JP3183945B2 - 高フィッシャー比ペプチド混合物、その製造法、および肝疾患患者用栄養補給組成物 - Google Patents
高フィッシャー比ペプチド混合物、その製造法、および肝疾患患者用栄養補給組成物Info
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Description
動物性蛋白質を原料として酵素を用いて加水分解し、芳
香族アミノ酸のみを特異的に選択除去することによって
得られる、必須アミノ酸が多くまたフィッシャー比の高
いペプチド混合物およびその製造法、また、このフィッ
シャー比の高いペプチド混合物を含有する組成物、特に
肝疾患患者用の栄養補給組成物に関する。
期に体内アミノ酸が異常を示すことは古くから知られて
いる。Iberら(J.Clin.Lab.Med.,
50:417−425,1957)は肝不全時に、芳香
族アミノ酸AAA(Tyr,Phe)、メチオニン(M
et)などが増加すると報告した。一方、Zinnem
anら(Amer.J.Dig.Dis.,14:11
8−126,1969)は肝硬変非代償期に分岐鎖アミ
ノ酸BCAA(Val,Leu,Ile)の低下を報告
している。1974年Fischerら(Amer.
J.Surg.,127:40−47,1974)はB
CAAの減少とAAAの増加すなわちBCAA/AAA
モル比の低下というアミノ酸インバランスを肝性脳症の
発現と積極的に結び付け、アミノ酸インバランスを是正
することによって、すなわち、栄養摂取源としてBCA
A含量が高く、AAAおよびMet含量が低く、BCA
A/AAAモル比(フィッシャー比)の高い窒素源を与
えることによって肝性脳症が改善されることを報告して
いる。
する精製アミノ酸を混合し、BCAA/AAAモル比を
高く調製したアミノ酸製剤が知られている。すなわち、
元来蛋白質は生体内で蛋白質分解酵素などの働きにより
遊離アミノ酸にまで分解されて利用される。したがっ
て、遊離アミノ酸は生体内での吸収が容易であり、特に
消化吸収能の劣っている術後患者において栄養効果が良
好であるとされている。特開昭64−83017、特開
平3−22366には肝不全患者用アミノ酸製剤が開示
されている。
が強いために食べにくいうえ、高価であることから、製
品自体の値段も高価であるなどの欠点を有している。特
開昭56−68374には精製アミノ酸を果汁または寒
天に添加して摂取を容易にした例が示されている。また
アミノ酸混合物は電解質であるので浸透圧が高くなり、
高濃度での調合は非常に困難である。
プチドは小腸腸管内において細胞内に取り込まれ、細胞
内において遊離アミノ酸に分解され吸収されることが知
られている。最近、卵白、カゼインなどの動植物性蛋白
質を酵素分解してペプチド含量の高い加水分解物とし、
これを窒素源として利用する試みが多くなされている。
たとえば、特開昭57−11910にはカゼインまたは
ゼラチンおよびゼラチン加水分解物に対し、さらに特定
比率の精製アミノ酸を添加した経腸用栄養製剤が示され
ている。また特開平2−295463には卵白加水分解
物を用いた肝機能改善食材の例が示されている。
し、ペプチド、オリゴペプチドの状態にするのであるか
ら、このペプチド混合物のBCAA/AAAモル比は蛋
白質自体の構成アミノ酸のモル比に依存することとな
る。換言すると、窒素源としての栄養価は原料蛋白質に
大きく依存するといえる。
なわち、BCAA/AAAモル比の高い蛋白質を用いれ
ば、その蛋白質源は肝疾患患者用の窒素源として適した
ものであり、またそれを酵素で分解すれば、ペプチド態
となるので消化吸収性がさらに優れることになる。した
がって、BCAA/AAAモル比の高い蛋白質を酵素で
分解して得られるペプチド混合物はBCAA/AAAモ
ル比も高く、消化吸収性がよいので、肝疾患患者用の窒
素源としてふさわしいと考えられる。しかしながら、日
常入手可能な食品、あるいは食品原料において、そのB
CAA/AAAモル比はそれ程高いものはない。JJP
EN 3(2)109−117(1981)に示される
ように、植物性蛋白質においてはBCAA/AAAモル
比はほぼ0.8から3.0、動物性蛋白質においても
2.1から3.4程度である。
ン由来のグリコマクロペプチドのプロテアーゼ加水分解
