JP2018205395A - ハーフミラー、導光装置および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低反射率領域において所望の光学特性を有するハーフミラーを提供する。
【解決手段】本発明のハーフミラーは、銀層と、銀層に接して設けられた凝集抑制層と、を備える。凝集抑制層は、ITOもしくはIGOで構成されていてもよい。または、凝集抑制層は、チオール基を有する有機分子膜で構成されていてもよい。または、凝集抑制層は、銀と元素X(X=Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのいずれか)とを含み、銀の含有率が97%以上である合金で構成されていてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のハーフミラーは、銀層と、銀層に接して設けられた凝集抑制層と、を備える。凝集抑制層は、ITOもしくはIGOで構成されていてもよい。または、凝集抑制層は、チオール基を有する有機分子膜で構成されていてもよい。または、凝集抑制層は、銀と元素X(X=Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのいずれか)とを含み、銀の含有率が97%以上である合金で構成されていてもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハーフミラー、導光装置および表示装置に関する。
近年、ウェアラブル情報機器の一つとして、ヘッドマウントディスプレイなどの観察者の頭部に装着して使用する方式の画像表示装置が提供されている。また、観察者が画像表示装置を装着した際に、表示素子で生成された画像と外界の像の双方を同時に視認できる画像表示装置、いわゆるシースルー型の画像表示装置が知られている。この種の画像表示装置においては、画像光を観察者の眼に向かって反射するとともに、外界光を観察者の眼に向かって透過させるハーフミラーが用いられている。
下記の特許文献1には、銀層と、第1酸化アルミニウム層と酸化チタン層とを含む第1誘電体多層膜と、酸化ジルコニウム系誘電体層と第2酸化アルミニウム層とを含む第2誘電体多層膜と、を含むハーフミラーが開示されている。特許文献1には、このハーフミラーでは主たる金属として銀が用いられており、銀はアルミニウムと比べて吸収による光の損失が小さいため、膜厚が厚くてもよく、成膜を安定して行うことができる、と記載されている。
誘電体多層膜を用いたハーフミラーでは、P偏光成分の反射率はブリュースター角の近傍で0%に限りなく近い値となる。したがって、表示装置の設計上、ハーフミラーへの光の入射角がブリュースター角に略一致する場合には、S偏光成分のみが画像光として利用されることになり、光利用効率の低下を招く。
そこで、光利用効率を低下させないようにP偏光成分とS偏光成分の双方を利用するため、金属膜を用いたハーフミラーが採用される。金属膜を用いたハーフミラーでは、金属膜の膜厚を調整することによって反射率および透過率を制御することができる。例えば特許文献1では、可視光の全波長域にわたって35%程度の反射率を得るために、膜厚が約19nmの銀膜を使用している。ところが、さらに低い反射率を得るためにさらに薄い銀膜を用いようとすると、所望の光学特性を有するハーフミラーを作製することが困難であった。
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであり、特に低反射率領域において所望の光学特性を有するハーフミラーを提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、上記のハーフミラーを備えた導光装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、上記の導光装置を備えた表示装置を提供することを目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様のハーフミラーは、銀層と、前記銀層に接して設けられた凝集抑制層と、を備えたことを特徴とする。
本発明の一つの態様によれば、凝集抑制層の存在によって銀の凝集が抑制されるため、光学特性に悪影響を及ぼす凝集が少なく、薄い膜厚の銀層が得られる。これにより、低反射率領域において所望の光学特性を有するハーフミラーを得ることができる。
本発明の一つの態様のハーフミラーにおいて、前記凝集抑制層は、インジウムスズ酸化物(ITO)もしくはインジウムガリウム酸化物(IGO)で構成されていてもよい。あるいは、前記凝集抑制層は、チオール基を有する有機分子膜で構成されていてもよい。あるいは、前記凝集抑制層は、銀と元素X(X=Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのいずれか)とを含み、銀の含有率が97%以上である合金で構成されていてもよい。
本発明者らは、前記凝集抑制層として上記の材料を用いることにより、低反射率領域において良好な光学特性を有するハーフミラーが得られることを確認した。詳細な内容については後述する。
本発明の一つの態様のハーフミラーにおいて、前記銀層の膜厚は12nm以下であってもよい。
この構成によれば、例えば20%程度の低い反射率を有するハーフミラーを得ることができる。
本発明の一つの態様のハーフミラーにおいて、前記銀層および前記凝集抑制層に接して設けられた誘電体層をさらに備えてもよい。
この構成によれば、誘電体層によって反射率の分光特性を調整することができ、可視光の広い波長域にわたって低い反射率を得ることができる。
本発明の他の一つの態様のハーフミラーは、銀と元素X(X=Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのいずれか)とを含み、銀の含有率が97%以上である合金層で構成されていることを特徴とする。
本発明の一つの態様によれば、銀単体ではなく、銀と上記の元素Xとを含む合金層を用いたことによって銀の凝集が抑制されるため、薄い膜厚の銀合金層が形成される。これにより、低反射率領域において所望の光学特性を有するハーフミラーを得ることができる。
本発明の一つの態様のハーフミラーにおいて、前記合金層の膜厚は12nm以下であってもよい。
この構成によれば、例えば20%程度の低い反射率を有するハーフミラーを得ることができる。
本発明の一つの態様のハーフミラーは、前記合金層に接して設けられた誘電体層をさらに備えてもよい。
この構成によれば、誘電体層によって反射率の分光特性を調整することができ、可視光の広い波長域にわたって低い反射率を得ることができる。
本発明の一つの態様の導光装置は、導光体と、前記導光体の内部を進行してきた光の一部を反射させる本発明の一つの態様のハーフミラーと、を備えたことを特徴とする。
本発明の一つの態様の導光装置は、本発明の一つの態様のハーフミラーを備えているため、所望の光学特性を有する。
本発明の一つの態様の表示装置は、画像形成装置と、前記画像形成装置で生成された画像光を導光する本発明の一つの態様の導光装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明の一つの態様の表示装置は、本発明の一つの態様の導光装置を備えているため、所望の表示特性を有する。
[第1実施形態:ハーフミラー]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図11を用いて説明する。
本実施形態のハーフミラーは、例えば後述する表示装置の画像光取り出し用のハーフミラーに用いて好適なものである。
図1は、第1実施形態のハーフミラーの断面図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図11を用いて説明する。
本実施形態のハーフミラーは、例えば後述する表示装置の画像光取り出し用のハーフミラーに用いて好適なものである。
