないソフトセグメント部によって、感光体を傷つ
けたり、削ったりすることのない、滑り性のよいトナー
となっているものと考えられる。
【0020】本発明に用いる低分子量オレフィン共重合
体として、単量体として、エチレン、プロピレン、ブテ
ン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、
オクテン−1、ノネン−1、デセン−1のような直鎖α
−オレフィン及び、一般式CH2=CH−(CH2n
CH(CH32 ,CH2=CH−(CH2n−C(C
33で示されるような分枝α−オレフィン及び、これ
らの不飽和基の位置の異なるオレフィンのうち、少なく
とも2種以上の成分を有する低分子量オレフィン共重合
体が例示される。さらに、あらかじめ高分子量化してお
いたオレフィン共重合体を、ポリマーの主鎖を切断する
ことにより低分子量化したオレフィン共重合体が例示さ
れる。
【0021】例えば、プロピレン−エチレン共重合体、
プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ペンテン共
重合体、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体
の如き共重合体及び、プロピレン−エチレン−ブテン三
元共重合体、及びこれらの変成物が例示される。好まし
くは、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エ
チレン−ブテン共重合体及び、これらの変成物が良い。
【0022】プロピレン成分が85〜99.5重量%含
有されている低分子量オレフィン共重合体が、耐オフセ
ット性、結着樹脂への分散性及び耐ブロッキング性の点
で好ましい。
【0023】低分子量オレフィン共重合体の変成方法と
して、低分子量オレフィン共重合体を溶融混練機の如き
手段で加熱混練し、低分子量オレフィン共重合体のポリ
マー主鎖を切断する方法があげられる。オレフィン共重
合体は、処理温度180〜300℃(好ましくは200
〜250℃)で、100〜300rpmで撹拌しなが
ら、0.5〜20分間(好ましくは0.5〜10分間)
処理されるのが2つの融解ピークを付与するうえで好ま
しい。
【0024】本発明に係る低分子量オレフィン共重合体
は、90℃から170℃の間に2つ以上の融解ピークを
もつものが有効である。特に、115℃から160℃に
2つ以上の融解ピークをもつものが好ましい。前述の2
つ以上の単量体の組成比及び変成条件を適宜選択するこ
とによって、2つ以上の融解ピークをもたせることがで
きる。融解ピークが1つのみの場合には、先に説明した
如き、低分子量オレフィン共重合体の微小かつ良分散、
及び二重構造によるトナー表面の滑性化効果は望めな
い。
【0025】ここで、融解ピークが170℃を超える場
合では、トナー製造時に、結着樹脂中での溶融が不十分
であり、分散の悪いものとなる。一般に、融解ピークの
高いものは、結晶化時に硬度が堅いものが多く、感光体
の削れ・傷が発生しやすい。
【0026】融解ピークが90℃未満では、クリーニン
グ工程で、感光体及びクリーニング部材の摺擦による発
熱で、トナー同士の融着や感光体への融着が発生するお
それがあり、好ましくない。さらに、本発明において、
もっとも高い温度の融解ピークが130℃から170℃
にあることが、急冷条件になり微小かつ良分散化のため
に好ましい。第2の融解ピークは、最も高い温度の融解
ピークより少なくとも5℃以上、さらに好ましくは10
℃以上低いことが好ましい。
【0027】特定の低分子量オレフィン共重合体の重量
平均分子量は、1,000〜15,000が好ましく、
さらに好ましくは後述の製造例及び実施例に示す如く、
重量平均分子量は1,800〜12,500が良い。重
量平均分子量が大きい場合には、トナー中における低分
子量オレフィン共重合体の粒子径が大きく、これらがト
ナー表面より脱落すると、例えば、正荷電性のトナーの
場合、この脱落した低分子量オレフィン共重合体粒子の
ネガ性のため、これが若干数の微小のトナー粒子を伴っ
て、全体としてあたかもネガ粒子群として反転部で現像
され、カブリの発生という問題点が生ずる。
【0028】重量平均分子量が小さいと、低分子量オレ
フィン共重合体はもろくなり、所望の効果を発揮しにく
くなる。
【0029】本発明において、融解ピークは次のように
して測定した。示差走査熱量計(DSC)を用い、サン
プルを適量(約10〜20mg)秤取し、セル中にセッ
トする。一度、180℃まで昇温し、10分間ホールド
した後、80℃まで10℃/分で冷却し、その後、再び
