JP3696336B2 - カメラのキャリブレーション方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、基準対象物の各基準点を異なる位置から複数枚撮影し、その撮影された複数枚の画像に基づき、カメラの内部定位(主点位置、画面距離、レンズの歪み量)を求めるときのカメラのキャリブレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、撮影された2枚の画像に基づき計測対象物の三次元形状の計測を行なう場合、例えば、図1に示すステレオ法の原理に基づき計測対象物の計測点を求めている。その図1において、1は計測対象物、2、3は各撮像カメラの撮像レンズ、4、5はその各撮像カメラの撮像面(CCD受像素子)である。この各カメラには説明の便宜のため同一のものが使用され、各撮像レンズ2、3は計測対象物1に向けられてその光軸O1、O2が平行にセットされている。その撮像レンズ2、3の主点から撮像面4、5までの画面距離aも説明の便宜のため互いに等しく、各撮像面4、5は光軸O1、O2に対して垂直に置かれているものとする。また、光軸O1、O2の光軸間距離(以下、基線長という)をlとする。このとき、計測対象物1の計測点P(x,y,z)の座標値と各撮像面4、5の各対応点P1(x1,y1)、P2(x2,y2)の座標値との間には以下に記載する関係式が成り立つ。
【0003】
【数1】
Figure 0003696336
但し、全体の座標系(x,y,z)の原点は、撮像レンズ2の主点とする。従って、基線長lが既知であれば、(3)式により座標値Zを求め、(1)、(2)式から座標値(x,y)が求められる。
【0004】
これは三次元形状の計測の基本原理図を説明するためのものであり、原理的に計測対象物1の計測点の座標値(x,y,z)を求めることができる。
【0005】
これらの計測対象物1の各画像の計測点Pを求める場合、撮影された複数枚の画像の各計測点の対応づけ及び重心位置検出を行い、計測対象物1の計測点の座標値(x,y,z)をコンピュータを用いて求めるものである。
【0006】
ところで、これらの3次元計測を行うには、あらかじめカメラのキャリブレーションをする必要、すなわち、カメラの内部定位(レンズ歪み量、焦点距離、主点位置)を求める必要がある。このカメラの内部定位を求める場合、あらかじめ測定されている基準対象物を異なる複数の方向から複数枚撮影し、各画像間の基準点の対応づけを行い、この基準点の対応づけとあらかじめ測定されている結果とからカメラの内部定位を求めることが従来から行われている。
【0007】
このカメラのキャリブレーションには、各種の方法があるが、ここではCCDカメラのキャリブレーションとして、写真測量分野で使用される「セルフキャリブレーション付きバンドル調整法」を説明する。
【0008】
バンドル調整法とは、被写体、レンズ、CCD撮像面を結ぶ光束は同一直線上になければならないという共線条件に基づき、各画像の光束の1本毎に観測方程式をたて、最小2乗法によりカメラの位置と傾き(外部標定要素)、対象点座標を同時調整する方法であり、セルフキャリブレーション付きとは、カメラの内部定位(レンズの歪み量、焦点距離、主点)を求める方法である。
【0009】
このセルフキャリブレーション付きバンドル調整法の共線条件基本式は、下記の(4)、(5)式で表わされ、内部定位の補正モデル式は例えば下記の(6)、(7)式で表わされる。
【0010】
【数2】
Figure 0003696336
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カメラによって計測対象物1の計測を行なう場合には、ことにカメラの内部定位を求めることが重要で、このカメラの内部定位の精度が低いと、ひいては計測対象物1の計測精度の向上を図り難い。従来、これらの基準点の対応づけ及び基準点の重心位置計測は目視によって行なっていた。
【0012】
このカメラのキャリブレーションを行なう場合、基準点の数及び撮影された画像の枚数が多ければ多いほど、キャリブレーションの精度が向上し、このため、相当の数に渡って、各画像間における基準点の対応づけ、及び、重心位置を求めることが必要である。例えば、キャリブレーションの精度を上げるためには、少なくとも6枚以上の画像について50点以上の基準点を必要とするが、この場合には少なくとも300個以上の基準点の対応づけ及び重心位置計測を行なわなければならず、目視による計測点の対応づけ、重心位置の決定による方法はスピードが遅いうえに精度の向上を期待できないという不具合がある。
【0013】
