JP2005118818A - レーザ切断ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】アシストガスに対して接近させた二次ガスを確保すると共に、二次ガスの流速の適正化をはかることで、板厚の変化に関わらず良好な切断品質を確保する。
【解決手段】ノズルAは、中心にレーザ光とアシストガスを噴射する噴射孔1aを配置すると共に該噴射孔1aの外周に二次ガスを噴射するリング状の二次ガス噴射孔を配置し、該二次ガス噴射孔に、二次ガスの非直線的な流路を形成した部材として焼結金属3を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】ノズルAは、中心にレーザ光とアシストガスを噴射する噴射孔1aを配置すると共に該噴射孔1aの外周に二次ガスを噴射するリング状の二次ガス噴射孔を配置し、該二次ガス噴射孔に、二次ガスの非直線的な流路を形成した部材として焼結金属3を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被切断材に向けてレーザ光を照射すると共にアシストガスを噴射し、更に、アシストガスの周囲に二次ガスを噴射して該被切断材を切断するレーザ切断ノズルに関し、特に、切断可能な板厚範囲の拡大を実現したレーザ切断ノズルに関するものである。
金属や非金属からなる被切断材を切断する際に、レーザ切断法を採用することがある。このレーザ切断法は、被切断材に向けてレーザ切断ノズルからレーザ光を照射すると共にアシストガスを噴射して母材を蒸発又は溶融させ、且つ蒸発物及び溶融物を排除しつつ、レーザ切断ノズルと被切断材とを相対的に移動させることで連続して溝を形成して切断するものである。
レーザ切断ノズルは、被切断材の厚さに対応してレーザ光及びアシストガスを噴射する噴射口の径が設定されている。即ち、被切断材の厚さが薄い場合、噴射口の径は小さく、厚さが厚くなると噴射口の径も大きくなる。例えば、被切断材が鋼板の場合、板厚が12mm以下では噴射口の径は1.5mm程度に設定されており、板厚が12mm以上では噴射口の径は3.0mm程度に設定されている。このため、レーザ切断装置によって被切断材に対する切断を行う場合、被切断材の板厚に応じた最適なレーザ切断ノズルをレーザトーチに取り付けて切断を行い、続けて異なる板厚の被切断材を切断する場合には、この板厚に対応した最適なレーザ切断ノズルを選択して現在のレーザ切断ノズルと交換した後、切断を行うようにしている。
また被切断材が鉄系金属である場合、良好な切断を実現するにはアシストガスとして純度の高い酸素ガスを使用し、このアシストガスの周囲をシールドガスによって被覆することで、アシストガスの純度を高い状態に維持し得るようにしたレーザ切断ノズルが採用されている。このようなレーザ切断ノズルとしては、アシストガスの噴射口とシールドガスの噴射口に夫々ガス供給源を接続して、これらのガスを独立した条件で供給し得るように構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。
最近では、レーザ切断装置の稼働率の向上をはかるために、夜間に無人の状態で、異なる板厚を持った複数の被切断材を連続して切断するようなことが行われており、板厚に変化に関わらず切断することが可能なレーザ切断ノズルの開発が要求されている。この要求を満たすために、上記特許文献1に記載したのと同様に、中心からレーザ光とアシストガスを噴射するレーザ噴射口を有し、且つ該噴射口の外周にシールドガスを噴射するシールドガス噴射口を設け、レーザ噴射口の径を薄い板厚を切断する径よりも大きく、厚い板厚を切断する径よりも小さく設定した一種類のレーザ切断ノズルを用いている。
