JP2810625B2 - レーザ加工用ヘッド - Google Patents

レーザ加工用ヘッド

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JP2810625B2
JP2810625B2 JP6117218A JP11721894A JP2810625B2 JP 2810625 B2 JP2810625 B2 JP 2810625B2 JP 6117218 A JP6117218 A JP 6117218A JP 11721894 A JP11721894 A JP 11721894A JP 2810625 B2 JP2810625 B2 JP 2810625B2
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雅之 犬塚
浩志 長谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光を用いて、
鉄、ステンレス鋼およびアルミニウムなどの被加工材を
たとえば切断などして加工するためのレーザ加工用ヘッ
ドに関する。
【0002】
【従来の技術】典型的な先行技術は、簡略化して図11
に示され、その底面は簡略化して図12に示されてい
る。ヘッド1内には、レーザ光2が集光レンズ3を経て
導かれ、ノズル4のノズル孔5を経て金属材料から成る
被加工材6に照射され、参照符7で示されるように溶融
切断される。このヘッド1には、接続口8からアシスト
ガスが供給され、ノズル孔5から被加工材6に向けて噴
射される。ノズル4の底面は図12に示されるとおりで
あり、このノズル孔5から、集光されたレーザ光が上述
のように被加工材6に照射されるとともに、アシストガ
スが噴射される。
【0003】ノズル孔5からのアシストガスは、被加工
材6のレーザ光によって溶融した金属を吹き飛ばし、ま
たこの切断時にレンズ3が汚損することを防いでそのレ
ンズ3を保護する働きをする。
【0004】被加工材6が軟鋼などの鉄系材料である場
合には、アシストガスとして酸素を用い、これによって
鉄の酸化反応熱を利用して、レーザ光の出力を低減する
ことを可能にし、また同出力であっても、できるだけ厚
い被加工材を切断することができるようにしている。
【0005】厚い被加工材6を切断するために、酸素の
流量を大きくすると、酸化反応が必要以上に促進され、
その被加工材6自体が過剰燃焼して、いわゆるセルフ・
バーニングと呼ばれる現象が生じ、これによって切断面
の精度が低下する。したがって、アシストガスとしての
酸素の流量を大きくするには限度がある。
【0006】このような問題を解決して切断面の精度を
向上することができるようにした他の先行技術は、たと
えば特開昭57ー130791に開示されている。この
先行技術では、レーザ光が通過するノズル孔と、そのノ
ズル孔を同心上に囲む複数の環状のノズル孔を形成して
多重リング構造とし、これらのノズル孔からアシストガ
スを噴射させて切断加工を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような先行技術で
は、ヘッドの軸線上の中央のノズルから噴射されるアシ
ストガスが、他の同心上のノズルから噴射されるアシス
トガスによって囲まれて保護され、中央のノズル孔から
のアシストガスの純度が維持され、加工点の断面形状が
有効に維持され、精密な加工が可能になるけれども、も
っと厚い被加工材を切断するための工夫がなされておら
ず、本件発明者の実験によれば、被加工材が軟鋼から成
る場合、切断可能板厚は、せいぜい22〜25mmであ
る。
【0008】本発明の目的は、ガス噴射領域を正確に設
定できるようにして、被加工材の切断可能な板厚をさら
に大きくすることができるようにしたレーザ加工用ヘッ
ドを提供することである。
【0009】また先行技術では、金属材料から成る被加
工材の加工時に、アシストガスの噴射方向下流側で金属
酸化物であるドロスが付着して固着したままとなる。し
たがって切断などの加工後において、作業者がグライン
ダなどの作業工具を用い、そのドロスを研削して除去し
