JP2018514555A - 勃起機能不全を治療又は改善するための方法及びsglt2阻害薬を含む医薬組成物 - Google Patents

勃起機能不全を治療又は改善するための方法及びsglt2阻害薬を含む医薬組成物 Download PDF

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Abstract

本発明はSGLT2 阻害薬を患者に投与する前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された患者の血糖調節を改善するための方法、及び勃起機能不全を治療するための方法に関する。更に、本発明は勃起機能不全の治療に加えて、SGLT2 阻害薬を患者に投与することを特徴とする前糖尿病、1型真性糖尿病又は2型真性糖尿病と診断された男性患者の勃起機能不全の治療を改善するための方法に関する。また、本発明はSGLT2 阻害薬及びPDE5阻害薬又はアルプロスタジルからなる群から選ばれた化合物を含む医薬組成物に関する。

Description

本発明は前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断され、また勃起機能不全と診断された男性患者の糖血調節を改善するための方法に関する。更に、本発明は前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された男性患者の勃起機能不全を治療するための方法に関する。加えて、本発明は前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された男性患者の勃起機能不全の治療を改善するための方法に関する。更に、本発明はSGLT2 阻害薬とPDE5阻害薬又はアルプロスタジルからなる群から選ばれた一種以上の化合物とを含む医薬組成物に関する。
肥満及び2型真性糖尿病 (T2DM) の高まる罹患率はグローバルな公衆の健康についての重大な挑戦に相当する。世界中で、2型真性糖尿病を有する2億2千万人より多い成人がおり、その数値は2030年までに3億6千6百万人に上昇すると見積もられている(World Health Organisation 2010; International Diabetes Federation 2010)。疾患防除及び予防のための米国センターによれば、2型真性糖尿病の割合が過去30年で3倍になった。今、糖尿病は米国で推定2360万人を冒し、別の5700万人が前糖尿病を有する。前糖尿病は2型真性糖尿病の短期の絶対的リスクを5〜6倍に高める。
2型真性糖尿病は高頻度の合併症のために平均余命のかなりの減少をもたらす増大して流行している疾患である。糖尿病関連微小血管合併症のために、2型糖尿病は現在で工業化世界で成人発症の視力の喪失、腎不全、及び切断の最も頻繁な原因である。加えて、2型真性糖尿病の存在は心血管疾患リスクの2〜5倍の増大と関連している。
疾患の長期間後に、2型真性糖尿病の殆どの患者は最終的に経口治療に失敗し、毎日の注射及び多くの毎日のグルコース測定を必要としつつインスリン依存性になる。
治療(例えば、第一選択治療もしくは第二選択治療、及び/又は単一治療もしくは(初期もしくは併用)複合治療)に通常使用される経口抗糖尿病薬として、メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、DPPIV 阻害薬、SGLT2 阻害薬、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害薬が挙げられるが、これらに限定されない。
勃起機能不全は満足な性行為に充分な陰茎勃起を得、又は維持することの持続性不能と定義される。それ故、勃起機能不全 は男性及び彼らのパートナーの肉体的かつ心理・社会的健康局面へのかなりの影響を有する。この症状の罹患率は年齢とともに増大する。40才〜49才の年齢の間の男性の中での大きい断面の、コミュニティをベースとする研究、2において、完全又は重度の勃起機能不全の罹患率は5%であり、一方、70才〜79才の年齢の間の男性の中で、これらの割合はそれぞれ15%及び34%であった。勃起機能不全は米国で約3千万人の男性を冒し、勃起機能不全の世界中の罹患率は2025年までに3億2千2百万の症例であろうと推定されていた。
勃起機能不全 (ED) は糖尿病の集団で一層普通である。EDの研究は糖尿病の男性におけるその罹患率が全般の集団で26% に対して35-75%の範囲であることを示唆する。更に、EDの発症はそれが糖尿病のない性別にマッチする相当物よりも糖尿病の男性で10-15 年早く起こる。更に、糖尿病の患者について、勃起機能不全のリスクが症状の期間及びグリコシル化ヘモグロビンの増大するレベルとともに増大する。勃起機能不全はまた糖尿病の男性で普通のその他の疾患、例えば、高血圧及び冠状動脈疾患並びに代謝症候群と関連し得る。高血圧、CVD 及び不充分な血糖調節の共存はEDを悪化する。
要求時又は毎日の投薬におけるPDE5阻害薬(例えば、タダラフィル)はEDの推奨される第一選択治療である。しかしながら、それらの使用は卒中もしくは心筋梗塞の最近の履歴(最近の6-8 週以内)を有する男性、又はかなり低い血圧、制御されない高血圧、不安定なアンギーナ、重度の心不全、重度の肝臓障害又は透析を必要とする末期腎臓疾患を有する男性で推奨されない。更に、糖尿病の男性はPDE5阻害薬による治療試験で応答障害率を示していた (Kendirci M, Tanriverdi O, Trost L, Hellstrom WJ.著Management of sildenafil treatment failures.Curr Opin Urol 2006; 16:449-459)。勃起機能不全について不満を言う糖尿病の患者におけるPDE5阻害薬の失敗の症例では、プロスタグランジンE1又はアルプロスタジルの要求時の陰茎海綿体内注射が推奨される。糖尿病の患者におけるプロスタグランジンE1又はアルプロスタジルの陰茎海綿体内注射の制限はそれらの観血性及びありうる痛みである。
既存の治療の制限に鑑みて、特に真性糖尿病の患者で、勃起機能不全を治療するようにとの満たされない医療上の要望が依然としてある。
エンパグリフロジンは、例えば、WO 05/092877、WO 06/117359、WO 06/120208、WO 2010/092126、WO 2010/092123、WO 2011/039107、WO 2011/039108、WO 2014/161918、WO 2014/161919及びWO 2014/170383で2型真性糖尿病の患者における血糖調節の治療又は改善について記載されている新規SGLT2 阻害薬である。
本発明の目的は勃起機能不全と診断された男性患者で前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された患者で血糖調節を改善するための方法を提供することである。
本発明の別の目的は前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された男性患者で勃起機能不全を治療するための方法を提供することである。
本発明の更に別の目的は特に前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された患者で血糖調節を改善するため、また勃起機能不全を治療するための、違約組成物を提供することである。
本発明の更なる目的は先の記載及び以下の記載により、また実施例により当業者に明らかになる。
本発明の範囲内で、SGLT2 阻害薬の投与が糖尿病の動物で勃起応答を改善することが今わかった。血糖調節を改善するその効果の他に、SGLT2 阻害薬は診療妥当性の更なる有利な性質、例えば、インスリン非依存性メカニズム、体重減効果及び血圧の低下効果を有する。それ故、SGLT2 阻害薬の投与の観察された勃起促進効果が勃起機能不全を患っている糖尿病の患者に高度に有益な治療選択肢になり得る。
それ故、本発明の第一の局面において、本発明は患者が勃起機能不全と診断された男性患者であることを特徴とする前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された患者で血糖調節を改善するための方法を提供し、この方法では、SGLT2 阻害薬が患者に投与される。
別の局面によれば、本発明はSGLT2 阻害薬が患者に投与されることを特徴とする前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された男性患者で勃起機能不全を治療するための方法を提供する。
SGLT2 阻害薬の投与の観察された勃起促進効果は患者における勃起機能不全の治療を支持又は改善し得る。
それ故、別の局面によれば、本発明は勃起機能不全の治療に加えて、SGLT2 阻害薬を患者に投与することを特徴とする前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された男性患者で勃起機能不全の治療を改善するための方法を提供する。
勃起機能不全の既知の治療として、経口PDE5阻害薬、又は局所、即ち、陰茎海綿体内、尿道内もしくはあらゆるその他の陰茎経路のアルプロスタジルからなる群から選ばれた化合物の投与が挙げられる。SGLT2 阻害薬との組み合わせが有益であり得る。