図1は、第1実施形態のハーフミラーの断面図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
図1に示すように、本実施形態のハーフミラー51は、基材60の一面に設けられている。ハーフミラー51は、銀層62と、銀層62に接して設けられた凝集抑制層61と、を備えている。すなわち、銀層62は、基材60の一面側に設けられ、凝集抑制層61は、銀層62の下地層として銀層62と基材60との間に設けられている。
基材60は、例えばガラス、プラスチック等の光透過性を有する材料で構成されている。基材60の厚さは、一例として0.5mm〜2mm程度に設定されるが、特に限定されない。
凝集抑制層61は、基材60上に薄い膜厚の銀膜を形成したときに発生する銀の凝集を抑制するための下地層として機能する。凝集抑制層61は、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)もしくはインジウムガリウム酸化物(IGO)で構成されている。
あるいは、凝集抑制層61は、チオール基を有する有機分子膜で構成されている。チオール基を有する有機分子膜の具体的な材料としては、例えば3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
あるいは、凝集抑制層61は、銀(Ag)と元素X(X=Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのいずれか)を含み、銀の含有率が97%以上、元素Xの含有率が3%未満である合金で構成されている。
凝集抑制層61の膜厚は、一例として0.1〜2nm程度に設定されるが、特に限定されない。
本実施形態の銀層62は、銀の単体から構成されている。銀層62は、12nm以下の膜厚を有し、凝集抑制層61の一面に形成されている。銀層62を含むハーフミラー51は、例えば5%〜30%程度の比較的低い反射率を有する。
ここで、誘電体多層膜を用いた従来のハーフミラーの問題点を、図3を用いて説明する。
図3は、導光装置に用いられる光取り出し用の光学素子を示している。
図3に示すように、光学素子110は、導光体となる基材60と、複数のハーフミラー101と、を備えている。光Lは、S偏光成分LsとP偏光成分Lpとを含み、各偏光成分Ls,Lpの含有割合はそれぞれ50%とする。光Lは、ハーフミラー101に対して所定の入射角αで斜めに入射するように設定されている。ハーフミラー101の反射率は、例えば23%に設定されている。
図3は、導光装置に用いられる光取り出し用の光学素子を示している。
図3に示すように、光学素子110は、導光体となる基材60と、複数のハーフミラー101と、を備えている。光Lは、S偏光成分LsとP偏光成分Lpとを含み、各偏光成分Ls,Lpの含有割合はそれぞれ50%とする。光Lは、ハーフミラー101に対して所定の入射角αで斜めに入射するように設定されている。ハーフミラー101の反射率は、例えば23%に設定されている。
光Lの入射角αがブリュースター角に一致していたとすると、P偏光成分Lpの反射率は略0%となる。したがって、P偏光成分Lpは、ハーフミラー101をそのまま透過して基材60の内部を進行し、外部に取り出されることはない。この場合、S偏光成分Lsの反射率を46%に設定することにより、光Lの全偏光成分に対するハーフミラー101の反射率が23%となる。
光Lが最初に入射するハーフミラー101からの射出光をL3とし、光が2枚目に入射するハーフミラー101からの射出光をL4とすると、全光量に対する射出光L3(S偏光成分Ls)の光量の割合は、23%(=0.5×0.46)となり、全光量に対する射出光L4(S偏光成分Ls)の光量の割合は、12.42%(=0.5×0.54×0.46)となる。したがって、1枚目のハーフミラー101からの射出光と2枚目のハーフミラー101からの射出光との輝度の差は、10.58%となる。
このように、従来のハーフミラー101の場合、互いに隣り合うハーフミラーの間で、2枚目のハーフミラーからの射出光の輝度と同程度の輝度差が生じるため、射出光の明るさムラが大きい、という問題がある。
次に、本実施形態のハーフミラー51の作用を、図2を用いて説明する。
図2は、図3と同様、画像光を導光させるための導光装置に用いられる光取り出し用の光学素子を示している。
図2に示すように、光学素子70は、導光体となる基材60と、複数のハーフミラー51と、を備えている。光Lは、S偏光成分LsとP偏光成分Lpとを含み、各偏光成分Ls,Lpの含有割合は、それぞれ50%とする。光Lは、ハーフミラー51に対して所定の入射角αで斜めに入射するように設定されている。ハーフミラー51の反射率は、例えば23%に設定されている。
図2は、図3と同様、画像光を導光させるための導光装置に用いられる光取り出し用の光学素子を示している。
図2に示すように、光学素子70は、導光体となる基材60と、複数のハーフミラー51と、を備えている。光Lは、S偏光成分LsとP偏光成分Lpとを含み、各偏光成分Ls,Lpの含有割合は、それぞれ50%とする。光Lは、ハーフミラー51に対して所定の入射角αで斜めに入射するように設定されている。ハーフミラー51の反射率は、例えば23%に設定されている。
銀層等の金属層を用いたハーフミラーでは、誘電体多層膜のみを用いたハーフミラーと異なり、入射角αがブリュースター角に一致していたとしても、P偏光成分Lpの反射率が0%となることはない。S偏光成分Lsの反射率、P偏光成分Lpの反射率を、ともに23%に設定することができる。したがって、P偏光成分Lpは、S偏光成分Lsとともに外部に取り出される。
光Lが最初に入射するハーフミラー51からの射出光をL1とし、光Lが2枚目に入射するハーフミラー51からの射出光をL2とすると、光Lの全光量に対する射出光L1(S偏光成分Ls+P偏光成分Lp)の光量の割合は、23%(=0.5×0.23+0.5×0.23)となり、光Lの全光量に対する射出光L2(S偏光成分Ls+P偏光成分Lp)の光量の割合は、17.71%(=0.5×0.77×0.23+0.5×0.77×0.23)となる。したがって、1枚目のハーフミラー51からの射出光と2枚目のハーフミラー51からの射出光との輝度の差は、5.29%となる。
このように、本実施形態のハーフミラー51においては、反射率を従来のハーフミラー101と同じに設定した場合に、互いに隣り合うハーフミラー51の間の輝度差を従来の半分にすることができる。したがって、射出光の明るさムラを従来に比べて大きく低減することができる。
また、金属層を用いたハーフミラーであっても、反射率を35%とした場合、上記と同様に計算すると、互いに隣り合うハーフミラーからの射出光の輝度の差は、12.25%となり、明るさムラが大きくなる。ここで、ハーフミラーの反射率を30%以下に設定すれば、互いに隣り合うハーフミラーからの射出光の輝度差を略10%以下に抑えることができ、明るさムラを低減することができる。したがって、ハーフミラーの反射率は30%以下であることが望ましい。上記の輝度差が10%以下であれば、人の眼で感知しづらく、ムラが視認できないことが実験で確認されている。さらに、輝度差が5%以下であれば、より完全にムラが視認できないことが実験で確認されている。
本発明者らは、本実施形態の構成を基本とする複数種のハーフミラーを実際に作製し、ハーフミラーの銀層の外観および光学特性の評価を行った。以下、その結果について説明する。
実施例1として、IGOからなる凝集抑制層の上に銀層を形成した形態のハーフミラーを作製した。
実施例2として、有機薄膜の一種である3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる凝集抑制層の上に銀層を形成した形態のハーフミラーを作製した。
比較例1として、凝集抑制層を設けることなく、基材の上に銀層を直接形成した形態のハーフミラーを作製した。
実施例1、実施例2および比較例1のいずれのハーフミラーにおいても、銀層の膜厚の目標値を10nmとした。また、基材として、光学ガラスの一種であるBK7を用いた。
