JP2020164719A - オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いたオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法を提供する。【解決手段】式[A−1]で表される遷移金属化合物と、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンと環状オレフィン化合物とを共重合させることを特徴とする製造方法に係る。MはTi、Zr、Hf原子、mは1〜3の整数、XはH、炭化水素基、ハロゲン含有基等、A、Bは、S、Oであり、CR3(R3は、H、アルキル基等)であり、R1〜R2はH、C1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基等、LはC、Hを必須とし、さらに15族元素、16族元素から選ばれる原子を含む。【選択図】なし

Description

本発明は遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いたオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法に関する。
エチレン・α−オレフィン共重合体などのオレフィン重合体を製造するための触媒として、メタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物などの共触媒とからなる触媒が知られている。
かかる触媒としては、様々なタイプのメタロセン化合物等の遷移金属化合物が盛んに開発されており、たとえば特許文献1には、下記一般式で表される遷移金属化合物(A):
Figure 2020164719
(式中、MはTi等の周期律表4族の遷移金属を表し、Lは周期律表15族の元素が配位原子となる1価のアニオン性配位子を表し、Xはハロゲン等を表し、mは1〜3の整数を表し、R1〜R5は、水素、ハロゲン又は炭素原子数1〜20のアルキル基等を表す。)
ならびに有機アルミニウムオキシ化合物および有機ホウ素化合物から選ばれる1種以上の活性化剤(B)からなる重合触媒の存在下、エチレンおよび/または炭素原子数3〜20のα−オレフィンと少なくとも1種類の環状オレフィン化合物との共重合を行う環状オレフィン系共重合体の製造方法が記載され、遷移金属化合物(A)の具体例としては、CpTi(t−Bu2C=N)Cl2、比較例としてCp*Ti(2,6−iPr2PhO)Cl2が挙げられている。(Cpはシクロペンタジエニル基を、Cp*はη5−ペンタメチルシクロペンタジエニル基を表す。)。
一方、シクロペンタジエニル骨格にヘテロ原子を含む基が結合したメタロセン系化合物としては、チオフェン縮環型ハーフメタロセンが知られている。この化合物は、シクロペンタジエニル骨格とは異なる置換基(配位子)として、ケチミド、ホスフィンイミド、アリルオキシタイプの構造も併せ持っている(非特許文献1)。
特開2007−63409号公報
Journal of Organometallic chemistry_2011_2451.
しかしながら、メタロセン化合物として特許文献1に記載された遷移金属化合物をエチレンやα-オレフィンの重合用触媒に用いた場合、触媒活性、共重合性、重合体の高分子量化などの点でさらなる改善の余地があることがわかった。
本発明の目的は、新規な遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いたオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法を提供することにある。
本発明は、下記一般式[A−1]で表される遷移金属化合物と、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)
とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンと環状オレフィン化合物とを共重合させることを特徴とするオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法に係る。
Figure 2020164719
〔式[A−1]において、
Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
mは1〜3の整数であり、
Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
AおよびBは、硫黄(S)、酸素(O)またはCR3(R3は、水素、アルキル基等である。)、AがS又はOであるならばBはCR3であるか、又はBがS又はOであるならばAはCR3であり、AとBを含む環は可能な位置で二重結合を有する)であり;
1〜R2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、
Lは炭素、水素を必須とし、さらに15族元素、および16族元素から選ばれる原子を含む構造を有する。
本発明のオレフィン重合用触媒を用いることにより、高活性で、高分子量のオレフィン・環状オレフィン共重合体を製造することができる。
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法に用いるオレフィン重合用触媒は、遷移金属化合物(A)、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを含む。
〔遷移金属化合物(A)〕
本発明に係わるオレフィン重合用触媒を形成する遷移金属化合物(A)は、以下の構造式の要件を満たすことで特定される。
Figure 2020164719
〔式[A−1]において、
Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
mは1〜3の整数であり、
Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
AおよびBは、硫黄(S)、酸素(O)またはCR3(R3は、水素、アルキル基等である。)であり、AがS又はOであるならばBはCR3であるか、又はBがS又はOであるならばAはCR3であり、AとBを含む環は可能な位置で二重結合を有し;
1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、
Lは炭素、水素を必須とし、さらに15族、16族元素から選ばれる原子を含む構造を有する。〕
前記のMは、いわゆる周期律表の第4族元素の代表的な元素であり、アニオン重合性が高いとされる元素である。これらの中でもチタン、ジルコニウムが好ましく、より好ましくはチタンである。
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基であることが好ましい。
mが2以上の場合は、複数存在するXで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
前記ハロゲン原子(X)としては、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、好ましくは塩素または臭素である。
前記AおよびBは、硫黄原子、酸素原子、CR3であり、Aが硫黄原子、酸素原子である場合、BはCR3であり、Bが硫黄原子、酸素原子である場合、AはCR3であり、好ましい態様としては、AまたはBが硫黄原子であり、他方がCHである態様が挙げられる。AおよびBを含む環は二重結合を形成可能な位置に二重結合を有する。
前記R1〜R2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1から20の炭化水素基、アリール基、置換アリール基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基からなる群から選ばれる原子または置換基である。
炭素数1から20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の環状飽和炭化水素基、炭素数2〜20の鎖状不飽和炭化水素基、炭素数3〜20の環状不飽和炭化水素基が例示される。
炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状飽和炭化水素基であるメチル基、エチル基、n-プロピル基、アリル(allyl)基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基など、分岐状飽和炭化水素基であるイソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、t-アミル基、ネオペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-ジプロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基、シクロプロピルメチル基などが例示される。アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6である。
炭素数3〜20の環状飽和炭化水素基としては、環状飽和炭化水素基であるシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルネニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基など、環状飽和炭化水素基の水素原子が炭素数1から17の炭化水素基で置き換えられた基である3-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-シクロヘキシルシクロヘキシル基、4-フェニルシクロヘキシル基などが例示される。環状飽和炭化水素基の炭素数は好ましくは5〜11である。
炭素数2〜20の鎖状不飽和炭化水素基としては、アルケニル基であるエテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-メチルエテニル基(イソプロペニル基)など、アルキニル基であるエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)などが例示される。鎖状不飽和炭化水素基の炭素数は好ましくは2〜4である。