それ故、別の局面によれば、本発明はSGLT2 阻害薬とPDE5阻害薬又はアルプロスタジルからなる群から選ばれた一種以上の化合物とを含む医薬組成物を提供する。
本発明の別の局面によれば、先に、また後に記載される治療方法のための薬物の製造のためのSGLT2 阻害薬の使用が提供される。
本発明の別の局面によれば、先に、また後に記載される治療方法における使用のためのSGLT2 阻害薬が提供される。
本発明の別の局面によれば、先に、また後に記載される治療方法のための薬物の製造のための本発明の医薬組成物の使用が提供される。
本発明の別の局面によれば、先に、また後に記載される治療方法における使用のための本発明の医薬組成物が提供される。
定義
本発明の医薬組成物の“活性成分”という用語は本発明のSGLT2 阻害薬を意味する。“活性成分”はまた本明細書で“活性物質”と時折称される。
ヒト患者の“体格指数”又は”BMI“という用語は身長(メートル)の自乗により割られた体重(キログラム)と定義され、その結果、BMI はkg/m2 の単位を有する。
“勃起機能不全”という用語は満足な性行為に充分な陰茎勃起を得、又は維持することの持続性不能と定義される。
“正常血糖”という用語は被験者が70 mg/dL (3.89ミリモル/L) より大きく、かつ100 mg/dL (5.6ミリモル/L) 未満の正常な範囲内の空腹時血液グルコース濃度を有する状態と定義される。“空腹時”という用語は医療用語として通常の意味を有する。
“高血糖”という用語は被験者が100 mg/dL (5.6ミリモル/L) より大きい、正常な範囲より上の空腹時血液グルコース濃度を有する症状と定義される。“空腹時”という用語は医療用語として通常の意味を有する。
“低血糖”という用語は被験者が正常な範囲より下、特に70 mg/dL (3.89ミリモル/L) より下の血液グルコース濃度を有する症状と定義される。
“食後の高血糖”という用語は被験者が200 mg/dL (11.11ミリモル/L) より大きい食後2時間の血液グルコース又は血清グルコース濃度を有する症状と定義される。
“空腹時血糖異常”即ち”IFG“という用語は被験者が100 〜125 mg/dl (即ち、5.6 〜6.9 ミリモル/l) 、特に110 mg/dLより大きく、かつ126 mg/dI (7.00 ミリモル/L) 未満の範囲の空腹時血液グルコース濃度又は空腹時血清グルコース濃度を有する症状と定義される。“正常な空腹時グルコース”を有する被験者は100 mg/dl より小さく、即ち、5.6 ミリモル/lより小さい空腹時グルコース濃度を有する。
“耐糖能異常”即ち“IGT”という用語は被験者が140 mg/dI (7.78 ミリモル/L) より大きく、かつ200 mg/dL (11.11 ミリモル/L)未満の食後2時間の血液グルコース又は血清グルコース濃度を有する症状と定義される。耐糖能異常、即ち食後2時間の血液グルコース又は血清グルコース濃度は空腹後にグルコース75g を摂取した2時間後の血漿1dL当りのグルコースのmg数で血糖レベルとして測定し得る。“正常な耐糖能”を有する被験者は140 mg/dI (7.78 ミリモル/L)より小さい食後2時間の血液グルコース又は血清グルコース濃度を有する。
“高インスリン血症”という用語は正常血糖を有し、又は有しないで、インスリン耐性を有する被験者が、1.0 未満(男性につき)又は0.8 未満(女性につき)のウェスト対ヒップ比を有する、インスリン耐性を有しない正常な、やせた個体のそれよりも上に上昇された空腹時又は食後の血清又は血漿インスリン濃度を有する症状と定義される。
“インスリン感作”、“インスリン耐性改善”又は“インスリン耐性低下”という用語は同義であり、互換可能に使用される。
“インスリン耐性”という用語はグルコース負荷に対する正常な応答を超える循環インスリンレベルが正常血糖状態を維持するのに必要とされる状態と定義される(Ford ESら, JAMA. (2002) 287:356-9)。インスリン耐性の測定方法は正常血糖−高インスリン血クランプ試験である。インスリン対グルコースの比が組み合わされたインスリン-グルコース注入技術の範囲内で測定される。グルコース吸収が調べられたバックグラウンド集団の25%より下である場合に、インスリン耐性があるとわかる (WHO 定義)。クランプ試験よりもかなり労力の少ないのが所謂最小モデルであり、この場合、静脈内耐糖能試験中に、血液中のインスリン濃度及びグルコース濃度が一定の時間間隔で測定され、これらからインスリン耐性が計算される。この方法では、肝臓インスリン耐性と末梢インスリン耐性を区別することができない。
更に、インスリン耐性、治療に対するインスリン耐性の患者の応答、インスリン感受性及び高インスリン血は“インスリン耐性についてのホメオスタシスモデル分析 (HOMA-IR)”スコア、インスリン耐性の信頼できるインジケーターを分析することにより定量されてもよい (Katsuki Aら著, Diabetes Care 2001; 24: 362-5)。更に、インスリン感受性についてのHOMA-インデックス (Matthews ら著, Diabetologia 1985, 28: 412-19)、無傷のプロインスリン対インスリンの比 (Forst ら著, Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459) の測定方法及び正常血糖クランプ研究が参考にされる。加えて、血漿アジポネクチンレベルがインスリン感受性の潜在的な代用物として監視し得る。ホメオスタシス分析モデル (HOMA)-IR スコアによるインスリン耐性の推定が下記の式で計算される (Galvin Pら著, Diabet Med 1992;9:921-8)。
HOMA-IR = [空腹時血清インスリン (μU/mL)] x [空腹時血漿グルコース(ミリモル/L)/22.5]
インスリン耐性はこれらの個体でHOMA-IR スコアを計算することにより確かめられる。本発明の目的のために、インスリン耐性は個体が4.0 より大きいHOMA-IR スコア又は研究所が行なうグルコースアッセイ及びインスリンアッセイについて特定された正常な上限より上のHOMA-IR スコアを有する臨床的症状と定義される。
一般に、その他のパラメーターがインスリン耐性を分析するために毎日の臨床慣例で使用される。例えば、患者のトリグリセリド濃度が使用されることが好ましい。何とならば、増大されたトリグリセリドレベルがインスリン耐性の存在と有意に相関関係があるからである。
おそらくインスリン耐性を有する個体は下記の属性の二つ以上を有するものである:1)過剰体重又は肥満、2)高血圧、3)高脂血症、4)IGTもしくはIFG又は2型糖尿病の診断に関して一つ以上の第一級。
IGTもしくはIFG又は2型糖尿病の発生についての素質を有する患者は高インスリン血とともに正常血糖を有するものであり、定義により、インスリン耐性である。インスリン耐性を有する典型的な患者は通常過剰体重又は肥満である。インスリン耐性が検出し得る場合、これは前糖尿病の存在の特に強い指示である。こうして、グルコースホメオスタシスを維持するために、ヒトはこれが臨床症候を生じないで、健康なヒトの2-3 倍多くのインスリンを必要とするかもしれない。
“過剰体重”という用語は個体が25 kg/m2 より大きく、かつ30 kg/m2 未満のBMI を有する症状と定義される。“過剰体重”及び“前肥満”という用語は互換可能に使用される。
“肥満”又は“肥満であること”等という用語は個体が30 kg/m2 以上のBMI を有する症状と定義される。WHO 定義によれば、肥満という用語は以下のようにカテゴリー化されてもよい:“クラスI肥満”という用語はBMIが30 kg/m2 以上であるが、35 kg/m2より低い症状であり、“クラスII肥満”という用語はBMIが35 kg/m2以上であるが、40kg/m2 より低い症状であり、“クラスIII 肥満”という用語はBMIが40 kg/m2以上である症状である。
指示肥満として、特に外因性肥満、高インスリン性肥満、形質増殖性肥満、下垂体性肥満、形質低形成性肥満、甲状腺機能低下性肥満、視床下部性肥満、症候性肥満、小児肥満、上体肥満、食事性肥満、性腺機能減退性肥満、中心性肥満、内臓肥満、腹部肥満が挙げられる。
“PDE5阻害薬”という用語はホスホジエステラーゼ型5阻害薬と定義される。PDE5阻害薬は陰茎の海綿体に供給する血管を内張りする平滑筋細胞中の環状GMPについてのcGMP特異性ホスホジエステラーゼ型5の分解作用を遮断する。PDE5阻害薬はとりわけ勃起機能不全の治療に使用される。糖尿病集団では、PDE5阻害薬による治療試験における応答障害率が観察される (Hatzichristou DG著Sildenafil citrate: lessons learned from 3 years of clinical experience.Int J Impotence Res 2002;14:S43-S51)。本発明の範囲において、“PDE5阻害薬による治療に不充分な応答者”及び“PDE5阻害薬による治療の非応答者”という用語は要求時又は毎日のPDE5阻害薬の投与にもかかわらず勃起機能不全の治療の充分な結果を有しない患者と理解されるべきである。
既知のPDE5阻害薬として、化合物アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル及びベンズアミドナフィル又はその合成誘導体が挙げられる。前記薬物はそれらの医薬上許される塩又はそれらの水和物もしくは溶媒和物を含む。
