JP2018087919A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性に優れる電子写真用トナーに関する。【解決手段】結着樹脂及び離型剤を含有する電子写真用トナーであって、離型剤が、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物であるエステルワックスWを含み、前記脂肪族モノカルボン酸が、炭素数14以上24以下の脂肪族モノカルボン酸m1、及び前記脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数よりも2以上6以下少ない炭素数の脂肪族モノカルボン酸m2を含み、脂肪族モノカルボン酸m1と脂肪族モノカルボン酸m2のモル比率が、91/9以上99.5/0.5以下である、電子写真用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用トナーに関する。
近年、プリンターやコピー機の高速化及び省エネルギー化に伴い、これらの要望に応えられるトナーが必要となってきている。
特許文献1では、シャープメルト性に優れた結晶性部分を有する樹脂を含有するトナーでありながら、定着可能温度領域が広く、かつ耐熱保存性に優れたトナーとして、結着樹脂、着色剤、第一のワックス及び第二のワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂は、結晶構造をとりうるポリエステル構造部を有する樹脂Aを所定量含有し、前記第一のワックス及び第二のワックスが、4官能以上のエステルワックスであり、結着樹脂、前記第一のワックス及び前記第二のワックスの最大吸熱ピークのピーク温度をそれぞれTc(℃)、Tw1(℃)及びTw2(℃)としたとき、50≦Tc≦80及びTc<Tw1<Tw2の関係を満たし、前記第一のワックス及び前記第二のワックスの含有量をそれぞれW1(質量部)、W2(質量部)としたとき、2.0≦W1+W2≦15.0及び0.1≦W2/W1≦1.0の関係を満たすことを特徴とするトナーが記載されている。
特開2014−109704号公報
印刷の高速化においては、印刷機内の感光体や定着器といったトナーが接する部材に、トナーが残る、すなわちフィルミングが発生しやすくなる傾向にある。特に、加熱の有無など環境の異なる部材のいずれにおいてもフィルミングを抑制する技術はいまだ不十分であった。
本発明は、定着器耐フィルミング性、及び感光体耐フィルミング性に優れる電子写真用トナーに関する。
そこで、本発明者等は鋭意検討した結果、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物であるエステルワックスWであって、炭素数の異なる脂肪族モノカルボン酸成分を含むことで、上述の課題を解決しうることを見出した。
本発明は、結着樹脂及び離型剤を含有する電子写真用トナーであって、
離型剤が、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物であるエステルワックスWを含み、
前記脂肪族モノカルボン酸が、炭素数14以上24以下の脂肪族モノカルボン酸m1、及び前記脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数よりも2以上6以下少ない炭素数の脂肪族モノカルボン酸m2を含み、
脂肪族モノカルボン酸m1と脂肪族モノカルボン酸m2のモル比率が、91/9以上99.5/0.5以下である、電子写真用トナーに関する。
本発明によれば、定着器耐フィルミング性、及び感光体耐フィルミング性に優れる電子写真用トナーを提供することができる。
[電子写真用トナー]
本発明の電子写真用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)は、結着樹脂及び離型剤を含有する。
離型剤は、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物であるエステルワックスWを含み、
前記脂肪族モノカルボン酸が、炭素数14以上24以下の脂肪族モノカルボン酸m1、及び前記脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数よりも2以上6以下少ない炭素数の脂肪族モノカルボン酸m2を含み、
脂肪族モノカルボン酸m1と脂肪族モノカルボン酸m2のモル比率が、91/9以上99.5/0.5以下である。
本発明によれば、定着器耐フィルミング性、及び感光体耐フィルミング性に優れる電子写真用トナーを提供することができる。
本発明の効果が得られる理由は定かではないが以下のように考えらえる。
高速印刷においてフィルミングを抑制するには、結晶性の高いワックスが有利である。本発明においては、エステルワックスWとして、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物を用いることで、ワックスの高い結晶性により、加熱される定着器においてフィルミングが効果的に抑制される。一方、加熱されない感光体においては、高速印刷による摩擦等のストレスがより強くかかるため、結晶性の高いワックスが破砕されやすく、かえってフィルミングに転じやすい。本発明のエステルワックスWでは、脂肪族モノカルボン酸成分として、炭素鎖の異なる脂肪族モノカルボン酸m1及びm2が所定の比率で含まれていることで、エステルワックスWの形成する結晶構造の一部に炭素鎖の短い脂肪族モノカルボン酸m2が組み込まれ、脂肪族鎖の末端が運動性を持ちやすくなり、外部からの衝撃を吸収しつつ結晶構造が維持される。その結果、感光体においてもフィルミングを起こし難いトナーが得られたものと考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最高ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、示差走査熱量測定により観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
明細書中、ポリエステル樹脂のカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び、各カルボン酸の、炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
体積中位粒径D50とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径D50は、レーザー回折型粒径測定機等により測定できる。
<結着樹脂>
結着樹脂は、例えば、非晶性樹脂A(以下、単に「樹脂A」ともいう)を含み、好ましくは樹脂A及び結晶性樹脂C(以下、単に「樹脂C」ともいう)を含む。
<非晶性樹脂A>
樹脂Aとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとを有する複合樹脂等の非晶性ポリエステル系樹脂が挙げられる。
〔ポリエステル樹脂〕
(アルコール成分)
アルコール成分としては、例えば、芳香族ポリオール化合物、脂肪族ポリオール化合物が挙げられる。これらの中でも、芳香族ポリオール化合物が好ましい。
芳香族ポリオール化合物としては、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):

〔式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる少なくとも1種であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上であり、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。〕で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、そして、更に好ましくは100モル%である。
脂肪族ポリオール化合物としては、炭素数2以上20以下の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上の脂肪族アルコール等が挙げられる。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸がより好ましく、テレフタル酸が更に好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