実施例2として、有機薄膜の一種である3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる凝集抑制層の上に銀層を形成した形態のハーフミラーを作製した。
比較例1として、凝集抑制層を設けることなく、基材の上に銀層を直接形成した形態のハーフミラーを作製した。
実施例1、実施例2および比較例1のいずれのハーフミラーにおいても、銀層の膜厚の目標値を10nmとした。また、基材として、光学ガラスの一種であるBK7を用いた。
図4は、実施例1のハーフミラーの銀層の表面状態を示すSEM写真である。図5は、実施例2のハーフミラーの銀層の表面状態を示すSEM写真である。図6は、比較例1のハーフミラーの銀層の表面状態を示すSEM写真である。図7は、比較例1において、特に銀の凝集の様子を示すSEM写真である。これらのSEM写真において、相対的に明るく見える部分は銀であり、相対的に暗く見える部分は下地が露出した部分である。また、SEMの加速電圧は1kVであり、倍率は10万倍である。
図6および図7に示すように、凝集抑制層を備えていない比較例1のハーフミラーでは、基材の一面に多数の銀の粒塊が形成されていた。粒塊の直径は、40nm程度であった。多数の粒塊の各々は、基材上で孤立しており、連続した膜を構成していないことが確認された。このように、多数の銀の粒塊が設けられた基材上に光が入射すると、プラズモン吸収が生じ、光の損失が発生する。
これに対して、図4に示すように、IGOからなる凝集抑制層を備えた実施例1のハーフミラーでは、比較例1のハーフミラーでは孤立していた銀の粒塊同士が繋がって緻密な膜へと成長し、銀層の形態をなしていることが確認された。また、図5に示すように、有機薄膜からなる凝集抑制層を備えた実施例2のハーフミラーでも、実施例1のハーフミラーと同様の外観を呈することが確認された。
このように、銀層の下地層として上記の凝集抑制層が用いられることによって、銀の凝集を抑制できることが確認された。
このように、銀層の下地層として上記の凝集抑制層が用いられることによって、銀の凝集を抑制できることが確認された。
なお、本発明における銀層は、非常に薄い膜厚を有するため、図4および図5に示すように、下地が露出した部分が存在していてもよく、銀の粒塊は完全に孤立しておらず、隣り合う粒塊同士が少なくとも一部で繋がっている状態の銀の膜のことを指す。
次に、ハーフミラーの光学特性を評価するため、図8に示すハーフミラーを作製した。
図8に示すように、光学特性評価用のハーフミラー52は、基材60と、第1誘電体層63と、凝集抑制層61と、銀層62と、第2誘電体層64と、第3誘電体層65と、を備えている。第1誘電体層63、凝集抑制層61、銀層62、および第2誘電体層64は、基材60の一面にこの順に積層されている。この種のハーフミラー52を用いて、大気中で評価を行うことにより、簡易的な誘電体多層膜からなるハーフミラー52の光学特性を評価することができる。このように、ハーフミラー52は、銀層62および凝集抑制層61に接して設けられた誘電体層をさらに備えている。
図8に示すように、光学特性評価用のハーフミラー52は、基材60と、第1誘電体層63と、凝集抑制層61と、銀層62と、第2誘電体層64と、第3誘電体層65と、を備えている。第1誘電体層63、凝集抑制層61、銀層62、および第2誘電体層64は、基材60の一面にこの順に積層されている。この種のハーフミラー52を用いて、大気中で評価を行うことにより、簡易的な誘電体多層膜からなるハーフミラー52の光学特性を評価することができる。このように、ハーフミラー52は、銀層62および凝集抑制層61に接して設けられた誘電体層をさらに備えている。
実施例1として、基材上に第1誘電体層としてのZrO2、IGOからなる凝集抑制層、銀層、第2誘電体層としてのZrO2、第3誘電体層としてのSiO2を順次積層したハーフミラーを作製した。
実施例2として、基材上に第1誘電体層としてのZrO2、有機薄膜としての3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランまたは3−メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる凝集抑制層、銀層、第2誘電体層としてのZrO2、第3誘電体層としてのSiO2を順次積層したハーフミラーを作製した。
比較例1として、基材上に第1誘電体層としてのZrO2、銀層、第2誘電体層としてのZrO2、第3誘電体層としてのSiO2を順次積層したハーフミラーを作製した。
実施例2として、基材上に第1誘電体層としてのZrO2、有機薄膜としての3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランまたは3−メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる凝集抑制層、銀層、第2誘電体層としてのZrO2、第3誘電体層としてのSiO2を順次積層したハーフミラーを作製した。
比較例1として、基材上に第1誘電体層としてのZrO2、銀層、第2誘電体層としてのZrO2、第3誘電体層としてのSiO2を順次積層したハーフミラーを作製した。
図9は、実施例1のハーフミラーによる反射率および透過率の分光特性を示す図である。図10は、実施例2のハーフミラーによる反射率および透過率の分光特性を示す図である。図11は、比較例1のハーフミラーによる反射率および透過率の分光特性を示す図である。
図9、図10において、横軸は波長(nm)であり、縦軸は反射率(%)もしくは透過率(%)、もしくは反射率と透過率の合計(%)である。
符号SRで示す曲線は、反射率の設計値(シミュレーション値)に関する分光特性を示す。符号STで示す曲線は、透過率の設計値(シミュレーション値)に関する分光特性を示す。符号SYで示す曲線は、反射率の設計値(シミュレーション値)と透過率の設計値(シミュレーション値)との合計を示す。符号JRで示す曲線は、反射率の実測値に関する分光特性を示す。符号JTで示す曲線は、透過率の実測値に関する分光特性を示す。符号JYで示す曲線は、反射率の実測値と透過率の実測値との合計を示す。
符号SRで示す曲線は、反射率の設計値(シミュレーション値)に関する分光特性を示す。符号STで示す曲線は、透過率の設計値(シミュレーション値)に関する分光特性を示す。符号SYで示す曲線は、反射率の設計値(シミュレーション値)と透過率の設計値(シミュレーション値)との合計を示す。符号JRで示す曲線は、反射率の実測値に関する分光特性を示す。符号JTで示す曲線は、透過率の実測値に関する分光特性を示す。符号JYで示す曲線は、反射率の実測値と透過率の実測値との合計を示す。
反射率と透過率との合計と100%との差分Gは、ハーフミラーによる光の吸収分に相当すると考えられる。そこで、実測値の合計スペクトル曲線JYに着目すると、比較例1のハーフミラーの場合、図11に示すように、上記の差分Gが比較的大きく、光の吸収が生じていることが確認された。この光の吸収は、銀の凝集に伴うプラズモン吸収によるものと推察することができる。
これに対し、実施例1のハーフミラーの場合、図9に示すように、上記の差分Gが比較例1と比べて小さく、光の吸収が大幅に抑制されていることが確認された。また、実施例2のハーフミラーについても、図10に示すように、実施例1と同様、上記の差分Gが比較例1と比べて小さく、光の吸収が大幅に抑制されていることが確認された。
本実施形態のハーフミラー51においては、誘電体多層膜ではなく、銀層62を用いることによって、ブリュースター角近傍の入射角においてもP偏光成分を利用することができる。その結果、同じ光利用効率であっても、S偏光成分のみを反射できる誘電体多層膜よりも、S偏光成分、P偏光成分の両方を使える銀層62を用いたハーフミラーの方が反射率および反射光の輝度を高く確保できる。