そして、被切断材が薄板である場合、該被切断材にはレーザ光を照射すると共にアシストガスを噴射して切断し、被切断材が厚板の場合、レーザ光を照射すると共にアシストガス及びシールドガスを噴射して切断し得るように、レーザ切断ノズルに対するアシストガス及びシールドガスの供給圧(或いは流量)を制御することで、被切断材の板厚の変化に対応させるようにしている。
上記の如く構成したレーザ切断ノズルでは、シールドガスはアシストガスの純度維持機能と同時に、被切断材に対する積極的な切断補助機能を有する。このため、特にデュアルフローノズルと呼ばれることもあり、この場合シールドガスは二次気流と呼ばれる。
上記の如く、被切断材の板厚の変化に関わらず一種類のデュアルフローノズルで切断する場合、被切断材が薄板である場合、アシストガスの流量を一定とすると該被切断材に対して噴射するアシストガスの流速が遅くなり、またアシストガスの圧力を一定とすると被切断材に対して必要以上の量を供給することになる。このため、アシストガスの流速或いは流量が適正でなくなり、切断の品質を保持することが困難になるという問題が生じている。
また被切断材が厚板である場合、板厚によってはアシストガスの量が不足するため、二次気流の量を増加させてアシストガスの不足分を補うようにするが、この場合、二次気流の噴射径がレーザ光の径に比較して極めて大きいため、切幅が増大して歩留りが低くなったり、二次気流の量の増加に伴って被切断材の切溝の肩部分に流速の大きい二次気流が噴射されることによる切断面の劣化という問題が生じる。
またデュアルフローノズルでは、二次気流をアシストガスに可及的に接近させて噴射することが切断の品質の向上をはかる上で好ましいが、特許文献1に記載されたレーザ切断ノズルのように、中心にパイプ状のレーザ光を照射すると共にアシストガスを噴射する噴射口を形成するのでは、該噴射口を形成するパイプ状部分の肉厚をある程度確保しないと、僅かな力が作用するのに伴って簡単に曲がったり、折れることがある。このため、アシストガスに対する二次気流の接近に限度が生じるという問題もある。
本発明の目的は、アシストガスに対して接近させた二次気流を確保すると共に、二次気流の流速の適正化をはかることで、板厚の変化に関わらず良好な切断品質を確保し得るレーザ切断ノズルを提供することにある。
上記課題を解決するために本件発明者等は種々の実験を行った。この結果、二次ガスの流量を確保すると共に流速を抑えることで、切断面の品質を向上させ、且つ切断速度を劣化させることのないノズルを開発することが出来た。
従って、本発明に係るレーザ切断ノズルは、中心にレーザ光とアシストガスを噴射する噴射孔を配置すると共に該噴射孔の外周に二次ガスを噴射するリング状の二次ガス噴射孔を配置したレーザ切断ノズルであって、二次ガス噴射孔に二次ガスの非直線的な流路を形成した部材を設けたものである。
上記レーザ切断ノズルに於いて、二次ガスの非直線的な流路を形成した部材が、焼結金属であることが好ましい。
上記レーザ切断ノズル(以下「ノズル」という)では、二次ガスを噴射するリング状の二次ガス噴射孔に二次ガスの非直線的な流路を形成した部材(流路部材)を設けたことによって、二次ガス噴射孔から噴射される二次ガスは流路部材を通過する過程で流速が低下し、被切断材に於ける切断部位に於ける肩部分に噴射された場合でも、この部分の母材の燃焼や溶融をきたすことなく蒸発物や溶融物を排除することが出来る。このため、切断の品質を向上させることが出来る。
また流路部材を焼結金属とすることによって、レーザ光とアシストガスを噴射する噴射孔(以下、単に「噴射孔」という)の外周を保護することが出来る。このため、噴射孔を構成するパイプ状の部材の肉厚を薄くしても強度的な問題が生じることがない。この結果、アシストガスと二次ガスとの間隔を接近させることが可能となり、二次ガスによるアシストガスの純度保護と、厚板を切断する際のアシストガスの不足分の補充を実現することが出来る。