芳香族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは90モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは26以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは16以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましく、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸がより好ましく、ドデセニルコハク酸が更に好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、好ましくは80モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは40モル%以下である。
カルボン酸成分は、好ましくは3価以上のカルボン酸を含む。
3価以上のカルボン酸としては、好ましくは3価のカルボン酸であり、より好ましくはトリメリット酸である。
3価以上のカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは8モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸が、分子量調整の観点から、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、末端基を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。重合禁止剤としては、ターシャリーブチルカテコール等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
〔複合樹脂〕
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する。
ポリエステル樹脂セグメントは、ポリエステル樹脂よりなり、当該ポリエステル樹脂としては上述のポリエステル樹脂の例示と同様のものが好ましい例として挙げられる。
(付加重合樹脂セグメント)
付加重合樹脂セグメントとしては、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物が好ましい。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、又はα−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて単に「スチレン系化合物」という)が挙げられる。
スチレン系化合物の含有量は、付加重合樹脂の原料モノマー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましく75質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
スチレン系化合物以外に用いられる付加重合樹脂の原料モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類等が挙げられる。
スチレン系化合物以外に用いられる付加重合樹脂の原料モノマーは2種以上を使用することができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
スチレン系化合物以外に用いられる付加重合樹脂の原料モノマーの中では、樹脂特性の制御を容易にする観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、より好ましくは6以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数をいう。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの接頭辞が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの接頭辞が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種以上を意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、付加重合樹脂セグメントの原料モノマー中、樹脂特性の制御の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは12質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
付加重合樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、付加重合樹脂の原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
(両反応性モノマー)
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとを連結する両反応性モノマー由来の単位を有することが好ましい。例えば、当該複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー及び付加重合樹脂セグメントの原料モノマーを重合させて複合樹脂を得る際に、重縮合反応又は付加重合反応を、両反応性モノマーの存在下で行うことで得られる。
複合樹脂は、(i)アルコール成分とカルボン酸成分とを含むポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー、(ii)付加重合樹脂セグメントの原料モノマー、又は、(iii)ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー及び付加重合樹脂セグメントの原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを重合させることにより得られる樹脂であることが好ましい。
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及びカルボキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、より好ましくはカルボキシ基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましい。
両反応性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が挙げられる。これらの中でも、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸がより好ましい。但し、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーである。
両反応性モノマーの使用量は、樹脂特性の制御の観点から、ポリエステル樹脂セグメントのアルコール成分の合計100モル部に対して、好ましくは1モル部以上、より好ましくは2モル部以上、更に好ましくは3モル部以上であり、そして、好ましくは20モル部以下、より好ましくは10モル部以下、更に好ましくは7モル部以下である。
複合樹脂におけるポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとの質量比(ポリエステル樹脂セグメント/付加重合樹脂セグメント)は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上であり、そして、耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂セグメントの質量は、用いられるポリエステル樹脂の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー量に含める。また、付加重合樹脂セグメントの量は、付加重合樹脂セグメントの原料モノマー量であるが、重合開始剤の量は付加重合樹脂セグメントの原料モノマー量に含める。
〔樹脂Aの物性〕
樹脂Aの軟化点は、定着器耐フィルミング性及び耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
樹脂Aのガラス転移温度は、耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