銀層62の下地に凝集抑制層61が設けられたことによって銀の凝集が抑制される結果、膜厚が薄い銀層を比較的安定して形成することができる。これにより、ハーフミラー51における光の吸収が抑制されるため、低反射率領域において所望の光学特性を有するハーフミラーを得ることができる。特に、銀層62の膜厚を12nm以下とすることにより、ハーフミラーの反射率を30%以下程度にまで低く制御することができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図12〜図20を用いて説明する。
第2実施形態のハーフミラーの基本構成は第1実施形態と同様であり、誘電体層の構成が第1実施形態と異なる。
図12は、第2実施形態のハーフミラーの断面図である。
図12において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、本発明の第2実施形態について、図12〜図20を用いて説明する。
第2実施形態のハーフミラーの基本構成は第1実施形態と同様であり、誘電体層の構成が第1実施形態と異なる。
図12は、第2実施形態のハーフミラーの断面図である。
図12において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態のハーフミラー53は、第1誘電体層81と、第2誘電体層82と、第3誘電体層83と、第4誘電体層84と、第5誘電体層85と、第6誘電体層86と、銀層87と、第7誘電体層88と、第8誘電体層89と、第9誘電体層90と、第10誘電体層91と、第11誘電体層92と、接着層93と、を備えている。本実施形態のハーフミラー53は、第1実施形態と異なり、凝集抑制層61を備えていない。
本実施形態の銀層87は、銀と元素X(X=Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのいずれか)とを含み、銀の含有率が97%以上であり、元素Xの含有率が3%未満である合金層で構成されている。合金層の膜厚は、12nm以下である。なお、元素Xは、Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのうち、1種の元素のみを含んでいてもよいし、2種以上の元素を含んでいてもよい。2種以上の元素を含む場合、2種以上の元素の含有率の合計が3%未満であればよい。すなわち、本実施形態のハーフミラー53は、銀層87を構成する合金層に接して設けられた誘電体層をさらに備えている。
本発明者らは、種々の検討の結果、合金層中の銀の含有率が97%未満であると、銀の凝集は抑制できる反面、元素Xによる光の吸収が大きくなり、透過する光の光ロスが生じることを確認した。この光ロスは可視域の波長で特に顕著に生じた。そのため、銀の含有率は97%以上である必要がある。また、合金層中の元素Xの含有率は、0.5%以上、かつ3%未満であることが望ましい。その理由は、元素Xの含有率が0.5%未満では、銀の凝集抑制効果が十分に得られないからである。
第1誘電体層81、第2誘電体層82、第3誘電体層83、第4誘電体層84、第5誘電体層85、第6誘電体層86、第7誘電体層88、第8誘電体層89、第9誘電体層90、第10誘電体層91および第11誘電体層92は、例えばAl2O3,ZrO2,SiO2,TiO2等の誘電体多層膜で一般的に用いられる材料を適宜組み合わせて用いることができる。この例では、11層の誘電体層が用いられているが、誘電体層の数は、ハーフミラー53に要求される光学特性に合わせて適宜変更が可能である。また、各誘電体層の膜厚についても、ハーフミラー53に要求される光学特性に合わせて適宜変更が可能である。
接着層93は、後の実施形態で例示する光学素子を作製する際に、ハーフミラー53が一面に設けられた基材60同士を貼り合わせるための接着剤からなる層である。接着層93としては、例えばアクリル系、エポキシ系などの光透過性を有する紫外線硬化型接着剤が用いられる。
本実施形態のハーフミラー53では、凝集抑制層61が用いられていないが、銀と元素Xとの合金で銀層87が構成されていることによって、銀の凝集が抑制される。換言すると、銀層87が元素Xを含んでいることによって、銀の凝集が抑制される。
本発明者らは、本実施形態に基づく複数種類のハーフミラーを実際に作製し、ハーフミラーの外観および光学特性の評価を行った。以下、その結果について説明する。
実施例3として、下記の表1に示す層構成を有するハーフミラーを作製した。ハーフミラーの反射率の目標値は、15%である。また、銀層中の銀(Ag)の含有率は99%であり、銅(Cu)の含有率は1%である。このとき、銅(Cu)合金として、金(Au)の含有率を0.5%、銅(Cu)の含有率を0.5%としてもよい。
なお、表1中の層の名称の後の番号は、図12中の各層の符号に対応している。
なお、表1中の層の名称の後の番号は、図12中の各層の符号に対応している。
実施例4として、下記の表2に示す層構成を有するハーフミラーを作製した。ハーフミラーの反射率の目標値は、20%である。また、銀層中の銀(Ag)の含有率は99%であり、銅(Cu)の含有率は1%である。このとき、銅(Cu)合金として、金(Au)の含有率を0.5%、銅(Cu)の含有率を0.5%としてもよい。
なお、表2中の層の名称の後の番号は、図12中の各層の符号に対応している。
なお、表2中の層の名称の後の番号は、図12中の各層の符号に対応している。
比較例2として、実施例3,4で用いた銀と銅との合金層に代えて、銀の単体からなる銀層を基材上に形成したハーフミラーを作製した。
図13は、実施例3のハーフミラーの外観を示すSEM写真である。図14は、実施例4のハーフミラーの外観を示すSEM写真である。図15は、比較例2のハーフミラーの外観を示すSEM写真である。これらのSEM写真において、相対的に明るく見える部分は銀であり、相対的に暗く見える部分は下地が露出した部分である。また、SEMの加速電圧は1kVであり、倍率は10万倍である。
図15に示すように、合金層を用いなかった比較例2のハーフミラーの場合、基材の一面に多数の銀の粒塊が形成されていた。粒塊の径は50〜100nm程度であった。多数の粒塊の各々は、基材の一面上で孤立しており、連続した膜を構成していないことが確認された。このように、多数の銀の粒塊の上に光が入射すると、プラズモン吸収が生じ、光の損失が発生した。
これに対して、図13に示すように、膜厚が10.2nmの銀−銅合金層を備えた実施例3のハーフミラーの場合、銅の存在によって銀単体の凝集が抑制され、より緻密な膜が成長し、銀層が形成されていることが確認された。また、図14に示すように、膜厚が11.9nmの銀−銅合金層を備えた実施例4のハーフミラーの場合も、実施例3のハーフミラーと同様の外観を呈することが確認された。このように、上記の合金層が用いられることによって、銀の凝集を抑制できることが確認された。
図16は、実施例3のハーフミラーによる反射率および透過率の分光特性を示す図である。図17は、実施例4のハーフミラーによる反射率および透過率の分光特性を示す図である。
図16、図17において、横軸は波長(nm)であり、縦軸は反射率(%)もしくは透過率(%)である。
符号Rp54で示す曲線は、P偏光成分の入射角54°における反射率の分光特性を示す。符号Rs54で示す曲線は、S偏光成分の入射角54°における反射率の分光特性を示す。符号Rp62で示す曲線は、P偏光成分の入射角62°における反射率の分光特性を示す。符号Rs62で示す曲線は、S偏光成分の入射角62°における反射率の分光特性を示す。符号Rp70で示す曲線は、P偏光成分の入射角70°における反射率の分光特性を示す。符号Rs70で示す曲線は、S偏光成分の入射角70°における反射率の分光特性を示す。符号Tp62で示す曲線は、P偏光成分の入射角62°における透過率の分光特性を示す。符号Ts62で示す曲線は、S偏光成分の入射角62°における透過率の分光特性を示す。
