JP2745992B2 - 四輪駆動車の駆動力配分装置 - Google Patents
四輪駆動車の駆動力配分装置Info
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- JP2745992B2 JP2745992B2 JP23290492A JP23290492A JP2745992B2 JP 2745992 B2 JP2745992 B2 JP 2745992B2 JP 23290492 A JP23290492 A JP 23290492A JP 23290492 A JP23290492 A JP 23290492A JP 2745992 B2 JP2745992 B2 JP 2745992B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は前後輪への駆動力の分
配率を変えることのできる四輪駆動車に関し、特に駆動
力の分配率を変えるクラッチの締結力を制御するための
装置に関するものである。
配率を変えることのできる四輪駆動車に関し、特に駆動
力の分配率を変えるクラッチの締結力を制御するための
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両のタイヤで発生する駆動力や横力
は、路面の摩擦係数μやタイヤに与えるトルクなどによ
って異なるが、四輪駆動車は、エンジンから出力される
駆動力を、4つのタイヤで受け持たせるから、基本的に
は二輪駆動車に比較して動力性能や走行安定性が優れて
いる。しかしながらタイヤと路面との間の摩擦係数μ
は、四輪の全てで常時同一にはならないから、例えば前
輪もしくは後輪の駆動力が相対的に過剰になってその車
輪にスリップが生じる場合がある。このような場合、四
輪駆動車としての優れた動力性能や安定性を発揮できな
くなるので、前後輪に対する駆動力の配分を変えて、ス
リップの生じている車輪の駆動力を下げ、四輪の全てが
充分な駆動力を発生するようにしている。
は、路面の摩擦係数μやタイヤに与えるトルクなどによ
って異なるが、四輪駆動車は、エンジンから出力される
駆動力を、4つのタイヤで受け持たせるから、基本的に
は二輪駆動車に比較して動力性能や走行安定性が優れて
いる。しかしながらタイヤと路面との間の摩擦係数μ
は、四輪の全てで常時同一にはならないから、例えば前
輪もしくは後輪の駆動力が相対的に過剰になってその車
輪にスリップが生じる場合がある。このような場合、四
輪駆動車としての優れた動力性能や安定性を発揮できな
くなるので、前後輪に対する駆動力の配分を変えて、ス
リップの生じている車輪の駆動力を下げ、四輪の全てが
充分な駆動力を発生するようにしている。
【0003】また一方、タイヤで生じる横力(コーナリ
ングフォース)は、タイヤの駆動力(制動力)の増大に
よって減少し、またタイヤがスリップが大きいとタイヤ
の摩擦円が小さくなり駆動力と横力とが減少する。した
がって後輪に与える駆動力が大きければ、旋回時に後輪
で生じる横力が小さくなってオーバーステア傾向(スピ
ン傾向)を示し、また前輪に与える駆動力が大きけれ
ば、旋回時の前輪の横力が小さくなるから、アンダース
テア傾向(ドリフトアウト傾向)を示す。
ングフォース)は、タイヤの駆動力(制動力)の増大に
よって減少し、またタイヤがスリップが大きいとタイヤ
の摩擦円が小さくなり駆動力と横力とが減少する。した
がって後輪に与える駆動力が大きければ、旋回時に後輪
で生じる横力が小さくなってオーバーステア傾向(スピ
ン傾向)を示し、また前輪に与える駆動力が大きけれ
ば、旋回時の前輪の横力が小さくなるから、アンダース
テア傾向(ドリフトアウト傾向)を示す。
【0004】このように四輪駆動車での前後輪に対する
駆動力の配分の仕方は、動力性能や走行安定性とステア
特性とに大きく影響し、そのため例えば特開平3−31
030号公報に記載された装置では、前後輪に対する駆
動力の配分を変えるクラッチの締結力を、車輪のスリッ
プ状態と車両のヨーイング状態とに基づいて制御してい
る。具体的には、この公報に記載された装置では、車輪
スリップ検出値が目標値となるよう第1クラッチ締結力
を決めるとともに、ヨーイング状態が目標値に一致する
よう第2クラッチ締結力を決め、さらにこれらのクラッ