物の例が開示されている。この例によれば、κカゼイン
にレンネットを作用させて得られる64個のアミノ酸残
基からなるグリコマクロペプチドが理論的に芳香族アミ
ノ酸を含有しないことを利用したものである。しかしな
がら例えば牛乳蛋白質を用いた場合、牛乳の全カゼイン
中約13%しか含まないκカゼインを精製する方法、お
よび、得られたκカゼインからグリコマクロペプチドを
得る方法は工業的にはかなり困難であること、さらにκ
カゼインからその約1.5%しかグリコマクロペプチド
を得ることができないこと、さらに、工業的にもその製
造方法はかなり困難であること、また構成するペプチド
のBCAA以外のアミノ酸バランスは偏ったものであ
り、実際に製造するのは難しいと考えられる。
白、アルブミンなどの動物性蛋白質、大豆、小麦などの
植物性蛋白質を中性域で酵素分解し、この酵素分解物よ
り吸着剤を用いてAAAを吸着することによって、BC
AA/AAAモル比を高めたオリゴペプチドの例が開示
されている。この例によれば、分離大豆蛋白質あるいは
ラクトアルブミンからAAAに富むオリゴペプチドを遊
離させ、このAAAに富むオリゴペプチドを活性炭を用
いて選択吸着させることが示されている。
A、特にチロシンの除去は不充分であり、また活性炭は
決してAAAのみを選択的に吸着するものではなく、多
くのペプチドを吸着してしまうために製造工程において
窒素源としてのロスが多くなってしまう。また一度使用
した活性炭は酸、アルカリを用いても完全な再生は困難
であり、工業的に難しい。さらに分離除去されたAAA
以外のアミノ酸構成については従来より考慮されてはい
ない。
を解決すべく鋭意研究の結果、各種動植物性蛋白質中
の構成アミノ酸を比較し、種々の蛋白質分解酵素で分
解して得られるペプチドの低分子化の程度を検討し、
限外濾過法、RO分画法、ゲル濾過法、さらに活性炭や
合成吸着剤、イオン交換樹脂など各種樹脂を用いて遊離
したAAAの吸着除去効率を比較検討した結果、以下の
組成のオリゴペプチド混合物が、肝疾患患者のための食
事療法に有効な窒素源となり得ること、さらにこの窒素
源を用いた組成物は肝疾患患者の栄養補給または治療食
として適していることを見出したのである。
BCAA/AAAモル比が高く、また、その構成するア
ミノ酸のバランスが優れているアミノ酸スコアの高い蛋
白質を用いること、この蛋白質をエンドプロテアーゼと
エキソプロテアーゼを用いてAAAのみを遊離させるた
めに、蛋白質を加熱変性、酸変性、遠心分離法、さらに
冷却保持による等電点沈殿法を酵素分解法に組み合わせ
て用いること、さらに遊離したAAAおよびAAAを含
むペプチドを除去するために、特定の樹脂を用いて分離
することなどによって、BCAA/AAAモル比が高く
さらに全体の構成するアミノ酸バランスに優れたペプチ
ド混合物を得ることができ、このペプチド混合物を含有
する各種組成物の利用により、肝疾患患者の血漿中のア
ミノ酸パターンおよびBCAA/AAAモル比が是正さ
れると共に、患者の栄養状態の改善を図ることができ、
当該組成物は肝疾患患者の栄養補給ないし治療食として
好適であることを見出したのである。
る。
に使用することのできるペプチド混合物としてフィッシ
ャー比が高いものが好適であることから、前記した各方
面から鋭意検討した結果、フィッシャー比が高いペプチ
ド混合物を現実に製造するのに成功し、具体的には、牛
乳乳清蛋白質を原料として用い、分岐鎖アミノ酸/芳香
族アミノ酸モル比が10以上、分岐鎖アミノ酸が15〜
20重量%以上、芳香族アミノ酸が0.1〜2.0重量
%未満、平均分子量が数百〜数千であるペプチド混合物
を実際に得ることに成功したものである。
ものであって、その具体的態様を例示すれば次のとおり
である。
で分解して得られる、分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸
モル比が10以上、分岐鎖アミノ酸が15〜20重量%
以上、芳香族アミノ酸が0.1〜2.0重量%未満、平
均分子量が数百〜数千であることを特徴とするペプチド
混合物。
させた後酵素を用いて加水分解し、次いで吸着剤処理を
行ってAAAを選択的に吸着除去せしめることを特徴と
するペプチド混合物の製造法。
下において加熱変性、酸変性させた後に、エンドプロテ