符号Rp54で示す曲線は、P偏光成分の入射角54°における反射率の分光特性を示す。符号Rs54で示す曲線は、S偏光成分の入射角54°における反射率の分光特性を示す。符号Rp62で示す曲線は、P偏光成分の入射角62°における反射率の分光特性を示す。符号Rs62で示す曲線は、S偏光成分の入射角62°における反射率の分光特性を示す。符号Rp70で示す曲線は、P偏光成分の入射角70°における反射率の分光特性を示す。符号Rs70で示す曲線は、S偏光成分の入射角70°における反射率の分光特性を示す。符号Tp62で示す曲線は、P偏光成分の入射角62°における透過率の分光特性を示す。符号Ts62で示す曲線は、S偏光成分の入射角62°における透過率の分光特性を示す。
また、図16、図17において、符号CBで示す曲線は、光源として用いた有機EL装置の青色光の発光スペクトルを示す。符号CGで示す曲線は、光源として用いた有機EL装置の緑色光の発光スペクトルを示す。符号CRで示す曲線は、光源として用いた有機EL装置の赤色光の発光スペクトルを示す。
図16に示すように、実施例3のハーフミラーにおいては、反射率と透過率との合計(図示せず)が可視波長域の略全体にわたって100%に近く、光の吸収が小さいことが確認された。図17に示すように、実施例4のハーフミラーにおいても、実施例3と同様、反射率と透過率との合計(図示せず)が可視波長域の略全体にわたって100%に近く、光の吸収が小さいことが確認された。
また、図16、図17に示すように、実施例3,4のハーフミラーにおいては、反射率および透過率の波長依存性が、図9、図10に示した実施例1,2のハーフミラーに比べて小さくなっている。この理由は、実施例3,4のハーフミラーで用いた複数の誘電体層の作用と考えられる。すなわち、銀層の上下に複数種の誘電体層を積層することにより、広い波長域にわたって変動が小さい反射率および透過率を有するハーフミラーを得ることができる。さらに、積層する誘電体の種類や膜厚を変えることにより、図16や図17で示される分光特性の形状を調整することができ、射出光の色バランスや色域を制御することができる。
[第3実施形態:表示装置]
本実施形態の表示装置は、例えば観察者が頭部に装着して用いるヘッドマウントディスプレイとして用いられる。
図18は、本実施形態の表示装置の断面図である。図19は、導光装置を観察者の側から見た裏面図である。図20は、導光装置による画像光の光路を示す図である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
本実施形態の表示装置は、例えば観察者が頭部に装着して用いるヘッドマウントディスプレイとして用いられる。
図18は、本実施形態の表示装置の断面図である。図19は、導光装置を観察者の側から見た裏面図である。図20は、導光装置による画像光の光路を示す図である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
(導光装置および表示装置の全体構成)
図18に示すように、表示装置100は、画像形成装置10と、導光装置20と、を備えている。図18は、図19に示す導光装置20のA−A断面と対応する。
表示装置100は、画像形成装置10による画像を観察者に虚像として視認させるとともに、外界像を観察者にシースルーで観察させる。表示装置100において、画像形成装置10と導光装置20とは、観察者の右眼と左眼とに対応して一組ずつ設けられている。右眼用の装置と左眼用の装置とは、構成が同一であり、各構成要素の配置が左右対称である点のみが異なる。そのため、ここでは左眼用の部分のみを図示し、右眼用の部分の図示を省略する。表示装置100は、全体として例えば眼鏡のような外観を有する。
図18に示すように、表示装置100は、画像形成装置10と、導光装置20と、を備えている。図18は、図19に示す導光装置20のA−A断面と対応する。
表示装置100は、画像形成装置10による画像を観察者に虚像として視認させるとともに、外界像を観察者にシースルーで観察させる。表示装置100において、画像形成装置10と導光装置20とは、観察者の右眼と左眼とに対応して一組ずつ設けられている。右眼用の装置と左眼用の装置とは、構成が同一であり、各構成要素の配置が左右対称である点のみが異なる。そのため、ここでは左眼用の部分のみを図示し、右眼用の部分の図示を省略する。表示装置100は、全体として例えば眼鏡のような外観を有する。
画像形成装置10は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子11と、投射レンズ12と、を備えている。有機EL素子11は、動画像、静止画像等の画像を構成する画像光GLを射出する。なお、有機EL素子11に限らず、液晶素子等を備えた画像形成装置を用いてもよい。投射レンズ12は、有機EL素子11上の各点から射出された画像光GLを略平行光線にするコリメートレンズで構成されている。投射レンズ12は、ガラスもしくはプラスチックで形成され、1枚に限らず、複数枚で構成されていてもよい。投射レンズ12は、球面レンズに限らず、非球面レンズ、自由曲面レンズ等で構成されていてもよい。
導光装置20は、平板状の光透過部材で構成されている。導光装置20は、画像形成装置10で生成された画像光GLを導光した後に観察者の眼EYに向けて射出する一方、外界像を構成する外界光ELを透過させる。導光装置20は、画像光を取り込む入射部21と、主に画像光を導光させる平行導光体22と、画像光GLおよび外界光ELを取り出すための射出部23と、を備える。平行導光体22と入射部21とは、高い光透過性を有する樹脂材料により一体成形されている。本実施形態において、導光装置20を伝播する画像光GLの光路は、同一回数反射される1種類の光路からなり、複数種類の光路が合成されるものではない。導光装置20は、平行導光体22と、平行導光体22の内部を進行してきた光の一部を反射させる、後述のハーフミラー53と、を備えている。
平行導光体22は、観察者の眼EYが正面を見ているときの視線を基準とする光軸AXに対して傾いて配置されている。平行導光体22の平面22aの法線方向Zは、光軸AXに対して角度κだけ傾いている。これにより、平行導光体22を顔の前面に沿って配置でき、平行導光体22の平面22aの法線は、光軸AXに対して傾きを有する。このように、平行導光体22の平面22aの法線を光軸AXに平行なz方向に対して角度κだけ傾けたことにより、光学素子30から射出させる光軸AX上およびその近傍の画像光GL0は、光射出面OSの法線に対して角度κをなす。
なお、光軸AXに平行な方向をz方向とし、z方向に垂直な面のうち、水平方向をx方向とし、鉛直方向をy方向とする。
なお、光軸AXに平行な方向をz方向とし、z方向に垂直な面のうち、水平方向をx方向とし、鉛直方向をy方向とする。
入射部21は、光入射面ISと、反射面RSと、を有する。画像形成装置10からの画像光GLは、光入射面ISを介して入射部21内に取り込まれる。入射部21内に取り込まれた画像光GLは、反射面RSで反射して平行導光体22の内部に導かれる。光入射面ISは、投射レンズ12から見て凹となる曲面21bから形成されている。曲面21bは、反射面RSで反射された画像光GLを内面側で全反射する機能も有する。
反射面RSは、投射レンズ12から見て凹となる曲面21aから形成されている。反射面RSは、曲面21a上に蒸着法等により成膜されたアルミニウム膜等の金属膜から構成されている。反射面RSは、光入射面ISから入射した画像光GLを反射して光路を折り曲げる。曲面21bは、反射面RSで反射された画像光GLを内側で全反射して光路を折り曲げる。このように、入射部21は、光入射面ISから入射した画像光GLを2回反射させ、光路を折り曲げることにより、画像光GLを平行導光体22の内部に確実に導く。
平行導光体22は、y軸に対して平行、かつz軸に対して傾斜した平板状の導光部材である。平行導光体(導光体)22は、光透過性を有する樹脂材料等によって形成され、互いに略平行な一対の平面22a,22bを有する。平面22a,22bは、平行平面であるため、外界像の拡大やフォーカスズレを生じることがない。平面22aは、入射部21からの画像光を全反射させる全反射面として機能し、画像光GLを少ない損失で射出部23に導く。平面22aは、平行導光体22の外界側に配置されて第1の全反射面として機能し、本明細書中においては外界側面とも称する。
