JP2011084508A - 遷移金属錯体 - Google Patents

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Taichi Senda
太一 千田
Keiya Okado
慶也 岡戸
Shusuke Hanaoka
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Abstract

【課題】α−オレフィンから誘導される構造単位の共重合比が高いエチレン/α−オレフィン共重合体などのオレフィン重合体の重合用触媒として有用な遷移金属錯体を提供すること。
【解決手段】
式[1]
Figure 2011084508

(式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Aは元素周期律表の第16族の原子を表し、Jは元素周期律表の第14族の原子を表す。)
で示される遷移金属錯体、及び該遷移金属錯体から調製されるオレフィン重合用触媒の提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合用触媒に有用な遷移金属錯体に関する。
オレフィン重合体は汎用樹脂として多くの分野に用いられている。該オレフィン重合体は、実用的な成形加工性を維持しつつ、例えば剛性や衝撃強度などの機械的特性に優れたものが要求されることがある。このようなオレフィン重合体の一つとして、例えばエチレンと1−ヘキセンのようなα−オレフィンとを、重合触媒(オレフィン重合用触媒)存在下に共重合させたオレフィン重合体が知られている。かかるオレフィン重合体を与える重合触媒として、特許文献1には、ジエチルシリレン(シクロペンタ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン−7−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリドやジエチルシリレン(2,5−ジメチルシクロペンタ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン−7−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリドなどの、シクロペンタ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン−7−イル基を有する配位子を有する遷移金属錯体が提案されており、かかる遷移金属錯体から調製されたオレフィン重合用触媒によれば、高分子量のエチレン系共重合体が得られることが開示されている。
特開2004−238387号公報
しかしながら、特許文献1が開示するオレフィン重合用触媒では、α−オレフィンから誘導される構造単位の共重合比が高いオレフィン重合体を得ようとする場合、エチレンの重合性に対してα−オレフィンの重合性が低いため、該オレフィン重合体製造に用いる原料モノマー中の、エチレンの使用量に対するα−オレフィンの使用量を、該共重合比から算出される使用量よりも大過剰に用いなければならないという問題がある。
本発明者らは、前記問題を解消するために鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記式[1]
Figure 2011084508
[式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Aは元素周期律表の第16族の原子を表し、Jは元素周期律表の第14族の原子を表す。R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
−Si(R12(3つのR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR12にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
−N(R13(2つのR13はそれぞれ独立に、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、2つのR13にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基又は
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基
を表し、
、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよく、R及びRは結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよく、R及びR10は結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよく、R及びRは結合して、Jととともに環を形成していてもよい。]
で示される遷移金属錯体に係るものである。かかる遷移金属錯体から調製されるオレフィン重合用触媒によれば、エチレンの使用量に対するα−オレフィンの使用量を大過剰に用いなくとも、α−オレフィンから誘導される構造単位の共重合比が高いオレフィン重合体を得ることができる。
かかる遷移金属錯体は例えば、
下記式[2]
Figure 2011084508
[式中、A、J、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は前記式[1]と同義である。
11は、−Si(R14(3つのR14はそれぞれ独立に、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR14にある炭素原子数の合計が3〜20である。)で示される三置換シリル基又は炭素原子数1〜20の有機基を表す。]
で示される置換シクロペンタジエン化合物及び塩基を反応させる工程と、
前記塩基と反応させた前記置換シクロペンタジエン化合物及び
下記式[3]
Figure 2011084508

(式中、M、X及びXは前記式[1]と同義であり、X及びXはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R12(3つのR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR12にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
又は−N(R13(2つのR13はそれぞれ独立に炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、2つのR13にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、nは0又は1を表す。)
で示される遷移金属化合物を反応させる工程と、
を有する製造方法により得ることができる。
また、本発明は前記式[1]で示される遷移金属錯体から調製されるオレフィン重合用触媒、好ましくは、この遷移金属錯体と下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒を提供する。
化合物(A):以下の(A1)、(A2)及び(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1):式E AlZ3-aで表される有機アルミニウム化合物
(A2):式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3):式E{−Al(E)−O−}AlE で表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):以下の(B1)、(B2)及び(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1):式 BQで表されるホウ素化合物
(B2):式 G(BQで表されるホウ素化合物
(B3):式 (L−H)+(BQで表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。)
また、本発明は前記いずれかのオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法を提供する。