以下、本発明に係るノズルの最も好ましい形態について説明する。本発明のノズルは、中心からレーザ光を照射すると共にアシストガスを噴射し、更にアシストガスの周囲に二次ガスを噴射し得るようにしたものであり、1本のノズルで板厚の変化に対応し得るように構成されたものである。
特に、二次ガスの気流を直進性を阻害された流れとすることによって、流速を低下させた状態で被切断材の切断部位に噴射し、これにより、アシストガスと二次ガスとを加えた流量とすることによって、切断に寄与するガスの流量を確保すると共にアシストガスの純度を維持し得るようにしたものである。
上記の如く構成されたノズルでは、アシストガスの周囲に流速が早い二次ガスを大きい面積で噴射することがない。このため、母材の溶融部位(切幅)が大きくなることを抑えることが可能となり、且つ切断面の粗度を小さくすることが可能となる。
本発明のノズルに於いて、噴射孔の径(内径)は特に限定するものではない。しかし、通常の薄板専用のノズルに於ける噴射孔の径と同じか又は小さく、厚板専用のノズルに於ける噴射孔の径よりも小さいことが好ましい。また噴射孔を構成する部材の外径も限定するものではないが、二次ガスをアシストガスに接近させるために、可及的に小さいことが好ましい。このため、噴射孔を構成する部材の肉厚を薄くすることが好ましい。
また二次ガス噴射孔の径も特に限定するものではないが、二次ガスとして必要な流量を確保し得る面積を有することが必要である。この二次ガス噴射孔の内径は、噴射孔を構成する部材の外径によって規定されるため、二次ガス噴射孔の外径は、二次ガスとして供給されるのに好ましい圧力に基づく流量を確保し得る値に設定される。
二次ガスの非直線的な流路を形成した部材は、二次ガスが直線的に高い流速を持った状態で二次ガス噴射孔から噴射されるのを防止する機能を有するものであり、この機能を発揮し得るものであれば用いることが可能である。このような部材としては、メッシュの大きい網又はシートを穴を交互に配置して複数枚重ねあわせて構成したもの、多数の連続した孔を有する焼結金属やセラミックス等があり、これらの中から選択したものを用いることが可能である。
流路部材としては、耐熱性と剛性を有することが好ましい。特に、流路部材が高い剛性を持つことによって、二次ガス噴射孔に配置したとき、噴射孔を構成する部材を支持することが可能となる。このため、噴射孔を構成する部材の肉厚を薄くしてアシストガスと二次ガスとを接近させることが可能となり好ましいノズルを構成することが可能である。このような性質を持った流路部材としては焼結金属であることが好ましい。
次に、実施例1に係るノズルについて図を用いて説明する。図1はノズルの組立図である。図2はノズルを構成するアウターノズルを説明する図である。図3はノズルを構成するインナーノズルを説明する図である。図4は本実施例に係るノズルを取り付けたレーザ切断トーチの構成を説明する図である。図5は各種ノズルに於けるアシストガス或いはアシストガスと二次ガスの噴出圧を説明する図である。
本実施例に係るノズルAの説明に先立って、前記ノズルAを取り付けたレーザ切断トーチBの構成に付いて図4により説明する。図に示すレーザ切断トーチBは、先端に本発明の実施例に係るノズルAを装着し、図示しないレーザ発振器から出射され光軸Dに沿って照射されたレーザ光を鋼板等の被切断材Cに向けて照射して該被切断材Cを蒸発,溶融させ、同時に酸素ガス等のアシストガスを噴射して蒸発物や溶融物を母材から排除し、これにより、厚さ方向に貫通した溝を形成することで被切断材Cを切断し得るように構成されたものである。
レーザ切断トーチBは、筒状のトーチ本体11を有しており、該トーチ本体11の上端側の延長上にレーザ発振器が配置され、下端にノズルAが着脱可能に装着されている。このトーチ本体11の所定位置にはレンズ12が配置され、該レンズ12によってレーザ光を集光し、ノズルAから光軸Dに沿って被切断材Cに向けて照射される。