樹脂Aの酸価は、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上、更に好ましくは5mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
トナー中の樹脂Aの含有量は、結着樹脂の合計量に対して、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である。結着樹脂の合計量とは、樹脂A及び樹脂C等のトナー中に含まれる樹脂成分の合計量を意味する。
<結晶性樹脂C>
結着樹脂は、樹脂Aに加えて、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは結晶性樹脂Cを含む。
樹脂Cとしては、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する複合樹脂等の結晶性ポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの中でも、低温定着性及び定着器耐フィルミング性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する複合樹脂が好ましい。
以下、樹脂Cの好適態様として、樹脂Aにおける例示と共通する箇所については説明を省略し、樹脂Cの態様として好ましい態様についてのみ説明する。
(アルコール成分)
アルコール成分は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは、脂肪族ポリオール化合物である。
脂肪族ポリオール化合物としては、炭素数2以上20以下の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上の脂肪族アルコール等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールが好ましく、α,ω−脂肪族ジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールの炭素数は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
α,ω−脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。これらの中でも1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましく、1,12-ドデカンジオールがより好ましい。
α,ω−脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは100モル%である。
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは、脂肪族ジカルボン酸である。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、セバシン酸、フマル酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
樹脂Cは、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性を向上させる観点から、好ましくは、アルコール成分として、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有し、カルボン酸成分として、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する。
〔樹脂Cの物性〕
樹脂Cの融点は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性を向上させる観点から、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
樹脂Cの軟化点は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性を向上させる観点から、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
トナー中の樹脂Cの含有量は、結着樹脂の合計量に対して、低温定着性、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
<離型剤>
離型剤は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性に優れたトナーを得る観点から、エステルワックスWを含む。
〔エステルワックスW〕
エステルワックスWは、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性に優れたトナーを得る観点から、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物であり、
脂肪族モノカルボン酸が、炭素数14以上24以下の脂肪族モノカルボン酸m1、及び前記脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数よりも2以上6以下少ない炭素数の脂肪族モノカルボン酸m2を含み、
脂肪族モノカルボン酸m1と脂肪族モノカルボン酸m2のモル比率が、91/9以上99.5/0.5以下である。
脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性をより向上させる観点から、好ましくは16以上、より好ましくは18以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下である。
脂肪族モノカルボン酸m1は、例えば、飽和又は不飽和脂肪族モノカルボン酸であり、飽和脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸m1は、例えば、直鎖又は分岐脂肪族モノカルボン酸であり、ワックスの結晶性の観点から直鎖脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸m1としては、例えば、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、テトラコサン酸が挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸m2の炭素数は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性に優れたトナーを得る観点から、脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数よりも2以上6以下少ない炭素数である。脂肪族モノカルボン酸m2の炭素数は、好ましくは「〔脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数〕‐ 4」以下であり、そして、より好ましくは「〔脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数〕‐ 2」である。
脂肪族モノカルボン酸m2は、例えば、飽和又は不飽和脂肪族モノカルボン酸であり、飽和脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸m2は、例えば、直鎖又は分岐脂肪族モノカルボン酸であり、ワックスの結晶性の観点から直鎖脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸m2としては、例えば、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ベヘン酸が挙げられる。これらの中でも、脂肪族モノカルボン酸m1がステアリン酸である場合の組み合わせとしては、ミリスチン酸、パルチミン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸m1と脂肪族モノカルボン酸m2のモル比率は、定着器耐フィルミング性に優れたトナーを得る観点から、91/9以上であり、好ましくは92/8以上、より好ましくは95/5以上、更に好ましくは97/3以上であり、そして、感光体耐フィルミング性に優れたトナーを得る観点から、99.5/0.5以下であり、好ましくは99.3/0.7以下、より好ましくは99/1以下である。
上記モル比率は、エステルワックスW全体の脂肪族モノカルボン酸成分におけるモル比率を意味する。