本発明の遷移金属錯体は、オレフィン重合用触媒として用いた場合に、エチレンに対してα−オレフィンを大過剰に用いなくとも、α−オレフィンから誘導される構造単位の共重合比が高いオレフィン共重合体を得ることができる。
中心金属Mの周辺の立体的な空間(配位場)のC−Y−M角を模式的に表す図である。 錯体2のX線結晶構造解析結果を示す図である。 錯体4のX線結晶構造解析結果を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<遷移金属錯体>
まず、前記式[1]で示される遷移金属錯体(以下、「遷移金属錯体[1]」という。)について説明する。本発明者等は、エチレンの重合活性に対してα−オレフィンの重合活性は低い傾向があり、エチレンとα−オレフィンとを原料モノマーとして用い、従来のオレフィン重合用触媒の存在下に重合を行った場合、エチレンが優先的に重合し易く、得られるエチレン系共重合体中のα−オレフィンから誘導される構造単位(以下、場合により「α−オレフィンの構造単位」という。)の共重合比を高くすることが困難であることを見出した。したがって、該従来のオレフィン重合用触媒の存在下での重合では、エチレンに対して大過剰量のα−オレフィンを用いることにより、α−オレフィンの構造単位の共重合比が高いエチレン系共重合体を製造しなければならず、結果として未反応のα−オレフィンが残存することになる。かかる状況下、本発明者らは、シクロペンタジエン環にチオフェン環がある特定の方向に縮合させた遷移金属錯体[1]は、後述するオレフィン重合用触媒に用いた場合、未反応のα−オレフィンの残存を低減しつつ、α−オレフィンの構造単位の共重合性が高いエチレン系共重合体が得られるという驚異的な効果を奏することを見出した。
以下、前記遷移金属錯体[1]、特に好適な前記遷移金属錯体[1]について詳述する。
前記遷移金属錯体[1]において、Mは元素周期律表の第4族元素を示し、例えばチタン原子、ジルコニウム原子及びハフニウム原子などが挙げられる。これらの中でも、チタン原子が好ましい。
前記遷移金属錯体[1]において、Aは元素周期律表の第16族元素であり、例えば、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子などが挙げられ、好ましくは酸素原子である。
前記遷移金属錯体[1]において、Jは元素周期律表の第14族元素であり、例えば、炭素原子、ケイ素原子及びゲルマニウム原子などが挙げられ、好ましくはケイ素原子である。
前記遷移金属錯体[1]において、置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXは上述のとおりの定義であり、その具体例を以下に示す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子である。
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基の「炭素原子数1〜20のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びn−エイコシル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアルキル基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基及びアミル基などを挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、ここに例示するアルキル基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わった基を意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数1〜20の範囲であると好ましく、炭素原子数1〜10の範囲がさらに好ましい。好適なハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基及びパーフルオロヘキシル基などを挙げることができる。
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基の「炭素原子数6〜20のアリール基」の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基及びアントラセニル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアリール基としては、炭素原子数6〜10のアリール基であり、さらに好ましくはフェニル基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、ここに例示するアリール基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わった基を意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は6〜20の範囲であると好ましく、6〜10の範囲がさらに好ましい。具体的に好適な、ハロゲン原子を置換基として有するアリール基は、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基及びヨードフェニル基などを挙げることができる。
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基の「炭素原子数7〜20のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基及びアントラセニルメチル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアラルキル基としては、炭素原子数7〜10のアラルキル基であり、さらに好ましくはベンジル基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、ここに例示するアラルキル基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わった基を意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は7〜20の範囲であると好ましく、7〜10の範囲がさらに好ましい。
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基の「炭素原子数1〜20のアルコキシ基」の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基及びn−エイコシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアルコキシ基としては、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、ここに例示するアルコキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わった基を意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数1〜20の範囲であると好ましく、1〜10の範囲がさらに好ましい。
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の「炭素原子数6〜20のアリールオキシ基」の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基及びアントラセノキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアリールオキシ基としては、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基であり、さらに好ましくはフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基及び4−メチルフェノキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、ここに例示するアリールオキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わった基を意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は6〜20の範囲であると好ましく、6〜10の範囲がさらに好ましい。
