JP2694504B2 - 段付ワークの位置計測方法 - Google Patents

段付ワークの位置計測方法

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JP2694504B2
JP2694504B2 JP5312950A JP31295093A JP2694504B2 JP 2694504 B2 JP2694504 B2 JP 2694504B2 JP 5312950 A JP5312950 A JP 5312950A JP 31295093 A JP31295093 A JP 31295093A JP 2694504 B2 JP2694504 B2 JP 2694504B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、段付ワークの段差エッ
ジ部の位置を計測する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の製造工程においては、ドアの組
付精度を確保するために、図1に示す如く段付ワークた
るフロントフェンダaの段差エッジ部bとドアcのヘミ
ング加工されたエッジ部dとの間の隙間と段差とを管理
する必要がある。従来、この隙間と段差はゲージ等を用
いた接触方式で計測しているが、これでは車体に傷が付
くおそれがある。
【0003】また、ワークにスリット光を照射する投光
器と、ワークに照射されたスリット光が描く光切断像を
撮像する撮像器とを備える光学式測定装置を用い、撮像
器の画面上の光切断画像からワークの形状や位置を計測
する方法が知られており、これを利用してルーフとスラ
イドルーフとの間の段差を計測する方法が特開昭63−
61107号公報で知られている。このものでは、光切
断画像のルーフ側の線とスライドルーフ側の線とのずれ
量からルーフとスライドルーフとの間の段差を計測して
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した光学式測定装
置を用いてフロントフェンダの段差エッジ部とドアのエ
ッジ部との間の隙間と段差とを計測することも考えられ
る。この場合、フロントフェンダとドアとに跨がるよう
にスリット光を照射すると、撮像器の画面にはフロント
フェンダの断面形状に対応する段付形状の光切断画像と
ドアの断面形状に対応するほぼ直線状の光切断画像とが
現われ、フロントフェンダの光断面画像の屈曲部の位置
とドアの光切断画像の端部の位置とから上記隙間と段差
とを計測することが可能になる。
【0005】然し、フロントフェンダの光切断画像の屈
曲部はフロントフェンダの段差エッジ部の折曲アールに
対応するアールの付いた湾曲形状になり、画面上で画像
屈曲部の位置を1点に特定して計測することができず、
段差エッジ部の位置を精度良く計測することは困難であ
る。
【0006】本発明は、以上の問題点を解決し、段付ワ
ークの段差エッジ部の位置を光学的に精度良く計測でき
るようにした方法を提供することをその目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、ワークにスリット光を照射する投光器と、ワ
ークに照射されたスリット光が描く光切断像を撮像する
撮像器とを備える光学式測定装置を用い、撮像器の画面
上の光切断画像から段付ワークの段差エッジ部の位置を
計測する方法において、光切断画像に現われる段差部を
挾んで互いに逆方向に直線状に延在する光切断画像の一
方の第1直線状部と第2直線状部とに夫々所定の2箇所
をウインドを設定して、該各ウインド内における光切断
画像の重心の座標を検出する工程と、第1直線状部に設
定した2箇所のウインド内の前記重心を通る第1の直線
の方程式と、第2直線状部に設定した2箇所のウインド
内の前記重心を通る第2の直線の方程式とを求める工程
と、第1の直線上に位置する光切断画像の段差部側の端
点の座標と、第2の直線上に位置する光切断画像の段差
部側の端点の座標とを検出する工程と、該両端点を結ぶ
線分を基準にして段差部に所定の2箇所のウインドを設
定して、該各ウインド内の光切断画像の重心の座標を検
出する工程と、段差部に設定した2箇所のウインド内の
前記重心を通る第3の直線の方程式を求める工程と、第
1直線又は/及び第2の直線と第3の直線との交点の座
標を求める工程とから成る。
【0008】
【作用】段付ワークの段差面の一端側のワーク面と他端
側のワーク面の夫々の傾きと位置が第1の直線と第2の
直線とで表わされ、段差面の傾きと位置が第3の直線で
表わされる。そして、第1の直線又は第2の直線と第3
の直線との交点は、ワークの段差面の一端又は他端の段
差エッジ部をアールを付けずに屈曲させたときの角部に
対応する点となり、この交点を計測基準点として段差エ
ッジ部の位置を精度良く計測できる。
【0009】また、ワークの段差面の折曲角度が異なっ
たり或いはワークの位置がずれても、上記両端点を結ぶ
線分は光切断画像の段差部に収まる線になり、この線分