チ締結力の和を求め、その求めた値に基づいてクラッチ
の締結力を制御している。
駆動力の配分の仕方は、動力性能や走行安定性とステア
特性とに大きく影響し、そのため例えば特開平3−31
030号公報に記載された装置では、前後輪に対する駆
動力の配分を変えるクラッチの締結力を、車輪のスリッ
プ状態と車両のヨーイング状態とに基づいて制御してい
る。具体的には、この公報に記載された装置では、車輪
スリップ検出値が目標値となるよう第1クラッチ締結力
を決めるとともに、ヨーイング状態が目標値に一致する
よう第2クラッチ締結力を決め、さらにこれらのクラッ
チ締結力の和を求め、その求めた値に基づいてクラッチ
の締結力を制御している。
【0005】したがってこの従来の装置によれば、例え
ばエンジンから後輪に与えている駆動力の一部を前輪に
配分する構成の四輪駆動車において、旋回時に後輪がス
リップして後輪の横力が失われ、それに伴ってステア特
性がオーバーステア傾向になった場合、スリップ状態を
検出することによる第1クラッチ締結力に、ヨーイング
が大きくなったことによる第2クラッチ締結力が付加さ
れ、その和としてのクラッチ締結力が達成されるから、
前輪側への駆動力配分が増大して、後輪のスリップが抑
制され、またオーバーステア傾向が是正される。
ばエンジンから後輪に与えている駆動力の一部を前輪に
配分する構成の四輪駆動車において、旋回時に後輪がス
リップして後輪の横力が失われ、それに伴ってステア特
性がオーバーステア傾向になった場合、スリップ状態を
検出することによる第1クラッチ締結力に、ヨーイング
が大きくなったことによる第2クラッチ締結力が付加さ
れ、その和としてのクラッチ締結力が達成されるから、
前輪側への駆動力配分が増大して、後輪のスリップが抑
制され、またオーバーステア傾向が是正される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】車両のヨーイング状態
に基づくクラッチ締結力の制御は、舵角や車速などをパ
ラメータとした目標ヨーレートの演算、およびヨーレー
トセンサーによる実ヨーレートの検出、ならびに目標ヨ
ーレートと実ヨーレートとの偏差およびその偏差に基づ
くクラッチ締結力の演算などによって行うから、舵角セ
ンサーやヨーレートセンサーあるいはヨーレート制御に
関わる演算機能などがフェイルした場合には、ヨーレー
トに基づくクラッチ締結力の制御ができなくなる。この
ような場合、上記従来の装置では、クラッチ締結力の制
御を、たとえヨーレートが生じても前後輪の回転速度差
のみによって行うことになるから、例えば路面摩擦係数
の小さい低μ路の走行時に、車両にヨーイングが生じて
も、それに基づくクラッチ締結力の制御すなわち駆動力
の配分制御を行うことができない。すなわち上記従来の
装置では、ヨーレートに基づくクラッチ締結力の制御を
行わない場合には、過剰なヨーレートが生じてもこれを
抑制する駆動力の配分ができないので、車両の安定性が
低下し、あるいは四輪駆動車が元来備えている安定性を
発揮できないおそれがあった。
に基づくクラッチ締結力の制御は、舵角や車速などをパ
ラメータとした目標ヨーレートの演算、およびヨーレー
トセンサーによる実ヨーレートの検出、ならびに目標ヨ
ーレートと実ヨーレートとの偏差およびその偏差に基づ
くクラッチ締結力の演算などによって行うから、舵角セ
ンサーやヨーレートセンサーあるいはヨーレート制御に
関わる演算機能などがフェイルした場合には、ヨーレー
トに基づくクラッチ締結力の制御ができなくなる。この
ような場合、上記従来の装置では、クラッチ締結力の制
御を、たとえヨーレートが生じても前後輪の回転速度差
のみによって行うことになるから、例えば路面摩擦係数
の小さい低μ路の走行時に、車両にヨーイングが生じて
も、それに基づくクラッチ締結力の制御すなわち駆動力
の配分制御を行うことができない。すなわち上記従来の
装置では、ヨーレートに基づくクラッチ締結力の制御を
行わない場合には、過剰なヨーレートが生じてもこれを
抑制する駆動力の配分ができないので、車両の安定性が
低下し、あるいは四輪駆動車が元来備えている安定性を
発揮できないおそれがあった。
【0007】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、ヨーレートに基づくクラッチ締結力の制御を中止
