JP2019001993A - プロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
したがって本発明は、重合触媒に用いられる遷移金属化合物の改良に依らずとも分子量の高いプロピレン系共重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
[1]
遷移金属化合物(A)および担体(B)を含むオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く。)とを重合する重合工程を有するプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法であって、
前記遷移金属化合物(A)は下記一般式[I]で表され、
Mは第4族遷移金属原子であり、
Xは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、
Yは、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基である。]
前記担体(B)は、下記式[II]で表される構造単位を含み、アルミニウム含量が36質量%以上である固体状ポリアルミノキサン組成物からなり、
前記α−オレフィンがエチレンである前記[1]のプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
前記重合工程における重合方法が、プロピレンを溶媒として用いたバルク重合である前記[1]または[2]のプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
前記固体状ポリアルミノキサン組成物が粒子状であり、体積基準のメジアン径(D50)が0.1〜100μmの範囲である前記[1]〜[3]のいずれかのプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
前記固体状ポリアルミノキサン組成物が下記要件(i)および(ii)を満たす前記[1]〜[4]のいずれかのプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
要件(i):以下の方法(i)により測定した25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度が2.0モル%未満である。
要件(ii):以下の方法(ii)により測定した25℃におけるトルエンに対する溶解度が2.0モル%未満である。
25℃に保持された50mLのn−ヘキサンに前記固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として溶解度を求める。
n−ヘキサンの代わりにトルエンを用いる以外は前記方法(i)と同様の方法により、溶解度を求める。
前記固体状ポリアルミノキサン組成物が粒子状であり、前記組成物の下記式で表される均一性指数が0.45以下である前記[1]〜[5]のいずれかのプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
均一性指数 = ΣXi|D50−Di|/D50ΣXi
[式中、Xiは粒子径分布測定における粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。]
[オレフィン重合用触媒]
本発明で使用されるオレフィン重合用触媒は、以下に説明する遷移金属化合物(A)および担体(B)を含んでいる。
本発明に用いられる遷移金属化合物(A)は、下記一般式[I]で表される。
式[I]において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、隣接する2個の基は互いに結合して環を形成していてもよい。
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基、ドデシル基およびエイコシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、たとえばビニル基、プロペニル基およびシクロヘキセニル基などが挙げられる。
ハロゲン含有基としては、たとえばトリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
アリーロキシ基の好ましい例としては、フェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、および2,4,6-トリメチルフェノキシが挙げられ、
エステル基の好ましい例としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、およびp-クロロフェノキシカルボニルが挙げられ、
エーテル基の好ましい例としては、メトキシメチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシフェニル基、iso−プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、およびジベンゾフリル基が挙げられ、
アシル基の好ましい例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、およびp-メトキシベンゾイル基が挙げられる。
イミノ基の好ましい例としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、およびフェニルイミノが挙げられ、
アミド基の好ましい例としては、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、およびN-メチルベンズアミドが挙げられ、
イミド基の好ましい例としては、アセトイミド、およびベンズイミドが挙げられる。
アリール基置換ホウ素の例としては、(C6H5)2B−、(C6H5)3B、(C6F5)3B、または(3,5-(CF3)2C6H3)3Bで表される基が挙げられ、
ハロゲン化ホウ素の例としては、BCl2−、またはBCl3で表される基が挙げられ、
アルキル基置換ハロゲン化ホウ素の例としては、(Et)BCl−、(iBu)BCl−、(C6H5)2BClで表される基が挙げられる。このうち三置換のホウ素については、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
アルキルチオ基の好ましい例としては、メチルチオ、エチルチオが挙げられ、
アリールチオ基の好ましい例としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオが挙げられ、
スルホンエステル基の好ましい例としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルが挙げられ、
スルホンアミド基の好ましい例としては、フェニルスルホンアミド、N-メチルスルホンアミド、N-メチル-p-トルエンスルホンアミドが挙げられる。
ケイ素含有基としては、たとえばシリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、および炭化水素置換シロキシ基が挙げられる。このうち炭化水素置換シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
スズ含有基としては、たとえば上記ケイ素含有基においてケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
式[I]において、Yは、二つの配位子を結合する二価の基であり、具体的には、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、好ましくは、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、または二価のケイ素含有基である。
メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレンなどのアルキレン基;