更に、カメラのキャリブレーションの精度をより一層向上させるためには、計測対象物としての基準対象物1を撮影するときに、カメラ本体を意図的に傾けて撮影する、回転させながら撮影する手法が採用され、写し込まれた各画像6、6´、6´´には図2に示すようにずれ、回転があり、かつ基準点の個数が相当な数であり、例えば、各画像の左上隅を基準にしてその基準位置からn番目の位置にある基準点は互いに対応しているというような機械的決定を行なうことができないため、単純に写し込まれた画像同士を比較して基準点を対応づけるのは困難であり、基準点の個数が多ければ多いほどその対応づけが難しい。更に、重心位置の計測精度が人によって異なり、同一人でも測定のたびに計測値が変動し、何度も計測作業を行なわなければならず、労力がかかわるわりには安定した精度を得られないという不都合がある。また、基準点の数が相当な数であるため、大変な労力がかかることになる。加えて、各基準が三次元的に分布し、撮影位置によって基準点の形状が変化するため、目視による場合には重心位置の決定が益々困難である。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、個人差による誤差を除去してキャリブレーション精度の向上、迅速化、容易化、自動化を図ることのできるキャリブレーション方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のカメラのキャリブレーション方法は、相対的な位置関係が既知の多数の基準球体が点在された基準対象物を異なる方向から複数枚撮影し、前記基準球体は、大きさの違う大型の球体と小型の球体との2種類の球体からなり、複数枚撮影した画像のそれぞれにおいて、大型の基準球体の概略位置に基づき画像を切り出し、この切り出した画像において小型の基準球体を計測点とみなして、複数枚の画像での各計測点の対応づけを自動的に行うことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載のカメラのキャリブレーション方法は、請求項1に記載のものにおいて、前記大型の球体は、小型の球体より撮影する方向に突出して設けてなることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載のカメラのキャリブレーション方法は、前記撮影された画像を圧縮し、この圧縮画像から前記大型の基準球体の概略位置を検出して、この概略位置に基づき前記画像を切り出すことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
図3は本発明に係わるキャリブレーション方法の説明図であって、12は撮像用のCCDカメラ、14は基準対象物である。基準対象物14には基準マークとしての大型の球体K0、K1、K2と小型の球体SKとが点在される。球体SKは基準点を求めるために用いられ、この球体SKは図4(A)に示すように等間隔で計測対象物14に点在されるのが望ましい。球体K0、K1、K2は画像切り出しに用いられる。この球体K0、K1、K2は球体SKよりも大きく設定されている。また、大型の球体K0、K1、K2は、斜めから撮影した場合に小型の球体SKにより遮られないように、小型の球体SKに対して撮影方向に突出させて配置することが望ましい。球体K0、K1、K2の位置関係は、図4(A)に示すものに限られず、図4(B)に示す位置関係のものであってもよい。この球体K0、K1、K2、SKの相対的位置は例えば接触式三次元測定機等の手段によってあらかじめ精密に求めておく。
【0021】
まず、基準対象物14に点在された球体K0、K1、K2、SKをCCDカメラ12により異なる方向から複数回撮影して複数枚の画像を得る(図5のS1参照)。CCDカメラ12の各撮像面上には、球体K0、K1、K2、SKがいずれの方向から撮影しても円として投影される。
【0022】
球体K0、K1、K2、SKは全て写し込まれるものとする。次に画像処理により圧縮画像を作成する(図5のS2参照)。この圧縮画像の作成技法には各種の方法が用いられ、単純に画素を間引いて画像の圧縮を行なう技法であっても良い。この圧縮画像処理により、球体SKを無視できる程度の大きさとすると共に球体K0、K1、K2を点として認識できる程度の大きさとする。これにより、球体SKは実質的に無視できる程度の点とされるか消滅される。その圧縮比は球体SKの大きさにより決定する。
【0023】
次に、球体K0、K1、K2をテンプレートマッチング方法によって検出する(図5のS3参照)。このテンプレートマッチング方法には、正規相関方法、残差逐次検定方法(SSDA法)のいずれを用いても良い。圧縮画像上でテンプレートマッチングを行なうので、球体SKを球体K0、K1、K2として誤認識するのを防止でき、残差逐次検定方法を用いれば、検出処理の高速化を図ることができる。
【0024】
ここでは、残差逐次検定方法に基づき説明を行なう。
【0025】
図6は残差逐次検定方法のテンプレートマッチングの原理を説明するための図であって、図6(A)は圧縮画像15を示し、
図6(B)はテンプレートマッチングをするための基準画像となるテンプレート画像16を示すもので、このテンプレート画像16はそれぞれ各球体K0、K1、K2に対応してあらかじめ準備されている。球体K0は原点球体として用いるために、ここでは黒色とする。図6において、テンプレート画像16を矢印方向X方向、Y方向に移動させ、下記の(8)式に示す演算式に基づいて、残差R(a,b)が最小となる点(a,b)を求める。球体K0、K1、K2の検出処理の高速化を図るため、(8)式の演算において、残差R(a,b)の値が過去の残差の最小値を越えた場合、加算処理を中止し、次の点(a,b)に移行して演算処理を行なう。
【0026】
【数3】
Figure 0003696336
この球体K0、K1、K2の検出処理終了後、球体K0、K1、K2の近傍に存在する球体SKを検出するための画像切り出しを行う。この画像切り出しは下記の式(9)、(10)に基づいて行う。この式(9)、(10)は投影中心、CCD上での画像、及び基準対象物14が一直線上に存在するという共線条件式であり、3点以上の既知点があれば、共線条件式の各パラメータを算出でき、以下に説明する理由により画像の切り出し領域を決定できる。