した場合であっても、車両の安定性を確保することので
きる四輪駆動車の駆動力配分装置を提供することを目的
とするものである。
ので、ヨーレートに基づくクラッチ締結力の制御を中止
した場合であっても、車両の安定性を確保することので
きる四輪駆動車の駆動力配分装置を提供することを目的
とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、図1に示す構成としたことを特徴と
するものである。すなわちこの発明は、前輪1と後輪2
とに対する駆動力の配分を締結力に応じて変えるクラッ
チ3を有し、かつそのクラッチ3の締結力を、前輪1と
後輪2との回転速度差に基づいて所定の制御ゲインで増
大制御するとともに、実ヨーレートが目標ヨーレートに
一致するよう前記クラッチ3の締結力を制御する四輪駆
動車の駆動力配分装置において、実ヨーレートと目標ヨ
ーレートとに基づく前記クラッチ3の締結力の制御の中
止を検出するヨーレート制御中止検知手段4と、実ヨー
レートと目標ヨーレートとに基づくクラッチ締結力の制
御が中止されたことをヨーレート制御中止検知手段4が
検出した場合に前記制御ゲインを増大させる制御ゲイン
変更手段5と、この制御ゲイン変更手段5で設定された
制御ゲインを使用して前輪1と後輪2との回転速度差に
基づいて前記クラッチ3の締結力を制御するクラッチ制
御手段6とを備えていることを特徴とするものである。
を達成するために、図1に示す構成としたことを特徴と
するものである。すなわちこの発明は、前輪1と後輪2
とに対する駆動力の配分を締結力に応じて変えるクラッ
チ3を有し、かつそのクラッチ3の締結力を、前輪1と
後輪2との回転速度差に基づいて所定の制御ゲインで増
大制御するとともに、実ヨーレートが目標ヨーレートに
一致するよう前記クラッチ3の締結力を制御する四輪駆
動車の駆動力配分装置において、実ヨーレートと目標ヨ
ーレートとに基づく前記クラッチ3の締結力の制御の中
止を検出するヨーレート制御中止検知手段4と、実ヨー
レートと目標ヨーレートとに基づくクラッチ締結力の制
御が中止されたことをヨーレート制御中止検知手段4が
検出した場合に前記制御ゲインを増大させる制御ゲイン
変更手段5と、この制御ゲイン変更手段5で設定された
制御ゲインを使用して前輪1と後輪2との回転速度差に
基づいて前記クラッチ3の締結力を制御するクラッチ制
御手段6とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】この発明におけるクラッチの締結力は、通常、
前後輪の回転速度差および目標ヨーレートと実ヨーレー
トとの偏差に基づいて制御される。すなわち前後輪の回
転速度差が大きいほど、クラッチ締結力が大きくなるよ
う所定の制御ゲインで制御され、また実ヨーレートが目
標ヨーレートに一致するようクラッチ締結力が制御され
る。これに対してセンサーのフェイルなどにより、ヨー
レートに基づくクラッチ締結力の制御を中止した場合、
この制御の中止をヨーレート制御中止検知手段4が検出
する。その場合、制御ゲイン変更手段5が、前後輪の回
転速度差に基づくクラッチ締結力の制御ゲインを増大さ
せ、その増大させた制御ゲインによってクラッチ制御手
段6が、前後輪の回転速度差に基づいてクラッチ3の締
結力を制御する。したがって実ヨーレートを目標ヨーレ
ートに一致させるようにクラッチ締結力を制御できない
場合には、クラッチ締結力が高めに制御されるので、ス
テア特性としてはオーバーステア特性が抑制され、その
結果、車両の安定性が向上する。
前後輪の回転速度差および目標ヨーレートと実ヨーレー
トとの偏差に基づいて制御される。すなわち前後輪の回
転速度差が大きいほど、クラッチ締結力が大きくなるよ
う所定の制御ゲインで制御され、また実ヨーレートが目
標ヨーレートに一致するようクラッチ締結力が制御され
る。これに対してセンサーのフェイルなどにより、ヨー
レートに基づくクラッチ締結力の制御を中止した場合、
この制御の中止をヨーレート制御中止検知手段4が検出
する。その場合、制御ゲイン変更手段5が、前後輪の回
転速度差に基づくクラッチ締結力の制御ゲインを増大さ
せ、その増大させた制御ゲインによってクラッチ制御手
段6が、前後輪の回転速度差に基づいてクラッチ3の締
結力を制御する。したがって実ヨーレートを目標ヨーレ