本発明の範囲内の“SGLT2 阻害薬”という用語はナトリウム−グルコース輸送体2 (SGLT2)、特にヒトSGLT2 について抑制効果を示す化合物、特にグルコピラノシル誘導体、即ち、グルコピラノシル部分を有する化合物に関する。IC50として測定されるhSGLT2についての抑制効果は好ましくは1000 nM より下、更に好ましくは100 nMより下、最も好ましくは50 nM より下である。SGLT2 阻害薬のIC50値は通常0.01 nM より上、又は更には0.1 nM以上である。hSGLT2についての抑制効果は文献で知られた方法、特に出願WO 2005/092877又はWO 2007/093610 (23/24 頁) (これらは参考として本明細書にそのまま含まれる)に記載されたような方法により測定し得る。“SGLT2 阻薬薬”という用語はまたそれぞれの結晶性形態を含む、それらのあらゆる医薬上許される塩、それらの水和物及び溶媒和物を含む。SGLT2 阻害薬の例はダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、ソタグリフロジン、トフォグリフロジン、セルグリフロジン及びレモグリフロジンであり、これらのプロドラッグ、医薬上許される塩、水和物及び溶媒和物を含む。これらのプロドラッグは、例えば、レモグリフロジンエタボネート及びセルグリフロジンエタボネートである。
“内臓肥満”という用語は男性で1.0 以上、また女性で0.8 以上のウェスト対ヒップ比が測定される症状と定義される。それはインスリン耐性及び前糖尿病の発生のリスクを特定する。
“腹部肥満”という用語はウェスト周囲が男性で40インチ即ち102 cmより大きく、また女性で35インチ即ち94 cm より大きい症状と通常定義される。日本民族又は日本人患者に関して、腹部肥満は男性で85 cm 以上、また女性で90 cm 以上のウェスト周囲と定義されるかもしれない(例えば、日本における代謝症候群の診断に関する調査委員会を参照のこと)。
“前糖尿病”は正常な耐糖能 (NGT)と顕在的2型真性糖尿病 (T2DM) (また、中間高血糖と称される)の間の中間段階を表す一般用語である。このようなものとして、それは個体の三つのグループ、耐糖能異常(IGT)単独を有するもの、空腹時グルコース異常(IFG)単独を有するもの又はIGTとIFGの両方を有するものに相当する。IGT及びIFGは通常特有の病態生理学的病因を有するが、また両方の特徴を有する混合症状が患者に存在し得る。それ故、本発明の状況において、“前糖尿病”を有すると診断される患者はIGTと診断される個体もしくはIFGと診断される個体又はIGTとIFGの両方と診断される個体である。米国糖尿病協会 (ADA)による定義に従って、かつ本発明の状況において、“前糖尿病”を有すると診断される患者は
a) 空腹時血漿グルコース (FPG)濃度<100 mg/dL[1 mg/dL=0.05555 ミリモル/L]及び75-g 経口耐糖能試験(OGTT)により測定して、≧140 mg/dL〜<200 mg/dLの範囲の2時間後の血漿グルコース(PG)濃度(即ち、IGT);又は
b) ≧100 mg/dL〜<126 mg/dL の空腹時血漿グルコース (FPG)濃度及び75-g 経口耐糖能試験(OGTT)により測定して、<140 mg/dLの2時間後の血漿グルコース(PG)濃度(即ち、IFG);又は
c) ≧100 mg/dL 〜<126 mg/dLの空腹時血漿グルコース (FPG)濃度及び75-g 経口耐糖能試験(OGTT)により測定して、≧140 mg/dL〜<200 mg/dLの範囲の2時間後の血漿グルコース(PG)濃度(即ち、IGTとIFGの両方)
を有する個体である。
“前糖尿病”を有する患者は2型糖尿病の発生の素質があるとされる個体である。前糖尿病は100 mg/dL以上の高い正常範囲内の空腹時血液グルコースを有する個体を含むためにIGTの定義を拡張する(J. B. Meigs ら著. Diabetes 2003; 52:1475-1484)。前糖尿病を重大な健康脅威と同定するための科学的かつ医療の基礎が米国糖尿病協会及び国立糖尿病学会により共同発行された“2型糖尿病の予防又は遅延”と題するPosition Statement 並びにDigestive and Kidney Diseases (Diabetes Care 2002; 25:742-749) に立案されている。
膵臓ベータ細胞の機能を調べる方法はインスリン感受性、高インスリン血又はインスリン耐性に関する上記方法と同様である。ベータ細胞機能の改善は、例えば、ベータ細胞機能についてのHOMAインデックス (Matthews ら著, Diabetologia 1985, 28: 412-19)、無傷のプロインスリン対インスリンの比 (Forst ら著, Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)、経口耐糖能試験もしくは食負荷試験後のインスリン/C-ペプチド分泌を測定することにより、又は頻繁にサンプリングされる静脈内耐糖能試験後に高血糖クランプ研究及び/又は最小モデリング (Stumvoll ら著, Eur J Clin Invest 2001, 31: 380-81)を使用することにより測定し得る。
“2型糖尿病”又は“T2DM”という用語は被験者が125 mg/dL (6.94 ミリモル/L) より大きい空腹時血液グルコース又は血清グルコース濃度を有する症状と定義される。血液グルコース値の測定はルーチン医療分析における標準の操作である。耐糖能試験が行なわれる場合、糖尿病の血糖レベルはグルコース75g が空の胃で摂取された2時間後に血漿1dL 当りグルコース200mg (11.1 ミリモル/l) を超えるであろう。耐糖能試験では、グルコース75g が10-12時間の空腹後に試験される患者に経口投与され、血糖レベルがグルコース摂取の直前及びその摂取の1時間後及び2時間後に記録される。健康な被験者では、グルコース摂取前の血糖レベルが血漿1dL 当り60〜110 mgであり、グルコース摂取1時間後に1dL 当り200 mg未満であり、また2時間後に1dL 当り140 mg未満であろう。2時間後に、その値が140 〜200 mgである場合、これが耐糖能異常と見なされる。
“後期2型真性糖尿病”という用語は二次薬物失敗、インスリン治療についての指示並びに微小血管及び大血管合併症、例えば、糖尿病性腎症、又は心臓冠動脈疾患(CHD) への進行を有する患者を含む。
“HbA1c”という用語はヘモグロビンB鎖の非酵素的グリケーションの産物を表す。その測定は当業者に公知である。真性糖尿病の治療のモニタリングでは、HbA1c 値が格別重要である。その生成は実質的に血糖レベル及び赤血球の寿命に依存するので、“血糖記憶”の意味のHbA1c が先の4-6 週の平均血糖レベルを反映する。HbA1c 値が集中糖尿病治療により一貫して良く調節される(すなわち、サンプル中の全ヘモグロビンの6.5%未満)糖尿病患者は、糖尿病性微小血管障害に対し有意に良く保護されている。例えば、メトホルミンそれ自体は1.0-1.5 %のオーダの糖尿病のHbA1c 値の平均の改善を達成する。HbA1C 値のこの低下は全ての糖尿病でHbA1c 6.5 %未満、好ましくは6%未満の所望の目標範囲を達成するのに充分ではない。
本発明の範囲内の“不十分な血糖調節”又は“不適当な血糖調節”という用語は患者が6.5 %より上、特に7.0 %より上、更に好ましくは7.5 %より上、特に8%より上のHbA1c 値を示す症状を意味する。
“代謝症候群”(また“症候群X”(代謝障害の状況で使用される場合)と称され、また“代謝異常症候群”と称される)はインスリン耐性である基本的な特徴と複合の症候群である (Laaksonen DEら著, Am J Epidemiol 2002;156:1070-7) 。ATP III/NCEP ガイドライン(Executive Summary of the Third Report of the National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III) JAMA: Journal of the American Medical Association (2001) 285:2486-2497) によれば、代謝症候群の診断は下記のリスク因子の三つ以上が存在する場合になされる。
1.男性で40インチ即ち102 cmより大きく、また女性で35インチ即ち94 cm より大きいウェスト周囲と定義され、又は日本民族もしくは日本人の患者に関して男性で85 cm 以上、また女性で90 cm 以上のウェスト周囲と定義される、腹部肥満;
2. 150 mg/dL以上のトリグリセリド
3.男性で< 40 mg/dL 未満のHDL-コレステロール
4. 130/85 mm Hg 以上の血圧(SBP ≧ 130 又はDBP ≧ 85)
5. 110 mg/dL以上の空腹時血液グルコース
NCEP定義が実証されていた (Laaksonen DEら著, Am J Epidemiol. (2002) 156:1070-7) 。血液中のトリグリセリド及びHDL コレステロールがまた医療分析における標準方法により測定でき、例えば、Thomas L (編集者): "Labor und Diagnose“, TH-Books Verlagsgesellschaft mbH, Frankfurt/Main, 2000に記載されている。
