JP2819283B2 - 連続紙走行張力制御装置 - Google Patents

連続紙走行張力制御装置

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JP2819283B2
JP2819283B2 JP8355419A JP35541996A JP2819283B2 JP 2819283 B2 JP2819283 B2 JP 2819283B2 JP 8355419 A JP8355419 A JP 8355419A JP 35541996 A JP35541996 A JP 35541996A JP 2819283 B2 JP2819283 B2 JP 2819283B2
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康生 実石
誠治 鈴木
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B65HHANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL, e.g. SHEETS, WEBS, CABLES
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    • B65H2801/21Industrial-size printers, e.g. rotary printing press

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  • Controlling Rewinding, Feeding, Winding, Or Abnormalities Of Webs (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、輪転機における
連続紙走行張力制御装置、特に印刷開始後の張力の変動
を小さくし、印刷開始後短時間で走行張力を安定させる
ことができる連続紙走行張力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術における輪転機の連続紙走行
張力制御装置としては、例えば、特開平4−34145
0号公報、特開平5−116823号公報、特開平6−
127773号公報及び特開昭61−261054号公
報に開示されているものがある。
【0003】特開平4−341450号公報に開示され
ている連続体の搬送張力制御装置は、連続体の搬送速度
を調整する速度調整部と、連続体の張力を検出する張力
検出部と、連続体の搬送速度を検出する速度検出部と、
予め定めた設定張力値とと前記張力検出部の検出張力値
との差を演算し、速度調整信号を生成して前記速度調整
部へ出力する速度制御部と、ダンサーローラーのアーム
を回転する回転駆動部である電空変換器及びエアーシリ
ンダーと、ダンサーローラーの回転位置を検出する位置
検出部と、予め定めたダンサーローラーの標準設定位置
に相当する標準設定値と前記位置検出部の検出値との差
を演算し、回転駆動信号を前記回転駆動部へ出力するダ
ンサーローラー制御部とで構成されている。
【0004】そして、この連続体の搬送張力制御装置
は、ダンサーローラーの位置制御においては、ダンサー
ローラーの位置が位置検出部で検出され、その検出値と
予め定めた設定回転位置との差が演算された後、その差
は、該差に相当する大きさの電流に変換されてエアーシ
リンダーを操作する電空変換器に入力される。これによ
りダンサーローラーは常に設定された位置に維持される
ように制御される。
【0005】同じく、連続体の速度制御においては、張
力検出部で連続体の張力が検出され、その検出値と予め
定められた設定張力値との差が演算される。更に、速度
検出部の出力が電圧に変換され、その速度検出部の出力
値と、前記の連続体の張力の検出値と予め定められた設
定張力値との差との和に基づいた信号が生成され、その
信号が連続体の速度を制御する速度調整部に入力され
る。それにより連続体の速度が制御され、その結果、そ
の速度検出値が、予め定められた設定張力値に適合する
ように制御される。ダンサーローラーの位置制御の応答
速度は、速度制御回路の走行連続体の張力制御の応答速
度より充分に遅くなるように設定されている。
【0006】特開平5−116823号公報に開示され
ているシート状材料の張力制御装置は、シート状材料の
張力を検出する張力検出器と、予め定められた設定張力
値と前記張力検出器の検出値との差を演算する減算器
と、ダンサーローラーの位置を検出する位置検出器と、
予め定めたダンサーローラーの標準設定位置に相当する
標準設定値とダンサーローラーの位置検出器の検出値と
の差を演算する減算器と、ダンサーローラーの揺動速度
を演算する微分器と、電動機の速度を検出する速度検出
器と、予め定めた設定速度値と速度検出器の検出値との
差を演算する減算器と、前記演算された各演算値から電
動機の速度修正量を演算する演算器と、演算された速度
修正量から速度指令値を算出する演算器とから構成され
ている。
【0007】上記のシート状材料の張力制御装置におい
ては、張力検出器によってシート状材料の張力が検出さ
れ、その検出値の設定張力値からの偏差が演算されると
共に、位置検出器によってダンサーローラーの位置が検
出され、その検出値の標準値からの偏差が演算され、且
つダンサーローラーの速度が演算される。又、速度検出
器によって電動機の速度が検出され、その検出値の設定
速度値からの偏差が演算される。そして、演算された各
演算値に基づいて電動機の速度修正量が演算されて電動
機の速度指令値が算出され、この電動機の速度が制御さ
れることによりシート状材料の張力が一定に保たれる。
【0008】特開平6−127773号公報に開示され
ている輪転印刷機における張力制御装置は、張力検出器
の出力とダンサーローラーの揺動位置検出のための発振
器の出力に基づいて制御装置が巻取紙を回転駆動するモ
ーターの回転速度を制御するようになっていると共に、
ダンサーローラーの揺動軸に対するエアブレーキ装置の
圧縮空気供給用の電磁弁が制御装置により作動されるよ
うになっている。
【0009】そして、輪転印刷機の起動時には、制御装
置により電磁弁が作動し、ダンサーローラーの揺動軸に
対するエアブレーキ装置に圧縮空気が供給され、ダンサ
ーローラーは中央位置に固定されているので、発振器の
出力は制御装置に印加されないで、巻取紙を回転駆動す
るモーターの回転速度は、張力検出器の出力のみに基づ
いて制御装置により制御される。輪転印刷機が所定運転
速度に達すると、制御装置により電磁弁が作動し、エア
ブレーキ装置は開放され、ダンサーローラーの揺動が可
能となり、モーターの回転速度は、張力検出器の出力と
発振器の出力とに基づいて制御装置により制御される。
【0010】特開昭61−261054号公報に開示さ
れている輪転印刷機の起動装置は、ダンサーローラー位
置検出器とドラッグローラー変速機と変速比制御装置と
よりなるダンサーローラー方式インフィード張力制御装
置が備えられた輪転機において、ダンサーローラーを中
央位置なるように機械的に保持するダンサーローラース
トッパーがダンサーローラーに設けられ、印刷機の印刷
胴の着脱を検知する胴着脱検知器が設けられ、ダンサー
ローラーストッパーの入・切を制御する制御装置が設け
られている。
【0011】輪転印刷機の起動装置においては、印刷機
の胴入れ前には、それを胴着脱検知器が検知し、そこか
ら入力される脱信号によりダンサーローラーストッパー
制御装置が作動して、ダンサーローラーストッパーを固
定して、ダンサーローラーが中央位置に保持される。印
刷機の胴入れが行われると、それを胴着脱検知器が検知
し、そこから入力される着信号によりダンサーローラー
ストッパー制御装置が作動して、ダンサーローラースト
ッパーの固定を解除する。なお、胴入れ前も後も、ダン
サーローラー位置検出器、変速比制御装置及び変速機に
より、ダンサーローラーが常に中央位置になるようにイ
ンフィードローラーの変速比制御が行われる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記の例示した従来の
技術には、下記のように夫々問題点がある。特開平4−
341450号公報に開示されている装置は、速度制御
部とダンサーローラー制御部とで構成されており、速度
制御部の制御として、張力の短時間の変動や細かい変動
に対しては、鋭敏に修正をし、大きな変動に対しては必
要以上の修正を避けて、ダンサーローラーの揺動により
それを吸収させている。
【0013】ダンサーローラー制御部の制御として、張
力の大きな変動や緩やかな変動に対応し、ダンサーロー
ラーが平均的に略中央にあるならば急激に大きな変動が
あっても、ダンサーローラーが広い可動範囲で動くこと
により張力変動を吸収する。又、ダンサーローラー制御
部の応答速度を十分に遅くすることにより、速度制御部
との相互干渉を避け広い範囲の制御を安定にしている。