ートに一致させるようにクラッチ締結力を制御できない
場合には、クラッチ締結力が高めに制御されるので、ス
テア特性としてはオーバーステア特性が抑制され、その
結果、車両の安定性が向上する。
【0010】
【実施例】つぎにこの発明を実施例に基づいて説明す
る。図2はこの発明の一実施例を示す模式図であって、
制御対象である四輪駆動トランスファ10は、エンジン
11に連結した自動変速機12の出力側に設けられてい
る。このトランスファ10は遊星歯車式のセンターディ
ファレンシャル13によって駆動力を後輪側と前輪側と
に分配するものであって、自動変速機12の出力軸であ
る駆動軸14がキャリヤ15に連結されており、またリ
ングギヤ16が出力軸17を介してリヤプロペラシャフ
ト18に連結されている。これに対してサンギヤ19
は、ドライブスプロケット20に連結され、これに巻き
掛けたチェーン21およびドリブンスプロケット22を
介してフロントプロペラシャフト23に駆動力を伝達す
るようになっている。またキャリヤ15とサンギヤ19
との間に差動制限クラッチ24が設けられており、その
係合油圧を高くすることにより、すなわちトルク容量を
大きくすることにより前輪側への駆動力の分配率を大き
くするようになっている。
る。図2はこの発明の一実施例を示す模式図であって、
制御対象である四輪駆動トランスファ10は、エンジン
11に連結した自動変速機12の出力側に設けられてい
る。このトランスファ10は遊星歯車式のセンターディ
ファレンシャル13によって駆動力を後輪側と前輪側と
に分配するものであって、自動変速機12の出力軸であ
る駆動軸14がキャリヤ15に連結されており、またリ
ングギヤ16が出力軸17を介してリヤプロペラシャフ
ト18に連結されている。これに対してサンギヤ19
は、ドライブスプロケット20に連結され、これに巻き
掛けたチェーン21およびドリブンスプロケット22を
介してフロントプロペラシャフト23に駆動力を伝達す
るようになっている。またキャリヤ15とサンギヤ19
との間に差動制限クラッチ24が設けられており、その
係合油圧を高くすることにより、すなわちトルク容量を
大きくすることにより前輪側への駆動力の分配率を大き
くするようになっている。
【0011】上記の差動制限クラッチ24に対する油圧
を制御するための装置として、リニアソレノイドバルブ
を主体とする油圧制御装置25と四輪駆動用電子制御装
置(4WD−ECU)26とが設けられている。この電
子制御装置26は、中央演算処理装置(CPU)とメモ
リー(ROM,RAM)ならびに入出力インターフェー
スを主体として構成されており、この電子制御装置26
には操舵角センサー27、ヨーレートセンサー28、各
車輪ごとに設けた車輪速度センサー29、横加速度(横
G)センサー30、前後加速度(前後G)センサー31
などの各センサーからの信号が入力されている。そして
電子制御装置26は、これらの入力されるパラメータの
うち、前後輪の回転数差に基づいて所定の制御ゲインで
差動制限クラッチ24の油圧をフィードバック制御し、
また舵角や車速などから目標ヨーレートを求めるととも
にその目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が小さく
なるよう差動制限クラッチ24に対する油圧を制御する
ようになっている。
を制御するための装置として、リニアソレノイドバルブ
を主体とする油圧制御装置25と四輪駆動用電子制御装
置(4WD−ECU)26とが設けられている。この電
子制御装置26は、中央演算処理装置(CPU)とメモ
リー(ROM,RAM)ならびに入出力インターフェー
スを主体として構成されており、この電子制御装置26
には操舵角センサー27、ヨーレートセンサー28、各
車輪ごとに設けた車輪速度センサー29、横加速度(横
G)センサー30、前後加速度(前後G)センサー31
などの各センサーからの信号が入力されている。そして
電子制御装置26は、これらの入力されるパラメータの
うち、前後輪の回転数差に基づいて所定の制御ゲインで
差動制限クラッチ24の油圧をフィードバック制御し、
また舵角や車速などから目標ヨーレートを求めるととも
にその目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が小さく
