JP2020059169A - 積層体、及び、積層体の製造方法 - Google Patents

積層体、及び、積層体の製造方法 Download PDF

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俊介 市村
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美唯妃 林
桂也 ▲徳▼田
桂也 ▲徳▼田
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哲雄 奥山
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全広 山下
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Abstract

【課題】耐熱高分子フィルムと無機基板との間の接着力が、デバイス形成時等の熱によって高まることを、より抑制することができる積層体の提供。【解決手段】耐熱高分子フィルムと、接着層と、無機基板とがこの順で積層されおり、接着層が、無機基板に由来する官能基と耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することを抑制する結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物により形成されている積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体、及び、積層体の製造方法に関する。
近年、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子など機能素子の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化を目的として、高分子フィルム上にこれらの素子を形成する技術開発が活発に行われている。すなわち、情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダーや高速情報処理装置などといった電子部品の基材の材料としては、従来、耐熱性を有し且つ情報通信機器の信号帯域の高周波数化(GHz帯に達する)にも対応し得るセラミックが用いられていたが、セラミックはフレキシブルではなく薄型化もしにくいので、適用可能な分野が限定されるという欠点があったため、最近は高分子フィルムが基板として用いられている。
半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・ツー・ロールプロセスにて加工することが理想とされている。しかしながら、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界では、これまでウエハベースまたはガラス基板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が構築されてきた。そこで、既存インフラを利用して機能素子を高分子フィルム上に形成するために、高分子フィルムを、例えばガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属板などの無機物からなるリジッドな支持体に貼り合わせ、その上に所望の素子を形成した後に支持体から剥離するというプロセスが用いられている。
ところで、高分子フィルムと無機物からなる支持体とを貼り合わせた積層体に所望の機能素子を形成するプロセスにおいては、該積層体は高温に曝されることが多い。例えば、ポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては200℃〜600℃程度の温度域での工程が必要である。また、水素化アモルファスシリコン薄膜の作製においては200〜300℃程度の温度がフィルムに加わる場合あり、さらにアモルファスシリコンを加熱、脱水素化して低温ポリシリコンとするためには450℃〜600℃程度の加熱が必要になる場合がある。したがって、積層体を構成する高分子フィルムには耐熱性が求められるが、現実問題としてかかる高温域にて実用に耐える高分子フィルムは限られている。また、支持体への高分子フィルムの貼り合わせには一般に粘着剤や接着剤を用いることが考えられるが、その際の高分子フィルムと支持体との接合面(すなわち貼り合せ用の接着剤や粘着剤)にも耐熱性が求められる。しかし、通常の貼り合せ用の接着剤や粘着剤は十分な耐熱性を有していないため、機能素子の形成温度が高い場合には接着剤や粘着剤による貼り合わせは適用できない。
充分な耐熱性を有する粘着剤や接着剤が存在しないと考えられていため、従来、上述した用途においては、高分子溶液または高分子の前駆体溶液を無機基板上に塗布して無機基板上で乾燥・硬化させてフィルム化し、当該用途に使用する技術が採用されていた。しかしながら、かかる手段により得られる高分子フィルムは、脆く裂けやすいため、高分子フィルム表面に形成された機能素子は無機基板から剥離する際に破壊してしまう場合が多い。特に無機基板から大面積のフィルムを剥離するのは極めて難しく、およそ工業的に成り立つ歩留まりを得ることはできない。
このような事情に鑑み、機能素子を形成するための高分子フィルムと無機基板との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、シランカップリング剤を介して無機基板に貼り合わせた積層体が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許第5152104号公報 特許第5304490号公報 特許第5531781号公報
上述した積層体では、無機基板とポリイミドフィルムとの間にシランカップリング剤を含む層を介在させることにより、デバイス形成前や形成中に無機基板がポリイミドフィルムから剥がれてしまうことを防止するとともに、デバイス形成後には、容易に無機基板をポリイミドフィルムから剥離することを可能としている。すなわち、上述した積層体では、シランカップリング剤が、無機基板とポリイミドフィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の初期の接着力を高めている。また、シランカップリング剤を用いることにより、デバイス形成時の熱によって、両者間の接着力が高まることを抑制している。
上述した積層体について、本発明者らは、デバイス形成時の熱によって、無機基板と耐熱高分子フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)との間の接着力が高まることをより抑制する方法について鋭意研究を行った。その結果、シランカップリング剤を含む層に結合抑制剤(無機基板に由来する官能基と耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することを抑制する化合物)を含ませると、驚くべきことに、デバイス形成時等の熱によって、両者間の接着力が高まることをより抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る積層体は、
耐熱高分子フィルムと、接着層と、無機基板とがこの順で積層されおり、
前記接着層が、前記無機基板に由来する官能基と前記耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することを抑制する結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物により形成されていることを特徴とする。
前記構成によれば、接着層に結合抑制剤が含有されているため、デバイス形成時等の熱によって、耐熱高分子フィルムと無機基板との間の接着力が高まることをより抑制することができる。このことは、実施例の結果から明らかである。
本発明者らは、その理由として、以下のように推察している。