を基準にしてウインドを設定することにより、段差部の
所定部分にばらつき無くウインドを設定できるようにな
る。従って、このウインド内の画像重心に基づいて求め
られる第3の直線はワークの段差面の傾きと位置を正確
に表わし、段差エッジ部の計測精度が向上する。
【0010】
【実施例】図1に示すフロントフェンダaの段差エッジ
部bとドアcのエッジ部dとの間の隙間と段差とを光学
式測定装置を用いて計測するようにした実施例について
説明する。
【0011】光学的測定装置は、図2に示す如く、スリ
ット光を照射する投光器1と、CCDカメラ等から成る
撮像器2とを備えており、投光器1からフロントフェン
ダaとドアcとに跨がるようにスリット光を照射し、フ
ロントフェンダa上に描かれる光切断像s1とドアc上
に描かれる光切断像s2とを、スリット光の光面に対し
光軸が所定角度(例えば45°)で斜交するように配置
した撮像器2で撮像する。
【0012】撮像器2の画面上には、図3に示す如く、
フロントフェンダa上の光切断像s1に対応する光切断
画像S1と、ドアc上の光切断像s2に対応する光切断
画像S2とが現われ、光切断画像S1は、フロントフェ
ンダaの一般面に対応する第1の直線状部S1aと、フ
ロントフェンダaの段差面に対応する段差部S1bと、
段差面の奥側のフランジ面に対応する第2の直線状部S
1cとを有する段付形状になる。
【0013】尚、撮像器2は、光切断画像S1の直線状
部S1a、S1cや光切断画像S2の長手方向が画面上
の上下方向の座標軸たるY軸にほぼ平行になるように光
切断像s1、s2を撮像する。
【0014】撮像器2の画像信号はコンピュータから成
る画像処理装置3に送られ、該画像処理装置3によりフ
ロントフェンダaの段差エッジ部bの位置とドアcのエ
ッジ部dの位置とが計測され、両者間の隙間と段差とが
計測される。
【0015】フロントフェンダaの段差エッジ部bの位
置は以下の手順で計測する。先ず、画面にそのほぼ全域
に亘る固定ウインドW1を設定し、このウインドW1内
における光切断画像S1のY軸方向上端点Aと下端点B
とを検出する。次に、図4(a)に示す如く上端点Aを
基準にして第1の直線状部S1aに所定の2箇所のウイ
ンドW2、W3を設定すると共に、下端点Bを基準にし
て第2の直線状部S1cに所定の2箇所のウインドW
4、W5を設定し、各ウインドW2〜W5内における光
切断画像S1の重心G2〜G5の座標を検出する。
【0016】そして、第1の直線状部S1aを表わす線
としてウインドW2、W3内の重心G2、G3を通る第
1の直線L1の方程式と、第2の直線状部S1cを表わ
す線としてウインドW4、W5内の重心G4、G5を通
る第2の直線L2の方程式と求め、更に、第1の直線L
1上に位置する光切断画像S1の段差部S1b側の端点
Cの座標と、第2の直線L2上に位置する光切断画像S
1の段差部S1b側の端点Dの座標とを検出する。
【0017】次に、図4(b)に示す如く両端点C、D
を結ぶ線分Lの方程式を求め、この線分Lを基準にして
段差部S1bの所定の2箇所(例えば線分Lを3等分す
る箇所)にウインドW6、W7を設定し、各ウインドW
6、W7内の光切断画像S1の重心G6、G7の座標を
求める。
【0018】そして、図4(c)に示す如く、段差部S
1bを表わす線としてウインドW6、W7内の重心G
6、G7を通る第3の直線L3の方程式を求め、第1の
直線L1と第3の直線L3との交点Eの座標を算定す
る。この交点Eは、フロントフェンダaの段差エッジ部
bをアールを付けずに屈曲させたときの角部に対応する
点になり、交点Eを計測基準点として段差エッジ部bの
位置をばらつき無く精度良く計測できる。
【0019】ドアcのエッジ部dの位置の計測に際して
は、光切断画像S2の端部がエッジ部の折曲アールに対
応するアールの付いた先細の湾曲形状になることを考慮
し、図5に示す如く、先ず光切断画像S2のエッジ部d
側の端点Fを検出し、次に光切断画像S2の直線状部に
端点Fを基準にして所定の2箇所のウインドW8、W9
を設定し、各ウインドW8、W9内における光切断画像
S2の重心G8、G9の座標を検出して、両重心G8、
G9を通る直線L4の方程式と、この直線L4に直交し
端点Fを通る直線L5の方程式とを求め、両直交L4、
L5交点Hをエッジ部dに対応する計測基準点としてそ
の座標を算定する。
【0020】そして、各交点E、Hの画面上の座標値か
ら各交点E、Hに対応するスリット光面上の各点e、h
の空間座標値を算定する。この算定原理を図6を参照し
て説明する。図2に示す如く、撮像器2の光軸Oのスリ
ット光面に対する交点を原点とする、スリット光面上の
x軸とy軸及びスリット光面に直交するz軸とから成る
空間座標系を考える。図6のCPは撮像手段2の画面の
空間座標系への投影面であり、スリット光面上の各点の
画面上における座標は、撮像器2から見た該各点に対す
る視線の投影面CPに対する交点の座標となる。そし
て、空間座標系の原点に対応する画面上の点、即ち、画
面の中心点を原点として画面(投影面CP)上にX軸及