10℃/分で昇温しながら、測定を行うものである。
【0030】重量平均分子量の測定は種々の方法があ
り、それによって若干の相違が生じる。従って、本発明
において、重量平均分子量は、以下の測定法によって測
定する。
【0031】ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ
ィー(GPC)により、温度135℃、溶媒o−ジクロ
ルベンゼン(0.1%アイオノール添加)、測定流量
1.0ml/minで、濃度0.1wt%のサンプルを
400μl注入する。試料の分子量測定にあたり、単分
散ポリスチレン標準試料により作成し検量線を使用す
る。カラムは例えばショーデックスA−80Mがある。
【0032】本発明において、低分子量オレフィン共重
合体は、結着樹脂100重量部当り、0.5〜10重量
部(好ましくは1〜7重量部)トナーに含有されるのが
好ましい。0.5重量部未満であると添加効果が少な
く、10重量部を超える場合は、トナーへの均一分散が
困難であり、トナーの耐ブロッキング性が低下する傾向
にある。
【0033】本発明に使用するトナーの結着樹脂は、形
成する単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−クロルスチレン、ビニルトル
エンの如きスチレン及びその置換体;アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸t−ブチルの如きアクリル酸エステル;メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルの如きメタクリ
ル酸エステル;アクリロニトリル;ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテルの如きビニルエーテル類;マ
レイン酸、マレイン酸エステルの如き不飽和カルボン
酸、不飽和カルボン酸エステル;エチレン、プロピレ
ン、ブタジエンなどのオレフィン類、ジオレフィン類が
例示される。これらの単量体の単重合体及び2種類以上
の単量体よりなる共重合体、及びポリエステル、架橋ポ
リエステル、ポリエーテル、ポリアミド、エポキシ樹
脂、ポリアマイド、テルペン樹脂、フェノール樹脂が単
独あるいは混合して使用できる。
【0034】前述の単量体を重合するのにあたって、架
橋剤として、主として2個以上の重合可能な二重結合を
有する化合物を用いることができる。例えば、ジビニル
ベンゼン、ジビニルナフタリンのような芳香族ジビニル
化合物;エチレングリコールジアクリレート、トリエチ
レングリコールジアクリレート、ビスフェノールジエチ
レングリコールジアクリレートのような二重結合を2個
有するカルボン酸エステル;ジビニルエーテル、ジビニ
ルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物
及び3個以上のビニル基を有する化合物を単独もしくは
混合物として用いても良い。
【0035】本発明において、結着樹脂として、架橋さ
れたスチレン−アクリル酸エステル系共重合体、架橋さ
れたスチレン−メタクリル酸エステル系共重合体、また
は架橋ポリエステル樹脂が耐久オフセット性、耐久性及
び特定な低分子量オレフィン共重合体との親和性の点で
特に好ましい。
【0036】さらに必要に応じて、本発明でトナーに使
用する添加剤としては、荷電制御、着色、調色または流
動性付与の如き目的で加えられるものである。添加剤と
して、例えば、カーボンブラック、各種染顔料、金属錯
体、疎水性コロイド状シリカ微粉末、可塑剤、ポリフッ
化ビニリデン粉がある。感光体への付着物を除去する目
的で非磁性無機微粉体として、アルミナ、二酸化チタ
ン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン
酸ストロンチウム、酸化亜鉛を添加することもできる。
【0037】トナーは必要に応じて磁性粉を含有しても
良い。磁性粉としては磁場の中に置かれて磁化される物
質が用いられる。鉄、コバルト、ニッケルの如き強磁性
金属の粉末、それらの合金もしくはマグネタイト、γ−
Fe23、フェライトの如き化合物がある。特に前述の
効果を発揮せしめるためには、好ましくは窒素吸着法に
よるBET比表面積が2〜20m2/g、特に2.5〜
12m2/g、さらにモース硬度が5〜7の磁性粉が好
ましい。この磁性粉の含有量はトナー重量に対して10
〜70重量%が良い。
【0038】トナーの製造方法として、熱ロール、ニー
ダー、エクストルーダーの如き熱混練機によって構成材