なければならず、作業に手間がかかる。
【0010】したがって本発明の他の目的は、切断など
の加工作業を容易にすることができるようにしたレーザ
加工用ヘッドを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、レーザ光を導
く光経路を有し、第1ノズル孔からのレーザ光を被加工
材に照射するヘッド本体と、ヘッド本体に設けられ、第
1ノズル孔と共通の軸線を有し、第1ノズル孔の外周
に、その第1ノズル孔を囲む第2ノズル孔を形成するカ
バー部材とを含み、ヘッド本体内の空間に第1のガスが
供給されるとともに、ヘッド本体の外周面とカバー部材
の内周面との間の空間に第2のガスが供給され、前記ヘ
ッド本体は、第1ノズル孔を有する第1ノズル部材と、
第1ノズル部材が着脱可能に取付けられ、外向きフラン
ジが形成される取付け筒体と、この取付け筒体の前記外
向きフランジを係止する第1袋ナットと、第1袋ナット
が螺着される調整筒体と、調整筒体が取付けられ、前記
レンズが収納される保持筒体とを有し、保持筒体の収納
孔内には、外周面が保持筒体の収納孔の内周面に沿って
嵌まり込む大径筒部と、保持筒体の収納孔の内周面から
半径方向内方に部屋を形成する保持部と、保持部の下方
に連なり、保持部の内周面よりも半径方向内方に突出す
る受け部とを有する保持輪が収納され、保持輪の受け部
には、レンズに向かって開口しかつ前記部屋に連通する
噴射孔が形成される軟質合成樹脂から成る第1レンズ押
え環体が支持され、この第1レンズ押え環体上には、レ
ンズが載置され、レンズの周縁部には軟質合成樹脂から
成る第2レンズ押え環体が載置され、第2レンズ押え環
体上には、ばねが載置され、このばねは、保持輪にばね
の上方から螺着されるばね押え部材によって押えられ、
保持筒体には、前記部屋に連通する第1接続口が形成さ
れ、この第1接続口に前記第1ガス供給源から第1ガス
が供給されることを特徴とするレーザ加工用ヘッドであ
る。
【0012】また本発明の取付け筒体の底には、冷却水
が供給される冷却水通路が形成されることを特徴とす
る。
【0013】また本発明の保持筒体の底には、冷却水が
供給される冷却水通路が形成されることを特徴とする。
【0014】本発明に従えば、前記ヘッド本体は、第1
ノズル孔を有する第1ノズル部材と、第1ノズル部材が
着脱可能に取付けられ、外向きフランジが形成される取
付け筒体と、この取付け筒体の前記外向きフランジに係
止する第1袋ナットと、第1袋ナットが螺着される調整
筒体と、調整筒体が取付けられ、前記レンズが収納され
る保持筒体とを含んで構成される。したがって第1袋ナ
ットを緩めることによって、この第1袋ナットとともに
取付け筒体および第1ノズル部材を調整筒体から取外す
ことができる。また前記第1袋ナットが調整筒体に螺着
されるので、この第1袋ナットの締付け位置に応じて第
1ノズル部材の高さを調整することができる。これによ
って第1および第2ノズルと被加工材との距離を調整し
て、被加工材へのレーザ光の焦点が一致するように、あ
るいは第1および第2ガスの噴射領域が正確に設定され
るように、最適に設定することができる。
【0015】保持筒体の収納孔内には保持輪が収納され
る。この保持輪は、外周面が保持筒体の収納孔の内面に
沿って嵌まり込む大径部と、保持筒体の収納孔の内周面
から半径方向内方に部屋を形成する保持部と、保持部の
下方に連なり、保持部の内周面よりも半径方向内方に突
出する受け部とを有する。このような保持輪の受け部に
は、第1レンズ押え環体が支持され、第1レンズ押え環
体上にはレンズが載置され、このレンズの周縁部には第
2レンズ押え環体が載置され、第2レンズ押え環体は、
保持輪に螺着されるばね押え部材によって押えられる。
第1および第2レンズ押え環体は、軟質合成樹脂から成
り、これらの第1および第2レンズ押え環体間で前記ば
ねによって、レンズが弾発的に押えられた状態に維持さ
れる。保持筒体に形成される第1接続口には、第1ガス
供給源から第1ガスが供給され、この第1ガスは前記部
屋を経て、噴射孔からレンズに向けて噴射される。この