このように、張力の大きな場合は、速度制御部の制御
は、必要以上の修正を避け、ダンサーローラー制御部の
制御だけとなる。
【0014】この場合、振れ範囲一杯まで大きく揺動さ
れ、張力を吸収したダンサーローラーが中央位置付近に
安定するまでには、ダンサーローラーの変位移動距離が
長いことと、ダンサーローラー制御部の応答速度が遅く
なっていることにより、長い時間を必要とし、その間に
再度急激に大きな張力変動があった場合、ダンサーロー
ラーによる張力変動の吸収が不可能となる不具合があ
る。
【0015】特開平5−116823号公報に開示され
ている装置は、搬送ローラーの制御が、シート状材料の
予め定めた設定張力値と検出値との偏差、ダンサーロー
ラーの予め定めた標準位置に相当する標準設定値と検出
値との偏差、並びにダンサーローラーの速度及び搬送ロ
ールの速度の予め定めた各設定速度値と各検出値との偏
差というような多種の演算値により行われなければなら
ない。
【0016】そして、この公報に開示されている搬送ロ
ール制御の演算式を参照すると、この制御は、前記夫々
の検出器の検出値と予め定めた夫々の設定値との偏差を
零に近づけようとする制御である。しかし、多くの箇所
での偏差を全て設定値に一致させようとすることは困難
である上、多くの演算値を使用して制御するために、演
算誤差が生じ易く、制御精度が低下する。又、この装置
は、印刷中の制御のみが可能であり、印刷前の張力が低
く、ダンサーローラーが揺動端にある場合の制御が考慮
されておらず、従って印刷開始から張力が安定するまで
には、長時間を要する。
【0017】特開平6−127773号公報に開示され
ている輪転印刷機における張力制御装置は、張力検出器
の検出値とダンサーローラーの揺動位置検出のための発
振器の検出値とに基づいて制御装置が巻取紙を回転駆動
するモーターの回転速度を制御する際に、運転開始後の
短時間の増速によりダンサーローラーが揺動端に移動し
て機能を失いダンサーローラーのハンチングや走行紙の
ばたつきの発生を防止するために、運転開始から所定の
速度に達するまで緩やかに増速させる必要があり、輪転
機が所定の稼動速度に達するまでの時間が長くなってい
たのを解消するために、ダンサーローラーの揺動を規制
するエアブレーキ装置が設けられている。
【0018】そして、運転開始から所定の回転速度に達
するまでエアブレーキ装置でダンサーローラーが中央位
置に位置した状態で固定され、巻取紙を回転駆動するモ
ーターの回転速度は、張力検出器の出力のみに基づいて
制御装置により制御される。輪転印刷機が所定運転速度
に達すると、制御装置により電磁弁が作動し、エアブレ
ーキ装置は開放され、ダンサーローラーの揺動可能とな
り、モーターの回転速度は、張力検出器の出力と発振器
の出力とに基づいて制御装置により制御される。
【0019】そして、ダンサーローラーをエアブレーキ
装置で固定したまま、所定の運転速度まで短時間に増速
しても、ダンサーローラーのハンチングや走行紙のばた
つきは生じない。しかし、短時間に増速することによっ
て生じる急激な張力変動に対しては、ダンサーローラー
のような張力を吸収する部分がなく、巻取紙を回転駆動
するモーターの回転速度の速度制御のみでは急激な張力
変動に対応した張力制御が困難であり、張力が不安定と
なり、走行紙の紙流れや皺の発生の原因となっている。
又、ダンサーローラーを固定する際、ダンサーローラー
が中央位置から離れていた場合に中央位置への移動制御
を行う方法がない。
【0020】特開昭61−261054号公報に開示さ
れている輪転印刷機の起動装置は、ダンサーローラー位
置検出器の検出値に基づいてインフィードローラーの駆
動速度を制御する張力制御装置において、運転開始及び
緩動運転、即ち最低速度運転の場合では走行紙の張力が
低いので、ダンサーローラーが揺動端位置にあって走行
紙の張力が不安定になり走行紙の蛇行や断裁狂いが生じ
ることがあり、損紙の増加となっていたのを解消するた
めに、ダンサーローラーを中央位置になるように機械的
に保持するダンサーローラーストッパーがダンサーロー
ラーに設けられている。そして、印刷機の胴入れ前にダ
ンサーローラーストッパーがダンサーローラーを中央位
置に保持する。
【0021】印刷機の胴入れ後は、ダンサーローラース
トッパーの固定、即ちダンサーローラーの保持を解除
し、前記ダンサーローラーの位置検出器の検出値に基づ
いてインフィードローラーの駆動を制御する張力制御を
行う。しかし、胴入れ後の印刷が開始された後に、ダン
サーローラーの保持を解除するため、胴入れ前後の間の
張力制御は行われておらず、張力が不安定である。又、
ダンサーローラーを中央位置に固定するときに、ダンサ
ーローラーが中央位置から離れていた場合に中央位置へ
の移動制御を行うことができない。
【0022】この発明は、前記の従来の技術がもつ諸問
題を一挙に解決したものであり、輪転機の運転開始及び
最低速度運転において、フローチングローラーとダンサ
ーローラーとの設定張力の釣合いを調節することによ
り、ダンサーローラーを中央位置へ容易に設定が可能で
あるようにし、又ダンサーローラー位置維持手段を印刷
開始する胴入れ信号の前に増速信号により作動解除する
ことにより、円滑に印刷開始のときより張力制御が行わ
れるようにしている。
【0023】更に、ダンサーローラーの変位移動範囲を
複数に区分し、各区分域でのダンサーローラーの変位方
向検出手段と変位速度検出手段と変位位置検出手段との
3つの検出手段の検出値に基づいてインフィードローラ
ー駆動速度調節操作手段の駆動時間を制御することによ
り必要以上の制御をすることをなくし、従って、張力変
動を極力小さく押えた張力制御が可能であり、且つ張力
が安定するまでの時間を短縮し、常に安定した張力制御
が得られるようにする。加えて、張力制御のための検出
対象をダンサーローラーの変位のみとし、且つ複雑な演
算をすることなく制御することにより、検出・演算誤差
を少なくした制御精度の高い装置の提供を目的としてい
る。
【0024】
【課題を解決するための手段】この発明の輪転機におけ
る連続紙走行張力制御装置は、制動装置を備えた支持部
に回転可能に支持された巻取紙が備えられた給紙部と印
刷胴を備えた印刷部との間で、印刷胴の駆動源と共通の
インフィードローラー駆動源、インフィードローラー駆
動源に接続されインフィードローラーの周速度を変更す
るインフィードローラー駆動変速機、張力制御処理部か
ら入力される変速比調節信号によりインフィードローラ
ー駆動変速機の変速比を調節作動する駆動変速機調節操
作手段及びインフィードローラー駆動変速機の変速比で
定まるインフィードローラーの印刷胴に対する周速度比
を検出し、その検出信号を張力制御処理部に入力するよ
うに接続されている周速度比検出器を備えているインフ
ィードローラーにより給紙部から引き出される連続紙の
印刷胴への走行経路において、インフィードローラーよ
り上流側に配設されているフローチングローラー装置及
びインフィードローラーより下流側に配設されているダ
ンサーローラー装置並びにインフィードローラーの駆動
変速機調節操作手段及びダンサーローラー装置を制御す
る張力制御処理部から構成されている。
【0025】そして、フローチングローラー装置は、連
続紙が巻き掛けられ、給紙部とインフィードローラーと
の間の連続紙の走行経路長を伸縮するように変位し得る
フローチングローラー、連続紙の走行張力に抗して連続
紙の走行経路長を伸長するようにフローチングローラー
を変位させる流体圧シリンダー、及び流体圧シリンダー
への流体圧力を検出する流体圧検出器を備えている。
【0026】ダンサーローラー装置は、連続紙が巻き掛
けられ、インフィードローラーと印刷部との間の連続紙
の走行経路長を伸縮するように変位し得るダンサーロー
ラー、連続紙の走行張力に抗して連続紙の走行経路長を
伸長するようにダンサーローラーを変位させる流体圧シ
リンダー、ダンサーローラーの流体圧シリンダーへの供
給流体圧力を変更する流体圧変更器、ダンサーローラー
変位方向を検出するダンサーローラー変位方向検出手
段、ダンサーローラー変位速度を検出するダンサーロー
ラー変位速度検出手段及びダンサーローラー変位位置を
検出するダンサーローラー変位位置検出手段(ダンサー
ローラー変位方向、ダンサーローラー変位速度及びダン
サーローラー変位位置を一つの検出手段により検出する
ようにしてもよい)を備えており、更にはダンサーロー
ラーの位置を停止維持するダンサーローラー位置決め手
段を付加して備えている。
【0027】張力制御処理部は、インフィードローラー
の周速度比検出器からの周速度比検出信号及びフローチ
ングローラー装置の流体圧検出器からの検出信号が入力
され、且つ輪転機の最低速度運転信号、最低速度速度信
号、増速信号、胴入れ信号、印刷停止信号、急停止信
号、胴逃げ信号及び断紙検出信号が入力されるように接
続されていると共に、各検出信号に基づきインフィード
ローラーの駆動変速機調節操作手段にインフィードロー
ラーの印刷胴に対する周速度比を制御する変速比調節信