エステルワックスWにおいて、ジペンタエリスリトールの脂肪族モノカルボン酸によるエステル置換数は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性を向上させる観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、そして、6以下である。
エステルワックスWの製造方法は、特に限定されないが、例えば、ジペンタエリスリトールと、脂肪族モノカルボン酸m1及び脂肪族モノカルボン酸m2の混合物とを、不活性ガス雰囲気下で、160℃以上270℃以下の温度で、縮合させることで得られる。
エステルワックスWの融点は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
エステルワックスWの水酸基価は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性をより向上させる観点から、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは0.3mgKOH/g以上、更に好ましくは0.5mgKOH/g以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは3mgKOH/g以下、より好ましくは2mgKOH/g以下である。
エステルワックスWの水酸基価は、後述する実施例に記載の方法で測定する。
トナー中のエステルワックスWの含有量は、結着樹脂の合計量100質量部に対して、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性をより向上させる観点から、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
〔他の離型剤〕
トナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、エステルワックスWの他に、他の離型剤を含有していてもよい。
他の離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、エステルワックスW以外の脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
他の離型剤の融点は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
トナー中の他の離型剤の含有量は、結着樹脂の合計量100質量部に対して、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性をより向上させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
トナー中の離型剤の含有量は、結着樹脂の合計量100質量部に対して、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性をより向上させる観点から、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
トナー中のエステルワックスWの含有量は、定着器耐フィルミング性及び感光体耐フィルミング性をより向上させる観点から、離型剤中、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、更に好ましくは100質量%である。
<荷電制御剤>
トナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業株式会社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット株式会社製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「TN-105」(保土谷化学工業株式会社製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、サリチル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
トナー中、荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
<着色剤>
トナーは、着色剤を含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
トナー中の着色剤の含有量は、トナーの画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
トナーは、更に、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよい。
<外添剤>
トナーは、外添剤を用いて粒子の表面処理を行ってもよい、すなわち、外添剤を含有していてもよい。
外添剤としては、例えば、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子;ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いて表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、外添剤で処理する前のトナー粒子(トナー母粒子)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
[製造方法]
トナーの製造方法としては、
(1)結着樹脂を含む混合物を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕してトナーを製造する方法(以下、「溶融混練法」ともいう)、
(2)結着樹脂を水溶性媒体中に分散させた分散液を含む混合物中で、結着樹脂粒子を凝集及び融着させてトナー粒子を得ることによりトナーを製造する方法(以下、「凝集及び融着法」ともいう)、
(3)結着樹脂を水溶性媒体中に分散させた分散液とトナー用原料を高速撹拌させてトナー粒子を得ることによりトナーを製造する方法
等が挙げられる。
トナーの生産性を向上させる観点、及びトナーの定着性を向上させる観点から、(1)の溶融混練法が好ましい。また、(2)の凝集及び融着法によりトナーを得てもよい。つまり、トナーは、溶融混練法による粉砕トナーであることが好ましい。
(1)溶融混練法
(1)の方法は、好ましくは下記工程1−1及び工程1−2を含む。
工程1−1:結着樹脂と離型剤とを含む混合物を溶融混練する工程
工程1−2:工程1−1で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程
<工程1−1>
工程1−1では、他の離型剤、荷電制御剤、着色剤と共に溶融混練することが好ましい。ここで、各成分の使用量は、上述のトナーにおける含有量と同様の範囲が好ましい。
結着樹脂、離型剤、着色剤、荷電制御剤等のトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸押出機又は二軸押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。結晶性のワックス等を溶融混合する観点から、高温条件に設定することのできる二軸押出機が好ましい。
二軸押出機は、混練部が密閉されており、混練の際に発生する混練熱により各材料を容易に溶融することができる。
二軸押出機の設定温度は、押出し機の構造上、材料の溶融特性に影響されず、意図した温度にて溶融混合することが容易である。
二軸押出機の設定温度(バレル設定温度)は、適宜設定されるが、例えば、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下である。
回転周速度は、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の添加剤のトナー中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点から、同方向回転二軸押出機の場合、好ましくは0.15m/sec以上、より好ましくは0.20m/sec以上であり、そして、好ましくは1.00m/sec以下、より好ましくは0.70m/sec以下、更に好ましくは0.50m/sec以下である。
工程1−1で得られた溶融混練物を、粉砕が可能な程度に冷却した後、続く工程1−2に供する。
<工程1−2>
工程1−2では、工程1−1で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する。