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の「炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基」の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜10のアラルキルオキシ基であり、さらに好ましくはベンジルオキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、ここに例示するアリールオキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わった基を意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は7〜20の範囲であると好ましく、7〜10の範囲がさらに好ましい。
−Si(R12(3つのR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR12にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基において、R12はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基;フェニル基などのアリール基;などの炭化水素基であり、3つのR12の炭素原子数の合計が1〜20の範囲である。この3つのR12の炭素原子数の合計は3〜18の範囲が好ましい。該置換シリル基の具体例としては、メチルシリル基、エチルシリル基及びフェニルシリル基などの1つの炭化水素基を有する一置換シリル基;ジメチルシリル基、ジエチルシリル基及びジフェニルシリル基などの2つの炭化水素基を有する二置換シリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基及びトリフェニルシリル基などの3つの炭化水素基を有する三置換シリル基などが挙げられる。これらのうち好ましくは三置換シリル基であり、さらに好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基及びトリフェニルシリル基である。なお、かかる置換シリル基にある炭化水素基においても、すでに例示したアルキル基やアリール基にある水素原子の一部又は全部がハロゲン原子に置き換わってなるハロゲン化炭化水素基であってもよい。
−N(R13(2つのR13はそれぞれ独立に炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、2つのR13にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基において、R13はそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、2つのR13の炭素原子数の合計が2〜20の範囲であり、2〜10の範囲がさらに好ましい。かかる炭化水素基は、前記置換シリル基の炭化水素基として説明したものと同じであり、該炭化水素基にある水素原子の一部又は全部はハロゲン原子に置き換わってなるハロゲン化炭化水素基であってもよい。また、この2つのRは互いに結合して、これらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。かかる二置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基及びジヒドロイソインドリル基などが挙げられる。これらのうち、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基及びピペリジニル基である。
、R、R及びRのうち隣接する炭素原子にそれぞれ結合する2つの置換基は結合して、これらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよい。同様に、R及びRは結合して、Jとともに環を形成していてもよく、R及びRは結合して、これらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよく、R及びR10は結合して、これらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよい。ここでいう環とは、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などである。その具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環などである。
遷移金属錯体[1]を具体的に例示すると、次のような錯体を挙げることができる。
ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(2−ナフトキシ)チタニウムジクロリド
ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(2−ナフトキシ)チタニウムジクロリド
ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(2−ナフトキシ)チタニウムジクロリド
ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3,4−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−ジメチルアミノ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(2−ナフトキシ)チタニウムジクロリドなどが挙げられる。また、ここに例示する錯体において、「チタニウム」を「ジルコニウム」又は「ハフニウム」に置き換えたもの、「ジクロリド」を「ジフルオリド」、「ジブロミド」、又は「ジヨージド」に置き換えたものも同様に例示される。
<遷移金属錯体[1]の製造方法>
遷移金属錯体[1]は例えば、下記式[2]
Figure 2011084508
[式中、A、J、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は前記式[1]と同義である。
11は、−Si(R14(3つのR14はそれぞれ独立に、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR14にある炭素原子数の合計が3〜20である。)で示される三置換シリル基または炭素原子数1〜20の有機基を表す。]
で示される置換シクロペンタジエン化合物(以下、「置換シクロペンタジエン化合物[2]」という。)及び塩基を反応させる工程と、
前記塩基と反応させた前記置換シクロペンタジエン化合物[2]及び
下記式[3]
Figure 2011084508

(式中、M、X及びXは前記式[1]と同義であり、X及びXはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R12(3つのR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR12にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
又は−N(R13(2つのR13はそれぞれ独立に炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、2つのR13にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、nは0又は1を表す。)
で示される遷移金属化合物(以下、「遷移金属化合物[3]」という。)
を反応させる工程と、
を有する製造方法により製造することができる。以下、前記置換シクロペンタジエン化合物[2]と塩基とを反応させる工程を「第1反応工程」、前記置換シクロペンタジエン化合物[2]と塩基との反応物に、遷移金属化合物[3]を反応させる工程を「第2反応工程」ということがある。前記置換シクロペンタジエン化合物[2]及び前記遷移金属化合物[3]を用いる以外は、当該製造方法に係る反応条件は、特開2004−238387号公報に記載されている反応に準拠すればよい。