料を良く混練した後、機械的な粉砕、分級によって得る
方法;あるいは結着樹脂溶液中に所定材料を分散した
後、噴霧乾燥することにより得る方法;あるいは、結着
樹脂を構成すべき単量体に所定材料を混合して乳化懸濁
液として後に重合させてトナーを得る重合法によるトナ
ー製造法が挙げられる。特に、結着樹脂と低分子量オレ
フィン共重合体を熱混練した後、粉砕、分級してトナー
を得る方法に適している。
【0039】以下に本発明に使用する低分子量オレフィ
ン共重合体の製造例を示す。
【0040】製造例1 プロピレン−エチレン共重合体(エチレン含量15重量
%、重量平均分子量4500、融解ピーク温度160
℃)を原材料として、二軸混練機の温度を約230℃、
主軸回転数180rpmに設定し、オープンベントで混
練を行なった。混練機内におけるプロピレン−エチレン
共重合体の滞留時間は約2分間であった。吐出したスト
ランドを冷却後、カッターにてペレットにし、さらに、
粉砕機にて粉末状にした。このようにして得た低分子量
オレフィン共重合体(A)は、149℃と135℃に融
解ピークをもち、重量平均分子量は4500であった。
示差走査熱量計で測定したチャートを図1に示す。
【0041】製造例2〜6 製造例1のプロピレン−エチレン共重合体の代わりに、
表1に示すような種々のオレフィン共重合体を原材料と
して、製造例1とほぼ同様の方法によって、低分子量オ
レフィン共重合体(B)〜(F)を得た。これらはいず
れも表1に示すように融解ピークを2つ以上有してい
た。
【0042】
【表1】
【0043】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を説明する。部
は重量部を意味する。
【0044】実施例1 スチレン−2−エチルヘキシルアクリレート−ジビニル
べンゼン共重合体100部(重量平均分子量約35
万)、ニグロシン4部、磁性粉60部、及び製造例1の
低分子量オレフィン共重合体(A)5部を混合し、二軸
混練機にて約180℃で溶融混練し、約10〜30℃に
設定した冷却コンベアーにより冷却した。次いで、ハン
マーミルにて粗粉砕したのち、ジェット粉砕機にて微粉
砕した。次いで風力分級機を用いて分級し、体積平均径
が約11μmの黒色粉体(トナー)を得た。
【0045】この黒色粉体100部に疎水性コロイダル
シリカ0.5部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、
疎水性コロイダルシリカが混合されているトナーとし
た。
【0046】このトナーを、DSCによって融解ピーク
を測定したところ、低分子量オレフィン共重合体(A)
とほぼ同じ位置に2つのピークが見られた。
【0047】このトナーを用いて、市販の加熱加圧ロー
ラ定着手段を有する複写機NP−3525で画出しを行
ったところ、画像濃度は1.32と高く、カブリのない
解像度の高い定着画像が得られた。
【0048】使用した複写機は、積層型有機光導電体
(積層型OPC感光層)を感光層として有するOPC感
光ドラムを具備し、トナー像を転写紙に転写した後に感
光ドラムをクリーニングするためのクリーニングブレー
ドがOPC感光ドラム表面に圧接されている。
【0049】さらに、30,000枚の耐久コピーを行
ったが、積層型OPC感光層の削れは、0.8μmと非
常に小さく、傷もなく、耐久コピーによっても、鮮明な
画像を維持した。
【0050】実施例2 架橋ポリエステル樹脂100部(重量平均分子量約10
万)、クロム錯体化合物3部、磁性粉50部及び製造例
2の低分子量オレフィン共重合体(B)4部を用いるこ
とを除いては、実施例1とほぼ同様にして、トナーを製
造した。このトナーをDSCによって融解ピークを測定
したところ、低分子量オレフィン共重合体(B)とほぼ
同じ位置に2つのピークが見られた。
【0051】このトナーを用いて、市販の加熱加圧ロー
ラ定着手段を有するレーザービームプリンターLBP−
CXで画出しを行ったところ、画像濃度は1.29と高
く、カブリのない鮮明な画像が得られた。
【0052】使用したレーザービームプリンターは、積
層型OPCを感光層として有するOPC感光ドラムを具
備し、トナー像を転写紙に転写した後に感光ドラム表面
をクリーニングするためのクリーニングブレードがOP
C感光ドラム表面に圧接されている。
【0053】さらに、5,000枚の耐久コピーを行っ
たところ、積層型OPC感光層の削れは0.2μmと非
常に小さく、傷もなく、鮮明な画像を維持した。
【0054】実施例3〜7 実施例1で、低分子量オレフィン共重合体(A)の代わ