ような噴射孔から噴射された第1ガスによって、レンズ
が冷却され、この噴射された第1ガスが、レンズよりも
下方の空間内に供給され、第1ノズル部材の第1ノズル
孔から被加工材に噴射されてドロスの付着を防ぐ。この
ようにして第1ガスは、レンズの冷却およびドロスの除
去という2つの機能を同時に達成することができる。
【0016】さらに本発明に従えば、取付け筒体の底に
は冷却水通路が形成され、この冷却水通路には冷却水が
供給されるので、取付け筒体および第1ノズル部材を冷
却することができる。
【0017】さらに本発明に従えば、保持筒体の底に
は、冷却水通路が形成され、この冷却水通路には冷却水
が供給されるので、前記保持筒体が冷却され、レンズへ
のレーザ光の透過時の発熱による温度上昇を抑制するこ
とができる。
【0018】
【実施例】図1はレーザ光を用いて金属材料から成る被
加工材を切断加工するためのレーザ加工用ヘッドの一部
を構成するノズルチップ10の断面図であり、図2はそ
のノズルチップ10の底面図である。このノズルチップ
10は、図3に示されるレーザ加工用ヘッド11の一部
を構成する。ノズルチップ10は基本的には、ノズル部
材12とそれを囲むカバー部材13とから成る。ノズル
部材12は、ヘッド本体14の一部を構成する。ヘッド
本体14は、ノズル部材12が着脱可能に取付けられる
取付け筒体15と、この取付け筒体15に形成された外
向きフランジ16に係止して調整筒体17の外ねじに螺
合する袋ナット18と、ロックナット19,20と、ボ
ルト21によって固定される抜止めリング85によって
前記調整筒体17が取付けられる保持筒体22とを含
み、さらにこの保持筒体22は袋ナット23によって基
体24に取付けられる構成となっている。この基体24
のフランジは、ボルト25によってX−Yテーブルまた
は産業用ロボットの手首などの取付け部材26のフラン
ジ27に着脱可能に取付けられる。
【0019】図4は、図3におけるヘッド本体14の取
付け筒体15における切断面線IV−IVから見た水平
断面図である。取付け筒体15の底28には、内ねじ2
9が刻設され、ここにノズル部材12の上端部に形成さ
れた外ねじ30が着脱可能に螺着される。この底28に
は、図4に示されるように冷却水通路31が形成され、
この接続口32から供給される冷却水は、もう1つの接
続口33から排出され、底28が冷却され、したがって
ノズル部材12およびカバー部材13から成るノズルチ
ップ10が冷却されることになる。
【0020】図5は、図3における保持筒体22の切断
面線V−Vから見た水平断面図である。この保持筒体2
2にもまた冷却水通路34が形成され、一方の接続口3
5からの冷却水は、冷却水通路34を通って保持筒体2
2を冷却し、他方の接続口36から排出される。
【0021】保持筒体22の収納孔37内には、保持輪
38が収納される。この保持輪38は、保持筒体22の
収納孔37の内周面にぴったり嵌まり込む大径筒部39
と、その内周面から半径方向内方に部屋40を形成する
保持部41と、その下方に形成される内向きフランジ状
の受け部42とを有する。受け部42には、噴射孔43
が形成される。受け部42上には、レンズ押え環体44
が支持され、その上にレンズ45が置かれ、さらにその
レンズ45の周縁部にはレンズ押え環体46が配置さ
れ、ばね47を介して、ばね押え部材48が保持輪38
に螺合して図3の上下の位置を調整可能に設けられる。
2つのレンズ押え環体44,46は、軟質合成樹脂、た
とえばテフロンなどのフッ素樹脂などから成る。
【0022】たとえば、炭酸ガスレーザ源からのレーザ
光50は、取付け部材26内を通り、レンズ45によっ
て集光され、参照符51で示されるような経路をたど
り、ノズルチップ10を経て、被加工材70に照射さ
れ、切断加工などが行われる。
【0023】保持筒体22の側部には接続口53が形成
され、ここから第1のガスが供給され、部屋40を経て
噴射孔43からレンズ45の図3における下面に噴射さ
れ、これによってレンズ45が冷却され、この噴射され
た第1のガスは、ヘッド本体14のレンズ45よりも下
方の空間54内に供給される。