置換シクロペンタジエン化合物[2]のR11における炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基及びデセニル基などの炭素原子数2〜10のアルケニル基;ベンジル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基などの炭素原子数7〜12のアラルキル基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基などのアルコキシアルキル基などが挙げられる。これらの炭化水素基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよく、例えば、2−クロロ−2−プロペニル基などが挙げられる。
また、R11の三置換シリル基の定義は−Si(R12で示される置換シリル基においてすでに述べたとおりであり、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基及びトリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。
以上例示したR11の中でも、高収率で遷移金属錯体[1]を製造し得る点からは、アルケニル基又はアルキル基が好ましく、アリル基又はメチル基がさらに好ましい。
前記置換シクロペンタジエン化合物[2]としては、例えば、次のような化合物を挙げることができる。
(2−アリロキシフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、
(2−アリロキシフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、
(2−アリロキシフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジメチルシラン、
(2−アリロキシフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−メチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−フェニルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−メチル−3−トリメチルシリルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3,5−ジアミルフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−5−tert−ブチル−3−クロロフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(1−アリロキシナフタレン−2−イル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)(2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシラン、
ここに例示した置換シクロペンタジエン化合物[2]において、「ジメチルシラン」を「ジフェニルシラン」、「エチルメチルシラン」、「メチルフェニルシラン」又は「ジメチルゲルマニウム」に置き換えたものも用いることができる。
また、ここに例示した置換シクロペンタジエン化合物[2]は例えば、以下の式[4]
Figure 2011084508
(式中、R、R、R及びR10は前記と同じ意味を示し、Tはアルカリ金属原子を示す。)
に例示されるシクロペンタジエニルのアルカリ金属塩を用い、式[5]
Figure 2011084508
(式中、A、J、R、R、R、R、R、R及びR11は前記と同じ意味を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で示される化合物を反応させることにより製造される。
前記式[4]に示されるシクロペンタジエニルのアルカリ金属塩におけるTは、例えば、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子等であり、好ましくはリチウム原子である。
前記式[4]に示されるシクロペンタジエニルのアルカリ金属塩は、例えば式[6]
Figure 2011084508
(式中、R、R、R及びR10は前記と同じ意味を示す。)
で示されるシクロペンタジエン化合物を用いて、特開2004−238387号公報に記載されている反応に準拠して製造することができる。
式[6]で示されるシクロペンタジエン化合物は例えば、Tetrahedron 1968,24,3381.又は、WO 01/47939)に記載されている製造方法に従い製造することができる。
前記遷移金属化合物[3]において、置換基X及びXは上述のとおりの定義であり、その具体例としてはX及びXで定義したものと同様である。
前記遷移金属化合物[3]としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどのハロゲン化チタン;テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、ジクロロビス(ジメチルアミノ)チタン、トリクロロ(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタンなどのアミドチタン;テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ジクロロジイソプロポキシチタン、トリクロロイソプロポキシチタンなどのアルコキシチタンなどが挙げられる。また、これらの各化合物の「チタン」を「ジルコニウム」又は「ハフニウム」に置き換えた化合物などが挙げられる。これらのうち、好ましい遷移金属化合物[3]は四塩化チタンである。
前記第1反応工程において、置換シクロペンタジエン化合物[2]と反応させる塩基としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムトリメチルシリルアセチリド、リチウムアセチリド、トリメチルシリルメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウム及びアリルリチウムなどの有機リチウム化合物に代表される有機アルカリ金属化合物などが挙げられる。
塩基の使用量は、置換シクロペンタジエニル化合物[2]1モルあたり、0.5〜5モルの範囲であればよい。
前記第1反応工程における置換シクロペンタジエン化合物[2]と塩基との反応においては、前記有機アルカリ金属化合物と共に、アミン化合物を用いることもできる。かかるアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、アニリン、エチレンジアミンなどの第1級アミン化合物;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−デシルアミン、ピロリジン、ヘキサメチルジシラザン、ジフェニルアミンなどの第2級アミン化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルピロリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどの第3級アミン化合物;が挙げられる。かかるアミン化合物の使用量は、有機アルカリ金属化合物1モルあたりに、10モル以下であると好ましく、0.5〜10モルの範囲であるとより好ましく、1〜3モルの範囲であるとさらに好ましい。
前記第1反応工程において、置換シクロペンタジエン化合物[2]と塩基とを反応させる際には溶媒の存在下で反応させることが好ましい。また、溶媒を用いるときには、該溶媒中で置換シクロペンタジエン化合物[2]及び塩基を反応させた後、この反応混合物中に遷移金属化合物[3]を加えることにより、置換シクロペンタジエン化合物[2]及び塩基の反応物に、遷移金属化合物[3]をさらに反応させることができる。なお、置換シクロペンタジエン化合物[2]及び塩基を反応させた反応混合物には固体が析出することがあるが、この場合には、析出した固体が溶解するまで溶媒を追加したり、析出した固体をろ過等により、一旦分離した後、分離した固体に溶媒を加えて溶解させたり、することで、置換シクロペンタジエン化合物[2]及び塩基を反応させた反応混合物を、溶液の形態にしてから、この溶液に遷移金属化合物[3]を加えてもよい。また、溶媒を用いる場合、該溶媒に置換シクロペンタジエン化合物[2]、塩基及び遷移金属化合物[3]を同時に加えることにより、第1反応工程と第2反応工程とを略同時に実施することもできる。