普通に使用される定義によれば、高血圧は収縮期血圧 (SBP)が140 mm Hgの値を超え、また拡張期血圧 (DBP)が90 mm Hg の値を超える場合に診断される。患者が顕著な糖尿病を患っている場合、収縮期血圧が130 mm Hgより下のレベルに低下され、拡張期血圧が80 mm Hg より下に低下されることが現在推奨される。
“エンパグリフロジン”という用語はWO 2005/092877に記載された下記の式のSGLT2 阻害薬1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース -1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼンを表す。
Figure 2018514555
合成の方法が文献、例えば、WO 06/120208及びWO 2011/039108に記載されている。本発明によれば、エンパグリフロジンの定義はまたその水和物、溶媒和物及びこれらの多形形態、並びにこれらのプロドラッグを含むことが理解されるべきである。エンパグリフロジンの有利な結晶性形態がWO2006/117359 及びWO 2011/039107(これらは本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。この結晶性形態はSGLT2 阻害薬の良好な生物利用能を可能にする良好な溶解性特性を有する。更に、結晶性形態は物理化学的に安定であり、こうして医薬組成物の良好な貯蔵寿命安定性を与える。好ましい医薬組成物、例えば、経口投与のための固体製剤、例えば、錠剤がWO 2010/092126(これが本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。
“措置”及び“措置すること”という用語は特に顕著な形態で、前記症状を既に発生した患者の治療措置を含む。治療措置は特別な指示の症候を軽減するための対症措置又は指示の症状を反転もしくは部分反転し、又は疾患の進行を停止もしくは遅延するための原因措置であってもよい。こうして、本発明の組成物及び方法は、例えば、時間の或る期間にわたる治療措置としてだけでなく、慢性治療のために使用し得る。措置という用語はまた予防措置、及び予防をまた含む。これらの用語は互換可能に使用され、前記症状を発生する恐れのある患者の措置を含み、こうして前記恐れを軽減する。
“錠剤”という用語は被覆物のない錠剤及び一種以上の被覆物を含む錠剤を含む。更に、“錠剤”という用語は一層、2層、3層又は更にはそれより多い層を有する錠剤及びプレス被覆された錠剤を含み、この場合、前記型の錠剤のそれぞれが被覆物を有さなくてもよく、又は一種以上の被覆物を有してもよい。“錠剤”という用語はまたミニ錠剤、融解錠剤、咀嚼性錠剤、発泡性錠剤及び経口崩壊性錠剤を含む。
“薬局方”という用語は標準の薬局方、例えば、“第二補遺中のUSP 31-NF 26”(米国薬局方の慣例)又は“欧州薬局方 6.3”(薬物の品質及び健康ケアーについての欧州理事会、2000-2009 )を表す。
動物で刺激周波数を増大する際に海綿体神経刺激により誘発される勃起応答を示す。 麻酔されたウィスターラットで刺激周波数を増大する際に海綿体神経刺激により誘発されるAUC45/MAP に関する勃起応答を示す。 麻酔されたウィスターラットで刺激周波数を増大する際に海綿体神経刺激により誘発されるAUCtot/MAPに関する勃起応答を示す。 ウィスターラットからのCC細片のPHE-誘発収縮に関してEFSの周波数を増大することにより誘発される弛緩応答を示す。
本発明の局面、特に医薬組成物、方法及び使用は、先に、また後に定義されるSGLT2 阻害薬に関する。
本発明の実施態様によれば、SGLT2 阻害薬はダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、ソタグリフロジン、トフォグリフロジン、セルグリフロジン及びレモグリフロジンからなる群から選ばれ、これらのプロドラッグ、医薬上許される塩、水和物及び溶媒和物を含む。これらのプロドラッグは、例えば、レモグリフロジンエタボネート及びセルグリフロジンエタボネートである。
特に好ましい実施態様によれば、SGLT2 阻害薬がエンパグリフロジンである。
本発明の局面、特に方法及び使用は、先に、また後に定義される前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された患者の治療に関する。
本発明の実施態様によれば、患者が2型真性糖尿病と診断される。
本発明の別の実施態様によれば、患者が1型真性糖尿病と診断される。
本発明の更なる実施態様によれば、患者が前糖尿病と診断される。
本発明の更なる実施態様によれば、患者が代謝症候群と診断される。
本発明が治療又は予防を要する患者に関する場合、それは主として男性のヒト、特に成人男性のヒトの治療及び予防に関するが、医薬組成物はまた哺乳類の獣医薬物中に使用されてもよい。本発明の範囲において、成人患者が18才以上の年齢のヒトであることが好ましい。
本発明の実施態様によれば、患者が食事及び運動単独による不充分な血糖調節を有する。
作用のインスリン非依存性様式に鑑みて、SGLT2 阻害薬の効力は減少されたベータ細胞活性を有する患者でさえも維持される。こうして、その他の抗糖尿病薬による治療下の不充分な血糖調節を有する患者では、SGLT2 阻害薬による治療が依然として血液グルコースの低下をもたらす。それ故、本発明の実施態様によれば、患者がSGLT2 阻害薬を含まない一種以上の薬物による抗糖尿病治療にもかかわらず不充分な血糖調節を有する。特に、患者がメトホルミン塩酸塩及びスルホニル尿素からなる群から選ばれた一種、二種又はそれより多くの薬物による経口治療にもかかわらず不充分な血糖調節を有する。例えば、患者がメトホルミン塩酸塩による経口単一治療にもかかわらず、特にメトホルミン塩酸塩の最大の推奨又は寛容される用量での経口単一治療にもかかわらず不充分な血糖調節を有する。
本発明の実施態様によれば、患者が60才以上である。勃起機能不全の頻度は年齢とともに増大することが知られている。
糖尿病集団では、PDE5阻害薬による治療試験における応答障害率が観察される。SGLT2 阻害薬の作用の非依存性様式に鑑みて、PDE5阻害薬による治療に不充分に応答し、又は応答しない患者がSGLT2 阻害薬の投与から得られる勃起促進効果から依然として恩恵を受け得る。それ故、本発明の実施態様によれば、患者がPDE5阻害薬による治療、特にアバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル及びベンズアミドナフィル又はこれらの医薬上許される塩或いはこれらの水和物又は溶媒和物からなる群から選ばれた化合物による治療に対する不十分な応答者又は非応答者である。
SGLT2 阻害薬、特にエンパグリフロジンが、体重減効果を有すると示された。それ故、本発明の実施態様によれば、患者が過剰体重又はクラスI、II及び/又はIII の肥満、内臓肥満及び/又は腹部肥満を含む、肥満であると診断される。
本発明の実施態様によれば、患者が2型糖尿病かつ過剰体重又はクラスI、II及び/又はIII の肥満、内臓肥満及び/又は腹部肥満を含む、肥満であると診断される。
本発明の実施態様によれば、患者が1型糖尿病かつ過剰体重又はクラスI、II及び/又はIII の肥満、内臓肥満及び/又は腹部肥満を含む、肥満であると診断される。
本発明の更なる実施態様によれば、患者が前糖尿病かつ過剰体重又はクラスI、II及び/又はIII の肥満、内臓肥満及び/又は腹部肥満を含む、肥満であると診断される。
また、本発明は過剰体重又は肥満であり、かつ2型糖尿病を有し、又は前糖尿病の最初の徴候を示す患者で血糖調節を改善するための方法及び使用を開示する。こうして、本発明はまた糖尿病予防を含む。それ故、前糖尿病の上記徴候の一つが過剰体重又は肥満の患者で存在すると直ぐに、本発明の医薬組成物が血糖調節を改善するのに使用される場合、顕著な2型真性糖尿病の発生がこの患者で遅延又は予防し得る。
本発明の実施態様によれば、本発明の方法又は使用が下記の症状の一つ、二つ又はそれより多くを示すこれらの患者で有利に適用し得る:
(a) 100 mg/dL より大きく、特に125 mg/dL より大きい空腹時血液グルコース又は血清グルコース濃度、
(b) 140 mg/dL 以上の食後血漿グルコース、
(c) 6.5 %以上、特に7.0 %以上、特に7.5 %以上、更に特に8.0 %以上のHbA1c 値。
本発明の実施態様によれば、本発明の方法又は使用が過剰体重又は肥満であり、かつ下記の症状の一つ以上を有すると診断される患者の治療に特に適している:
(a) 150 mg/dL 以上のトリグリセリド血液レベル、
(b) 女性患者で40 mg/dL未満、また男性患者で50 mg/dL未満のHDL-コレステロール血液レベル、
(c) 130 mm Hg 以上の収縮期血圧及び85 mm Hg以上の拡張期血圧、
(d) 100 mg/dL 以上の空腹時血液グルコースレベル。
本発明の治療方法又は使用は特に勃起機能不全と診断され、かつ前糖尿病、1型真性糖尿病又は2型真性糖尿病と診断された患者で、先に、また後に記載される長期治療又は使用として特に適している。先に、また後に使用される“長期”という用語は8週より長く、好ましくは12週より長く、更に好ましくは25週より長く、又は1年より長い時間の期間内の患者の治療又は投与を示す。