粉砕は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を硬化させて得られた樹脂混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、更に所望の粒径に微粉砕してもよい。
粗粉砕に用いられる粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックスが挙げられる。微粉砕に用いられる粉砕機としては、例えば、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミルが挙げられる。これらの中でも、粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミルが好ましく、流動層式ジェットミルがより好ましい。
分級に用いられる分級機としては、例えば、ロータ式分級機、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機が挙げられる。分級の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕と分級を繰り返してもよい。
(2)凝集及び融着法
(2)の方法は、
工程2−1:結着樹脂を含む水系分散液を得る工程、
工程2−2:離型剤を含む水系分散液を得る工程、及び
工程2−3:工程2−1で得られた水系分散液、及び工程2−2で得られた水系分散液を混合し、得られた混合液中で結着樹脂及び離型剤を凝集及び融着させる工程
を含む。
本発明において、「水系」とは、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を溶剤中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、好ましくは100質量%以下、含有するものをいう。
<工程2−1>
工程2−1において、結着樹脂を含む水系分散液を得るが、トナーが、結着樹脂として、樹脂A及び樹脂Cを含む場合、下記の方法により、樹脂A及び樹脂Cを含む水系分散液、或いは、樹脂Aを含む水系分散液、樹脂Cを含む水系分散液をそれぞれ調製する。
以下、樹脂Aと樹脂Cを総称し、「結着樹脂」として、本工程について説明する。
結着樹脂を含む水系分散液は、それぞれの結着樹脂と、有機溶剤及び水、さらに必要に応じて中和剤や界面活性剤を混合し、撹拌した後、蒸留等によって有機溶剤を除去することにより得られる。なお、混合物を撹拌する際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、デスパ(浅田鉄工株式会社製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス株式会社製)、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)、ケイディーミル(ケイディー インターナショナル社製)等の高速撹拌混合装置等を用いることができる。
有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール及びイソブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びジエチルケトン等のケトン系溶媒;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロエタン等が挙げられる。これらの中では、樹脂の溶解性及び水系分散液からの除去性の観点から、メチルエチルケトン、クロロホルム、及び酢酸エチルが好ましい。
中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属;アンモニア、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン及びトリブチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられ、アニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられ、樹脂粒子の分散液の分散安定性を向上させる観点から、アルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルエーテル硫酸ナトリウム及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムがより好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼントリメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンエステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
界面活性剤を使用する場合、その使用量は、結着樹脂の水系分散液の調製の場合、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。
結着樹脂の水系分散液の調製の場合、結着樹脂と混合する際に用いる有機溶剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上であり、そして、好ましくは1500質量部以下、より好ましくは1000質量部以下である。
結着樹脂を有機溶剤と混合(溶解)する際の温度は、使用する有機溶剤の沸点にもよるが、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。
結着樹脂を含む水系分散液の固形分濃度は、適宜水を加えることにより調整可能であるが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
また、有機溶剤を使用せずに、非イオン性界面活性剤と混合することにより、分散液とすることもできる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアリレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングルコールモノステアレート及びポリエチレングルコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤にアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤の曇点は、常圧、水中で樹脂を微粒化させる場合には、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であり、そして、好ましくは105℃以下、より好ましくは100℃以下である。
非イオン性界面活性剤の使用量は、水系分散液中の結着樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、そして、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。
結着樹脂を含む水系分散液中の結着樹脂粒子の体積中位粒径D50は、後の工程2−3で均一に凝集させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは80nm以上であり、そして、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは300nm以下である。
<工程2−2>
離型剤を含む水系分散液は、離型剤と水系媒体とを、界面活性剤等の存在下、離型剤の融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機等が好ましい。
超音波分散機としては、例えば超音波ホモジナイザーが挙げられる。その市販品としては、「US-150T」、「US-300T」、「US-600T」(株式会社日本精機製作所製)、「SONIFIER 4020-400」、「SONIFIER 4020-800」(ブランソン社製)等が挙げられる。
本製造で用いる水系媒体の好ましい態様は、結着樹脂の水系分散液を得る際に用いられるものと同様である。
離型剤の分散には、分散剤を用いてもよい。
分散剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、アニオン性界面活性剤が好ましく、ポリカルボン酸塩がより好ましい。