平面22bは、本明細書中においては観察者側面とも称する。平面22b(観察者側面)は、射出部23の一端まで延びている。ここで、平面22bは、平行導光体22と射出部23との境界面IFである(図20参照)。
平行導光体22において、入射部21の反射面RSもしくは光入射面ISで反射された画像光GLは、全反射面である平面22aに入射し、平面22aで全反射され、導光装置20の奥側、すなわち射出部23が設けられた+x側もしくはX側に導かれる。図19に示すように、平行導光体22は、導光装置20の外形のうち、+x側の端面として終端面ESを有する。また、平行導光体22は、±y側の端面として上端面TPおよび下端面BPを有する。
なお、平面22bの面法線方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面のうち、水平方向をX方向とし、鉛直方向をY方向とする。
なお、平面22bの面法線方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面のうち、水平方向をX方向とし、鉛直方向をY方向とする。
図20に示すように、射出部23は、平行導光体22の奥側(+x側)において、平面22bもしくは境界面IFに沿って板状に構成されている。射出部23は、平行導光体22の外界側の平面(全反射面)22aの領域FRで全反射された画像光GLを通過させる際に、入射した画像光GLを所定の角度で反射して光射出面OS側へ折り曲げる。ここでは、射出部23にこれを透過することなく最初に入射する画像光GLが虚像光としての取り出し対象である。つまり、射出部23において光射出面OSの内面で反射される光があっても、これは画像光として利用されない。
射出部23は、光透過性を有する複数のハーフミラー53が一方向に配列された光学素子30を有する。光学素子30の構造については、図21等を参照して後に詳述する。光学素子30は、平行導光体22の観察者側の平面22bに沿って設けられている。
導光装置20が以上のような構造を有することから、図20に示すように、画像形成装置10から射出され、光入射面ISから導光装置20に入射した画像光GLは、入射部21で複数回反射することによって光路が折り曲げられ、平行導光体22の平面22aの領域FRにおいて全反射されて光軸AXに略沿って進む。+z側の平面22aの領域FRで反射された画像光GLは、射出部23に入射する。
この際、xy面内において、領域FRの長手方向の幅は、射出部23の長手方向の幅よりも狭い。つまり、画像光GLの光線束が射出部23(もしくは光学素子30)に入射する入射幅は、画像光GLの光線束が領域FRに入射する入射幅よりも広い。このように、画像光GLの光線束が領域FRに入射する入射幅を相対的に狭くすることにより、光路の干渉が生じにくくなり、境界面IFを導光に利用することなく、すなわち、境界面IFで画像光GLを反射させず、領域FRからの画像光GLを射出部23(もしくは光学素子30)に直接入射させることが容易になる。
射出部23に入射した画像光GLは、射出部23において適切な角度で折り曲げられることで取り出し可能な状態となり、最終的に光射出面OSから射出される。光射出面OSから射出された画像光GLは、虚像光として観察者の眼EYに入射する。当該虚像光が観察者の網膜において結像することで、観察者は虚像による画像光GLを認識することができる。
ここで、像形成に用いられる画像光GLが射出部23に入射する角度は、光源側の入射部21から離れるに従って大きくなっている。すなわち、射出部23の奥側には、外界側の平面22aに平行なZ方向、または光軸AXに対して傾きの大きな画像光GLが入射して比較的大きな角度で折り曲げられ、射出部23の前側には、Z方向、または光軸AXに対して傾きの小さな画像光GLが入射して比較的小さな角度で折り曲げられる。
(画像光の光路)
以下、画像光の光路について詳しく説明する。
図20に示すように、有機EL素子11の射出面11a上からそれぞれ射出される画像光のうち、破線で示す射出面11aの中央部分から射出される成分を画像光GL0とし、1点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面左側(−xおよび+z側)から射出される成分を画像光GL1とし、2点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面右側(+xおよび−z側)から射出される成分を画像光GL2とする。これらのうち、画像光GL0の光路は光軸AXに沿って延びるものとする。
以下、画像光の光路について詳しく説明する。
図20に示すように、有機EL素子11の射出面11a上からそれぞれ射出される画像光のうち、破線で示す射出面11aの中央部分から射出される成分を画像光GL0とし、1点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面左側(−xおよび+z側)から射出される成分を画像光GL1とし、2点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面右側(+xおよび−z側)から射出される成分を画像光GL2とする。これらのうち、画像光GL0の光路は光軸AXに沿って延びるものとする。
投射レンズ12を経た画像光GL0,GL1,GL2の主要成分は、導光装置20の光入射面ISからそれぞれ入射した後、入射部21を経て平行導光体22内を通過して射出部23に至る。具体的には、画像光GL0,GL1,GL2のうち、射出面11aの中央部分から射出された画像光GL0は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、標準反射角θ0で一方の平面22aの領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23の中央の部分23kに直接的に入射する。画像光GL0は、部分23kにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから光射出面OSを含むXY面に対して傾いた光軸AX方向(Z方向に対して角度κの方向)に平行光束として射出される。
射出面11aの一端側(−x側)から射出された画像光GL1は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、最大反射角θ1で平面22aの領域FRに入射して全反射される。さらに、画像光GL1は、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23のうち、奥側(+x側)の部分23hにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角γ1は、入射部21側に戻される角度が相対的に大きくなっている。
一方、射出面11aの他端側(+x側)から射出された画像光GL2は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、最小反射角θ2で平面22aの領域FRに入射して全反射される。さらに、画像光GL2は、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23のうち、入口側(−x側)の部分23mにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角γ2は、入射部21側に戻される角度が相対的に小さくなっている。
なお、画像光GL0,GL1,GL2で示す3本の光線成分は、画像光GLの光線全体の一部を代表して説明したものであるが、画像光GLを構成する他の光線成分についても画像光GL0等の光線成分と同様に導かれ、光射出面OSから射出される。そのため、これらについては図示および説明を省略する。