局面によれば、本発明は勃起機能不全の治療に加えて、SGLT2 阻害薬を患者に投与することを特徴とする前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された男性患者の勃起機能不全の治療を改善するための方法を提供する。
本発明のこの局面の実施態様によれば、勃起機能不全の治療がPDE5阻害薬、又はアルプロスタジルからなる群から選ばれた一種以上の薬物の投与を含む。前記薬物として、これらの医薬上許される塩又はこれらの水和物もしくは溶媒和物が挙げられる。
本発明のこの局面の実施態様によれば、PDE5阻害薬がアバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル及びベンズアミドナフィル又はその合成誘導体からなる群から選ばれる。好ましいPDE5阻害薬はアバナフィル、シルデナフィル、タダラフィル及びバルデナフィルである。前記薬物として、これらの医薬上許される塩又はこれらの水和物もしくは溶媒和物が挙げられる。
本発明のこの局面の好ましいSGLT2 阻害薬は先に記載されたものである。特に好ましいSGLT2 阻害薬はエンパグリフロジンである。
以下に、本発明の方法及び使用に使用される活性成分の量の好ましい範囲が記載される。これらの範囲は成人患者、特に、例えば、約70kgの体重のヒトに関して1日当りで投与される量に関するものであり、従って、毎日2回の投与に関して、また投与のその他の経路に関して、また患者の年齢に関して適合し得る。用量及び量の範囲は活性成分について計算される。
エンパグリフロジンの好ましい量は毎日1回の経口投与について1〜50 mg 、更に好ましくは2.5 〜25 mg 、更に好ましくは5〜25 mg の範囲である。エンパグリフロジンの好ましい用量は毎日1回の経口投与について、例えば、2 mg、2.5mg 、5mg 、10mg、12.5 mg 、15 mg 、20 mg 及び25 mg である。エンパグリフロジンの最も好ましい用量は毎日1回の経口投与について10 mg 及び25 mg である。エンパグリフロジンの錠剤製剤がWO 2010/092126(これが参考として本明細書に含まれる)に記載されている。エンパグリフロジン錠剤製剤は商品名JARDIANCE として市販されている。
ダパグリフロジンの好ましい量は毎日1回の経口投与について1〜50 mg 、更に好ましくは2.5 〜25 mg 、更に好ましくは5〜20 mg である。ダパグリフロジンの好ましい用量は毎日1回の経口投与について、例えば、5mg 及び10mgである。ダパグリフロジンの錠剤製剤は商品名FORXIGA として販売されている。
カナグリフロジンの好ましい量は毎日1回の経口投与について50〜500 mg、更に好ましくは100 〜300 mgの範囲である。カナグリフロジンの好ましい用量は毎日1回の経口投与について、例えば、100mg 及び300mg である。カナグリフロジンの錠剤製剤は商品名INVOKANAとして市販されている。
本発明の実施態様によれば、SGLT2 阻害薬が別の抗糖尿病薬と一緒に投与される。この実施態様の好ましい別型によれば、SGLT2 阻害薬がメトホルミン塩酸塩と一緒に投与される。この実施態様の別の別型によれば、SGLT2 阻害薬がDPPIV 阻害薬と一緒に投与される。DPPIV 阻害薬の例はリナグリプチン、シタグリプチン、サキサグリプチン及びビルダグリプチンである。前記薬物として、これらの医薬上許される塩又はこれらの水和物もしくは溶媒和物が挙げられる。
この実施態様の例によれば、エンパグリフロジンがメトホルミン塩酸塩と一緒に投与される。エンパグリフロジンの投与はメトホルミン塩酸塩による既存の治療と併用であってもよく、又はメトホルミン塩酸塩とのエンパグリフロジンの多剤混合薬が投与される。メトホルミン塩酸塩は即時又は延長放出製剤として投与されてもよい。エンパグリフロジン/メトホルミン塩酸塩の組み合わせについての個々の量の例は毎日2回の経口投与についてそれぞれ5 mg / 500 mg 、5 mg / 850 mg 、5 mg/ 1000 mg 、12.5 mg / 500 mg、12.5 mg / 850 mg及び12.5 mg/ 1000 mgであり、この場合、メトホルミン塩酸塩が即時放出製剤中に存在する。即時放出製剤としてのメトホルミン塩酸塩とのエンパグリフロジンの多剤混合薬の錠剤製剤がWO 2011/039337(これが参考として本明細書に含まれる)に記載されている。別の例によれば、エンパグリフロジン/メトホルミン塩酸塩の組み合わせについての量が毎日1回の経口投与についてそれぞれ10 mg / 1000 mg 及び25 mg / 1000 mg であり、この場合、メトホルミン塩酸塩が延長放出製剤中に存在する。更に別の例によれば、エンパグリフロジン/メトホルミン塩酸塩の組み合わせについての量が毎日2回の経口投与についてそれぞれ5 mg / 1000 mg及び12.5 mg / 1000 mg であり、この場合、メトホルミン塩酸塩が延長放出製剤中に存在する。延長放出製剤としてのメトホルミン塩酸塩とのエンパグリフロジンの多剤混合薬の錠剤製剤がWO 2012/120040及びWO 2013/131967(これらが参考として本明細書に含まれる)に記載されている。
この実施態様の別の例によれば、エンパグリフロジンがDPPIV 阻害薬リナグリプチン又はその医薬上許される塩と一緒に投与される。エンパグリフロジン及びリナグリプチンの投与は二つの別々の剤形中で別々であってもよく、又はエンパグリフロジンとリナグリプチンの多剤混合薬であってもよい。エンパグリフロジン/リナグリプチンの組み合わせについての個々の量の例は毎日1回の経口投与についてそれぞれ10 mg / 5 mg及び 25 mg/ 5 mgである。それぞれの錠剤製剤がWO 2010/092124(これが参考として本明細書に含まれる)に記載されている。
この実施態様の別の例によれば、ダパグリフロジンがメトホルミン塩酸塩と一緒に投与される。ダパグリフロジンの投与はメトホルミン塩酸塩による既存の治療と併用であってもよく、又はメトホルミン塩酸塩とのダパグリフロジンの多剤混合薬が投与される。メトホルミン塩酸塩は即時又は延長放出製剤として投与されてもよい。ダパグリフロジン/メトホルミン塩酸塩の組み合わせについての個々の量の例は毎日2回の経口投与についてそれぞれ5 mg / 850 mg 及び5 mg/ 1000 mg であり、この場合、メトホルミン塩酸塩が即時放出製剤中に存在する。即時放出製剤としてのメトホルミン塩酸塩と一緒のダパグリフロジンの錠剤製剤が商品名XIGDUOとして市販されている。
この実施態様の例によれば、カナグリフロジンがメトホルミン塩酸塩と一緒に投与される。カナグリフロジンの投与はメトホルミン塩酸塩による既存の治療と併用であってもよく、又はメトホルミン塩酸塩とのカナグリフロジンの多剤混合薬が投与される。メトホルミン塩酸塩は即時又は延長放出製剤として投与されてもよい。カナグリフロジン/メトホルミン塩酸塩の組み合わせについての個々の量の例は毎日2回の経口投与についてそれぞれ50 mg / 850 mg、150 mg / 850 mg 、50 mg/ 1000 mg及び150 mg/ 1000 mg であり、この場合、メトホルミン塩酸塩が即時放出製剤中に存在する。即時放出製剤としてのメトホルミン塩酸塩と一緒のカナグリフロジンの錠剤製剤が商品名VOKANAMET として市販されている。
先に記載された実施態様の別の別型によれば、SGLT2 阻害薬がインスリンと一緒に投与される。インスリンという用語は通常のインスリン、ヒトインスリン、インスリン誘導体、亜鉛インスリン及びインスリン類似体(変更された放出プロフィールを有するこれらの製剤を含む)を含む。インスリンという用語は迅速作用性インスリン、短時間作用性インスリン、即時作用性インスリン及び長時間作用性インスリンをカバーする。本発明のSGLT2 阻害薬及びインスリンの投与から恩恵を受け得る患者は1型真性糖尿病と診断された患者である。更に、本発明のSGLT2 阻害薬及びインスリンの投与から恩恵を受け得る患者は2型真性糖尿病の患者、特に一種以上の経口抗糖尿病薬による治療にもかかわらず不充分な血糖調節を有する2型真性糖尿病患者である。
本発明のこの局面の実施態様によれば、勃起機能不全の治療がPDE5阻害薬又はアルプロスタジルからなる群から選ばれ、特にアバナフィル、シルデナフィル、タダラフィル及びバルデナフィルからなる群から選ばれた一種以上の薬物の投与を含む。前記薬物として、これらの医薬上許される塩又はこれらの水和物もしくは溶媒和物が挙げられる。
シルデナフィルの好ましい量は経口投与についての要求時に25〜100 mgの範囲である。シルデナフィルの好ましい用量は、例えば、25 mg 、50mg 及び100mg である。その用量は性的活動の前に必要とされる際に、例えば、性的活動のほぼ1時間前に服用される。シルデナフィルの錠剤製剤が、例えば、商品名VIAGRAとして市販されている。
タダラフィルの好ましい量は経口投与について1日当り1回で1〜100 mg、更に好ましくは2.5 乃至5〜20 mg の範囲である。タダラフィルの好ましい用量は、例えば、2.5 mg、5 mg、10mg及び20mgである。タダラフィル2.5 mg及び5 mgが勃起機能不全についての1日1回の治療についての用量である。その用量は予想される性的活動の前に服用される。タダラフィルの錠剤製剤が、例えば、商品名CIALISとして市販されている。