第1反応工程又は、第1反応工程及び第2反応工程に用いる溶媒は、これらの工程に係る反応の進行を著しく妨げない不活性な溶媒が用いられる。かかる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの極性溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒などが例示される。かかる溶媒は単独もしくは2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、置換シクロペンタジエン化合物[2]1重量部にあたり、1〜200重量部が好ましく、3〜50重量部がさらに好ましい。
遷移金属化合物[3]の使用量は、置換シクロペンタジエン化合物[2]1モルあたり、0.5〜3モルの範囲が好ましく、0.7〜1.5モルの範囲がさらに好ましい。
第1反応工程及び第2反応工程における反応温度は、−100℃以上、溶媒の沸点以下であればよく、好ましくは−80〜100℃の範囲である。
かくして第1反応工程及び第2反応工程を経て得られた反応混合物からは各種公知の精製方法により、生成した遷移金属錯体[1]を取り出すことができる。例えば、第1反応工程及び第2反応工程の後に、生成した沈殿を濾別後、濾液を濃縮して遷移金属錯体を析出させた後、これを濾取する方法などによって目的の遷移金属錯体[1]を得ることができる。
<オレフィン重合用触媒>
本発明の遷移金属錯体[1]はオレフィン重合用触媒として好適に用いることができる。特に、遷移金属錯体[1]と他の共触媒成分とを接触させることにより得られるオレフィン重合用触媒は、後述する嵩高い置換基を有するビニル化合物とエチレンとの重合に好適に用いることができる。該共触媒成分としては、下記化合物(A)及び下記化合物(B)が挙げられ、化合物(A)及び化合物(B)を合わせて用いてもよい。
化合物(A):以下の(A1)、(A2)及び(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1):式E AlZ3-aで表される有機アルミニウム化合物
(A2):式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3):式E{−Al(E)−O−}AlE で表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):以下の(B1)、(B2)及び(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1):式 BQで表されるホウ素化合物
(B2):式 G(BQで表されるホウ素化合物
(B3):式 (L−H)+(BQで表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。)
以下に化合物(A)の具体例を示す。
(A1):式E AlZ3−aで表される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等があげられる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウムである。
(A2):式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン又は(A3)式E{−Al(E)−O−}AlE で表される構造を有する線状のアルミノキサンにおけるE及びEとしては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基及びネオペンチル基等のアルキル基があげられる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E及びEはそれぞれ独立にメチル基又はイソブチル基であり、bは2〜40であり、cは1〜40である。
上述のアルミノキサンは各種の方法で製造できる。その方法については特に限定はなく、公知の方法に準じて製造すればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン又は脂肪族炭化水素など)に溶解して得られる溶液と、水と、を接触させることで、該アルミノキサンは製造できる。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)と、結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)と、接触させることによっても、該アルミノキサンは製造できる。
次に化合物(B)の具体例を示す。
(B1):式BQで表されるホウ素化合物において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子である。Q〜Qは、好ましくは、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数2〜20の2置換アミノ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
(B1):式BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等があげられ、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
(B2):式G(BQで表されるホウ素化合物において、Gは無機又は有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q〜Qは上記の(B1)におけるQ〜Qと同様である。
(B2):式G(BQで表されるホウ素化合物において、無機のカチオンであるGには、例えば、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるGには、例えば、トリフェニルメチルカチオンなどがあげられる。また、(BQとしては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4-トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
(B2):式G(BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどをあげることができ、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
(B3):式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物において、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q〜Qは上記の(B1)におけるQ〜Qと同様である。
(B3):式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物において、(L−H)には、例えば、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどがあげられ、(BQには、前述と同様のものが挙げられる。
(B3):式(L−H)(BQで表されるホウ素化合物としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることができ、好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート又はN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
