JP2023127420A - 封止用樹脂組成物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法 - Google Patents

封止用樹脂組成物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法 Download PDF

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実佳 田中
Mika Tanaka
勇磨 竹内
Yuma Takeuchi
雄太 助川
Yuta Sukegawa
千嘉 内山
Chika Uchiyama
真志 白神
Masashi Shirakami
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Abstract

【課題】硬化物の比誘電率が低く、且つ硬化物の曲げ強さに優れる封止用樹脂組成物、これを用いて封止された電子部品装置、及びこれを用いて封止することを含む電子部品装置の製造方法の提供。【解決手段】エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、フルオロアルキレン構造を有するフッ素樹脂とを含む、封止用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、封止用樹脂組成物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法に関する。
通信のために発信された電波が誘電体において熱変換されることで発生する伝送損失の量は、周波数と比誘電率の平方根と誘電正接との積として表される。つまり伝送信号は周波数に比例して熱に変わりやすいので、伝送損失を抑制するために高周波帯ほど通信部材の材料に低誘電特性が要求される。
エポキシ樹脂及び硬化剤を含む封止用樹脂組成物は、電子部品用途において広く用いられており、近年、封止用樹脂組成物の硬化物には、比誘電率及び誘電正接が低いことが要求されている。
例えば、特許文献1においては、硬化物の比誘電率が低い封止用樹脂組成物の検討が行われており、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子等のフッ素樹脂粒子と、を含む封止用樹脂組成物が開示される。
特開2001-40182号公報
ところで、封止用樹脂組成物には、通常、硬化物の曲げ強さに優れることが要求されるが、本発明者らは、PTFE粒子を封止用樹脂組成物へ含有させた場合、上記流動性、硬化物の曲げ強さ等が低下するおそれがあるとの知見を得た。
本開示一実施形態が解決しようとする課題は、硬化物の比誘電率が低く、且つ硬化物の曲げ強さに優れる封止用樹脂組成物、これを用いて封止された電子部品装置、及びこれを用いて封止することを含む電子部品装置の製造方法を提供することである。
<1> エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、フルオロアルキレン構造を有するフッ素樹脂と、を含む、封止用樹脂組成物。
<2> 上記フッ素樹脂の形状が粒子であり、且つ平均粒径が、0.1μm~15μmである、上記<1>に記載の封止用樹脂組成物。
<3> 上記封止用樹脂組成物の総質量に対する上記フッ素樹脂の含有率が、1質量%~20質量%である、上記<1>又は<2>に記載の封止用樹脂組成物。
<4> 上記無機充填材及び上記フッ素樹脂の体積割合の和に対する、上記フッ素樹脂の体積割合の比が、0.03~0.30である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
<5> 上記フッ素樹脂が、融点300℃以上である、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。

<6> 上記フルオロアルキレン構造が、下記構造式(1)で表される構造及び構造式(2)で表される構造の少なくとも一方である、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
(式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、フルオロアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基又はペルフルオロアルコキシ基である。但し、R~Rのうち少なくとも1つは、フッ素原子以外である。
式(2)中、R~R12はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、フルオロアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基又はペルフルオロアルコキシ基である。但し、R~R12のうち少なくとも1つは、フッ素原子以外である。)
<7> 上記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン及びクロロトリフルオロエチレン-エチレンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1つである、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
<8> 支持部材と、
上記支持部材上に配置された素子と、
上記素子を封止している上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物の硬化物と、
を備える、電子部品装置。
<9> 素子を支持部材上に配置する工程と、
上記素子を上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物で封止する工程と、
を含む、電子部品装置の製造方法。
本開示によれば、硬化物の比誘電率が低く、且つ硬化物の曲げ強さに優れる封止用樹脂組成物、これを用いて封止された電子部品装置、及びこれを用いて封止することを含む電子部品装置の製造方法を提供することができる。
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明表した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。 本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい
また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
本開示において、「フルオロアルキレン」とは、アルキレンの水素原子の一部がフッ素原子に置換されたフルオロアルキレンを意味し、水素原子が全てフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキレンは包含されない。
[封止用樹脂組成物]
本開示の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、フルオロアルキレン構造を有するフッ素樹脂(以下、特定フッ素樹脂という。)とを含む。
本開示の封止用樹脂組成物は、硬化物の比誘電率が低く、且つ硬化物の曲げ強さに優れる。
本開示の封止用樹脂組成物により上記効果が奏される理由は明らかではないが、以下のように推察される。
