JP2021170603A - 金属貼積層板および回路基板 - Google Patents

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Katsuya Tokuda
哲雄 奥山
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Abstract

【課題】絶縁樹脂層の厚さが十分に確保され、電子機器の高性能化に伴う高周波伝送への対応を可能とする金属貼積層板及び回路基板を提供する。【解決手段】両面銅貼積層体100において、複数のポリイミド層を含む樹脂積層体18と、樹脂積層体の少なくとも片面に積層された銅箔層11A、11Bとを備える。樹脂積層体が、全体の厚さが40〜400μmの範囲内であり、銅箔層に接している第1のポリイミド層(熱可塑性ポリイミド層12A、12B)と、第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層(非熱可塑性ポリイミド積層体17)と、を含み、E=εc×tanδ[ここで、εcは10GHzにおける比誘電率を示し、tanδは10GHzにおける誘電正接を示す]に基づき算出される、誘電特性を示す指標であるE値が0.01未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器の小型化・高性能化に伴う高周波化への対応を可能とする金属貼積層板及び回路基板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブル回路基板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
情報処理や情報通信においては、大容量の情報を伝送・処理するために伝送周波数を高くする取り組みが行われており、回路基板材料は絶縁樹脂層の低誘電化による伝送損失の低下が求められている。そこで、高周波化に対応するために、低誘電率、低誘電正接を特徴とした液晶ポリマーを誘電体層としたFPCが用いられている。しかしながら、液晶ポリマーは、誘電特性に優れているものの、耐熱性や金属箔との接着性に改善の余地があることから、耐熱性や接着性に優れた絶縁樹脂材料としてポリイミドが注目されている。
回路基板の高周波伝送特性を改善するために、誘電特性が改善されたポリイミドを使用することが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
一方、二つの片面銅貼積層板のポリイミド樹脂面を貼り合わせることによって、絶縁樹脂層の厚さが50μm以上の両面銅貼積層板を製造することも提案されている(例えば、特許文献4、5)。
特許文献1 特開2016−193501号公報
特許文献2 特開2016−192530号公報
特許文献3 国際公開WO2018/061727号
特許文献4 特許第5886027号公報
特許文献5 特許第6031396号公報
回路基板において、高周波化への要請が今後益々強まり、高周波伝送特性に対する要求水準が厳しくなると予想される。このような観点から、絶縁樹脂層の誘電特性の改善だけでなく、特性インピーダンスを整合させるためにマイクロストリップラインの幅に応じて絶縁樹脂層の厚さを調整する必要があり、実際的にはマイクロストリップライン幅に合わせる場合には実質的に絶縁樹脂層の厚さを大きくするという選択肢が必要となってくる。
例えば、絶縁層の厚さを25μm、比誘電率を3.5とした場合、特性インピーダンスを50Ωとするにはマイクロストリップラインの幅は50μmとなり、この幅のラインを高精度に加工しなければならない。一方で絶縁層厚さが226μmの場合には、50Ωの特性インピーダンスとなるマイクロストリップラインの幅は500μmであり、加工精度を格段に高くすることができる。
しかし、特許文献1〜3の実施例では、絶縁樹脂層の厚さが25μm程度であり、例えば50μmを超える厚さに厚膜化することは検討されていない。
一方、特許文献4、5では、高周波伝送への対応については考慮されておらず、厚膜の絶縁樹脂層を採用する場合のポリイミドの構成についても検討されていない。
ポリイミドフィルムは、主として流延による溶液製膜で製造されており、その製法上厚いフィルムを作ることは困難であったり、またはその生産性が極度に劣ったりしていた。
回路基板に用いられるポリイミドフィルムは、そのCTE(線膨張係数)が銅に整合するように製造されている。すなわち完全非晶性のポリイミド樹脂のCTEは100ppm/K前後であるが、フィルム化する際に延伸工程などで分子鎖の配向を制御し、ほぼ銅に近いCTEを実現している。
一般に流延法により得られるポリイミドフィルムのCTE(線膨張係数)はフィルム厚さへの依存性を有しており、厚さを増すほどCTEは高めになり、銅と整合させることが困難になる。高周波回路に用いられるマイクロストリップラインは厚さ方向に非対称であるため、絶縁層のCTEが銅箔と整合していないと大きな反りを発生させてしまう懸念がある。
そこで、厚膜の絶縁樹脂層としてポリイミドを用いる場合、複数のポリイミドフィルムを積層する方法が用いられる。すなわち比較的銅に近いCTEを有する厚さのポリイミドフィルムを貼り合わせて厚さを稼ぐことにより、厚くとも銅箔と整合したポリイミド層を実現できる。しかしながら、ポリイミド同士の接着に用いられる接着層が厚かったり、ポリイミドフィルムよりも吸水性が高い材料であった場合には求められる誘電特性が得られない。また、一般に接着機能を有する樹脂は非晶質であるためにCTEが高いために、接着層の厚さが大であると得られる積層体全体のCTEが高くなってしまう。
本発明は、上記の課題を解決し、絶縁樹脂層の厚さが十分に確保され、電子機器の高性能化に伴う高周波伝送への対応を可能とする金属貼積層板及び回路基板を提供することにある。
本発明者らは、厚さの大きな絶縁樹脂層を設けるとともに、金属とポリイミド、あるいはポリイミド同士の接着層を極めて薄い層にすることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成である。
[1]複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、前記樹脂積層体の少なくとも片面に積層された金属層とを備えた金属貼積層板であって、前記樹脂積層体が以下のi)〜iii)の条件;
i)全体の厚さが40〜400μmの範囲内である;
ii)前記金属層に接している第1のポリイミド層と、前記第1のポリイミド層に直接または間接的に積層された第2のポリイミド層とを含む;
iii)下記の数式(a)
E=ε×tanδ・・・(a)
[ここでεは10GHzにおける比誘電率を示し、tanδは10GHzにおける誘電正接を示す。]
に基づき算出される、誘電損失係数であるE値が0.01未満である;
を満たすことを特徴とする金属貼積層板。
[2]前記樹脂積層体は、前記金属層側から、それぞれ、少なくとも前記第1のポリイミド層、前記第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有するものである前記[1]に記載の金属貼積層板。
[3]前記樹脂積層体において、前記金属層と前記第1のポリイミド層間および前記第1のポリイミド層と前記第2のポリイミド層間の接着層厚さが100nm以下であることを特徴とする[2]に記載の金属貼積層板。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の金属貼積層板の前記金属層を配線回路加工してなる回路基板。
本発明はさらに以下の構成を含むことができる。