オレフィン重合用触媒調製における各触媒成分を接触させる方法は特に限定されるものではない。また、後述するオレフィン重合体の製造を担う重合反応装置中で、各触媒成分を接触させることにより、該重合反応装置中でオレフィン重合用触媒を調製することもできる。この場合には、各触媒成分を重合反応装置中に投入する順序は任意である。もちろん、該重合反応装置中に投入する前に、予め各触媒成分を接触させてオレフィン重合用触媒を調製することもできる。
遷移金属錯体[1]と前記共触媒成分とを接触させてオレフィン重合用触媒を調製する場合の使用量比について説明する。化合物(A)を共触媒成分として用いる場合、該化合物(A)にあるアルミニウム原子を基準にして、その使用量比を決定できる。具体的にいうと、遷移金属錯体[1]に対して、化合物(A)にあるアルミニウム原子のモル比が、0.1〜10000の範囲が好ましく、5〜2000の範囲がさらに好ましい。化合物(A)として(A1)有機アルミニウム化合物を用いる場合、化合物(A1)/遷移金属錯体(1)のモル比は、より好ましくは0.3〜500の範囲、さらに好ましくは0.5〜100の範囲である。
また、化合物(B)を共触媒成分として用いる場合、化合物(B)/遷移金属錯体(1)のモル比は、0.01〜100の範囲、好ましくは0.5〜10の範囲である。
該オレフィン重合用触媒調製は適当な溶媒を用いて、当該溶媒中で、遷移金属錯体[1]及び共触媒成分を接触させることもできる。このときの溶媒としては、遷移金属錯体[1]を溶解し得るものを用いることが好ましい。かかるオレフィン重合用触媒調製の際には、遷移金属錯体[1]の濃度は0.0001〜5mmol/Lの範囲であればよく、好ましくは、0.001〜1mmol/Lの範囲である。化合物(A)を共触媒成分とする場合、該化合物(A)の濃度は、アルミニウム原子換算で0.01〜500mmol/Lの範囲であればよく、好ましくは、0.1〜100mmol/Lの範囲である。化合物(B)を共触媒成分とする場合、該化合物(B)の濃度は0.0001〜5mmol/Lの範囲であればよく、好ましくは0.001〜1mmol/Lの範囲である。
共触媒成分としては化合物(A)が好ましく、該化合物(A)のなかでは、(A1)有機アルミニウム化合物が好ましい。また、共触媒成分として(A1)有機アルミニウム化合物を用いる場合、重合反応装置中に投入する前に、遷移金属錯体[1]と(A1)有機アルミニウム化合物とを予め接触させてオレフィン重合用触媒を調製することが好ましく、モノマーの不存在下で、遷移金属錯体[1]と(A1)有機アルミニウム化合物とを接触させることがより好ましい。
<オレフィン重合体の製造方法>
本発明において、重合に使用するモノマーは、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、5−メチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ペンテンなどの炭素原子数3〜20のα−オレフィン;1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,9−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、1,13−テトラデカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3−エチル−1,4−ヘキサジエン、3−エチル−1,5−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの共役ジエン;ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセンなどのモノオレフィン;5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、7−メチル−2,5−ノルボルナジエン、7−エチル−2,5−ノルボルナジエン、7−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、7−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ペンチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ヘキシル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−メチルエチル−2,5−ノルボルナジエン、7−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、7−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、7−フルオロ−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジクロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−メチル−2,5−ノルボルナジエン、1−エチル−2,5−ノルボルナジエン、1−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、1−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、1−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、ビニルシクロヘキセンなどの非共役ジエン;1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどの共役ジエン;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族化合物を挙げることができる。
オレフィン重合体のうち2種以上のオレフィンからなる共重合体は製造するうえでの好適なモノマーの組み合わせ、例えば、2種のオレフィンからなる共重合体は製造するうえでの好適なモノマーの組み合わせとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン−1、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/ビニルシクロヘキサン、プロピレン/1−ブテンなどが挙げられる、3種のオレフィンの組み合わせとしては、上記の2種のオレフィンの組み合わせに、さらに5−エチリデン−2−ノルボルネンを組み入れた組み合わせなどが例示される。
オレフィン重合体の製造方法の形式は特に限定されるものではなく、溶媒を用いた溶液重合又はスラリー重合や、嵩高い置換基を有するビニル化合物と他のオレフィンとがともに標準状態でガス状である場合は気相重合であってもよい。溶液重合又はスラリー重合に用いる溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素(ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン等)又はハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド等)が挙げられ、当該溶媒に前記遷移金属錯体[1]を含むオレフィン重合用触媒(特に、前記遷移金属錯体[1]と前記共触媒成分とからなるオレフィン重合用触媒)を溶解又は分散させておき、この溶液又は分散液に嵩高基含有オレフィン及び他のオレフィンを混合することでオレフィン重合体を製造することができる。気相重合の場合は例えば、前記遷移金属錯体[1]を含むオレフィン重合用触媒(特に、前記遷移金属錯体[1]と前記共触媒成分とからなるオレフィン重合用触媒)を仕込んだ反応器に、嵩高基含有オレフィン及び他のオレフィンのガスを投入して重合する方法などにより実施することができる。ここに示す溶液重合又はスラリー重合、あるいは気相重合は、連続式重合又は回分式重合のどちらでも可能である。
重合温度は、−50℃〜300℃の範囲を取り得るが、特に、−20℃〜250℃の範囲が好ましい。重合圧力は、常圧(大気圧)から90MPaの加圧下の範囲が好ましい。重合時間は、目的とするオレフィン重合体の種類、反応装置によって適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。また、オレフィン重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