本開示の封止用樹脂組成物は、無機充填材に加えて、特定フッ素樹脂を含んでいる。C-F結合は、共有結合であり、その結合エネルギーが高く、剛直で柔軟性が低いことから、分子軌道に歪みが生じにくく、低い動的分極率を示す傾向がある。そのため、フッ素樹脂は低誘電率な特徴を持ち、フッ素樹脂を含む封止用樹脂組成物は比誘電率が低下すると推察される。
また、特定フッ素樹脂は、凝集力に優れ、エポキシ樹脂との親和性が高く、これにより、封止用樹脂組成物の曲げ強さが向上すると推察される。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
エポキシ樹脂として具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはアクリル樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量(分子量/エポキシ基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、100g/eq~1000g/eqであることが好ましく、150g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
エポキシ樹脂が固体である場合、エポキシ樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。
成形性と耐リフロー性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、封止用樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
エポキシ樹脂の融点又は軟化点は、示差走査熱量測定(DSC)又はJIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
封止用樹脂組成物の全質量に対するエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から、0.5質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~30質量%であることがより好ましい。
<硬化剤>
硬化剤の種類は特に限定されるものではなく、活性エステル硬化剤、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤及びブロックイソシアネート硬化剤からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
活性エステル硬化剤は、エポキシ基と反応するエステル基を分子中に1個以上有する化合物であればその種類は特に制限されない。
活性エステル硬化剤としては、フェノールエステル化合物、チオフェノールエステル化合物、N-ヒドロキシアミンエステル化合物、複素環ヒドロキシ化合物のエステル化物等が挙げられる。
フェノール硬化剤として具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤の官能基当量(活性エステル化合物の場合はエステル当量、フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、70g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
硬化剤の官能基当量は、JIS K 0070:1992に準じた方法により測定される値とする。
エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわちエポキシ樹脂中の官能基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/エポキシ樹脂中の官能基数)は、特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑える観点からは、0.5~2.0の範囲に設定されることが好ましく、0.6~1.3の範囲に設定されることがより好ましい。成形性と耐リフロー性の観点からは、0.8~1.2の範囲に設定されることが更に好ましい。
硬化剤の軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、封止用樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
硬化剤の融点又は軟化点は、エポキシ樹脂の融点又は軟化点と同様にして測定される値とする。
封止用樹脂組成物の総質量に対する硬化剤の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から、5質量%~20質量%であることが好ましく、7質量%~15質量%であることがより好ましい。
<無機充填材>
本開示の封止用樹脂組成物は、無機充填材を含む。
無機充填材としては、シリカフィラー(例えば、溶融シリカ及び結晶シリカ)、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。
上記した中でも、硬化物の比誘電率の観点からは、無機充填材は、シリカフィラーが好ましい。
無機充填材の形状は、特に限定されず、粒子状であってもよく、繊維状等の非粒子状であってもよい。
本開示の封止用樹脂組成物は、無機充填材を2種以上は含んでいてもよい。
無機充填材の形状が粒子状である場合、その粒子径は、平均粒径0.2μm~100μmであることが好ましく、0.5μm~50μmであることがより好ましい。平均粒径が0.2μm以上であると、封止用樹脂組成物の粘度の上昇が抑制される傾向にある。平均粒径が100μm以下であると、充填性が向上する傾向にある。
無機充填材の平均粒径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により、体積平均粒径(D50)として求める。
誘電特性と成形性両立の観点から、封止用樹脂組成物の総質量に対する無機充填材の含有率は、50質量%~80質量%であることが好ましく、60質量%~75質量%であることがより好ましい。
<特定フッ素樹脂>
本開示の封止用樹脂組成物は、フルオロアルキレン構造を有するフッ素樹脂(特定フッ素樹脂)を含む。
特定フッ素樹脂の形状は、特に限定されず、粒子状であってもよく、繊維等の非粒子状であってもよいが、流動性の観点からは、粒子状であることが好ましい。
封止用樹脂組成物の流動性、並びに硬化物の比誘電率及び曲げ強さの観点から、フルオロアルキレン構造は、下記構造式(1)で表される構造及び構造式(2)で表される構造の少なくとも一方であることが好ましい。
式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、フルオロアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基又はペルフルオロアルコキシ基である。但し、R~Rのうち少なくとも1つは、フッ素原子以外である。
式(2)中、R~R12はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、フルオロアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基又はペルフルオロアルコキシ基である。但し、R~R12のうち少なくとも1つは、フッ素原子以外である。