バルデナフィルの好ましい量は経口投与について1日当り1回で1〜50 mg 、更に好ましくは5〜20 mg の葉にである。バルデナフィルの好ましい用量は、例えば、5 mg、10mg及び20mgである。バルデナフィルは好ましくは医薬上許される塩、特に塩酸塩として与えられる。その用量は性的活動の前に必要とされる際に、例えば、性的活動のほぼ25〜60分前に服用される。バルデナフィルの錠剤製剤が、例えば、商品名LEVITRA 又はVIVANZA として市販されている。また、バルデナフィルについての経口分散性製剤 (Levitra ODT)がある。
特に注目されない限り、本発明の組み合わせ治療は第一選択、第二選択もしくは第三選択治療、又は初期もしくは併用の組み合わせ治療或いは置換治療に関するものであってもよい。
一実施態様によれば、SGLT2 阻害薬及びPDE5阻害薬からなる群から選ばれた薬物が、例えば、一つの単一製剤もしくは剤形又は二つの別々の製剤もしくは剤形中で、組み合わせて、即ち同時に、或いは二つの別々の製剤もしくは剤形中で交互にもしくは逐次に、例えば、連続的に投与される。それ故、一種の組み合わせパートナー、即ち、SGLT2 阻害薬又はPDE5阻害薬の投与は、その他の組み合わせパートナーの投与の前、同時、又はその後であってもよい。一実施態様において、本発明の組み合わせ治療について、SGLT2 阻害薬及びPDE5阻害薬が異なる製剤又は異なる剤形中で投与される。別の実施態様において、本発明の組み合わせ治療について、SGLT2 阻害薬及びPDE5阻害薬が同じ製剤又は同じ剤形中で投与される。
本発明の方法及び使用において、SGLT2 阻害薬及びPDE5阻害薬が組み合わせて、又は交互もしくは逐次に投与される。“組み合わせの投与”という用語は活性成分が同時に、即ち、同時に、又は実質的に同時に投与されることを意味する。“交互の投与”という用語は最初に2種の活性成分の一種、即ち、SGLT2 阻害薬又はPDE5阻害薬が投与され、時間の期間後にその他の活性成分、即ち、PDE5阻害薬又はSGLT2 阻害薬が投与されることを意味し、これによりこの投与スキームが1回以上繰り返されてもよい。第一の活性成分と第二の活性成分の投与の間の時間の期間は1分から12時間までの範囲であってもよい。組み合わせ又は交互である投与は毎日1回、2回、3回又は4回、好ましくは毎日1回又は2回であってもよい。“逐次に”という用語は第一の活性成分が時間の第一の期間にわたって患者に1回以上投与され、続いて第二の活性成分が時間の第二の期間にわたって患者に1回以上投与されることを意味する。
本発明の方法及び使用の実施態様によれば、SGLT2 阻害薬が1日当り1回患者に投与され、PDE5阻害薬が性的活動の前に投与される。
局面によれば、本発明がSGLT2 阻害薬とPDE5阻害薬又はアルプロスタジルからなる群から選ばれた一種以上の化合物とを含む医薬組成物を提供する。
好ましいSGLT2 阻害薬は先に記載されたとおりである。最も好ましいSGLT2 阻害薬はエンパグリフロジンである。
本発明のPDE5阻害薬は先に記載されたとおりである。好ましいPDE5阻害薬はシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル及びアバナフィルである。前記薬物として、これらの医薬上許される塩又はこれらの水和物もしくは溶媒和物が挙げられる。
本発明の実施態様によれば、医薬組成物が一種以上の医薬上許される賦形剤を含む。
本発明の実施態様によれば、エンパグリフロジン及びPDE5阻害薬並びに一種以上の医薬上許される賦形剤を含む医薬剤形が提供される。
本発明の医薬組成物及び医薬剤形中のSGLT2 阻害薬の量は当業者に知られており、かつ/又は先に提示されたそれぞれの用量範囲に相当する。
本発明の医薬組成物及び医薬剤形中のPDE5阻害薬の量は当業者に知られており、かつ/又は先に提示されたそれぞれの用量範囲に相当する。
実施態様によれば、医薬組成物又は医薬剤形が経口投与のために提供される。
別々の剤形又は多剤形、例えば、パーツのキットとして存在する医薬組成物が、患者の個々の治療要求に融通して適するために組み合わせ治療に有益である。例えば、医薬組成物がSGLT2 阻害薬及び一種以上の医薬賦形剤を含む第一の医薬剤形並びにPDE5阻害薬、アポモルフィン又はアルプロスタジル及び一種以上の医薬賦形剤を含む第二の医薬剤形として存在してもよい。
本発明の実施態様によれば、パーツのキットが
(a) SGLT2 阻害薬及び一種以上の医薬上許される賦形剤を含む剤形を含む第一の区画、及び
(b) PDE5阻害薬、アポモルフィン又はアルプロスタジル及び一種以上の医薬上許される賦形剤を含む剤形を含む第二の区画
を含む。
本発明の範囲内で、SGLT2 阻害薬が経口で、又は注射により、好ましくは経口で投与されることが好ましい。PDE5阻害薬が経口投与されることが好ましい。アルプロスタジルが陰茎海綿体内注射により投与されることが好ましい。投与のその他の形態が可能であり、文献にそれぞれの薬物について記載されている。
上記された効果は、SGLT2 阻害薬及びPDE5阻害薬又はアルプロスタジルが組み合わせて、例えば、一つの単一医薬剤形もしくは二つの別々の医薬剤形中で同時に投与される場合、及びそれらが交互に、例えば、二つ又は三つの別々の医薬剤形中で連続して投与される場合の両方で観察される。
患者に投与され、また本発明の治療又は予防における使用に必要とされる本発明の医薬組成物の量は投与の経路、治療又は予防が必要とされる症状の性質及び重度、患者の年齢、体重及び状態、同時の医療により変化し、また最終的には担当医師の判断であることが認められるであろう。しかしながら、一般に、本発明のSGLT2 阻害薬はその投与により治療される患者における血糖調節が改善されるのに充分な量で医薬組成物又は剤形中に含まれる。更に一般に、本発明のPDE5阻害薬又はアルプロスタジルはSGLT2 阻害薬と組み合わせてのそれらの投与により治療される患者の勃起機能が改善されるのに充分な量で医薬組成物又は剤形中に含まれる。
本発明の医薬組成物及び医薬剤形中のSGLT2 阻害薬及びPDE5阻害薬又はアルプロスタジルの量は先に提示されたそれぞれの用量範囲に相当する。
本発明の医薬組成物の所望の用量は都合良くは1日1回提供されてもよく、又は適当な間隔で、例えば、1日当り2回、3回又はそれより多い投薬で投与される分けられた用量として提供されてもよい。
医薬組成物は液体形態又は固体形態で投与の経口経路、非経口(皮下を含む)経路又はその他の経路のために製剤化されてもよい。SGLT2 阻害薬の経口投与が好ましい。製剤は、適当な場合には、都合良くは別個の投薬単位中で提供されてもよく、また薬学の分野で公知の方法のいずれかにより調製されてもよい。全ての方法は活性成分を一種以上の医薬上許される賦形剤、例えば、液体担体又は微細な固体担体或いはこれらの両方のような担体、又は希釈剤と混在させ、次いで、必要な場合に、その生成物を所望の製剤に成形する工程を含む。エンパグリフロジン及び一種以上の医薬上許される賦形剤を含む医薬組成物及び医薬剤形の例がWO 2010/092126に記載されている。
医薬組成物及び医薬剤形は一種以上の医薬上許される賦形剤を含むことが好ましい。好ましい賦形剤は製剤のその他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに有害ではないという意味で“許される”必要がある。医薬上許される賦形剤の例は当業者に知られている。
医薬組成物は溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、顆粒、微細顆粒、粉末、カプセル、カプレット、軟質カプセル、ピル、経口溶液、シロップ、乾燥シロップ、咀嚼性錠剤、トローチ、発泡性錠剤、ドロップ、速溶解性錠剤、経口速分散性錠剤等の形態で製剤化されてもよい。本発明の好ましい実施態様によれば、経口投与のための固体医薬組成物が提供される。好ましい医薬剤形は錠剤又はカプセルである。
SGLT2 阻害薬及び/又はPDE5阻害薬又はアルプロスタジルの剤形、製剤及び投与についての更なる詳細について、科学文献及び/又は公表された特許書類、特に本明細書に引用されたものが参考にされる。
医薬組成物又は剤形は種々の方法で包装されてもよい。一般に、分配のための製品又は物品は適当な形態の一種以上の医薬剤形を含む一つ以上の容器を含む。錠剤は典型的には容易な取扱、分配及び貯蔵並びに貯蔵中の環境との延長された接触における組成物の適切な安定性の保証に適した一次パッケージ中に包装される。錠剤のための一次容器はびん又はブリスターパックであってもよい。
製品又は物品は更にラベル又はパッケージインサートを含んでもよく、これは治療製品の商用パッケージ中に通例含まれる指示を表し、これは指示、用法、用量、投与、禁忌及び/又はこのような治療製品の使用に関する警告についての情報を含んでもよい。一実施態様において、ラベル又はパッケージインサートは組成物が先に、又は後に記載される目的のいずれかのために使用し得ることを示す。
本発明の局面はSGLT2 阻害薬及びPDE5阻害薬又はアルプロスタジル並びに一種以上の医薬上許される賦形剤を含む医薬剤形として存在する医薬組成物を含む製品である。