ポリカルボン酸塩としては、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリマレイン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩が好ましい。
塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
ポリカルボン酸塩の重量平均分子量は、好ましくは90,000以下、より好ましくは50,000以下であり、そして、好ましくは3,000以上、より好ましくは10,000以上である。
ポリカルボン酸塩の市販品としては、「ポイズ530」(花王株式会社製、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液、重量平均分子量38,000)、「ポイズ521」(花王株式会社製、アクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液、重量平均分子量20,000)等が挙げられる。
水系分散液中の分散剤の含有量は、離型剤100質量部に対し、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下であり、そして、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。
水系分散液中の離型剤粒子の体積中位粒径D50は、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、そして、好ましくは1μm以下、より好ましくは700nm以下、更に好ましくは600nm以下である。
<工程2−3>
工程2−3では、工程2−1で得られた水系分散液、及び工程2−2で得られた水系分散液と、着色剤、その他の離型剤、荷電制御剤等の添加剤を添加してから凝集工程に付してもよい。該添加剤は、水系分散液としてから使用することもできる。
工程2−3においては、結着樹脂を含む水系分散液と、離型剤を含む水系分散液と、必要に応じて用いられる各種添加剤との混合物を、均一に分散させる観点から、好ましくは最も低い軟化点を持つ樹脂の軟化点未満の温度、より好ましくは「該軟化点−20℃」(軟化点より20℃低い温度を意味する、以下同様)以下の温度で分散処理を行う。具体的には、好ましくは60℃以下、より好ましくは55℃以下であり、そして、媒体の流動性及びトナーの生産性の観点から、分散処理は0℃より高い温度で行うことが好ましく、10℃以上で行うことが好ましい。
分散液の処理方法としては、分散機を用いて分散することが好ましい。分散機としては、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、デスパ(浅田鉄工株式会社製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス株式会社製)、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)、ケイディーミル(ケイディー インターナショナル社製)等の高速撹拌混合装置、超音波分散機等が挙げられる。
凝集工程における系内のpHは、混合液中の分散安定性と凝集性とを両立させる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下である。
凝集工程における系内の温度は、混合液中の分散安定性と凝集性とを両立させる観点から、「最も低い軟化点を持つ樹脂の軟化点−70℃」以上、且つ、最も低い軟化点を持つ樹脂の軟化点以下であることが好ましい。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することができる。凝集剤としては、有機系では、4級塩のカチオン性界面活性剤、及びポリエチレンイミン等が用いられ、無機系では、無機金属塩、無機アンモニウム塩及び2価以上の金属錯体等が挙げられる。
無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、及び硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、及び多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、混合液中の分散安定性と凝集性とを両立させる観点から、塩化カルシウムが好ましい。
凝集剤を添加する場合、その添加量は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、また、好ましくは60質量部以下、より好ましくは55質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
凝集剤は、水系媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後は十分撹拌することが好ましい。
凝集工程で得られる凝集粒子の体積中位粒径D50は、均一に融着させトナー粒子を製造する観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。
凝集工程において、必要に応じて凝集停止剤を加えた後、融着工程に供することにより融着粒子の水系分散液を得る。凝集停止剤としては、界面活性剤を用いることが好ましく、アニオン性界面活性剤を用いることがより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
融着工程は、例えば、凝集粒子の加熱により行うことができる。この融着工程は、凝集粒子が沈降しない速度で撹拌しながら行うことが好ましい。
融着工程における系内の温度は、凝集粒子の融着性を制御する観点から、好ましくは「最も低い軟化点を持つ結着樹脂の軟化点−50℃」以上、より好ましくは「該軟化点−35℃」以上、更に好ましくは「該軟化点−20℃」以上であり、そして、好ましくは「該軟化点+50℃」以下、より好ましくは「該軟化点+35℃」以下、更に好ましくは「該軟化点+20℃」以下である。系内の温度としては、具体的には、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。
工程2−3で得られた融着粒子を、適宜、ろ過等の固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、トナー粒子を得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する観点から、トナー表面の金属イオンや、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー粒子の乾燥後の水含有量は、トナーの帯電性を向上させる観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下に調整する。
トナーの製造方法においては、トナーの帯電性や流動性、及び転写性を向上させる観点から、溶融混練、粉砕、分級工程後、得られたトナー粒子(トナー母粒子)、或いは、凝集、融着、洗浄工程、乾燥工程後、得られたトナー粒子(トナー母粒子)をさらに外添剤と混合する工程を含むことが好ましい。
トナー粒子と外添剤との混合には、回転羽根等の攪拌具を備えた混合機を用いることが好ましく、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速混合機が好ましく、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
トナー粒子の体積中位粒径D50は、トナーの画像品質を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、更に好ましくは6μm以上であり、そして、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下である。また、トナーを外添剤で処理している場合には、トナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる。また、当該トナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
樹脂等の各物性値については次の方法により測定、評価した。
[物性の測定方法]
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し測定する。
吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及び融点〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで0℃まで冷却しそのまま1分間静止させた。その後、昇温速度50℃/minで測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側に現れるピークの温度を樹脂の吸熱の最高ピーク温度とする。樹脂の軟化点と吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最高ピーク温度(℃))を結晶性指数とする。また、吸熱の最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とする。
〔樹脂の酸価及び離型剤(ワックス)の水酸基価〕
樹脂の酸価及びワックスの水酸基価はJIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔離型剤(ワックス)の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の個数平均粒径〕
外添剤の平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は以下の方法で測定した。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
[試験方法]
〔定着器耐フィルミング性〕
プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)用カートリッジにトナーを充填し、25℃相対湿度50%の環境下で、1ページ20秒間欠の条件で印字率5%の画像を10000枚印字した。その後、15cm×2cmのベタ画像をJ紙(富士ゼロックス株式会社製)の上端より2cmの部分に印刷した。その際、定着ローラー表面の温度は182℃であった。得られた定着画像のホットオフセットの有無を目視で確認した。また、定着器ユニットをプリンターから取り出し、定着器フィルミング(汚れ)の有無を目視にて確認し、以下の評価基準に従って、定着器耐フィルミング性の評価をした。結果を表4に示す。
A:オフセットは発生せず、定着器フィルミング(汚れ)も無い
B:オフセットは発生しないが、定着器フィルミング(汚れ)が発生
C:オフセットが発生し、定着器フィルミング(汚れ)も発生
〔感光体耐フィルミング性〕
プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)用カートリッジにトナーを充填し、10℃相対湿度20%の環境下で、1ページ20秒間欠の条件で印字率5%の画像を4000枚印字した後、15cm×15cmのベタ画像をJ紙(富士ゼロックス株式会社製)の上端より2cmの部分に印刷した。その際、感光体表面の温度は12℃であった。得られた定着画像の画像抜けの有無を目視で確認した。また、イメージドラムをプリンターから取り出し、感光体フィルミングの有無を目視にて確認し、以下の評価基準に従って感光体耐フィルミング性を評価した。結果を表4に示す。
A:画像抜けも無く、感光体フィルミングも無い
B:画像抜けは無いが、感光体フィルミングが発生している
C:画像抜けが発生し、感光体フィルミングも発生している
[非晶性複合樹脂の製造例]
製造例A1〔樹脂A−1〕
表1に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル樹脂成分の原料モノマー、エステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃に昇温して12時間反応を行った後、8.3kPaにて1時間反応させた。160℃に降温し、付加重合樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びジクミルパーオキサイドの混合液を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を行った後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間保持した。さらに、210℃にて、無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶性複合樹脂A−1を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
製造例A2〔樹脂A−2〕
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃に昇温して6時間反応させた。さらに210℃に昇温した後、無水トリメリット酸を添加し、常圧(101.3kPa)にて1時間反応させ、さらに40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶性複合樹脂A−2を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
製造例C1〔樹脂C−1〕
表2に示すポリエステル樹脂成分の原料モノマー、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで加熱し、6時間反応させた。その後、表2に示す付加重合樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びジクミルパーオキサイドの混合液を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を行った後、8.3kPaにて1時間保持した。さらに、200℃まで8時間かけて昇温し、8.3kPaにて2時間反応させて、結晶性樹脂C‐1を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
製造例C2〔樹脂C‐2〕
表2に示す原料モノマー、エステル化触媒、及び重合禁止剤を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、200℃で8kPaにて1時間反応させて、結晶性樹脂C‐2を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
[ワックスの製造例]
製造例W1〔ワックスW‐1〕
アルコール成分として、ジペンタエリスリトール254g(1.0mol)、モノカルボン酸成分として、ステアリン酸1690g(5.94mol)及びパルミチン酸16g(0.06mol)を5L容の4つ口フラスコに入れ、窒素気流下、生成水を留去しながら、220℃で10時間反応させた。
トルエン500g及び2-プロパノール330g、10質量%水酸化カリウム水溶液267gを加え、70℃で1時間撹拌し、30分間静置後、水層部を除去した。イオン交換水を用い、70℃でpHが7になるまで洗浄した。得られたワックス含有溶液から減圧下で溶媒を留去し、ろ過、固化、粉砕を経て、ワックスW‐1を得た。得られたワックスの水酸基価及び融点を表3に示す。
製造例W2〜W7〔ワックスW‐2〜W‐7〕
モノカルボン酸成分を表3に記載の成分と仕込量に代えた以外は、製造例W1と同様にして、ワックスW‐2〜W‐7を得た。得られたワックスの水酸基価及び融点を表3に示す。
また、表3に、実施例で使用した市販品のワックスW−8に関する情報を示す。
[トナーの製造例]
実施例1〜11及び比較例1〜4:溶融混練法によるトナー
表4に示す所定量の結着樹脂100質量部及び離型剤と、荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業株式会社製)0.5質量部、及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業株式会社製、フタロシアニンブルー(P.B.15:3))3.0質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
同方向回転二軸押出機「PCM-30」(株式会社池貝製、軸の直径 2.9cm、軸の断面積 7.06cm2)を使用した。運転条件は、バレル設定温度 120℃、軸回転数 200r/min(軸の回転の周速 0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量 1.42kg/h・cm2)であった。