耐熱高分子フィルムと無機基板との間に設けられるシランカップリング剤を含む層は、非常に薄く形成される。そのため、高温に曝されると、無機基板表面の官能基(例えば、−OH基(ヒドロキシ基))と耐熱高分子フィルム表面の官能基(例えば、−COOH基(カルボキシ基))とが反応し化学結合する場合がある。そのため、シランカップリング剤を含む層を介在させていたとしても、より高温に曝されたり、より長時間高温に曝されたりすると、耐熱高分子フィルムと無機基板との間の接着力が上昇する。そこで、シランカップリング剤を含む層に結合抑制剤を含有させると、無機基板に由来する官能基と耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することが抑制される。その結果、より高温に曝されたり、より長時間高温に曝されたりしても、耐熱高分子フィルムと無機基板との間の接着力が上昇することを抑制することができる。
前記構成において、前記結合抑制剤は、シリル化剤であることが好ましい。
前記結合抑制剤がシリル化剤であると、無機基板表面の官能基をシリル化することにより、耐熱高分子フィルム表面の官能基と反応しないようにする、又は、反応しにくくすることができる。
前記構成において、前記シリル化剤は、下記式(1)で示される構造を有することが好ましい。
Figure 2020059169

(上記式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、含窒素基又は有機基を表し、R、R及びRに含まれる炭素原子の合計の個数は1個以上である。)
前記シリル化剤が前記式(1)で示される構造を有するものであれば、好適に無機基板表面の官能基をシリル化することができる。また、このようなシリル化剤は、取扱性に優れる。
前記構成において、前記シランカップリング剤は、アミノ基を有することが好ましい。
前記シランカップリング剤がアミノ基を有すると、耐熱高分子フィルム表面の官能基と好適に結合(水素結合、及び/又は、共有結合)し、耐熱高分子フィルムと無機基板との間の初期接着力を向上させることができる。
前記構成において、前記耐熱高分子フィルムが、ポリイミドフィルムであることが好ましい。
前記耐熱高分子フィルムがポリイミドフィルムであると、耐熱性とフレキシブル性とに優れる。
前記構成において、前記無機基板が、ガラス板、セラミック板、シリコンウエハのいずれかであることが好ましい。
前記無機基板が、ガラス板、セラミック板、シリコンウエハのいずれかであると、シランカップリング剤と好適に化学結合させることができる。
また、本発明に係る積層体の製造方法は、
耐熱高分子フィルムと、接着層と、無機基板とがこの順で積層された積層体の製造方法であって、
前記無機基板に由来する官能基と前記耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することを抑制する結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物を、無機基板に塗布して接着層を形成する工程Aと、
前記接着層に、耐熱高分子フィルムを貼り合わせる工程Bと
を有することを特徴とする。
前記構成により得られた積層体は、より高温に曝されたり、より長時間高温に曝されたりしても、耐熱高分子フィルムと無機基板との間の接着力が上昇することを抑制することができる。
本発明によれば、デバイス形成時等の熱によって、耐熱高分子フィルムと無機基板との間の接着力が高まることをより抑制することができる積層体を提供することができる。また、当該積層体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<積層体>
本実施形態に係る積層体は、
耐熱高分子フィルムと、接着層と、無機基板とがこの順で積層されおり、
前記接着層が、前記無機基板に由来する官能基と前記耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することを抑制する結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物により形成されている。
前記積層体は、接着層に結合抑制剤が含有されているため、デバイス形成時等の熱によって、耐熱高分子フィルムと無機基板との間の接着力が高まることをより抑制することができる。具体的には、前記積層体によれば、110℃で10分間熱処理し、その後、500℃で1時間加熱し、さらに、520℃で1時間加熱した後であっても、90°剥離強度が高まることを抑制することができる。このことは、実施例の結果から明らかである。
前記積層体は、大気雰囲気下、110℃で10分間熱処理した後の無機基板と高分子フィルムとの間の90°剥離強度Aが0.03N/cm以上であることが好ましく、0.05N/cm以上であることがより好ましい。また、前記90°剥離強度Aは、0.35N/cm以下であることが好ましく0.3N/cm以下であることがより好ましい。前記90°剥離強度Aが0.03N/cm以上であると、デバイス形成前や形成中に高分子フィルムが無機基板から剥がれてしまうことを防止することができる。また、前記90°剥離強度Aが0.35N/cm以下であると、デバイス形成後、無機基板と高分子フィルムとを剥離しやすい。つまり、前記90°剥離強度Aが0.35N/cm以下であると、デバイス形成中に、無機基板と高分子フィルムとの間の剥離強度が多少上昇したとしても、両者を容易に剥離しやすい。
前記90°剥離強度Aの測定条件は、下記の通りである。
無機基板に対してポリイミドフィルムを90°の角度で引き剥がす。
5回測定を行い、平均値を測定値とする。
測定温度 ; 室温(25℃)
剥離速度 ; 100mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 1cm
より詳細には、実施例に記載の方法による。
前記積層体は、大気雰囲気下、110℃で10分間熱処理した後、さらに、窒素雰囲気下で500℃で1時間加熱した後の無機基板と高分子フィルムとの間の90°剥離強度Bが0.45N/cm以下が好ましく、より好ましくは0.35N/cm以下、さらに好ましくは0.3N/cm以下である。
また、前記90°剥離強度Bは、0.03N/cm以上であることが好ましく、0.05N/cm以上であることがより好ましい。前記90°剥離強度Bが0.45N/cm以下であると、デバイス形成後に、無機基板と高分子フィルムとを剥離しやすい。また、前記90°剥離強度Bが0.03N/cm以上であると、デバイス形成中の途中等、意図していない段階での無機基板と高分子フィルムとの剥離を防止することができる。
前記90°剥離強度Bの測定条件は、前記90°剥離強度Aの測定条件と同様である。
前記積層体は、大気雰囲気下、110℃で10分間熱処理し、その後、窒素雰囲気下で500℃で1時間加熱し、さらに、520℃で1時間加熱した後の無機基板と高分子フィルムとの間の90°剥離強度Cが0.5N/cm以下が好ましく、より好ましくは0.4N/cm以下、さらに好ましくは0.35N/cm以下である。
また、前記90°剥離強度Cは、0.03N/cm以上であることが好ましく、0.05N/cm以上であることがより好ましい。前記90°剥離強度Cが0.5N/cm以下であると、デバイス形成後に、無機基板と高分子フィルムとを剥離しやすい。また、前記90°剥離強度Cが0.03N/cm以上であると、デバイス形成中の途中等、意図していない段階での無機基板と高分子フィルムとの剥離を防止することができる。
前記90°剥離強度Cの測定条件は、前記90°剥離強度Aの測定条件と同様である。
<耐熱高分子フィルム>
本明細書において、耐熱高分子とは、融点が400℃以上、好ましくは500℃以上であり、ガラス転移温度が250℃以上、好ましくは320℃以上、さらに好ましくは380℃以上の高分子である。以下、煩雑さを避けるために単に高分子とも称する。本明細書において、融点、及び、ガラス転移温度は、示差熱分析(DSC)により求めるものである。なお、融点が500℃を越える場合には、該当温度にて加熱した際の熱変形挙動を目し観察することで融点に達しているか否かを判断して良い。