【0024】基体24には、接続口82から冷却用気
体、たとえば後述の第1および/または第2のガスと同
一種類のガスが供給され噴射孔であるノズル83から空
間84に噴射されて、レンズ45の上表面に噴射されて
レンズ45が冷却される。
【0025】取付け筒体15を袋ナット18の調整によ
って上下の位置を変位させ、これによってノズルチップ
10における第1および第2ノズル58,66と被加工
材70との距離を最適に設定し、被加工材70にレーザ
光50の焦点が一致するように、あるいはまた第1およ
び第2ガスの噴射領域が正確に設定されるように調整さ
れることができる。
【0026】再び図1を参照して、ノズル部材12は、
外周面にローレットが施された操作部55を有し、その
下方にさらに外ねじ56が形成され、中空逆円錐部57
に連なり、この逆円錐部57の下部は、外周面が直円柱
状の第1ノズル58となっている。外ねじ30,56、
操作部55、逆円錐部57および第1ノズル58は、共
通の軸線59を有する。このノズル部材12には、円錐
面60,61が形成され、さらに軸線59に同軸であっ
て、その軸線59に平行な内周面を有する直円筒状の第
1ノズル孔62が形成される。第1ノズル孔62の内径
D1は2mmφであり、この第1ノズル58の外径D2
は9mmφである。逆円錐部57の上端部の最大外径D
3は、30mmφである。第1ノズル孔62の軸線59
に平行な内周面を有する軸線方向の長さL1は、2mm
である。
【0027】カバー部材13は、ノズル部材12の外ね
じ56に螺合して軸線59に沿って変位可能となる内ね
じ63を有する直円筒部64と、この直円筒部64の下
端部に連なる中空逆円錐部65と、この逆円錐部65に
連なる第2ノズル66とを有する。第2ノズル66の内
周面67は、軸線59に沿って直円筒状に形成されてい
る。内周面67の内径D4は、11mmφであり、その
外径D5は16mmφであり、直円筒部64の内径D6
は44mmφである。さらにこの内周面67の軸線59
に平行な長さL2は、5mmである。
【0028】カバー部材13の直円筒部64には、周方
向に等間隔(この実施例では90度)をあけて合計4個
所に接続口68aが形成され、この接続口68aから第
2のガスが供給される。この第2のガスは、第1ノズル
58の外周面と第2ノズル66に形成された円形の内周
面67との間の環状の第2ノズル孔68を通って被加工
材70に噴射される。
【0029】図6は、本発明の前述の実施例の配管系統
図である。第1および第2ガスが同一種類のガスである
場合には、その共通のガス供給源71から、開閉弁72
を経て、管路73から接続口53に第1のガスを供給
し、また管路74から合計4つの接続口68aに第2の
ガスとして供給する。管路73,74に個別的に減圧弁
を介在し、第1および第2のガスの供給圧力を相互に異
なるようにしてもよい。さらに、それらの第1および第
2のガスの種類を相互に異なるようにしてもよい。
【0030】図7を参照して、被加工材70を切断加工
するときの動作を述べる。この図7では、構成が簡略化
されて示されている。レーザ光50は、集光レンズ45
によって集光され、第1ノズル孔62から被加工材70
上に照射される。第1ノズル孔62には、接続口53か
らの第1のガスが、レンズ45に噴射された後に、供給
され、被加工材70に噴射される。この被加工材70が
軟鋼などの鉄系材料である場合には、第1のガスは酸素
であり、たとえば0.5kgf/cm2 で噴射される。
この第1ガスが周囲の空気を巻き込むことなく、被加工
材70付近でその純度を保ち、またその第1ガスのモー
メンタムを保持するために、接続口68aからは第2の
ガス、たとえば酸素が供給され、第1および第2ノズル
58,66によって環状に形成された第2ノズル孔68
から噴射される。こうして、被加工材70の溶融金属で
あるドロス75が、その被加工材70のヘッド11とは
反対側の面、すなわち図7の下面に付着することなく、
溶融したドロスがガス噴射方向下流側(図7の下方)に
吹き飛ばされてドロス75が付着することが防がれてド
ロスの除去が促進されることになる。