号を入力するように接続されており、且つダンサーロー
ラー装置の流体圧変更器に流体圧力変更信号を入力する
ように接続されており、更にダンサーローラー位置決め
手段を付加して備えている場合には、それに対し拘束・
解放作動信号を入力するように接続されている。
【0028】更に、インフィードローラーの駆動変速機
調節操作手段は、複数に区分されたダンサーローラーの
変位範囲の各区分域における変位方向・変位速度・変位
位置を検出するダンサーローラー変位検出手段の各検出
値に基づいて駆動時間が制御される。
【0029】連続紙走行張力制御装置の制御は、印刷開
始前の準備における制御及び印刷開始のための増速開始
後の張力変動を小さくする制御に分類される。又、連続
紙走行張力制御装置による張力制御は、輪転機の電源入
力時に起動される。
【0030】印刷開始前の準備における第1段階は、ダ
ンサーローラーの中央標準位置決め制御である。輪転機
が停止しているとき、ダンサーローラーは、中央標準位
置付近にあるとは限らない。特に印刷前の連続紙がない
状態から連続紙を給紙部から順に紙通し作業を行うとき
などは、インフィードローラーや印刷部の印刷胴への連
続紙の押付けを逃がし、巻取紙の支持部の制動装置を不
作動にして行う必要があるため、連続紙の張力がない状
態である。
【0031】又、予めフローチングローラーの流体圧シ
リンダーには、フローチングローラーへの所定の設定圧
力である第1定常圧力になって圧力流体が供給されてい
る。そして、流体圧検出器から入力される検出信号によ
る検出値に基づいて張力制御処理部が処理して出力する
流体圧変更信号により流体圧変更器を作動して、フロー
チングローラーへの所定の設定圧力により定まる連続紙
の張力と釣り合うように、ダンサーローラーの流体圧シ
リンダーには、圧力流体が第2定常圧力になって供給さ
れるのであるが、ダンサーローラーの中央標準位置決め
制御を行う前に、張力制御処理部において、ダンサーロ
ーラーの流体圧シリンダーへの供給圧力流体の圧力を第
2定常圧力からそれより大きい第3定常圧力に切換える
ように流体圧変更器を作動させる流体圧変更信号が出力
される。
【0032】フローチングローラーの流体圧シリンダー
に第1定常圧力の圧力流体が供給され、ダンサーローラ
ーの流体圧シリンダーに第3定常圧力の圧力流体が供給
された状態で、フローチングローラー及びダンサーロー
ラーは、共に弛み側位置にある。この様な状態で、巻取
紙からの連続紙は、フローチングローラー、インフィー
ドローラー及びダンサーローラーを通る印刷胴への走行
経路に沿って図示しない折部まで紙通しされる。
【0033】紙通しが完了した後で輪転機が起動される
と、印刷胴が回転駆動されると共に、インフィードロー
ラーもインフィードローラー駆動変速機を介して回転駆
動され、その結果、連続紙は、走行経路に沿って走行す
る。この状態で、巻取紙の支持部の制動装置が作動され
ると走行する連続紙に張力が発生する。その張力がフロ
ーチングローラーを中央位置に向うように働き、フロー
チングローラーの設定圧力に相当する流体圧シリンダー
への第1定常圧力に釣り合った状態でフローチングロー
ラーが中央位置に保持されるように制動装置が制御され
る。このとき、ダンサーローラーは、弛み側位置にあ
る。
【0034】ダンサーローラーの中央標準位置決め制御
は、ダンサーローラーの位置が弛み側位置にあり前記の
フローチングローラーの中央位置決めが完了した条件と
輪転機の運転開始のための運転信号出力とが揃った時点
から開始される。即ち、ダンサーローラーの位置が弛み
側位置にあることは、変位位置検出手段により検出さ
れ、その検出信号が張力制御処理部に入力されることに
より確認される。
【0035】それと共に、運転開始によりフローチング
ローラー装置の流体圧シリンダーへの圧力流体の圧力が
流体圧検出器に検出され、その検出信号は張力制御処理
部に入力され、張力制御処理部は、その検出信号に基づ
きフローチングローラーの張力設定圧力を検出し、その
張力設定圧力に基づく流体圧変更信号を流体圧変更器へ
入力する。流体圧変更器は、その流体圧変更信号に基づ
き、ダンサーローラー装置の流体圧シリンダーへ供給さ
れる圧力流体の圧力を減少させ、流体圧検出器に検出さ
れる検出圧力以下にする。
【0036】すると、走行する連続紙の張力によってダ
ンサーローラーは中央位置に向うように変位する。ダン
サーローラーが中央標準位置に位置したことは、変位位
置検出手段により検出され、その検出信号が張力制御処
理部に入力される。そして、張力制御処理部は、その検
出信号に基づき流体圧変更信号を流体圧変更器へ入力す
る。流体圧変更器は、その流体圧変更信号に基づき、ダ
ンサーローラーの流体圧シリンダーへ供給される圧力流
体の圧力を前記第2定常圧力になるようにし、流体圧シ
リンダーによる力を介してフローチングローラーとダン
サーローラーとの張力圧力を釣り合わせて、ダンサーロ
ーラーを中央標準位置に維持する。
【0037】印刷開始前の準備における制御の第2段階
は、上記のようにダンサーローラーがダンサーローラー
の中央標準位置にある場合に、ダンサーローラー装置の
ダンサーローラー位置決め手段によりダンサーローラー
の位置を機械的に固定する制御である。機械運転速度が
最低速度(クローリング)以下(停止も含む)の状態で
あり、且つ変位位置検出手段によりダンサーローラーが
中央標準位置にあることが検出され、変位位置検出手段
から検出信号が張力制御処理部に入力された状態で、張
力制御処理部から出力されるダンサーローラー位置維持
信号に基づいてダンサーローラー位置決め手段が作動
し、ダンサーローラーの位置は、中央標準位置乃至その
付近に固定される。
【0038】このダンサーローラーの位置決め固定によ
り、印刷前に行われる寸動運転や巻取紙の位置の回転変
位において生じる連続紙の張力の増大に対して、ダンサ
ーローラーの位置の変化が防止される。輪転機運転速度
が最低速度以上に増速され、張力制御処理部に増速信号
が入力されると、張力制御処理部から出力されるダンサ
ーローラー位置解放信号によりダンサーローラーは変位
可能となる。
【0039】従って、ダンサーローラーの中央標準位置
決め制御である第1制御が行われ、引続いて輪転機が常
用印刷速度運転に移行すれば、ダンサーローラー位置決
め手段による前記の第2段階の制御は省かれてもよい。
印刷開始前の準備における制御の第3段階は、インフィ
ードローラーの回転速度制御である。
【0040】印刷開始前、即ち胴入れ信号が出力される
前の適宜のタイミングで、インフィードローラー周速度
比検出器がインフィードローラーの周速度の印刷胴の周
速度に対する周速度比を検出し、その検出信号が張力制
御処理部に入力されると、張力制御処理部は、その周速
度比と予め定められた設定周速度比と比較して、その周
速度比が設定周速度比でないときには、設定周速度比に
するようにインフィードローラーの周速度、即ち回転速
度を変速するべく変速比調節信号を駆動変速機調節操作
手段に対し出力する。
【0041】すると、駆動変速機調節操作手段は、イン
フィードローラー駆動変速機を調節操作して、インフィ
ードローラー駆動変速機は、インフィードローラーの周
速度の印刷胴の周速度に対する周速度比が設定周速度比
になるようにインフィードローラーの回転速度を変速す
る。上記の印刷開始前の準備における制御を経て常用印
刷速度運転を行うための適切な条件は、輪転機の最低速
度運転終了までに整えられる。
【0042】印刷開始のための輪転機の増速開始後の連
続紙の張力制御においては、ダンサーローラーの変位に
おいて変位方向が変位方向検出手段により、変位速度が
変位速度検出手段により、ダンサーローラーの変位位置
が変位位置検出手段により夫々検出され、ダンサーロー
ラーへ送り出されている連続紙の送り出し量を少なくし
てダンサーローラーを通過する連続紙の張力を状況に合
わせて高くするか、又はダンサーローラーへ送り出され
ている連続紙の送り出し量を多くしてダンサーローラー
を通過する連続紙の張力を状況に合わせて低くするかし
て、ダンサーローラーを中央標準位置乃至その付近に維
持する。
【0043】即ち、前記ダンサーローラーの変位速度、
変位方向及び変位位置に基づいてインフィードローラー
の駆動変速機調節操作手段の作動時間を変更し、インフ
ィードローラーの周速度の増減量を調節する。この張力
制御により張力変動を輪転機の増速・減速等の外乱に対
しても極力小さく押えることができる。詳細には、輪転
機の運転速度が増速開始すると同時に、増速信号が入力
された張力制御処理部からの信号に基づいてダンサーロ
ーラー位置決め手段は不作動状態になり、ダンサーロー
ラーは変位可能になる。従って、ダンサーローラーに巻
き掛けられた連続紙の張力は、ダンサーローラーに作用
する流体圧シリンダーにおける第2定常圧力に釣り合っ
た一定の状態に維持される。
【0044】輪転機は、増速開始で最低速度運転から常
用印刷速度にまで増速されるのであるが、運転増速開始
から適宜経時後、胴入れが行われ、連続紙が印刷部の印