前記耐熱高分子フィルム(以下、単に高分子フィルムとも称する)としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、フッ素化ポリイミドといったポリイミド系樹脂(例えば、芳香族ポリイミド樹脂、脂環族ポリイミド樹脂);ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートといった共重合ポリエステル(例えば、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル);ポリメチルメタクリレートに代表される共重合(メタ)アクリレート;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリスルフォン;ポリエーテルスルフォン;ポリエーテルケトン;酢酸セルロース;硝酸セルロース;芳香族ポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリフェノール;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシド;ポリスチレン等のフィルムを例示できる。
ただし、前記高分子フィルムは、450℃以上の熱処理を伴うプロセスに用いられることが前提であるため、例示された高分子フィルムの中から実際に適用できる物は限られる。前記高分子フィルムのなかでも好ましくは、所謂スーパーエンジニアリングプラスチックを用いたフィルムであり、より具体的には、芳香族ポリイミドフィルム、芳香族アミドフィルム、芳香族アミドイミドフィルム、芳香族ベンゾオキサゾールフィルム、芳香族ベンゾチアゾールフィルム、芳香族ベンゾイミダゾールフィルム等が挙げられる。
前記高分子フィルムは、機能素子を好適に搭載できる観点から25℃での引張弾性率が2GPa以上であることが好ましく、4GPa以上であることがより好ましく、7GPa以上であることがさらに好ましい。また、前記高分子フィルムの25℃での引張弾性率は、フレキシブルとする観点から、例えば、15GPa以下、10GPa以下等とすることができる。
本明細書において、25℃での前記高分子フィルムの引張弾性率は、前記高分子フィルムを100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とし、引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で測定した値をいう。
以下に前記高分子フィルムの一例であるポリイミド系樹脂フィルム(ポリイミドフィルムともいう。)についての詳細を説明する。一般にポリイミド系樹脂フィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(以下では「ポリアミド酸フィルム」ともいう)とし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液の塗布は、例えば、スピンコート、ドクターブレード、アプリケーター、コンマコーター、スクリーン印刷法、スリットコート、リバースコート、ディップコート、カーテンコート、スリットダイコート等従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
ポリアミド酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましく、芳香族ジアミン類の中では、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類がより好ましい。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いると、高い耐熱性とともに、高弾性率、低熱収縮性、低線膨張係数を発現させることが可能になる。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、特に限定はなく、例えば、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2’−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2’−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール等が挙げられる。
上述したベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類以外の芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスアニリン)、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および前記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記脂肪族ジアミン類としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオタン等が挙げられる。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができる。中でも、芳香族テトラカルボン酸無水物類、脂環族テトラカルボン酸無水物類が好ましく、耐熱性の観点からは芳香族テトラカルボン酸無水物類がより好ましく、光透過性の観点からは脂環族テトラカルボン酸類がより好ましい。これらが酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環族テトラカルボン酸類としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の無水物構造を有する二無水物(例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物等)が好適である。なお、脂環族テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類としては、特に限定されないが、ピロメリット酸残基(すなわちピロメリット酸由来の構造を有するもの)であることが好ましく、その酸無水物であることがより好ましい。このような芳香族テトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
前記高分子フィルムの厚さは3μm以上が好ましく、より好ましくは11μm以上であり、さらに好ましくは24μm以上であり、より一層好ましくは45μm以上である。前記高分子フィルムの厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとして用いるためには250μm以下であることが好ましく、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは90μm以下である。
前記高分子フィルムの30℃から500℃の間の平均のCTEは、好ましくは、−5ppm/℃〜+20ppm/℃であり、より好ましくは−5ppm/℃〜+15ppm/℃であり、さらに好ましくは1ppm/℃〜+10ppm/℃である。CTEが前記範囲であると、一般的な支持体(無機基板)との線膨張係数の差を小さく保つことができ、熱を加えるプロセスに供しても高分子フィルムと無機基板とが剥がれることを回避できる。ここにCTEとは温度に対して可逆的な伸縮を表すファクターである。
前記高分子フィルムの30℃から500℃の間の熱収縮率は、±0.9%であることが好ましく、さらに好ましくは±0.6%である。熱収縮率は温度に対して非可逆的な伸縮を表すファクターである。