炭素数3〜20の環状不飽和炭化水素基としては、環状不飽和炭化水素基であるシクロペンタジエニル基、ノルボルニル基、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基など、環状不飽和炭化水素基の水素原子が炭素数1から15の炭化水素基で置き換えられた基である3-メチルフェニル基(m-トリル基)、4-メチルフェニル基(p-トリル基)、4-エチルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、ビフェニリル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基(メシチル基)など、直鎖状炭化水素基または分岐状飽和炭化水素基の水素原子が炭素数3から19の環状飽和炭化水素基または環状不飽和炭化水素基で置き換えられた基であるベンジル基、クミル基などが例示される。環状不飽和炭化水素基の炭素数は好ましくは6〜10である。
炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、エチルメチレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、n-プロピレン基などが例示される。アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜6である。
炭素数6〜20のアリーレン基としては、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、4,4'-ビフェニリレン基などが例示される。アリーレン基の炭素数は好ましくは6から12である。
アリール基としては、前述した炭素数3〜20の環状不飽和炭化水素基の例と一部重複するが、芳香族化合物から誘導された置換基であるフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、テトラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、インデニル基、アズレニル基、ピロリル基、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基などが例示される。アリール基としては、フェニル基または2-ナフチル基が好ましい。
前記芳香族化合物としては、芳香族炭化水素および複素環式芳香族化合物であるベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、クリセン、ピレン、ピレン、インデン、アズレン、ピロール、ピリジン、フラン、チオフェンなどが例示される。
置換アリール基としては、前述した炭素数3〜20の環状不飽和炭化水素基の例と一部重複するが、前記アリール基が有する1以上の水素原子が炭素数1から20の炭化水素基、アリール基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基から選ばれる置換基により置換されてなる基が挙げられ、具体的には3-メチルフェニル基(m-トリル基)、4-メチルフェニル基(p-トリル基)、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、ビフェニリル基、4-(トリメチルシリル)フェニル基、4-アミノフェニル基、4-(ジメチルアミノ)フェニル基、4-(ジエチルアミノ)フェニル基、4-モルフォリニルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-フェノキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3-メチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3-(トリフルオロメチル)フェニル基、4-(トリフルオロメチル)フェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、5-メチルナフチル基、2-(6-メチル)ピリジル基などが例示される。また、置換アリール基としては、後述する「電子供与性基含有置換アリール基」も挙げられる。
ケイ素含有基としては、炭素数1から20の炭化水素基において、炭素原子がケイ素原子で置き換えられた基であるトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のアルキルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等のアリールシリル基、ペンタメチルジシラニル基、トリメチルシリルメチル基などが例示される。アルキルシリル基の炭素数は1〜10が好ましく、アリールシリル基の炭素数は6〜18が好ましい。
窒素含有基としては、アミノ基、ニトロ基、N-モルフォリニル基や、上述した炭素数1から20の炭化水素基またはケイ素含有基において、=CH-構造単位が窒素原子で置き換えられた基、-CH2-構造単位が炭素数1から20の炭化水素基が結合した窒素原子で置き換えられた基、または-CH3構造単位が炭素数1から20の炭化水素基が結合した窒素原子またはニトリル基で置き換えられた基であるジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノメチル基、シアノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピリジニル基などが例示される。窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、N-モルフォリニル基が好ましい。
酸素含有基としては、水酸基や、上述した炭素数1から20の炭化水素基、ケイ素含有基または窒素含有基において、-CH2-構造単位が酸素原子またはカルボニル基で置き換えられた基、または-CH3構造単位が炭素数1から20の炭化水素基が結合した酸素原子で置き換えられた基であるメトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシロキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、t-ブトキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、n-2-オキサブチレン基、n-2-オキサペンチレン基、n-3-オキサペンチレン基、アルデヒド基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トリメチルシリルカルボニル基、カルバモイル基、メチルアミノカルボニル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、カルボキシメチル基、エトカルボキシメチル基、カルバモイルメチル基、フラニル基、ピラニル基などが例示される。酸素含有基としては、メトキシ基が好ましい。
ハロゲン原子としては、第17族元素であるフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが例示される。
ハロゲン含有基としては、上述した炭素数1から20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基または酸素含有基において、水素原子がハロゲン原子によって置換された基であるトリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示される。
前記の周期律表の酸素、硫黄、窒素を含む置換基は、後述するケチミド基、ホスフィンイミド基、アミジミド基が含まれていても構わないが、好ましくは、異なる構造である。
上記式[A−1]の中の
Figure 2020164719
で表される構造の例としては、以下の構造が挙げられる。
Figure 2020164719
は炭素、水素を必須とし、さらに15族、16族元素から選ばれる原子を含む構造を有する。Lは置換基、配位子のどちらであってもよい。
上記の元素の中でも窒素、リン、酸素が好ましくは、特には窒素、リンであることが好ましい。
上記のLの具体的な構造としては、ケチミド構造(L-1)、ホスフィンイミド構造(L-2)、アミジミド構造(L−3)、アリールオキシ構造(L−4)が挙げられる。より具体的には下記の構造式で表すことが出来る。
前記のケチミド配位子は下記一般式L−1で表され、次のように定義される。
(a)第4族金属に金属-窒素原子結合を介して結合される;
(b)上記窒素原子に単一の置換基を有する(ここで、その単一の置換基はそのN原子に二重結合で結合されている炭素原子である);および
(c)上記炭素原子に結合されている2個の置換基(以下において説明されるSub1およびSub2を有する配位子を意味する
Figure 2020164719
〔式(L−1)において、Sub1、Sub2は各々独立して互いに同一でも異なっていても良く、Sub1、Sub2は水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アミド基、アリール基、アラルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アリールアミド基、シリルアミド基、ホスフィノアミド基、およびホスフィド基を表す。また各々が互いに結合して環を形成してもよい。〕
このような置換基、配位子として、具体的には、上記Sub1、Sub2が結合したL−1は、下記の様な構造を例示することが出来る。
Figure 2020164719
本前記のホスフィンイミド配位子は下記一般式L−2で表され、次のように定義される。
(a)第4族金属に金属-窒素原子結合を介して結合される;
(b)上記窒素原子に単一の置換基を有する(ここで、その単一の置換基はそのN原子に二重結合で結合されているP原子である);および