イソプロピリデン、ジエチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジイソプロピルメチレン、ジブチルメチレン、メチルエチルメチレン、メチルブチルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジヘキシルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレンおよび1−エチル−2−メチルエチレンなどの置換アルキレン基;ならびに
シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデンおよびジヒドロインダニリデンなどのシクロアルキリデン基ならびにエチリデン、プロピリデンおよびブチリデンなどのアルキリデン基
が挙げられる。
シリレン;ならびに
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、ジブチルシリレン、メチルブチルシリレン、メチル−t−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジトリルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレンおよびシクロヘプタメチレンシリレンなどのアルキルシリレン基
が挙げられ、特に好ましくは、ジメチルシリレン基およびジブチルシリレン基などのジアルキルシリレン基が挙げられる。
二価のゲルマニウム含有基の例としては、たとえば上記二価のケイ素含有基においてケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
二価のスズ含有基の例としては、たとえば上記二価のケイ素含有基においてケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
式[I]において、Mは、第4族遷移金属原子であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
式[I]において、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、少なくとも1つのX、好ましくはすべてのXは、ハロゲン原子または炭化水素基である。
炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基の例としては、上述したR1〜R6およびR11〜R16におけるこれらの基の具体例として挙げたものが挙げられる。
本発明に用いられる担体(B)は、前記遷移金属化合物(A)を担持する担体であり、下記式[II]で表される構造単位を含みAl含量が36質量%以上である固体状アルミノキサン組成物(以下「固体状ポリアルミノキサン組成物(B)」ともいう。)からなる。
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec−ブチル)アルミニウム、トリ(tert−ブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルブチル)アルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム
が挙げられる。
前記トリアルキルアルミニウム等としては、ポリアルキルアルミノキサンの種類に関わらず、いずれのアルキル基を有するトリアルキルアルミニウムをも使用することができる。これらの中でも、トリメチルアルミニウムが、助触媒としての活性および原料調達の観点から好ましく用いられる。
要件(i):以下の方法(i)により測定した、25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度が2.0モル%未満、好ましくは1.0モル%以下、より好ましくは0.50モル%以下、特に好ましくは0.30モル%以下である。
25℃に保持された50mLのn−ヘキサンに固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として溶解度を求める。
n−ヘキサンの代わりにトルエンを用いた以外は前記方法(i)と同様の方法により、溶解度を求める。具体的には、溶解度は、25℃に保持された50mLのトルエンに固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として溶解度を求める。
均一性指数=ΣXi|D50−Di|/D50ΣXi
[Xiは粒子径分布測定における粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。]
この指標では、値が大きくなるほど分布が広いことを示す。
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、前記遷移金属化合物(A)および前記担体(B)を含有する。前記遷移金属化合物(A)は、前記担体(B)に担持されている。
前記オレフィン重合用触媒は、さらに、
(C)(C−1)有機金属化合物、および(C−2)有機アルミニウムオキシ化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「化合物(C)」ともいう。)
を含有することが好ましい。
〈化合物(C)〉
《有機金属化合物(C−1)》
有機金属化合物(C−1)としては、例えば、一般式(C−1a)で表される有機アルミニウム化合物(C−1a)、一般式(C−1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(C−1b)、一般式(C−1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物(C−1c)等の、第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
式(C−1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。有機アルミニウム化合物(C−1a)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
式(C−1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。錯アルキル化物(C−1b)としては、例えば、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4が挙げられる。
式(C−1c)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、M3はMg、ZnまたはCdである。化合物(C−1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn−ブチルマグネシウム、エチルn−ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn−ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
有機金属化合物(C−1)のなかでは、有機アルミニウム化合物(C−1a)が好ましい。
有機金属化合物(C−1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)としては、例えば、従来公知のアルミノキサンであってもよく、特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。従来公知のアルミノキサンは、例えば、下記(1)〜(4)の方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
化合物(C-2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プロピレン共重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、遷移金属化合物(A)、担体(B)および化合物(C)を、それぞれ「成分(A)〜(C)」ともいう。
(1)成分(A)を成分(B)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