アーゼ、エキソプロテアーゼを用いて酵素分解し、遠心
分離法によって不溶物を除去した後、氷冷下で等電点沈
殿法により析出するチロシンを除去した後に、吸着剤で
処理し、必要に応じて濃縮し、乾燥することを特徴とす
るペプチド混合物の製造法。
分解して得られるペプチド混合物から、遊離した芳香族
アミノ酸あるいは芳香族アミノ酸を含むペプチド混合物
を除去する方法の一つとして弱酸性陽イオン交換樹脂を
用い、酸性pHで反応させた後に濾過し、最初に溶出す
る画分を集め、必要において濃縮し、乾燥することを特
徴とするペプチド混合物の製造法。
で分解して得られる、分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸
モル比が10以上、分岐鎖アミノ酸が15〜20重量%
以上、芳香族アミノ酸が0.1〜2.0重量%未満、平
均分子量が数百〜数千であることを特徴とするペプチド
混合物を含有する肝疾患患者用栄養補給組成物。
で分解して得られる、分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸
モル比が10以上、分岐鎖アミノ酸が15〜20重量%
以上、芳香族アミノ酸が0.1〜2.0重量%未満、平
均分子量が数百〜数千であることを特徴とするペプチド
混合物を窒素源として乾燥重量基準で5〜90重量%、
炭水化物を乾燥重量当たり5〜90重量%、脂質を0〜
20重量%含有することを特徴とする肝疾患患者用栄養
補給組成物。
ペプチド混合物を作るのにふさわしい蛋白質としては、
その蛋白質に含まれるBCAA/AAAのモル比が高い
ことのほかに、最終的に肝疾患患者用栄養補給組成物と
して用いられるために、除去されるAAA以外のアミノ
酸として必須アミノ酸などに富み、アミノ酸スコアが高
いものがふさわしい。
/AAAモル比は少なくとも5以上が必須であり、この
値が高いものほど好ましい。また市販肝疾患患者用製剤
中のBCAA/AAAモル比は通常20以上である。ま
た、術後などには筋肉の蛋白質−BCAAの分解が昂進
され、その度合いは絶食時の3倍にも達していること、
生体内蛋白質、アルブミン合成に必要であり、炎症時に
おける急性期蛋白質合成に不可欠であることなどから、
BCAA/AAAモル比は高いほど良好である。
ペプチド混合物を作るのにふさわしい蛋白質原料として
は、その蛋白質に含まれるBCAA/AAAのモル比が
少なくとも4以上であり、また構成するアミノ酸として
必須アミノ酸などに富み、アミノ酸スコアが高いもので
あれば、動物、植物、微生物由来のどんな蛋白質を用い
ても構わない。
BCAA/AAAのモル比は前述したように0.8から
3.0程度のものでしかない。しかし、特に牛乳からチ
ーズを精製するときに産出するチーズホエイから、そこ
に含有する蛋白質画分を濃縮し精製したホエイ蛋白質、
あるいはホエイ蛋白質よりさらにその蛋白質画分を分画
して精製して得られるβ−ラクトグロブリンは、アミノ
酸スコアは各々100と最も高く、BCAA/AAAの
モル比も4を越えるものであり、本発明の蛋白質として
最もふさわしいものである。
ものであって、牛乳からカゼインやチーズを製造する際
に副生するカゼインホエイ、スイートホエイを原料と
し、これを精製したものがすべてホエイ蛋白質として使
用される。例えば、ホエイ蛋白質としては、ホエイ蛋白
質精製物、ホエイ蛋白質分画物、そ(れら)の処理物
(濃縮、希釈、ペースト化、乾燥等の処理をおこなった
もの)が挙げられる。そして、ホエイ(乳清)蛋白質精
製物としては、ホエイ(乳清)蛋白質濃縮物、ホエイ
(乳清)蛋白質分離物が挙げられる。
ein Concentrate、以下「WPC」とい
うこともある)は、チーズやカゼインを製造する際に副
生してくるホエイを濃縮し、結晶する乳糖を分離した液
の乾燥処理物を指称している。そしてこのWPCはその
含有物の35〜80%が蛋白質で、そのうち約60%が
β−ラクトグロブリンで、約20%がα−ラクトアルブ
ミンであり、更に約13%が免疫グロブリンからなって
おり、通常は中性である。
ein Isolate、以下「WPI」ということも
ある)は、WPCとは区別されるものであって、WPC
を電気透析等によって脱ミネラルして更に高純度に分離
された未変性ホエイ蛋白質であり、灰分、脂肪、炭水化