トーチ本体11に設けたレンズ12の下側にアシストガスを供給するための接続部材13が配置されており、該接続部材13にホース或いは配管等の流通部材14を介してアシストガス供給源15が接続されている。トーチ本体11に供給されたアシストガスは、レンズ12に沿って流通することで該レンズ12を冷却し、その後、ノズルAから被切断材Cに向けて噴射される。
トーチ本体11の下端に装着されたノズルA(ノズルAの二次ガス通路)にも、流通部材14を介して二次ガス供給源16が接続されたおり、該二次ガス供給源16をレーザ発振器及びアシストガス供給源15の作動と同時に作動させることで、ノズルAの中心からレーザ光を照射すると共にアシストガスを噴射し、該アシストガスの周囲に二次ガスを噴射して被切断材Cに対する切断を行うことが可能である。
次に、本実施例に係るノズルAの構成について図1〜図3により説明する。ノズルAはインナーノズル1と、インナーノズル1にネジ結合して該インナーノズルとの間に二次ガス室4を形成するアウターノズル2と、二次ガス室4から外部に向けて噴射する二次ガスの直進性を阻害する流路部材となる焼結金属3と、を有して構成されている。
インナーノズル1は先端にレーザ光を照射すると共にアシストガスを噴射する噴射孔1aが形成されている。インナーノズル1の先端部分は、噴射孔1aを形成することによってパイプ状の部材に形成されている。
本実施例では、ノズルAが切断すべき板厚の範囲を拡大して一般の薄板専用ノズルと厚板専用ノズルの切断可能板厚の全範囲を満足させるものであるため、噴射孔1aの径は、一般に薄板専用ノズルとして設定されているノズルに於ける噴射孔の径と同じか又は小さく、厚板専用ノズルとして設定されているノズルに於ける噴射孔の径よりも小さい値である約1.3mmに形成されている。尚、本発明では噴射孔1aの径を限定するものではなく、該噴射孔1aの径は、実際の被切断材に対する切断実験を含む各種の実験結果から得ることが好ましい。
インナーノズル1の上端側の外周にはネジ1bが形成されており、該ネジ1bをトーチ本体11の下端部分に形成されたネジに締結することでノズルAをトーチ本体11に装着し得るように構成されている。従って、ノズルAがトーチ本体11に取り付けられている場合、ネジ1bの締結を解除することで取り外すことが可能である。即ち、ノズルAはトーチ本体11に対し着脱可能に構成されている。またインナーノズル1の所定位置(アウターノズル2の長さと対応する位置)の外周にはネジ1cが形成されており、該ネジ1cにアウターノズル2の上端部分に形成したネジ2bを締結することで、インナーノズル1とアウターノズル2を一体化し得るように構成されている。
インナーノズル1の先端の外周には段部1dが形成されており、該段部1dを形成することによって、インナーノズル1の先端部分の肉厚を薄くすることが可能である。本実施例では、段差1dの径は約3mmに設定されている。従って、噴射孔1aとの肉厚は約0.5mmとなり、該肉厚を極めて薄くしてアシストガスと二次ガスとを接近させることが可能となる。
特に、段部1dにはスリーブ状に形成された焼結金属3が打ち込みされて一体化される。このため、段部1dは焼結金属3の内径に対し、しまり嵌めの公差を持って形成されることが好ましい。
インナーノズル1に於ける段部1dとネジ1cとの間の外周面1eは二次ガス室4の壁面となるものであり、段部1dに向けて径が小さくなるテーパ状に形成されている。更に、インナーノズル1の内面1fは、トーチ本体11に供給されたアシストガスを円滑に流動させて噴射し得るように、噴射孔1aに向けて径が小さくなるテーパ状に形成されている。
またインナーノズル1の外周に形成されたネジ1cの上端側にフランジ1gが形成されている。