封止用樹脂組成物の流動性、並びに硬化物の比誘電率及び曲げ強さの観点から、特定フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン及びクロロトリフルオロエチレン-エチレンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましく、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー及びポリビニリデンフルオライドからなる群より選択される少なくとも1つであることがより好ましく、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテルがさらに好ましい。
特定フッ素樹脂の形状が粒子状である場合(以下、特定フッ素樹脂粒子ともいう。)、その平均粒径は、流動性の観点から、0.05μm~15μmであることが好ましく、0.5μm~7μmであることがより好ましい。
特定フッ素樹脂の平均粒径は、走査型電子顕微鏡にて撮像した画像において、無作為に選んだフッ素樹脂粒子100個の長径を測定し、それを算術平均した値である。
特定フッ素樹脂の融点は、成形性と耐リフロー性の観点からは、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが更に好ましく、310℃以上であることが特に好ましい。融点の上限は、特に限定されず、450℃以下とすることができる。
特定フッ素樹脂の融点は、エポキシ樹脂の融点と同様にして測定される値とする。
封止用樹脂組成物の流動性、並びに硬化物の比誘電率及び曲げ強さの観点から、封止用樹脂組成物の総質量に対する特定フッ素樹脂の含有率は、1質量%~20質量%であることが好ましく、2質量%~15質量%であることがより好ましく、3質量%~13質量%であることが更に好ましい。
封止用樹脂組成物の流動性、並びに硬化物の比誘電率及び曲げ強さの観点から、封止用樹脂組成物全体に対する無機充填材及び特定フッ素樹脂の体積割合の和は、60体積%~80体積%であることが好ましく、63体積%~75体積%であることがより好ましく、65体積%~70体積%であることが更に好ましい。
封止用樹脂組成物の流動性、並びに硬化物の比誘電率及び曲げ強さの観点から、無機充填材及び特定フッ素樹脂の体積割合の和に対する、特定フッ素樹脂の体積割合の比(特定フッ素樹脂の体積割合/無機充填材及び特定フッ素樹脂の体積割合の和)は、0.03~0.30であることが好ましく、0.05~0.25であることがより好ましく、0.10~0.20であることが更に好ましい。
封止用樹脂組成物における無機充填材及び特定フッ素樹脂の体積割合は、下記の方法により求める。
封止用樹脂組成物又はその硬化物の薄片試料を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮像する。SEM画像において任意の面積Sを特定し、面積Sに含まれるシリカフィラーの総面積Aを求める。
(面積S)3/2から体積S、及び(面積A)3/2から体積Aを求め、体積Aを体積Sで除算した値を百分率(%)に換算し、この値を封止用樹脂組成物に占める当該粒子の体積割合とする。
また、特定フッ素樹脂の体積割合は、上記同様、特定フッ素樹脂の総面積B。体積Bを求め、体積Bを体積Sで除算した値を百分率(%)に換算することにより求める。
体積Sは、無機充填材及び特定フッ素樹脂の大きさに対して十分大きい体積とする。例えば、無機充填材及び特定フッ素樹脂が合計100個以上含まれる大きさとする。体積Sは、複数個の切断面の合計でもよい。
無機充填材及び特定フッ素樹脂は、封止用樹脂組成物の硬化時の重力方向において存在割合に偏りが生じることがある。その場合、SEMにて撮像する際、封止用樹脂組成物の硬化物の重力方向全体を撮像し、封止用樹脂組成物の硬化物の重力方向全体が含まれる体積Sを特定する。
<硬化促進剤>
本開示の封止用樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂又は硬化剤の種類、封止用樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化促進剤の種類は、特に制限されず、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;エチルホスフィン、フェニルホスフィン等の一級ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の二級ホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の三級ホスフィンなどの、有機ホスフィン;前記有機ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン、アントラキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート等のテトラ置換ホスホニウムのテトラフェニルボレート塩、テトラ置換ホスホニウムとフェノール化合物との塩などの、テトラ置換ホスホニウム化合物;ホスホベタイン化合物;ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物などが挙げられる。硬化促進剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記した中でも、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンとキノン化合物との付加物が好ましい。
本開示の封止用樹脂組成物が硬化促進剤を含む場合、その量は、樹脂成分100質量部(エポキシ樹脂と硬化剤の合計量)に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~15質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.1質量部以上であると、短時間で良好に硬化する傾向にある。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して30質量部以下であると、硬化速度が速すぎず良好な成形品が得られる傾向にある。
<特定フッ素樹脂以外のフッ素樹脂>
本開示の封止用樹脂組成物は、特定フッ素樹脂以外のフッ素樹脂を含んでいてもよい。
具体的には、フルオロアルキレン構造を有しないフッ素樹脂であり、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
硬化物の比誘電率及び曲げ強さの観点から、封止用樹脂組成物の総質量に対する特定フッ素樹脂以外のフッ素樹脂の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
<各種添加剤>
本開示の封止用樹脂組成物は、上述の成分に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、離型剤、難燃剤、着色剤、可塑剤等の各種添加剤を含んでもよい。封止用樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含んでもよい。
<カップリング剤>
封止用樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。樹脂成分と無機充填材との接着性を高める観点からは、封止用樹脂組成物はカップリング剤を含むことが好ましい。カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、ジシラザン等のシラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。