りに、低分子量オレフィン共重合体(B)〜(F)を用
いることを除いては、実施例1とほぼ同様にして、トナ
ーを製造した。いずれのトナーも、DSCによって融解
ピークを測定したところ、それぞれの低分子量オレフィ
ン共重合体の測定とほぼ同一の位置に2つ以上のピーク
が見られた。
【0055】これらのトナーを用いて、実施例1と同様
に画出しテストを行った結果を表2に示した。
【0056】いずれも、積層型OPC感光層の削れは小
さく、傷も発生せず、鮮明な画像が得られた。
【0057】いずれも、分級における適正部(トナーと
して使用)、微粉部に含まれる低分子量オレフィン共重
合体を定量すると、表2に示すように、偏在は少なく、
トナー粒子間で低分子量オレフィン共重合体が均一に分
散していることを示していた。
【0058】
【表2】
【0059】実施例8 実施例1と同様にして、トナー製造を行い、分級によっ
て生じた微粉部及び粗粉部を回収して、実施例1と同様
の原材料に対して35重量%を再投入して、混練、粉砕
を行った。同様の操作を5回行なって、体積平均径が約
11μmのトナーを得た。
【0060】このトナー100部に疎水性コロイダルシ
リカ0.5部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、疎
水性コロイダルシリカが混合されたトナーとした。
【0061】このトナーをDSCによって融解ピークを
測定したところ、低分子量オレフィン共重合体(A)と
ほぼ同じ位置に2つのピークが見られた。また、トナー
中の低分子量オレフィン共重合体を定量すると、はじめ
のトナー中に3.0重量%、5回目で3.1重量%であ
った。
【0062】このトナーを用いて、実施例1と同様に評
価をすると、画像濃度は1.31と高く、カブリもな
く、鮮明な画像が得られ、30,000枚の耐久コピー
においても、画像は安定しており、積層型OPC感光層
の削れも0.8μmと小さかった。
【0063】比較例1 プロピレン単重合体を製造例1と同様にして、低分子量
ポリプロピレンを調製した。このとき、融解ピークは1
45℃であり、重量平均分子量は3,000であった。
示差走査熱量計で測定したチャートを図2に示す。
【0064】この低分子量ポリプロピレンを用いること
を除いては、実施例1と同様にしてトナーを製造し、実
施例1と同様にテストを行なった。分級における適正部
(トナー)と微粉部に含まれる低分子量ポリプロピレン
を定量すると、2.5wt%及び3.6wt%であり、
偏在がおこっていた。30,000枚の耐久コピーの結
果、積層型OPC感光層の削れは3.5μmと大きく、
かつ、OPC感光体の周方向に多数の傷が発生し、耐久
コピーによって、画像ががさつき、傷に対応する筋状の
不良画像が発生した。
【0065】比較例2 融解ピークが185℃と167℃、重量平均分子量5,
500のプロピレン−エチレン共重合体(エチレン含量
2%)を実施例1において用い、混練温度を190℃と
して、トナーを得た。このトナーを、実施例1と同様に
テストを行った。
【0066】30,000枚耐久コピーによって、感光
層の削れは2.7μmであり、傷も発生した。共重合体
としての性質が少なくなり、本発明の効果を発揮しえな
いと考えられる。
【0067】比較例3 融解ピークが98℃と79℃、重量平均分子量2,60
0のプロピレン−ブテン−1共重合体を用いて、実施例
1と同様にして、トナーを製造し、実施例1と同様にテ
ストを行った。
【0068】30,000枚耐久コピーにおいて、感光
層の削れは0.7μmであったが、クリーニングブレー
ドにトナーが付着し易く、部分的に感光体表面に傷が発
生した。トナーのフィルミング状付着が感光体表面にあ
り、画像濃度は耐久によって1.31から1.08まで
下がっていった。
【0069】比較例4 実施例1で、低分子量オレフィン共重合体を除くこと以
外は、同様にして、トナーを製造し、実施例1と同様に
テストを行なった。
【0070】30,000枚耐久コピーにおいて、感光
体の削れは3.4μmであり、耐久によって、がさつい
た画像になった。
【0071】以上の如く、本発明の低分子量オレフィン
共重合体を含有することがトナー表面に滑性化効果を与
え、感光体を削ったり、傷つけたりすることを防止する
のに有効であることが知見された。
【0072】比較例5 融解ピークが128℃のみにあり、重量平均分子量が
7,700のプロピレン−ブテン−1共重合体を用い
て、実施例1と同様にして、トナーを製造し、テストを
行った。
【0073】耐久によってカブリが増加し、濃度も1.