刷胴に挟まれて走行すると共に、インフィードローラー
に巻き掛けられた連続紙はインフィードローラーの外周
面に押し付けられる。
【0045】胴入れ信号が張力制御処理部に入力されて
から適宜時間の経過後、ダンサーローラー装置の流体圧
変更器に張力制御処理部から流体圧変更信号が入力さ
れ、それにより流体圧シリンダーに供給される圧力流体
の圧力が前記の第2定常圧力から、それよりも高い所定
の圧力である運転時設定圧力に切り換えられ、且つイン
フィードローラーの周速度が変更されてダンサーローラ
ーへ送り出される連続紙の送り出し量を変更されること
によって、ダンサーローラーに巻き掛けられた連続紙の
張力が運転時設定圧力と釣り合った状態になるよう調節
され、かくして連続紙走行張力制御が行われる。この連
続紙走行張力制御は、印刷停止で減速されて最低速度に
なるまで、急停止の場合では急停止信号が検出した時点
まで、又は連続紙の断紙の場合では断紙検出信号が検出
した時点まで行われる。
【0046】増速開始後の連続紙走行張力制御は、ダン
サーローラーの変位範囲が分割され、中央部分の不感帯
領域においては、ダンサーローラーが両側の断続出力領
域から不感帯領域に変位移動し、侵入した場合で、しか
もダンサーローラーの移動速度が標準の速度よりも速い
ときのみダンサーローラーの移動を停止するように状況
に合わせ、連続紙の張力を高く、又は低くなるように張
力制御処理部から出力される変速比調節信号を駆動変速
機調節操作手段に入力し、駆動変速機調節操作手段を短
時間で1回だけ作動させ、インフィードローラーの周速
度を調節する。又、ダンサーローラーの移動速度が標準
以下の場合は、張力変動が安定しているとして制御は行
わない。
【0047】断続制御領域においては、ダンサーローラ
ーが断続制御領域に停滞しているか、又は中央部分の不
感帯領域から離れる方向に移動しているときのみ、ダン
サーローラーを不感帯領域に向けて移動するように、状
況に合わせて連続紙の張力を高く、又は低くなるように
張力制御処理部により出力される変速比調節信号をイン
フィードローラーの駆動変速機調節操作手段に入力し、
駆動変速機調節操作手段を短時間で断続的に2回以上作
動させ、インフィードローラー駆動変速機によりインフ
ィードローラーの周速度を調節する。
【0048】連続出力領域においては、ダンサーローラ
ーが連続出力領域に停滞しているか、又は中央部分の不
感帯領域から離れる方向に移動しているときのみ、ダン
サーローラーを不感帯領域に向けて移動するように、状
況に合わせて連続紙の張力を高く、又は低くなるように
張力制御処理部により出力される変速比調節信号をイン
フィードローラーの駆動変速機調節操作手段に入力し、
駆動変速機調節操作手段を不感帯領域の制御時間より長
い時間だけ連続的に作動させ、インフィードローラー駆
動変速機によりインフィードローラーの周速度を調節す
る。
【0049】上記の変位範囲のうち、断続制御領域及び
連続出力領域における各制御は、いずれも、ダンサーロ
ーラーの移動方向が中央に向いた時点でインフィードロ
ーラーの駆動変速機調節操作手段の出力を停止して必要
以上の制御出力を出さないようにしている。従って、必
要最小限の張力変動で押えられる。又、この制御によれ
ば、ダンサーローラーが不感帯領域で極力緩やかに移動
するので、張力変動を極力小さく押えることができる。
【0050】第4制御である連続紙の張力制御を行いな
がら印刷停止をする場合には、輪転機の運転速度が常用
印刷速度から最低速度へ減速開始し、輪転機が最低速度
運転になると胴逃げ信号に基づき連続紙は、印刷部の印
刷胴及びインフィードローラーへの押付けから解放され
る。それと共に胴逃げ信号が入力された張力制御処理部
から流体圧変更信号がダンサーローラー装置の流体圧変
更器に入力され、それにより流体圧シリンダーに供給さ
れる圧力流体の圧力が運転時設定圧力からそれより低い
前記第2定常圧力に切り換えられ、流体圧シリンダーは
その圧力に基づいてダンサーローラーに作用する。又、
ダンサーローラー装置のダンサーローラー位置決め手段
は、印刷停止信号によって減速されて最低速度になった
ときの速度信号が張力制御処理部に入力された時点から
適宜経時後に前記制御の第2段階によつて作動する。
【0051】輪転機印刷運転途中での急停止で停止した
場合には、急停止信号出力時点で、連続紙は印刷部の印
刷胴及びインフィードローラーへの押付けから解放され
るため、巻取紙から折部まで連続紙が、流体圧シリンダ
ーに第1定常圧力が入力された状態のフローチングロー
ラーにおいて釣り合う連続紙の張力に相当する低い張力
で一定であり、ダンサーローラーの位置は、中央付近か
ら弛み側の範囲内にある。
【0052】又、ダンサーローラー装置の流体圧シリン
ダーに供給される圧力流体の圧力は、急停止信号入力後
に機械が停止した後で、張力制御処理部が処理して出力
する流体圧変更信号により流体圧変更器を作動して、ダ
ンサーローラーの流体圧シリンダーへの圧力流体の圧力
が運転時設定圧力からそれより低い第2定常圧力に切り
替わる。そして、ダンサーローラーの位置が弛み側にあ
る条件において、ダンサーローラーの中央標準位置決め
制御が行われる。
【0053】断紙したときには、ダンサーローラーのダ
ンサーローラー位置決め手段は作動解除のままである。
張力制御処理部への断紙検出信号入力時点で、張力制御
処理部が処理して出力する流体圧変更信号により流体圧
変更器を作動して、ダンサーローラー装置の流体圧シリ
ンダーのへの圧力流体が一旦解放された後、断紙検出信
号入力後に機械が停止した時点で張力制御処理部が処理
して出力する流体圧変更信号により流体圧変更器を作動
して、ダンサーローラー装置の流体圧シリンダーへの圧
力流体の圧力が、第2定常圧力に切り換わる。このよう
な制御が適宜行われる。
【0054】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態における輪
転機の連続紙走行張力制御装置を図面に従って説明す
る。図1に示すように、輪転機において、制動装置11
を備えた支持部に回転可能に支持された巻取紙Rが備え
られた給紙部1と印刷胴21,21を備えた印刷部2と
の間で、給紙部1から引き出された連続紙Wの印刷胴2
1,21への走行経路に連続紙走行張力制御装置が設け
られている。
【0055】連続紙Wの走行経路は、例えば、図1で象
徴的に配置図示されたガイドローラ31,32,33,
34、ガイドローラ31,32間にあるフローチングロ
ーラー装置4のフローチングローラー41並びにガイド
ローラ33,34間のインフィードローラー5及びダン
サーローラー装置7のダンサーローラー71に連続紙W
が巻き掛けられて形成されている。そして、連続紙W
は、後述するように回転駆動されるインフィードローラ
ー5の外周面に対し、揺動腕に回転可能に支持されたニ
ップローラー51により押し付けられることにより走行
されるようになっている。
【0056】電動機6により回転駆動される駆動軸61
には、印刷部2の印刷胴21が結合されていると共に、
インフィードローラー駆動変速機52の入力側の駆動軸
53が結合され、インフィードローラー駆動変速機52
の出力側の被動軸54にはインフィードローラー5が結
合され、インフィードローラー5は、インフィードロー
ラー駆動変速機52で設定された駆動軸53に対する回
転速度比、即ち印刷胴21に対する周速度比で回転駆動
されるようになっている。張力制御処理部8から変速比
調節信号が入力されるように接続された駆動変速機調節
操作手段55は、インフィードローラー駆動変速機52
における変速比を微調整するようにインフィードローラ
ー駆動変速機52に接続されている。
【0057】その結果、インフィードローラー5は、イ
ンフィードローラー駆動変速機52で設定された印刷部
2の印刷胴21に対する周速度比で回転駆動されるよう
になっている。そして、周速度比検出器56は、インフ
ィードローラー駆動変速機52で設定されたインフィー
ドローラー駆動変速機52の駆動軸53に対する被動軸
54の変速比をインフィードローラー5の印刷胴21に
対する周速度比として検出し、その検出信号を張力制御
処理部8に入力するように接続されている。
【0058】フローチングローラー装置4は、インフィ
ードローラー5より上流側(給紙部1・インフィードロ
ーラー5間)の連続紙Wの走行張力を調節し、ダンサー
ローラー装置7は、インフィードローラー5より下流側
(インフィードローラー5・印刷部2間)の連続紙Wの
走行張力を調節するようになっている。フローチングロ
ーラー装置4においては、フローチングローラー41
は、基端が回転可能に支持された揺動腕42の揺動端に
回転可能に支持され、揺動腕42の中間部には、流体圧
シリンダーである空気圧シリンダー43のピストン棒4
4の突出端が連結され、詳細には、空気圧シリンダー4
3が基端側で固定フレームに回転変位可能に支持されて
いる。更に揺動腕42の揺動範囲を規制する一対のスト