本発明の遷移金属錯体[1]を含むオレフィン重合用触媒によれば、上述のようなα−オレフィン及び他のオレフィンを用いた共重合によりオレフィン重合体を製造する際、過剰のα−オレフィンを用いなくとも、α−オレフィンの共重合比が高いオレフィン重合体を製造することができる。
α−オレフィンの共重合比を高めるためには、遷移金属錯体[1]における中心金属Mの周辺にα−オレフィンが配位−挿入反応を起こすための立体的に適度な空間が必要である。遷移金属錯体[1]における中心金属Mの周辺の立体的な空間(配位場)については、遷移金属錯体[1]のX線結晶構造解析により確認することができる。
例えば、遷移金属錯体[1]の中で、式[7]
Figure 2011084508
(式中、M、R、R、R及びR10は前記と同じ意味を示し、C、C、C、C及びCはシクロペンタジエン環の炭素原子を示し、右肩の数字はこれらを区別するために付したものである。Yは、C、C、C、C及びCで形成されるシクロペンタジエン環と遷移金属原子Mとの結合点を模式的に表すものであり、該シクロペンタジエン環の中心点である。)
で示される部分構造において、C−Y−Mの角度(以下、C−Y−Mの角度をβとする)の大きさで中心金属Mの周辺の立体的な空間を表すことができる。すなわち、βが小さい場合、図1(A)に示すとおり、相対的に、α−オレフィンが配位−挿入反応を起こすために接近する配位場が広くなり、α−オレフィンの接近がより有利となり、α−オレフィンの共重合比を高めることができる。逆に、βが大きい場合、図1(B)に示すとおり、相対的に、α−オレフィンが配位−挿入反応を起こすために接近する配位場が狭くなり、α−オレフィンの接近がより不利となる。βは81°以下であると好ましい。
βと同様に、中心金属Mの周辺の立体的な空間を表すものとして、前記C、C、C、C及びCとMとの結合長が挙げられる。すなわち、C−M結合長と比較して、C−M結合長やC−M結合長が長い場合、βが小さい場合と同様にα−オレフィンが配位−挿入反応を起こすために接近する配位場が広くなり、α−オレフィンの接近がより有利となり、α−オレフィンの共重合比を高めることができる。C−M結合長及びC−M結合長は、2.52Å以上であると好ましい。
遷移金属錯体[1]における中心金属Mの周辺の立体的な空間については、遷移金属錯体[1]の種々の分子軌道計算によっても確認することができる。
以下、本発明を実験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
<錯体の製造>
物性測定は次の方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)
装置:日本電子社製 EX270、又は、Bruker社製 DPX−300
試料セル:5mmφチューブ
測定溶媒:CDCl
試料濃度:10mg/0.5mL(CDCl
測定温度:室温(約25℃)
測定パラメータ:5mmφプローブ、MENUF NON、OBNUC 1H、積算回数16回
パルス角度:45度
繰り返し時間:ACQTM 3秒、PD 4秒
内部標準:CDCl(7.26ppm)
(2)質量スペクトル
[電子イオン化質量分析(EI−MS)]
装置:日本電子社製 JMS−AX505W
イオン化電圧:70eV
イオン源温度:230℃
データ処理装置:MS−MP8020D
MASS RANGE:m/z 35−1000
[実験例1]
「ジエチルシリレン(シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド(以下、「錯体1」という。)の合成」
4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェンは公知の技術に記載されている方法(例えば、Tetrahedron 1968,24,3381.参照)に従って合成した。
窒素雰囲気下、4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン(0.83g、4.68mmol)をトルエン(17mL)に溶解させ、これを−78℃まで冷却した。この溶液にn−ブチルリチウムの1.56Mヘキサン溶液(3.00mL、4.68mmol)を滴下した。徐々に室温まで昇温し、さらに室温で3時間攪拌した。反応後、溶媒を減圧下で濃縮し、ペンタンを加えることで得られた沈殿を濾過し、真空乾燥することにより白色固体1.54gを得た。得られた白色固体0.86gをテトラヒドロフラン(17mL)に溶解させ、これを−78℃まで冷却した。この溶液に(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジエチルシラン(1.52g、4.67mmol)をトルエン(2mL)に溶解させた溶液を滴下した。徐々に室温まで昇温し、室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、ヘキサンを加えて不溶物を濾過により除去した後、濾液を濃縮して(2−アリロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)ジエチルシランを茶色のオイルとして得た(1.96g)。
トリエチルアミン(1.15g、11.41mmol)のトルエン溶液(24mL)を調製し、ここに上記で得られた茶色のオイル(1.96g)を窒素雰囲気下で加えた。−78℃まで冷却した後、n−ブチルリチウムの1.56Mヘキサン溶液(3.66mL、5.71mmol)を滴下した。徐々に室温まで昇温させた後、室温で3時間攪拌した。得られた混合物を−78℃まで冷却し、同温度で四塩化チタン(0.72g、3.80mmol)をトルエン(4mL)に溶解させた溶液を滴下した。再び、室温まで昇温し2時間攪拌した。ヘキサンを加えて濾過することにより不溶物を除去し、濾液から溶媒を減圧下で濃縮した。残渣にペンタンを加え、沈殿した固体を濾過し、少量のペンタンで洗浄した後、減圧乾燥することにより、錯体1(45mg、収率4%)を茶色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm):0.99−1.08(m、6H)、1.16−1.26(m、4H)、1.26(s、9H)、2.41(s、3H)、6.91(d、J=5.4Hz、2H)、7.20(s、1H)、7.21(s、1H)、7.57(d、J=5.4Hz、2H)
13C−NMR(CDCl、δppm):4.88、7.39、21.34、29.84、34.78、101.93、122.18、126.93、129.58、132.37、133.66、133.70、135.73、136.47、146.98、168.79
質量スペクトル(EI−HRMS、m/z):calcd 542.02073、found 542.01882.
[実験例2]
「ジエチルシリレン(2,6−ジメチルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド(以下、「錯体2」という。)の合成」
2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェンは公知の技術に記載されている方法(例えば、WO 01/47939参照)に従って合成した。
4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェンの代わりに2,6−ジメチル−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェンを用いた以外は実験例1と同様に合成を行い、錯体2(450mg、収率33%)を茶色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm):0.99−1.07(m、6H)、1.14−1.23(m、4H)、1.26(s、9H)、2.41(s、3H)、2.53(d、J=1.2Hz、6H)、6.55(d、J=1.2Hz、2H)、7.19(s、2H)
13C−NMR(CDCl、δppm):4.83、7.40、16.96、21.35、29.74、34.78、101.55、119.27、126.87、129.44、131.59、133.25、133.71、136.38、147.34、151.15、168.65
質量スペクトル(EI−HRMS、m/z):calcd 570.05203、found 570.05015.