[5]前記第二のポリイミド層が、ビフェニルテトラカルボン酸を原料に用いたポリイミド層を厚さ比において70%以上含むことを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の金属貼積層板。
[6]前記接着層がシランカップリング剤の縮合物であることを特徴とする前記[3]に記載の金属貼積層板。
[7]前記第二のポリイミド層を貼り合わせる際に、各ポリイミド層(ポリイミドフィルム)の吸湿率が0.3%以下となるように制御して積層することを特徴とする金属貼積層板の製造方法。
本発明の金属貼積層板は、十分な厚さを有するとともに、銅箔と整合したCTEを有し優れた誘電特性を有する樹脂積層体を備えているため、高速信号伝送を必要とする電子材料として好適に用いることができる。
本発明の一実施の形態にかかる両面銅貼積層板(両面CCL)の構成を示す模式的断面図である。 図2に示した両面CCLの製造方法の一工程を説明する図面である。 図3は、本発明のシランカップリング剤塗布装置の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の非熱可塑性ポリイミド積層体製造装置の一例を示す概略図である。 図5は、本発明の積層体製造装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<金属貼積層板>
本実施の形態の金属貼積層板は、複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、この樹脂積層体の少なくとも片面に積層された金属層とを備えている。
<樹脂積層体>
樹脂積層体は、以下のi)〜iii)の条件を満たすものである。
i)樹脂積層体は、全体の厚さが40〜400μmの範囲内であり、好ましくは45〜350μmの範囲内、より好ましくは50〜350μmの範囲内である。樹脂積層体の全体の厚さが40μmに満たないと十分な高周波伝送特性が得られなくなるおそれがあり、300μmを越えると反りなどの問題が生じることがある。また、寸法安定性や屈曲性等において問題が生じるおそれがあるので、樹脂層の全体の厚さは200μm以下とすることが好ましい。
ii) 樹脂積層体は、少なくとも、金属層に接している第1のポリイミド層と、第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含んでいる。第1のポリイミド層を構成するポリイミドは熱可塑性ポリイミドであることが好ましく、第2のポリイミド層を構成するポリイミドは非熱可塑性ポリイミドであることが好ましい。樹脂積層体は、金属層側から、それぞれ、少なくとも第1のポリイミド層、第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有することが好ましい。なお、樹脂積層体は、第1のポリイミド層、第2のポリイミド層以外の任意の樹脂層を有していてもよい。また、樹脂積層体は、その厚さ方向の中心を基準にして、厚さ方向に対称な層構造を有することが好ましいが、厚さ方向に非対称な層構造を有するものであってもよい。
iii)樹脂積層体は、下記の数式(a)、
E=ε×tanδ ・・・(a)
[ここで、εは10GHzにおける比誘電率を示し、tanδは10GHzにおける誘電正接を示す。]に基づき算出される。誘電損失係数であるE値が0.01未満であり、好ましくは0.0095以下であり、より好ましくは0.009以下である。また、0.0025以上であることが好ましく、より好ましくは0.003以上である。E値が、0.01未満であることによって、優れた高周波伝送特性を有するFPC等の回路基板を製造できる。一方、E値が上記上限を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
また、樹脂積層体は、金属貼積層板を形成した際の反りや寸法安定性の低下を抑制する観点から、樹脂積層体の全体として、CTEを10〜35ppm/Kの範囲内に制御することが好ましく、さらには12〜22ppm/Kであり、なおさらには14〜19ppm/Kの範囲に制御することが好ましい。この場合、樹脂積層体においてベース層(主層)として機能する第2のポリイミド層のCTEは、好ましくは1〜30ppm/Kの範囲内、より好ましくは5〜25ppm/K、さらに好ましくは10〜20ppm/Kの範囲がよい。
<第1のポリイミド層>
第1のポリイミド層を構成するポリイミドは、熱可塑性ポリイミドであることが好ましい。熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下であるものが好ましく、より好ましくは200〜320℃の範囲内である。ここで、熱可塑性ポリイミドとは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa未満であるポリイミドをいう。樹脂積層体は、1層又は2層の金属層にそれぞれ隣接する1層又は2層の第1のポリイミド層を有している。2つの第1のポリイミド層を有する場合、構成するポリイミドは、同一の種類でもよく、異なる種類でもよい。
第1のポリイミド層(熱可塑性ポリイミド層)を構成する熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものであり、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むことが好ましい。
第1のポリイミド層が熱可塑性ポリイミド層である場合、熱可塑性ポリイミド層を構成するテトラカルボン酸成分としては、特に限定はなく、例えばピロリメット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。また、ジアミン成分としては、特に限定はなく、例えば、2,2’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−ビス(2−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
熱可塑性ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、引張弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。また、熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
なお、熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を、いずれも芳香族基とすることで、ポリイミドフィルムの高温環境下での寸法精度を向上させ、面内リタデーション(RO)の変化量を抑制することができる。
熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度は、33質量%以下であることが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(−(CO)−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が33質量%を超えると、樹脂自体の分子量が小さくなるとともに、極性基の増加によって低吸湿性も悪化することがある。上記ジアミン化合物の組み合わせを選択することによって、熱可塑性ポリイミド中の分子の配向性を制御することで、イミド基濃度低下に伴うCTEの増加を抑制し、低吸湿性を担保している。