前記高分子フィルムの引張破断強度は、60MPa以上が好ましく、より好ましくは120MP以上であり、さらに好ましくは240MPa以上である。引張破断強度の上限は特に制限されないが、事実上1000MPa程度未満である。なお、前記高分子フィルムの引張破断強度とは、高分子フィルムの流れ方向(MD方向)の引張破断強度及び幅方向(TD方向)の引張破断強度の平均値を指す。
前記高分子フィルムの厚さ斑は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは4%以下である。厚さ斑が20%を超えると、狭小部へ適用し難くなる傾向がある。なお、フィルムの厚さ斑は、例えば接触式の膜厚計にて被測定フィルムから無作為に10点程度の位置を抽出してフィルム厚を測定し、下記式に基づき求めることができる。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
前記高分子フィルムは、その製造時において幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺高分子フィルムとして巻き取られた形態で得られるものが好ましく、巻取りコアに巻き取られたロール状高分子フィルムの形態のものがより好ましい。
前記高分子フィルムにおいては、ハンドリング性および生産性を確保する為、高分子フィルム中に粒子径が10〜1000nm程度の滑材(粒子)を、0.03〜3質量%程度、添加・含有させて、高分子フィルム表面に微細な凹凸を付与して滑り性を確保することが好ましい。
<高分子フィルムの表面活性化処理>
前記高分子フィルムは表面活性化処理されていてもよい。高分子フィルムに表面活性化処理を行うことによって、高分子フィルムの表面は官能基が存在する状態(いわゆる活性化した状態)に改質され、シランカップリング剤を介した無機基板に対する接着性が向上する。
本明細書において表面活性化処理とは、乾式又は湿式の表面処理である。乾式の表面処理としては、例えば、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、紫外線・電子線・X線などの活性エネルギー線を表面に照射する処理、コロナ処理、火炎処理、イトロ処理等を挙げることができる。湿式の表面処理としては、例えば、高分子フィルム表面を酸ないしアルカリ溶液に接触させる処理を挙げることができる。
前記表面活性化処理は、複数を組み合わせて行っても良い。かかる表面活性化処理は高分子フィルム表面を清浄化し、さらに活性な官能基を生成する。生成された官能基は、後述するシランカップリング剤層と水素結合や化学反応などにより結びつき、高分子フィルムとシランカップリング剤層とを強固に接着することが可能となる。
<接着層>
接着層は、結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物を用いて形成された層である。接着層は、無機基板に前記混合物を塗布することより形成された層であってもく、高分子フィルムに前記混合物を塗布することより形成された層であってもよい。接着層の形成方法の詳細は、後に、積層体の製造方法の項にて説明する。
<無機基板>
前記無機基板としては無機物からなる基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。
前記ガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。これらの中でも、線膨張係数が5ppm/K以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10」、SCHOTT社製の「AF32」などが望ましい。
前記シリコンウエハとしては、特に限定されないが、シリコンウエハ、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモン、SiC、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛)などのウエハが挙げられる。なかでも、好ましく用いられるウエハはシリコンウエハであり、特に好ましくは8インチ以上のサイズの鏡面研磨シリコンウエハである。
前記金属としては、W、Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属や、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金等が含まれる。また、これら金属に、他の金属層、セラミック層を付加してなる多層金属板も含まれる。この場合、付加層との全体の線膨張係数(CTE)が低ければ、主金属層にCu、Alなども用いられる。付加金属層として使用される金属としては、高分子フィルムとの密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬品性や耐熱性が良いこと等の特性を有するものであれば限定されるものではないが、Cr、Ni、TiN、Mo含有Cuなどが好適な例として挙げられる。
前記無機基板の平面部分は、充分に平坦である事が望ましい。具体的には、表面粗さのP−V値が50nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。これより粗いと、高分子フィルム層と無機基板との剥離強度が不充分となる場合がある。
前記無機基板の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の観点より10mm以下の厚さが好ましく、3mm以下がより好ましく、1.3mm以下がさらに好ましい。厚さの下限については特に制限されないが、好ましくは0.07mm以上、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である。
<その他の層>
前記高分子フィルムと前記無機基板との間には、前記接着層以外に、さらに他の層が形成されていてもよい。例えば、前記積層体は、無機基板/他の層/接着層/高分子フィルムという構成であってもよい。
<積層体の製造方法>
上記積層体は、先に無機基板に接着層を形成し、その後、接着層に高分子フィルムを貼り合わせることにより、製造することができる。以下、この製方法を第1実施形態に係る積層体の製造方法ともいう。
また、上記積層体は、先に高分子フィルムに接着層を形成し、その後、接着層に無機基板を貼り合わせて製造することもできる。以下、この製造方法を2実施形態に係る積層体の製造方法ともいう。
<第1実施形態に係る積層体の製造方法>
第1実施形態に係る積層体の製造方法は、
結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物を、無機基板に塗布して接着層を形成する工程Aと、
前記接着層に、耐熱高分子フィルムを貼り合わせる工程Bと
を少なくとも有する。
<工程A>
工程Aにおいては、結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物を、無機基板に塗布することより接着層を形成する。
<シランカップリング剤>
前記シランカップリング剤は、無機基板と高分子フィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する。
前記シランカップリング剤は、特に限定されるものではないが、アミノ基あるいはエポキシ基を持ったシランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、前記のほかに、n−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ドデシルリクロロシラン、ドデシルトリメトキシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロテトラデシルシラン、トリメトキシプロピルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリクロロ−2−シアノエチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどを使用することもできる。