アウターノズル2は、インナーノズル1の外周に装着され、該インナーノズル1との間に二次ガス室4を形成すると共に焼結金属3を配置した二次ガス噴射孔を形成するものである。このため、アウターノズル2の先端にはインナーノズル1の先端に取り付けた焼結金属3を嵌合する嵌合孔2aが形成されており、上端部の内周にはインナーノズル1のネジ1cと締結されるネジ2bが形成されている。特に、嵌合孔2aは焼結金属3の外径がしっくりと嵌合し得る公差を持って形成されている。
アウターノズル2の内周面2cは、インナーノズル1の外周面1eと共に二次ガス室4を形成するものであり、前記外周面1eとの間に二次ガス室4として充分な空間を形成し得るような寸法を持って形成されている。
アウターノズル2の外周の所定位置にはフランジ2dが形成されている。前述したように、このフランジ2dはインナーノズル1に形成されたフランジ1gと対向してリング状の溝5を形成し、図4に示すように、この溝5にガス分配部材6を装着することでリング状の室を形成するものである。そしてガス分配部材6にニップル等の接続部材7を取り付けると共に該接続部材7に二次ガス供給源16に接続されたホース14が接続されている。
アウターノズル2の所定位置(フランジ2dよりも上端側で二次ガス室4と対応する位置)には複数の穴2eが形成されており、この穴2eを介して二次ガス室4に二次ガスが供給される。
焼結金属3は、二次ガス室4から外部に噴射する二次ガスを非直進的に流す流路を形成した流路−部材となるものであり、二次ガスの噴射圧を平均化することによって被切断材Cに於ける切断部位に噴射した場合でも、該二次ガスが被切断材Cを部分的に燃焼させて切断面の品質に障害を与えるようなことを防止するものである。
本実施例に於いて、焼結金属3は内径が3mmで外径が6mmのスリーブ状に形成されており、JIS8371に規定されたバルブプレッシャー法による濾過度が70ミクロンのものを用いている。この濾過度を持った焼結金属3を用いた場合、被切断材Cの板厚の変化に関わらず、好ましい切断品質を得ることが可能であったが、必ずしも前記濾過度に限定するものではなく、連続した孔を有するスリーブ状の部材であれば用いることが可能である。
上記の如く構成されたノズルAを被切断材Cとしての板厚25mmのSS400の鋼板の表面から約2.5mmの高さに設定し、且つ炭酸ガスレーザの出力を出力5000W(パルス)、アシストガス供給源15からアシストガスとしての酸素ガスを0.08MPaで供給すると共に、二次ガス供給源16から二次ガスとしての酸素ガスを0.1MPaで供給して切断した。
上記切断の結果、切断面の粗度を含む切断品質を満足し得る切断速度は800mm/min であった。この切断速度は、従来から用いられているノズルによる切断速度が700mm/min であるのに対し充分に満足のいく値である。また従来のノズルによる切断速度と同じ700mm/min で切断したところ、切断面の粗度を極めて小さくすることが可能であった。
またノズルAを用いて薄板を切断する場合には、二次ガス供給源16の作動を停止させて、アシストガスのみを噴射することで対応することが可能である。
従って、ノズルAを取り付けたレーザ切断装置を、夜間、無人で連続運転するような場合、レーザ切断装置の制御装置に、被切断材Cの順番、夫々の被切断材Cの板厚情報、等の切断条件に影響を与える情報を予め記憶させておくことで、切断すべき被切断材Cに対して二次ガスの噴射の有無や供給圧力等の条件を制御することで、1本のノズルAによって全ての被切断材Cに対して良好な切断を行うことが可能となる。
本件発明者等は、本発明に係るノズルAと、一般的なデュアルフローノズル、及び二次気流のないレーザ切断ノズル(シングルノズル),前記シングルノズルの噴射孔に網を取り付けたレーザ切断ノズル、等のノズルに於けるアシストガスと二次ガス、アシストガスとシールドガス、アシストガスの噴射圧の分布を測定する実験を行った。