熱可塑性ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000〜400,000の範囲内が好ましく、50,000〜350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、フィルムの強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際にフィルム厚さムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドは、例えば回路基板の絶縁樹脂における接着層となるため、銅の拡散を抑制するために完全にイミド化された構造が最も好ましい。但し、ポリイミドの一部がアミド酸となっていてもよい。そのイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、1回反射ATR法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1015cm−1付近のベンゼン環吸収体を基準とし、1780cm−1のイミド基に由来するC=O伸縮の吸光度から算出される。
<第2のポリイミド層>
第2のポリイミド層を構成するポリイミドは、低熱膨張性の非熱可塑性ポリイミドであることが好ましい。第2のポリイミド層を複数層有する場合、各層を構成するポリイミドは、同一の種類でもよく、異なる種類でもよい。ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上であるポリイミドをいう。
以下に前記非熱可塑性ポリイミドフィルムについての詳細を説明する。一般にポリイミド系樹脂フィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(以下では「ポリアミド酸フィルム」ともいう)とし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液の塗布は、例えば、スピンコート、ドクターブレード、アプリケーター、コンマコーター、スクリーン印刷法、スリットコート、リバースコート、ディップコート、カーテンコート、スリットダイコート等従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
ポリアミド酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましい。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ジアミン類としては特に限定はなく、例えばオキシジアニリン(ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン(1,4−フェニレンジアミン)等が挙げられる。
ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができる。これらが酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
テトラカルボン酸としては、特に限定はなく、例えばピロリメット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
本発明において用いられる第1および第2のポリイミド層に使用されるポリイミドには表面活性化処理を行うことが好ましい。該表面活性化処理によって、ポリイミド表面は官能基が存在する状態(いわゆる活性化した状態)に改質され、接着層との親和性が向上する。
本発明における表面活性化処理とは、乾式、ないし湿式の表面処理である。本発明の乾式処理としては、紫外線、電子線、X線などの活性エネルギー線を表面に照射する処理、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、火炎処理、イトロ処理等を用いることが出来る。湿式処理としては、フィルム表面を酸ないしアルカリ溶液に接触させる処理を例示できる。本発明に置いて好ましく用いられる表面活性化処理は、プラズマ処理であり、プラズマ処理と湿式の酸処理の組み合わせである。
プラズマ処理は、特に限定されるものではないが、真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、マイクロ波ECRプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理などがあり、フッ素を含むガス処理、イオン源を使ったイオン打ち込み処理、PBII法を使った処理、熱プラズマに暴露する火炎処理、イトロ処理なども含める。これらの中でも真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、大気圧プラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理の適当な条件としては、酸素プラズマ、CF、Cなどフッ素を含むプラズマなど化学的にエッチング効果が高いことが知られるプラズマ、或はNe,Ar、Kr,Xe、プラズマのように物理的なエネルギーを高分子表面に与えて物理的にエッチングする効果の高いプラズマによる処理が望ましい。また、CO、CO、H、N、NH、CHなどプラズマ、およびこれらの混合気体や、さらに水蒸気を付加することも好ましい。これらに加えてOH、N,N,CO、CO,H、H、O、NH、NH、NH、COOH、NO、NO、He,Ne,Ar,Kr,Xe,CHO,Si(OCH、Si(OC、CSi(OCH、およびCSi(OCからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の成分を気体としてあるいはプラズマ中での分解物として含有したプラズマを作ることが好ましい。短時間での処理を目指す場合、プラズマのエネルギー密度が高く、プラズマ中のイオンの持つ運動エネルギーが高いもの、活性種の数密度が高いプラズマが望ましいが、表面平滑性を必要とするため、エネルギー密度を高める事には限界がある。酸素プラズマを使った時には、表面酸化が進み、OH基の生成という点ではよいのだが、既にフィルム自体との密着力に乏しい表面ができやすく、かつ表面のあれ(粗さ)が大きくなるため、密着性も悪くなる。
また、Arガスを使ったプラズマでは純粋に物理的な衝突の影響が表面では起こり、この場合も表面の荒れが大きくなる。これら総合的に考えると、マイクロ波プラズマ処理、マイクロ波ECRプラズマ処理、高いエネルギーのイオンを打ち込みやすいイオン源によるプラズマ照射、PBII法なども望ましい。
かかる表面活性化処理はポリイミド表面を清浄化し、さらに活性な官能基を生成する。生成した官能基は、接着層と水素結合ないし化学反応により結びつき、ポリイミドと接着層とを強固に接着することが可能となる。
プラズマ処理においてはポリイミド表面をエッチングする効果も得ることが出来る。特に滑剤粒子を比較的多く含むポリイミドにおいては、滑剤による突起が、ポリイミド同士の接着を阻害する場合がある。この場合、プラズマ処理によってポリイミド表面を薄くエッチングし、滑剤粒子の一部を露出せしめた上で、フッ酸にて処理を行えば、ポリイミド表面近傍の滑剤粒子を除去することが可能である。
表面活性化処理は、全てのポリイミドに施してもよいし、樹脂積層体を構成する一部のポリイミドに施しても良い。また、各ポリイミドフィルムの片面のみに施してもよいし、両面に施してもよい。片面にプラズマ処理を行う場合、並行平板型電極でのプラズマ処理で片側の電極上にポリイミドフィルムを接して置くことにより、ポりイミドフィルムの電極と接していない側の面のみにプラズマ処理を施すことができる。また2枚の電極間の空間に電気的に浮かせる状態でポリイミドフィルムを置くようにすれば、両面にプラズマ処理が行える。また、ポリイミドフィルムの片面に保護フィルムを貼った状態でプラズマ処理を行うことで片面処理が可能となる。なお保護フィルムとしては粘着剤付のPETフィルムやオレフィンフィルムなどが使用できる。