(C)上記P原子に結合されている3個の置換基(以下において説明されるSub3、Sub4およびSub5を有する配位子を意味する
Figure 2020164719
〔式(L−2)において、Sub3、Sub4およびSub5は各々独立して互いに同一でも異なっていても良く、Sub3、Sub4およびSub5は水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アミド基、アリール基、アラルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アリールアミド基、シリルアミド基、ホスフィノアミド基、およびホスフィド基を表す。また各々が互いに結合して環を形成してもよい。〕
このような置換基、配位子として、具体的には、上記Sub3、Sub4およびSub5が結合したL−2は、下記の様な構造を例示することが出来る。
Figure 2020164719
本発明のアミジミド配位子は下記一般式L−3で表され、次のように定義される。
(a)第4族金属に金属-窒素原子結合を介して結合される;
(b)Sub6は第14族原子を含む置換基であり、第14族原子を介してSub6がイミン炭素原子に結合される。
(c)Sub7は第15〜16族のヘテロ原子を含む置換基であり、該ヘテロ原子を介してSub7がイミン炭素原子に結合される。
Figure 2020164719
〔式(L−3)において、Sub6は第14族原子を含む置換基であり、第14族原子を介してSub6がイミン炭素原子に結合される。
Sub7は第15〜16族のヘテロ原子を含む置換基であり、該ヘテロ原子を介してSub7がイミン炭素原子に結合される。〕
このような置換基、配位子として、具体的には、上記Sub6、Sub7が結合したL−3は、下記の様な構造を例示することが出来る。
Figure 2020164719
本発明のアリルオキシ配位子は下記一般式L−4で表され、次のように定義される。
(a)第4族金属に金属-酸素原子結合を介して結合される;
Figure 2020164719
〔式(L−4)において、R1〜R5は各々独立して互いに同一でも異なっていても良い。R1〜R5は水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アミド基、アリール基、アラルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アリールアミド基、シリルアミド基、ホスフィノアミド基、およびホスフィド基を表す。また各々が互いに結合して環を形成してもよい。〕
このような置換基、配位子として、具体的には、下記の様な構造を例示することが出来る。
Figure 2020164719
〔化合物(B)〕
本発明に係わるオレフィン重合用触媒を形成する化合物(B)は、(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
((B−1)有機金属化合物)
本発明で用いられる有機金属化合物(B−1)として、具体的には下記の一般式(B−1a)〜(B−1c)で表される周期律表第1、2、12、13族の少なくとも1種の原子を含む化合物が挙げられる:
a pAl(ОRbqrs ・・・(B−1a)
(一般式(B−1a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物;
3AlRc 4 ・・・(B−1b)
(一般式(B−1b)中、M3はLi、NaまたはKを示し、Rcは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期律表第1族のアルカリ金属とアルミニウムとの錯アルキル化物;
de4 ・・・(B−1c)
(一般式(B−1c)中、RdおよびReは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M4はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期律表第2族のアルカリ土類金属または第12族の金属とのジアルキル化合物。
前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物を例示できる。
a pAl(ОRb3-p ・・・(B−1a−1)
(式(B−1a−1)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは1.5≦p≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlY3-p ・・・(B−1a−2)
(式(B−1a−2)中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは好ましくは0<p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlH3-p ・・・(B−1a−3)
(式(B−1a−3)中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは2≦p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAl(ОRbqs ・・・(B−1a−4)
(式(B−1a−4)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i−C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(ОRb0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(B−1a)に類似する化合物も本発明に使用することができ、そのような化合物としてたとえば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などを挙げることができる。
前記一般式(B−1b)に属する化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などを挙げることができる。
前記一般式(B−1c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウムなどを挙げることができる。
またその他にも、有機金属化合物(B−1)としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドなどを使用することもできる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを、前記有機金属化合物(B−1)として使用することもできる。
有機金属化合物(B−1)のなかでは、触媒活性の点から有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記のような有機金属化合物(B−1)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
((B−2)有機アルミニウムオキシ化合物)
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。これらの溶媒は、1種単独で、または混合して用いることができる。
本発明に係る有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、下記一般式(B−2a)または(B−2b)で表される構造のアルミノキサン、および下記一般式(B−2c)で表される繰り返し単位と下記一般式(B−2d)で表される繰り返し単位とを構造として有するアルミノキサンの少なくとも1種から選ばれるアルミノキサンが挙げられる。
Figure 2020164719
(一般式中、Rcは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基などの炭化水素基を例示することができる。これら例示したもののうちで、メチル基、エチル基、イソブチル基が好ましく、特にメチル基が好ましく、前記一般式(B−2a)、(B−2b)および(B−2c)中、Rcの一部が塩素、臭素などのハロゲン原子で置換され、かつハロゲン含有率が40重量%以下であってもよい。
前記一般式(B−2a)および(B−2b)中、rは2〜500の整数を示し、好ましくは6〜300、特に好ましくは10〜100の範囲にある。
前記一般式(B−2c)および(B−2d)中、s、tはそれぞれ1以上の整数を示す。
前記一般式(B−2c)で表される繰り返し単位と前記一般式(B−2d)で表される繰り返し単位とを有するアルミノキサンは、ベンゼンの凝固点降下法により測定した分子量が200〜2000の範囲内にあることが好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であることが好ましい。)
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、下記一般式(B−2e)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2020164719
(一般式(B−2e)中、R15は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、4つのR16は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
前記一般式(B−2e)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(B−2f)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
15−B(ОH)2 ・・・(B−2f)
(一般式(B−2f)中、R15は前記一般式(B−2e)におけるR15と同じ基を示す。)
前記一般式(B−2f)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
遷移金属化合物(A)に加えて、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