ここで、入射部21および平行導光体22に用いられる透明樹脂材料の屈折率nの値の一例として、n=1.4とすると、臨界角θcの値はθc≒45.6°となる。画像光GL0,GL1,GL2の反射角θ0,θ1,θ2のうち、最小である反射角θ2を臨界角θcよりも大きな値とすることにより、必要な画像光について全反射条件を満たすものとすることができる。
中央向けの画像光GL0は、仰角φ0(=90°−θ0)で射出部23の部分23kに入射する。周辺向けの画像光GL1は、仰角φ1(=90°−θ1)で射出部23の部分23hに入射する。周辺向けの画像光GL2は、仰角φ2(=90°−θ2)で射出部23の部分23mに入射する。ここで、仰角φ0,φ1,φ2間には、反射角θ0,θ1,θ2の大小関係を反映して、φ2>φ0>φ1の関係が成り立っている。すなわち、光学素子30のハーフミラー53への入射角ι(図21参照)は、仰角φ2に対応する部分23m、仰角φ0に対応する部分23k、仰角φ1に対応する部分23hの順で徐々に小さくなる。換言すれば、ハーフミラー53への入射角ιもしくはハーフミラー53での反射角は、入射部21から離れるに従って小さくなる。
平行導光体22の外界側の平面22aで反射されて射出部23に向かう画像光GLの光線束の全体的な挙動について説明する。
図20に示すように、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、平行導光体22の外界側の領域FRで反射される前後の直進光路P1,P2のいずれかで幅が絞られる。具体的には、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、領域FR近辺、つまり直進光路P1,P2の境界付近で直進光路P1,P2に跨るような位置で全体として幅が絞られてビーム幅が細くなっている。これにより、画像光GLの光線束を射出部23の手前で絞ることになり、横方向の視野角を比較的広くすることが容易になる。なお、図示の例では、画像光GLの光線束が直進光路P1,P2に跨るような位置で幅が絞られてビーム幅が細くなっているが、直進光路P1,P2のいずれか片側のみで幅が絞られてビーム幅が細くなってもよい。
図20に示すように、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、平行導光体22の外界側の領域FRで反射される前後の直進光路P1,P2のいずれかで幅が絞られる。具体的には、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、領域FR近辺、つまり直進光路P1,P2の境界付近で直進光路P1,P2に跨るような位置で全体として幅が絞られてビーム幅が細くなっている。これにより、画像光GLの光線束を射出部23の手前で絞ることになり、横方向の視野角を比較的広くすることが容易になる。なお、図示の例では、画像光GLの光線束が直進光路P1,P2に跨るような位置で幅が絞られてビーム幅が細くなっているが、直進光路P1,P2のいずれか片側のみで幅が絞られてビーム幅が細くなってもよい。
(光学素子の構成)
以下、射出部23を構成する光学素子30の構成について説明する。
図21は、本実施形態の光学素子30の拡大図である。
射出部23は、平行導光体22の視認側の面に設けられた光学素子30で構成されている。したがって、射出部23は、平行導光体22と同様に、光軸AXに対して角度κだけ傾いたXY平面に沿って設けられている。
以下、射出部23を構成する光学素子30の構成について説明する。
図21は、本実施形態の光学素子30の拡大図である。
射出部23は、平行導光体22の視認側の面に設けられた光学素子30で構成されている。したがって、射出部23は、平行導光体22と同様に、光軸AXに対して角度κだけ傾いたXY平面に沿って設けられている。
図21に示すように、光学素子30は、複数のハーフミラー53と、複数の透光性部材32と、を備えている。複数のハーフミラー53は、間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光GLおよび外界光ELの一部を反射させ、画像光GLおよび外界光ELの他の一部を透過させる。透光性部材32は、複数のハーフミラー53の隣り合う2つのハーフミラー53の間に介在する。すなわち、光学素子30は、複数の透光性部材32が、隣り合う2つの透光性部材32の間にそれぞれハーフミラー53を挟持した構成を有する。換言すると、光学素子30は、ハーフミラー53と透光性部材32とが交互に配置された構成を有する。
透光性部材32は、長手方向に垂直な断面形状が平行四辺形の柱状の部材である。したがって、透光性部材32は、長手方向に平行に延び、互いに平行な一対の平面を2組有している。これら2組の一対の平面のうち、一方の組の一方の平面が画像光GLおよび外界光ELを入射させる入射面32aであり、一方の組の他方の平面が画像光GLおよび外界光ELを射出させる射出面32bである。また、他方の組の一方の平面に、ハーフミラー53が設けられている。透光性部材32は、例えばガラス、透明樹脂等により構成されている。
複数の透光性部材32は、一対の透光性部材32とハーフミラー53とからなる組を複数貼り合わせたときに、複数のハーフミラー53が互いに平行に配置された形態となるように構成されている。図21では図示を省略するが、ハーフミラー53の一方の面と隣り合う透光性部材32との間には、接着材層が設けられている。これにより、光学素子30は、全体として矩形板状の部材となる。透光性部材32の入射面32aもしくは射出面32bの法線方向から光学素子30を見ると、細い帯状の複数のハーフミラー53がストライプ状に並べられた構造となる。すなわち、光学素子30は、矩形状のハーフミラー53が平行導光体22の延びる方向、すなわちX方向に所定の間隔(ピッチPT)をおいて複数配列された構成を有する。
ハーフミラー53は、透光性部材32間に挟まれた反射膜で構成されている。反射膜は、例えば屈折率が異なる複数の誘電体薄膜が交互に積層された誘電体多層膜で構成されている。あるいは、反射膜は、金属膜で構成されていてもよい。ハーフミラー53は、ハーフミラー53の短辺が透光性部材32の入射面32aおよび射出面32bに対して傾斜して設けられている。より具体的には、ハーフミラー53は、平行導光体22の外界側に向かって反射面31rが入射部21側を向くように傾斜している。換言すると、ハーフミラー53は、ハーフミラー53の長辺(Y方向)を軸として、平面22a,22bに直交するYZ面を基準として上端(+Z側)が反時計周りに回転する方向に傾斜している。
ハーフミラー53の画像光GLに対する反射率は、シースルーによる外界光ELを透過させ、外界像の観察を容易にする観点から、想定される画像光GLの入射角範囲において、例えば10%以上、50%以下とされている。また、ハーフミラー53は、ハーフミラー53の面に対して相対的に小さい入射角で入射した画像光GLの反射率が、相対的に大きい入射角で入射した画像光GLの反射率よりも低い特性を有する。この特性に伴う作用、効果については後で詳しく述べる。
以下、ハーフミラー53の反射面31rと透光性部材32の射出面32bとのなす角度をハーフミラー53の傾斜角度δと定義する。本実施形態において、ハーフミラー53の傾斜角度δは、45°以上、90°未満である。本実施形態では、透光性部材32の屈折率と平行導光体22の屈折率とは等しいが、これらの屈折率は異なっていてもよい。屈折率が異なる場合、屈折率が等しい場合に対してハーフミラー53の傾斜角度δを変更する必要がある。
複数のハーフミラー53の各々は、平行導光体22の観察者側面22bを基準として時計回りで例えば48°〜70°程度の傾斜角度δをなし、具体的には例えば60°の傾斜角度δをなしている。ここで、画像光GL0の仰角φ0が例えば30°に設定され、画像光GL1の仰角φ1が例えば22°に設定され、画像光GL2の仰角φ2が例えば38°に設定されているものとする。この場合、図20に示すように、画像光GL1と画像光GL2とは、光軸AXを基準として角度γ1=γ2≒12.5°をなして観察者の眼EYに入射する。