前記第1のポリイミドフィルムと前記第2のポリイミドフィルムをまとめて、単にポリイミドフィルムと称する場合もある。また、前記第1のポリイミド層と前記第2のポリイミド層をまとめて、単にポリイミド層と称する場合もある。
ポリイミドフィルムの吸湿率は、1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下であり、よりさらに好ましくは0.2%以下であり、一層好ましくは0.18%以下であり、特に好ましくは0.15%以下であり、最も好ましくは0.13%以下である。下限は特に限定されないが、工業的には0.01%以上であってもよく、0.05%以上であっても差し支えない。なお、第2のポリイミドフィルムが複数の層から構成される場合は、その少なくとも1層の吸湿率が0.2%以下であることが好ましく、より好ましくは0.18%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下であり、特に好ましくは0.13%以下である。このようにポリイミドフィルムの吸湿率を低く抑えることで、本発明の金属貼積層体の誘電損失係数(E値)を0.01未満に抑えることができ得る。
ポリイミドフィルムの吸湿率は、例えばポリイミドの極性を低くしたり、ポリイミドの構造単位中にベンゼン環等の疎水系構造単位を多くすると低くなる傾向であり、ポリイミドの極性を高くしたり、エーテル結合等の親水性構造単位を多くすると高くなる傾向である。
熱可塑性ポリイミドのポリアミド酸溶液の粘度は、700mPa・s〜50000mPa・sの範囲であることが好ましい。粘度が700mPa・s〜50000mP・aの範囲外だと金属層への塗工、特にRtoRでの塗工が難しい。
第1のポリイミド層のCTE(線膨張係数)は10ppm/K〜70ppm/Kの範囲であることが好ましく、より好ましくは10ppm/K〜60ppm/Kである。また、第2のポリイミド層を構成するポリイミドフィルムのCTEは0ppm/K〜30ppm/Kであることが好ましく、10ppm/K〜20ppm/Kであることがより好ましい。第1と第2のポリイミド層のCTE差が大きいと、反りの原因となることがある。そのため、第1と第2のポリイミド層のCTE差は小さいほうが好ましい。
<金属層>
金属層としては、金属箔を好ましく使用できる。金属箔の材質に特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガンおよびこれらの合金等が挙げられる。これらの中でも、特に銅または銅合金が好ましい。銅箔としては圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。
金属層として使用する金属箔は、表面に、例えば防錆処理、サイディング、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等の表面処理が施されていてもよい。
本実施の形態の金属貼積層板において、例えばFPCの製造に用いる場合の金属層の好ましい厚さは3〜50μmの範囲内であり、より好ましくは5〜30μmの範囲内であるが、回路パターンの線幅を細線化するために、5〜20μmの範囲内が最も好ましい。金属層の厚さは、高周波伝送における導体損失の増大を抑制する観点では厚い方が好ましいが、一方で、厚さが大きくなり過ぎると微細化への適用が困難になるとともに、屈曲性が低下して回路加工した場合の配線層と絶縁樹脂層との接着性が損なわれるおそれがある。このようなトレード・オフの関係を考慮して、金属層の厚さは上記範囲内とすることがよい。
また、高周波伝送特性と、樹脂積層体に対する接着性を両立させる観点から、金属層の第1のポリイミド層と接する表面の十点平均粗さ(Rz)は、1.2μm以下であり、0.05〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。同様の観点から、金属層の第1のポリイミド層と接する表面の算術平均高さ(Ra)は、0.2μm以下であることが好ましい。
本実施の形態の金属貼積層板では、金属層としては、市販されている銅箔を用いることができる。その具体例としては、福田金属箔粉工業社製の銅箔CF−T49A−DS−HD(商品名)、三井金属鉱業株式会社製の銅箔TQ−M4−VSP(商品名)、JX金属株式会社製の銅箔GHY5−HA−V2(商品名)、同BHY(X)−HA−V2(商品名)などが挙げられる。
次に、図面を参照しながら、本実施の形態の金属張積層体の構造を具体的に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る両面銅貼積層板(両面CCL)100の構成を示す模式的断面図である。両面CCL100は、金属層としての銅箔層11A、11Bと、樹脂積層体としての樹脂積層体18を備えており、樹脂積層体18の両面に、銅箔層11A、11Bが積層された構造をしている。ここで、樹脂積層体18は複数のポリイミド層によって構成されており、第1のポリイミド層としての熱可塑性ポリイミド層12A、12Bと第2のポリイミド層としての非熱可塑性ポリイミド積層体17、非熱可塑性ポリイミド積層体17を構成する非熱可塑性ポリイミド層13A、13B、15A、15B、接着層としての14A、14B、16を備えている。
両面CCL100において、熱可塑性ポリイミド層12A、12Bはそれぞれ銅箔層11A、11Bに接している。熱可塑性ポリイミド層12Aと熱可塑性ポリイミド層12Bは同じ厚さでも異なる厚さでもよく、これらを構成するポリイミドは同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
また、両面CCL100において、非熱可塑性ポリイミド層17は、熱可塑性ポリイミド層12A,12Bに接していてもよいが、直接接しておらず、間接的に積層されていてもよい。非熱可塑性ポリイミド層17を構成するポリイミド層13A、13B、15A、15B、16は、同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
また、両面CCL100において、熱可塑性ポリイミド層12A、12Bは、接着性を確保するため、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下、例えば200〜320℃の範囲内の熱可塑性ポリイミドによって構成されていることが好ましい。
樹脂積層体100は、図1に示すような6層構造に限定されるものではない。樹脂積層体100は、少なくとも、銅箔層11A,11Bに接している熱可塑性ポリイミド層12A,12B(第1のポリイミド層)と、これらの熱可塑性ポリイミド層12A,12Bにそれぞれ直接又は間接的に積層された非熱可塑性ポリイミド層13A,13B(第2のポリイミド層)と、を含んでいればよい。例えば、両面CCLの場合、熱可塑性ポリイミド12A、12Aが1層の非熱可塑性ポリイミド(第2のポリイミド層)を挟んだ構造でも良い。また、樹脂積層体100は、図1に示す以外の任意の層を含んでいてもよい。樹脂積層体100は、ポリイミド層以外の樹脂層を含んでいてもよいが、複数のポリイミド層のみからなることが好ましい。
樹脂積層体18を構成するポリイミド層は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
銅箔層11A,11Bは、厚さや材質が同じ構成の銅箔でもよいし、異なる構成の銅箔でもよい。