封止用樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、カップリング剤の量は、無機充填材100質量部に対して0.05質量部~5質量部であることが好ましく、0.1質量部~2.5質量部であることがより好ましい。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して0.05質量部以上であると、フレームとの接着性がより向上する傾向にある。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
<イオン交換体>
封止用樹脂組成物は、イオン交換体を含んでもよい。封止用樹脂組成物は、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を含むことが好ましい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハイドロタルサイト化合物、並びにマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物等が挙げられる。イオン交換体は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(A)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
Mg(1-X)Al(OH)(COX/2・mHO……(A)
(0<X≦0.5、mは正の数)
封止用樹脂組成物がイオン交換体を含む場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。例えば、樹脂成分100質量部(エポキシ樹脂と硬化剤の合計量)に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~10質量部であることがより好ましい。
<離型剤>
封止用樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含んでもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
封止用樹脂組成物が離型剤を含む場合、その量は樹脂成分100質量部(エポキシ樹脂と硬化剤の合計量)に対して0.01質量部~10質量部が好ましく、0.1質量部~5質量部がより好ましい。離型剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。10質量部以下であると、より良好な接着性が得られる傾向にある。
<難燃剤>
封止用樹脂組成物は、難燃剤を含んでもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
封止用樹脂組成物が難燃剤を含む場合、その量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。例えば、樹脂成分100質量部(エポキシ樹脂と硬化剤の合計量)に対して1質量部~30質量部であることが好ましく、2質量部~20質量部であることがより好ましい。
<着色剤>
封止用樹脂組成物は、着色剤を含んでもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[封止用樹脂組成物の調製方法]
封止用樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に攪拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
封止用樹脂組成物は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)において固体であることが好ましい。封止用樹脂組成物が固体である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状等が挙げられる。封止用樹脂組成物がタブレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
[電子部品装置]
本開示の電子部品装置は、支持部材と、支持部材上に配置された素子と、素子を封止している本開示の封止用樹脂組成物の硬化物と、を備える。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ、有機基板等の支持部材に、素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子など)を搭載して得られた素子部を封止用樹脂組成物で封止したものが挙げられる。
より具体的には、リードフレーム上に素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、封止用樹脂組成物を用いてトランスファ成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した素子を封止用樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した素子を、封止用樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、封止用樹脂組成物で素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、プリント配線板においても封止用樹脂組成物を好適に使用することができる。
[電子部品装置の製造方法]
本開示の電子部品装置の製造方法は、素子を支持部材上に配置する工程と、素子を本開示の封止用樹脂組成物で封止する工程と、を含む。
上記各工程を実施する方法は特に制限されず、一般的な手法により行うことができる。また、電子部品装置の製造に使用する支持部材及び素子の種類は特に制限されず、電子部品装置の製造に一般的に用いられる支持部材及び素子を使用できる。
本開示の封止用樹脂組成物を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法、インジェクション成形法、圧縮成形法等が挙げられる。これらの中では、低圧トランスファ成形法が一般的である。
以下に、本開示を実施例により具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。また、表中の数値は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
(実施例1~4及び比較例1~3)
下記に示す成分を表1に示す配合割合(質量部)で混合し、実施例と比較例の封止用樹脂組成物を調製した。この封止用樹脂組成物は、常温常圧下において固体であった。また、実施例及び比較例の封止用樹脂組成物全体に対する無機充填材及び特定フッ素樹脂粒子の体積割合の和はいずれも65体積%とした。さらに、実施例においては、無機充填材及び特定フッ素樹脂粒子の体積割合の和に対する、特定フッ素樹脂粒子の体積割合の比(表1においては、「特定フッ素樹脂粒子の体積割合/無機充填材及び特定フッ素樹脂粒子の体積割合の和」と記載する。)を求め、表1に示す。
・エポキシ樹脂A:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量192g/eq