得られた樹脂混練物を冷却し、粉砕機「ロートプレックス」(ホソカワミクロン株式会社製)により粗粉砕し、目開きが2mmのふるいを用いて粒子径が2mm以下の粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、DS2型気流分級機(日本ニューマチック株式会社製、衝突板式)を用いて体積中位粒径が8.0μmになるように粉砕圧を調整して微粉砕した。得られた微粉砕物を、DSX2型気流分級機(日本ニューマチック株式会社製)を用いて体積中位粒径が8.5μmになるように静圧(内部圧力)を調整して分級を行い、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部と、外添剤として疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル株式会社製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)0.8質量部、及び疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、平均粒子径:40nm)1.2質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて2100r/min(周速度29m/sec)で3分間混合して、トナーを得た。
実施例12:凝集及び融着法によるトナー
(水系分散体の製造)
製造例DA1(水系分散体DA−1の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた3L容の容器に、非晶性樹脂A−1 150g、酢酸エチル75gを仕込み、70℃にて2時間かけて溶解させた。得られた溶液に、20質量%アンモニア水溶液(pKa=9.3)を、樹脂の酸価に対して中和度100モル%になるように添加し、30分撹拌して、混合物を得た。70℃に保持したまま、280r/min(周速88m/ min)で撹拌しながら、脱イオン水675gを77分かけて添加し、転相乳化して、樹脂粒子の粗製分散体を得た。継続して70℃に保持したまま、酢酸エチルを減圧下で留去して、樹脂粒子の水系分散体を得た。
その後、280r/ min(周速88m/ min)の撹拌を行いながら水系分散体を30℃に冷却した後、アニオン性界面活性剤「エマールE27C」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、花王株式会社製、固形分28質量%)を16.7g混合した。その後、水系分散体の固形分濃度を測定し、脱イオン水を加えることにより、水系分散体の固形分濃度を20質量%に調整した。得られた水系分散体中の樹脂粒子の体積中位粒径D50は203nmであった。
製造例DC1(水系分散体DC−1の製造)
1L容のビーカーで、結晶性樹脂C‐1 30gとクロロホルム270gを25℃で撹拌混合して結晶性樹脂C‐1を溶解させ、ネオペレックスG-15(花王株式会社製)を100g添加した後、「T.K.ロボミックス」(プライミクス株式会社製)で、回転数8000r/minで30分間攪拌を行い、乳化液を調製した。得られた乳化液から減圧下でクロロホルムを留去し、水系分散体DC−1を得た。分散粒子の体積中位粒径D50は287nmであり、固形分濃度は17質量%であった。
(着色剤分散液の製造)
製造例D1
銅フタロシアニン「ECB-301」(大日精化工業株式会社製)50g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン150」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)5g及び脱イオン水200gを混合し、ホモジナイザーを用いて10分間分散させて、着色剤粒子を含有する着色剤分散液を得た。着色剤粒子の体積中位粒径D50は120nmであり、固形分濃度は22質量%であった。
(荷電制御剤分散液の製造)
製造例D2
荷電制御剤としてサリチル酸系化合物「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業株式会社製)50g、非イオン性界面活性剤として「エマルゲン150」(花王株式会社製)5g及び脱イオン水200gを混合し、ガラスビーズを使用し、サンドグラインダーを用いて10分間分散させて、荷電制御剤粒子を含有する荷電制御剤分散液を得た。荷電制御剤粒子の体積中位粒径D50は400nmであり、固形分濃度は22質量%であった。
(離型剤粒子分散液の製造)
製造例D3
1L容のビーカーで、脱イオン水200gにアクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液「ポイズ521」(花王株式会社製、有効濃度40質量%)3.8gを溶解させた後、これに製造例W1のワックスW‐1を50g添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させて、超音波ホモジナイザー「US-600T」(日本精機株式会社製)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却し、ここに脱イオン水を加え、固形分濃度を20質量%に調整し、離型剤粒子分散液D−3を得た。離型剤粒子分散液D−3中の離型剤粒子の体積中位粒径D50は426nmであった。
(トナーの製造)
水系分散体DA−1を332.5g、水系分散体DC−1を21.0g、着色剤分散液9.5g、離型剤分散液D−3を7.0g、荷電制御剤分散液1.6g及び脱イオン水60gを3L容の容器に入れ、アンカー型の撹拌機で100r/min(周速31m/min)の撹拌下、20℃で0.1質量%塩化カルシウム水溶液150gを30分かけて滴下した。その後、撹拌しながら50℃まで昇温した。体積中位粒径D50が8.0μmに達したのを確認した後、凝集停止剤としてアニオン性界面活性剤「エマールE27C」(花王株式会社製、固形分28質量%)4.2gを脱イオン水37gで希釈した希釈液を添加して、凝集体Xを得た。次いで75℃まで昇温し、75℃になった時点から1時間75℃を保持した後、加熱を終了した。その後、20℃まで徐冷し、150メッシュ(目開き150μm)の金網でろ過した後、吸引ろ過を行い、洗浄、乾燥工程を経てトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積中位粒径D50は8.5μmであった。
実施例1と同様にして外添処理を行い、トナーを得た。
以上の結果より、比較例1〜4と対比して、実施例1〜12のトナーは、定着器耐フィルミング性、及び感光体耐フィルミング性の両立において優れていることがわかる。

Claims (6)

  1. 結着樹脂及び離型剤を含有する電子写真用トナーであって、
    離型剤が、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物であるエステルワックスWを含み、
    前記脂肪族モノカルボン酸が、炭素数14以上24以下の脂肪族モノカルボン酸m1、及び前記脂肪族モノカルボン酸m1の炭素数よりも2以上6以下少ない炭素数の脂肪族モノカルボン酸m2を含み、
    脂肪族モノカルボン酸m1と脂肪族モノカルボン酸m2のモル比率が、91/9以上99.5/0.5以下である、電子写真用トナー。
  2. エステルワックスWは、ジペンタエリスリトールの脂肪族モノカルボン酸によるエステル置換数が、5以上6以下である、請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 脂肪族モノカルボン酸m1及び脂肪族モノカルボン酸m2が、直鎖脂肪族モノカルボン酸である、請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
  4. エステルワックスWの含有量が、結着樹脂の合計量100質量部に対して、0.3質量部以上30質量部以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  5. 結着樹脂が、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と、カルボン酸成分との重縮合物である非晶性ポリエステル系樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  6. 結着樹脂が、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分との重縮合物である結晶性ポリエステル系樹脂を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
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