上記のような有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
((B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物)
本発明で用いられる、遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、前記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどである。
前記イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(B−3a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020164719
(一般式[B−3a]中、R17はH+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R18〜R21は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
17としては、カルボニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(B−3b)または(B−3c)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
Figure 2020164719
(式(B−3b)中、Etはエチル基を示す。)
Figure 2020164719
(式(B−3c)中、Etはエチル基を示す。)
イオン化イオン性化合物(化合物(B−3))の例であるボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるカルボラン化合物として具体的には、たとえば4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期律表第1族のアルカリ金属または2族のアルカリ土類金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、およびトリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるイソポリ化合物は、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種の原子の金属イオンから構成される化合物であり、金属酸化物の分子状イオン種であるとみなすことができる。具体的には、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期律表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
上記のようなイオン化イオン性化合物(遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3))は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)(以下、「成分(A)」と略記する場合がある。)と、有機金属化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)、およびイオン化イオン性化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物[B](以下、「成分[B]と略記する場合がある。)とともに、必要に応じて下記の担体(C)を含んでもよい。
〔(C)担体〕
本発明で用いられる担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。担体(C)に上記遷移金属化合物(A)および化合物(B)を担持させることで、良好なモルフォロジーのポリマーが得られる。
前記無機化合物としては、多孔質酸化物、固体状アルミノキサン化合物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
前記多孔質酸化物として、具体的にはSiО2、Al2О3、MgО、ZrО、TiО2、B2О3、CaО、ZnО、BaО、ThО2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用することができ、さらに、例えば天然または合成ゼオライト、SiО2−MgО、SiО2−Al2О3、SiО2−TiО2、SiО2−V2О5、SiО2−Cr2О3、SiО2−TiО2−MgОなどを使用することができる。これらのうち多孔質酸化物としては、SiО2および/またはAl2О3を主成分とするものが好ましい。
なお、上記多孔質酸化物は、少量のNa2CО3、K2CО3、CaCО3、MgCО3、Na2SО4、Al2(SО43、BaSО4、KNО3、Mg(NО32、Al(NО33、Na2О、K2О、Li2Оなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる多孔質酸化物は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
前記固体状アルミノキサン化合物としては、前記(B−2a)〜(B−2d)で示したアルミノキサンの少なくとも1種から選ばれるアルミノキサンが挙げられる。
本発明で用いられる前記固体状アルミノキサンは、従来公知のオレフィン重合触媒用担体と異なり、シリカやアルミナなどの無機固体成分やポリエチレン、ポリスチレンなどの有機系ポリマー成分を含まず、アルキルアルミニウム化合物を主たる成分として固体化したものを示す。本発明中で用いる「固体状」の意味は、アルミノキサン成分(B−2)が用いられる反応環境下において、実質的に固体状態を維持することである。より具体的には、例えば後述のように成分(A)と成分[B]とを接触させてオレフィン重合用固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエンなどの不活性炭化水素溶媒中、特定の温度・圧力環境下において成分[B]が固体状態であることを表す。また、例えば後述のように成分[B]を用いて調製されるオレフィン重合用固体触媒成分を用いて懸濁重合を行う場合にヘキサンやヘプタン、トルエンなどの炭化水素溶媒中、特定の温度・圧力環境下において触媒成分中に含まれる成分[B]が固体状態であることも必要な要件である。溶媒の代わりに液化モノマー中で重合を行うバルク重合や、モノマーガス中で重合を行う気相重合でも同様である。
上記の環境下において成分[B]が固体状態であるかどうかは、目視による確認が最も簡便な方法であるが、例えば重合時などは目視による確認が困難である場合が多い。その場合は、例えば重合後に得られた重合体パウダーの性状や反応器への付着状態などから判断することが可能である。逆に、重合体パウダーの性状が良好で、反応器への付着が少なければ、重合環境下において成分[B]の一部が多少溶出したとしても本発明の趣旨を逸脱することはない。重合体パウダーの性状を判断する指標としては、嵩密度、粒子形状、表面形状、不定形ポリマーの存在度合いなどが挙げられるが、定量性の観点からポリマー嵩密度が好ましい。本発明における嵩密度は通常0.01〜0.9であり、好ましくは0.05〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5の範囲内である。
本発明で用いられる固体状アルミノキサンは、25℃の温度に保持されたn−ヘキサンに対し溶解する割合が、通常0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%、特に好ましくは0〜10モル%の範囲を満足する。
本発明で用いられる固体状アルミノキサンのn−ヘキサンに対する溶解割合は、25℃に保持された50mlのn−ヘキサンに固体状アルミノキサン担体2gを加えた後2時間の撹拌を行ない、次いでG−4グラス製フイルターを用いて溶液部を分離して、この濾液中のアルミニウム濃度を測定することにより求めた。従って、溶解割合は用いたアルミノキサン2gに相当するアルミニウム原子の量に対する前記濾液中に存在するアルミニウム原子の割合として決定する。
本発明に係る固体状アルミノキサンとしては、公知の固体状アルミノキサンを際限なく用いることができる。公知の製造方法として例えば、特公平7-42301号公報、特開平6-220126号公報、特開平6-220128号公報、特開平11-140113号公報、特開平11-310607号公報、特開2000-38410号公報、特開2000-95810号公報、WО201055652号公報などが挙げられる。
本発明に係る固体状アルミノキサンの平均粒子径は、一般に0.01〜50000μm、好ましくは1〜1000μm、特に好ましくは1〜200μmの範囲にある。
固体状アルミノキサンの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により粒子を観察し、100個以上の粒子の粒径を測定し、重量平均化することにより求められる。固体状アルミノキサンの粒径は、ピタゴラス法最大長を粒子像より測定した。即ち、水平方向、垂直方向それぞれに、粒子像を2本の平行線ではさんだ長さを測り、下式をもって計算で求められる。
粒径=((水平方向長さ)2+(垂直方向長さ)20.5
固体状アルミノキサンの重量平均粒子径は、上記で求めた粒径を用いて下式により求められる。
平均粒径=Σnd4/Σnd3(ここでn;粒子個数、d;粒径)
本発明に好ましく用いられる固体状アルミノキサンは、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜800m2/gであり、細孔容積が0.1〜2.5cm3/gであることが望ましい。
前記無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
前記粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、上記イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