前記シランカップリング剤のなかでも、1つの分子中に1個のケイ素原子を有するシランカップリング剤が特に好ましく、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
前記シランカップリング剤としては、前記のほかに、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプトプロピオン酸ブチル、3−(ジメトキシメチルシリル)−1−プロパンチオール、4−(6−メルカプトヘキサロイル)ベンジルアルコール、11−アミノ−1−ウンデセンチオール、11−メルカプトウンデシルホスホン酸、11−メルカプトウンデシルトリフルオロ酢酸、2,2’−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、11−メルカプトウンデシトリ(エチレングリコール)、(1−メルカプトウンデイック−11−イル)テトラ(エチレングリコール)、1−(メチルカルボキシ)ウンデック−11−イル)ヘキサ(エチレングリコール)、ヒドロキシウンデシルジスルフィド、カルボキシウンデシルジスルフィド、ヒドロキシヘキサドデシルジスルフィド、カルボキシヘキサデシルジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2,3−ブタンジチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、シクロヘキサンチオール、シクロペンタンチオール、1−デカンチオール、1−ドデカンチオール、3−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、1−ヘプタンチオール、1−ヘキサデカンチオール、ヘキシルメルカプタン、イソアミルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸−3−メトキシブチル、2−メチル−1−ブタンチオール、1−オクタデカンチオール、1−オクタンチオール、1−ペンタデカンチオール、1−ペンタンチオール、1−プロパンチオール、1−テトラデカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−(12−メルカプトドデシル)イミダゾール、1−(11−メルカプトウンデシル)イミダゾール、1−(10−メルカプトデシル)イミダゾール、1−(16−メルカプトヘキサデシル)イミダゾール、1−(17−メルカプトヘプタデシル)イミダゾール、1−(15−メルカプト)ドデカン酸、1−(11−メルカプト)ウンデカン酸、1−(10−メルカプト)デカン酸などを使用することもできる。
<結合抑制剤>
前記結合抑制剤は、前記無機基板に由来する官能基と前記耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することを抑制する作用を有する。前記無機基板に由来する官能基としては、−OH基(ヒドロキシ基)、−NH基(アミノ基)等が挙げられる。前記耐熱高分子フィルムに由来する官能基としては、−COOH基(カルボキシ基)、−NH基(アミノ基)等が挙げられる。
前記結合抑制剤は、特に限定されず、シリル化剤や有機スルホニルオキシ基導入剤等を挙げることができる。
前記結合抑制剤は、なかでも、反応性及び処理の容易さからシリル化剤が好ましい。前記結合抑制剤がシリル化剤であると、無機基板表面の官能基をシリル化することにより、無機基板表面の官能基と耐熱高分子フィルム表面の官能基と反応しないようにする、又は、反応しにくくすることができる。
前記シリル化剤としては、特に限定されず、従来公知のシリル化剤を用いることができる。前記シリル化剤のなかでも、下記式(1)で示される構造を有するものが好ましい。
Figure 2020059169

(上記式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、含窒素基又は有機基を表し、R、R及びRに含まれる炭素原子の合計の個数は1個以上である。)
上記式(1)で示される構造を有するシリル化剤として、より具体的には、下記式(2)又は(3)で示されるシリル化剤が好ましい。
Figure 2020059169

(上記式(2)中、R、R及びRは、上記式(1)と同様であり、Rは、水素原子、又は飽和若しくは不飽和アルキル基を表し、Rは、水素原子、飽和若しくは不飽和アルキル基、飽和若しくは不飽和シクロアルキル基、アセチル基、又は飽和若しくは不飽和ヘテロシクロアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して窒素原子を有する飽和又は不飽和へテロシクロアルキル基を形成してもよい。)
Figure 2020059169

(上記式(3)中、R、R及びRは、上記式(1)と同様であり、Rは、水素原子、メチル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は有機基を表し、R、R及びRに含まれる炭素原子の合計の個数は1個以上である。)
上記式(2)で示されるシリル化剤としては、N,N−ジメチルアミノトリメチルシラン(N−(トリメチルシリル)ジエチルアミン)、N,N−ジメチルアミノジメチルシラン、N,N−ジメチルアミノモノメチルシラン、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラン((N−(トリメチルシリル)ジエチルアミン)、t−ブチルアミノトリメチルシラン、アリルアミノトリメチルシラン、トリメチルシリルアセタミド、N,N−ジメチルアミノジメチルビニルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルプロピルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルオクチルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルフェニルエチルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルフェニルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチル−t−ブチルシラン、N,N−ジメチルアミノトリエチルシラン、トリメチルシラナミン等が挙げられる。
上記式(3)で示されるシリル化剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、N−メチルヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジメチルジシラザン、1,2−ジ−N−オクチルテトラメチルジシラザン、1,2−ジビニルテトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、トリス(ジメチルシリル)アミン、トリス(トリメチルシリル)アミン、ペンタメチルエチルジシラザン、ペンタメチルビニルジシラザン、ペンタメチルプロピルジシラザン、ペンタメチルフェニルエチルジシラザン、ペンタメチル−t−ブチルジシラザン、ペンタメチルフェニルジシラザン、トリメチルトリエチルジシラザン等が挙げられる。
<接着層の形成方法>
接着層の形成方法としては、結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物溶液を前記無機基板に塗布する方法、気相塗布法などを用いることができる。接着層の形成は高分子フィルムのいずれの表面に行っても良く、両方の表面に行っても良い。
混合物溶液を塗布する方法としては混合物をアルコールなどの溶媒で希釈した溶液を用いて、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