なるよう差動制限クラッチ24に対する油圧を制御する
ようになっている。
【0012】図3は前記電子制御装置26で実行される
差動制限クラッチ24の油圧を制御する制御ルーチンの
一例を示しており、先ず、ステップ1では操舵角から求
めた実舵角δ、各車輪の速度v、ヨーレートγ、前後G
x 、ならびに横Gy を読み込み、ついでステップ2で車
輪速度vから車体速度(車速)Vを推定し、かつ各車輪
の回転数Nを求める。またステップ3では、前輪回転数
NF と後輪回転数NRとを、それぞれの左右の車輪の平
均回転数(NF =(NFL+NFR)/2,NR =(NRL+
NRR)/2)として求める。得られた前後輪の回転数N
F ,NR から、前後輪の回転数差の絶対値ΔNFRを求め
る(ステップ4)。つぎにステップ5で目標ヨーレート
γ0 を求める。これは車速Vに応じた係数K1(v)と舵角
δとによって求める。その係数K1(v)は、一般には、車
速V、ホイールベースLならびにスタビリティファクタ
Kh から、K1(v)=V/{L(1+Kh ・V2 )}の式
で演算する。なお、この係数K1(v)は、加速度や路面の
摩擦係数μなどに応じて補正した係数であってもよい。
差動制限クラッチ24の油圧を制御する制御ルーチンの
一例を示しており、先ず、ステップ1では操舵角から求
めた実舵角δ、各車輪の速度v、ヨーレートγ、前後G
x 、ならびに横Gy を読み込み、ついでステップ2で車
輪速度vから車体速度(車速)Vを推定し、かつ各車輪
の回転数Nを求める。またステップ3では、前輪回転数
NF と後輪回転数NRとを、それぞれの左右の車輪の平
均回転数(NF =(NFL+NFR)/2,NR =(NRL+
NRR)/2)として求める。得られた前後輪の回転数N
F ,NR から、前後輪の回転数差の絶対値ΔNFRを求め
る(ステップ4)。つぎにステップ5で目標ヨーレート
γ0 を求める。これは車速Vに応じた係数K1(v)と舵角
δとによって求める。その係数K1(v)は、一般には、車
速V、ホイールベースLならびにスタビリティファクタ
Kh から、K1(v)=V/{L(1+Kh ・V2 )}の式
で演算する。なお、この係数K1(v)は、加速度や路面の
摩擦係数μなどに応じて補正した係数であってもよい。
【0013】このようにして求められた目標ヨーレート
γ0 と実ヨーレートγとに基づいてそれらの偏差Δγ
(=γ(γ0 −γ))をステップ6で演算する。ここで
偏差Δγとして、目標ヨーレートγ0 と実ヨーレートγ
との差と、実ヨーレートγとの積を採っているのは、次
の理由による。すなわちヨーレートは方向性のあるパラ
メータであるうえに、偏差Δγもアンダーステア傾向と
オーバーステア傾向とを正(+)、負(−)の符号で表
わすことになるから、上述のように積を採れば、左旋回
時および右旋回時のいずれであっても、アンダーステア
傾向のときは正の値になり、また反対にオーバーステア
傾向のときには負の値になる。
γ0 と実ヨーレートγとに基づいてそれらの偏差Δγ
(=γ(γ0 −γ))をステップ6で演算する。ここで
偏差Δγとして、目標ヨーレートγ0 と実ヨーレートγ
との差と、実ヨーレートγとの積を採っているのは、次
の理由による。すなわちヨーレートは方向性のあるパラ
メータであるうえに、偏差Δγもアンダーステア傾向と
オーバーステア傾向とを正(+)、負(−)の符号で表
わすことになるから、上述のように積を採れば、左旋回
時および右旋回時のいずれであっても、アンダーステア
傾向のときは正の値になり、また反対にオーバーステア
傾向のときには負の値になる。
【0014】つぎにステップ7で、ヨーレートの制御を
行えるか否かを判断する。具体的には、ヨーレートセン
サーあるいは操舵角センサーからの信号が入力されてい
るか否かなどの通常の手法によってそのフェイルを判断
する。その判断結果が“ノー”の場合、すなわちヨーレ
ートの制御を行える場合には、ヨーレートの偏差Δγに
基づいて、前後輪の回転速度差ΔNFRによる係合油圧を
補正することにより、ステア特性を加味した差動制限ク
ラッチ圧PCDの制御を行う。
行えるか否かを判断する。具体的には、ヨーレートセン
サーあるいは操舵角センサーからの信号が入力されてい
るか否かなどの通常の手法によってそのフェイルを判断
する。その判断結果が“ノー”の場合、すなわちヨーレ