さらに、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、
イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsО42・H2О、α−Zr(HPО42、α−Zr(KPО42・3H2О、α−Ti(HPО42、α−Ti(HAsО42・H2О、α−Sn(HPО42・H2О、γ−Zr(HPО42、γ−Ti(HPО42、γ−Ti(NH4PО42・H2Оなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上であることが好ましく、0.3〜5cc/gであることが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(ОR)4、Zr(ОR)4、PО(ОR)3、B(ОR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13О4(ОH)247+、[Zr4(ОH)142+、[Fe3О(ОCОCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(ОR)4、Al(ОR)3、Ge(ОR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基などを示す)などを加水分解して得た重合物、SiО2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物なども挙げられる。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
前述のように担体(C)は無機または有機の化合物であるが、有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、上記化合物[B]、必要に応じて担体(C)と共に、必要に応じてさらに下記の特定の有機化合物成分(D)を含むこともできる。
〔(D)有機化合物成分〕
本発明において有機化合物成分(D)は、必要に応じて、本発明のオレフィン重合用触媒の重合性能および生成ポリマーの物性(たとえば生成ポリマーの分子量)を向上(分子量であれば、高分子量化)させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
前記アルコール類および前記フェノール性化合物としては、通常、R22−ОHで表されるものが使用され、ここで、R22は炭素原子数1〜50の炭化水素基(フェノール類の場合は炭素原子数は6〜50)または炭素原子数1〜50(フェノール類の場合は炭素原子数は6〜50)のハロゲン化炭化水素基を示す。
アルコール類としては、R22がハロゲン化炭化水素基のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’−位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
上記カルボン酸としては、通常、R23−CООHで表されるものが使用される。R23は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
上記リン化合物としては、P−О−H結合を有するリン酸類、P−ОR、P=О結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
上記スルホン酸塩としては、下記一般式(D−a)で表されるものが挙げられる。
Figure 2020164719
(一般式(D−a)中、M5は周期律表第1〜14族の原子であり、R24は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、tは1〜7の整数であり、uは1〜7の整数であり、また、t−u≧1である。)
〔オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法は、上述した本発明のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンと環状オレフィンとを共重合することを特徴としている。
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法においては、2種以上のオレフィンと環状オレフィンを共重合して共重合体を製造してもよい。
重合における、本発明に係わるオレフィン重合用触媒を構成する各成分の使用法、重合器への添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、遷移金属錯体(A)、化合物(B)、担体(C)および有機化合物成分(D)を、それぞれ「成分(A)〜(D)」ともいう。(1)成分(A)を単独で重合器に添加する方法。(2)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。(3)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法。(4)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法。(5)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記の各方法においては、任意の段階で成分(D)が添加されてもよい。
上記の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2種は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
オレフィンと環状オレフィンとの共重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
有機金属化合物(B−1)は、有機金属化合物(B−1)と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が通常0.01〜50,000、好ましくは0.05〜10,000となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常10〜5,000、好ましくは20〜2,000となるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物(B−3)は、イオン化イオン性化合物(B−3)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が、通常1から10,000、好ましくは1から5,000となるような量で用いられる。
担体(C)を用いる場合は、遷移金属化合物(A)と担体(C)との重量比〔(A)/(C)〕が好ましくは0.0001〜1、より好ましくは0.0005〜0.5、さらに好ましくは0.001〜0.1となるような量で用いられる。
本発明の製造方法において、前記重合工程における重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜180℃であり;重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法において行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。
得られるオレフィン・環状オレフィン共重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させるか、化合物(B)の使用量により調節することができる。水素を添加する場合、その量は生成する共重合体1kgあたり0.001から5,000NL程度が適当である。
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法において重合反応に供されるオレフィンの例としては、直鎖状または分岐状のα−オレフィンが挙げられる。
本発明においては、前記の触媒の存在下に、直鎖状または分岐状のオレフィンと、環状オレフィンとの共重合を行い、オレフィン共重合体を製造することを特徴とする。好ましくは、下記の(Z−1)で規定されるオレフィンと、(Z−2)で規定されるオレフィンとの共重合を行い、オレフィン共重合体を製造することを特徴とする。
(Z−1)炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン
前記直鎖状または分岐状のα−オレフィンとしては、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン(Z−1)が挙げられる。
α−オレフィン(Z−1)の炭素原子数は、好ましくは2〜20である。
α−オレフィン(Z−1)の具体例としてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、および1−エイコセンが挙げられる。
より好ましくは直鎖状のオレフィンであり、特に好ましくはエチレンである。
(Z−2)一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、一般式[Z-IV]または一般式[Z-V]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン
前記環状オレフィンとしては、下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、一般式[Z-IV]または一般式[Z-V]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン(Z−2)が挙げられる。
Figure 2020164719
〔式[Z-I]中、uは0または1であり、
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
61〜R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75〜R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