(2)成分(A)を成分(B)に担持した触媒成分と、
成分(C)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(A)と成分(C)とを成分(B)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
成分(C)が担持されている上記(3)の方法においては、必要に応じて担持されていない成分(C)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(B)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(B)に成分(A)および成分(C)が担持された固体触媒成分においては、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
本発明のプロピレン系共重合体の製造方法は、前記オレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く。)とを重合する工程(重合工程)を有する。また「オレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く。)とを重合する」とは、上記(1)〜(3)の各方法のように、任意の方法でオレフィン重合用触媒の各成分を重合器に添加してプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く。)とを重合する態様を包含する。
成分(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-10〜10-2モル、好ましくは10-9〜10-3モルとなるような量で用いられる。成分(C−1)は、成分(C−1)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(C−1)/M〕が通常1〜50,000、好ましくは10〜20,000、特に好ましくは50〜10,000となるような量で用いることができる。成分(C−2)は、成分(C−2)中のアルミニウム原子と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が通常10〜30,000、好ましくは20〜10,000となるような量で用いることができる。
本発明のプロピレン系共重合体の製造方法によれば、前記オレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンの単独重合を行った場合と比べ、得られるポリマー(共重合体)の分子量が高くなる傾向が見られる。
本発明の製造方法において、プロピレンと共に重合反応に供給されるオレフィンは、好ましくはエチレンおよび炭素数4〜30のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンAである。
アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のα,β−不飽和カルボン酸エステル;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジル;
が挙げられる。
プロピレンと前記オレフィンAとの使用量比は、プロピレン:オレフィンA(モル比)で、通常1:10〜5000:1、好ましくは1:5〜1000:1である。
本発明の製造方法により製造されるプロピレン系共重合体の一態様としては、プロピレン由来の構成単位を5〜99モル%、好ましくは10〜99モル%、さらに好ましくは30〜95モル%の範囲で含むプロピレン系共重合体が挙げられる。前記プロピレン系共重合体は、オレフィンA由来の構成単位を1〜90モル%、好ましくは1〜80モル%、さらに好ましくは2〜70モル%の範囲で含んでいる。ただし、プロピレン由来の構成単位の含量と前記オレフィンA由来の構成単位の含量との合計を100モル%とする。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の構成単位を含んでいてもよい。これらの含量は、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
〔各種物性の測定法〕
プロピレン/エチレン共重合体中のエチレン含量
日本分光社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−610を用い、プロピレンのメチル基に基づく横揺れ振動1155cm-1付近の面積とC−H伸縮振動による倍音吸収4325cm-1付近の吸光度とを求め、その比から検量線により、プロピレン/エチレン共重合体中のエチレン含量を算出した。検量線は、13C−NMRにて標定した標準試料を用いて作成した。
離合社製自動動粘度測定装置VMR−053PCおよび改良ウベローデ型毛細管粘度計を用い、デカリン、135℃での比粘度ηspを求め、下記式より極限粘度([η])を算出した。
[η]=ηsp/{C(1+K・ηsp)}(C:溶液濃度[g/dl]、K:定数)
担持触媒中のジルコニウム含量は、島津製作所社製のICP発光分光分析装置(ICPS−8100型)を用いて測定した。サンプルは硫酸および硝酸にて湿式分解した後、定容(必要に応じてろ過および希釈を含む)したものを検液とし、濃度既知の標準試料を用いて作成した検量線から定量を行った。
担体中のアルミニウム含量は、担体粒子を島津製作所社製ICPS(登録商標)−8100を用いたICP発光分光分析法(ICP−AES)に供して測定した。
担体として固体状ポリアルミノキサン組成物を用いた場合、固体状ポリアルミノキサン組成物の25℃におけるn−ヘキサンおよびトルエンに対する溶解度の測定は、特公平7−42301号公報に記載の方法に準じて実施した。具体的には、乾燥させた固体状ポリアルミノキサン組成物の、溶媒に対する溶解度を測定した。
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物を乾燥させるに際しては、25℃で減圧乾燥を行い、重量変化が認められない時点を乾燥の終点とした。
固体状ポリアルミノキサン組成物の体積基準のメジアン径(中位径、D50)および粒度分布は、Microtrac社製のMicrotrac MT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めた。粒度分布測定には固体状ポリアルミノキサン組成物を、窒素流通下、湿潤デシケーター中で事前に失活させたサンプルを用いた。分散媒には主にメタノールを用いた。
担体粒子の均一性を下記式で表される均一性指数により評価した。
均一性指数 = ΣXi|D50−Di|/D50ΣXi
[式中、Xiは粒子径分布測定における粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。]
担体粒子のXi、D50およびDiは、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により測定した。
測定には固体状ポリアルミノキサン組成物を、窒素流通下、湿潤デシケーター中で事前に失活したサンプルを用いた。分散媒には主にメタノールを用いた。
特に断りのない限り、全ての実施例は乾燥窒素雰囲気下、乾燥溶媒を用いて行った。
[合成例1]
rac-ジメチルシリレン−ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド(以下「触媒A」ともいう。)の合成
特許第3737134号の[0085]〜[0091]の記載に従い、触媒Aを合成した。
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド(以下「触媒B」ともいう。)の合成
特許第4026846号の[0147]〜[0159]の記載に従い、触媒Bを合成した。
[調製例1]