ッパー(弛み側ストッパー45a,張り側ストッパー4
5b)が揺動腕42に接触するように設けられている。
【0059】空気圧シリンダー43は、圧縮空気供給管
路46からの圧縮空気流入によりピストン棒44を突出
する方向に作動し、圧縮空気供給管路46において空気
圧シリンダー43の近くに設けられた流体圧検出器であ
る空気圧検出器47は、流入空気圧、即ち空気圧シリン
ダー43内の圧力を検出するようになっている。そし
て、空気圧検出器47は、その空気圧検出信号を張力制
御処理部8に入力するように接続されている。
【0060】空気圧シリンダー43の作動によりピスト
ン棒44が適宜突出傾向にあって、連続紙Wの走行張力
が弛むと、図1において揺動腕42は弛み側ストッパー
45aに接触するまでの範囲で適宜揺動し、フローチン
グローラー41は、隣接するガイドローラ31,32間
の連続紙Wの走行経路の長さを増大する方向に移動し、
連続紙Wの走行張力が強まると、図1において揺動腕4
2は張り側ストッパー45bに接触するまでの範囲で適
宜揺動し、フローチングローラー41は、隣接するガイ
ドローラ31,32間の連続紙Wの走行経路の長さを減
少する方向に移動する。
【0061】ダンサーローラー装置7においては、ダン
サーローラー71は、基端がダンサーローラー位置決め
手段72(72a,72b)及びダンサーローラー71
の変位方向検出手段73a,変位速度検出手段73b及
び変位位置検出手段73cを兼ねる揺動検出手段73
(73a,73b,73c)を備えて基端が回動可能に
支持された揺動腕74の揺動端に回転可能に支持され、
揺動腕74の中間部には、流体圧シリンダーである空気
圧シリンダー75のピストン棒76の突出端が連結さ
れ、詳細には、空気圧シリンダー75が基端側で固定フ
レームに回転変位可能に支持されている。更に揺動腕7
4の揺動範囲を規制する一対のストッパー(弛み側スト
ッパー77a,張り側ストッパー77b)が揺動腕74
に接触するように設けられている。
【0062】空気圧シリンダー75は、圧縮空気供給管
路78aからの圧縮空気が流体圧変更器である空気圧変
更器79(例えば電空変換器)を介して流入してピスト
ン棒76を突出する方向に作動し、空気圧変更器79
は、張力制御処理部8からの空気圧変更信号が入力され
るように接続され、張力制御処理部8からの空気圧変更
信号に基づいて空気圧シリンダー75への流入空気圧を
調節するようになっている。
【0063】空気圧シリンダー75の作動によりピスト
ン棒76が適宜突出傾向にあって、連続紙Wの走行張力
が弛むと、図1において揺動腕74は弛み側ストッパー
77aに接触するまでの範囲で適宜揺動し、ダンサーロ
ーラー71は、インフィードローラー5・隣接するガイ
ドローラ34間の連続紙Wの走行経路の長さを増大する
方向に移動し、連続紙Wの走行張力が強まると、図1に
おいて揺動腕74は張り側ストッパー77bに接触する
までの範囲で適宜揺動し、ダンサーローラー71は、イ
ンフィードローラー5・隣接するガイドローラ34間の
連続紙Wの走行経路の長さを減少する方向に移動する。
【0064】ダンサーローラー位置決め手段72は、例
えば揺動腕74の基端に一体に固定されたらブレーキデ
ィスク72aと、圧縮空気供給管路78bに接続されそ
こからの圧縮空気の流入及び同空気の排出によりブレー
キディスク72aをブレーキパッドで拘束・解放するデ
イスクブレーキ手段72bとから構成され、更にデイス
クブレーキ手段72bには、張力制御処理部8からの作
動制御電気信号が入力されるように接続され、圧縮空気
供給管路78bからの圧縮空気の流入及び同空気の排出
の切換は、その作動制御電気信号に基づいて行われるよ
うになっている。
【0065】揺動腕74の揺動方向、即ちダンサーロー
ラー71の変位方向を検出する変位方向検出手段73
a、揺動腕74の揺動速度、即ちダンサーローラー71
の変位速度を検出する変位速度検出手段73b及び揺動
腕74の揺動位置、即ちダンサーローラー71の変位位
置を検出する変位位置検出手段73cの三種の検出手段
を兼ねた揺動検出手段73(例えばポテンショメータ
ー)は、揺動腕74の揺動によって作動するように取り
付けられると共に、各検出信号を張力制御処理部8に入
力するように接続されている。変位方向検出手段73
a、変位速度検出手段73b及び変位位置検出手段73
cは、個別の検出器として構成されていてもよい。
【0066】張力制御処理部8は、揺動検出手段73の
各検出値に基づいて、駆動変速機調節操作手段55に対
する変速比調節信号、空気圧変更器79に対する流体圧
変更信号である空気圧変更信号及びダンサーローラー位
置決め手段72のデイスクブレーキ手段72bに対する
作動・作動解除の拘束・解放作動信号を出力する。張力
制御処理部8には、上記の各信号の外に、輪転機操作制
御部(図示しない)からの最低速度運転信号、最低速度
速度信号、増速信号、胴入れ信号、印刷停止信号、急停
止信号、胴逃げ信号、断紙検出信号等の張力制御処理に
必要な適宜の作動信号が入力されるようになっている。
【0067】上記の輪転機の連続紙走行張力制御装置の
作動について説明する。連続紙走行張力制御装置の制御
は、印刷開始前の準備における第1制御、第2制御及び
第3制御並びに印刷開始のための増速開始後の張力変動
を小さくする制御の4種の制御に分類される。又、連続
紙走行張力制御装置による張力制御は、輪転機の電源入
力時に起動される。
【0068】1.印刷開始前の準備におけるの第1制御 第1制御は、ダンサーローラー71の中央標準位置決め
制御である。輪転機が停止しているとき、ダンサーロー
ラー71は、中央標準位置付近にあるとは限らない。特
に印刷前の連続紙Wがない状態から連続紙Wを給紙部1
から順に紙通し作業を行うときなどは、インフィードロ
ーラー5とニップローラー51のニップ及び印刷部2の
印刷胴21,21のニップを逃がし、巻取紙Rの支持部
の制動装置11を不作動にして行う必要があるため、連
続紙Wの張力がない状態である。
【0069】又、予め輪転機操作制御部(図示しない)
の制御のもとで、フローチングローラー41の空気圧シ
リンダー43には、圧縮空気供給管路46からの圧縮空
気が、後で説明するフローチングローラー41への所定
の設定圧力である第1定常圧力になって供給されてい
る。
【0070】そして、空気圧検出器47から入力される
検出信号による検出値に基づいて張力制御処理部8が処
理して出力する空気圧変更信号により空気圧変更器79
を作動して、フローチングローラー41への所定の設定
圧力により定まる連続紙Wの張力と釣り合うように、ダ
ンサーローラー71の空気圧シリンダー75には、圧縮
空気供給管路78aからの圧縮空気が第2定常圧力にな
って供給されるのであるが、ダンサーローラー71の中
央標準位置決め制御を行う前に、張力制御処理部8にお
いて、圧縮空気供給管路78aからダンサーローラー7
1の空気圧シリンダー75への供給圧縮空気の圧力を第
2定常圧力からそれより大きい第3定常圧力に切換える
ように空気圧変更器79を作動させる空気圧変更信号が
出力される。
【0071】フローチングローラー41の空気圧シリン
ダー43に第1定常圧力の圧縮空気が供給され、ダンサ
ーローラー71の空気圧シリンダー75に第3定常圧力
の圧縮空気が供給された状態で、ピストン棒44及びピ
ストン棒76が前進位置にある。即ちフローチングロー
ラー41の揺動腕42が弛み側ストッパー45aに接触
した位置に、ダンサーローラー71の揺動腕74が弛み
側ストッパー77aに接触した位置に夫々位置すること
により、フローチングローラー41及びダンサーローラ
ー71は、共に弛み側位置にある。
【0072】この様な状態で、巻取紙Rからの連続紙W
は、ガイドローラー31、フローチングローラー41、
ガイドローラー32、ガイドローラー33、インフィー
ドローラー5、ダンサーローラー71、ガイドローラー
34及び印刷胴21,21からなる走行経路に沿って紙
通しされる。紙通しが完了した後で電動機6が起動さ
れ、駆動軸61を介して印刷胴21,21が回転駆動さ
れると共に、駆動軸53、インフィードローラー駆動変
速機52及び被動軸54を介してインフィードローラー
5が回転駆動され、その結果、連続紙Wは、走行経路に
沿って走行する。
【0073】この状態で、巻取紙Rの支持部の制動装置
11が作動されると走行する連続紙Wに張力が発生す
る。その張力がフローチングローラー41を中央位置に
向うように働き、フローチングローラー41の揺動腕4
2が時計回り(図1)に揺動してピストン棒44が退縮
する。そして、フローチングローラー41の設定圧力に
相当する空気圧シリンダー43への第1定常圧力に釣り
合った状態でフローチングローラー41が中央位置に保
持されるように制動装置11が制御される。このとき、
ダンサーローラー71は、まだ揺動腕74が弛み側スト
ッパー77aに接触した位置にある弛み側位置にある。
【0074】ダンサーローラー71の中央標準位置決め
制御は、前記のフローチングローラー41の中央位置決