Figure 2020164719
〔式[Z-II]中、xおよびdは0または1以上の整数であり、
yおよびzは0、1または2であり、
81〜R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
Figure 2020164719
〔式[Z-III]中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、fは1≦f≦18である。〕
Figure 2020164719
〔一般式[Z-IV]中、xは0または1以上の整数であり、
111〜R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
121〜R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。〕
Figure 2020164719
〔一般式[Z-V]中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18〜R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のとき、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。〕
以下、一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、一般式[Z-IV]、および一般式[Z-V]について詳説する。
《一般式[Z-I]》
式[Z-I]中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1である。なおwが1の場合には、wを用いて表される環は6員環となり、wが0の場合には、この環は5員環となる。
61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20のシクロアルキル基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜30、好ましくは3〜20のシクロアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
さらに上記一般式[Z-I]において、R75とR76とが、R77とR78とが、R75とR77とが、R76とR78とが、R75とR78とが、またはR76とR77とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
Figure 2020164719
なお、上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(I)においてそれぞれR75(R76)またはR77(R78)が結合している炭素原子を表す。
また、R75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデンなどが挙げられる。
《一般式[Z-II]》
式[Z-II]中、xおよびdは0または正の整数であり、yおよびzは0、1または2である。
また、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基である。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式[Z-I]中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
ここで、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接または炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R89とR93とが、または、R90とR91とが互いに共同して、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2-)またはプロピレン基(−CH2CH2CH2−)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
さらに、y=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、y=z=0のとき、R95とR92とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。
Figure 2020164719
ここで、lは上記一般式[Z-II]におけるdと同じである。
《一般式[Z-III]》
式[Z-III]中、R100とR101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、またfは1≦f≦18である。
炭素原子数1〜5の炭化水素基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはシクロアルキル基を挙げることができる。これらの具体例は上記式[Z-I]のR61〜R78の具体例と同様である。
《一般式[Z-IV]》
一般式[Z-IV]において、xは0または1以上の整数である。
111〜R118およびR121〜R124は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式[Z-I]中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
また、R121〜R124の隣接する2つの基は互いに結合して単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。これらのうち、R121とR122が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2020164719
Figure 2020164719
また、R122とR123が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2020164719
Figure 2020164719
また、R121とR122、R123とR124が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2020164719
これらの芳香族環上にハロゲン原子、アルキル基、およびアリール基から選ばれる置換基が置換された環状オレフィンも例として挙げられる。
《一般式[Z-V]》
一般式[Z-V]において、mおよびnは0、1または2であり、R18〜R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、R28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環を形成していてもよく、該単環が二重結合を有していてもよい。
また、一般式[Z-V]において、mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。R18〜R31は水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
また、炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記一般式[Z-I]、[Z-II]、[Z-III]、[Z-IV]または[Z-V]で表される環状オレフィンの具体例としては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどの特開2011−122146号公報の[0176]〜[0207]に例示された化合物が挙げられる。
これらの一般式[Z-I]、[Z-II]、[Z-III]、[Z-IV]または[Z-V]で表される環状オレフィン(Z−2)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において重合、前記の(Z-1)、(Z-2)以外に他のオレフィンを反応に供してもよい。この様なオレフィンの例としては、共役/非共役ポリエン、ビニルシクロヘキサンが挙げられる。
前記共役/非共役ポリエンとしては、炭素原子数が4〜30、好ましくは4〜20であり、2つ以上の二重結合を有する環状または鎖状の炭化水素が挙げられる。その具体例としては、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンブタジエン、イソプレン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの特開2011−122146号公報の[0211]に例示された化合物が挙げられる。
本発明のオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法においては、上述したオレフィンと共に、オレフィン以外の重合性化合物を重合してもよく、このような重合性化合物の例としては、極性基および重合性不飽和結合を有する化合物、芳香族ビニル化合物、および官能基含有スチレン誘導体が挙げられる。
極性基および重合性不飽和結合を有する化合物の具体例としては、特開2011−122146号公報の[0208]〜[0211]に極性基を有する不飽和炭化水素として例示された化合物が挙げられる。
芳香族ビニル化合物および官能基含有スチレン誘導体の具体例としては、特開2011−122146号公報の[0211]に例示された化合物が挙げられる。
本発明の製造方法の好ましい態様としては、前記α−オレフィン(Z−1)と前記環状オレフィン(Z−2)とを共重合する態様が挙げられる。この態様においては、前記α−オレフィン(Z−1)としてはエチレンが好ましく、前記環状オレフィン(Z−2)としてはテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが好ましい。