ートの制御を行える場合には、ヨーレートの偏差Δγに
基づいて、前後輪の回転速度差ΔNFRによる係合油圧を
補正することにより、ステア特性を加味した差動制限ク
ラッチ圧PCDの制御を行う。
【0015】すなわち図2に示すトランスファ10を備
えた車両は、後輪駆動をベースにした四輪駆動車であっ
て、差動制限を強めることによって前輪側への駆動力の
分配率が増大するから、アンダーステア傾向にある場合
には、後輪側への駆動力の分配率を高くしてオーバース
テア側に補正する必要があり、また反対にオーバーステ
ア傾向にある場合には、前輪側への駆動力の分配率を高
くしてアンダーステア側に補正する必要がある。そこで
前記偏差Δγに応じた補正係数K2(Δγ)は、図4に示
すように、Δγがプラス方向に大きい場合には、“1”
より小さい値に設定し、またマイナス方向に大きい場合
には“1”より大きい値に設定する。
えた車両は、後輪駆動をベースにした四輪駆動車であっ
て、差動制限を強めることによって前輪側への駆動力の
分配率が増大するから、アンダーステア傾向にある場合
には、後輪側への駆動力の分配率を高くしてオーバース
テア側に補正する必要があり、また反対にオーバーステ
ア傾向にある場合には、前輪側への駆動力の分配率を高
くしてアンダーステア側に補正する必要がある。そこで
前記偏差Δγに応じた補正係数K2(Δγ)は、図4に示
すように、Δγがプラス方向に大きい場合には、“1”
より小さい値に設定し、またマイナス方向に大きい場合
には“1”より大きい値に設定する。
【0016】一方、前後輪の回転数差ΔNFRに基づく差
動制限クラッチ24の係合油圧は、所定の制御ゲインを
もってフィードバック制御され、正常状態での係合油圧
P1(ΔNFR )の一例を図示すれば、図5の(A)のとお
りである。すなわち係合油圧P1(ΔNFR )は、前後輪の
回転数差ΔNFRに基づいて増大制御される。
動制限クラッチ24の係合油圧は、所定の制御ゲインを
もってフィードバック制御され、正常状態での係合油圧
P1(ΔNFR )の一例を図示すれば、図5の(A)のとお
りである。すなわち係合油圧P1(ΔNFR )は、前後輪の
回転数差ΔNFRに基づいて増大制御される。
【0017】ヨーレート制御の可能な正常時にヨーレー
ト偏差Δγが生じれば、これを加味した差動制限クラッ
チ26の制御を行う。すなわち前後輪の回転数差ΔNFR
に応じて図5の(A)から求まる係合油圧P1(ΔNFR )
に、ヨーレート偏差Δγに応じて図3から求まる補正係
数K2(Δγ)を掛けて、設定すべは係合油圧PCDを求め
る(ステップ8)。このようにして求まる係合油圧PCD
を、ヨーレート偏差Δγの正負に応じて模式的に表わせ
ば、図6のとおりである。
ト偏差Δγが生じれば、これを加味した差動制限クラッ
チ26の制御を行う。すなわち前後輪の回転数差ΔNFR
に応じて図5の(A)から求まる係合油圧P1(ΔNFR )
に、ヨーレート偏差Δγに応じて図3から求まる補正係
数K2(Δγ)を掛けて、設定すべは係合油圧PCDを求め
る(ステップ8)。このようにして求まる係合油圧PCD
を、ヨーレート偏差Δγの正負に応じて模式的に表わせ
ば、図6のとおりである。
【0018】すなわちオーバーステア傾向にあれば、係
合油圧PCDは、より高く設定され、したがって後輪の駆
動力が下げられて後輪の横力が大きくなるため、オーバ
ーステア傾向が抑制される。また反対にアンダーステア
傾向にあれば、係合油圧PCDは、前後輪の回転数差ΔN
FRに基づいて定まる圧力より低く設定されるので、後輪
に与える駆動力が大きくなってその横力が小さくなるた
め、アンダーステア傾向が抑制される。
合油圧PCDは、より高く設定され、したがって後輪の駆
動力が下げられて後輪の横力が大きくなるため、オーバ
ーステア傾向が抑制される。また反対にアンダーステア
傾向にあれば、係合油圧PCDは、前後輪の回転数差ΔN
FRに基づいて定まる圧力より低く設定されるので、後輪
に与える駆動力が大きくなってその横力が小さくなるた
め、アンダーステア傾向が抑制される。
【0019】一方、ステップ7の判断結果が“イエス”
の場合すなわちヨーレートの制御を行えない場合には、
ステップ9に進み、前後輪の回転数差ΔNRFのみに基づ
いて係合油圧PCDを定める。その場合の制御ゲインは、