びY軸を取ると、前記交点Eの画面上の座標(EX,E
Y)と交点Eに対応するスリット光面上の点eの空間座
標(ex,ey)との間には以下の関係が成立する。
【0021】即ち、撮像器2の光軸Oのスリット光面に
対する傾斜面をα(αはキャリブレーションで所定値に
設定されている)、点eに対する視線の光軸Oに対する
傾斜角をβとして、 EX=ex・sinα−ex・cosα・tanβ ……(1) になり、ここで撮像器2とスリット光面との間の距離を
Nとして(Nはキャリブレーションで所定値に設定され
ている)、 tanβ=EX/N ……(2) になり、(2)式を(1)式に代入してexについて整理する
と、 ex=EX/{sinα−cosα・(EX/N)} になる。また、eyとEYとの比は、点eから光軸Oに
降ろした脚と撮像器2との間の距離N′とNとの比に等
しく、ここで、 N′=N+ex・cosα であるから、 ey=EY{1+(ex・cosα)/N} になり、かくて交点Eに対応するスリット光面上の点e
の空間座標を交点Eの画面上の座標から算定できる。
【0022】前記交点Hに対応するスリット光面上の点
hの空間座標(hx,hy)も交点Hの画面上の座標
(HX,HY)から上記と同様に、次式 hx=HX/{sinα−cosα・(HX/N)} hy=HY{1+(hx・cosα)/N} で算定できる。
【0023】そして、フロントフェンダaの段差エッジ
部bとドアcのエッジ部dとの間の隙間と段差とを上記
両交点e、hのy軸座標値の差及びx軸座標値の差から
求める。
【0024】以上、フロントフェンダaの外側の段差エ
ッジ部bの位置計測に本発明を適用した実施例について
説明したが、段付ワークの加工精度を管理するために、
ワークの段差面の両側の段差エッジ部の位置計測を行う
必要がある場合には、上記した第1の直線L1と第3の
直線L3との交点の座標と、第2の直線L2と第3の直
線L3との交点の座標とを求めれば良い。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、段付ワークの光切断画像の段差部を表わす直
線の方程式を正確に求めることができ、光切断画像の直
線状部を表わす直線と段差部を表わす直線との交点を計
測基準点として段付ワークの段差エッジ部の位置を精度
良く計測できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 計測対象となるワークを示す断面図
【図2】 本発明で使用する光学式測定装置の概要を示
す斜視図
【図3】 撮像器の画面を示す図
【図4】 (a)(b)(c)本発明に従った段付ワー
クの位置計測を行うための画面上の画像処理を示す図
【図5】 非段付ワークの位置計測を行うための画面上
の画像処理を示す図
【図6】 画面上の点とスリット光面上の対応点との関
係を示す図
【符号の説明】
a フロントフェンダ(段付ワーク) b 段差エッ
ジ部 1 投光器 2 撮像器 S1 光切断画像 S1a 第1直
線状部 S1b 段差部 S1c 第2
直線状部 W2〜W7 ウインド G2〜G7
重心 C、D 端点 L 線分 L1 第1の直線 L2 第2の
直線 L3 第3の直線 E 交点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G06F 15/70 350B

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークにスリット光を照射する投光器
    と、ワークに照射されたスリット光が描く光切断像を撮
    像する撮像器とを備える光学式測定装置を用い、撮像器
    の画面上の光切断画像から段付ワークの段差エッジ部の
    位置を計測する方法において、光切断画像に現われる段
    差部を挾んで互いに逆方向に直線状に延在する光切断画
    像の一方の第1直線状部と第2直線状部とに夫々所定の
    2箇所のウインドを設定して、該各ウインド内における
    光切断画像の重心の座標を検出する工程と、第1直線状
    部に設定した2箇所のウインド内の前記重心を通る第1
    の直線の方程式と、第2直線状部に設定した2箇所のウ
    インド内の前記重心を通る第2の直線の方程式とを求め
    る工程と、第1の直線上に位置する光切断画像の段差部
    側の端点の座標と、第2の直線上に位置する光切断画像
    の段差部側の端点の座標とを検出する工程と、該両端点
    を結ぶ線分を基準にして段差部に所定の2箇所のウイン
    ドを設定して、該各ウインド内の光切断画像の重心の座
    標を検出する工程と、段差部に設定した2箇所のウイン
    ド内の前記重心を通る第3の直線の方程式を求める工程
    と、第1の直線又は/及び第2の直線と第3の直線との
    交点の座標を求める工程とから成る段付ワークの位置計
    測方法。
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