本発明の更なる局面は本発明の第一及び第二の医薬剤形として存在する医薬組成物並びに第一及び第二の医薬剤形が組み合わせて、又は交互に、もしくは逐次に投与されるべきであるという指示を含むラベル又はパッケージインサートを含む製品である。本明細書中、第一の医薬剤形はSGLT2 阻害薬及び一種以上の医薬賦形剤を含み、また第二の医薬剤形はPDE5阻害薬又はアルプロスタジル及び一種以上の医薬賦形剤を含む。
第一の実施態様によれば、製品が(a) 本発明のSGLT2 阻害薬及び一種以上の医薬上許される賦形剤を含む、医薬組成物、特に経口投与のための固体医薬剤形及び(b) その医薬組成物が、例えば、本発明のPDE5阻害薬又はアルプロスタジルを含む薬物と、組み合わせて、又は交互に、もしくは逐次に投与されてもよく、又は投与されるべきであるという指示を含むラベル又はパッケージインサートを含む。
第二の実施態様によれば、製品が(a) 本発明のPDE5阻害薬又はアルプロスタジル及び一種以上の医薬上許される賦形剤を含む医薬組成物及び(b) その医薬組成物が、例えば、本発明のSGLT2 阻害薬を含む薬物と、組み合わせて、又は交互に、もしくは逐次に投与されてもよく、又は投与されるべきであるという指示を含むラベル又はパッケージインサートを含む。
本発明の医薬組成物、剤形、方法及び使用は2種の活性成分のうちの一種のみを含む医薬組成物、剤形、方法及び使用と較べて前記されたこれらの疾患及び症状の治療及び予防において有利な効果を示す。付加的な有利な効果が、例えば、効力、投薬濃度、投薬頻度、薬力学的性質、薬物動態学的性質、一層少ない副作用、利便性、コンプライアンス等に関して見られるかもしれない。
本発明の範囲内の上記された組み合わせ、方法及び使用のいずれもが当業界で知られている動物モデルにより試験されてもよい。以下に、in vivo 実験が記載され、これらは本発明の方法、使用及び医薬組成物の薬理学的に妥当な性質を評価するのに適している。
本発明の医薬組成物及び方法はdb/db マウス、ob/ob マウス、Zucker脂肪 (fa/fa)ラット又はZucker糖尿病脂肪 (ZDF)ラットのような勃起又は糖尿病動物の実験モデルで試験し得る。加えて、それらはストレプトゾトシンで前措置されたHanWistar ラット又はSprague Dawleyラットのような実験誘発糖尿病を有する動物で試験し得る。
本発明の組み合わせの血糖調節についての効果は前記された動物モデルで経口耐糖能試験で試験し得る。血液グルコースの時間経過が一夜断食された動物で経口グルコースチャレンジ後に追跡される。加えて、グルコース変動の改善がピークグルコース濃度の減少又はグルコースAUCの減少により測定し得る。血糖調節についての効果が血液中のHbA1c 値を測定することにより測定し得る。
薬理学的実施例
以下の実施例は2型糖尿病に関連する勃起機能不全(ED)の良く確立されたin vivo モデル、即ち、Goto-kakizaki 糖尿病ラット(GKラット)での勃起機能についてのエンパグリフロジンの有益な効果を示す。
実施例1:動物in vivo 実験
動物
Goto-Kakizaki (GK)ラットはII型真性糖尿病関連勃起機能不全の妥当な実験モデルであることが示されていた。GKラットの勃起機能は著しく損なわれることが示されていた (Oger-Roussel S, Behr-Roussel D, Caisey S, Kergoat M, Charon C, Audet A, Bernabe J, Alexandre L, Giuliano F. 著“2型糖尿病のGoto-Kakizaki ラットの膀胱及び勃起機能不全”Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2014; 306:R108-R117) 。そのモデルでは、勃起機能障害がPDE5阻害薬シルデナフィルの急性単一投与 (0.3mg/kg) により部分的に改善された。こうして、GKラットは2型糖尿病関連勃起合併症の病態生理学を調べ、また糖尿病EDを標的とする新しい治療薬の効力を評価するのに適したモデルに相当する。
方法
成体の雄のウィスター(Charles River, フランス) 及び年齢の釣り合うGKラット (Metabrain Research, Chilly-Mazarin, フランス) を対照食及び水への自由な接近による措置の開始の少なくとも7日前に収容し、反転12時間の明暗サイクルで管理した。生後15週で、措置を開始した;n=12のウィスター (グループI) ラット及びn=24のGK (グループII) ラットに対照食で給餌し、一方、n=24のGKラット (グループIII) を28日間にわたって薬物入りの食事、即ち、エンパグリフロジン 300 ppm (その実験で体重1kg当りエンパグリフロジン平均25.3mgに相当する百万分の一の部数) と予備混合された対照食により給餌した。
治療投与を開始した後の29日目、かつ最後の治療投与後のほぼ16時間後に、断食ラット(生後19週)がシルデナフィルの急性投薬と較べて、海綿体神経の電気刺激 (ES CN)後にそれらの勃起機能のin vivo 評価を受けた。
勃起応答を海綿体神経(CN)の電気刺激(ES)により誘発し、既に記載され、かつ良く標準化された実験操作に従って麻酔されたラットで海綿体内の圧力 (ICP)を監視することにより測定した。一夜の断食期間後に、ラットを麻酔し(ウレタン1.2 mg/kg) 、恒温毛布を使用してそれらの温度を37℃に維持した。気管切開を行なって唾液の吸引を防止し、必要とされる場合に、人工換気を行なった。頚動脈をヘパリン処理食塩水(25 UI/ml)を入れられたポリエチレン管でカテーテル挿入して圧力変換機(Elcomatic 750, Glasgow,英国) により血圧(BP)を記録した。BP及びICP の同時の演算測定を行なった。CNを切開顕微鏡の助けにより、前立腺の横面で暴露し、電気刺激器(AMS 2100, Phymep,フランス) に接続された双極性白金電極に取り付けた。幾つかの動物では、シルデナフィル (0.3 mg/kg)又はビヒクルの急性用量を静脈内注射した。シルデナフィルのこの用量は麻酔されたGKラットで勃起機能を回復することが既に実証されていた (OGER-ROUSSEL S., BEHR-ROUSSEL D., CAISEY S., KERGOAT M., CHARON C., AUDET A., BERNABE J., ALEXANDRE L., GIULIANO F. 著“2型糖尿病のGoto-Kakizaki ラットの膀胱及び勃起機能不全” Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.2014;306(2):R108-17 を参照のこと) 。勃起応答を評価するためにCNをランダム化様式で45秒にわたって6V、1ms で異なる刺激周波数 (0, 2.5, 5, 7.5, 10, 12.5及び15 Hz)により刺激した。ICPの増大についてのこれらの異なる電気刺激をそれぞれの動物についての周波数−応答曲線を確立することに鑑みて2回繰り返した。
平均動脈圧力 (MAP)及びそれぞれのES CN により誘発された勃起応答の増幅をそれぞれのラットについて定量し、下記の値を計算することによりそれぞれの実験グループについて平均した:
・ICP(mmHg)/MAP(mmHg)x100 、この場合、ΔICP は弛緩状態、即ち、刺激前のICP と勃起応答のプラトー期中のICP の差であり、またMAP はプラトー期中の平均動脈圧力である。
・AUC45/MAP 、この場合、AUC45 は海綿体神経の電気刺激の開始後の最初の45秒の間の曲線の下の面積であり、刺激の開始前の弛緩状態におけるICP レベルを使用して測定される。
・AUCtot/MAP、この場合、AUCtotは電気刺激の開始から勃起応答の終了まで測定された全勃起応答中の曲線下の面積であり、刺激の開始前の弛緩状態におけるICP レベルを使用して測定される。
・ICP 増大及びAUC を勃起応答のプラトー期中のICP 増大の増幅における全身血圧の密接な影響を説明するためにMAP で標準化した。
加えて、勃起機能を更に評価するために、EDのin vivo 評価の終了時に、24匹のGKラット (グループIIA 及びIIIA) 及び12匹のウィスターラット (グループI) の陰茎を直ちに回収し、陰核海綿体(CC)をex vivo 等長性張力研究のために切開した。
徹底的洗浄後に、体の(corporal)細片を実験の残りのために器官チャンバーにまた添加されたグアネチジン (5 μM)及びアトロピン (1 μM)の存在下でインキュベートした。体の細片を器官浴中で二つの平行な白金電極の間に入れた。平衡 (60分) 後に、電界刺激 (EFS)実験を開始した。最初に、プライミング期間を観察し、この場合、ウィスター、GK(対照)及びGK_ 慢性empa(エンパグリフリジン)からの体の細片をフェニルエフリン (PHE) (10-5 M) 続いて1 ms、10 s、300 mA及び20 Hz におけるEFS 誘発弛緩に暴露した。次いで、洗浄後に、EFS (1 - 2 - 4 - 8- 16 - 32 Hz)についての周波数−応答曲線 (FRC)をPHE 前収縮された体の細片 (PHE 10-5 M) について構築した。EFS についての周波数−応答曲線 (FRC)を1 ms、10 s、300 mA及び増大する周波数 (1、2、4、8、16及び32Hz) で体の細片の連続の刺激により行なった。
統計分析
全ての結果を平均±SEM として提示する。Grubbs試験を異常値の検出及び排除のために使用した。この統計方法は値がグループにおけるその他の値と同じGaussian集団からおそらく生じなかった時を測定することを可能にした。