前記α−オレフィン(Z−1)と、前記環状オレフィン(Z−2)とを共重合するにおいて、α−オレフィン(Z−1)の圧力と環状オレフィン(Z−2)の濃度を任意に設定することができ、特に限定されるものではない。α−オレフィン(Z−1)の圧力は前記重合圧力が好ましく、環状オレフィン(Z−2)の濃度は0.001〜100M、好ましくは0.01〜10Mであり、より好ましくは0.1〜1Mである。
(環状オレフィン共重合体)
本発明のオレフィンの環状オレフィン共重合体の製造方法で得られる環状オレフィン共重合体について、説明する。
(分子量)
本発明の環状オレフィン共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で決定される値で、1.0×103以上、10×105以下であることが好ましい。その下限値は、より好ましくは1.1×103、さらに好ましくは1.2×103である。一方、その上限値は、より好ましくは8×105、さらに好ましくは7×105、特に好ましくは6×105である。具体的なGPCの測定条件としては、後述の実施例に記載の条件が採用される。
本発明の環状オレフィン共重合体は、その重量平均分子量が上記の範囲内であれば、成型性、強度、透明性などのバランスが良く、種々の用途に好適に使用することができる。
〈ガラス転移温度〉
上述のとおり、本発明に係る環状オレフィン共重合体は、高いガラス転移温度、たとえば120℃〜250℃を示す。その下限値は、好ましくは125℃、より好ましくは130℃である。一方、その上限値は、溶融成型時の重合体の耐熱安定性の観点からは、より好ましくは230℃、さらに好ましくは220℃である。
前記ガラス転移温度の値は、以下の条件またはこれと同等の条件で測定した場合のものである。
測定条件:示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー社 DSC6220)を用いて、約5.0mgの試料(環状オレフィン共重合体)を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その温度で5分間保持する。(ただし、250℃以上320℃以下の温度領域で分解する共重合体の場合は、常法の通り、適宜保持する温度を低く調整してもよい。)さらに降温速度10℃/分で0℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度20℃/分で300℃まで昇温する。この2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
(共重合体の組成)
本発明に係る環状オレフィン共重合体は、」(Z−1)由来のオレフィン構造単位と、(Z−2)由来のオレフィン構造単位とを含み、これらが連結した構造を有する。
全オレフィン構造単位を100モル%とすると、(Z−1)由来の構造単位の含有率は、好ましくしい下限値として40モル%、より好ましくは50モル%、さらに好ましくは60モル%である。好ましい上限値は、90モル%であり、より好ましくは80モル%であrる。一方、(Z−2)由来の構造単位の含有率の好ましい下限値は、10モル%、好ましくは20モル%である。一方好ましい上限値は60モル%、より好ましくは50モル%、さらに好ましくは40モル%である。
(Z−2)由来の構造単位の含有率が高いほど、ガラス転移温度が高くなる傾向がある。
前記の環状オレフィン共重合体には、必要に応じて他の構造単位が含まれてても構わない。例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物、1,5-ヘキサジエン、4メチル1,5ヘキサジエン、7メチル1,6オクタジエン等の非共役ジエン化合物、スチレンなどの芳香族ビニル化合物などを挙げることが出来る。このような化合物由来の構造単位の含有率は、前記の全オレフィン構造単位を100モル%とすると、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下である。
本発明の遷移金属化物を用いると、比較的高分子量の重合体を高い活性で製造することが出来る。この要因は、現時点では不明であるが、シクロペンタジエニル骨格に結合する基の、酸素(O)や硫黄(S)(所謂ヘテロ元素)が、重合活性を好適に抑制していることが一因ではないかと考えられる。より具体的には、前記のヘテロ元素の存在が連鎖移動反応を抑制するとともに、成長反応時に発生することがあるとされるドーマント状態を起こり難くするため重合活性も高くなりやすいのではないかと推測される。
その他に、シクロペンタジエニル骨格に結合する基の平面性が関与していると考えられ、重合反応を継続できるように助触媒とのイオンセパレーションを保つ程度の適度な立体的効果を発揮しながら、配位挿入するオレフィンに対しては立体的な障壁が低いことから、よりオレフィンが効率よく重合できると推測される。
上記の環状オレフィン共重合体は、従来の環状オレフィン共重要体の用途、例えば、プラスチックレンズなどの光学製品、フィルムなどの包装用品などに制限なく利用することが出来る。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
〔遷移金属化合物の構造〕
遷移金属化合物の構造は、1H−NMRスペクトル(270MHz、日本電子GSH−270)およびFD−MS(日本電子製JMS-T100GC)を用いて決定した。
〔共重合体の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)〕
共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。Waters社製「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は、下記の通りである:
<使用装置および条件>
測定装置;ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社)
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステム Empower(商標、Waters社)
カラム;TSKgel GMH6−HT×2 + TSKgel GMH6−HT×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o−ジクロロベンゼン〔=ОDCB〕(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/min
注入量;400μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正 単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495から分子量2060万
〔共重合体のコモノマー(TD)含量〕
特開2011−122146号公報の[0216]〜[0219]の記載に従い、13C−NMRスペクトルにより共重合体のコモノマー(環状オレフィン)含量を求めた。
〔共重合体のTg〕
以下の条件でDSC測定を行い、共重合体のTgを求めた。
装置:エスアイアイナノテクノロジー社 DSC6220
測定条件:300℃で5分間ホールドした試料を0℃まで急冷し、その後昇温速度20℃/分で250℃まで昇温する過程においてTgを求めた。
〔チタン化合物の製造〕
[合成例A]
下式で表される遷移金属化合物(A)の合成
Figure 2020164719
(1)配位子Aの合成
Figure 2020164719
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに2,5−ジメチル−7H−シクロペンタ[1,2−b:4,3−b‘]−ジチオフェン1031mg(5.00mmol)および脱水t−ブチルメチルエーテル65mLを添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム(5.27mmol)のヘキサン溶液(1.55M)3.40mLを徐々に添加し、室温で1時間攪拌した。ドライアイスメタノール浴で冷却しながら、トリメチルクロロシラン 0.67mL(5.32mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した。先の有機層と合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノールで洗浄し、目的物を1266mg(収率91%)得た。1H−NMR(CDCl3)の測定結果により、目的物(以下配位子Aと記載する。)を同定した。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ 6.81(2H,d,J=1.0Hz),3.65(1H,s),2.54(6H,s),−0.02(12H,s)ppm
(2)遷移金属化合物(A0)の合成
Figure 2020164719
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに先の反応で得られた配位子Aを1393mg(5.00mmol)、ジクロロメタン65mLを添加した。ドライアイス-メタノール浴で冷却しながら塩化チタン(5.00mmol)のジクロロメタン溶液(1.0M)5.00mLを徐々に添加し、室温に戻しながら18時間攪拌した。反応液の溶媒の半分を減圧留去し、ガラスフィルターを用いてろ過した。得られた固体をジクロロメタンで洗浄し、減圧乾燥して黒色固体を得た。ろ液の溶媒の半分を減圧留去、ろ過した後、ジクロロメタンで洗浄して減圧乾燥することにより黒色固体を得た。得られた黒色固体は合わせて1575mg(収率88%)で、1H−NMR(CDCl3)とFD−MSの測定結果により、目的物(以下「遷移金属化合物(A0)」と記載する。)を同定した。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.02−7.01(2H,m),6.89(1H,s),2.72(6H,d, J=1.3Hz)ppm
FD−MS:m/z=357.9(M+
(3)遷移金属化合物(A)の合成