ここで得られた錯体2の構造を、X線結晶構造解析により行った。X線結晶構造解析に適した単結晶は錯体2のトルエン溶液を室温で徐々に蒸発させることにより得た。錯体2のβは80.9°であった。錯体2のX線結晶構造を図2に示す。C−M結合長、C−M結合長、C−M結合長、C−M結合長及びC−M結合長を以下の表2に示す。
[実験例3]
<エチレン/1−ヘキセン共重合>
400mLのオートクレーブ中をアルゴンで置換した後、1−ヘキセン15mL、脱水トルエン185mLを投入した。180℃に昇温後、エチレンを2.5MPa仕込んだ。トリイソブチルアルミニウム(0.3mmol)のトルエン溶液[東ソー・ファインケム(株)製Al原子換算濃度 20.3重量%]を仕込み、つづいて錯体1(0.5μmol)を脱水トルエンに溶解したものを投入した。次に、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以下、ABと記す。)(3.0μmol)のトルエン溶液をオートクレーブに投入して重合を開始した。反応液を2分攪拌した後、エタノール/メタノール(9/1)5mLを加えて、重合を停止させた。反応液をエタノール/メタノール(9/1)(500mL)に5%塩酸(1mL)を加えた溶液に注ぎ込み、エチレン/1−ヘキセン共重合体を濾過により得た。得られたエチレン/1−ヘキセン共重合体をメタノールで洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥した結果、エチレン/1−ヘキセン共重合体0.45gを得た。
得られたエチレン/1−ヘキセン共重合体の重量平均分子量(Mw)は79,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。1−ヘキセン含量はFT−IRによりSCB(ポリマー1000炭素あたりの短鎖分岐数)として求め、SCB=34であった。
[比較例1]
錯体1の代わりに、ジエチルシリレン(シクロペンタ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン−7−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド(以下、「錯体3」という。)を用いた以外は、実験例3と同様にエチレン/1−ヘキセン共重合を行い、エチレン/1−ヘキセン共重合体0.81gを得た。
得られたエチレン/1−ヘキセン共重合体の重量平均分子量(Mw)は94,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。1−ヘキセン含量はFT−IRにSCB(ポリマー1000炭素あたりの短鎖分岐数)として求め、SCB=27であった。
Figure 2011084508
重合活性:単位:kg/(mmol−cat・hr)
SCB:ポリマー1000炭素あたりの短鎖分岐数
[参考例1]
ジエチルシリレン(2,5−ジメチルシクロペンタ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン−7−イル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド(以下、「錯体4」という。)を、実験例2と同様にX線結晶構造解析を行い、錯体4のβは81.6°であった。錯体4のX線結晶構造を図3に示す。錯体4の、C−M結合長、C−M結合長、C−M結合長、C−M結合長及びC−M結合長を以下の表2に示す。
Figure 2011084508
−M:C−M結合長:単位Å
−M:C−M結合長:単位Å
−M:C−M結合長:単位Å
−M:C−M結合長:単位Å
−M:C−M結合長:単位Å
本発明の遷移金属錯体は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体のオレフィン重合用触媒に特に有用である。

Claims (8)

  1. 下記式[1]
    Figure 2011084508
    [式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Aは元素周期律表の第16族の原子を表し、Jは元素周期律表の第14族の原子を表す。R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、X及びXはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
    −Si(R12(3つのR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR12にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
    −N(R13(2つのR13はそれぞれ独立に、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、2つのR13にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基又は
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基
    を表し、
    、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよく、R及びRは結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよく、R及びR10は結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよく、R及びRは結合して、Jととともに環を形成していてもよい。]
    で示される遷移金属錯体。
  2. Mがチタン原子である請求項1に記載される遷移金属錯体。
  3. Aが酸素原子である請求項1又は2に記載される遷移金属錯体。
  4. Jがケイ素原子である請求項1〜3のいずれかに記載される遷移金属錯体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載される遷移金属錯体の製造方法であって、
    下記式[2]
    Figure 2011084508
    [式中、A、J、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は前記式[1]と同義である。
    11は、−Si(R14(3つのR14はそれぞれ独立に、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR14にある炭素原子数の合計が3〜20である。)で示される三置換シリル基又は炭素原子数1〜20の有機基を表す。]
    で示される置換シクロペンタジエン化合物及び塩基を反応させる工程と、
    前記塩基と反応させた前記置換シクロペンタジエン化合物及び
    下記式[3]
    Figure 2011084508

    (式中、M、X及びXは前記式[1]と同義であり、X及びXはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
    ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
    −Si(R12(3つのR12はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、3つのR12にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
    又は−N(R13(2つのR13はそれぞれ独立に炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、2つのR13にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、nは0又は1を表す。)
    で示される遷移金属化合物を反応させる工程と、
    を有する製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載される遷移金属錯体から調製されるオレフィン重合用触媒。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載される遷移金属錯体と、
    下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)と、
    を混合して得られるオレフィン重合用触媒。
    化合物(A):以下の(A1)、(A2)及び(A3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
    (A1):式E AlZ3-aで表される有機アルミニウム化合物
    (A2):式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
    (A3):式E{−Al(E)−O−}AlE で表される構造を有する線状のアルミノキサン
    (式中、aは0<a≦3を満足する数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。E、E及びEは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、複数のE、複数のE及び複数のEはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子又はハロゲン原子を表し、Zが複数ある場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    化合物(B):以下の(B1)、(B2)及び(B3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
    (B1):式 BQで表されるホウ素化合物
    (B2):式 G(BQで表されるホウ素化合物
    (B3):式 (L−H)+(BQで表されるホウ素化合物
    (式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基又は2置換アミノ基を表し、Gは無機又は有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表す。)
  8. 請求項6又は7に記載されるオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合する工程を有するオレフィン重合体の製造方法。
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