28から1.20に下がってきた。おそらく、比較例5
で用いたオレフィン共重合体では、単一融点のため、初
期の微小核形成がおこりにくく、分散状態が不十分なた
め、トナー粒子による電荷が不均一になるためと思われ
る。
【0074】比較例6 比較例1で用いた低分子量ポリプロピレン単重合体を用
いる以外は実施例8と同様にして、トナーを製造し、実
施例8と同様にしてテストを行った。
【0075】トナー中の低分子量ポリプロピレンを定量
すると、はじめのトナー中には2.5重量%、再投入5
回目のトナーでは4.9重量%であった。
【0076】トナー中には、遊離した負荷電性の低分子
量ポリオレフィン微粒子が多く存在し、その周囲に正荷
電のトナー粒子がついて、全体として不十分な荷電のた
めに、カブリ成分として現像され、汚染画像が生じた。
【0077】
【発明の効果】本発明の画像形成方法は、使用するトナ
ーに、90℃〜170℃の間に2つ以上の融解ピークを
持つプロピレン成分を85〜99.5重量%有する低分
子量オレフィン共重合体を含有せしめているため、常に
安定した画像濃度、鮮明な画像を与え、感光体への傷つ
けや削りを抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1の低分子量オレフィン共重合体(A)
の融解ピークを示すグラフである。
【図2】比較例1で使用した低分子量ポリプロピレンの
融解ピークを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−223014(JP,A) 特開 昭60−50542(JP,A) 特開 昭58−189646(JP,A) 特開 昭63−143561(JP,A) 特開 昭59−136748(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)有機光導電体を感光層とする感光
    体に静電潜像を形成し、 (b)トナーで、静電潜像を現像してトナー像を形成
    し、 (c)該トナー像を感光体から転写材へ転写し、 (d)転写後の感光体表面にクリーニング部材を圧接さ
    せて感光体表面をクリーニングする画像形成方法であ
    り、 該トナーは、少なくとも結着樹脂,着色剤及びプロピレ
    ン成分を85〜95重量%有する低分子量オレフィン共
    重合体を含有し、 該低分子量オレフィン共重合体が、少なくとも2種類以
    上のオレフィンモノマー単位よりなり、重量平均分子量
    が1,800〜12,500であり、且つ90℃から1
    70℃の間に2つ以上の融解ピークを有し、 第2の融解ピークは、最も高い温度の融解ピークより1
    0℃以上低く、 該低分子量オレフィン共重合体は、該結着樹脂100重
    量部当り0.5〜10重量部含有されていることを特徴
    とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 有機光導電体が積層型有機光導電体であ
    る請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 【請求項3】 感光体が感光ドラムであり、クリーニン
    グブレードで感光ドラム表面がクリーニングされる請求
    項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 低分子量オレフィン共重合体が、低分子
    量プロピレン−エチレン共重合体,低分子量プロピレン
    −ブテン共重合体,低分子量プロピレン−ペンテン共重
    合体,低分子量プロピレン−4−メチルペンテン−1共
    重合体またはプロピレン−エチレン−ブテン共重合体で
    ある請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 該低分子量オレフィン共重合体は、11
    5〜160℃の温度範囲に2つ以上の融解ピークを有す
    る請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 【請求項6】 該低分子量オレフィン共重合体は、温度
    180〜300℃で、0.5〜20分間の熱処理をうけ
    ている請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方
    法。
  7. 【請求項7】 結着樹脂として、架橋されたスチレン−
    アクリル酸エステル系共重合体,架橋されたスチレン−
    メタクリル酸エステル系共重合体または架橋ポリエステ
    ル樹脂を含有している請求項1乃至6のいずれかに記載
    の画像形成方法。
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