金属層と第1のポリイミド層の間には、接着層を実質的に含有しないことが好ましい。接着層を実質的に含有しないとは、膜厚が100nm以下であることが好ましく、より好ましくは80nm以下であり、さらに好ましくは50nm以下であり、よりさらに好ましくは30nm以下であり、特に好ましくは10nm以下であり、最も好ましくは0nmである。接着層の膜厚は、エリプソメトリー法または塗布時の接着剤溶液の濃度と塗布量から計算して求めることができる。接着層の成分としては、後述するシランカップリング剤またはジアミンが挙げられる。
第1のポリイミド層と第2のポリイミド層の間には、接着層を実質的に含有しないことが好ましい。接着層を実質的に含有しないとは、膜厚が100nm以下であることが好ましく、より好ましくは80nm以下であり、さらに好ましくは50nm以下であり、よりさらに好ましくは30nm以下であり、特に好ましくは10nm以下であり、最も好ましくは0nmである。接着層の成分としては、後述するシランカップリング剤またはジアミンが挙げられる。
<金属貼積層板の製造方法>
両面CCL100は、例えば以下に示す方法によって製造することが好ましい。
まず、2つの片面銅貼積層板(片面CCL)を準備する。すなわち、銅箔層21A、熱可塑性ポリイミド層22Aを有する片面銅貼積層体(片面CCL)と銅箔層21B、熱可塑性ポリイミド層22Bを有する片面銅貼積層体(片面CCL)を作製する。また、非熱可塑性ポリイミド層27を作製する。
次に、図2に示すように、2つの片面CCL200,210の熱可塑性ポリイミド層22A,22B側を向き合わせて非熱可塑性ポリイミド層27を挟むように配置し、熱プレスによって熱圧着することによって両面CCL100を製造できる。2つの片面CCL200,210は、全く同一の構成であってもよいし、層数、樹脂種、金属層などが異なるものであってもよい。
片面CCL200,210を構成する各ポリイミド層は、厚さや物性のコントロールのしやすさから、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂溶液を、銅箔層21A,21Bの原料である銅箔上に塗布し、塗布膜を形成した後、熱処理により乾燥、硬化する所謂キャスト(塗布)法によって形成することが好ましい。つまり、片面CCL200,210において、銅箔層21A,21Bに積層している熱可塑性ポリイミド層22A,222Bは、キャスト法により順次形成されたものであることが好ましい。
キャスト法において、塗布膜は、ポリアミド酸の樹脂溶液を銅箔の上に塗布した後に乾燥することによって形成できる。片面CCL200,210の形成においては、ポリアミド酸溶液の上に、異なる構成成分からなる他のポリアミド酸溶液を順次塗布して形成することができるし、また、同一の構成のポリアミド酸溶液を2回以上塗布してもよい。また、多層押出により、同時に複数層の塗布膜を積層形成してもよい。また、ポリアミド酸の塗布膜を一旦イミド化して単層又は複数層のポリイミド層とした後に、更にその上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、イミド化してポリイミド層を形成することも可能である。塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。この場合、銅箔は、カットシート状、ロール状のもの、又はエンドレスベルト状などの形状のものを使用できる。生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続生産可能な形式とすることが効率的である。さらに、回路基板における配線パターン精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、銅箔は長尺に形成されたロール状のものが好ましい。
イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。銅箔層21A,22Bの酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下での熱処理が好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。熱処理により、塗布膜中のポリアミド酸がイミド化し、ポリイミドが形成される。
以上のようにして、複数層のポリイミド層と、銅箔層21A又は22Bとを有する片面CCL200,210を製造することができる。このようにして得られた2つの片面CCL200,210を、図2に示すように、熱可塑性ポリイミド層22A,22Bの表面が互いに対向するように配置し、非熱可塑性ポリイミド層27と熱圧着させることによって、両面CCL100を製造できる。熱圧着は、2つの片面CCL200,210および非熱可塑性ポリイミド層27を長尺に形成し、一対の加熱ロールを用いてロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら実施することが好ましく、この場合、片面CCLの搬送性及び接合性の観点から、加熱ロール間の搬送速度を1〜10m/分の範囲内で行うことがより好ましい。
<第2のポリイミド層(非熱可塑性ポリイミド層)の製造方法>
本実施の形態の金属貼積層板では、第2のポリイミド層が複数の非熱可塑性ポリイミド層からなる場合、非熱可塑性ポリイミド同士を接着するため、好ましくはシランカップリング剤またはジアミンを用いることができる。
前記シランカップリング剤は、第2のポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミド間に物理的ないし化学的に介在し、接着する作用を有し、接着剤層はシランカップリング剤の縮合物層(以下、シランカップリング剤縮合物層またはシランカップリング剤層ともいう。)となる。
本実施形態で用いられるシランカップリング剤は、特に限定されないが、アミノ基を有するカップリング剤を含むことが好ましい。
前記シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
前記シランカップリング剤のなかでも、1つの分子中に1個のケイ素原子を有するシランカップリング剤が特に好ましく、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
さらに前記シランカップリング剤とともに、他のカップリング剤を使用することができる。前記カップリング剤としては、11−アミノ−1−ウンデセンチオール等が挙げられる。
本実施の形態の金属貼積層板では、シランカップリング剤とともに反応性液体としてジアミンを用いる事ができる。ジアミン化合物は単独ないし複数種の組み合わせにて用いる事ができる。またアルコール、水、各種溶剤の溶液として用いる事ができる。また、溶液にしたジアミンは、ジアミン以外の反応性液体と混合しても良い。
本発明において用いることのできるジアミンとしては、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,2−ヘキサンジアミン、1,3−ヘキサンジアミン、1,4−ヘキサンジアミン、1,5−ヘキサンジアミン、1,2−ペンタンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、1,4−ペンタンジアミンなどが挙げられる。
<第2のポリイミド層へのシランカップリング剤塗布>
シランカップリング剤を第2のポリイミドフィルムに塗布する方法としては、シランカップリング剤溶液をポリイミド層に塗布する方法や蒸着法などを用いることができる。シランカップリング剤の塗布は、たとえば図3や図4の装置を用いて行うことができる。