窒素雰囲気下、シュレンクフラスコに2,2,4,4−テトラメチルペンタン−3−イミン148mg(1.05mmol)、トルエン5mLを添加した。この溶液をドライアイス-メタノール浴で冷却し、n−ブチルリチウム溶液0.68mL(ヘキサン溶液、1.55M、1.05mmol)を加えた後、室温で1時間撹拌した。
窒素雰囲気下、別のシュレンクフラスコに遷移金属化合物(A0)360mg(1.00mmol)とトルエン50mLを添加した。この溶液をドライアイス-メタノール浴で冷却し、先に得られた反応溶液をトルエンで5mL洗浄しながら加えた。室温で18時間撹拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた濃紫色固体をヘキサンで洗浄し、減圧乾燥した。濃紫色固体286mg、収率62%、1H−NMR(CDCl3)とFD−MSの測定結果により、目的物を同定した。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ 6.85(2H,s),6.56(1H,s),2.56(6H,d, J=1.0Hz)ppm
FD−MS:m/z=463.1(M+
〔比較合成例a〕
下式で表される遷移金属化合物(a)の合成
Figure 2020164719
Journal of American Chemical Society, 2000, 122, 5499-5509.に記載の方法で合成した。
〔エチレン・テトラシクロドデセン共重合体の製造〕
〔実施例p1〕
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、シクロヘキサン/ヘキサン(9/1)混合溶液250mLとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(以下、単に「テトラシクロドデセン」とも記載する。)10gを装入し、エチレン50リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、修飾アルミノキサンをアルミニウム原子換算で0.15mmol、引き続き、上記遷移金属化合物(A)を0.0003mmol加え重合を開始した。エチレンを50リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で10分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのアセトン/メタノール(3/1)混合溶媒中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が1.114g得られた。得られたポリマーの物性値は表1にまとめた。
〔実施例p2〕
装入するテトラシクロドデセンを5gとしたこと以外は実施例p1と同様に行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が0.961g得られた。得られたポリマーの物性値は表1にまとめた。
〔比較例p1〕
遷移金属化合物(A)の代わりに遷移金属化合物(a)を0.0015mmol使用したこと以外は実施例p1と同様に行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が0.895g得られた。得られたポリマーの物性値は表1にまとめた。
〔実施例p3〕
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、シクロヘキサン/ヘキサン(9/1)混合溶液250mLとテトラシクロドデセン10gを装入し、エチレン50リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.06mmol、遷移金属化合物(A)を0.00015mmol、引き続きトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.0006mmol加え重合を開始した。エチレンを50リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で10分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのアセトン/メタノール(3/1)混合溶媒中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が0.340g得られた。得られたポリマーの物性値は表1にまとめた。
〔実施例p4〕
装入するテトラシクロドデセンを5gとしたこと以外は実施例p3と同様に行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が0.327g得られた。得られたポリマーの物性値は表1にまとめた。
〔比較例p2〕
遷移金属化合物(A)の代わりに遷移金属化合物(a)を0.0005mmol使用し、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.20mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.002mmol使用したこと以外は実施例p3と同様に行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が0.546g得られた。得られたポリマーの物性値は表1にまとめた。
Figure 2020164719
表1エチレン・テトラシクロドデセン共重合
助触媒D:修飾メチルアルミノキサン
助触媒E:トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
TD:テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

Claims (3)

  1. 下記一般式[A−1]で表される遷移金属化合物と、
    (B)(B−1)有機金属化合物、
    (B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)
    とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンと環状オレフィン化合物とを共重合させることを特徴とするオレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法。
    Figure 2020164719
    〔式[A−1]において、
    Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
    mは1〜3の整数であり、
    Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
    AおよびBは、硫黄(S)、酸素(O)またはCR3(R3は、水素、アルキル基等である。)、AがS又はOであるならばBはCR3であるか、又はBがS又はOであるならばAはCR3であり、AとBを含む環は可能な位置で二重結合を有する)であり;
    1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、
    Lは炭素、水素を必須とし、さらに15族元素、および16族元素から選ばれる原子を含む構造を有する。
  2. 前記オレフィンが、
    (Z−1)炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、および
    (Z−2)下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、一般式[Z-IV]または一般式[Z-V]
    で表される環状オレフィンを含む請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
    Figure 2020164719
    〔式[Z-I]中、uは0または1であり、
    vは0または正の整数であり、
    wは0または1であり、
    61〜R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75〜R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
    Figure 2020164719
    〔式[Z-II]中、xおよびdは0または1以上の整数であり、
    yおよびzは0、1または2であり、
    81〜R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合
    していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
    Figure 2020164719
    〔式[Z-III]中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、fは1≦f≦18である。〕
    Figure 2020164719
    〔一般式[Z-IV]中、xは0または1以上の整数であり、
    111〜R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
    121〜R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。〕
    Figure 2020164719
    〔一般式[Z-V]中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18〜R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。〕
  3. 前記α−オレフィン(Z−1)がエチレンであり、前記環状オレフィン(Z−2)がテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンである請求項1または2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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