めが完了した条件と輪転機操作制御部(図示しない)か
らの輪転機の運転開始のための運転信号出力とが揃った
時点から開始される。即ち、ダンサーローラー71の位
置が、弛み側ストッパー77aに揺動腕74の接触した
弛み側位置にあることは、変位位置検出手段73cによ
り検出され、その検出信号が張力制御処理部8に入力さ
れることにより確認される。
【0075】それと共に、運転開始により空気圧シリン
ダー43への圧縮空気の圧力が空気圧検出器47に検出
され、その検出信号は張力制御処理部8に入力され、張
力制御処理部8は、その検出信号に基づきフローチング
ローラー41の張力設定圧力を検出し、その張力設定圧
力に基づく空気圧変更信号を空気圧変更器79へ入力す
る。空気圧変更器79は、その空気圧変更信号に基づ
き、ダンサーローラー71の空気圧シリンダー75へ圧
縮空気供給管路78aから供給される圧縮空気の圧力を
減少させ、空気圧検出器47に検出される検出圧力以下
にする。
【0076】すると、走行する連続紙Wの張力によって
ダンサーローラー71は中央位置(後述の不感帯領域
I)に向うように変位し、ダンサーローラー71の揺動
腕74が反時計回り(図1)に揺動してピストン棒76
が退縮する。そして、揺動腕74の反時計回り(図1)
の揺動位置、即ちダンサーローラー71の中央標準位置
は、変位位置検出手段73cにより検出され、その検出
信号が張力制御処理部8に入力される。そして、張力制
御処理部8は、その検出信号に基づき空気圧変更信号を
空気圧変更器79へ入力する。
【0077】空気圧変更器79は、その空気圧変更信号
に基づき、ダンサーローラー71の空気圧シリンダー7
5へ圧縮空気供給管路78aから供給される圧縮空気の
圧力を前記第2定常圧力になるようにし、空気圧シリン
ダー43による揺動腕42への押圧力及び空気圧シリン
ダー75による揺動腕74への押圧力を介してフローチ
ングローラー41とダンサーローラー71との張力圧力
を釣り合わせて、ダンサーローラー71を中央標準位置
に維持する。
【0078】2.印刷開始前の準備における第2制御 第2制御は、上記のようにダンサーローラー71の中央
標準位置にある場合に、ダンサーローラー装置7のダン
サーローラー位置決め手段72によりダンサーローラー
71の位置を機械的に固定する制御である。図2に示さ
れるように機械運転速度が最低速度以下(停止も含む)
の状態であり、且つ変位位置検出手段73cによりダン
サーローラー71が中央標準位置にあることが検出さ
れ、変位位置検出手段73cから検出信号が張力制御処
理部8に入力された状態で、張力制御処理部8から出力
されるダンサーローラー位置維持を指する拘束信号に基
づいてダンサーローラー位置決め手段72のディスクブ
レーキ手段72bが作動し、圧縮空気供給管路78bか
らの圧縮空気の流入によりブレーキパッドでブレーキデ
ィスク72aを押え、ブレーキディスク72aを拘束す
る。
【0079】即ち、ダンサーローラー71の位置は、中
央標準位置乃至その付近に固定される。このダンサーロ
ーラー71の機械的な位置決め固定により、印刷前に行
われる寸動運転や巻取紙Rの位置の回転変位において生
じる連続紙Wの張力の増大に対して、ダンサーローラー
71の位置の変化が防止される。輪転機運転速度が最低
速度以上に増速され、張力制御処理部8に増速信号が入
力されると、張力制御処理部8から出力されるダンサー
ローラー位置維持を解く解放作動信号によりディスクブ
レーキ手段72bから圧縮空気が排出され、ブレーキパ
ッドはブレーキディスク72aを解放する。
【0080】従って、ダンサーローラー71の中央標準
位置決め制御である第1制御が行われ、引続いて輪転機
操作制御部(図示しない)の増速信号により輪転機が常
用印刷速度運転に移行すれば、ダンサーローラー位置決
め手段72による前記の第2の制御は省かれてもよい。
【0081】 3.印刷開始前の準備における第3制御 第3制御は、インフィードローラー5の回転速度制御で
ある。印刷開始前、即ち輪転機操作制御部(図示しな
い)からの胴入れ信号が出力される前の適宜のタイミン
グで、インフィードローラー周速度比検出器56がイン
フィードローラーの周速度の印刷胴21の周速度に対
する周速度比を検出し、その検出信号が張力制御処理部
8に入力されると、張力制御処理部8は、その周速度比
と予め定められた設定周速度比と比較して、その周速度
比が設定周速度比でないときには、設定周速度比にする
ようにインフィードローラー5の周速度、即ち回転速度
を変速するべく変速比調節信号を駆動変速機調節操作手
段55に対し出力する。
【0082】すると、駆動変速機調節操作手段55は、
インフィードローラー駆動変速機52を調節操作して、
インフィードローラー駆動変速機52は、インフィード
ローラー5の周速度の印刷胴21の周速度に対する周速
度比が設定周速度比になるように被動軸54、即ちイン
フィードローラー5の回転速度を変速する。
【0083】4.印刷開始のための輪転機の増速開始後
の連続紙の張力制御である第4制御 印刷開始のための輪転機の増速開始まで、即ち輪転機の
最低速度運転終了までには、上記の第1、第2及び第3
の各制御により常用印刷速度運転を行うための適切な条
件は整えられる。即ち、図2に示すように、輪転機が停
止状態において、ダンサーローラー装置7のダンサーロ
ーラー位置決め手段72のディスクブレーキ手段72b
は作動状態にあり、ブレーキパッドはブレーキディスク
72aを押え、揺動腕74、即ちダンサーローラー71
は中央標準位置に維持されていると共に、ニップローラ
ー51はインフィードローラー5から離れた脱の状態に
ある。
【0084】又、ダンサーローラー装置7の空気圧シリ
ンダー75には、圧縮空気供給管路78aから供給され
る圧縮空気が空気圧変更器79において設定された第2
定常圧力で供給された状態にある。そして、上記の状態
のまま、輪転機の最低速度運転が開始されると共に、イ
ンフィードローラー5がインフィードローラー駆動変速
機52により予め定められた設定周速度により回転が開
始され、連続紙Wも走行開始する。
【0085】さて、印刷開始のための輪転機の増速開始
後の連続紙の張力制御である第4制御においては、ダン
サーローラー71の変位において変位方向が変位方向検
出手段73aにより、変位速度が変位速度検出手段73
bにより変位位置が変位位置検出手段73cにより夫々
検出され、ダンサーローラー71へ送り出されている連
続紙Wの送り出し量を少なくしてダンサーローラー71
を通過する連続紙Wの張力を状況に合わせて高くする
か、又はダンサーローラー71へ送り出されている連続
紙Wの送り出し量を多くしてダンサーローラー71を通
過する連続紙Wの張力を状況に合わせて低くするかし
て、ダンサーローラー71を中央標準位置乃至その付近
に維持する。
【0086】即ち、前記ダンサーローラー71の変位速
度、変位方向及び変位位置に基づいてインフィードロー
ラー5の駆動変速機調節操作手段55の作動時間を変更
し、インフィードローラー5の周速度の増減量を調節す
る。この張力制御により張力変動を輪転機の増速・減速
等の外乱に対しても極力小さく押えることができる。
【0087】詳細には、図2のタイムチャートに示すよ
うに、輪転機操作制御部(図示しない)の指令に基づき
輪転機の運転速度が増速開始すると同時に、輪転機操作
制御部(図示しない)から増速信号が入力された張力制
御処理部8からの信号に基づいてディスクブレーキ手段
72bは解放状態になり、ブレーキパッドはブレーキデ
ィスク72aを解放し、揺動腕74は揺動可能、即ちダ
ンサーローラー71は変位可能になる。従って、ダンサ
ーローラー71に巻き掛けられた連続紙Wの張力は、ダ
ンサーローラー71に作用する空気圧シリンダー75に
おける第2定常圧力に釣り合った一定の状態に維持され
る。
【0088】輪転機は、増速開始で最低速度運転から常
用印刷速度にまで増速されるのであるが、運転増速開始
から適宜経時後、輪転機操作制御部(図示しない)の指
令に基づき胴入れが行われ、連続紙Wが印刷部2の印刷
胴21,21に挟まれて走行すると共に、ニップローラ
ー51が作動して、インフィードローラー5に巻き掛け
られた連続紙Wをインフィードローラー5の外周面に押
し付け、走行における滑りを防止する。
【0089】胴入れ信号が張力制御処理部8に入力され
てから適宜時間の経過後、例えば数秒後にダンサーロー
ラー装置7の空気圧変更器79に張力制御処理部8から
空気圧変更信号が入力され、それにより空気圧シリンダ
ー75に供給される圧縮空気の圧力が前記の第2定常圧
力から、それよりも高い所定の圧力である運転時設定圧
力に切り換えられ、空気圧シリンダー75はその圧力に
基づいて図1において揺動腕74を時計回りに揺動する
ように、ダンサーローラー71を右方に移動するように
作用する。
【0090】そして、ダンサーローラー71に巻き掛け
られた連続紙Wの張力が運転時設定圧力と釣り合った状
態になり、かくして連続紙走行張力制御が行われる。こ
の連続紙走行張力制御は、印刷停止信号により減速され