【0031】第1ノズル孔62およびノズル58,66
によって形成される環状の第2ノズル孔68の幅方向の
中央位置との間の距離L4(図2参照)は、たとえば5
mmに選ぶ。このような第1および第2ノズル孔62,
68の間の距離L4を、3mm未満に選ぶと、これらの
第1および第2ノズル孔62,68が接近しすぎ、これ
によって大きな流量が鉄系材料である被加工材70に噴
射され、いわゆるセルフ・バーニングを生じて燃焼して
しまう。これとは逆に距離L4を7mm以上にすると、
それらの第1および第2ノズル孔62,68の距離が大
きすぎ、第1ノズル孔62から噴射される第1ガスが空
気を巻き込む恐れが生じ、その純度が低下し、またモー
メンタムの保持が困難となる。したがって、第1および
第2ノズル孔62,68の距離L4は、3mm以上、7
mm未満の範囲に選ばれ、特に好ましくは5mmに選ば
れる。図2における環状の第2ノズル孔68の半径方向
の幅W1は、たとえば1mmであってもよい。これによ
って、本件発明者の実験によれば、レーザ光50の出力
を3kWとしたとき、カバー部材13が設けられていな
い前述の先行技術では、被加工材70の厚みはせいぜい
22〜25mm厚であったけれども、本発明の上述の構
成によれば、28mm厚以上の切断加工が可能となり、
しかもドロスの除去が促進され、グラインダによるドロ
スの研削作業が不要になったことが確認された。
【0032】被加工材70がステンレス鋼およびアルミ
ニウムなどであるときには、第1および第2ガスは、前
述のように不活性ガスたとえば窒素、アルゴンおよび空
気などであってもよく、また第1および第2のガスの種
類が相互に異なっていてもよい。
【0033】図8は本発明の他の実施例の底面図であ
り、この図面は前述の図2に対応する構成を示してい
る。注目すべきは、この実施例では、第2ノズル孔68
bは、直円柱状に形成されており、周方向に等間隔に合
計8個形成される。第1ノズル孔62の内径D1、第2
ノズル孔68bの内径D7およびそれらのノズル孔6
2,68b間の距離L5は、第1ノズル孔62からの第
1のガスの純度およびモーメンタムが保持され、しかも
ドロスの除去が促進される値に選択される。
【0034】図9は、本発明の他の実施例の簡略化した
構成を示す断面図である。この実施例は前述の実施例に
類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目す
べきはこの実施例では、接続口68aからは、酸素と可
燃性ガスであるたとえばアセチレンガスの混合ガスが供
給され、環状の第2ノズル孔68からは、火炎76が被
加工材70に向けて噴射される。この火炎76によっ
て、第1ガスの純度およびモーメンタムの保持力がさら
に強化され、また被加工材70が軟鋼などの鉄系材料で
ある場合、酸素ガス切断における表面活性化などの効果
も現れ、また被加工材70が、切断方向にヘッド11と
相対的に移動するとき、予熱されることになり、したが
って本件発明者の実験によれば、50mm厚以上の被加
工材を切断加工することができた。
【0035】図10は、本発明のさらに他の実施例の一
部の簡略化した断面図である。この実施例は前述の実施
例に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。ノ
ズル58に第1ノズル孔62が形成され、またカバー部
材13によって環状の第2ノズル孔68が形成されるこ
とは前述の実施例と同様であるけれども、さらに注目す
べきはこの実施例ではもう1つのカバー部材77が設け
られ、接続口78から第3のガスが供給され、第3ノズ
ル79の内周面と第2ノズル66の外周面との間の環状
の第3ノズル孔80から第3のガスまたは火炎が噴射さ
れる。その他の構成は、前述の実施例と同様である。第
3のガスは、第1および第2のガスと同一種類であって
もよく、あるいはまた相互に異なる種類のガスであって
もよい。本発明の考え方によれば、さらに複数の環状の
ノズル孔が同軸に形成されてもよい。
【0036】第1ガスおよび第2ガスは、同一種類のガ