・エポキシ樹脂B:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、エポキシ当量274g/eq
・硬化剤:ビフェニルアラルキル型硬化剤
・無機充填材A:シリカフィラー、平均粒径0.7μm、比重2.2
・無機充填材B:シリカフィラー、平均粒径4.0μm、比重2.2
・特定フッ素樹脂粒子A:テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル粒子(PFA粒子)、融点310℃、平均粒径2~3μm
・特定フッ素樹脂粒子B:PFA粒子、融点310℃、平均粒径3μm
・PTFE粒子A:融点327℃、平均粒径0.2μm
・PTFE粒子B:融点327℃、平均粒径0.1μm
・PTFE粒子C:融点327℃、平均粒径4μm
・硬化促進剤:トリ-n-ブチルホスフィンとp-ベンゾキノンとの付加物
・カップリング剤A:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤B:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・着色剤:カーボンブラック
・離型剤:モンタン酸エステルワックス
・可塑剤:熱可塑性シリコーン
<<比誘電率Dk及び誘電正接Dfの測定>>
封止用樹脂組成物を真空ハンドプレス機に仕込み、金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間600秒の条件で成形し、後硬化を180℃で6時間行い、板状の硬化物(縦12.5mm、横25mm、厚さ0.2mm)を得た。
この板状の硬化物を試験片として、誘電率測定装置(アジレント・テクノロジー社、品名「ネットワークアナライザN5227A」)を用いて、温度25±3℃下、約60GHzでの比誘電率Dkと誘電正接Dfを測定し、それぞれについて下記評価基準に基づいて、評価した。結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:比誘電率Dkが3.30未満であった。
B:比誘電率Dkが3.30以上3.35未満であった。
C:比誘電率Dkが3.35以上であった。
(評価基準)
A:誘電正接Dfが0.0095未満であった。
B:誘電正接Dkが0.0095以上であった。
<<曲げ強さ評価>>
封止用樹脂組成物を、トランスファ成形機を用い、成形温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で成形し、175℃で5時間後硬化を行い、板状の硬化物(縦127mm、横12.7mm、厚さ4mm)を得た。
上記硬化物を用いオートグラフ(株式会社島津製作所製、曲げ試験機AG-500)により曲げ強さ(MPa)を測定し、下記評価基準に基づいて、評価した。結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:曲げ強さが100MPa以上であった。
B:曲げ強さが100MPa未満であった。
<<流動性評価>>
EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用樹脂組成物を金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で成形し、流動距離(cm)を求め、下記評価基準に基づいて、評価した。結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:流動距離が135cm以上であった。
B:流動距離が135cm未満であった。
<<ゲルタイムの測定>>
封止用樹脂組成物0.5gを175℃に熱した熱板上に乗せ、治具を用いて20回転/分~25回転/分の回転速度で、2.0cm~2.5cmの円状に均一に広げた。
封止用樹脂組成物を熱板に乗せてから、封止用樹脂組成物の粘性がなくなり、ゲル状態となって熱板から剥がれるようになるまでの時間を計測し、これをゲルタイム(秒)として測定し、結果を表1にまとめた。ゲルタイムの短いものほど、硬化性に優れることを示す。

表1から明らかなように、実施例の封止用樹脂組成物は、比較例の封止用樹脂組成物に比べて、硬化物の比誘電率が低く、且つ流動性及び硬化物の曲げ強さに優れることがわかる。

Claims (9)

  1. エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、フルオロアルキレン構造を有するフッ素樹脂と、を含む、封止用樹脂組成物。
  2. 前記フッ素樹脂の形状が粒子であり、且つ平均粒径が、0.1μm~15μmである、請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
  3. 前記封止用樹脂組成物の総質量に対する前記フッ素樹脂の含有率が、1質量%~20質量%である、請求項1又は請求項2に記載の封止用樹脂組成物。
  4. 前記無機充填材及び前記フッ素樹脂の体積割合の和に対する、前記フッ素樹脂の体積割合の比が、0.03~0.30である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
  5. 前記フッ素樹脂が、融点300℃以上である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
  6. 前記フルオロアルキレン構造が、下記構造式(1)で表される構造及び構造式(2)で表される構造の少なくとも一方である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
    (式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、フルオロアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基又はペルフルオロアルコキシ基である。但し、R~Rのうち少なくとも1つは、フッ素原子以外である。
    式(2)中、R~R12はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、フルオロアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基又はペルフルオロアルコキシ基である。但し、R~R12のうち少なくとも1つは、フッ素原子以外である。)
  7. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン及びクロロトリフルオロエチレン-エチレンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
  8. 支持部材と、
    前記支持部材上に配置された素子と、
    前記素子を封止している請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物と、
    を備える、電子部品装置。
  9. 素子を支持部材上に配置する工程と、
    前記素子を請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物で封止する工程と、
    を含む、電子部品装置の製造方法。
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