気相塗布法としては、具体的には、前記無機基板を混合物の蒸気、すなわち実質的に気体状態の混合物に暴露して形成する。混合物の蒸気は、液体状態の混合物を30℃〜混合物の沸点程度までの温度に加温することによって得ることが出来る。混合物の沸点は、化学構造によって異なるが、概ね100〜250℃の範囲である。ただし200℃以上の加熱は、シランカップリング剤の有機基側の副反応を招く恐れがあるため好ましくない。
混合物を加温する環境は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、混合物の気化を促進する場合には常圧下ないし減圧下が好ましい。多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、密閉容器内にて、好ましくは容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。
前記無機基板を混合物に暴露する時間は特に制限されないが、20時間以内が好ましく、より好ましくは60分以内、さらに好ましくは15分以内、最も好ましくは3分以内である。
前記無機基板を混合物に暴露する間の前記無機基板の温度は、シランカップリング剤、及び、結合抑制剤の種類と、求める接着層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。
気相塗布法は、より具体的には、以下の方法が挙げられる。
(1)液体の状態で結合抑制剤とシランカップリング剤とを混合し、2口ガラス瓶に満たし、所定温度とした水浴上に静置する。2口ガラス瓶の一方からは計装エアー導入口を接続し、もう一方はガス処理チャンバー(以下、チャンバーともいう)に接続する。次いで、無機基板を配置したチャンバー内に、計装エアーを導入し、チャンバー内を混合蒸気で満たした状態で所定期間保持して無機基板を混合蒸気へ暴露し、接着層を形成する(以下、「混合液塗布」ともいう)。
(2)液体の状態の結合抑制剤とシランカップリング剤とをそれぞれ別の2口ガラス瓶に満たし、所定温度の水浴上に静置する。計装エアー導入口、結合抑制剤を満たした瓶、シランカップリング剤を満たした瓶、チャンバーの順に、2つのガラス瓶とチャンバーとを直列に接続する。又は、計装エアー導入口、シランカップリング剤を満たした瓶、、結合抑制剤を満たした瓶、チャンバーの順に、2つのガラス瓶とチャンバーとを直列に接続する。次いで、無機基板を配置したチャンバー内に、計装エアーを導入し、チャンバー内を混合蒸気で満たした状態で所定期間保持して無機基板を混合蒸気へ暴露し、接着層を形成する(以下、「直列塗布」ともいう)。
(3)液体の状態の結合抑制剤とシランカップリング剤とをそれぞれ別の2口ガラス瓶に満たし、所定温度の水浴上に静置する。2つのガラス瓶を中間瓶に接続し、さらに中間瓶とチャンバーを接続する。前記中間瓶は、結合抑制剤の蒸気とシランカップリング剤との蒸気とを合流させるためのものである。次いで、計装エアーをそれぞれの瓶に対して導入し、チャンバー内を混合蒸気で満たした状態で所定期間保持して無機基板を混合蒸気へ暴露し、接着層を形成する(以下、「並列塗布」ともいう)。
接着層の膜厚は、無機基板、高分子フィルム等と比較しても極めて薄く、機械設計的な観点からは無視される程度の厚さであり、原理的には最低限、単分子層オーダーの厚さがあれば十分である。一般には400nm未満であり、200nm以下が好ましく、さらに実用上は100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは10nm以下である。ただし、計算上5nm以下の領域になると接着層が均一な塗膜としてではなく、クラスター状に存在するおそれがある。なお、接着層の膜厚は、エリプソメトリー法または塗布時の混合物溶液の濃度と塗布量から計算して求めることができる。
<工程B>
工程Bにおいては、前記接着層に、高分子フィルムを貼り合わせる。具体的には、前記無機基板上に形成された前記接着層の表面と、前記高分子フィルムとを加圧加熱して、貼り合わせる。
加圧加熱処理は、例えば、大気圧雰囲気下あるいは真空中で、プレス、ラミネート、ロールラミネート等を、加熱しながら行えばよい。またフレキシブルなバッグに入れた状態で加圧加熱する方法も応用できる。生産性の向上や、高い生産性によりもたらされる低加工コスト化の観点からは、大気雰囲気下でのプレスまたはロールラミネートが好ましく、特にロールを用いて行う方法(ロールラミネート等)が好ましい。
加圧加熱処理の際の圧力としては、1MPa〜20MPaが好ましく、さらに好ましくは3MPa〜10MPaである。20MPa以下であると、無機基板を破損することを抑制できる。また、1MPa以上であると、密着しない部分が生じることや、接着が不充分になることを防止できる。加圧加熱処理の際の温度としては、好ましくは150℃〜400℃、より好ましくは250℃〜350℃である。高分子フィルムがポリイミドフィルムである場合には、温度が高すぎると、ポリイミドフィルムにダメージを与える虞があり、温度が低すぎると、密着力が弱くなる傾向がある。
また加圧加熱処理は、上述のように大気圧雰囲気中で行うこともできるが、全面の安定した剥離強度を得る為には、真空下で行うことが好ましい。このとき真空度は、通常の油回転ポンプによる真空度で充分であり、10Torr以下程度あれば充分である。
加圧加熱処理に使用することができる装置としては、真空中でのプレスを行うには、例えば井元製作所製の「11FD」等を使用でき、真空中でのロール式のフィルムラミネーターあるいは真空にした後に薄いゴム膜によりガラス全面に一度に圧力を加えるフィルムラミネーター等の真空ラミネートを行うには、例えば名機製作所製の「MVLP」等を使用できる。
前記加圧加熱処理は加圧プロセスと加熱プロセスとに分離して行うことが可能である。この場合、まず、比較的低温(例えば120℃未満、より好ましくは95℃以下の温度)で高分子フィルムと無機基板とを加圧(好ましくは0.2〜50MPa程度)して両者の密着確保し、その後、低圧(好ましくは0.2MPa未満、より好ましくは0.1MPa以下)もしくは常圧にて比較的高温(例えば120℃以上、より好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは150〜230℃)で加熱することにより、密着界面の化学反応が促進されて高分子フィルムと無機基板とを積層できる。
以上により、無機基板と高分子フィルムとが貼り合わされた積層体を得ることができる。
<第2実施形態に係る積層体の製造方法>
第2実施形態に係る積層体の製造方法は、
高分子フィルムに、接着層を形成する工程Xと、
前記接着層に、無機基板を貼り合わせる工程Yと
を少なくとも有する。
<工程X>
工程Xにおいては、高分子フィルムに、前記混合物を塗布することより接着層を形成する。高分子フィルムに、接着層を形成する方法としては、無機基板に、接着層を形成する方法と同様とすることができる。詳細については、第1実施形態の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
<工程Y>
工程Yにおいては、前記接着層に、無機基板を貼り合わせる。具体的には、前記高分子フィルム上に形成された前記接着層の表面と、前記無機基板とを加圧加熱して、貼り合わせる。貼り合わせ条件(加圧加熱処理条件)としては、第1実施形態と同様とすることができる。
以上、第2実施形態に係る積層体の製造方法によっても、無機基板と高分子フィルムとが貼り合わされた積層体を得ることができる。
<その他の積層体の製造方法>
前記高分子フィルム上に前記接着層を形成するとともに、前記無機基板上に前記接着層を形成し、接着層同士を貼り合わせ面として貼り合わせて積層体を製造してもよい。
<フレキシブル電子デバイスの製造方法>
前記積層体を用いると、既存の電子デバイス製造用の設備、プロセスを用いて積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、積層体から高分子フィルムごと剥離することで、フレキシブルな電子デバイスを作製することができる。