スであってもよいけれども、相互に異なる種類のガスで
あってもよい。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、前記ヘッド本体は、第
1ノズル孔を有する第1ノズル部材と、第1ノズル部材
が着脱可能に取付けられ、外向きフランジが形成される
取付け筒体と、この取付け筒体の前記外向きフランジに
係止する第1袋ナットと、第1袋ナットが螺着される調
整筒体と、調整筒体が取付けられ、前記レンズが収納さ
れる保持筒体とを含んで構成される。したがって第1袋
ナットを緩めることによって、この第1袋ナットととも
に取付け筒体および第1ノズル部材を調整筒体から取外
すことができる。また前記第1袋ナットが調整筒体に螺
着されるので、この第1袋ナットの締付け位置に応じて
第1ノズル部材の高さを調整することができる。これに
よって被加工材によるレーザ光の焦点が一致するよう
に、あるいは第1および第2ガスの噴射領域が正確に設
定されるように調整することができる。
【0038】また保持輪は、外周面が保持筒体の収納孔
の内面に沿って嵌まり込む大径部と、保持筒体の収納孔
の内周面から半径方向内方に部屋を形成する保持部と、
保持部の下方に連なり、保持部の内周面よりも半径方向
内方に突出する受け部とを有する。このような保持輪の
受け部には、第1レンズ押え環体が支持され、第1レン
ズ押え環体上にはレンズが載置され、このレンズの周縁
部には第2レンズ押え環体が載置され、第2レンズ押え
環体は、保持輪に螺着されるばね押え部材によって押え
られる。第1および第2レンズ押え環体は、軟質合成樹
脂から成り、これらの第1および第2レンズ押え環体間
で前記ばねによって、レンズが弾発的に押えられた状態
に維持される。保持筒体に形成される第1接続口には、
第1ガス供給源から第1ガスが供給され、この第1ガス
は前記部屋を経て、噴射孔からレンズに向けて噴射され
る。このような噴射孔から噴射された第1ガスによっ
て、レンズが冷却され、この噴射された第1ガスがレン
ズよりも下方の空間内に供給され、第1ノズル部材の第
1ノズル孔から被加工材に噴射されてドロスの付着を防
ぎ、このようにして第1ガスはレンズの冷却およびドロ
スの除去という2つの機能を同時に達成することができ
る。
【0039】さらに本発明によれば、取付け筒体の底に
は冷却水通路が形成され、この冷却水通路には冷却水が
供給されるので、取付け筒体および第1ノズル部材は冷
却することができる。
【0040】さらに本発明によれば、保持筒体の底に
は、冷却水通路が形成され、この冷却水通路には冷却水
が供給されるので、前記保持筒体が冷却され、レンズへ
のレーザ光の透過時の発熱による温度上昇を抑制するこ
とができる。
【0041】また本発明によれば、レーザ加工用ヘッド
をX−Yテーブルまたはロボットの作業端などに取付
け、希望する方向に移動する場合であっても、あるいは
またレーザ加工用ヘッドを固定して被加工材を希望する
方向に移動する場合であっても、第1ノズル孔は、その
全周を第2ノズル孔で囲むようにして構成することによ
って、前述のように第1ガスの純度とモーメンタムが保
持され、ドロスの除去を促進することが、常に可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のノズル部材12とカバー部
材13とから成るノズルチップ10を示す断面図であ
る。
【図2】そのノズルチップ10の底面図である。
【図3】ノズルチップ10を備えるレーザ加工ヘッド1
1の全体の構成を示す断面図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た断面図であ
る。
【図5】図3の切断面線V−Vから見た断面図である。
【図6】図1〜図5に示される実施例の配管系統図であ
る。
【図7】図1〜図6に示される実施例の被加工材70を
切断加工するときの状態を示す簡略化した断面図であ
る。
【図8】本発明の他の実施例のノズルチップの底面図で
あり、図2に対応する構成を示す。
【図9】本発明の他の実施例の構成とその動作を簡略化