使用する固体状ポリアルミノキサン組成物は公知の手法(国際公開第2014/123212号)に基づいて調製した。具体的には、攪拌機付の200mLガラス製フラスコにトルエン57ml、アルベマール社製10wt%ポリメチルアルミノキサントルエン溶液(Al濃度=3.04mmol/ml、35mL、106.3mmol)を加えた後、撹拌しながら70℃に昇温した。続いてAcetophenone(1.79g、14.9mmol)のトルエン溶液(18.6ml)を120分かけて添加した。添加後70℃で60分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で8時間反応させた。80℃まで降温後、上澄み液(75ml)をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45ml)を用いて80℃で3回洗浄した後、トルエンを加えて全量を100mlに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリーを得た。得られたスラリーをフィルター濾過し、フィルター上の紛体を脱水ヘキサン20mlで3回洗浄した。洗浄後の紛体を6時間減圧乾燥して固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。得られた固体状ポリアルミノキサン組成物中のアルミニウム含有量を測定したところ、アルミニウム含有量は44.4質量%であった。
さらに粒度分布を測定した。体積基準のメジアン径D50は29.7μm、均一性は0.236であった。
十分に窒素置換した100mlの3口フラスコに攪拌棒を装着し、これに180℃、窒素気流下で6時間乾燥したシリカゲル(GRACE製)4.00gを添加した。ここに室温で脱水トルエン60ml、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(アルベマール社製、20重量%)9.9mlを加え、95℃で4時間攪拌した。得られたスラリーをフィルターでろ過し、フィルター上の紛体を脱水トルエン25mlで3回、次いで脱水ヘキサン25mLで3回洗浄した。洗浄後の紛体を2時間減圧乾燥して、シリカ担持メチルアルミノキサンを得た。得られたシリカ担持メチルアルミノキサン中のAl濃度は14.4質量%であった。
使用する固体状ポリアルミノキサン組成物は公知の手法(国際公開第2014/123212号)に基づいて調製した。具体的には、攪拌機付の1Lガラス製オートクレーブにトルエン55mL、アルベマール社製20wt%ポリメチルアルミノキサントルエン溶液(Al濃度=2.97mmol/mL、192mL、570.2mmol)を加えた後、撹拌しながら70℃に昇温した。続いてベンズアルデヒド(9.10g、85.8mmol)のトルエン溶液(24.5mL)を80分かけて添加した。添加後70℃で10分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で140℃まで昇温し、140℃で4時間反応させた。80℃まで降温後、上澄み液(125mL)をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(400mL)を用いて80℃で2回洗浄した後、トルエンを加えて全量を300mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリーを得た。
さらに粒度分布を測定した。体積基準のメジアン径(D50)は22.7μm、均一性指数は0.278であった。
[実施例1]
充分に窒素置換した内容量3,400mlのSUS製オートクレーブに液体プロピレン1.0Lを装入し、充分に撹拌しながら50℃まで加温し、次いでエチレンガスによって加圧してオートクレーブ内圧を3.5MPaGとした。続いて、オートクレーブに装着された、充分に窒素置換した内容量30mlの触媒挿入用ポットに、脱水ヘキサン3mlとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al=1.0M)1mlとの混合溶液を加え、これを窒素でオートクレーブに加圧挿入した。次いで触媒挿入用ポットに、調製例1で調製した担持触媒のスラリー49mgとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al=1.0M)1mlとの混合物を加え、これを窒素でオートクレーブに加圧挿入して重合を開始した。10分間重合を行った後、少量のメタノールを加えて重合を停止した。塩酸を添加した大過剰のメタノール中に得られたポリマーを加えて脱灰し、ポリマーを濾別した後、ポリマーに対して80℃で10時間、減圧乾燥を行った。結果を表1に示す。
調製例1で得られた担持触媒のスラリーに替えて比較調製例1で得られた担持触媒スラリーを147mg使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
調製例1で得られた担持触媒スラリーに替えて調製例2で得られた担持触媒スラリー56mg使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
Claims (6)
- 遷移金属化合物(A)および担体(B)を含むオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く。)とを重合する重合工程を有するプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法であって、
前記遷移金属化合物(A)は下記一般式[I]で表され、
Mは第4族遷移金属原子であり、
Xは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、
Yは、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基である。]
前記担体(B)は、下記式[II]で表される構造単位を含み、アルミニウム含量が36質量%以上である固体状ポリアルミノキサン組成物からなり、
プロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。 - 前記α−オレフィンがエチレンである請求項1に記載のプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記重合工程における重合方法が、プロピレンを溶媒として用いたバルク重合である請求項1または2に記載のプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記固体状ポリアルミノキサン組成物が粒子状であり、体積基準のメジアン径(D50)が0.1〜100μmの範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記固体状ポリアルミノキサン組成物が下記要件(i)および(ii)を満たす請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
要件(i):以下の方法(i)により測定した25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度が2.0モル%未満である。
要件(ii):以下の方法(ii)により測定した25℃におけるトルエンに対する溶解度が2.0モル%未満である。
〔方法(i)〕
25℃に保持された50mLのn−ヘキサンに前記固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として溶解度を求める。
〔方法(ii)〕
n−ヘキサンの代わりにトルエンを用いる以外は前記方法(i)と同様の方法により、溶解度を求める。 - 前記固体状ポリアルミノキサン組成物が粒子状であり、前記組成物の下記式で表される均一性指数が0.45以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロピレン/α−オレフィン共重合体の製造方法。
均一性指数 = ΣXi|D50−Di|/D50ΣXi
[式中、Xiは粒子径分布測定における粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。]
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