本明細書において電子デバイスとは、電気配線を担う片面、両面、あるいは多層構造を有する配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路、他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、バイオセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどをいう。
本明細書におけるデバイス構造体の製造方法では、上述した方法で作製された積層体の高分子フィルム上にデバイスを形成した後、該高分子フィルムを前記無機基板から剥離する。
デバイス付きの高分子フィルムを無機基板から剥離する方法としては、特に制限されないが、ピンセットなどで端から捲る方法、高分子フィルムに切り込みを入れ、切り込み部分の1辺に粘着テープを貼着させた後にそのテープ部分から捲る方法、高分子フィルムの切り込み部分の1辺を真空吸着した後にその部分から捲る方法等が採用できる。なお、剥離の際に、高分子フィルムの切り込み部分に曲率が小さい曲がりが生じると、その部分のデバイスに応力が加わることになりデバイスを破壊するおそれがあるため、極力曲率の大きな状態で剥がすことが望ましい。例えば、曲率の大きなロールに巻き取りながら捲るか、あるいは曲率の大きなロールが剥離部分に位置するような構成の機械を使って捲ることが望ましい。
前記高分子フィルムに切り込みを入れる方法としては、刃物などの切削具によって高分子フィルムを切断する方法や、レーザーと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、ウォータージェットと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、半導体チップのダイシング装置により若干ガラス層まで切り込みつつ高分子フィルムを切断する方法などがあるが、特に方法は限定されるものではない。例えば、上述した方法を採用するにあたり、切削具に超音波を重畳させたり、往復動作や上下動作などを付け加えて切削性能を向上させる等の手法を適宜採用することもできる。
また、剥離する部分に予め別の補強基材を貼りつけて、補強基材ごと剥離する方法も有用である。剥離するフレキシブル電子デバイスが、表示デバイスのバックプレーンである場合、あらかじめ表示デバイスのフロントプレーンを貼りつけて、無機基板上で一体化した後に両者を同時に剥がし、フレキシブルな表示デバイスを得ることも可能である。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<積層体の作製>
(実施例1)
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−903)0.5質量%、及び、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、(ナカライテスク社製))0.5質量%を含むようにイソプロパノールで希釈した混合溶液を調製した。また、ガラス基板を準備した。前記ガラス基板は、100mm×100mmサイズに切断した、厚さ0.7mmのOA10Gガラス(NEG社製)である。前記ガラス基板に紫外線を照射した後、紫外線照射面を上にして、前記ガラス基板をスピンコーター(ジャパンクリエイト社製、MSC−500S)に設置した。前記ガラス基板に前記混合溶液を5mL滴下し、回転数を2000rpmにて10秒間回転させ、前記混合溶液を前記ガラス基板に塗布した。次に、100℃に加熱したホットプレートに、前記ガラス基板を、塗布面が上になるように載せ、1分間加熱して、接着層を形成した。この工程は、本発明の工程Aに相当する。
次に、前記接着層に、ポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製、XENOMAX(登録商標)、厚さ38μm)を貼り合わせて実施例1に係る積層体を得た。この工程は、本発明の工程Bに相当する。貼り合わせには、MCK社製ラミネーターを用い、貼合条件は、圧力:0.8MPa、温度:25℃とした。
(実施例2)
KBM−903とHMDSとの混合比について、KBM−903を0.3質量%、HMDSを0.7質量%含むように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る積層体を得た。
(実施例3)
KBM−903とHMDSとの混合比について、KBM−903を0.7質量%、HMDSを0.3質量%含むように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る積層体を得た。
(実施例4)
KBM−903とHMDSとを、質量比1:1で混合して混合液を得た。前記混合液を2口のガラス瓶に満たし、40℃の水浴上に静置した。2口ガラス瓶の一方からは計装エアー導入口を接続し、もう一方はガス処理チャンバー(以下、チャンバーともいう)に接続した。
次いで、チャンバー内に、実施例1と同様のガラス基板を、紫外線照射面を上にして水平に保持し、チャンバーを閉じた。次いで計装エアーを10L/minで導入し、チャンバー内を混合蒸気で満たした状態で3分間保持してガラス基板を混合液の蒸気へ暴露し、接着層を形成した。この工程は、本発明の工程Aに相当する。
次に、前記接着層に、ポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製、XENOMAX(登録商標)、厚さ38μm)を貼り合わせて実施例4に係る積層体を得た。この工程は、本発明の工程Bに相当する。貼り合わせには、MCK社製ラミネーターを用い、貼合条件は、圧力:0.8MPa、温度:25℃とした。
(実施例5)
混合液の混合比をKBM−903:HMDS=3:7に変更したこと以外は、実施例4と同様にして実施例5に係る積層体を得た。
(実施例6)
混合液の混合比をKBM−903:HMDS=7:3に変更したこと以外は、実施例4と同様にして実施例6に係る積層体を得た。
(実施例7)
KBM−903(100質量部)とHMDS(100質量部)とをそれぞれ別の2口ガラス瓶に満たし、40℃の水浴上に静置した。計装エアー導入口、KBM−903を満たした瓶、HMDSを満たした瓶、チャンバーの順に、2つのガラス瓶とチャンバーとを直列に接続した。次いで、チャンバー内に、実施例1と同様のガラス基板を、紫外線照射面を上にして水平に保持し、チャンバーを閉じた。次いで計装エアーを10L/minで導入し、チャンバー内を混合蒸気で満たした状態で3分間保持してガラス基板を混合蒸気へ暴露し、接着層を形成した。この工程は、本発明の工程Aに相当する。
次に、前記接着層に、ポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製、XENOMAX(登録商標)、厚さ38μm)を貼り合わせて実施例7に係る積層体を得た。この工程は、本発明の工程Bに相当する。貼り合わせには、MCK社製ラミネーターを用い、貼合条件は、圧力:0.8MPa、温度:25℃とした。
(実施例8)
直列につなぐ2つのガラス瓶とチャンバーとの順番を、計装エアー導入口、HMDSを満たした瓶、KBM−903を満たした瓶、チャンバーの順に変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例8に係る積層体を得た。
(実施例9)
チャンバー内に計装エアーを流す時間を2分に変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例9に係る積層体を得た。
(実施例10)
チャンバー内に計装エアーを流す時間を4分に変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例10に係る積層体を得た。
(実施例11)