して示す断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施例の一部の断面図で
ある。
【図11】先行技術の構成を簡略化して示す断面図であ
る。
【図12】図11に示される先行技術のノズル4を示す
底面図である。
【符号の説明】
10 ノズルチップ 11 レーザ加工ヘッド 12 ノズル部材 13 カバー部材 14 ヘッド本体 15 取付け筒体 17 調整筒体 22 保持筒体 24 基体 26 取付け部材 38 保持輪 40 部屋 43 ノズル 45 レンズ 53,68a 接続口 54 空間 58 第1ノズル 62 第1ノズル孔 66 第2ノズル 68 第2ノズル孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西尾 護 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (72)発明者 青木 禧明 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (56)参考文献 特開 平2−99293(JP,A) 特開 昭57−130791(JP,A) 特開 平3−110094(JP,A) 特開 平5−245685(JP,A) 特開 昭61−169186(JP,A) 特開 昭59−104289(JP,A) 実開 昭62−34987(JP,U) 実開 昭60−186986(JP,U) 実開 平3−31081(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 26/00 - 26/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光を導く光経路を有し、第1ノズ
    ル孔からのレーザ光を被加工材に照射するヘッド本体
    と、 ヘッド本体に設けられ、第1ノズル孔と共通の軸線を有
    し、第1ノズル孔の外周に、その第1ノズル孔を囲む第
    2ノズル孔を形成するカバー部材とを含み、 ヘッド本体内の空間に第1のガスが供給されるととも
    に、ヘッド本体の外周面とカバー部材の内周面との間の
    空間に第2のガスが供給され、 前記ヘッド本体は、第1ノズル孔を有する第1ノズル部
    材と、第1ノズル部材が着脱可能に取付けられ、外向き
    フランジが形成される取付け筒体と、この取付け筒体の
    前記外向きフランジを係止する第1袋ナットと、第1袋
    ナットが螺着される調整筒体と、調整筒体が取付けら
    れ、前記レンズが収納される保持筒体とを有し、 保持筒体の収納孔内には、外周面が保持筒体の収納孔の
    内周面に沿って嵌まり込む大径筒部と、保持筒体の収納
    孔の内周面から半径方向内方に部屋を形成する保持部
    と、保持部の下方に連なり、保持部の内周面よりも半径
    方向内方に突出する受け部とを有する保持輪が収納さ
    れ、 保持輪の受け部には、レンズに向かって開口しかつ前記
    部屋に連通する噴射孔が形成される軟質合成樹脂から成
    る第1レンズ押え環体が支持され、この第1レンズ押え
    環体上には、レンズが載置され、レンズの周縁部には軟
    質合成樹脂から成る第2レンズ押え環体が載置され、第
    2レンズ押え環体上には、ばねが載置され、このばね
    は、保持輪にばねの上方から螺着されるばね押え部材に
    よって押えられ、 保持筒体には、前記部屋に連通する第1接続口が形成さ
    れ、この第1接続口に前記第1ガス供給源から第1ガス
    が供給されることを特徴とするレーザ加工用ヘッド。
  2. 【請求項2】 取付け筒体の底には、冷却水が供給され
    る冷却水通路が形成されることを特徴とする請求項1記
    載のレーザ加工用ヘッド。
  3. 【請求項3】 保持筒体の底には、冷却水が供給される
    冷却水通路が形成されることを特徴とする請求項1また
    は2記載のレーザ加工用ヘッド。
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