物がずっと少なくなっている。特に脂肪分は1%以下と
少なくなっている。
ゼインホエイ、スイートホエイを脱カゼイン、脱乳糖し
て分画されるものをすべて指し、例えばα−ラクトアル
ブミン、β−ラクトグロブリン等が例示される。
ペプチド混合物は、このBCAA/AAAのモル比の高
い蛋白質を酵素分解し、AAAおよび、AAAを含むペ
プチド部分を遊離させ、除去することによって得ること
ができる。
るように酵素による加水分解を受けやすくし、AAAお
よび、AAAを含むペプチド部分を遊離させやすくする
ために、水溶系において加熱し、あるいは酸、アルカリ
条件下におくことによって、変性させておくことが必要
である。このことによって蛋白質に対して酵素が作用し
やすくなり、したがってAAAまたはAAAを含むペプ
チド部分を遊離させやすくなる。
プロテアーゼおよびエキソプロテアーゼを用いる。エン
ドプロテアーゼのみではAAAまたはAAAを含むペプ
チド部分を遊離させることが困難であり、またエキソプ
ロテアーゼのみでは蛋白質の低分子化を図ることができ
ず、目的とするペプチド混合物を得ることができない。
ゼおよびエキソプロテアーゼを組み合わせて作用させ、
さらに後述の吸着剤処理をすることにより、本発明のペ
プチド混合物を得ることができる。このようにして得ら
れたペプチド混合物は苦みや渋み、あるいはアミノ酸臭
などほとんど無く、肝疾患患者用の窒素源としてふさわ
しいものである。
しては、AAAまたはAAAを含むペプチド部分のC末
端あるいはN末端のペプチド結合に作用する酵素であれ
ば、動物由来、植物由来、あるいは微生物由来のどんな
酵素でも構わない。たとえば豚あるいは牛の内臓から製
造されるペプシン、あるいはキモトリプシンは蛋白質中
のAAAのC末端側のペプチド結合を主に切断するた
め、本発明に使用する酵素としてふさわしいものであ
る。
て1ないし2種類以上を組み合わせて用いることができ
る。エンドプロテアーゼ1種類のみでは必ずしも蛋白質
に含まれるすべてのAAAまたはAAAを含むペプチド
部分のC末端あるいはN末端のペプチド結合に作用する
とは限らないため、種類のことなるエンドプロテアーゼ
を組み合わせて用いることが望ましい。
しては、AAAまたはAAAを含むペプチド部分のC末
端あるいはN末端のペプチド結合に順次作用する酵素で
あれば、動物由来、植物由来、あるいは微生物由来のど
んな酵素でも構わない。たとえば豚あるいは牛の内臓か
ら製造されるカルボキシペプチダーゼAは芳香族アミノ
酸や分岐鎖アミノ酸を側鎖に持つペプチド結合のC末端
側から作用するので本発明に使用する酵素としてふさわ
しいものである。
チド混合物溶液の平均分子量が5000以下、好ましく
は200〜3000となるように作用温度、作用時間、
基質/酵素量比を調整する。
異的に吸着するものであればどんな吸着剤でも使用する
ことが可能である。例として合成吸着剤、イオン交換樹
脂、活性炭などが使用できる。活性炭はAAAなど疎水
性のアミノ酸を初め、アミノ酸を良く吸着するのでよく
使用されるが、工業的には再生工程が容易である点から
して、合成吸着剤、イオン交換樹脂が使用しやすい。例
えば種々の有機性の重合性モノマーを重合、縮重合、ま
たは共重合することによって得られた架橋重合体、ある
いは種々の重合性モノマーを重合や縮重合した後、架橋
して得られた架橋重合体である多孔性合成吸着剤は各種
の物質、とくに医薬品や食品の分離精製に利用されてい
る。例えば、「ダイヤイオン」HP10、HP20、H
P21、HP30、HP40、HP50、「ダイヤイオ
ン」HP2MG(三菱化成工業(株)製)やアンバーラ
イトXAD−2、XAD−4、XAD−7、XAD−8
(ローム&ハース社製)などの商標で市販されている。
この様な合成吸着剤がアミノ酸を吸着することは良く知
られている。
換樹脂を酸性条件下で酵素分解液と反応させることによ
り、AAAの分離に使用することができる。従来、弱酸
性の陽イオン交換樹脂はpH6〜pH10で用いられて
いるが、この条件下より酸性条件下においては、弱酸性
の陽イオン交換樹脂の官能基であるカルボキシル基は解
離していない。したがって、疎水性相互作用の効果によ
り遊離したAAAおよびAAAを含むペプチドを分離す
ることができるのである。詳細にはpH2.0以上5.