図3の装置では、ウォーターバス34でシランカップリング剤35を加熱し、容器内を経由して窒素ガスを送り込むことで発生したシランカップリング剤蒸気を処理チャンバー33に導入できる。この蒸気により、ロの字枠31に固定された非熱可塑性ポリイミドフィルム32表面にシランカップリング剤を塗布することができる。
図4の装置は長尺の非熱可塑性ポリイミドフィルムの巻き出し部41、45と処理チャンバー、ラミネーター46、貼り合わせた長尺の非熱可塑性ポリイミドフィルムの巻取り部を有している。長尺の非熱可塑性ポリイミドフィルム巻き出し部41から巻出された非熱可塑性ポリイミドフィルムは、処理チャンバー内でワイヤーバー44を用いてシランカップリング剤液供給部42から供給されたシランカップリング溶液を塗布され、ラミネーター46を用いて長尺の非熱可塑性ポリイミドフィルム巻き出し部45から巻出された非熱可塑性ポリイミドフィルムとラミネートされる。
シランカップリング剤溶液を塗布する方法としては、シランカップリング剤をアルコールなどの溶媒で希釈した溶液を用いて、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の従来公知の溶液の塗布手段(従来公知の塗布装置)を適宜用いることができる。
また、シランカップリング剤層を蒸着法によって形成することもでき、具体的には、ポリイミドフィルムをシランカップリング剤の蒸気、すなわち実質的に気体状態のシランカップリング剤に暴露して形成する。シランカップリング剤の蒸気は、液体状態のシランカップリング剤を40℃〜シランカップリング剤の沸点程度までの温度に加温することによって得ることができる。シランカップリング剤の沸点は、化学構造によって異なるが、概ね100〜250℃の範囲である。ただし200℃以上の加熱は、シランカップリング剤の有機基側の副反応を招く恐れがあるため好ましくない。
シランカップリング剤を加温する環境は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、シランカップリング剤の気化を促進する場合には常圧下ないし減圧下が好ましい。多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、密閉容器内にて、好ましくは容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。
ポリイミドフィルムをシランカップリング剤に暴露する時間は特に制限されないが、20時間以内が好ましく、より好ましくは60分以内、さらに好ましくは15分以内、最も好ましくは1分以内である。
前記ポリイミドフィルムをシランカップリング剤に暴露する間の前記ポリイミドフィルムの温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。
シランカップリング剤層(接着層)の膜厚は、ポリイミドフィルム等と比較しても極めて薄く、機械設計的な観点からは無視される程度の厚さであり、原理的には最低限、単分子層オーダーの厚さがあれば十分である。シランカップリング剤層の膜厚は、5nm以上であることが好ましい。シランカップリング剤層がクラスター状ではなく、より均一な塗膜となるため、より好ましくは10nm以上であり、さらに好ましくは20nm以上であり、特に好ましくは30nm以上である。また、300nm以下であることが好ましい。シランカップリング剤層自体の機械特性を無視できるようになることから、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは80nm以下であり、特に好ましくは50nm以下である。なお、シランカップリング剤層の膜厚は、エリプソメトリー法または塗布時のシランカップリング剤溶液の濃度と塗布量から計算して求めることができる。
シランカップリング剤を希釈する溶液としては、水、水と水溶性溶剤との混合媒体を用いることができる。水溶性溶剤としては低級アルコール、低分子のケトン、あるいはテトラヒドロフランなどを用いることができ、好ましく用いられる水性媒体は純水、水とメタノールの混合溶媒、水とエタノールの混合溶媒、水、イソプロパノール、メチルエチルケトンの混合溶媒、水とテトラヒドロフランの混合溶媒などである。本発明で特に好ましく用いられる水性媒体は水、室温で液体の1価アルコール、2価アルコール、3価アルコール、あるいはこれらのうちの2以上の成分を有する混合物である。また水性媒体とポリイミドフィルムとの濡れ性を改善するために水性媒体に微量の界面活性剤を添加してもよい。
ポリイミドフィルムへのシランカップリング剤の塗布は片面でもよいし、両面であってもよい。
<非熱可塑性ポリイミドフィルムの積層>
非熱可塑性ポリイミドフィルムの貼り合わせ方法としては連続的にラミネートできるロールラミネータ法が好ましい。例えば、大気圧雰囲気下あるいは真空中で、プレス、ラミネート、ロールラミネートで面状ないし線上に加圧を行うことができる。また加圧の際に加熱することによりプロセスを促進することもできる。
ラミネート時の押し圧力は、0.2MPa以上が好ましい。0.2MPa以上の圧力で加圧することで、ラミネートの際のムラ、貼り合わせた耐熱高分子フィルム間への空気の噛み込みを抑制することができる。前記押し圧力の下限は特に限定されないが、0.5MPa以上であることが好ましい。0.5MPa以上であると、密着しない部分が生じることや、接着が不充分になることを防止できる。
ラミネートに使用する上下のロールの内、少なくとも片側は柔軟な素材からなるロールであることが望ましい。ここで言う柔軟な素材からなるロールとは、弾性率が300MPa以下の、シリコンゴムロールなどを指す。ラミネートに使用するロールの少なくとも片方が柔軟な素材であれば、より気泡の噛み込みが少ない高品位な非熱可塑性ポリイミド積層体を作製することができる。
また加圧処理は、大気圧雰囲気中で行うこともできるが、真空下で行ったほうが、接着力の均一性を得ることができる場合がある。真空度としては、通常の油回転ポンプによる真空度で充分であり、10Torr以下程度あれば充分である。
加圧加熱処理に使用することができる装置としては、真空中でのプレスを行うには、真空中でのロール式のフィルムラミネーターを使用することができる。あるいは真空にした後に薄いゴム膜によりガラス全面に一度に圧力を加えるフィルムラミネーター等の真空ラミネートを行うには、例えば名機製作所製の「MVLP」等を使用できる。
シランカップリング剤を介して貼り合わせた非熱可塑性ポリイミド積層体は、加熱処理を行うことで十分な層間接着強度を得ることができる。加熱処理は、ラミネート後に行ってもよいし、加熱ラミを行うことでラミネートと加熱を同時に行ってもよい。
加熱ラミを行う場合、まず、比較的低温(例えば80℃未満、より好ましくは10℃以上、60℃以下の温度)でシランカップリング剤を介して貼り合された複層のポリイミドを加圧(好ましくは0.05〜50MPa程度)して両者の密着を確保し、その後、圧力下(好ましくは0.2MPa以上、20MPa以下)もしくは常圧にて比較的高温(例えば80℃以上、より好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは120〜220℃)で加熱することにより、密着界面の化学反応が促進されて非熱可塑性ポリイミドフィルムを積層できる。
加熱工程は熱可塑性ポリイミドと銅箔の積層と同時に行ってもよい。つまり、ポリアミド酸の樹脂溶液を銅箔の上に塗布した後、その上に予めラミネートしておいた非熱可塑性ポリイミド積層体を乗せ、加熱してもよい。この際、非熱可塑性ポリイミド積層体は予め加熱によって層間は剥離強度を高めておくことが好ましい。