KBM−903(100質量部)とHMDS(100質量部)とをそれぞれ別の2口ガラス瓶に満たし、40℃の水浴上に静置した。2つのガラス瓶をシリコンチューブを用いて中間瓶に接続し、さらに中間瓶とチャンバーを接続した。前記中間瓶は、KBM−903の蒸気とHMDS(100質量部)の蒸気とを合流させるためのものである。次いで、チャンバー内に、実施例1と同様のガラス基板を、紫外線照射面を上にして水平に保持し、チャンバーを閉じた。ガラス基板を設置したチャンバー内のステージ温度を18℃に設定した。次いで計装エアーをそれぞれの瓶に対して5L/minで導入し、チャンバー内を混合蒸気で満たした状態で3分間保持してガラス基板を混合蒸気へ暴露し、接着層を形成した。この工程は、本発明の工程Aに相当する。
次に、前記接着層に、ポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製、XENOMAX(登録商標)、厚さ38μm)を貼り合わせて実施例11に係る積層体を得た。この工程は、本発明の工程Bに相当する。貼り合わせには、MCK社製ラミネーターを用い、貼合条件は、圧力:0.8MPa、温度:25℃とした。
(実施例12)
ガラス基板を設置するチャンバー内のステージ温度を21℃に設定したこと以外は、実施例11と同様にして実施例12に係る積層体を得た。
(実施例13)
KBM-903の代わりに、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−603)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例13に係る積層体を得た。
(実施例14)
KBM-903の代わりに、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン(東京化成工業社製、製品コード:A0876)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例14に係る積層体を得た。
(実施例15)
HMDSの代わりに、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン(東京化成工業社製、製品コード:D1816)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例15に係る積層体を得た。
(実施例16)
HMDSの代わりに、N−(トリメチルシリル)ジエチルアミン(東京化成工業社製、製品コード:T0492)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例16に係る積層体を得た。
(実施例17)
HMDSの代わりに、N−(トリメチルシリル)ジメチルアミン(東京化成工業社製、製品コード:T0591)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例17に係る積層体を得た。
(比較例1)
KBM−903のみを2口ガラス瓶に満たしたこと以外は、実施例4と同様にして比較例1に係る積層体を得た。
(比較例2)
HMDSのみを2口ガラス瓶に満たしたこと以外は、実施例4と同様にして積層体を作成しようとしたが、ガラス基板とポリイミドフィルムとを貼り合わせることができなかった(接着しなかった)。
<110℃で10分間熱処理した後の90°剥離強度Aの測定>
上記積層体の作製で得られた積層体を、大気雰囲気下、110℃で10分間熱処理した。その後、ガラス基板とポリイミドフィルムとの間の90°剥離強度Aを測定した。結果を表1に示す。
90°剥離強度Aの測定条件は、下記の通りである。
ガラス基板に対してポリイミドフィルムを90°の角度で引き剥がす。
5回測定を行い、平均値を測定値とする。
測定装置 ; 剥離試験機(日本計測システム社、JSV−H1000)
測定温度 ; 室温(25℃)
剥離速度 ; 100mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 1cm
<110℃で10分間熱処理した後、さらに、500℃で1時間加熱した後の90°剥離強度Bの測定>
上記積層体の作製で得られた積層体を、大気雰囲気下、110℃で10分間熱処理した。さらに、窒素雰囲気下で500℃1時間加熱した。その後、ガラス基板とポリイミドフィルムとの間の90°剥離強度B測定した。結果を表1に示す。
90°剥離強度Bの測定条件は、90°剥離強度Aと同様とした。
<110℃で10分間熱処理し、その後、500℃で1時間加熱し、さらに、520℃で1時間加熱した後の90°剥離強度Cの測定>
上記積層体の作製で得られた積層体を、大気雰囲気下、110℃で10分間熱処理した。その後、窒素雰囲気下で500℃1時間加熱した。さらに、窒素雰囲気下で520℃1時間加熱した。その後、ガラス基板とポリイミドフィルムとの間の90°剥離強度Cを測定した。結果を表1に示す。
90°剥離強度Cの測定条件は、90°剥離強度Aと同様とした。
Figure 2020059169
実施例の積層体は、接着層が、結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物により形成されているため、110℃で10分間熱処理し、その後、500℃で1時間加熱し、さらに、520℃で1時間加熱した後においても、90°剥離強度(90°剥離強度C)は、低い値となった。一方、比較例1の積層体は、接着層が、結合抑制剤を含んでいないため、90°剥離強度Cが高まることを抑制することができなかった。また、比較例2の積層体のようにシランカップリング剤を含んでいない場合は、ガラス基板とポリイミドフィルムとを接着することができなかった。

Claims (7)

  1. 耐熱高分子フィルムと、接着層と、無機基板とがこの順で積層されおり、
    前記接着層が、前記無機基板に由来する官能基と前記耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することを抑制する結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物により形成されていることを特徴とする積層体。
  2. 前記結合抑制剤が、シリル化剤であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記シリル化剤は、下記式(1)で示される構造を有することを特徴とする請求項2に記載の積層体。
    Figure 2020059169

    (上記式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、含窒素基又は有機基を表し、R、R及びRに含まれる炭素原子の合計の個数は1個以上である。)
  4. 前記シランカップリング剤が、アミノ基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の積層体。
  5. 前記耐熱高分子フィルムが、ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の積層体。
  6. 前記無機基板が、ガラス板、セラミック板、シリコンウエハのいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の積層体。
  7. 耐熱高分子フィルムと、接着層と、無機基板とがこの順で積層された積層体の製造方法であって、
    前記無機基板に由来する官能基と前記耐熱高分子フィルムに由来する官能基とが化学結合することを抑制する結合抑制剤、及び、シランカップリング剤を含む混合物を、無機基板に塗布して接着層を形成する工程Aと、
    前記接着層に、耐熱高分子フィルムを貼り合わせる工程Bと
    を有することを特徴とする積層体の製造方法。
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