正常時の制御ゲインよりも大きくしてあり、前後輪の回
転数差ΔNFRに応じた係合油圧P2(ΔNFR )を図示すれ
ば図5の(B)のとおりである。ステップ9では、この
図5の(B)に基づいて定まる圧力P2(ΔNFR )を差動
制限クラッチ26の係合油圧PCDとして採用する。した
がってヨーレートの制御を中止している状態では、前輪
への駆動力の配分が、正常時よりも多くなって後輪に与
える駆動力が低下するから、オーバーステア傾向が抑制
され、もしくはアンダーステア傾向が強まり、その結
果、車両の安定性が向上する。
の場合すなわちヨーレートの制御を行えない場合には、
ステップ9に進み、前後輪の回転数差ΔNRFのみに基づ
いて係合油圧PCDを定める。その場合の制御ゲインは、
正常時の制御ゲインよりも大きくしてあり、前後輪の回
転数差ΔNFRに応じた係合油圧P2(ΔNFR )を図示すれ
ば図5の(B)のとおりである。ステップ9では、この
図5の(B)に基づいて定まる圧力P2(ΔNFR )を差動
制限クラッチ26の係合油圧PCDとして採用する。した
がってヨーレートの制御を中止している状態では、前輪
への駆動力の配分が、正常時よりも多くなって後輪に与
える駆動力が低下するから、オーバーステア傾向が抑制
され、もしくはアンダーステア傾向が強まり、その結
果、車両の安定性が向上する。
【0020】なお、この発明では、ヨーレート制御を中
止した場合のクラッチ締結力の制御ゲインは、一種類で
ある必要は特にはなく、車両の状態に応じた複数種類の
制御ゲインを設定してあってもよい。また、上記の実施
例では、前後輪への駆動力の分配を遊星歯車式のトラン
スファによって行い、かつその差動制限をクラッチによ
って行って駆動力の分配率を変えるよう構成したが、こ
の発明は上記の実施例に限定されるものではなく、要
は、クラッチ係合圧に応じて前後輪への駆動力の分配率
を変えるよう構成してあばれよい。また目標ヨーレート
と実ヨーレートとの比較は、その両者の差およびその差
に実ヨーレートの値を掛けることによって行わずに、両
者の比を取ることよって行ってもよく、要は両者の相違
を定量的に把握できるように比較するものであればよ
い。
止した場合のクラッチ締結力の制御ゲインは、一種類で
ある必要は特にはなく、車両の状態に応じた複数種類の
制御ゲインを設定してあってもよい。また、上記の実施
例では、前後輪への駆動力の分配を遊星歯車式のトラン
スファによって行い、かつその差動制限をクラッチによ
って行って駆動力の分配率を変えるよう構成したが、こ
の発明は上記の実施例に限定されるものではなく、要
は、クラッチ係合圧に応じて前後輪への駆動力の分配率
を変えるよう構成してあばれよい。また目標ヨーレート
と実ヨーレートとの比較は、その両者の差およびその差
に実ヨーレートの値を掛けることによって行わずに、両
者の比を取ることよって行ってもよく、要は両者の相違
を定量的に把握できるように比較するものであればよ
い。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなようにこの発明
によれば、ヨーレートに基づいた前後輪への駆動力の配
分の制御を行えない場合には、前後輪の回転速度差に基
づいたクラッチ締結力の制御ゲインを大きくして、後輪
への駆動力配分を少なくするようにしたから、低μ路等
でヨーが発生しても、これを抑制するように車両が挙動
を示し、したがって車両の安定性を向上させることがで
きる。
によれば、ヨーレートに基づいた前後輪への駆動力の配
分の制御を行えない場合には、前後輪の回転速度差に基
づいたクラッチ締結力の制御ゲインを大きくして、後輪
への駆動力配分を少なくするようにしたから、低μ路等
でヨーが発生しても、これを抑制するように車両が挙動
を示し、したがって車両の安定性を向上させることがで
きる。
【図1】この発明の構成を原理的に示すブロック図であ
る。
る。
【図2】この発明の一実施例を模式的に示すブロック図
である。
である。
【図3】差動制限クラッチの係合油圧の制御ルーチンを
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図4】目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差と油圧
の補正係数との関係を示す線図である。