0以下、好ましくはpH3.5以上pH4.5以下にお
いて蛋白質の酵素分解液を弱酸性の陽イオン交換樹脂を
充填したカラムに対して連続的に供給すると、疎水性の
強いAAAおよびAAAを含むペプチドが樹脂に吸着さ
れ遅れて溶出する。そこで、カラム流出液のAAAおよ
びAAAをほとんど含まないペプチドが流出し始めた点
から、AAAおよびAAAを含むペプチドが流出し始め
るまでの分画を採取するいわゆる先端クロマト分離法に
よりAAAおよびAAAをほとんど含まないペプチドの
みを得ることができる。
効率的にするために、蛋白質溶液の酵素分解終了後、遠
心分離により、不溶物を除去し、また、チロシン自体の
溶解度の低い特性を利用してpHを調整後、10℃以下
の低温下、望ましくは0〜4℃の低温下に酵素分解液を
保持することによってチロシンを析出させ、遠心分離に
よって除去することによってさらにAAAを低下させる
ことができる。
記のような工程を経て得ることができるが、必要に応じ
て最終の工程の処理液を脱塩、濃縮、殺菌、あるいは乾
燥することができる。
経口剤や、あるいは食事療法用の治療食の窒素源として
用いることができる。
記ペプチド混合物を含有するものであり、該ペプチド混
合物からなる窒素源を用いる以外は公知の肝疾患患者用
の経口剤や、あるいは食事療法用の治療食と同様に、必
要に応じて各種の蛋白質源としての窒素化合物、炭水化
物、脂質、ビタミン類、ミネラル類、その他の添加物な
どを添加混合して製造し、あるいはこれらと併用しても
差支えない。
牛乳ホエイ蛋白質、卵白アルブミン、卵白グロブリン等
の動物性蛋白質、大豆蛋白質などの植物性蛋白質を用い
ることができる。
糖類、多糖類、食物繊維などを用いることができる。例
えば、グルコース、マルトース、シュークロース、ラク
トース、イソマルトース、デンプン、デキストリンなど
を例示できる。
ン油、綿実油、ラード、パーム油、ピーナッツ油、サフ
ラワー油、大豆油、ヒマワリ油、ヤシ油、MCT油、魚
油など、あるいは脂肪酸組成を調整するために、上記の
脂肪を各種混合した調整脂肪などが例示できる。
患患者用に使用されるだけではなく、肝機能が低下して
いる病弱者、乳幼児に対して使用できるほか、飲酒等に
よる一時的肝機能の低下者に対しても使用できるし、肝
機能の低下を予防するために保健的に健常者が使用する
ことももちろん可能である。したがって本発明に係る組
成物は、医薬タイプで使用するほか、飲料、食品、栄養
食品、機能性食品、特定保健用食品、ドリンク剤等飲食
品タイプで使用し、肝臓病患者のみならず、病弱者、病
後の人、また、健常人に対しても広く使用できるもので
ある。
細に説明するが、本発明はその趣旨を越えないかぎり本
実施例に限定されるものではない。
SUEUR社製「BE−PRO」)100重量部(以
下、部と略)を水2000部に溶解し、90℃10分間
加熱した。冷却後、くえん酸と塩酸を用いてpHを1.
8〜2.0に調整し、酵素(A/S ORTHANA
KEMISK FABRIK社製「ペプシン」)を0.
5部加え、37〜38℃で24時間酵素分解した。酵素
分解後80〜85℃で30分加熱して酵素を失活した後
に、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを7.5とし
た。ニュートラーゼ0.5L(NOVO INDUST
RI AS社製)を1.0部加え、42〜43℃で6時
間酵素分解した。酵素分解後80〜85℃で30分加熱
して酵素を失活した後に、くえん酸水溶液を加えて、p
Hを4.0とした。カルボキシペプチダーゼW(ぺんて
る(株)社製)を1.0部加え、42〜43℃で4時間
酵素分解した。酵素分解後80〜85℃で30分加熱し
て酵素を失活した後に、氷冷し、4℃で一晩放置した。
遠心分離(5,000R.P.M.×30分)し、不溶
物ならびに析出したチロシンなどのアミノ酸を除去し
た。得られた上清液をCM−SEPHADEX C−2
5を充填したカラムに通液し、最初に溶出してくる画分
を採取した。得られた画分をバッチ殺菌(75℃、30
分)した後、凍結乾燥によって、ペプチド混合物を得
た。
dro WPI 1)とさらに分画処理して凍結乾燥に
よって得られたペプチド混合物(HF peptide
s1)について、そのアミノ酸組成を下記の表1に示し
た。
およびHF peptides 1の各々の分岐鎖アミ
ノ酸/芳香族アミノ酸(BCAA/AAA)モル比、お
よび分岐鎖アミノ酸(BCAA)、芳香族アミノ酸(A
AA)の濃度は下記の表2に示す通りであった。
SUEUR社製「BE−PRO」)100重量部(以
下、部と略)を水2000部に溶解し、90℃10分間
加熱した。冷却後、pHを7.0に調整し、酵素(天野
製薬社製「アマノN」)を1.0部加え、50℃で5時
間酵素分解した。酵素分解後85℃で15分加熱して酵
素を失活した後に、くえん酸水溶液を加えてpHを4.