勃起機能評価のために、周波数−応答曲線の比較を2方向ANOVA 統計分析検定続いてBonferroniの事後テストで行なった。二つの因子(即ち、ES CN の周波数及び実験グループ)の間の有意な相互作用の場合には、ラットのグループ間の差を多重比較のために改良Student のt検定とBonferroniの調節により調べた。
器官浴実験のために、EFS-誘発弛緩の増幅をPHE についての収縮応答の抑制の%で表わした。
1匹のラットからのCCによる一つの実験における二重測定の結果を平均し、データをN匹の異なるラットからのCCを使用するN回の実験について平均±SEM として表した。
2方向ANOVA 統計分析検定及びBonferroniの事後テストを使用して統計比較FRC を行なった。
統計分析をGraphPad Prism(登録商標)5.04ソフトウェアで行なった。0.05未満のP値を有意と考える。
結果
以下に、GKラットにおけるin vivo 勃起機能についてのエンパグリフロジンによる慢性治療の効果をシルデナフィルの急性投与と比較して記載する。
図1は対照食及び通常生理食塩溶液の急性注射を受けた麻酔されたウィスターラット (WI, n=15) 、対照食及び通常生理食塩溶液(GK, n=10)又は0.3mg/kgのシルデナフィル(GK_急性sil, n=12)の急性注射を受けたGKラット並びに薬物入りの食事、即ち、25.3±0.9 mg/kg/ 日のエンパグリフロジンと予備混合された対照食及び通常生理食塩溶液の急性注射を受けたGKラット (GK_慢性empa, n=11) における増大する刺激周波数での海綿体神経刺激により誘発された勃起応答を示す。全てのラットが4週にわたって対照食又は薬物入りの食事を受け、次いでそれぞれ、勃起機能のin vivo 評価の4分前にシルデナフィル又は通常生理食塩溶液の急性i.v.注射を受けた。データは平均±SEM である。
図2a及び2bは対照食及び通常生理食塩溶液の急性注射を受けた麻酔されたウィスターラット (WI, n=15) 、対照食及び通常生理食塩溶液(GK, n=10)又は0.3mg/kgのシルデナフィル(GK_急性sil, n=12)の急性注射を受けたGKラット並びに薬物入りの食事、即ち、25.3±0.9 mg/kg/ 日のエンパグリフロジンと予備混合された対照食及び通常生理食塩溶液の急性注射を受けたGKラット (GK_慢性empa, n=11) における増大する刺激周波数での海綿体神経刺激により誘発されたAUC45/MAP (図2a) 及びAUCtot/MAP (図2b) に関する勃起応答を示す。全てのラットが4週にわたって対照食又は薬物入りの食事を受け、次いでそれぞれ、勃起機能のin vivo 評価の4分前にシルデナフィル又は通常生理食塩溶液の急性IV注射を受けた。データは平均±SEM である。
ΔICP/MAP (図1)だけでなく、AUC45/MAP (図2a)、及びAUCtot/MAP(図2b)の両方により特徴づけられる海綿体神経の増大する周波数における電気刺激により誘発されるin vivo 勃起応答が年齢の釣り合うウィスターラットと較べて糖尿病のGKラットで有意に減少された。
シルデナフィル (0.3 mg/kg)の静脈内注射はΔICP/MAP (p<0.0001,2方向ANOVA 、図1)、AUC45/MAP (p<0.0001,2方向ANOVA 、図2a) 及びAUCtot/MAP (p<0.0001, 2方向ANOVA 、図2b) に関して糖尿病のラットにおけるES CN に対する勃起応答を有意に増大した。
図3は対照食を受けたウィスターラット及び糖尿病のGKラット並びに薬物入りの食事、即ち、25.3±0.9mg/kg/ 日のエンパグリフロジンと予備混合された対照食を受けた糖尿病のGKラットからのCC細片のPHE-誘発収縮についてのEFS の増大する周波数により誘発された弛緩応答を示す。全てのラットが4週にわたって対照食又は薬物入りの食事を受けた。
4週にわたって25.3±0.9mg/kg/ 日の毎日の平均用量における食事と予備混合されたエンパグリフロジンの慢性投与は対照食を受けた糖尿病のGKラットで観察されたものと較べてAUC45/MAP (p<0.05,図2a) 及びAUCtot/MAP (p<0.05, 図2b) に関して糖尿病のGKラットでES CN に対する勃起応答を改善した。ΔICP/MAP について得られた結果を調べる時に、慢性エンパグリフロジンは対照食を受けた糖尿病のGKラットと較べて勃起応答を改善すると思われるが、差が統計上検出し得なかった (p=0.08, 2方向ANOVA,図1)。
以下に、EFS (電界刺激)に対する分離された体の細片のin vitro一酸化窒素作動性非アドレナリン作用性非コリン作用性弛緩応答が記載される。
糖尿病のGKラットでは、PHE 予備収縮海綿体細片についてのEFS により誘発される弛緩はわずかであったが、25.3±0.9 mg/kg/ 日のエンパグリフロジンの4週の治療により有意に改善された(p < 0.05,2方向ANOVA, 図3)が、32 Hz でのEFS により誘発された最大の弛緩は治療された糖尿病のラットと治療されなかった糖尿病のラットの間で有意差がなかった (-42.0 ± 2.9 %対-48.7 ± 6.6%)。
結論すると、GKラットにおける勃起応答の障害と単一投与のシルデナフィル (0.3mg/kg) による部分的改善は先の研究(Aを参照のこと)。糖尿病のGKラットにおけるEDのこのモデルでは、AUC45/MAP 及びAUCtot/MAPの比のみが統計上有意な改善を示したとしても、25.3±0.9 mg/kg/日のエンパグリフロジンによる慢性治療がわずかであったが、一貫して勃起機能を改善した。慢性エンパグリフロジンのこの観察された勃起促進効果は0.3mg/kgのシルデナフィルの急性IV投与よりもわずかであるが、有意に低く留まった。更に、エンパグリフロジンの慢性投与は糖尿病のGKラットの体の細片における一酸化窒素作動性機能不全をわずかであるが、有意に改善した。
医薬組成物及び剤形の実施例
経口投与のための固体医薬組成物及び剤形の下記の実施例は本発明を実施例の内容に限定しないで本発明を一層充分に説明するのに利用できる。経口投与のための組成物及び剤形の更なる例が、WO 2010/092126に記載されている。“活性物質”という用語は本発明のエンパグリフロジン、特にWO2006/117359 及びWO 2011/039107に記載されたその結晶性形態を表す。
活性物質2.5mg 、5mg 、10mg、25mgを含む錠剤
Figure 2018514555
錠剤の製造、活性医薬成分、賦形剤及びフィルム被覆系に関する詳細がWO 2010/092126、特にその実施例5及び6に記載されており、これが本明細書にそのまま含まれる。

Claims (15)

  1. SGLT2 阻害薬を患者に投与する、前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された患者の血糖調節の改善方法であって、
    前記患者が勃起機能不全と診断された男性患者である、前記方法。
  2. SGLT2 阻害薬を患者に投与する、前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された男性患者の勃起機能不全の治療方法。
  3. 患者がPDE5阻害薬による治療に対し不充分な応答者又は非応答者である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 患者が60才以上である、請求項1、2又は3記載の方法。
  5. 患者がSGLT2 阻害薬を含まない一種以上の薬物による抗糖尿病治療にもかかわらず不充分な血糖調節を有する、請求項1から4の一つ以上に記載の方法。
  6. SGLT2 阻害薬の投与に加えて、SGLT2 阻害薬のクラスに属さない一種以上の抗糖尿病薬を患者に投与する、請求項1から5の一つ以上に記載の方法。
  7. SGLT2 阻害薬がエンパグリフロジンである、請求項1から6の一つ以上に記載の方法。
  8. エンパグリフロジンを2.5 〜25 mg の量で投与する、請求項7記載の方法。
  9. 勃起機能不全の治療に加えて、SGLT2 阻害薬を患者に投与する、前糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病又は代謝症候群と診断された男性患者の勃起機能不全の治療の改善方法。
  10. 勃起機能不全の治療がPDE5阻害薬又はアルプロスタジルからなる群から選ばれた一種以上の薬物の投与を含む、請求項9記載の方法。
  11. SGLT2 阻害薬がエンパグリフロジンである、請求項9又は10記載の方法。
  12. エンパグリフロジンを2.5 〜25 mg の量で投与する、請求項11記載の方法。
  13. SGLT2 阻害薬と、
    PDE5阻害薬、アポモルフィン又はアルプロスタジルからなる群から選ばれた一種以上の化合物と
    を含む、医薬組成物。
  14. SGLT2 阻害薬がエンパグリフロジンである、請求項13記載の医薬組成物。
  15. エンパグリフロジンの量が2.5 〜25 mg である、請求項13記載の医薬組成物。
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