の補正係数との関係を示す線図である。
【図5】前後輪の回転数差と差動制限クラッチの係合油
圧との関係を示す線図であって、(A)は正常時の線図
であり、(B)はヨーレート制御を行えない場合の制御
ゲインを大きくした線図である。
圧との関係を示す線図であって、(A)は正常時の線図
であり、(B)はヨーレート制御を行えない場合の制御
ゲインを大きくした線図である。
【図6】目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が生じ
た場合の前後輪の回転数差と差動制限クラッチの実際の
係合油圧との関係を示す線図である。
た場合の前後輪の回転数差と差動制限クラッチの実際の
係合油圧との関係を示す線図である。
1 前輪 2 後輪 3 クラッチ 4 ヨーレート制御中止検知手段 5 制御ゲイン変更手段 6 クラッチ制御手段
Claims (1)
- 【請求項1】 前輪と後輪とに対する駆動力の配分を締
結力に応じて変えるクラッチを有し、かつそのクラッチ
の締結力を、前輪と後輪との回転速度差に基づいて所定
の制御ゲインで増大制御するとともに、実ヨーレートが
目標ヨーレートに一致するよう前記クラッチの締結力を
制御する四輪駆動車の駆動力配分装置において、 実ヨーレートと目標ヨーレートとに基づく前記クラッチ
の締結力の制御の中止を検出するヨーレート制御中止検
知手段と、実ヨーレートと目標ヨーレートとに基づくク
ラッチ締結力の制御が中止されたことをヨーレート制御
中止検知手段が検出した場合に前記制御ゲインを増大さ
せる制御ゲイン変更手段と、この制御ゲイン変更手段で
設定された制御ゲインを使用して前輪と後輪との回転速
度差に基づいて前記クラッチの締結力を制御するクラッ
チ制御手段とを備えていることを特徴とする四輪駆動車
の駆動力配分装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23290492A JP2745992B2 (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | 四輪駆動車の駆動力配分装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23290492A JP2745992B2 (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | 四輪駆動車の駆動力配分装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0655948A JPH0655948A (ja) | 1994-03-01 |
JP2745992B2 true JP2745992B2 (ja) | 1998-04-28 |
Family
ID=16946663
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23290492A Expired - Fee Related JP2745992B2 (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | 四輪駆動車の駆動力配分装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2745992B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7301458B2 (ja) * | 2018-09-28 | 2023-07-03 | ダイハツ工業株式会社 | 車両用制御装置 |
JP7318555B2 (ja) * | 2020-02-14 | 2023-08-01 | トヨタ自動車株式会社 | 四輪駆動車両 |
-
1992
- 1992-08-07 JP JP23290492A patent/JP2745992B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0655948A (ja) | 1994-03-01 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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