その結果を図5に示す。同図(a)は本発明のノズルAによるアシストガスと二次ガスの噴射圧の分布を示す図である。図に示すように、中央にアシストガスの高い噴射圧を持った部分があり、周囲に噴射圧の低い二次ガスが配置されている。このため、二次ガスはアシストガスの純度維持に寄与するものの、進行中の切断部位に噴射された場合でも、母材の燃焼や蒸発物,溶融物,燃焼生成物の排除には多く寄与することがないものと考えられる。従って、切断は主としてアシストガスによって行われることとなり、切断面の粗度が小さく、且つ切幅の小さい良好な切断品質を得ることが可能となる。
同図(b)は、一般のデュアルフローノズルによるアシストガスとシールドガスの噴射圧の分布を示す図である。このデュアルフローノズルでは、噴射孔20から噴射されるアシストガスと、シールドガス噴射孔21から噴射されるシールドガスが接近して配置される。シールドガスは高い直進性を有し、噴射圧も高くなっている。このため、アシストガスとシールドガスが同時に噴射することによって、これらのガスの両方が被切断材Cの切断に寄与することとなり、噴射孔の極めて大きいノズルを用いたのと同様になる。従って、切断面に対し過剰なガスが供給されることとなり、切断面の粗度が大きく、且つ切幅が大きくなる。
同図(c)はシングルノズルの噴射孔22に網23を配置したものである。この場合、アシストガスの噴射圧は、1本のアシストガスでありながら、中心の細い部分と、網23によって乱された部分とが混在することになる。しかし、このノズルでは、噴射されたアシストガスの直進性を保証することが出来ず、被切断材Cの切断面の傾きや面粗度が一定せず、切断速度も一定にならないという大きな問題が生じた。
同図(d)は一般のシングルノズルのアシストガスの噴射圧であり、このシングルノズルでは、噴射孔22の径を変化させることで、薄板専用ノズル、厚板専用ノズルを構成することが可能である。
本発明に係るノズルは、噴射孔1aの径は焼結金属3の径を適宜設定することで、被切断材に対する良好な切断条件を設定することが可能であり、必ずしもレーザ発振器の出力に応じて切断可能な全ての板厚の範囲を切断し得るノズルとする必要はない。このようなノズルAとすることによって、レーザ切断装置による被切断材Cに対する精密切断を実現することが可能となる。
A ノズル
B レーザ切断トーチ
C 被切断材
D 光軸
1 インナーノズル
1a 噴射孔
1b,1c ネジ
1d 段部
1e 外周面
1f 内面
1g フランジ
2 アウターノズル
2a 嵌合孔
2b ネジ
2c 内周面
2d フランジ
3 焼結金属
4 二次ガス室
5 溝
6 ガス分配部材
7 接続部材
11 トーチ本体
12 レンズ
13 接続部材
14 流通部材
15 アシストガス供給源
16 二次ガス供給源
20,22 噴射孔
21 シールドガス噴射孔
23 網
B レーザ切断トーチ
C 被切断材
D 光軸
1 インナーノズル
1a 噴射孔
1b,1c ネジ
1d 段部
1e 外周面
1f 内面
1g フランジ
2 アウターノズル
2a 嵌合孔
2b ネジ
2c 内周面
2d フランジ
3 焼結金属
4 二次ガス室
5 溝
6 ガス分配部材
7 接続部材
11 トーチ本体
12 レンズ
13 接続部材
14 流通部材
15 アシストガス供給源
16 二次ガス供給源
20,22 噴射孔
21 シールドガス噴射孔
23 網
Claims (2)
- 中心にレーザ光とアシストガスを噴射する噴射孔を配置すると共に該噴射孔の外周に二次ガスを噴射するリング状の二次ガス噴射孔を配置したレーザ切断ノズルであって、二次ガス噴射孔に二次ガスの非直線的な流路を形成した部材を設けたことを特徴とするレーザ切断ノズル。
- 前記二次ガスの非直線的な流路を形成した部材が、焼結金属であることを特徴とする請求項1に記載したレーザ切断ノズル。
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