これにより、上記画像光GLのうち、全反射角度の比較的大きい成分(画像光GL1)を射出部23のうちの−x側の部分23h側に主に入射させ、全反射角度の比較的小さい成分(画像光GL2)を射出部23のうちの+x側の部分23m側に主に入射させた場合において、画像光GLを全体として観察者の眼EYに集めるような角度で効率的に取り出すことができる。すなわち、平行導光体22から光学素子30の入射面32aに対して比較的大きな入射角(比較的小さな仰角)で入射する画像光GLを平行導光体22から効率良く取り出すことができる。光学素子30はこのような角度で画像光GLを取り出す構成であるため、導光装置20は、画像光GLを光学素子30において原則として複数回経由させず、1回だけ経由させることができる。これにより、画像光GLを少ない損失で虚像光として取り出すことができる。
なお、隣り合うハーフミラー53の間のピッチPTは、0.5mm〜2.0mm程度に設定される。ハーフミラー53間のピッチPTは、厳密には等間隔でなく、可変ピッチで配置されていてもよい。より具体的には、光学素子30におけるハーフミラー53のピッチPTは、基準間隔を中心としてランダムに増減するランダムピッチとしてもよい。このように、光学素子30におけるハーフミラー53をランダムピッチで配置することにより、回折ムラやモアレの発生を抑制することができる。なお、ランダムピッチに限らず、例えば複数段階で増減するピッチを含む所定のピッチパターンを繰り返すものであってもよい。
光学素子30の厚み、すなわち、ハーフミラー53のZ軸方向の厚みTIは、0.7mm〜3.0mm程度に設定される。光学素子30を支持する平行導光体22の厚みは、例えば数mm〜10mm程度、好ましくは4mm〜6mm程度となっている。平行導光体22の厚みが光学素子30の厚みに比較して十分大きいと、光学素子30または境界面IFへの画像光GLの入射角を小さくしやすく、画像光GLが眼EYに取り込まれない位置にあるハーフミラー53での反射を抑えやすい。一方、平行導光体22の厚みを比較的薄くすると、平行導光体22や導光装置20の軽量化を図りやすくなる。
本実施形態の表示装置100は、上記実施形態のハーフミラー53を有する導光装置20を備えているため、縦スジ状の明るさムラが少なく、明るい映像を表示することができる。
[第4実施形態:表示装置]
以下、本発明の第4実施形態について、図22を用いて説明する。
第4実施形態の表示装置の基本構成は第3実施形態と同様であり、導光装置の構成が第3実施形態と異なる。
図22は、本実施形態の表示装置の断面図である。
図22において、第3実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、本発明の第4実施形態について、図22を用いて説明する。
第4実施形態の表示装置の基本構成は第3実施形態と同様であり、導光装置の構成が第3実施形態と異なる。
図22は、本実施形態の表示装置の断面図である。
図22において、第3実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図22に示すように、本実施形態の表示装置200は、画像形成装置10と、導光装置20Bと、を備えている。画像形成装置10の構成は、第3実施形態と同様である。導光装置20Bは、画像光を取り込む入射部21と、主に画像光を導光させる平行導光体22と、画像光GLおよび外界光ELを取り出すための射出部23Bと、を備える。
第3実施形態の射出部23は、平行導光体22の観察者側の面に備えられた光学素子30から構成されていた。これに対して、本実施形態の射出部23Bは、平行導光体22とは別個の光学素子30を備えておらず、平行導光体22の内部に設けられた複数のハーフミラー53から構成されている。本実施形態の場合、例えば、入射部21は樹脂成型により作製され、複数のハーフミラー53を備えた平行導光体22は積層ガラス板の切削切り出しにより作製される。このように、別個に作製された入射部21と平行導光体22とが接合される。
本実施形態の表示装置200においても、縦スジ状の明るさムラの少ない映像を表示できる、という第3実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えばハーフミラー、導光装置、および表示装置を構成する各構成要素の数、形状、材料等の各部の具体的な構成については、上記実施形態に限ることなく、適宜変更が可能である。例えば画像形成装置として、上記の液晶表示装置の他、有機EL装置、レーザー光源とMEMSスキャナーとの組合せ等を用いてもよい。また、導光装置は、表示装置に利用されるのみならず、例えば照明装置等に利用されてもよい。
例えばハーフミラー、導光装置、および表示装置を構成する各構成要素の数、形状、材料等の各部の具体的な構成については、上記実施形態に限ることなく、適宜変更が可能である。例えば画像形成装置として、上記の液晶表示装置の他、有機EL装置、レーザー光源とMEMSスキャナーとの組合せ等を用いてもよい。また、導光装置は、表示装置に利用されるのみならず、例えば照明装置等に利用されてもよい。
20,20B…導光装置、51,52,53…ハーフミラー、61…凝集抑制層、62,87…銀層、81…第1誘電体層、82…第2誘電体層、83…第3誘電体層、84…第4誘電体層、85…第5誘電体層、86…第6誘電体層、88…第7誘電体層、89…第8誘電体層、90…第9誘電体層、91…第10誘電体層、92…第11誘電体層、100,200…表示装置。
Claims (11)
- 銀層と、
前記銀層に接して設けられた凝集抑制層と、
を備えたことを特徴とするハーフミラー。 - 前記凝集抑制層は、インジウムスズ酸化物もしくはインジウムガリウム酸化物で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハーフミラー。
- 前記凝集抑制層は、チオール基を有する有機分子膜で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハーフミラー。
- 前記凝集抑制層は、銀と元素X(X=Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのいずれか)とを含み、銀の含有率が97%以上である合金で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハーフミラー。
- 前記銀層の膜厚は12nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のハーフミラー。
- 前記銀層および前記凝集抑制層に接して設けられた誘電体層をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のハーフミラー。
- 銀と元素X(X=Au,Mg,Zn,Cu,Al,Si,Pd,Sn,Pt,Ti,Crのいずれか)とを含み、銀の含有率が97%以上である合金層で構成されていることを特徴とするハーフミラー。
- 前記合金層の膜厚は12nm以下であることを特徴とする請求項7に記載のハーフミラー。
- 前記合金層に接して設けられた誘電体層をさらに備えたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のハーフミラー。
- 導光体と、
前記導光体の内部を進行してきた光の一部を反射させる請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のハーフミラーと、
を備えたことを特徴とする導光装置。 - 画像形成装置と、
前記画像形成装置で生成された画像光を導光する請求項10に記載の導光装置と、を備えたことを特徴とする表示装置。
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- 2017-05-31 JP JP2017107694A patent/JP2018205395A/ja active Pending
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