【0027】
【数4】
Figure 0003696336
まず、球体K0、K1、K2の画像上の座標により、各パラメータを算出する。球体SKの精密位置は三次元測定機により既知である。従って、(9)、(10)式に球体SKの計測対象物14上での精密位置を代入し、各球体SKの画像上での座標位置を算出する。この算出された各球体SKの概略の座標位置から切り出し領域を設定する(図5のS4参照)。次に、圧縮画像法に基づき切り出し領域内の画像を切り出す。そして、テンプレートマッチング法により各球体SKの画像上での概略位置を求める(図5のS5参照)。次に、球体SKの画像上での概略位置に基づきテンプレート球体よりも少し大きめの大きさの等倍画像を読み込む。次に、この等倍画像の下記の式(11)で示される一次元のラプラシアンガウシアンフィルタをX方向に施す。
【0028】
【数5】
Figure 0003696336
この(11)式で示される関数のゼロ交差点をエッジとし、ラプラシアンガウシアンフィルタ処理をX方向の各ライン毎に行う。図7はこのラプラシアンガウシアンフィルタ処理を説明するための図であって、球体SKのエッジSKeを(11)式に基づき図7(A)に示すように各X方向ラインlm毎に求める。球体SKのX方向の各ラインlmにラプラシアンガウシアンフィルタ処理を施すと、X方向の各ラインlm毎に図7(B)に示すようにゼロ交差点lm0が求められる。このゼロ交差点lm0を球体SKのX方向のラインlmのエッジであるとして、X方向の各ラインlmの中心点loを求め、この各中心点loに最小二乗法を適用してY方向の直線Vを求める。次にY方向の各ラインについても同様の処理を行って、X方向の直線Hを求める。この直線Vと直線Hとの交点により、画像上での球体SKの重心位置G(x,y)を精密に求める。この重心位置G(x,y)各球体SKについて求める(図5のS6参照)。
【0029】
そして、この精密に測定された各球体SKの重心位置(x,y)と、あらかじめ計測されている各球体の位置データに基づき、前述した公知の数式(4)、(5)によりカメラのキャリブレーションを行う(図5のS7参照)。)
以上実施例について説明したが、重心位置の詳細検出はこれに限られるものではなく、例えばテンプレートマッチング法と高次関数当てはめ法との組み合せ、モーメント法と高次関数当てはめ法との組み合せを用いても良い。
【0030】
この発明の実施の形態によれば、球体を用いて計測を行っているので、いずれの方向、位置から基準対象物を撮影しても、円を撮像面に投影でき、従って、撮像位置が異なることに基づく変形、回転の影響を除去でき、基準点の対応づけ、重心位置検出を迅速に行うことができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係るキャリブレーション方法は、以上説明したように構成したので、個人差による誤差を除去してキャリブレーション精度の向上、迅速化、容易化、自動化を図ることができる。特に、画像圧縮により、余分な点は削除されテンプレートマッチングにより基準点を正確にかつ高速に検出することが可能となり、基準点の対応づけ、高精度の重心位置の計測が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ステレオ画像法の原理の説明図である。
【図2】 画像の回転、ずれを説明するための図である。
【図3】 基準対象物に点在された球体の撮影を説明するための図である。
【図4】 基準対象物に点在される球体の相対位置関係を説明するための説明図であって、(A)は大型の球体に対して基準点としての小型の球体を規則的に配列させた状態を示し、(B)は大型の球体に対して基準点としての小型の球体を不規則的に配列させた状態を示す。
【図5】 カメラキャリブレーションの手順を示すフロー図である。
【図6】 テンプレートマッチング法の原理を説明するための図であって、(A)は撮像されかつ圧縮された画像に対してテンプレート画像を移動させる状態を示し、(B)はテンプレート画像を示す。
【図7】 球体SKの重心位置を求めるための説明図であって、(A)はX方向の各ライン毎に中心点を求める状態を示し、(B)はX方向のあるラインにおける0交差点を示す。
【符号の説明】
14…基準対象物
K0、K1、K2…大型の球体(基準マーク)
SK…小型の球体(基準マーク)

Claims (3)

  1. 相対的な位置関係が既知の多数の基準球体が点在された基準対象物を異なる方向から複数枚撮影し、前記基準球体は、大きさの違う大型の球体と小型の球体との2種類の球体からなり、複数枚撮影した画像のそれぞれにおいて、大型の基準球体の概略位置に基づき画像を切り出し、この切り出した画像において小型の基準球体を計測点とみなして、複数枚の画像での各計測点の対応づけを自動的に行うことを特徴とするカメラのキャリブレーション方法。
  2. 前記大型の球体は、小型の球体より撮影する方向に突出して設けてなる請求項1に記載のカメラのキャリブレーション方法。
  3. 前記撮影された画像を圧縮し、この圧縮画像から前記大型の基準球体の概略位置を検出して、この概略位置に基づき前記画像を切り出すことを特徴とする請求項1に記載のカメラのキャリブレーション方法。
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