て最低速度になるまで行われる。図3に示すように急停
止の場合では急停止信号が検出された時点まで、又は図
4に示すように連続紙の断紙の場合では断紙検出信号が
検出された時点まで行われる。
【0091】増速開始後の連続紙走行張力制御は、例え
ばダンサーローラー71の変位範囲を図5に示すように
中央部分を不感帯領域Iとし、中央部分の両側を断続出
力領域IIとし、更に各断続出力領域IIの外側を連続出力
領域III として、3種類5区分に分け、夫々の変位範囲
において、図6に示すように駆動変速機調節操作手段5
5の駆動時間の制御を行う。
【0092】不感帯領域Iにおいては、ダンサーローラ
ー71が両側の断続出力領域IIから不感帯領域Iに変位
移動し、侵入した場合で、しかもダンサーローラー71
の移動速度が標準の速度よりも速いときのみダンサーロ
ーラー71の移動を停止するように状況に合わせ、連続
紙Wの張力を高く、又は低くなるように張力制御処理部
8から出力される変速比調節信号を駆動変速機調節操作
手段55に入力し、駆動変速機調節操作手段55を短時
間で1回だけ作動させ、インフィードローラー5の周速
度を調節する。又、ダンサーローラー71の移動速度が
標準以下の場合は、張力変動が安定しているとして制御
は行わない。
【0093】断続制御領域IIにおいては、ダンサーロー
ラー71が断続制御領域IIに停滞しているか、又は中央
部分の不感帯領域Iから離れる方向に移動しているとき
のみ、ダンサーローラー71を不感帯領域Iに向けて移
動するように、状況に合わせて連続紙Wの張力を高く、
又は低くなるように張力制御処理部8により出力される
変速比調節信号をインフィードローラーの駆動変速機調
節操作手段55に入力し、駆動変速機調節操作手段55
を短時間で断続的に2回以上作動させ、インフィードロ
ーラー駆動変速機52によりインフィードローラー5の
周速度を調節する。
【0094】連続出力領域III においては、ダンサーロ
ーラー71が連続出力領域III に停滞しているか、又は
中央部分の不感帯領域Iから離れる方向に移動している
ときのみ、ダンサーローラー71を不感帯領域Iに向け
て移動するように、状況に合わせて連続紙Wの張力を高
く、又は低くなるように張力制御処理部8により出力さ
れる変速比調節信号をインフィードローラーの駆動変速
機調節操作手段55に入力し、駆動変速機調節操作手段
55を不感帯領域Iの制御時間より長い時間だけ連続的
に作動させ、インフィードローラー駆動変速機52によ
りインフィードローラー5の周速度を調節する。
【0095】上記の5つの変位範囲のうち、断続制御領
域II及び連続出力領域III における各制御は、いずれ
も、ダンサーローラー71の移動方向が中央に向いた時
点でインフィードローラーの駆動変速機調節操作手段5
5の出力を停止して必要以上の制御出力を出さないよう
にしている。従って、必要最小限の張力変動で押えられ
る。又、この制御によれば、ダンサーローラー71が不
感帯領域Iで極力緩やかに移動するので、張力変動を極
力小さく押えることができる。
【0096】第4制御である連続紙の張力制御を行いな
がら印刷停止をする場合には、輪転機操作制御部(図示
しない)からの印刷停止信号に基づき輪転機の運転速度
が常用印刷速度から最低速度に向けて減速開始し、輪転
機が最低速度運転になると輪転機操作制御部(図示しな
い)からの胴逃げ信号に基づき印刷部2の印刷胴21,
21は連続紙Wから離れると共に、ニップローラー51
が作動して、連続紙Wから離れる。
【0097】それと共に輪転機操作制御部(図示しな
い)から胴逃げ信号が入力された張力制御処理部8から
空気圧変更信号がダンサーローラー装置7の空気圧変更
器79に入力され、それにより空気圧シリンダー75に
供給される圧縮空気の圧力が運転時設定圧力からそれよ
り低い前記第2定常圧力に切り換えられ、空気圧シリン
ダー75はその圧力に基づいて図1において揺動腕74
を時計回りに揺動可能に、ダンサーローラー71を右方
に移動可能に作用する。
【0098】又、ダンサーローラー装置7のダンサーロ
ーラー位置決め手段72は、図2に示すように、印刷停
止信号によって減速されて最低速度になったときの速度
信号が張力制御処理部8に入力された時点から適宜経時
後、例えば数秒後に前記第2制御によつて作動する。
【0099】輪転機印刷運転途中での急停止の場合に
は、輪転機操作制御部(図示しない)の急停止信号によ
りインフィードローラー5とニップローラー51とのニ
ップ及び印刷部2の印刷胴21,21のニップが解除さ
れるため、巻取紙Rから折部まで連続紙Wが、空気圧シ
リンダー43に第1定常圧力が入力された状態のフロー
チングローラー41において釣り合う連続紙Wの張力に
相当する低い張力で一定である。
【0100】そして、急停止信号入力後に機械が停止し
た時点で、張力制御処理部8が処理して出力する空気圧
変更信号により空気圧変更器79を作動して、ダンサー
ローラー装置7の空気圧シリンダー75への圧縮空気供
給管78aからの圧縮空気の圧力が第2定常圧力よりも
大きな運転時設定圧力から一旦第2定常圧力よりも小さ
な圧力に切り替わる。
【0101】すると、ダンサーローラー71とフローチ
ングローラー41との間の連続紙Wを介して第1定常圧
力が作用しているフローチングローラー41に引かれ、
弛み側ストッパー77a側(連続出力領域III )に位置
するダンサーローラー71の位置が中央標準位置に向っ
て変位する。この変位において、ダンサーローラー71
の位置が連続出力領域III から断続出力領域IIに入った
ことを変位位置検出手段73cが検出した時点から適宜
経時後、例えば数秒後に前記第2制御が行われ、ディス
クブレーキ手段72aの作動によりダンサーローラー7
1が中央標準位置近傍に拘束維持される。
【0102】尚、急停止信号入力後に機械が停止時点で
変位位置検出手段73cによってダンサーローラー71
が前記弛み側ストッパー77a側(連続出力領域III )
以外に位置していることが検出されているときは、この
時点でダンサーローラー71の空気圧シリンダー75へ
第2定常圧力の圧縮空気を供給し、その後適宜時間経時
後、例えば数秒後に前記第2制御が行われ、ディスクブ
レーキ手段72aの作動によりダンサーローラー71が
その位置で拘束維持される。
【0103】図4に示すように断紙したときには、断紙
検出信号出力時点で、インフィードローラー5のニップ
ローラー51は開放される。そして、ディスクブレーキ
手段72bは作動しないで、ダンサーローラーのダンサ
ーローラー位置決め手段72は作動解除のままである。
張力制御処理部8への断紙検出信号入力時点で、張力制
御処理部8が処理して出力する空気圧変更信号により空
気圧変更器79を作動して、ダンサーローラー71の空
気圧シリンダー75への圧縮空気が一旦解放された後、
断紙検出信号入力後に機械が停止した時点で、張力制御
処理部8が処理して出力する空気圧変更信号により空気
圧変更器79を作動して、ダンサーローラー71の空気
圧シリンダー75への圧縮空気供給管路78aからの圧
縮空気の圧力が運転時設定圧力から第2定常圧力に切り
替わる。このような制御が適宜行われる。
【0104】
【発明の効果】この発明の連続紙走行張力制御装置にお
いては、輪転機の最低速度運転から増速運転への移行に
おいて、ダンサーローラーが中央標準位置から移動開始
するので、張力が安定するまでの時間が短くなり、紙流
れや皺の発生が解消され、損紙が低減される。又、最低
速度運転から増速をして常用印刷速度運転を行う場合の
ダンサーローラーを通過する連続紙の張力変動に対し、
必要以上の制御をしない極力小さく押えた張力制御がで
き、且つ張力が安定するまでの時間を短くし、常に安定
した張力制御を得ることができる。更に、張力制御のた
めの検出対象を限定し、且つ複雑な演算をなくしたこと
により精度の高い制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における輪転機における
連続紙走行張力制御装置の構成図である。
【図2】図1に示す連続紙走行張力制御装置におけるダ
ンサーローラー中央標準位置状態時の各手段の張力制御
作動を示すタイムチャートである。
【図3】図1に示す連続紙走行張力制御装置における輪
転機の急停止時の各手段の張力制御作動を示すタイムチ
ャートである。
【図4】図1に示す連続紙走行張力制御装置における輪
転機の断紙時の各手段の張力制御作動を示すタイムチャ
ートである。
【図5】図1に示す連続紙走行張力制御装置における輪
転機のダンサーローラーの変位範囲の区分を示す概略図
である。
【図6】図1に示す連続紙走行張力制御装置における印
刷開始のための増速開始後の張力制御におけるダンサー
ローラーの位置制御並びにインフィードローラーの駆動
変速機調節操作手段の駆動時間制御及び駆動速度制御を
例示する線図である。
【符号の説明】