0とした。カルボキシペプチダーゼW(ぺんてる(株)
社製)を1.0部加え、42〜43℃で3時間酵素分解
した。酵素分解後80〜85℃で10分加熱して酵素を
失活した後に、氷冷し、4℃で一晩放置した。遠心分離
(5,000R.P.M.×30分)し、不溶物ならび
に析出したチロシンなどのアミノ酸を除去した。得られ
た上清液に活性炭(武田薬品(株)社製「白鷺」)10
(W/W)%を分散させ、30分撹拌した。2重にした
濾過布を用いて活性炭を除去し、得られた上清画分をバ
ッチ殺菌(75℃、30分)した後、凍結乾燥によっ
て、ペプチド混合物を得た。
dro WPI 2)とさらに分画処理して凍結乾燥に
よって得られたペプチド混合物(HF peptide
s2)について、そのアミノ酸組成を下記の表3に示し
た。
味の良い、窒素源としてのペプチド混合物が製造可能で
ある。該ペプチド混合物は肝疾患患者用に用いられる各
種の治療用製剤、食事療法用の治療食などの窒素源とし
て幅広く使用することが可能である。また、その他肝機
能の低下した人々に対しても広く使用できるし、肝機能
低下を予防する目的で健常者が保健用として広く使用す
ることももちろん可能である。
く、BCAAを多量に含有するため、生体内蛋白質、ア
ルブミン合成能の向上、筋肉組織での蛋白質合成の促進
並びに分解抑制、肝臓での蛋白質合成能の促進、血液脳
関門に於けるAAAの脳内輸送阻害、脳内エピネフリン
の合成促進、ノルエピネフリン(オクトパミン、βフェ
ニルエタノラミン)の産生低下をもたらすことが期待で
きる。
して主としてペプチド混合物を含有するものであるた
め、消化管からの吸収性が良好であると共に、アミノ酸
混合物と比較して浸透圧が低いために下痢などが回避で
き、さらに経口から摂取する場合でも風味が良く、患者
に負担を与えることが少ない。また肝疾患患者の血漿中
のアミノ酸パターンおよびBCAA/AAAモル比を有
意に改善することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 β−ラクトグロブリンを酵素で分解して
得られる、分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸モル比が1
0以上、分岐鎖アミノ酸が15重量%以上、芳香族アミ
ノ酸が2.0重量%未満、平均分子量が数百〜数千であ
ることを特徴とするペプチド混合物。 - 【請求項2】 β−ラクトグロブリンを変性させた後酵
素を用いて加水分解し、必要あれば固液分離を行った
後、吸着剤で処理し、下記の物性を有するペプチド混合
物を取得することを特徴とする下記の物性を有するペプ
チド混合物の製造法。ペプチド混合物の物性 β−ラクトグロブリンを酵素で分解して得られる、分岐
鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸モル比が10以上、分岐鎖
アミノ酸が15重量%以上、芳香族アミノ酸が2.0重
量%未満、平均分子量が数百〜数千であるペプチド混合
物。 - 【請求項3】 ペプチド混合物が肝疾患患者用栄養補給
物であることを特徴とする請求項1に記載のペプチド混
合物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10838992A JP3183945B2 (ja) | 1992-04-02 | 1992-04-02 | 高フィッシャー比ペプチド混合物、その製造法、および肝疾患患者用栄養補給組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10838992A JP3183945B2 (ja) | 1992-04-02 | 1992-04-02 | 高フィッシャー比ペプチド混合物、その製造法、および肝疾患患者用栄養補給組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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