<回路基板>
本実施の形態の回路基板は、金属貼積層板の金属層を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって製造することができる。金属層のパターニングは、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングなどを利用する任意の方法で行うことができる。
なお、回路基板を製造する際に、通常行われる工程として、例えば前工程でのスルーホール加工や、後工程の端子メッキ、外形加工などの工程は、常法に従い行うことができる。
以上のように、本実施の形態の金属貼積層板は、FPCに代表される回路基板材料として使用することによって、回路基板に優れたインピーダンス整合性を付与し、電気信号の伝送特性を改善できるため、電子機器の信頼性を向上させることができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
<粘度の測定>
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
<ガラス転移温度(Tgの測定)>
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数1Hzで測定を行い、弾性率変化(機械的tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。なお、DMAを用いて測定された30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa未満を示すものを「熱可塑性」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上を示すものを「非熱可塑性」とした。
<熱膨張係数(CTE)の測定>
銅貼積層板の銅箔を塩化第二銅水溶液でエッチングし、十分に水洗いした後に120℃3時間乾燥し、その後に温度;24〜26℃、湿度;45〜55%の条件下で、24時間放置したものを試料とした。
3mm×20mmのサイズにカットした試料を、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
<吸湿率の測定>
ポリイミドフィルムを10cm四方程度にカットし、直ちに質量を測定して吸湿質量を求めた。その後ドライオーブンにて150℃で1時間加熱乾燥し、ドライオーブンから取り出して直ちに質量を測定し乾燥質量を求めた。吸湿率は以下の式にて求めた。
吸湿率(質量%)=[(吸湿質量−乾燥質量)/乾燥質量]×100
<比誘電率および誘電正接の測定>
銅貼積層板の銅箔を塩化第二銅水溶液でエッチングし、十分に水洗いした後に120℃3時間乾燥し、その後に温度;25℃、湿度;50%RHの条件下で、24時間放置したものを試料とした。
比誘電率及び誘電正接は、ネットワークアナライザー(アンリツ社製)を使用し、空洞共振器摂動法で、温度23℃、周波数10GHzにおける試料の比誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)を測定した。
また、樹脂積層体の誘電損失係数を示すEは、上記数式(a)に基づき算出した。
E=ε×tanδ・・・(a)
<銅箔の表面粗さの測定>
十点平均粗さ(Rz)及び算術平均高さ(Ra)の測定:
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET−3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS−B0601:1994に準拠した方法により算出した。
<銅箔ピール強度の測定>
金属貼積層板を幅1.0mmに加工した後、幅;8cm×長さ;4cmに切断し、測定サンプルを調製した。テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE−1D)を用いて、測定サンプルの片方の面を両面テープによりアルミ板に固定し、もう一方の面を90°方向に50mm/分の速度で、10mm剥離したときの中央強度を求めた。「銅箔ピール強度」は、キャスト側の銅箔層と樹脂積層体との界面で剥離したときのピール強度である。
<非熱可塑性ポリイミドの層間ピール強度の測定>
非熱可塑性ポリイミドの層間ピール強度とは、非熱可塑性ポリイミド積層体を、大気雰囲気下、200℃1時間熱処理した後の非熱可塑性ポリイミドフィルム間の90度ピール強度をいう。
前記90度ピール強度の測定条件は、下記の通りである。
両面テープで測定ステージ上に固定した非熱可塑性ポリイミドフィルムに対して、もう一方の非熱可塑性ポリイミドフィルムを90度の角度で引き剥がす。
5回測定を行い、平均値を測定値とする。
測定温度 ; 室温(25℃)
剥離速度 ; 100mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 2.5cm
<シランカップリング剤縮合物層(接着層)の厚さ>
シランカップリング剤縮合物層の膜厚は、ポリイミドフィルム積層体のフィルム面に垂直方向の断面を研磨した後にミクロトームで超薄切片とし、透過型電子顕微鏡にて断面写真を撮影し、実測値を拡大倍率から逆算して求めた。
合成例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
PMDA:ピロリメット酸二無水物
BPDA:3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
m−TB:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
<熱可塑性ポリイミドの作製>
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、200gのDMAcを入れた。この反応容器に1.335gのm−TB(0.0063モル)及び10.414gのTPE−R(0.0356モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、0.932gのPMDA(0.0043モル)及び11.319gのBPDA(0.0385モル)を加えた。その後、2時間撹拌を続け、溶液粘度1,420mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液aを調製した。次に、長尺の電解銅箔の片面(Rz;2.1μm)に、ポリアミド酸の樹脂溶液aを硬化後の厚さが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結した。塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルムa(熱可塑性、Tg;283℃、CTE;53ppm/K)を調製した。
非熱可塑性ポリイミドフィルムとしては、市販されているフィルムを用いた。
F1:ユーピレックス(登録商標)25S(宇部興産株式会社製ポリイミドフィルム、厚さ25μm)
F2:カプトン(登録商標)100EN(東レ・デュポン株式会社製ポリイミドフィルム、厚さ12.5μm)
F3:ゼノマックス(登録商標)F15LR2(東洋紡株式会社製ポリイミドフィルム、厚さ15μm)
<ポリイミドフィルムの真空プラズマ処理>