1 給紙部 11 制動装置 R 巻取紙 2 印刷部 21 印刷胴 31,32,33,34 ガイドローラー 4 フローチングローラー装置 41 フローチングローラー 42 揺動腕 43 空気圧シリンダー(流体圧シリンダー) 44 ピストン棒 45a,45b ストッパー 46 圧縮空気供給管路 47 空気圧検出器(流体圧検出器) 5 インフィードローラー 51 ニップローラー 52 インフィードローラー駆動変速機 53 駆動軸 54 被動軸 55 駆動変速機調節操作手段 56 周速度比検出器 6 電動機 61 駆動軸 7 ダンサーローラー装置 71 ダンサーローラー 72 ダンサーローラー位置決め手段 72a ブレーキディスク 72b ディスクブレーキ手段 73 揺動検出手段 73a 変位方向検出手段 73b 変位速度検出手段 73c 変位位置検出手段 74 揺動腕 75 空気圧シリンダー(流体圧シリンダー) 76 ピストン棒 77a,77b ストッパー 78a,78b 圧縮空気供給管路 79 空気圧変更器(流体圧変更器) 8 張力制御処理部 W 連続紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65H 23/18 - 23/198 B41F 33/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制動装置を備えた支持部に回転可能に支
    持された巻取紙が備えられた給紙部と印刷胴を備えた印
    刷部との間で、印刷胴の駆動源と共通のインフィードロ
    ーラー駆動源、インフィードローラー駆動源に接続され
    インフィードローラーの周速度を変更するインフィード
    ローラー駆動変速機、張力制御処理部から入力される変
    速比調節信号によりインフィードローラー駆動変速機の
    変速比を調節作動する駆動変速機調節操作手段及びイン
    フィードローラー駆動変速機の変速比で定まるインフィ
    ードローラーの印刷胴に対する周速度比を検出し、その
    検出信号を張力制御処理部に入力するように接続されて
    いる周速度比検出器を備えているインフィードローラー
    により給紙部から引き出される連続紙の印刷胴への走行
    経路において、インフィードローラーより上流側に配設
    されているフローチングローラー装置及びインフィード
    ローラーより下流側に配設されているダンサーローラー
    装置並びにインフィードローラーの駆動変速機調節操作
    手段及びダンサーローラー装置を制御する張力制御処理
    部から構成され、 フローチングローラー装置は、連続紙が巻き掛けられ、
    給紙部とインフィードローラーとの間の連続紙の走行経
    路長を伸縮するように変位し得るフローチングローラ
    ー、連続紙の走行張力に抗して連続紙の走行経路長を伸
    長するようにフローチングローラーを変位させる流体圧
    シリンダー、及び流体圧シリンダーへの流体圧力を検出
    する流体圧検出器を備えており、 ダンサーローラー装置は、連続紙が巻き掛けられ、イン
    フィードローラーと印刷部との間の連続紙の走行経路長
    を伸縮するように変位し得るダンサーローラー、連続紙
    の走行張力に抗して連続紙の走行経路長を伸長するよう
    にダンサーローラーを変位させる流体圧シリンダー、ダ
    ンサーローラーの流体圧シリンダーへの供給流体圧力を
    変更する流体圧変更器、ダンサーローラー変位方向を検
    出するダンサーローラー変位方向検出手段、ダンサーロ
    ーラー変位速度を検出するダンサーローラー変位速度検
    出手段及びダンサーローラー変位位置を検出するダンサ
    ーローラー変位位置検出手段を備えており、 張力制御処理部は、インフィードローラーの周速度比検
    出器からの周速度比検出信号及びフローチングローラー
    装置の流体圧検出器からの検出信号が入力され、且つ輪
    転機の最低速度運転信号、最低速度速度信号、増速信
    号、胴入れ信号、印刷停止信号、急停止信号、胴逃げ信
    号及び断紙検出信号が入力されるように接続されている
    と共に、各検出信号に基づきインフィードローラーの駆
    動変速機調節操作手段にインフィードローラーの印刷胴
    に対する周速度比を調節する変速比調節信号を入力し、
    ダンサーローラー装置の流体圧変更器に流体圧力変更信
    号を入力するように接続されていることを特徴とする輪
    転機の連続紙走行張力制御装置。
  2. 【請求項2】 制動装置を備えた支持部に回転可能に支
    持された巻取紙が備えられた給紙部と印刷胴を備えた印
    刷部との間で、印刷胴の駆動源と共通のインフィードロ
    ーラー駆動源、インフィードローラー駆動源に接続され
    インフィードローラーの周速度を変更するインフィード
    ローラー駆動変速機、張力制御処理部から入力される変
    速比調節信号によりインフィードローラー駆動変速機の
    変速比を調節作動する駆動変速機調節操作手段及びイン
    フィードローラー駆動変速機の変速比で定まるインフィ
    ードローラーの印刷胴に対する周速度比を検出し、その
    検出信号を張力制御処理部に入力するように接続されて
    いる周速度比検出器を備えているインフィードローラー
    により給紙部から引き出される連続紙の印刷胴への走行
    経路において、インフィードローラーより上流側に配設
    されているフローチングローラー装置及びインフィード
    ローラーより下流側に配設されているダンサーローラー
    装置並びにインフィードローラーの駆動変速機調節操作
    手段及びダンサーローラー装置を制御する張力制御処理
    部から構成され、 フローチングローラー装置は、連続紙が巻き掛けられ、
    給紙部とインフィードローラーとの間の連続紙の走行経
    路長を伸縮するように変位し得るフローチングローラ
    ー、連続紙の走行張力に抗して連続紙の走行経路長を伸
    長するようにフローチングローラーを変位させる流体圧
    シリンダー及び流体圧シリンダーへの流体圧力を検出す
    る流体圧検出器を備えており、 ダンサーローラー装置は、連続紙が巻き掛けられ、イン
    フィードローラーと印刷部との間の連続紙の走行経路長
    を伸縮するように変位し得るダンサーローラー、連続紙
    の走行張力に抗して連続紙の走行経路長を伸長するよう
    にダンサーローラーを変位させる流体圧シリンダー、ダ
    ンサーローラーの流体圧シリンダーへの供給流体圧力を
    変更する流体圧変更器、ダンサーローラーの位置を停止
    維持するダンサーローラー位置決め手段、ダンサーロー
    ラー変位方向を検出するダンサーローラー変位方向検出
    手段、ダンサーローラー変位速度を検出するダンサーロ
    ーラー変位速度検出手段及びダンサーローラー変位位置
    を検出するダンサーローラー変位位置検出手段を備えて
    おり、 張力制御処理部は、インフィードローラーの周速度比検
    出器からの周速度比検出信号及びフローチングローラー
    装置の流体圧検出器からの検出信号が入力され、且つ輪
    転機の最低速度運転信号、最低速度速度信号、増速信
    号、胴入れ信号、印刷停止信号、急停止信号、胴逃げ信
    号及び断紙検出信号が入力されるように接続されている
    と共に、各検出信号に基づきインフィードローラーの駆
    動変速機調節操作手段にインフィードローラーの印刷胴
    に対する周速度比を調節する変速比調節信号を入力し、
    ダンサーローラー位置決め手段に拘束・解放作動信号を
    入力し、且つダンサーローラー装置の流体圧変更器に流
    体圧力変更信号を入力するように接続されていることを
    特徴とする輪転機の連続紙走行張力制御装置。
  3. 【請求項3】 インフィードローラーの駆動変速機調節
    操作手段は、複数に区分されたダンサーローラーの変位
    範囲の各区分域における変位方向・変位速度・変位位置
    を検出するダンサーローラー変位検出手段の各検出値に
    基づいて駆動時間が制御されることを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載の輪転機の連続紙走行張力制御装
    置。
  4. 【請求項4】 ダンサーローラー変位方向を検出するダ
    ンサーローラー変位方向検出手段、ダンサーローラー変
    位速度を検出するダンサーローラー変位速度検出手段及
    びダンサーローラー変位位置を検出するダンサーローラ
    ー変位位置検出手段が一つの検出手段となっていること
    を特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3のいずれ
    かに記載の輪転機の連続紙走行張力制御装置。
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