ポリイミドフィルムにシランカップリング剤処理を行う前工程として、ポリイミドフィルムに真空プラズマ処理を行った。真空プラズマ処理は長尺フィルム処理用の装置を用い、真空チャンバー内を1×10−3Pa以下になるまで真空排気し、真空チャンバー内にアルゴンガスを導入して、放電電力100W、周波数15kHzの条件で20秒間、アルゴンガスのプラズマ処理を行った。プラズマ処理後のフィルムを処理装置内でロール状に巻き取ることにより、フィルムの吸湿状態をほぼプラズマ処理中の吸湿状態と同等に保つことができる。プラズマ処理後のフィルムから直ちに10cm四方程度のサンプルを切り出し吸湿率を測定した。結果、F1の吸湿率は0.12%、F2の吸湿率は0.21%、F3の吸湿率は0.28%であった。
<非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体1の作製>
図5の装置を用いて、プラズマ処理を行ったポリイミドフィルムF1の3層長尺仮貼り積層体を作製した。接着層となる塗工液(シランカップリング剤)としてはKBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン)、F1は、あらかじめ幅120mmにスリットしたものを使用した。
<非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体2の作製>
F1、F1、F2、F1、F1の順に積層した以外は非熱可塑性ポリイミドフィルム積層体1と同様に作製した。図5の装置では1パスで3層積層が可能であるが、できあがった3層仮貼り積層体をもう一度巻き出し部にセットし、塗工液の塗布、積層を行うことで5層積層体を得た。
<非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体3の作製>
F3、F1、F1、F1、F1、F3の順に積層した以外は非熱可塑性ポリイミドフィルム積層体2と同様に作製した。
<非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体4の作製>
F3、F2、F2、F2、F2、F3の順に積層した以外は非熱可塑性ポリイミドフィルム積層体2と同様に作製した。
<実施例1>
長尺の電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、樹脂溶液aを硬化後の厚さが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。得られた銅箔、樹脂積層体について120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、片面銅箔付き熱可塑性ポリイミドを得た。この片面銅箔付き熱可塑性ポリイミドフィルムを2つ準備し、非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体1が熱可塑性ポリイミド層と接触するように同時に一対の加熱ロール間に1m/分の速度で連続的に供給して熱圧着(ロール表面温度;390℃、ロール間の線圧;134kN/m)することで、樹脂積層体の厚さが81μmの両面銅貼積層板を調製した。この両面銅貼積層板の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム積層体を調製した。このポリイミドフィルム積層体の誘電損失係数E、CTEを表1に示す。
<実施例2>
非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体2を用いた以外は実施例1と同様にポリイミドフィルム積層体を調製した。樹脂積層体の厚さは121μmであった。このポリイミドフィルム積層体の誘電損失係数E、CTEを表1に示す。
<実施例3>
非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体3を用いた以外は実施例1と同様にポリイミドフィルム積層体を調製した。樹脂積層体の厚さは131μmであった。このポリイミドフィルム積層体の誘電損失係数E、CTEを表1に示す。
<実施例4>
片面銅箔付き熱可塑性ポリイミドフィルムを1つ、非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体1を用いた以外は実施例1と同様にして片面銅貼積層板を調製した。この片面銅貼積層板の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム積層体を調製した。樹脂積層体の厚さは81μmであった。このポリイミドフィルム積層体の誘電損失係数E、CTEを表1に示す。。
<比較例1>
非熱可塑性ポリイミドフィルム仮貼り積層体4を用いた以外は実施例1と同様にポリイミドフィルム積層体を調製した。樹脂積層体の厚さは91μmであった。このポリイミドフィルム積層体の誘電損失係数E、CTEを表1に示す。
Figure 2021170603
11A 銅箔層
11B 銅箔層
12A 熱可塑性ポリイミド層
12B 熱可塑性ポリイミド層
13A 非熱可塑性ポリイミド層
13B 非熱可塑性ポリイミド層
14A 接着層
14B 接着層
15A 接着層
15B 接着層
16 接着層
17 非熱可塑性ポリイミド積層体
18 樹脂積層体
100 両面銅貼積層体
21A 銅箔層
21B 銅箔層
22A 熱可塑性ポリイミド層
22B 熱可塑性ポリイミド層
23A 非熱可塑性ポリイミド層
23B 非熱可塑性ポリイミド層
24A 接着層
24B 接着層
25A 非熱可塑性ポリイミド層
25B 非熱可塑性ポリイミド層
26 接着層
27 非熱可塑性ポリイミド層
200 片面CCL
210 片面CCL
31 ロの字枠
32 非熱可塑性ポリイミドフィルム
33 処理チャンバー
34 ウォーターバス
35 シランカップリング剤
41 フィルム巻出し部
42 塗工液供給部
43 塗工液吐出部
44 ワイヤーバー
45 長尺基材巻き出し部
46 加圧部
47 巻取部
48 長尺基材の高さ調整ロール
51 フィルム巻出し部
52 塗工液供給部
53 塗工液吐出部
54 塗工液蒸気の排気口
55 長尺基材巻出し部
56 加圧部
57 巻取部
58 長尺基材の高さ調整ロール

Claims (4)

  1. 複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、前記樹脂積層体の少なくとも片面に積層された金属層とを備えた金属貼積層板であって、前記樹脂積層体が以下のi)〜iii)の条件;
    i)全体の厚さが40〜400μmの範囲内である;
    ii)前記金属層に接している第1のポリイミド層と、前記第1のポリイミド層に直接または間接的に積層された第2のポリイミド層とを含む;
    iii)下記の数式(a)
    E=ε×tanδ・・・(a)
    [ここでεは10GHzにおける比誘電率を示し、tanδは10GHzにおける誘電正接を示す。]
    に基づき算出される、誘電損失係数であるE値が0.01未満である;
    を満たすことを特徴とする金属貼積層板。
  2. 前記樹脂積層体は、前記金属層側から、それぞれ、少なくとも前記第1のポリイミド層、前記第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有するものである請求項1に記載の金属貼積層板。
  3. 前記樹脂積層体において、前記金属層と前記第1のポリイミド層間、および前記第1のポリイミド層と前記第2のポリイミド層間は実質的に接着層を含有しないものであることを特徴とする請求項2に記載の金属貼積層板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の金属貼積層板の前記金属層に配線回路加工された回路基板。
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